説明

フィルム送出ユニット

【課題】薄肉で腰のない帯状フィルムであっても円滑かつ確実に送出することができるフィルム送出ユニットを提供する。
【解決手段】対向一対の支持プレート11、11を、連結部材12、13、14を介して、相互に連結してなるフレーム10と、このフレーム10の支持プレート11、11に支持された送出ローラ20と、支持プレート11、11に取り付けられた下流側基材整形部材30と、下端部が基材整形部材30に固定された一対の基材形状保持ガイド40、40と、送出ローラ20を下流側基材整形部材30との間に挟み込むように、基材形状保持ガイド40の上端部に装着された上流側基材整形部材50とから構成されており、下流側基材整形部材30及び上流側基材整形部材50がラベル形成基材Mをその幅方向に湾曲させると共に、基材形状保持ガイド40がラベル形成基材Mの湾曲形状を保持するようになっている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、長尺の帯状フィルムを円滑に送出することができるフィルム送出ユニット、特に、腰のない薄肉の帯状フィルムを送出する場合に有効なフィルム送出ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、所定長さの感熱接着性ラベルが連続的に繋がった長尺帯状のラベル形成基材を順次切断することによって所定長さの感熱接着性ラベルを形成しながら、その感熱接着性ラベルを、所定のラベル貼着位置に搬送されてくる、乾電池等の被貼付体の胴部外周面に巻き付けるようにして順次貼り付けていく感熱ラベラーには、通常、長尺帯状のラベル形成基材を順次切断する切断ユニットの上流側に、長尺帯状のラベル形成基材Mを連続的に送出する基材送出ユニットが設置されており、この基材送出ユニットは、ラベル形成基材Mを挟み込んだ状態で回転することによってラベル形成基材Mを送出する一対の送出ローラによって構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000−229358号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、ラベル形成基材Mが厚肉で腰のある場合は、それ程問題にならないが、近年は、材料コストの削減等の観点から、ラベルの薄肉化が進んでおり、ラベル形成基材Mが薄肉で腰のない場合は、送出ローラ51によって送出されるラベル形成基材Mが切断搬送ユニット52の部分でジャムを発生するおそれがあり、薄肉で腰のないラベル形成基材Mを切断搬送ユニット52に円滑かつ確実に供給することができないといった問題がある。また、厚肉であっても、感熱接着剤が塗布されているラベル形成基材Mの場合は、送出ローラ51の挟持圧力により、若干の粘着力が発生し、送出ローラ51部分で屈曲しやすいといった問題もある。
【0005】
そこで、この発明の課題は、薄肉で腰のない帯状フィルムであっても円滑かつ確実に送出することができるフィルム送出ユニットを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するため、請求項1に係る発明は、長尺の帯状フィルムを、その幅方向の両側部を除くように、その幅方向の中央部を挟み込んで送出する一対の送出ローラと、前記帯状フィルムを、その幅方向に湾曲させる、前記送出ローラの送出方向下流側に配設されたフィルム整形部材と、前記フィルム整形部材によって整形された前記帯状フィルムの両側部に沿うように、前記送出ローラと前記フィルム整形部材との間に配設された、前記帯状フィルムの湾曲状態を保持するフィルム形状保持ガイドとを備えていることを特徴とするフィルム送出ユニットを提供するものである。
【0007】
請求項2に係る発明は、請求項1に係る発明のフィルム送出ユニットにおいて、前記帯状フィルムを、その幅方向に湾曲させるフィルム整形部材を、前記送出ローラの送出方向上流側にも配設したことを特徴としている。
