説明

フィードフォワードコントローラの補正方法、フィードフォワードコントローラ、ディスク記憶装置、及びディスク記憶装置のヘッド位置決め制御方法

【課題】機械的共振起因の外乱により生じる磁気ヘッドの位置決め誤差を効果的に低減する。
【解決手段】VCMコントローラ18が、機械的共振起因の外乱周波数の近傍において、フィードフォワード制御のゲイン特性及び位相特性が磁気ヘッド4の位置決め誤差を最小にするゲイン特性及び位相特性と略一致するように、フィードフォワード制御のゲイン特性及び位相特性を補正する。これにより、機械的共振起因の外乱により生じる磁気ヘッド4の位置決め誤差を効果的に低減することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ディスク記憶装置におけるヘッドの位置決め制御に用いられるフィードフォワードコントローラの補正方法、同補正方法により補正されるフィードフォワードコントローラ、同補正方法により補正されるフィードフォワードコントローラを有するディスク記憶装置、及び同補正方法を利用したディスク記憶装置のヘッド位置決め制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
磁気ディスク記憶装置や光ディスク記憶装置等のディスク記憶装置においては、目標トラックにヘッドを正確に位置決め制御することが記録密度向上のために極めて重要である。この位置決め制御においては、機械的共振に由来する外乱(例えば、ディスクフラッタやサスペンション振動等)がヘッドの位置決め精度に影響を及ぼすことが知られている。このような背景から、磁気ヘッドの位置誤差信号に基づいたフィードバック制御に加えて、センサを用いて機械的共振に由来する外乱と相関がある信号を得て(例えば、機械的共振に起因する外乱がディスクフラッタの場合、ディスクの上下振動に磁気ヘッドが追従する時のサスペンションの撓みをサスペンション上に取り付けた圧電素子で検出する等)、その信号を用いてフィードフォワード制御を行うことにより、位置誤差信号における機械的共振起因の外乱の影響を低減させる手法が提案されている。
【0003】
フィードフォワード制御によって位置誤差信号における機械的共振起因の外乱の影響を低減させるためには、機械的共振に起因する外乱と相関のある信号を測定し、その信号を用いてフィードフォワード制御をすることで位置誤差信号に含まれる機械的共振起因の外乱に起因する位置誤差成分を打ち消すようにフィードフォワードコントローラの制御特性を設計すればよい。ところが、センサ出力にはノイズが乗ってしまうため、ノイズが乗った機械的共振に起因する外乱と相関のある信号を用いてフィードフォワード制御をする場合、ノイズが外乱として働き、位置決め精度を逆に悪化させてしまう要因となることがある。従って上記手法を利用する場合には、機械的共振起因の外乱に相当する周波数では上記制御特性に従って動作し、それ以外の周波数ではセンサが検出するノイズによる位置決め精度の悪化を防ぐようにゲインを下げたフィードフォワードコントローラを設計する。また一般に、ディスク記憶装置にフィードフォワードコントローラを実装する際には、メモリの空き容量や計算時間等を考慮してフィードフォワードコントローラの次数を低くしなければならないため、上記のフィードフォワードコントローラを低次のコントローラで実現することが求められる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−217244号公報
【特許文献2】特開2006−107708号公報
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】G.Ferretti, et al., “Modeling and Experimental Analysis of the Vibrations in Hard Disk Drives”, IEEE Trans. Magn., Vol.7, No.2, Jun., 2002.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
機械的共振に由来する外乱としては、ディスクフラッタやサスペンション振動などが知られている。以下では、発明が解決しようとする課題を、機械的共振に由来する外乱としてディスクフラッタを例にして説明をする。ディスクフラッタとは、ディスクが回転することによって生じる風に起因する、ディスク平面に対し垂直方向のディスク自体の振動のことである。
【0007】
ディスクの振動量を検出する圧電素子や容量センサ等の振動検出手段には感度等の特性にばらつきが存在することがある。振動検出手段の特性にばらつきが存在する場合、ディスクフラッタによって生じるヘッドの位置決め誤差を最小にするフィードフォワードコントローラの制御特性が変化する。一方、ディスク記憶装置によっては、ディスクフラッタ自体の周波数やゲインが異なることがあり、この場合、フィードフォワード制御によって抑圧すべきディスクフラッタの周波数やゲインが変化する。従って上記手法では、ディスクフラッタの周波数の近傍において、設計されたフィードフォワードコントローラのゲイン及び位相とヘッドの位置決め誤差が最小になるフィードフォワードコントローラのゲイン及び位相とが一致しないことがある。このため上記手法によれば、ディスクフラッタにより生じる位置決め誤差を効果的に低減することができず、フィードフォワード制御による効果を十分に得ることができない可能性がある。
【0008】
