説明

フィン付き熱交換器

【課題】安価で、熱交換能力に優れたフィン付き熱交換器を提供する。
【解決手段】室内ユニット1内の風回路の途中に配置され、多数のフィン21、41に略直角に挿入される多数の伝熱管11を有する前面側熱交換器20と背面側熱交換器40とからなり、フィン21の風上側前縁および風下側後縁のそれぞれを、同じ鈍角をなす直線状の風上前縁22、23と、直線状の風下後縁32、33と、風上前縁22、23と風下後縁32、33のそれぞれを結ぶ前縁曲線部24と後縁曲線部34とで略くの字状に形成し、略くの字状に形成されたフィン21の貫流送風機5に近い側の領域のフィン面積が、貫流送風機5から遠い側の領域と背面側熱交換器40の領域を合わせたフィンの面積より小さくなるように配置したもので、小型の室内ユニットの中の限られた空間により大きなフィン付き熱交換器を収納して、より大きな熱交換能力を発揮することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空気調和機の室内ユニットに搭載されるフィン付き熱交換器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に空気調和機の室内ユニットは、図8の断面図に示すように、筐体61に、前面の吸込み口62aおよび上面の吸込み口62bなど一箇所以上の吸込み口と、下面の吹出し口63など一箇所以上の吹出し口とが設けられ、この筐体61内に貫流送風機65とフィン付き熱交換器64とが収納されている。
【0003】
この従来のフィン付き熱交換器64は、筐体61内の前面側に配置され、上下方向中央部近辺で折り曲げ加工された主たる前面側熱交換器64Aと、筐体61内の背面側に配置された背面側熱交換器64Bと、前面側熱交換器64Aの前面にそれぞれ補助的に取り付けられた補助熱交換器64C、64Dとから構成されている。そして、前面側熱交換器64Aおよび背面側熱交換器64Bにより貫流送風機65を風上側から取り囲むような形態に配置して、限られた空間にできるだけ大きいフィン付き熱交換器を収納している。
【0004】
なお、補助熱交換器64C、64Dは熱交換能力を向上させるために設けているものだが、前面側熱交換器64Aや背面側熱交換器64Bとは別の工程で製造した後、前面側熱交換器64Aや背面側熱交換器64Bに追加接続されて取り付けられるもので、図8では、前面側熱交換器64Aに追加接続されている場合を示している。また、前面側熱交換器64Aの折り曲げ部近辺には、単に前面側熱交換器64Aを折り曲げてフィンがない空間があいてしまうと、殆ど熱交換しないで気流がフィン付き熱交換器を通過してしまうおそれがあるため、このようなことがないように、スペーサ66が配設されている。
【0005】
これに対して、前面側熱交換器64Aの折り曲げ加工を不要にし、このスペーサ66をなくしながら、熱交換しないで気流がフィン付き熱交換器を通過してしまうようなことを防止する構造として、前面側熱交換器64Aを円弧状に形成した構成が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
【0006】
以下に、この特許文献1に開示されたフィン付き熱交換器については、図7及び図8を用いて説明する。図8(a)はフィン付き熱交換器の概略側面図、図8(b)は同熱交換器を収納した空気調和機の室内ユニットの概略側面図で、図8は同熱交換器のフィンと伝熱管の配置を示す側面図である。図9、10において、室内ユニット1の内部では前面側熱交換器71Aのフィン72の形状を貫流送風機73の周面の一部を囲むように円弧状に形成されている。この前面側熱交換器71Aに略直角に挿通された伝熱管74は、複数列設けられており、これらの伝熱管74の風上側列と風下側列とで互いに二等辺三角形を描くように配置されている。したがって結果的に、円弧形状部分の内側に配置されている風下側の伝熱管74の段ピッチAは、円弧形状部分の外側に配置されている風上側列の伝熱管74の段ピッチBよりも小さく形成されている。
【0007】
この構成によれば、スペーサ66が不要になるとともに、製造時のフィン72の材料においてスペーサ66に対応する箇所で廃材を生じないため、フィン72の材料の廃材を少なくでき、また各伝熱管74同士を連通させるヘアピンやリターンベンドの曲げピッチの種類が、A、B、Cの3種類だけで済む利点がある。また、スペーサ66を設けていないため、スペーサ66に対応する箇所分だけフィン72の面積が増加することとなり、熱交換能力が向上する。
【特許文献1】特許第3091830号公報(第3−8頁、第1図)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上記特許文献1の構成のフィン付き熱交換器では、前面側熱交換器71Aが円弧状であり、フィン72の上部の傾斜が緩くなるため、フィン付き熱交換器を蒸発器として用いている場合に、フィン72の上部に凝縮する水が滞留したり、最悪の場合には、凝縮水がフィン72に沿って流れずに、貫流送風機73に水滴が落下して、吹出し口75から水滴が飛散するおそれがある。
【0009】
本発明はこのような従来の課題を解決するものであり、フィン付き熱交換器の形態およと製造方法を改善し、空気調和機の室内ユニットの限られた空間、特に奥行きが狭い空間にできるだけ大きなフィン付き熱交換器を収納し、熱交換能力の大幅な向上をはかるとともに、蒸発器として使用したときフィン表面に凝縮する水をフィンに沿って円滑に流下させることができるフィン付き熱交換器を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の請求項1に係るフィン付き熱交換器は、前面側に吸込み口がおよび下面側に吹出し口がそれぞれ設けられた筐体とこの筐体に収納される貫流送風機とから風回路を構成する空気調和機の室内ユニットに搭載されるフィン付き熱交換器であって、前記吸込み口から貫流送風機までの風回路の途中または貫流送風機から吹出し口までの風回路の途中に配置される前面側熱交換器と背面側熱交換器とから構成され、前記前面側熱交換器および前記背面側熱交換器はそれぞれ所定の間隔で平行に並べられてその間を気体が流動する多数のフィンと、このフィンに略直角に挿入されて内部を冷媒が流動する多数の伝熱管とから構成され、前記前面側熱交換器におけるフィンを、その風上前縁および風下後縁がそれぞれが同じ鈍角をなす2本の直線部並びにこれら2本の直線の間を結ぶ1本の曲線部により、略くの字状に形成するとともに、略くの字状に形成された前記フィンの直線状の風上前縁と直線状の風下後縁とで挟まれた二つの領域のうち、貫流送風機に近い側の領域のフィン面積が、貫流送風機から遠い側の領域と背面側熱交換器の領域を合わせた当該フィンの面積より小さくなるように配置したものである。
【0011】
この構成によって、ドライ運転時に、蒸発器となる貫流送風機に近い側の領域を小さくし、凝縮器となる貫流送風機から遠い側の領域と背面側熱交換器の領域を大きくする形状にすることにより、強烈に冷たい冷風を吹き出すことのない暖かく除湿した快適な風を吹き出すことができる上に、小型化した室内ユニットの中の限られた空間、特に奥行きが狭い空間であっても、より大きなフィン付き熱交換器を収納して、より大きな熱交換能力を発揮することができる。また、前面側熱交換器は後で折り曲げ加工する必要がなく、折り曲げたとき必要になるスペーサも当然要らない。また、このフィン付き熱交換器を蒸発器として使用する場合、前面側熱交換器および背面側熱交換器のそれぞれにおけるフィンに凝縮する水滴は連続した両フィンを伝い滑らかに流下することができる。さらに、前面側熱交換器におけるフィンの上側は風上前縁の直線と風下後縁の直線とに囲まれた鉛直に近い一定の角度で傾斜しているので、蒸発時にフィンの表面に凝縮する水滴が滞留することがない。