【0008】
請求項3に係る発明は、請求項1または2に係る発明のフィルム送出ユニットにおいて、前記フィルム整形部材が、前記帯状フィルムの両側縁を当接させることによって、前記帯状フィルムをその幅方向に湾曲させる一対の内隅角部を有する整形部と、前記整形部によって湾曲させた前記帯状フィルムの両側部に沿わせることで、前記帯状フィルムの湾曲形状を保持する形状保持部とを備えていることを特徴としている。
【0009】
請求項4に係る発明は、請求項1または2に係る発明のフィルム送出ユニットにおいて、前記フィルム整形部材が、両端側が先細テーパ状に形成された本体部及びこの本体部の両端部に連設された径方向外側に張り出す鍔部を有する整形ローラと、前記整形ローラの前記本体部の外周面に沿うように、両端側が先太テーパ状に形成され、前記整形ローラの前記本体部との間に僅かな隙間が形成されるように配設された形状保持ローラとを備え、前記帯状フィルムを前記整形ローラの前記本体部と前記形状保持ローラとの間に通し、前記帯状フィルムの両側縁を前記整形ローラの前記鍔部の内面に当接させて、前記本体部に沿わせることによって、前記帯状フィルムをその幅方向に湾曲させるようにしたことを特徴としている。
【0010】
請求項5に係る発明は、請求項3に係る発明のフィルム送出ユニットにおいて、前記フィルム整形部材が、前記整形部における両内隅角部の間隔を調整可能に構成されていることを特徴としている。
【0011】
請求項6に係る発明は、請求項4に係る発明のフィルム送出ユニットにおいて、前記フィルム整形部材は、前記整形ローラにおける両鍔部の間隔を調整可能に構成されていることを特徴としている。
【発明の効果】
【0012】
以上のように、請求項1に係る発明のフィルム送出ユニットは、送出ローラの送出方向下流側に配設されたフィルム整形部材によって、帯状フィルムをその幅方向に湾曲させ、しかも、湾曲させた帯状フィルムの幅方向の中央部を一対の送出ローラによって挟み込むと共に、送出ローラとフィルム整形部材との間に配設されたフィルム形状保持ガイドを湾曲させた帯状フィルムの両側部に沿わせることで、帯状フィルムの湾曲形状を保持するようにしたので、腰のない薄肉の帯状フィルムであっても、擬似的に腰を持たせることができ、しかも、その腰をある程度の区間維持することができるので、このフィルム送出ユニットの下流側に切断ユニット等を設置する場合は、切断ユニット等の部分で薄肉の帯状フィルムにジャムが発生することがなく、安定した状態で切断ユニット等に送出することができる。
【0013】
また、送出した帯状フィルムが下流側に設置される切断ユニット等に到達するまでの間にジャムを発生するのを防止するために、その間に帯状フィルムを沿わせるベルト機構を設置したり、帯状フィルムが切断ユニット部分でジャムを発生するのを防止するために、帯状フィルムの先端を吸引保持して引っ張りながら送出するといった複雑な機構を搭載する必要がなく、構造がシンプルになると共に、装置全体の製造コストを抑えることができる。
【0014】
また、請求項2に係る発明のフィルム送出ユニットは、送出ローラの送出方向上流側にもフィルム整形部材が配設されているので、最初に帯状フィルムをフィルム送出ユニットに通してセッティングする際、そのセッティング作業が容易になるという効果がある。
【0015】
また、一対の内隅角部を有する整形部と、帯状フィルムの湾曲形状を保持する形状保持部とを備えている請求項3に係る発明のフィルム送出ユニットや、整形ローラ及び形状保持ローラを備えた請求項4に係る発明のフィルム送出ユニットは、帯状フィルムのセッティング作業が容易に行え、しかも、廉価に製造することができるという利点がある。
【0016】