開示の技術は、上記に鑑みてなされたものであり、ディスクフラッタなどの機械的共振に由来する外乱により生じるヘッドの位置決め誤差を効果的に低減可能なフィードフォワードコントローラの補正方法、同補正方法により補正されるフィードフォワードコントローラ、同補正方法により補正されるフィードフォワードコントローラを有するディスク記憶装置、及び同補正方法を利用したディスク記憶装置のヘッド位置決め制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本願の開示するフィードフォワードコントローラの補正方法、フィードフォワードコントローラ、ディスク記憶装置、及びディスク記憶装置のヘッド位置決め制御方法は、センサによって機械的共振に起因する外乱と相関のある信号を得、その信号のスペクトラムから機械的共振起因の外乱の周波数を機械的共振起因の外乱周波数として特定し、特定された機械的共振起因の外乱周波数の近傍において、フィードフォワード制御のゲイン特性及び位相特性がヘッドの位置決め誤差を最小にするゲイン特性及び位相特性と略一致するように、フィードフォワード制御のゲイン特性及び位相特性を補正する。
【発明の効果】
【0010】
本願の開示するフィードフォワードコントローラの補正方法、フィードフォワードコントローラ、ディスク記憶装置、及びディスク記憶装置のヘッド位置決め制御方法によれば、機械的共振に由来する外乱により生じるヘッドの位置決め誤差を効果的に低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】図1は、実施例の磁気ディスク記憶装置の概略構成を示す平面図である。
【図2】図2は、図1に示す磁気ディスク記憶装置におけるアクチュエータの構成を示す斜視図である。
【図3】図3は、磁気ディスク記憶装置の制御系の全体構成を示すブロック図である。
【図4】図4は、磁気ヘッドの位置決め制御に関係する制御系の構成を示すブロック図である。
【図5】図5は、実施例の振動センサの配置位置を示す模式図である。
【図6】図6(a)、(b)は、図5に示す振動センサの配置位置の変形例を示す模式図である。
【図7】図7(a)、(b)は、磁気ディスクが同位相で振動するモードと磁気ディスクが逆位相で振動するモードを示す模式図である。
【図8】図8は、ディスクフラッタにより磁気ディスクが湾曲することにより生じる磁気ヘッドの位置決め誤差を説明するための模式図である。
【図9】図9は、磁気ディスクの上下振動をレーザドップラー振動計で測定した結果を示す図である。
【図10】図10は、磁気ディスクの振動をサスペンション上に搭載した振動センサで測定した結果を示す図である。
【図11】図11は、磁気ヘッドの位置信号に応じた位置誤差信号のパワーススペクトラムを示す図である。
【図12】図12は、磁気ヘッドの位置決め制御系の構成を示す機能ブロック図である。
【図13】図13(a)、(b)は、フィードフォワードコントローラのゲイン特性及び位相特性の一例を示す図である。
【図14】図14は、4つの2次フィルタの制御特性の一例を示す図である。
【図15】図15(a)、(b)は、分母の減衰係数の変化に伴う2次フィルタのゲイン特性及び位相特性の変化を示す図である。
【図16】図16(a)、(b)は、分子の減衰係数の変化に伴う2次フィルタのゲイン特性及び位相特性の変化を示す図である。
【図17】図17は、フィードフォワードコントローラの更新処理の流れを示すフローチャート図である。
【図18】図18は、図17に示す減衰係数の更新処理の流れを示すフローチャート図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本願の開示するフィードフォワードコントローラの補正方法、フィードフォワードコントローラ、ディスク記憶装置、及びディスク記憶装置のヘッド位置決め制御方法の実施例を図面に基づいて詳細に説明する。なお本実施例により本発明が限定されるものではない。
【0013】
〔機構〕
始めに、図1,2を参照して、実施例の磁気ディスク記憶装置の機構を説明する。なお図1は実施例の磁気ディスク記憶装置の概略構成を示す平面図、図2は図1に示す磁気ディスク記憶装置におけるアクチュエータの構成を示す斜視図である。
【0014】
実施例の磁気ディスク記憶装置1は、図1に示すように、記憶媒体である磁気ディスク2,スピンドルモータ(SPindle Motor:SPM)3,磁気ヘッド4,及びアクチュエータ5を含む。スピンドルモータ3は、磁気ディスク2を回転駆動する。磁気ヘッド4は、磁気ディスク2に情報を書き込む又は磁気ディスク2に記憶された情報を読み取る。アクチュエータ5は、回動動作によって磁気ヘッド4を磁気ディスク2の径方向に移動する。
【0015】
アクチュエータ5は、図2に示すように、ボイスコイルモータ(Voice Coil Motor:VCM)6に接続されたアーム部材7a,7b,7cと、アーム部材の端部に設けられたサスペンション8a,8b,8c,8dを有し、各サスペンションの先端部には磁気ヘッド4a,4b,4c,4dが搭載されている。アクチュエータ5は、ボイスコイルモータ6によって回転駆動される。
【0016】
本実施例では、アーム部材7bの端部に2つのサスペンション8a,8bが設けられている。また図5を参照して後述するが、サスペンション8a,8cにはディスクフラッタを検出する振動センサが配設されている。また詳しくは後述するが、本実施例では、4つの磁気ヘッド4a〜4dのうち、磁気ヘッド4a,4bのペアが第1の磁気ディスクの両面にそれぞれ対向配置され、磁気ヘッド4c,4dのペアが第2の磁気ディスクの両面にそれぞれ対向配置されている。
【0017】
〔制御系〕
次に、図3,図4を参照して、磁気ディスク記憶装置1の制御系の構成を説明する。なお図3は磁気ディスク記憶装置1の制御系の全体構成を示すブロック図、図4は磁気ヘッド2の位置決め制御に関係する制御系の構成を示すブロック図である。
