フェイルセーフ電力制御装置
本発明は、エネルギー源(4)と輸送システムのモータ(5)との間で給電を行なうフェイルセーフ電力制御装置に関する。電力制御装置は電源回路(6)を有し、これは制御可能な切替スイッチ(32)を含む少なくとも1つのコンバータ(7、8)を有し、さらに電力制御装置は、コンバータ切替スイッチを制御する手段(24)と、データ転送バス(10)と、互いに通信するよう構成された少なくとも2つのコントローラ(1、2)と、第1の制動装置を制御する制御装置(11)と、場合によっては第2の制動装置を制御する制御装置(43)とを有している。
【発明の詳細な説明】
【発明の分野】
【0001】
本発明は、請求項1の前段に記載のフェイルセーフ電力制御装置に関するものである。
【従来技術】
【0002】
エレベータシステムなどの輸送システムには従来から、輸送システムを制御する別個の制御システムと輸送システムの安全を確保する別個の安全システムとが設けられている。
【0003】
エレベータシステムの制御システムは、少なくとも1つのエレベータモータ、エレベータコントローラ、エレベータモータに給電する電力制御装置を含んでいる。エレベータコントローラはエレベータ群制御機能と、かご呼びおよび乗り場呼びを処理する機能とを含んでいる。
【0004】
エレベータシステムの安全システムは安全回路を含み、これは障害状態で開く1つ以上の安全接触器の直列回路と、駆動機械ブレーキもしくは乗りかごブレーキなどの安全回路が開くと作動する安全装置とを有している。さらに、安全システムは、なかでも、速度超過の場合にエレベータかごの安全装置を作動させる超過速度ガバナと、エレベータシャフトの両端部にある終端緩衝器とを含んでもよい。
【0005】
近年、輸送システムに関する安全規則が変わってきて、技術的規則上の観点では、さまざまな機械式安全装置を同様の電気式安全装置に置き換えることが可能になっている。
【0006】
米国特許第6,170,614号明細書は電子式超過速度ガバナを開示し、これは、エレベータシステムにおいて機械式の遠心力作動超過速度ガバナの代わりに使用することができる。電子式超過速度ガバナはエレベータかごの速度もしくは位置を測定し、そのエレベータかごの速度超過が発生中と判定すると、エレベータかごの安全装置などの停止装置を作動させてエレベータかごを停止させる。
【0007】
欧州特許第1,159,218号明細書は、エレベータシステム用に電子的に実現された安全回路を開示している。直列接続の安全接触器を有する従来のエレベータシステム安全回路は、安全接触器もしくは同等のセンサの状態を測定し、これを別のコントローラに直列転送で送信する装置を用いるように改良されている。安全回路のこのような改良は、電気安全機器に関する新しいエレベータシステム安全基準において、いわゆるPESSRAL基準で承認されている。
【0008】
個々の機械式安全装置もしくはリレーなどの機械スイッチを用いて実現される個々の安全装置を同等の電子式安全装置に代えることは、実質的に安全装置の数を少なくすることにはならない。安全装置の基本的機能はいまだに、輸送機器の速度もしくは位置などの特定の輸送システムパラメータを測定することと、測定したパラメータから輸送機器に障害発生中の可能性があるかを推測することに基づいている。例えば、輸送機器のモータを制御するインバータなどの電力制御装置に危険な障害が生じても、この障害は遅れて検出されるにすぎない。例えば、輸送機器の速度が最高許容速度の限界値を越える危険な水準まで加速されたら、超過速度ガバナによって検出されるにすぎない。
【0009】
米国特許出願公開US 2003/0150690 A1号明細書は、輸送システムの速度モニタ用と同システムの停止用の2つのチャンネルを設けたフェイルセーフ制御装置を開示している。
【0010】
米国特許出願公開US 2006/0060427 A1号明細書は、輸送システムの速度モニタ用と同システムの停止用の2つのコントローラを設けたフェイルセーフ制御装置を開示している。
【発明の目的】
【0011】
本発明は、輸送システムに発生し得る障害状態を、従来技術の輸送システムの安全システムを用いた場合に起こり得るより実質的に早期に検出できるフェイルセーフ電力制御装置を開示することを目的とする。同時に、本発明は、輸送システムの安全システムを従来技術の安全システムよりもかなり簡易に作ることができる装置を開示することを目的とする。本発明によるフェイルセーフ電力制御装置を有する安全システムは、従来技術の安全システムより少数の個別の安全装置を有している。
【発明の特徴】
【0012】
本発明のフェイルセーフ電力制御装置は、請求項1の特徴段に記載する事項を特徴とする。本発明の他の実施例は、その他の請求項に記載する事項を特徴とする。発明の実施例は本願の明細書部分にも提示されている。本願に開示した発明の内容は、下記の請求項にて定義した以外の方法により定義することもできる。本発明の内容はまた、とくに明示的もしくは暗示的サブタスクに照らして、または達成される利点もしくは複数の利点のいくつかの組合せに関して本発明を考慮すれば、いくつかの別個の発明を含むこともある。その場合、下記の請求項に含まれる属性の一部は、別の発明概念の観点から不要なこともある。