特に、請求項5または6に係る発明のフィルム送出ユニットは、整形部における両内隅角部の間隔や整形ローラにおける両鍔部の間隔を調整可能に構成されているので、帯状フィルムの幅が多少変動しても対応することができ、型替え作業が容易になるという効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】この発明にかかるフィルム送出ユニットの一実施形態であるラベル基材送出ユニットが搭載された感熱ラベラーを示す正面図である。
【図2】同上のラベル基材送出ユニットを示す縦断面図である。
【図3】同上のラベル基材送出ユニットを示す左側面図である。
【図4】同上のラベル基材送出ユニットを示す上面図である。
【図5】同上のラベル基材送出ユニットを示す横断面図である。
【図6】(a)は同上のラベル基材送出ユニットを構成している下流側基材整形部材、基材形状保持ガイド及び上流側基材整形部材を組み付けた状態を示す上面図、(b)は同上の状態を示す左側面図、(c)は同上の状態を示す下面図、(d)は同上の状態を示す正面図である。
【図7】(a)は同上の上流側基材整形部材を示す左側面図、(b)は同上の基材形状保持ガイドを示す左側面図、(c)は同上の下流側基材整形部材を示す左側面図である。
【図8】同上の下流側基材整形部材によるラベル形成基材の整形状態を示す拡大下面図である。
【図9】同上の基材形状保持ガイドがラベル形成基材の湾曲状態を保持している様子を示す断面図である。
【図10】他の実施形態であるラベル基材送出ユニットを示す縦断面図である。
【図11】同上のラベル基材送出ユニットを示す左側面図である。
【図12】同上のラベル基材送出ユニットを示す上面図である。
【図13】(a)は同上のラベル基材送出ユニットを構成している下流側基材整形部材、基材形状保持ガイド及び上流側基材整形部材を組み付けた状態を示す左側面図、(b)は同上の状態を示す下面図、(c)は同上の状態を示す正面図である。
【図14】(a)は同上の上流側基材整形部材を示す左側面図、(b)は同上の基材形状保持ガイドを示す左側面図、(c)は同上の下流側基材整形部材を示す左側面図である。
【図15】同上の下流側基材整形部材によるラベル形成基材の整形状態を示す拡大断面図である。
【図16】同上の基材形状保持ガイドがラベル形成基材の湾曲状態を保持している様子を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、実施の形態について図面を参照して説明する。図1は、所定長さの感熱接着性ラベル(以下、ラベルという。)が連続的に繋がった長尺帯状のラベル形成基材Mを順次切断することによって所定長さのラベルを形成しながら、そのラベルを、所定のラベル貼着位置に搬送されてくる、被貼付体としての乾電池Cの胴部外周面に巻き付けるようにして順次貼り付けていく感熱ラベラー1を示している。
【0019】
前記ラベルは、熱収縮性を有するポリエステルフィルム(例えば、ポリエチレンテレフタレートフィルム)によって形成されたラベル基材と、このラベル基材の一面側に順次積層されたプライマ層及び印刷層と、ラベル基材の他面側に順次積層された金属蒸着層、アンカーコート層及び感熱接着剤層とから構成されており、全体として30μm〜80μmの厚みを有している。
【0020】
この感熱ラベラー1は、図1に示すように、ロール状に巻回された長尺のラベル形成基材Mを切断位置に連続的に送出するラベル基材送出ユニット2と、このラベル基材送出ユニット2によって送出されるラベル形成基材Mを搬送しながら、切断位置において所定のカットピッチで順次切断することによってラベルLを形成する切断搬送手段3と、ラベル貼付位置において乾電池Cの胴部外周面にラベルを貼り付けるラベル貼付手段5と、切断搬送手段3によってラベル形成基材Mから切断されたラベルLを受け取ってラベル貼付手段5に引き渡す受渡ドラム4と、ラベル貼付手段5に乾電池Cを供給する電池供給手段6と、ラベル貼付手段5によってラベルLが貼り付けられた乾電池Cを排出する電池排出手段7とから構成されており、ラベル基材送出ユニット2が本発明のフィルム送出ユニットに該当する。以下、ラベル基材送出ユニット2について、詳細に説明する。