【0018】
磁気ディスク記憶装置1の制御系は、図3に示すように、プリアンプ11,リードチャネル回路(Read Channel Circuit:RDC)12,ハードディスクコントローラ(Hard Disc Controller:HDC)13,サーボコントローラ14,VCMドライバ15,及びSPMドライバ16を含む。プリアンプ11は、磁気ヘッド4によって磁気ディスク2から読み取られた信号(再生信号)を増幅する。
【0019】
リードチャネル回路12は、プリアンプ11により増幅された再生信号からサーボ情報とデータ信号を生成し、生成されたサーボ情報及びデータ信号をそれぞれサーボコントローラ14及びハードディスクコントローラ13に出力する。ハードディスクコントローラ13は、リードチャネル回路12により生成されたデータ信号に所定の処理を施してホスト装置17に出力する。
【0020】
サーボコントローラ14は、VCMコントローラ18及びSPMコントローラ19を用いて、リードチャネル回路12により生成されたサーボ情報に基づいてVCMドライバ15及びSPMドライバ16に対する制御信号を生成する。VCMドライバ15は、VCMコントローラ18からの制御信号に従ってボイスコイルモータ6を介してアクチュエータ5の動作を制御する。SPMドライバ16は、SPMコントローラ19からの制御信号に従ってスピンドルモータ3を介して磁気ディスク2の回転動作を制御する。
【0021】
この制御系では、サーボコントローラ14に含まれるVCMコントローラ18が磁気ヘッド4a〜4dの位置決め制御を実行する。VCMコントローラ18は、図4に示すように、振動センサ21a,21bと、FB(フィードバック)コントローラ22と、FF(フィードフォワード)コントローラ23と、スイッチSW1〜SW3を含む。
【0022】
本実施例では、4つの磁気ヘッド4a〜4dのうち、磁気ヘッド4a,4bのペアが、図5に示すように、磁気ディスク2aの両面にそれぞれ対向配置され、磁気ヘッド4c,4dのペアが磁気ディスク2bの両面にそれぞれ対向配置されている。そこで振動センサ21aは、図4及び図5に示すように、磁気ディスク2aを挟む上側のサスペンション8aに搭載され、磁気ディスク2aの振動量を検出する。また振動センサ21bは、磁気ディスク2bを挟む上側のサスペンション8cに搭載され、磁気ディスク2bの振動量を検出する。
【0023】
FBコントローラ22は、磁気ヘッド4a〜4dから得られる位置信号に応じた磁気ヘッド4a〜4dの位置誤差信号に基づいてサーボ情報を生成し、生成したサーボ情報を用いてVCMドライバ15に対する制御信号を生成する。この制御信号により制御されるボイスコイルモータ6の回動動作により、各サスペンション8a〜8d上の磁気ヘッド4a〜4dが駆動される。このようにして、位置決め誤差を無くして各磁気ヘッドが対向する磁気ディスクの所定のトラック上に精度よく位置決めされる。
【0024】
FFコントローラ23は、FFコントローラ23aとFFコントローラ23bを有し、振動センサ21a,21bの検出信号に基づいてFBコントローラ22が出力する制御信号に対しフィードフォワード制御量を付加する。これにより、磁気ディスク2a,2bのディスクフラッタによる位置決め誤差を加味した制御信号がボイスコイルモータ6に印加されるようになり、磁気ディスク2a,2bのディスクフラッタの影響を加味した磁気ヘッド2a,2bの位置決め制御が可能となる。また磁気ディスク2a及び磁気ディスク2bに対してそれぞれFFコントローラ23a及びFFコントローラ23bを備えることにより、磁気ディスク2a,2b間におけるディスクフラッタの周波数やゲインの差異に対応して制御性能を高めることができる。
【0025】
スイッチSW1は、磁気ヘッド4a〜4dから得られる位置信号に応じた磁気ヘッド4a〜4dの位置誤差信号を選択してFBコントローラ22に出力する機能を有する。スイッチSW2は、振動センサ21a,21bの検出信号を選択してFFコントローラ23に出力する機能を有する。
【0026】
スイッチSW3は、磁気ヘッド4a又は磁気ヘッド4cの位置誤差信号が選択された際にはFFコントローラ23からの出力信号をそのまま通過させ、磁気ヘッド4b又は磁気ヘッド4dの位置誤差信号が選択された際にはFFコントローラ23の出力信号の符号を反転させる。これは、磁気ディスクに対する磁気ヘッドの位置関係が逆となった場合、ディスクフラッタによる磁気ヘッドの位置決め制御に対する影響が逆方向となるためである。
【0027】
本実施例では、図5に示すように、4つのサスペンション8a〜8dのうち、サスペンション8aとサスペンション8cに振動センサ21a,21bを配設したが、図6(a)に示すように各サスペンションに振動センサ21を配設してもよいし、図6(b)に示すように1つのサスペンションにのみ振動センサ21を配設するようにしてもよい。
【0028】
同じ磁気ディスクを挟むサスペンションに取り付けられた振動センサは、センサ特性やセンサにノイズとして乗ってしまうアームやサスペンションの振動特性が異なるだけで、ディスクフラッタ自体については符号が逆であるが同じものを検出する。従って図5や図6(a)に示すような振動センサの配置によれば、振動センサの個数を減らすことができる。ところが図6(b)に示す構成は以下のような問題がある。
【0029】