【発明の効果】
【0012】
本発明のフィン付き熱交換器は、フィン付き熱交換器の形態を改善し、空気調和機の室内ユニットの限られた空間、特に奥行きが狭い空間にできるだけ大きなフィン付き熱交換器を収納し、そのフィン付き熱交換器に挿入される伝熱管を適切に配置配列してパス数を最適化することによって熱交換能力の大幅な向上を図ると共に、蒸発器として使用したときにフィン表面に凝縮する水をフィンに沿って円滑に流下させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
第1の発明は、前面側に吸込み口および下面側に吹出し口がそれぞれ設けられた筐体とこの筐体に収納される貫流送風機とから風回路を構成する空気調和機の室内ユニットに搭載されるフィン付き熱交換器において、前記吸込み口から貫流送風機までの風回路の途中または貫流送風機から吹出し口までの風回路の途中に配置される前面側熱交換器と背面側熱交換器とから構成され、前記前面側熱交換器および前記背面側熱交換器はそれぞれ所定の間隔で平行に並べられてその間を気体が流動する多数のフィンと、このフィンに略直角に挿入されて内部を冷媒が流動する多数の伝熱管とから構成され、前記前面側熱交換器におけるフィンを、その風上前縁および風下後縁それぞれが同じ鈍角をなす2本の直線部並びにこれら2本の直線の間を結ぶ1本の曲線部により、略くの字状に形成するとともに、略くの字状に形成された前記フィンの直線状の風上前縁と直線状の風下後縁とで挟まれた二つの領域のうち、貫流送風機に近い側の領域の当該フィン面積が、貫流送風機から遠い側の領域と背面側熱交換器の領域を合わせた当該フィンの面積より小さくなるような形状にしたものである。
【0014】
これにより、ドライ運転時に、蒸発器となる貫流送風機に近い側の領域を小さくし、凝縮器となる貫流送風機から遠い側の領域と背面側熱交換器の領域を大きくする形状にすることにより、強烈に冷たい冷風を吹き出すことのない暖かく除湿した快適な風を吹き出すことができる上に、小型化した室内ユニットの中の限られた空間、特に奥行きが狭い空間であっても、より大きなフィン付き熱交換器を収納して、より大きな熱交換能力を発揮することができる。また、前面側熱交換器は後で折り曲げ加工する必要がなく、折り曲げたとき必要になるスペーサも当然要らない。また、このフィン付き熱交換器を蒸発器として使用する場合、前面側熱交換器および背面側熱交換器のそれぞれにおけるフィンに凝縮する水滴は連続した両フィンを伝い滑らかに流下することができる。さらに、前面側熱交換器におけるフィンの上側は風上前縁の直線と風下後縁の直線とに囲まれた鉛直に近い一定の角度で傾斜しているので、蒸発時にフィンの表面に凝縮する水滴が滞留することがない。
【0015】
第2の発明は、特に、第1発明において、貫流送風機に近い側の領域のフィンにおいて、当該フィンの曲線状の風上前縁と曲線状の風下後縁とで挟まれた領域の部分に挿入される伝熱管を気体の主流方向に沿う方向となる列方向に直径の異なる伝熱管を2列または1列で配置し、また、貫流送風機から遠い側の領域および背面側熱交換器の領域の当該フィンにおいて、風上前縁の直線部と風下後縁の直線部とで挟まれた部分に挿入される伝熱管の直径は異なり、気体の主流方向に沿う列方向に3列以上で配置するもので、これにより、貫流送風機から遠い側の領域および背面側熱交換器の領域においては2列および1列構成での通風抵抗よりは若干高いが、高い空気側熱伝達率を得ることができ、また熱交換器全体としての通風抵抗の差異を少なくして風速分布を改善することができるので、同一騒音時の風量を向上させて優れた能力を発揮することができる。
【0016】
第3の発明は、特に、第1〜第2の発明において、前面側熱交換器におけるフィンの直線状の風上前縁と直線状の風下後縁とで挟まれた二つの領域のうち、貫流送風機から遠い側の領域および背面側熱交換器の領域におけるフィンの風上前縁の直線部と風下後縁の直線部とで挟まれた部分に外径が2種類以上の伝熱管を挿入し、外径が大きい伝熱管を気体の流れの最も風上の列に配置するとともに、当該フィン付き熱交換器を凝縮器またはガスクーラーとして使用する際の冷媒出口寄りの伝熱管として、または蒸発器として使用する際の冷媒入口寄りの伝熱管として、1パスを用い、外径が小さい伝熱管については、当該フィン付き熱交換器を凝縮器またはガスクーラーとして使用する際には、外径が大きい伝熱管より冷媒上流側の伝熱管として、または蒸発器として使用する際には、外径が大きい伝熱管より冷媒下流側の伝熱管として、4〜6パスを用いて、それぞれ冷媒を流すように
構成するものである。
【0017】
これにより、例えば3列の中で外径が最も大きい伝熱管を、3列構成の気体の流れの最も風上の列に配置して1パスで用いることにより、管内の熱伝達率を向上させ得るとともに空気と冷媒の温度差に関し対向流的な配置となるので、熱交換能力を増大させることができる。また、小能力で冷媒の循環量が小さい場合には、この領域の冷媒は密度が大きいので冷媒流通抵抗をあまり増大させることがなく、したがって熱交換能力の増大を妨げることはない。一方、当該フィン付き熱交換器を蒸発器として使用する際に冷媒入口寄りの1パスで用いる伝熱管より冷媒下流側の伝熱管の外径を小さくして4〜6パスで用いることにより、高い管内熱伝達率と低い冷媒流通抵抗を両立させて、熱交換能力を増大させることができる。
【0018】
第4の発明は、特に、第1〜第3の発明において、貫流送風機に近い側の領域のフィン部および当該フィンの曲線状の風上前縁と曲線状の風下後縁とで挟まれた領域の部分にそれぞれ挿入される伝熱管を1種類の外径の伝熱管で構成し、2〜4パスを用いて冷媒を流すように構成するもので、これにより、管内の熱伝達率を向上させ得るとともに空気と冷媒の温度差に関し対向流的な配置となるので、熱交換能力を増大させることができる。
【0019】
第5の発明は、特に、第1〜第4の発明において、伝熱管とフィンの風上前縁または風下後縁との間に所定の距離を置くもので、これにより、当該フィン付き熱交換器を蒸発器として用いた場合、フィンの表面に付着し流下する凝縮水が伝熱管に当って、フィンの風上前縁または風下後縁から飛び出してしまうという現象を抑制し、フィン表面に付着した凝縮水が貫流送風機に吸い込まれて筐体の吹き出し口から飛び出すのを防ぐことができる。
【0020】
第6の発明は、特に、第1〜第5の発明において、列方向に隣接する2つの伝熱管の間において、内部を流れる冷媒同士に温度差がある場合、前記2つの伝熱管の列間中央部のフィンに、段方向に概略沿う方向で切り込みを設けるもので、これにより、温度差が最も大きく、空気と冷媒の熱交換ロスが大きく発生する場所では、フィンを通した熱伝導による熱交換ロスを防ぐことができるので、熱交換能力を低下させることがない。
【0021】