【0021】
前記ラベル基材送出ユニット2は、図2〜図6に示すように、対向一対の支持プレート11、11を、連結部材12、13、14を介して、相互に連結してなるフレーム10と、このフレーム10の支持プレート11、11に支持された送出ローラ20と、支持プレート11、11に取り付けられた下流側基材整形部材30と、下端部が基材整形部材30に固定された一対の基材形状保持ガイド40、40と、送出ローラ20を下流側基材整形部材30との間に挟み込むように、基材形状保持ガイド40の上端部に装着された上流側基材整形部材50とから構成されており、下流側基材整形部材30及び上流側基材整形部材50がラベル形成基材Mをその幅方向に湾曲させると共に、基材形状保持ガイド40がラベル形成基材Mの湾曲形状を保持するようになっている。
【0022】
前記送出ローラ20は、ラベル形成基材Mをその幅方向の中央部を挟み込んで送出する駆動ローラ21及び従動ローラ22から構成されており、駆動ローラ21及び従動ローラ22は、幅方向の中央部が大径に形成された挟持部21a、22aを有している。
【0023】
前記駆動ローラ21は、支持プレート11にベアリング24を介して回転可能に支持された回転軸23に固定されており、従動ローラ22は、支持プレート11に固定された固定軸25にベアリング26を介して回転可能に支持されている。なお、回転軸23は、図示しない動力伝達軸を介して、図示しない駆動モータの駆動軸に連結されている。
【0024】
前記駆動ローラ21及び従動ローラ22には、相互に歯合する歯車27、28が取り付けられており、駆動ローラ21の回転駆動力が従動ローラ22に伝達されるようになっている。従って、駆動ローラ21と従動ローラ22とは相互に逆方向に回転するようになっており、駆動ローラ21と従動ローラ22とに挟み込まれたラベル形成基材Mが一方向に送出される。
【0025】
前記下流側基材整形部材30は、図6〜図8に示すように、ラベル形成基材Mの幅方向の両側縁を当接させることによって、ラベル形成基材Mをその幅方向に湾曲させる、ラベル形成基材Mの幅よりも短い間隔を開けて設けられた一対の内隅角部ic、icを有する略コ字状の整形部31と、この整形部31によって湾曲させたラベル形成基材Mの両側部に沿わせることで、ラベル形成基材Mの湾曲形状を保持する形状保持部と、整形部31をフレーム10の支持プレート11、11に固定するために、整形部31にねじ止めされた取付板32とを備えており、前記形状保持部は、整形部31にねじ止めされた前記基材形状保持ガイド40、40の下端部によって構成されている。
【0026】
前記整形部31には、湾曲させたラベル形成基材Mの凹面側に複数のガイド片31aが突設されており、湾曲させたラベル形成基材Mに沿うように、幅方向の中央部のガイド片31aの突出量が最も大きく、幅方向の両側に向かって徐々に突出量が小さくなっている。
【0027】
前記基材形状保持ガイド40は、断面五角形の棒状部材であり、図6〜図9に示すように、下流側基材整形部材30部分では、整形部31によって湾曲させたラベル形成基材Mの両側部に沿うと共に、下流側基材整形部材30と上流側基材整形部材50との間では、これらの下流側基材整形部材30及び上流側基材整形部材50によって湾曲させたラベル形成基材Mの両側部を支持する傾斜したガイド面41を有している。
【0028】
前記上流側基材整形部材50は、図6及び図7に示すように、基本的に下流側基材整形部材30の整形部31と同一の構成要素である一対の内隅角部及び複数のガイド片51aを有し、ラベル形成基材Mの幅方向の両側縁を一対の内隅角部に当接させることによってラベル形成基材Mをその幅方向に湾曲させる整形部51と、この整形部51によって湾曲させたラベル形成基材Mの幅方向の中央部を僅かな空隙を開けた状態で挟み込むように、整形部51にねじ止めされる閉塞板52と、ラベル形成基材Mの湾曲形状を保持する形状保持部とを備えており、前記形状保持部は、整形部51と閉塞部52とによって形成された嵌入空間に挿入された基材形状保持ガイド40、40の上端部によって構成されている。