すなわちディスク2a,2bの振動モードには、ディスクフラッタの周波数に応じて、図7(a)に示すように磁気ディスク2a,2bが同位相で振動するモードと、図7(b)に示すように磁気ディスク2a,2bが逆位相で振動するモードがある。このため、図6(b)に示す構成においてディスクフラッタを検出していない磁気ディスク(図6(b)に示す例では磁気ディスク2b)を挟む磁気ヘッド(図6(b)に示す例では磁気ヘッド4c,4d)の位置決め制御を行う際、磁気ディスク2a,2bが逆位相で振動するモードが存在する場合には、そのモードにおいてFFコントローラ23の位相を180度反転させなければならない。
【0030】
従って図6(b)に示すように振動センサを配置した場合には、対象とする全てのディスクフラッタを抑圧するようなFFコントローラ23を設計することは難しい。但し、磁気ディスク2a,2bが逆位相で振動するモードを抑圧できないことによる多少の制御性能の低下を許容するのであれば、センサやセンサ出力を増幅するための増幅器の個数が少なくて済むので、コスト削減の効果が得られる。
【0031】
〔磁気ヘッドの位置決め制御〕
次に、磁気ヘッド4a〜4dの位置決め制御を行う際のVCMコントローラ18の動作を説明する。
【0032】
磁気ヘッド4aの位置決め制御を行う際には、スイッチSW1が、磁気ヘッド4aから得られる位置信号に応じた位置誤差信号を選択してFBコントローラ22に出力する。スイッチSW2は、振動センサ21aの検出信号を選択してFFコントローラ23に出力する。FFコントローラ23では、磁気ディスク4a用のFFコントローラ23aが動作する。スイッチSW3は、磁気ヘッド4aが磁気ディスク2aの上側の磁気ヘッドであるため、FFコントローラ23aの出力をそのまま通過させる。
【0033】
磁気ヘッド4bの位置決め制御を行う際には、スイッチSW1が、磁気ヘッド4bから得られる位置信号に応じた位置誤差信号を選択してFBコントローラ22に出力する。スイッチSW2は、磁気ディスク2b用の振動センサ21aの検出信号を選択してFFコントローラ23に出力する。FFコントローラ23では、磁気ディスク2a用のFFコントローラ23aが選択される。スイッチSW3は、磁気ヘッド4bが磁気ディスク2aの下側の磁気ヘッドであるため、FFコントローラ23aの出力の符号を反転させて出力する。
【0034】
磁気ヘッド4cの位置決め制御を行う際には、スイッチSW1が、磁気ヘッド4cから得られる位置信号に応じた位置誤差信号を選択してFBコントローラ22に出力する。スイッチSW2は、磁気ディスク2b用の振動センサ21bの検出信号を選択してFFコントローラ23に出力する。FFコントローラ23では、磁気ディスク2b用のFFコントローラ23bが選択される。スイッチSW3は、磁気ヘッド4cが磁気ディスク2bの上側の磁気ヘッドであるため、FFコントローラ23bの出力をそのまま通過させる。
【0035】
磁気ヘッド4dの位置決め制御を行う際には、スイッチSW1が、磁気ヘッド4dから得られる位置信号に応じた位置誤差信号を選択してFBコントローラ22に出力する。スイッチSW2は、磁気ディスク2b用の振動センサ21bの検出信号を選択してFFコントローラ23に出力する。FFコントローラ23では、磁気ディスク2b用のFFコントローラ23bが選択される。スイッチSW3は、磁気ヘッド4dが磁気ディスク2bの下側の磁気ヘッドであるため、FFコントローラ23bの出力の符号を反転させて出力する。
【0036】
〔磁気ヘッドの位置決め制御に対するディスクフラッタの影響〕
次に、図8を参照して、磁気ヘッド4a〜4dの位置決め制御に対するディスクフラッタの影響を説明する。なお図8における破線はディスクフラッタにより磁気ディスク2が湾曲される前の状態を示し、実線はディスクフラッタにより磁気ディスク2が湾曲された後の状態を示す。
【0037】
いま図8に示すように、磁気ディスク2が湾曲する前に磁気ヘッド4の中心線(図8中、垂直な破線)が磁気ディスク2のトラック中心(図中、白丸位置)に一致しているとする。この状態において磁気ディスク2がディスクフラッタにより湾曲すると、磁気ヘッド4の中心線(図中、斜めに傾いた実線)に対し磁気ディスク2のトラック中心(図中、黒丸位置)が磁気ディスク2の径方向外側にずれて位置決め誤差が生じる。
【0038】
図9は、磁気ディスク2の上下振動をレーザドップラー振動計で測定した結果、図10は、磁気ディスク2の振動をサスペンション上に搭載した振動センサで測定した結果、図11は、位置誤差信号のパワーススペクトラムを示す。図9〜11の全てのパワースペクトラムにおいてディスクフラッタに起因するピーク(図中黒丸位置)が存在し、磁気ディスク2の上下振動が位置誤差信号に現れていること、及びサスペンション上に搭載したセンサによりディスクフラッタを検出できることがわかる。
【0039】
〔ディスクフラッタの影響を低減するためのFFコントローラの設計方法〕
次に、磁気ヘッドの位置決め制御に対するディスクフラッタの影響を低減するためのFFコントローラ23の設計方法を説明する。
【0040】
図12は、磁気ヘッドの位置決め制御系の構成を示す機能ブロック図である。図12中、ブロックP(s)(s:ラプラス演算子)はボイスコイルモータ6の制御特性、ブロックC(s)はFBコントローラ22の制御特性、ブロックC(s)はFFコントローラ23の制御特性、ブロックS(s)は振動センサ21a,21bのセンサ特性、ブロックH(s)はディスクフラッタが磁気ヘッドの位置誤差に変換される現象を表す伝達関数を示す。
【0041】
FFコントローラ23は、位置誤差信号中に含まれるディスクフラッタに起因する位置誤差成分を打ち消せばよいので、理論的には以下の数式1に示す制御特性を有すればよい。しかしながら、数式1中に伝達関数H(s)等の未知の要素が含まれることやFFコントローラ23に対する実装時の次数制限等があるため、数式1に示す制御特性を有するFFコントローラ3を実装することは難しい。
【数1】