第7の発明は、特に、第1〜第6の発明において、伝熱管の内部を流動する冷媒流体として、オゾン破壊係数の小さいHFC冷媒、HC冷媒および二酸化炭素のいずれか1つを用いるもので、これにより、地球環境の保護に貢献することができる。特に、HC冷媒や二酸化炭素は地球温暖化係数が小さい冷媒であるため、より地球環境の保護に貢献することができる。
【0022】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、この実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
【0023】
(実施の形態1)
図1は、本実施の形態1におけるフィン付き熱交換器が搭載される空気調和機の室内ユニット縦断面図である。図1において、空気調和機の室内ユニット1の筐体2には、前面と上面とに吸込み口3a、3bが設けられ、また下面に吹出し口4が設けられ、筐体2内には、貫流送風機5とフィン付き熱交換器10とが収納されている。
フィン付き熱交換器10は、筐体2内の前面側に配置された前面側熱交換器20と、筐体2内の背面側に配置された背面側熱交換器40とから構成されており、またこれら前面側熱交換器20および背面側熱交換器40は、貫流送風機5を風上側から取り囲むように配置されている。
【0024】
各熱交換器20、40は、所定の間隔で平行に並べられてその間を空気が流動する多数のフィン21、41と、これらのフィン21、41に略直角に挿入されて内部を冷媒(冷媒流体)が流動する多数の伝熱管11とを有し、また前面側熱交換器20と背面側熱交換器40とは、そのフィン21、41同士は分離されているが、伝熱管11が連通されることにより一つの熱交換器として作用する。
【0025】
次に、実施の形態におけるフィン付き熱交換器およびその製造方法について、図1および図2〜4を用いて説明する。図2は、実施の形態におけるフィン付き熱交換器の前面側熱交換器20のフィン21と背面側熱交換器40のフィン41の側面図、図3は、その前面側熱交換器20のフィン21の要部拡大側面図である。図4は、図2のフィン付き熱交換器の前面側熱交換器20のフィン21および背面側熱交換器40のフィン41の上端部同士が境界部13aで繋がった状態の1枚のフィン13として連続的にプレス加工してできるフィンを2枚、プレスの送り方向に連続して並べたイメージを示す平面図である。
【0026】
図2および図3に示すように、前面側熱交換器20のフィン21の風上側前縁部および風下側後縁部とのそれぞれは、互いにその延長線の交差部分の角度θ1およびθ2が同じ鈍角をなす2本の直線部状の風上前縁22、23および2本の直線状の風下後縁32、33と、これら2本の風上前縁直線部22、23と2本の風下後縁32、33との間をそれぞれ結ぶ各1本の前縁曲線部24と後縁曲線部34とからなる略くの字形状に形成されている。ここで、風上前縁22と風下後縁32、および風上前縁23と風下後縁33は、それぞれ平行になされている。また、前縁曲線部24、後縁曲線部34の曲線としての形状は、楕円曲線、双曲線、スプラインなどがあるが特に限定するものではなく、前縁曲線部24と後縁曲線部34とは同じ寸法形状にされている。なお、本実施の形態では、図1〜図4に示すように、前縁曲線部24と後縁曲線部34とを円弧形状にするとともに、それらを同じ曲率半径で形成している。また、背面側熱交換器40のフィン41の風上前縁42および風下後縁43は平行な直線で構成されている。
【0027】
略くの字状の前面側熱交換器20のフィン21の直線状の風上前縁と直線状の風下後縁とで挟まれた二つの領域のうち、貫流送風機5に近い側の風上前縁23と風下後縁33との距離Bは、貫流送風機5から遠い側の風上前縁22と風下後縁32との距離Aより短く形成されている。なお、一方の領域とは、略くの字状に形成された熱交換器20の屈曲部より上方部分を示しており、また他方の領域とは、略くの字状に形成された熱交換器20の屈曲部より下方部分を示している。
【0028】
本実施の形態に係るフィン付き熱交換器において、伝熱性能および通風抵抗の観点から推奨される距離Aは27mm〜30mm、距離Bは15mm〜27mmである。
【0029】
また、図2および図4に示すように、背面側熱交換器40のフィン41の風上前縁42と風下後縁43との距離A2は、略くの字状の前面側熱交換器20のフィン21の貫流送風機5から遠い側の領域の風上前縁22と風下後縁32との距離Aに等しくしている。
【0030】
これら前面側熱交換器20のフィン21と背面側熱交換器40のフィン41とは、図4に示すように、上端部同士が境界部13aで繋がった状態の1枚のフィン13として連続的にプレス加工して製造される。なお、前面側熱交換器20のフィン21の貫流送風機5から遠い側の直線状の風上前縁22または風下後縁32がフィン13の送り方向となす角度をα、貫流送風機5に近い側の直線状の風上前縁23または風下後縁33がフィンプレスの送り方向となす角度をβ、フィン1枚のフィンプレス時の送り幅をCとすると、α+β=θ1=θ2、A/sinα=B/sinβ=C、の関係式が成り立つので、既知のθ1=θ2、A、Bから、α、β、Cが一義的に決まる。
【0031】
また、図4に示すように、フィン13(21、41)が金属板から連続プレス加工されて製造される際に、フィン付き熱交換器10の収納の都合上などから、その両端部や前面側熱交換器20と背面側熱交換器40との間となる箇所にはカットして捨てる廃材部分51、52、53ができるが、そのとき生じる廃材はわずかだけであり、他は無駄なく用いられ連続してフィン13が造られる。なお、図3に示すように、各フィン13にはフィンカラー12が丸孔形状にバーリング加工されている。
【0032】
さらに、図4に示すように、前面側熱交換器20のフィン21と背面側熱交換器40のフィン41とが繋がった状態の1枚のフィンとして連続的にプレス加工して製造されたフィン13が多数積層され、フィンカラー12を通して伝熱管11が挿入(挿通)され、その後、フィンカラー12と伝熱管11とを密着させるために、伝熱管11を拡管し、そしてフィン13を前面側熱交換器20と背面側熱交換器40との境界部13aで切断して、前面側熱交換器20と背面側熱交換器40とに分離する。
【0033】
図1および図2に示すように、伝熱管11の直径、伝熱管11における気体(空気)の主流方向(流れ方向)と直交する方向、いわゆる段方向のピッチ、および気体の主流方向と同一方向、いわゆる列方向の数、すなわち列数については、略くの字状の前面側熱交換器20のフィン21の直線状の風上前縁22,23と直線状の風下後縁32,33とで挟まれた二つの領域のうち、貫流送風機5から遠い側の領域と、背面側熱交換器40のフィン41の直線状の風上前縁42および直線状の風下後縁43で挟まれた領域とでは、異なるように形成されている。
【0034】
すなわち、略くの字状の前面側熱交換器20のフィン21の直線状の風上前縁と直線状の風下後縁とで挟まれた二つの領域のうち、貫流送風機5から遠い側の領域、すなわち直線状の風上前縁22と直線状の風下後縁32とで挟まれた領域および背面側熱交換器40のフィン41の直線状の風上前縁42と直線状の風下後縁43とで挟まれた領域のフィン21、41にそれぞれ挿入される伝熱管11としては、4.0mm〜7.0mmの範囲の外径の最も大きい方の伝熱管11a(例えば7mm)と小さい方の伝熱管11b(例えば5mm)、11c(例えば4mm)の2種類以上の外径の伝熱管が用いられて(構成されて)、列方向には3列配置され、また段方向のピッチDについては、13.5mm〜16mmとして形成されている。