【0029】
前記基材形状保持ガイド40、40には、その上端側に円筒状のストッパ42、42が取り付けられており、基材形状保持ガイド40、40の上端部に嵌入された上流側基材整形部材50の閉塞部52の下端縁が、基材形状保持ガイド40、40のストッパ42、42に当接することで、上流側基材整形部材50の位置決めが行われるようになっている。
【0030】
前記閉塞板52には、整形部51の幅方向の中央部に形成されたガイド片51aに対応する位置及びそのガイド片51aの両隣りのガイド片51a、51aの内側の位置にそれぞれ突条52aが形成されており、これらのガイド片52a及び整形部51のガイド片51aによって、ラベル形成基材Mを導入する際のラベル形成基材Mの形状が定まるようになっている。
【0031】
以上のように構成された下流側基材整形部材30、基材形状保持ガイド40及び上流側基材整形部材50を、送出ローラ20が支持されたフレーム10に組み付けるには、フレーム10の下方側から、下流側基材整形部材30に下端部がねじ止めされた基材形状保持ガイド40、40を、駆動ローラ21及び従動ローラ22の挟持部21a、22aの外側の空間に差し込んで、下流側基材整形部材30の取付板32をフレーム10の支持プレート11、11にねじ止めした後、フレーム10の上方側から、上流側基材整形部材50を基材形状保持ガイド40、40の上端部に嵌入すればよい。
【0032】
以上のように、このラベル基材送出ユニット2は、送出ローラ20の送出方向の下流側及び上流側にそれぞれ配設された下流側基材整形部材30及び上流側基材整形部材50によって、ラベル形成基材Mをその幅方向に湾曲させ、しかも、湾曲させたラベル形成基材Mの幅方向の中央部を駆動ローラ21の挟持部21a及び従動ローラ22の挟持部22aによって挟み込むと共に、送出ローラ20を挟んで上下に配設された下流側基材整形部材30と上流側基材整形部材50との間に配設された基材形状保持ガイド40、40のガイド面41に湾曲させたラベル形成基材Mの両側部を沿わせることで、ラベル形成基材Mの湾曲形状を保持するようにしたので、腰のない薄肉のラベル形成基材Mであっても、擬似的に腰を持たせることができ、しかも、その腰をある程度の区間維持することができるので、送出ローラ20と下流側基材整形部材30との間や、このラベル基材送出ユニット2の下流側に設置されている切断搬送手段3の部分で薄肉のラベル形成基材Mがジャムを発生することがなく、安定した状態で切断搬送手段3に送出することができる。特に、厚さが30〜50μmの薄肉のラベル形成基材Mの場合に有効である。
【0033】
また、送出したラベル形成基材Mが下流側に設置される切断搬送手段3に到達するまでの間にジャムを発生するのを防止するために、その間にラベル形成基材Mを沿わせるベルト機構を設置したり、ラベル形成基材Mが切断搬送手段3部分でジャムを発生するのを防止するために、ラベル形成基材Mの先端を吸引保持して引っ張りながら送出するといった複雑な機構を搭載する必要がないので、構造がシンプルになると共に、感熱ラベラー1の製造コストを抑えることができる。
【0034】
なお、送出ローラ20によってラベル形成基材Mが引っ張られる、送出ローラ20の上流側でラベル形成基材Mがジャムを発生することはないので、送出ローラ20の送出方向上流側に上流側基材整形部材50を設ける必要はないが、このラベル基材送出ユニット2のように、送出ローラ20の送出方向上流側にも上流側基材整形部材50を配設しておくと、最初にラベル形成基材Mをこのラベル基材送出ユニット2に通してセッティングする際、そのセッティング作業を容易に行うことができる。
【0035】