【0042】
そこで本実施形態では、以下の数式2で表されるようなm個の2次フィルタを直列に接続したものをFFコントローラ23とし、ディスクフラッタの周波数において数式2が示す特性と同じ特性を有するように数式2に含まれる固有角周波数ω1i,ω2iと減衰係数ζ1i,ζ2iを設定する。なお固有角周波数ω1i,ω2iは、ゲインのピーク周波数と位相が−90°となる周波数に関するパラメータを示し、フィードフォワード制御の位相特性を調整するものである。また減衰係数ζ1i,ζ2iは、ゲインのピークの高さと幅、位相の遅れ方に関するパラメータであり、フィードフォワード制御のゲイン特性を調整するものである。またパラメータmはディスクフラッタのモード数を示し、数式2はディスクフラッタのモード毎の成分の周波数のピーク1つを1つの2次フィルタで構成したものである。また以下では、パラメータmは低周波数域にあるモードから順に番号を振ることにする。
【数2】

【0043】
図13(a),(b)はFFコントローラ23のゲイン及び位相の特性の一例を示す。図13(a),(b)に示すFFコントローラ23は、ディスクフラッタの周波数においてゲイン及び位相がピークを有する制御特性を有し、数式2中の1つの2次フィルタ(図14に示す特性曲線1つ)で1つのピークを形成している。図14は4つの2次フィルタのゲイン特性を示し、この4つの2次フィルタの制御特性を合成したものが図13(a),(b)に示すFFコントローラ23のゲイン及び位相の特性となる。
【0044】
一般に、数式2に示す2次フィルタの分母の減衰係数ζ1iを大きくすると2次フィルタのゲイン及び位相は図15(a),(b)に示すように変化し、数式2に示す2次フィルタの分子の減衰係数ζ2iを大きくすると2次フィルタのゲイン及び位相は図16(a),(b)に示すように変化する。また固有角周波数ω1i,ω2iが変化した場合、ゲイン及び位相の周波数特性は図15(a),(b)及び図16(a),(b)の左右方向へ平行移動する。従って2次フィルタを設計する際はこの点を考慮して2次フィルタのゲインのピークがディスクフラッタの周波数に合致するように2次フィルタを設計する。なお2次フィルタの特性は図15(a),(b)に示す特性と図16(a),(b)に示す特性を合成したものとなり、実装する際には双一次変換を用いて数式2に示す特性を離散化した上で実装する。このような特性を持たせることにより、センサが拾ってしまうノイズやヘッドによって異なることがあるアクチュエータの振動特性の影響を小さくできる。
【0045】
〔FFコントローラの更新方法〕
図12に示す制御系の構成要素のうち、センサ特性S(s)や抑圧したいディスクフラッタの周波数はドライブ(磁気ディスク2a,2b)によって異なることがある。そしてセンサ特性が変化した場合、数式1に示すFFコントローラ23の特性が変化し、またディスクフラッタの周波数が変化した場合には、抑圧したいディスクフラッタの周波数において、設計時のFFコントローラ23のゲイン及び位相の特性が数式1に示すゲイン及び位相の特性と異なってしまう。そこで本実施例では、以下に示す更新処理によってセンサ特性S(s)やディスクフラッタの周波数の変化に合わせてFFコントローラ23の制御特性C(s)を更新することにより、抑圧したいディスクフラッタの周波数の近傍において常に、FFコントローラ23のゲイン及び位相の特性がディスクフラッタによって生じる位置決め誤差が最小となるFFコントローラ23のゲイン及び位相の特性と一致させるようにする。以下、図17に示すフローチャートを参照して、FFコントローラ23の更新処理の流れを説明する。
【0046】
図17に示すフローチャートは、磁気ディスク2a,2bが回転を開始したタイミングで開始となり、所定の制御周期毎に繰り返し実行される。
【0047】
ステップS1の処理では、VCMコントローラ18が、ディスクフラッタのモード数mを計数するためのプログラムカウンタiの値を1に設定する。これにより、ステップS1の処理は完了し、更新処理はステップS2の処理に進む。
【0048】