【0035】
また、略くの字状の前面側熱交換器20のフィン21の直線状の風上前縁と直線状の風下後縁とで挟まれた二つの領域のうち、貫流送風機5に近い側の領域、すなわち直線状の風上前縁23と直線状の風下後縁33とで挟まれた領域および前面側熱交換器20における前縁曲線部24と後縁曲線部34とで挟まれた領域のフィン21にそれぞれ挿入される伝熱管11としては、伝熱管11d(例えば8mm)の1種類の外径の伝熱管が用いられて(構成されて)、列方向には2列配置され、また段方向のピッチEについては、15mm〜31mmとして形成されている。
【0036】
また、図3に示すように、前面側熱交換器20における前縁曲線部24と後縁曲線部34とで挟まれた領域のフィン21に挿入される伝熱管11dの段方向ピッチEについては、気体の流れの風上側の列ピッチEuのほうが、気体の流れの風下側の列ピッチEdに比べて同等以下(同一またはそれより小さい)となるよう形成されている。
【0037】
ここで、例えば、冷房定格能力が4.0kW程度以下で最適な運転効率となる小能力の空気調和機の室内ユニット1のパス構成を考えた場合に、図1に本実施の形態におけるフィン付き熱交換器10を蒸発器として使用した際の冷媒の流れを示す。そして、図5と図6は、実験結果から得られたパス数と熱交換器効率Φとの特性図であり、図5は貫流送風機5から近い側の領域、すなわち風上前縁22と風下後縁32とで挟まれた領域および前
縁曲線部24と後縁曲線部34とで挟まれた領域における結果を示し、図6は貫流送風機5から遠い側の領域、すなわち直線状の風上前縁22と直線状の風下後縁32とで挟まれた領域および背面側熱交換器40のフィン41の直線状の風上前縁42と直線状の風下後縁43とで挟まれた領域における結果を示す。図5において、前面側熱交換器20の貫流送風機5から近い側の領域に挿入される伝熱管のパス数が2パス〜4パス(図1では例として2パス構成を示す)の範囲で最も熱交換器効率Φが高く、即ち伝熱量Qが大きくなる。また、図6では、貫流送風機5から遠い側の領域に挿入される伝熱管のパス数が4〜6パス(図1では例として4パス構成を示す)の範囲で最も熱交換器効率Φが高く、即ち伝熱量Qが大きくなる。
【0038】
従って略くの字状の前面側熱交換器20のフィン21の直線状の風上前縁と直線状の風下後縁とで挟まれた二つの領域のうち、貫流送風機5から遠い側の領域、すなわち直線状の風上前縁22と直線状の風下後縁32とで挟まれた領域、および背面側熱交換器40のフィン41の直線状の風上前縁42と直線状の風下後縁43とで挟まれた領域のフィン21、41に挿入される4mm〜7.0mmの範囲の2種類以上の外径の伝熱管11のうち、外径が大きい方の6本の伝熱管11a(例えば7mm)を気体の流れの最も風上の列に配置し、蒸発器として使用する際の冷媒入口寄りの伝熱管としてそれぞれ1パスで用いるとともに、外径が小さい方の伝熱管11b(例えば5mm)および11c(例えば4mm)を、伝熱管11aより冷媒下流側になるに連れて順次外径を小さくししながら4パスで用いて、冷媒が流される。
【0039】
この後、冷媒は除湿運転時以外は、全開状態にある除湿運転用の絞り手段80を通過し、略くの字状の前面側熱交換器20のフィン21の貫流送風機5に近い側の領域、すなわち直線状の風上前縁23と直線状の風下後縁33とで挟まれた領域、および前面側熱交換器20の前縁曲線部24と後縁曲線部34とで挟まれた領域のフィン21に、挿入される1種類の外径の伝熱管11dを2パスにて流れ、そして最後に、冷媒は蒸発器として使用する際の冷媒出口寄りの4本の伝熱管11d(例えば8mm)を2パスで流れて、フィン付き熱交換器から流出される。また、蒸発器として使用する際の冷媒出口寄りの伝熱管11d(例えば8mm)は、気体の流れの最も風下の列に配置することにより最適な熱交換器性能を実現するものである。
【0040】
ところが、冷房定格能力が4.0kW程度以上となる高能力で冷媒の流速が速く、伝熱管内での圧力損失が大きくなる場合には、圧力損失を低減させる為に、空気調和機の室内ユニット1のパス構成を考えた場合は、図1に示した小能力時のパス構成に対して、図示はしない蒸発器として使用する際の冷媒入口寄りの伝熱管として2パスで用い、外径が小さい方の伝熱管11b(例えば5mm)、11c(例えば4mm)を、外径が大きい方の伝熱管11a(例えば7mm)より冷媒下流側の伝熱管として5または6パスで用いて冷媒が流され、最後に蒸発器として使用する際の冷媒出口寄りの伝熱管11d(例えば8mm)を利用して3または4パスで流れるように、パス数を全体的に増やす熱交換器の構成にして最適化を図る工夫が必要となる。
【0041】
なお、伝熱管11は外径が4種類のものを用いているが、拡管前の外径でいえば、伝熱管11aは6mm〜7mm、伝熱管11bは約4.5mm〜5mm、伝熱管11cは約3mm〜4.5mm、伝熱管11dは約5mm〜6mmを用いることが推奨される。
【0042】
なお、上記パス構成は一例であり、他の組み合わせで実現しても同じ意味をなすものであり、場合によっては性能向上の為に、貫流送風機5より遠い側の領域における風下の1列目に外径の大きい前記伝熱管11aを配置し、風上には2種類またはそれ以上の外径の小さい伝熱管を配置した構成でもかまわない。
【0043】
一方、図1に基づき、本実施の形態のフィン付き熱交換器10を蒸発器として使用する場合について説明をしたが、本実施の形態のフィン付き熱交換器10を凝縮器またはガスクーラーとして使用する場合には、冷媒の流れ方向が逆になるが、他の構成は蒸発器として使用する場合と同じである。
【0044】
また、本実施の形態のフィン付き熱交換器10を段方向に再熱器と蒸発器に分けて使用し除湿運転を行う場合には、略くの字状の前面側熱交換器20のフィン21の直線状の風上前縁と直線状の風下後縁とで挟まれた二つの領域のうち、貫流送風機5から遠い側の領域、すなわち直線状の風上前縁22と直線状の風下後縁32とで挟まれた領域および背面側熱交換器40を再熱器として用い、略くの字状の前面側熱交換器20のフィン21の直線状の風上前縁と直線状の風下後縁とで挟まれた二つの領域のうち、貫流送風機5に近い側の領域、すなわち直線状の風上前縁23と直線状の風下後縁33とで挟まれた領域および前面側熱交換器20の曲線状の風上前縁24と曲線状の風下側後縁34とで挟まれた領域を蒸発器として用いる。この除湿運転のとき、冷媒は、図1に示すように、再熱器から、適切な絞り量が設定された絞り手段80を経て、蒸発器に流入する。
【0045】
また、図2および図3に示すように、フィン13(21、41)における段方向に隣接する伝熱管11同士間の箇所には、気体の主流方向に開口する複数の切り起こし141、151、161、171、181、191、142、152、162、172、182、192が設けられるとともに、これら各切り起こし141、151、161、171、181、191、142、152、162、172、182、192のフィンカラー12寄りの箇所、すなわち伝熱管11寄りの箇所に設けられた切り起こし141、151、161、171、181、191、142、152、162、172、182、192の立ち上がり部141a、151a、161a、142a、152aは、伝熱管11の円周に概略沿う方向で形成されている。