図10〜図12は、ラベル基材送出ユニットの他の実施形態を示している。このラベル基材送出ユニット2Aも、フレーム及び送出ローラ部分は上述したラベル基材送出ユニット2と同一の構成を有しているので、同一構成要素には同一符号を付してその説明を省略し、構成が異なる下流側基材整形部材60A、上流側基材整形部材60B及び基材形状保持ガイド70について詳細に説明する。
【0036】
前記下流側基材整形部材60A及び上流側基材整形部材60Bは、同一構成を有しており、それぞれが、対向一対の支持板61、61に回転可能に支持された整形ローラ62及び形状保持ローラ66からなる二組のローラ対を備えている。なお、下流側基材整形部材60Aには、対向一対の支持板61、61に取付板60Aaがねじ止めされており、図11に示すように、この取付板60Aaをフレーム10の支持プレート11、11にねじ止めするようになっている。
【0037】
前記整形ローラ62は、同図に示すように、対向一対の支持板61、61にねじ止めされた固定軸63と、この固定軸63に回転可能に外嵌された一対のローラ本体64、64と、固定軸63に嵌挿され、一対のローラ本体64、64を相互に離反させる方向に付勢するコイルばね65aと、支持板61、61と一対のローラ本体64、64との間で固定軸63に外嵌されたスペーサ65bとから構成されており、双方のローラ本体64、64間には僅かな隙間が形成されている。
【0038】
前記ローラ本体64は、支持板61側が先細テーパ状に形成された本体部64aと、この本体部64aの小径端に連設された径方向外側に張り出す鍔部64bとを備えており、双方のローラ本体64が対向する大径端には、コイルばね65を収容する凹部64cが形成されている。
【0039】
前記形状保持ローラ66は、同図に示すように、対向一対の支持板61、61にねじ止めされた固定軸67と、この固定軸67に回転可能に外嵌されたローラ本体68と、支持板61、61とローラ本体68の両端部との間で固定軸67に外嵌されたスペーサ69とから構成されている。
【0040】
前記ローラ本体68は、整形ローラ62の本体部64a、64aにおける大径部に対応する、幅方向中央の小径部68aと、この小径部68aの両端部にそれぞれ連設された、整形ローラ62の本体部64a、64aにおける先細テーパ部に対応する先太テーパ部68bとから構成されており、整形ローラ62の本体部64aとの間に僅かな隙間が形成されるように、整形ローラ62と形状保持ローラ66との設置間隔が設定されている。
【0041】
従って、整形ローラ62及び形状保持ローラ66の間にラベル形成基材Mを通すと、図15に示すように、ラベル形成基材Mの幅方向の両側縁が整形ローラ62のローラ本体64における鍔部64bの内面に当接することによって、ラベル形成基材Mが、ローラ本体64の本体部64a、64aに沿って、その幅方向に湾曲するようになっている。
【0042】
前記基材形状保持ガイド70は、図13及び図14に示すように、両端部を下流側基材整形部材60A及び上流側基材整形部材60Bの対向一対の支持板61、61に形成された連結穴に嵌入することで、下流側基材整形部材60Aと上流側基材整形部材60Bとを連結する連結ロッド71と、この連結ロッド71の長さ方向の中央部に固着された、断面略五角形状のガイド本体72とから構成されており、このガイド本体72は、図16に示すように、下流側基材整形部材60Aと上流側基材整形部材60Bとの間において、これらの下流側基材整形部材60A及び上流側基材整形部材60Bによって湾曲させたラベル形成基材Mの両側部を支持する傾斜したガイド面72aを有している。
【0043】
以上のように構成された下流側基材整形部材60A、基材形状保持ガイド70及び上流側基材整形部材60Bを、送出ローラ20が支持されたフレーム10に組み付けるには、フレーム10の下方側から、連結ロッド71、71の下端部を下流側基材整形部材60Aに取り付けた基材形状保持ガイド70、70を、駆動ローラ21及び従動ローラ22の挟持部21a、22aの外側の空間に差し込んで、下流側基材整形部材60Aの取付板6Aaをフレーム10の支持プレート11、11にねじ止めした後、フレーム10の上方側から、上流側基材整形部材60Bを基材形状保持ガイド70、70の連結ロッド71、71の上端部に嵌入すればよい。