ステップS2の処理では、VCMコントローラ18が、磁気ディスク2が回転している状態で位置誤差信号又は振動センサ21a,21bの出力信号を測定し、測定信号に対し高速フーリエ変換処理を施すことにより磁気ディスク2の振動のパワースペクトラムを算出する。そしてVCMコントローラ18は、予め記憶されている設計時におけるディスクフラッタ周波数ωmiの近傍でパワースペクトル中のピークを探索し、探索されたピークの周波数を特定することによりディスクフラッタ周波数ωfiを算出する。これにより、ステップS2の処理は完了し、更新処理はステップS3の処理に進む。
【0049】
ステップS3の処理では、VCMコントローラ18が、予め記憶されている設計時におけるディスクフラッタ周波数ωmiとステップS2の処理により算出されたディスクフラッタ周波数ωfiを比較する。これにより、ステップS3の処理は完了し、更新処理はステップS4の処理に進む。
【0050】
ステップS4の処理では、VCMコントローラ18が、ステップS3の比較処理の結果に基づいて、ディスクフラッタ周波数ωmiとディスクフラッタ周波数ωfiとが同じであるか否かを判別する。判別の結果、ディスクフラッタ周波数ωmiとディスクフラッタ周波数ωfiが同じでない場合、VCMコントローラ18は更新処理をステップS5の処理に進める。一方、ディスクフラッタ周波数ωmiとディスクフラッタ周波数ωfiが同じである場合には、VCMコントローラ18は更新処理をステップS6の処理に進める。
【0051】
ステップS5の処理では、VCMコントローラ18が、ディスクフラッタ周波数ωmiとディスクフラッタ周波数ωfiの差分値Δωを算出し、固有角周波数ω1i,ω2(i+1)の値を算出された差分値Δωだけ更新する。具体的には、FFコントローラ23のゲインのi番目のピーク位置はパラメータω1i又はパラメータω1iとパラメータω2(i+1)によって決定されるので、VCMコントローラ18は、このパラメータの値を差分値Δωだけ変更する。この動作により、FFコントローラ23のゲインのピーク位置とディスクフラッタ周波数とを一致させることができる。これにより、ステップS5の処理は完了し、更新処理はステップS6の処理に進む。
【0052】
ステップS6の処理では、VCMコントローラ18が、プログラムカウンタiの値を1増数する。これにより、ステップS6の処理は完了し、更新処理はステップS7の処理に進む。
【0053】
ステップS7の処理では、VCMコントローラ18が、プログラムカウンタiの値がモード数m未満であるか否かを判別する。判別の結果、プログラムカウンタiの値がモードm以上である場合、VCMコントローラ18は更新処理をステップS8の処理に進める。一方、プログラムカウンタiの値がモード数m未満である場合には、VCMコントローラ18は更新処理をステップS2の処理に戻す。
【0054】
ステップS8の処理では、VCMコントローラ18が、2次フィルタの減衰係数ζ1i,ζ2iの値を更新する(減衰係数更新処理)。なおこの減衰係数更新処理の流れについては図18に示すフローチャートを参照して後述する。これにより、ステップS8の処理は完了し、一連の更新処理は終了する。
【0055】
〔減衰係数の更新方法〕
FFコントローラ23のゲインのピーク位置を動かしただけではFFコントローラ23のゲイン及び位相の特性がディスクフラッタによって生じる位置決め誤差が最小となるゲイン及び位相の特性と一致するとは限らない。このためこの更新処理において、VCMコントローラ18は、ステップS8の処理において減衰係数を更新することによりFFコントローラ23のゲインと位相の特性がディスクフラッタによって生じる位置決め誤差が最小となるゲイン及び位相の特性と一致するようにする。以下、上記ステップS8の減衰更新処理について詳しく説明する。
【0056】
フィードフォワード制御による磁気ヘッド2の移動量Δyは、図12に示す機能ブロック図から明らかなように、FFコントローラ23の出力をvとすると以下の数式3のように表される。またFFコントローラ23の出力vは以下の数式4のように表される。
【数3】