【0046】
ここで、図3に示すように、各切り起こし141、151、161、171、181、191の列方向の幅Ws1に対する、列方向に隣接する切り起こし141、151、161、171、181、191間のフィン部分における幅(列方向に隣接するフィン21の平板部分の幅)Wb1の比Wb1/Ws1および切り起こし142、152の列方向の幅Ws2に対する、列方向に隣接する切り起こし142、152、162、172、182、192間のフィン部分の幅(列方向に隣接するフィン21、41の平板部分の幅)Wb2の比Wb2/Ws2が、約2〜約2.5となるようにされている。
【0047】
また、フィン21、41の厚み方向に沿う切り起こし141、151、161、171、181,191、142、152、162、172、182、192の高さは、隣接するフィン13(21、41)同士のピッチの1/4〜8/8となるようにしている。さらに、図1におけるフィン付き熱交換器10の領域G,H,Fは風速の異なる領域を示したものであり、各々の風速はG>H>Fの関係が成り立っている。
【0048】
よって、高い熱交換性能を得るべく、切り起こし141、151、161、171、181、191の高さを、例えば図1における貫流送風機5に接近していて最も高風速となる領域Gについては、隣接するフィン13(21、41)同士のピッチの1/4〜5/8とし、風速が次第に遅くなる領域H、Fについては隣接するフィン13(21、41)同士のピッチの領域Hは5/8〜7/8、領域Fは7/8〜8/8として風速がより均一になるようにされている。
【0049】
また、図2、図3に示すように、伝熱管11a、11b、11c、11d、とフィン21、41の風上前縁22,23,42および前縁曲線部24、または風下後縁32、33、43および後縁曲線部34との最短距離Lt、および切り起こし141、151,16
1、171、181、191、142、152、162、172、182、192とフィン21、41の風上前縁22、23、42および前縁曲線部24、または風下後縁32、33、43および後縁曲線部34との最短距離Lsは、1.0mm以上となるようにされている。
【0050】
また、図2および図3に示すように、列方向に隣接する2つの伝熱管11同士間においては、内部を流れる冷媒同士に温度差がある場合に、これら2つの伝熱管11(フィンカラー12)の列間中央部のフィン部分に、概略段方向に沿う方向で切り込み17が設けられている。更に、フィン付き熱交換器10を組上げた後の工程で、前面側熱交換器20と背面側熱交換器40各々のフィン21、41の前縁側から刃を挿入して完全に伝熱管11同士の熱伝導をなくすように切断可能となるように、外径2mm〜4.5mmの予備穴111a、111b、111cが設けられている。
【0051】
また、空気調和機を除湿運転し、室内ユニット1のフィン付き熱交換器10を段方向に再熱器と蒸発器とに分けて使用する場合には、図1に示す前面側熱交換器20におけるフィン21の前縁曲線部24と後縁曲線部34から下側部分を蒸発器として用いるとともに他の部分を再熱器として用いるが、この場合におけるフィン21における再熱器の領域と蒸発器の領域との間の箇所に、切断しない部分18をごくわずか残してほぼ完全に切断する切り込み19が設けられている。
【0052】
さらに、フィン付き熱交換器10の伝熱管11の内部を流れる(流動する)冷媒としては、HFC冷媒、HC冷媒および二酸化炭素のいずれか一つが用いられる。
【0053】
これら前面側熱交換器20および背面側熱交換器40のフィン21、41は、上述したように、それぞれ上端部同士が境界部13aで繋がった状態の1枚のフィン13として連続的にプレス加工して製造され、そして、このフィン13を多数積層させた後、フィンカラー12に伝熱管11を挿入(挿通)して拡管し、前面側熱交換器20と前記背面側熱交換器40とがフィン13(21、41)で繋がった状態で製造し、次に前面側熱交換器20と背面側熱交換器40とをそのフィン21、41同士の境界部13aで切断して、前面側熱交換器20と背面側熱交換器40とに分離して製造が行われる。
【0054】
上述したように、この前面側熱交換器20のフィン21の風上前縁部および風下後縁部は、それぞれが同じ鈍角をなす2本の直線部(風上前縁22,23、又は風下後縁32,33)、およびこれら2本の直線の間を結ぶ1本の曲線(前縁曲線部24、又は後縁曲線部34)からなる略くの字状に形成され、略くの字状の前面側熱交換器20のフィン21の直線状の風上前縁と直線状の風下後縁とで挟まれた二つの領域のうち、貫流送風機5に近い側の一方の領域の風上前縁23と風下後縁33との距離を、貫流送風機5から遠い側の他方の領域の風上前縁22と風下後縁32との距離より短くすることにより、限られた空間、特に奥行きが狭い空間により大きなフィン付き熱交換器10を収納して、より大きな熱交換能力を発揮することができる。
【0055】
また、前面側熱交換器20は後で折り曲げ加工する必要がなく、折り曲げたとき必要になるスペーサも当然要らない。また、このフィン付き熱交換器10を蒸発器として使用する場合、前面側熱交換器20および背面側熱交換器40のフィン21、41に凝縮する水滴は連続したそれぞれのフィン21、41を伝い滑らかに流下する。さらに、前面側熱交換器20のフィン21の上側は、それぞれ直線状の風上前縁22と風下後縁32とに囲まれた鉛直に近い一定の角度で傾斜しているので、蒸発時にフィン21の表面に凝縮する水滴が滞留することがない。
【0056】
また、略くの字状の前面側熱交換器20のフィン21の直線状の風上前縁22,23と
直線状の風下後縁32,33とで挟まれた二つの領域のうち、貫流送風機5から遠い側の領域の風上前縁22と風下後縁32との距離が27mm〜30mmと薄型であると同時に、貫流送風機5に近い側の領域の風上前縁23と風下後縁33との距離をそれよりさらに薄い15mm〜27mmとしたので、フィン付き熱交換器10を含む風回路に必要な奥行き幅がかなり小さくなり、したがって室内ユニット1を薄型化することができる。
【0057】
また、前面側熱交換器20のフィン21の前縁曲線部24および後縁曲線部34のそれぞれの曲線を同じ形状としたことにより、フィン13を連続プレス加工する際、フィン13の無駄な廃材部分51、52、53をあまりつくることなく、効率的に生産することができるとともに、
フィン13のプレス金型の加工およびメンテナンスが容易になる。
【0058】
また、背面側熱交換器40の風上前縁42および風下後縁43を平行な直線にすることにより、限られた空間により大きなフィン付き熱交換器10を収納して、より大きな熱交換能力を発揮することができる。
【0059】
また、フィン付き熱交換器10のフィン13は、背面側熱交換器40のフィン41の風上前縁42と風下後縁43との距離A2を、略くの字状の前面側熱交換器20のフィン21の貫流送風機5から遠い側の領域の風上前縁23と風下後縁33との距離Aに等しくしたので、前面側熱交換器20のフィン21の上端部と背面側熱交換器41のフィン41の上端部とが繋がった状態の1枚のフィンとすることができ、したがって高い生産性で連続プレス加工を行うことができる。
【0060】