【0044】
以上のように、このラベル基材送出ユニット2Aも、上述したラベル基材送出ユニット2と同様に、送出ローラ20の送出方向の下流側及び上流側にそれぞれ配設された下流側基材整形部材60A及び上流側基材整形部材60Bによって、ラベル形成基材Mをその幅方向に湾曲させ、しかも、湾曲させたラベル形成基材Mの幅方向の中央部を駆動ローラ21の挟持部21a及び従動ローラ22の挟持部22aによって挟み込むと共に、送出ローラ20を挟んで上下に配設された下流側基材整形部材60Aと上流側基材整形部材60Bとの間に位置している基材形状保持ガイド70、70のガイド面72aに湾曲させたラベル形成基材Mの両側部を沿わせることで、ラベル形成基材Mの湾曲形状を保持するようにしたので、腰のない薄肉のラベル形成基材Mであっても、擬似的に腰を持たせることができ、しかも、その腰をある程度の区間維持することができるので、送出ローラ20と下流側基材整形部材60Aとの間や、このラベル基材送出ユニット2の下流側に設置されている切断搬送手段3の部分で薄肉のラベル形成基材Mがジャムを発生することがなく、安定した状態で切断搬送手段3に送出することができる。
【0045】
また、このラベル基材送出ユニット2Aも、上述したラベル基材送出ユニット2と同様に、送出ローラ20の送出方向上流側に上流側基材整形部材60Bを配設しているので、最初にラベル形成基材Mをこのラベル基材送出ユニット2に通してセッティングする際、そのセッティング作業を容易に行うことができる。
【0046】
さらに、このラベル基材送出ユニット2Aでは、上述したように、固定軸63に回転可能に外嵌された一対のローラ本体64、64がコイルばね65aによって相互に離反する方向に付勢されているので、スペーサ65bの厚みを調整することにより、ローラ本体64、64間の隙間、即ち、ローラ本体64、64の鍔部64b、64bの間隔を調整することができるので、ラベル形成基材Mの幅が多少変化しても、対応することができ、型替えが容易になるという効果が得られる。
【0047】
なお、上述した各実施形態では、送出ローラ20の送出方向上流側に上流側基材整形部材50、60Bを配設しているが、これに限定されるものではなく、少なくとも、送出ローラ20の送出方向下流側に下流側基材整形部材30、60Aを設けておけばよい。ただし、上述したように、上流側基材整形部材50、60Bを設けることによって、ラベル形成基材Mの初期セッティング作業が容易になるので、上流側基材整形部材50、60Bを設けておくほうが望ましい。
【0048】
また、上述したラベル基材送出ユニット2では、ラベル形成基材Mの幅方向の両側縁が当接する一対の内隅角部ic、icの間隔が固定された下流側基材整形部材30や上流側基材整形部材50について説明したが、これに限定されるものではなく、上述したラベル基材送出ユニット2Aの整形ローラ62と同様に、整形部31、51を幅方向に2分割し、相互に接近離反可能な構成を採用することによって、ラベル形成基材Mの幅の変化に対応させることも可能である。
【0049】
また、上述した各実施形態では、感熱接着性ラベルを乾電池の胴部外周面に巻き付けるようにして順次貼り付けていく感熱ラベラーに搭載されたラベル基材送出ユニットについて説明したが、これに限定されるものではなく、本発明のフィルム送出ユニットは、帯状フィルムを送出する種々の装置に搭載することができ、特に、腰のない薄肉の帯状フィルムを送出する場合に有効であることは言うまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0050】
長尺帯状のフィルムを順次切断することによって所定長さのラベルを形成しながら、そのラベルを被貼付体に順次貼り付けていくラベラー等に搭載するフィルム送出ユニットとして利用することができる。