【数4】

【0057】
従って、最小二乗法を用いて以下の数式5に示す評価関数Vが最小になる減衰係数を算出することにより、位置決め誤差が最小になるFFコントローラ23の制御特性を算出することができる。なお数式5中、パラメータeは位置誤差信号、パラメータdは振動センサ21a又は振動センサ21bの出力値を示す。
【数5】

【0058】
そこで本実施例では、FFコントローラ23の制御特性C(s)の分母の定数項を除いた係数ベクトルをD、分子の係数ベクトルをNとして、以下の数式6に示すベクトルkを定義する。これにより、数式5は以下の数式7のように表される。但し、数式6中、パラメータTは転置行列を示す。
【数6】

【数7】

【0059】
上記数式7に示すパラメータVを以下の数式8で表されるベクトルζにより偏微分すると以下に示す数式9が得られる。なお数式9中のパラメータR(s)は以下に示す数式10により表され、離散時間フィルタとして予め算出しておくことができる。
【数8】

【数9】

【数10】

【0060】
従って以下の数式11に従ってベクトルζの値を更新し、上記数式9を用いて評価関数Vが所定値α以下になるベクトルζを算出することにより、ディスクフラッタによって生じる位置決め誤差が最小となる減衰係数ζを算出することができる。
【数11】

【0061】
なお更新パラメータεを算出する際には、ベクトルk中のラプラス演算子sは以下の数式12に示すTustin変換により変換した後に計算に用いるものとする。数式12中、パラメータTはサンプリング周期を示す。
【数12】

【0062】
以上の処理の流れを図18に示す。図18に示すフローチャートでは始めに、VCMコントローラ18は、振動センサ21a又は振動センサ21bとFFコントローラ23の出力信号を測定する(ステップS11)。次に、VCMコントローラ18は、数式6を用いて振動センサ21a又は振動センサ21bの2mサンプル前の出力信号とFFコントローラ23の出力信号からベクトルkを算出し(ステップS12)、ベクトルkの算出結果を利用して数式8により変数ベクトルζを算出する(ステップS13)。次に、VCMコントローラ18は、数式9を用いて更新パラメータεの値を算出し(ステップS14)、算出された更新パラメータεを用いて数式11により変数ベクトルζの値を更新する(ステップS15)。そしてVCMコントローラ18は、更新された変数ベクトルζを用いて評価関数Vが所定値α以下であるか否かを判別し(ステップS16)、評価関数Vが所定値α以下でない場合、ステップS11の処理に戻る。一方、評価関数Vが所定値α以下である場合には、VCMコントローラ18は変数ベクトルζに対応する減衰係数ζ1i,ζ2iを用いてFFコントローラ23の制御特性を更新する。
【0063】
以上の説明から明らかなように、本実施例の磁気ディスク記憶装置1では、VCMコントローラ18が、 ディスクフラッタ周波数の近傍において、フィードフォワード制御のゲイン特性及び位相特性が磁気ヘッド4a〜4dの位置決め誤差を最小にするゲイン特性及び位相特性と略一致するように、フィードフォワード制御のゲイン特性及び位相特性を補正する。このような構成によれば、感度等の特性が振動センサ21毎に異なる場合や、ドライブによってディスクフラッタの周波数やゲインが異なる場合であっても、ディスクフラッタにより生じる磁気ヘッド4a〜4dの位置決め誤差を効果的に低減することができる。
【0064】
なお本実施例ではディスクフラッタの周波数を測定することにより減衰係数ζ1i,ζ2iのみを更新したが、ディスクフラッタの周波数を測定することなく固有角周波数ω1i,ω2iと減衰係数ζ1i,ζ2iの両方を更新するようにしてもよい。この場合、数式8に示すベクトルζを以下の数式13に示すベクトルηに置き換え、数式7に示すパラメータVを数式13に示すベクトルηにより偏微分することにより以下に示す数式14を得る。そして以下の数式15に従ってベクトルηの値を更新し、上記数式14を用いて評価関数Vが所定値α以下になるベクトルηを算出することにより、ディスクフラッタによって生じる位置決め誤差が最小となる固有角周波数ω1i,ω2iと減衰係数ζ1i,ζ2iを算出することができる。
【数13】