また、前面側熱交換器20のフィン21の貫流送風機5から遠い側の領域、すなわち風上前縁22と風下後縁32とで挟まれた領域、および背面側熱交換器40の風上側前縁42の直線部と風下側後縁43の直線部とで挟まれた領域については、外径が4mm〜7.0mmの範囲の伝熱管11a、11b、11cを3列配置するとともに段ピッチを13.5mm〜16mmとしたことにより、通風抵抗をあまり大きくすることなく高い空気側熱伝達率を得ることができるとともに、同一騒音時の風量を多くして、高い熱交換能力を発揮させることができる。
【0061】
また、フィン付き熱交換器10を凝縮器若しくはガスクーラーとして使用する際の冷媒出口寄りの伝熱管11または蒸発器として使用する際の冷媒入口寄りの伝熱管11として、4.0mm〜7.0mmの範囲の外径にされた伝熱管11a、11b、11cのうち、外径が大きい方の伝熱管11aを3列構成の気体の流れの最も風上の列に配置するとともに1パスで用いることにより、管内の熱伝達率を向上させ得るとともに空気と冷媒との温度差に関し対向流的な配置にすることができるので、熱交換能力を増大させることができる。また、この領域の冷媒は密度が大きいので冷媒流通抵抗はあまり増大させることがなく、熱交換能力の増大を妨げることはない。
【0062】
さらに、外径が4.0mm〜7.0mmの範囲で、フィン付き熱交換器10を凝縮器若しくはガスクーラーとして使用する際の冷媒出口寄りの伝熱管11aまたは蒸発器として使用する際の冷媒入口寄りの伝熱管11aより、外径が小さい方の伝熱管11bを、フィン付き熱交換器10を凝縮器若しくはガスクーラーとして使用する際に、低能力の低循環量となる場合は、冷媒出口寄りの1パスで用いる伝熱管11aより冷媒上流側の伝熱管として4パスで用い、高能力の高循環量となる場合は、冷媒出口寄りの2パスで、伝熱管11aより冷媒上流側の伝熱管として5または6パスで用い、高い管内熱伝達率と低い冷媒流通抵抗を両立させて、熱交換能力を増大させることができる。
【0063】
また、前面側熱交換器20におけるフィン21の貫流送風機5に近い側の領域、すなわ
ち風上前縁23と風下後縁33とで挟まれた領域、および前面側熱交換器20の前縁曲線部24と後縁曲線部34とで挟まれた領域については、外径の大きくなる2種以上(例えば9mm)の伝熱管で構成するよりも、外径が8mmの伝熱管11dを2列および1列に配置するとともに段方向ピッチを15mm〜31mmとしたことにより、2列および1列構成での通風抵抗としてを落として、高い空気側熱伝達率を得ることができ、また、伝熱管の種類を減らすことによりフィン付き熱交換器10全体としての通風抵抗の差異を少なくして風速分布を改善することができるので、同一騒音時の風量を向上させて優れた熱交換能力を発揮させることができる。
【0064】
また、前面側熱交換器20におけるフィン21の前縁曲線部24と後縁曲線部34とで挟まれた領域の部分に挿入される伝熱管11の段方向ピッチについては、気体の流れの風上側の列の方が、気体の流れの風下側の列に比べて同等以下となるようしたので、伝熱管11の段方向での本数を可能な限り多くしてこの領域での通風抵抗を高くすることができ、したがってフィン付き熱交換器10の風速分布をより均一化することができるので、より大きな熱交換能力を発揮することができる。
【0065】
また、フィン付き熱交換器10を凝縮器若しくはガスクーラーとして使用する際の冷媒入口寄りの伝熱管11d、または蒸発器として使用する際の冷媒出口寄りの伝熱管11dの外径を7mmで且つ他のいずれの伝熱管11a、11b、11c、11dと同等以上の径にするとともに、2列および1列構成の気体の流れの風下側の列に配置して2パス〜4パスで用いるので、空気と冷媒との温度差に関し対向流的な配置による性能向上が得られるとともに、管内の熱伝達率は若干低下するが、冷媒流通抵抗を大幅に低下させることができ、したがって熱交換能力を大幅に増大させることができる。
【0066】
さらに、フィン付き熱交換器10を凝縮器若しくはガスクーラーとして使用する際の冷媒入口寄りの伝熱管11dまたは蒸発器として使用する際の冷媒出口寄りの伝熱管11dより、外径が小さい方の伝熱管11dを、フィン付き熱交換器10を凝縮器若しくはガスクーラーとして使用する際に、小能力の低循環量となる場合は冷媒出口寄りの最も大きい外径の2パスで用いる伝熱管11dより冷媒下流側の伝熱管として、またはフィン付き熱交換器10を蒸発器として使用する際に、冷媒出口寄りの外径の2パスで用いる伝熱管11dより冷媒上流側の伝熱管として2パスで用い、高能力の高循環量となる場合は、フィン付き熱交換器10を蒸発器として使用する際に、冷媒出口寄りの伝熱管11dより冷媒上流側の伝熱管として、図示しない2パス〜4パスで用いて構成することにより、管内熱伝達率を向上させて熱交換能力を増大させることができる。
【0067】
また、伝熱管11a、11b、11c、11d、とフィン21、41の風上前縁22、23、42および前縁曲線部24、または風下後縁32、33、43および後縁曲線部34との距離を、最短でも1.0mmとしたので、フィン付き熱交換器10を蒸発器として用いた場合、フィン21、41の表面に付着し流下する凝縮水が伝熱管11a、11b、11c、11dに当って、フィン21,41の風上前縁22、23、42および前縁曲線部24、または風下後縁32、33、43および後縁曲線部34から飛び出してしまうという現象を抑制することができる。
【0068】
また、フィン付き熱交換器10を段方向で再熱器と蒸発器に分けて使用して除湿運転を行う場合、略くの字状の前面側熱交換器20におけるフィン21の貫流送風機5から遠い側の領域、すなわち風上前縁22と風下後縁32とで挟まれた領域および背面側熱交換器40を再熱器として用い、略くの字状の前面側熱交換器20におけるフィン21の貫流送風機5に近い側の領域、すなわち風上前縁23と風下後縁33とで挟まれた領域、および前面側熱交換器20におけるフィン21の前縁曲線部24と後縁曲線部34とに挟まれた領域を蒸発器として用いることにより、再熱器と蒸発器の熱負荷を適切にバランスさせて
良好な除湿運転を行うことができる。
【0069】
また、再熱器は蒸発器の鉛直方向上側に配置しているので、蒸発器の領域のフィンに結露する凝縮水が、再熱器のフィンの表面に当って再蒸発して、部屋を加湿してしまうのを防止することができる。
【0070】
また、段方向に隣接する伝熱管11の間のフィン21、41の表面に気体の主流方向に開口して複数設けられた切り起こし141、151、161、142、152、の温度境界層前縁効果により、高い空気側熱伝達率が得られるとともに、これら切り起こし141、151、161、142、152の伝熱管11寄りの立ち上がり部141a、151a、161a、142a、152aを伝熱管11の円周に概略沿う方向で形成したので、気流を伝熱管11の後流部に誘導することができ、有効伝熱面積が増加するので、熱交換性能を向上させることができる。さらに、切り起こし141、151、161、171、181、191、142、152、162、172、182、192の列方向の幅Ws1、Ws2に対する列方向に隣接する切り起こし同士間の幅Wb1、Wb2の比Wb1/Ws1、Wb2/Ws2を、約2〜約2.5としたことにより、従来の比が約3の場合より熱交換能力を向上させることができる。
【0071】