【符号の説明】
【0051】
1 感熱ラベラー
2、2A ラベル基材送出ユニット
10 フレーム
11 支持プレート
12、13、14 連結部材
20 送出ローラ
21 駆動ローラ
21a 挟持部
22 従動ローラ
22a 挟持部
23 回転軸
24 ベアリング
25 固定軸
26 ベアリング
27、28 歯車
30 下流側基材整形部材
31 整形部
31a ガイド片
32 取付板
40 基材形状保持ガイド
41 ガイド面
42 ストッパ
50 上流側基材整形部材
51 整形部
51a ガイド片
52 閉塞板
52a 突条
60A 下流側基材整形部材
60Aa 取付板
60B 上流側基材整形部材
61 支持板
62 整形ローラ
63 固定軸
64 ローラ本体
64a 本体部
64b 鍔部
64c 凹部
65a コイルばね
65b スペーサ
66 形状保持ローラ
67 固定軸
68 ローラ本体
68a 小径部
68b 先太テーパ部
69 スペーサ
70 基材形状保持ガイド
71 連結ロッド
72 ガイド本体
72a ガイド面
ic 内隅角部
M ラベル形成基材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
長尺の帯状フィルムを、その幅方向の両側部を除くように、その幅方向の中央部を挟み込んで送出する一対の送出ローラと、
前記帯状フィルムを、その幅方向に湾曲させる、前記送出ローラの送出方向下流側に配設されたフィルム整形部材と、
前記フィルム整形部材によって整形された前記帯状フィルムの両側部に沿うように、前記送出ローラと前記フィルム整形部材との間に配設された、前記帯状フィルムの湾曲状態を保持するフィルム形状保持ガイドと
を備えていることを特徴とするフィルム送出ユニット。
【請求項2】
前記帯状フィルムを、その幅方向に湾曲させるフィルム整形部材が、前記送出ローラの送出方向上流側にも配設されている請求項1に記載のフィルム送出ユニット。
【請求項3】
前記フィルム整形部材は、前記帯状フィルムの両側縁を当接させることによって、前記帯状フィルムをその幅方向に湾曲させる一対の内隅角部を有する整形部と、前記整形部によって湾曲させた前記帯状フィルムの両側部に沿わせることで、前記帯状フィルムの湾曲形状を保持する形状保持部とを備えている請求項1または2に記載のフィルム送出ユニット。
【請求項4】
前記フィルム整形部材は、両端側が先細テーパ状に形成された本体部及びこの本体部の両端部に連設された径方向外側に張り出す鍔部を有する整形ローラと、前記整形ローラの前記本体部の外周面に沿うように、両端側が先太テーパ状に形成され、前記整形ローラの前記本体部との間に僅かな隙間が形成されるように配設された形状保持ローラとを備え、
前記帯状フィルムを前記整形ローラの前記本体部と前記形状保持ローラとの間に通し、前記帯状フィルムの両側縁を前記整形ローラの前記鍔部の内面に当接させて、前記本体部に沿わせることによって、前記帯状フィルムをその幅方向に湾曲させるようになっている請求項1または2に記載のフィルム送出ユニット。
【請求項5】
前記フィルム整形部材は、前記整形部における両内隅角部の間隔を調整可能に構成されている請求項3に記載のフィルム送出ユニット。
【請求項6】
前記フィルム整形部材は、前記整形ローラにおける両鍔部の間隔を調整可能に構成されている請求項4に記載のフィルム送出ユニット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2010−215296(P2010−215296A)
【公開日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−60325(P2009−60325)
【出願日】平成21年3月12日(2009.3.12)
【出願人】(000238005)株式会社フジシールインターナショナル (641)
【Fターム(参考)】