【数14】

【数15】

【0065】
以上、本発明者によってなされた発明を適用した実施の形態について説明したが、この実施の形態による本発明の開示の一部をなす記述及び図面により本発明は限定されることはない。すなわち上記実施の形態に基づいて当業者等によりなされる他の実施の形態、実施例及び運用技術等は全て本発明の範疇に含まれる。
【符号の説明】
【0066】
1 磁気ディスク装置
2,2a,2b 磁気ディスク
3 スピンドルモータ(SPindle Motor:SPM)
4,4a,4b,4c,4d 磁気ヘッド
5 アクチュエータ
6 ボイスコイルモータ(Voice Coil Motor:VCM)
7a,7b,7c アーム部材
8a,8b,8c,8d サスペンション
11 プリアンプ
12 リードチャネル回路(Read Channel Circuit:RDC)
13 ハードディスクコントローラ(Hard Disc Controller:HDC)
14 サーボコントローラ
15 VCMドライバ
16 SPMドライバ
17 ホスト装置
18 VCMコントローラ
19 SPMコントローラ
21,21a,21b 振動センサ
22 フィードバック(FB)コントローラ
23,23a,23b フィードフォワード(FF)コントローラ
SW1,SW2,SW3 スイッチ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
機械的共振起因の外乱と相関のある信号を測定する測定ステップと、
前記測定ステップにより測定された機械的共振起因の外乱と相関のある信号を用いて、機械的共振起因の外乱が前記ディスク記憶装置のヘッドの位置決め制御に与える影響を低減するように当該ヘッドの位置をフィードフォワード制御する制御ステップとを有し、
前記制御ステップは、
前記測定ステップにより測定された信号のスペクトラムから機械的共振起因の外乱の周波数を機械的共振起因の外乱周波数として特定する周波数特定ステップと、
前記周波数特定ステップにより特定された機械的共振起因の外乱周波数の近傍において、前記フィードフォワード制御のゲイン特性及び位相特性が前記ヘッドの位置決め誤差を最小にするゲイン特性及び位相特性と略一致するように、前記フィードフォワード制御のゲイン特性及び位相特性を補正する補正ステップとを有する
ことを特徴とするフィードフォワードコントローラの補正方法。
【請求項2】
前記フィードフォワード制御のゲイン特性は、前記機械的共振起因の外乱周波数においてピークを有することを特徴とする請求項1に記載のフィードフォワードコントローラの補正方法。
【請求項3】
前記補正ステップは、
前記周波数特定ステップにより特定された機械的共振起因の外乱周波数と予め記憶されている機械的共振起因の外乱周波数の差分値を算出する算出ステップと、
前記算出ステップにより算出された差分値だけフィードフォワード制御のゲインのピーク位置を移動させる移動ステップと、
前記ヘッドの位置決め誤差が最小になるようにフィードフォワード制御に用いられる伝達関数の係数の一部又は全部を更新する更新ステップと
を有することを特徴とする請求項2に記載のフィードフォワードコントローラの補正方法。
【請求項4】
ディスク記憶装置の機械的共振起因の外乱と相関のある信号を測定する測定手段と、
前記測定手段により測定された機械的共振起因の外乱と相関のある信号を用いて、機械的共振起因の外乱が前記ディスク記憶装置のヘッドの位置決め制御に与える影響を抑制するように当該ヘッドの位置をフィードフォワード制御する制御手段とを備え、
前記制御手段は、
前記測定手段により測定された信号のスペクトラムから機械的共振起因の外乱の周波数を機械的共振起因の外乱周波数として特定する周波数特定手段と、
前記周波数特定手段により特定された機械的共振起因の外乱周波数の近傍において、前記フィードフォワード制御のゲイン特性及び位相特性が、前記機械的共振起因の外乱に起因する前記ヘッドの位置決め誤差を最小にするゲイン特性及び位相特性と略一致するように、前記フィードフォワード制御のゲイン特性及び位相特性を補正する補正手段とを備える
ことを特徴とするフィードフォワードコントローラ。
【請求項5】
ディスクと、
前記ディスクに対し情報の読み出し動作と記録動作を実行するヘッドと、
機械的共振起因の外乱と相関のある信号を測定する測定手段と、
前記測定手段により測定された機械的共振起因の外乱と相関のある信号を用いて、機械的共振起因の外乱が前記ヘッドの位置決め制御に与える影響を抑制するように当該ヘッドの位置をフィードフォワード制御する制御手段とを備え、
前記制御手段は、
前記測定手段により測定された信号のスペクトラムから機械的共振起因の外乱の周波数を機械的共振起因の外乱周波数として特定する周波数特定手段と、
前記周波数特定手段により特定された機械的共振起因の外乱周波数の近傍において、前記フィードフォワード制御のゲイン特性及び位相特性が、前記機械的共振起因の外乱に起因する前記ヘッドの位置決め誤差を最小にするゲイン特性及び位相特性と略一致するように、前記フィードフォワード制御のゲイン特性及び位相特性を補正する補正手段とを備える
ことを特徴とするディスク記憶装置。
【請求項6】
機械的共振起因の外乱と相関のある信号を測定する測定ステップと、
前記測定ステップにより測定された機械的共振起因の外乱と相関のある信号を用いて、機械的共振起因の外乱がヘッドの位置決め制御に与える影響を抑制するように当該ヘッドの位置をフィードフォワード制御する制御ステップとを有し、
前記制御ステップは、
前記測定ステップにより測定された信号のスペクトラムから機械的共振起因の外乱の周波数を機械的共振起因の外乱周波数として特定する周波数特定ステップと、
前記周波数特定ステップにより特定された機械的共振起因の外乱周波数の近傍において、前記フィードフォワード制御のゲイン特性及び位相特性が、前記機械的共振起因の外乱に起因する前記ヘッドの位置決め誤差を最小にするゲイン特性及び位相特性と略一致するように、前記フィードフォワード制御のゲイン特性及び位相特性を補正する補正ステップとを有する
ことを特徴とするディスク記憶装置のヘッド位置決め制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2011−18394(P2011−18394A)
【公開日】平成23年1月27日(2011.1.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−162004(P2009−162004)
【出願日】平成21年7月8日(2009.7.8)
【出願人】(309033264)東芝ストレージデバイス株式会社 (255)
【Fターム(参考)】