また、各切り起こし141、151、161、171、181、191、142、152、162、172、182、192の高さを、隣接するフィン13(21、41)同士のピッチの1/4〜8/8にしたことにより、同一騒音時の風量を増加させることができ、より大きな熱交換能力を発揮することができる。
【0072】
また、各切り起こし141、151、161、171、181、191、142、152、162、172、182、192の高さを、フィン付き熱交換器10が貫流送風機5に接近する風速が大きい領域Gについては、隣接するフィン13(21、41)同士のピッチの1/4〜5/8として通風抵抗を比較的大きくするとともに、他の領域H、Fについては隣接するフィン13(21、41)同士のピッチの5/8〜8/8として通風抵抗をそれより小さくしたことにより、フィン付き熱交換器10の風速分布をより均一化することができ、したがってより大きな熱交換能力を発揮することができる。
【0073】
また、各切り起こし141、151、161、142、152とフィン21、41の風上前縁22、23、24、42または風下後縁32、33、34、43との距離を、最短でも1.0mmとしたので、フィン付き熱交換器10を蒸発器として用いた場合、フィン21、41の表面に付着した凝縮水が切り起こし141、151、161、171、181、191、142、152、162、172、182、192に沿って流下しながら、フィン21の風上前縁22、23、24、42または風下後縁32、33、34、43から飛び出してしまうという現象を抑制することができる。
【0074】
また、列方向に隣接する2つの伝熱管11の間において、内部を流れる流体に温度差がある場合、2つの伝熱管11の列間中央部のフィン21、41に段方向に概略沿う方向に切り込み17を設けたことにより、フィン21、41を通した熱伝導による熱交換ロスを防ぐことができるので、熱交換能力を低下させることがない。
【0075】
また、フィン付き熱交換器10を段方向で再熱器と蒸発器とに分けて使用し除湿運転を行う場合、再熱器の領域と蒸発器の領域との間のフィン21、41に、切断しない部分18をごくわずか残してほぼ完全に切断する切り込み19を設けたことにより、フィン21、41の熱伝導による大幅な能力の低下を防ぐことができる。さらに、フィン付き熱交換器10全体を蒸発器として使用する場合、フィン21、41の表面に凝縮する水を切り込み19に滞留させることなく、フィン21、41のごくわずかだが繋がっている部分18
を通って円滑に流下させることができる。
【0076】
また、伝熱管11の内部を流動する冷媒流体として、オゾン破壊係数の小さいHFC冷媒、HC冷媒および二酸化炭素のいずれか1つを用いることにより、地球環境の保護に貢献することができる。特に、HC冷媒や二酸化炭素は地球温暖化係数が小さい冷媒であるため、より地球環境の保護に貢献することができる。
【0077】
また、フィン付き熱交換器10の製造方法は、筐体2内の前面側に配置されている前面側熱交換器20と、筐体2内の背面側に配置されている背面側熱交換器40とから構成されたフィン付き熱交換器10を製造する製造方法であって、前面側熱交換器20におけるフィン21の上端部と背面側熱交換器40におけるフィン41の上端部とが境界部で繋がった状態の1枚のフィン13として連続的にプレス加工し、そしてこれらフィン13を多数積層して伝熱管11を挿入、拡管した後、フィン13を前面側熱交換器20と背面側熱交換器40との境界部で切断して、前面側熱交換器20と背面側熱交換器40に分離するもので、前面側熱交換器20と背面側熱交換器40とを個別に製造する場合に比べて、効率的にフィン付き熱交換器10を製造することができる。また、1枚のフィン13に挿入する伝熱管11a、11b、11c、11dの直径の異なるものや列数の異なるものや列方向ピッチや段方向ピッチの異なるものを混在させたり、1枚のフィン13に形成される切り起こし141、151、161、171、181、191、142、152、162、172、182、192については、その形状や高さが異なるものを混在させることができる。
【0078】
なお、上記実施の形態においては、吸込み口3a,3bが前面や上面などに設けている場合について説明したが、これに限るものではない。また、吹出し口4としては下面側に設けられている場合について説明したが、これに限るものではなく、前面などに設けられているものにも上記構成を適用することができる。
【0079】
また、上記実施の形態においては、前面側熱交換器20および背面側熱交換器40が吸込み口3a,3bから貫流送風機5までの風回路の途中に配設された場合について説明したが、これに限るものではなく、例えば貫流送風機5から吹出し口4までの風回路の途中に配設された熱交換器にも上記構成を適用することができる。さらに、熱交換器が室内ユニット内に3つ以上設けられるものや、1つしか設けられないものにも適用可能である。
【0080】
以上のように、本実施の形態によれば、空気調和機の室内ユニット1に搭載される前面側熱交換器20と背面側熱交換器40とから構成されるフィン付き熱交換器10の形態およびその製造方法を改善し、前面側熱交換器20のフィンの風上前縁部および風下後縁部のそれぞれは、同じ鈍角をなす2本の直線状の風上前縁22,23と風下後縁32,33およびそれぞれの2本の直線の間を結ぶ1本の曲線状の風上曲線部24と後縁曲線部34とから略くの字状に形成され、この略くの字状の前面側熱交換器20におけるフィン21の直線状の風上前縁22,23と直線状の風下後縁32,33とで挟まれた二つの領域のうち、貫流送風機5に近い側の領域の前縁23と風下後縁33との距離Bを、貫流送風機5から遠い側の領域の風上前縁22と風下後縁32との距離Aより短くし、前面側熱交換器20におけるフィン21の前縁曲線部24および後縁曲線部34のそれぞれの曲線を同じ形状とし、背面側熱交換器40におけるフィン41の風上前縁42および風下後縁43が平行な直線で構成され、背面側熱交換器40におけるフィン41の風上前縁42と風下後縁43との距離A2を、略くの字状の前面側熱交換器20におけるフィン21の直線状の風上前縁22,23と直線状の風下後縁32,33とで挟まれた二つの領域のうち、貫流送風機5から遠い側の領域の風上前縁22と風下後縁32との距離Aに等しくすることにより、空気調和機の室内ユニット1の限られた空間、特に奥行きが狭い空間にできるだけ大きなフィン付き熱交換器10を収納し、熱交換能力の大幅な向上を図るとともに、蒸
発器として使用した際に、フィン表面に凝縮する水を当該フィンに沿って円滑に流下させることができる。また、フィン付き熱交換器10の製造方法によると、前面側熱交換器20におけるフィン21と背面側熱交換器40におけるフィン41とが繋がった1枚のフィン13として連続プレス加工するので、あまりフィン13の材料から廃材を出さず、効率的に安価に製造することができる。
【0081】
(実施の形態2)
図7は本発明の実施の形態2におけるフィン付き熱交換器の部分拡大図である。なお、上記実施の形態1におけるフィン付き熱交換器と同一部分については同一符号を付してその説明を省略する。
【0082】
本実施の形態は、図7に示すように、略くの字状の前面側熱交換器20のフィン21の直線状の風上前縁22,23と直線状の風下後縁32,33とで挟まれた二つの領域のうち、貫流送風機5から近い側の領域、すなわち風上前縁23と風下後縁33とで挟まれた領域において、前面側熱交換器20のフィン21の風下後縁33と貫流送風機5との距離I(例えば10mm)以上に保つもので、万が一、凝縮水が滞留しても還流送風機5に吸い込まれることがない。
【0083】
よって、上述した本実施の形態に係るフィン付き熱交換器によると、凝縮水が貫流送風機5に吸い込まれて、図1に示す吹き出し口4から水滴が滴下することのない快適な室内ユニットを提供することが可能となる。
【産業上の利用可能性】
【0084】
以上のように、本発明に係るフィン付き熱交換器は、小型化した室内ユニットのなかの限られた空間、特に奥行きが狭い空間であっても、より大きなフィン付き熱交換器を収納して、より大きな熱交換能力を発揮することができるもので、空気調和機の室内ユニットに限らず、伝熱管内を流れる冷媒と外部を流れる空気との間で熱交換を行う機能部品を有する各種機器に広く適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0085】
【図1】本発明の実施の形態1に係るフィン付き熱交換器を収納した空気調和機の室内ユニットの縦断面図
【図2】同フィン付き熱交換器のフィンの側面図
【図3】同フィンの要部拡大側面図
【図4】同フィンを2枚プレスの送り方向に連続して並べたイメージを示す平面図
【図5】同フィン付き熱交換器を用いた実験結果から得られたパス数と熱交換器効率Φの関係を示した図
【図6】同フィン付き熱交換器を用いた実験結果から得られたパス数と熱交換器効率Φの関係を示した図
【図7】本発明の実施の形態2におけるフィン付き熱交換器のフィンの部分拡大図
【図8】従来のフィン付き熱交換器を収納した空気調和機の室内ユニットの断面図
【図9】(a)他の従来のフィン付き熱交換器のフィンの概略側面図、(b)(a)に示すフィンを用いたフィン付き熱交換器を収納した空気調和機の室内ユニットの概略断面図
【図10】同フィンにおける伝熱管の配置ピッチの関係を示す図
【符号の説明】
【0086】
1 室内ユニット
2 筐体
3a、3b 吸込み口
4 吹出し口
5 貫流送風機
10 フィン付き熱交換器
11、11a、11b、11c、11d 伝熱管
12 フィンカラー
13、21、41 フィン
13a 境界部
17、19 切り込み
18 切断しない部分
20 前面側熱交換器
22、23、42 風上前縁
32、33、43 風下後縁
24 前縁曲線部
34 後縁曲線部
40 背面側熱交換器
111a、111b、111c 予備穴
141、151、161、171、181、191 切り起こし
142、152、162、172、182、192 切り起こし
141a、151a、161a、142a、152a 立ち上がり部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
前面側に吸込み口および下面側に吹出し口がそれぞれ設けられた筐体とこの筐体に収納される貫流送風機とから風回路を構成する空気調和機の室内ユニットに搭載されるフィン付き熱交換器であって、前記吸込み口から貫流送風機までの風回路の途中または貫流送風機から吹出し口までの風回路の途中に配置される前面側熱交換器と背面側熱交換器とから構成され、前記前面側熱交換器および前記背面側熱交換器はそれぞれ所定の間隔で平行に並べられてその間を気体が流動する多数のフィンと、このフィンに略直角に挿入されて内部を冷媒が流動する多数の伝熱管とから構成され、前記前面側熱交換器におけるフィンを、その風上前縁および風下後縁それぞれが同じ鈍角をなす2本の直線部並びにこれら2本の直線の間を結ぶ1本の曲線部により、略くの字状に形成するとともに、略くの字状に形成された前記フィンの直線状の風上前縁と直線状の風下後縁とで挟まれた二つの領域のうち、貫流送風機に近い側の領域の当該フィン面積が、貫流送風機から遠い側の領域と背面側熱交換器の領域を合わせた当該フィンの面積より小さくなることを特徴とするフィン付き熱交換器。
【請求項2】
前面側熱交換器のフィンの曲線状の風上前縁と曲線状の風下後縁とで挟まれた領域を含む貫流送風機に近い側の領域のフィンにおいて、気体の主流方向に沿う方向となる列方向に直径の異なる伝熱管を2列または1列で配置し、貫流送風機から遠い側の領域および背面側熱交換器の領域のフィンにおいて、挿入される伝熱管の直径は、前記貫流送風機に近い側の領域に挿入される伝熱管の直径とは異なり、気体の主流方向に沿う列方向に3列以上で配置したことを特徴とする請求項1に記載のフィン付き熱交換器。
【請求項3】
前面側熱交換器におけるフィンの直線状の風上前縁と直線状の風下後縁とで挟まれた二つの領域のうち、貫流送風機から遠い側の領域および背面側熱交換器の領域におけるフィンの風上前縁の直線部と風下後縁の直線部とで挟まれた部分に挿入される伝熱管を直径の大きい方の外径の伝熱管を、気体の流れの最も風上の列に配置するとともに、当該フィン付き熱交換器を凝縮器またはガスクーラーとして使用する際の冷媒出口寄りの伝熱管として、または蒸発器として使用する際の冷媒入口寄りの伝熱管として、1パスを用い、小さい方の外径の伝熱管については、当該フィン付き熱交換器を凝縮器またはガスクーラーとして使用する際には、大きい方の外径の前記伝熱管より冷媒上流側の伝熱管として、または蒸発器として使用する際には、大きい方の外径の伝熱管より冷媒下流側の伝熱管として、4〜6パスを用いて、それぞれ冷媒を流すようにしたことを特徴とする請求項1又は2に記載のフィン付き熱交換器。
【請求項4】
前記貫流送風機に近い側の領域のフィン部および当該フィンの曲線状の風上前縁と曲線状の風下後縁とで挟まれた領域の部分にそれぞれ挿入される伝熱管を1種類の外径の伝熱管で構成し、2〜4パスを用いて冷媒を流すようにしたことを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載のフィン付き熱交換器。
【請求項5】
伝熱管とフィンの風上前縁または風下後縁との間に所定の距離を置いたことを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載のフィン付き熱交換器。
【請求項6】
列方向に隣接する2つの伝熱管の間において、内部を流れる冷媒同士に温度差がある場合、前記2つの伝熱管の列間中央部のフィンに、段方向に概略沿う方向で切り込みを設けたことを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載のフィン付き熱交換器。
【請求項7】
伝熱管の内部を流動する冷媒として、HFC冷媒、HC冷媒および二酸化炭素のいずれか一つを用いたことを特徴とする請求項1から6のいずれか一項に記載のフィン付き熱交換器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2008−121950(P2008−121950A)
【公開日】平成20年5月29日(2008.5.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−304752(P2006−304752)
【出願日】平成18年11月10日(2006.11.10)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】