【0013】
本発明は、輸送システム用のフェイルセーフ電力制御装置に関する。この意味でのフェイルセーフとは、どのような状況で障害が発生しても、電力制御装置により制御される輸送システムの利用者に装置の障害が危険を及ぼさずに安全であるよう設計された装置を言う。
【0014】
本発明に関わる輸送システムは、例えばエレベータシステム、エスカレータシステム、動く歩道システム、もしくはクレーンシステムであってよい。用語「輸送システム」とはここでは、エレベータシステムなどの輸送を目的としたシステム全体を言うが、一方、用語「輸送機器」とは、エレベータかごなど、実際の輸送に用いられるシステム構成機器を言う。
【0015】
エネルギー源と輸送システムのモータとの間で給電を行なう本発明の電力制御装置は電源回路を有し、これは制御可能切替スイッチを有する少なくとも1つの電子的電力コンバータを含む。電力制御装置は、互いに通信するよう構成された少なくとも第1のコントローラと第2のコントローラを有し、これらのコントローラは全体で少なくとも1つのコンバータ制御機能を構成している。電力制御装置は少なくとも1つの制動装置の制御手段を有している。少なくとも第1のコントローラおよび第2のコントローラは、輸送機器の動きをモニタする輸送機器動き信号の入力と、少なくとも1つの制動装置に関する制御信号の出力とを有している。「輸送機器動き信号」とは、輸送機器の加速度、速度もしくは位置などの輸送機器の動き状態を示す信号を言う。このような信号は、例えば輸送機器の動きを測定するエンコーダもしくは加速度センサの測定信号でよい。同様に、「輸送機器の動きのモニタ」とは、輸送機器の加速度、速度もしくは位置などの動き状態をモニタすることを言う。「輸送機器の動き基準の判定」とは、輸送機器の加速度、速度もしくは位置などの動き状態に関する基準値/基準値の組を判定することを言う。
【0016】
本発明の実施例では、少なくとも第1のコントローラはインバータ制御手段を有し、少なくとも第2のコントローラは輸送機器の速度調節手段を有している。この場合、第1および第2のコントローラは輸送機器速度および/または位置を示す測定信号の入力、ならびに輸送機器の速度および/または位置をモニタする入力を有している。
【0017】
本発明による電力制御装置において、第1および第2のコントローラは安全診断機能を含んでいる。「安全診断」とは、特定の安全手順に従って設計されたコンピュータプログラムおよび/または制御電子回路など、特定の安全手順に従って設計されたモニタリングもしくは制御を言う。
【0018】
本発明の実施例では、上記の安全診断の障害状態を輸送機器の動きのモニタリングに基づいて判定する。
【0019】
本発明の実施例では、上記の安全診断の障害状態を第1コントローラと第2コントローラの間の通信に基づいて判定する。
【0020】
本発明による電力制御装置において、少なくとも第1および第2のコントローラは第1および第2の制動装置に関する制御信号の出力を有している。この場合、第1の制動装置は、輸送機器のモータの軸もしくは駆動綱車に機械的に係合する機械ブレーキでよい。第2の制動装置もやはり、上述のモータに係合する機械ブレーキ、または例えばエレベータかごとエレベータかごのガイドレールとの間で機械的に係合するレールブレーキもしくは超過速度ガバナ・ウエッジブレーキでよい。
【0021】
本発明による電力制御装置において、第1のコントローラと第2のコントローラの間には通信バスが配設されている。第2のコントローラは第1のコントローラにメッセージを所定の時間間隔で送信するよう構成され、第1のコントローラは、このメッセージを受信すると第2のコントローラへ応答メッセージを所定の時間内に送信するよう構成されている。両コントローラは、メッセージもしくは応答メッセージの間の時間間隔で所定の限界値からの偏りを検出すると、それぞれが独立して輸送システムを停止させる動作を行なうよう構成されている。
【0022】
本発明による電力制御装置において、メッセージおよび応答メッセージはいずれも少なくとも次のようなデータ項目、すなわち、メッセージもしくは応答メッセージを送信するコントローラにより読み取られた速度および/または位置の測定データ、メッセージもしくは応答メッセージを送信するコントローラにより検出された障害に関する通知、および少なくとも1つの制動装置に対する制御コマンドを含む。両コントローラは、制動装置に対する制御コマンド間の偏り、または各コントローラの速度および/もしくは位置の測定データの間の偏りを検出すると、または検出された誤りに関するメッセージを受信すると、それぞれが独自に輸送システムを停止させる動作を行なうよう構成されている。
【0023】
本発明による電力制御装置は電源回路の遮断機能を有し、この場合、少なくとも第1および第2のコントローラは電源回路を遮断する制御信号の出力を有している。
【0024】
本発明による電力制御装置は、コンバータの切替えスイッチを制御する制御手段を有し、上記制御手段は、少なくとも正の切替接触器もしくは負の切替接触器を制御する制御エネルギー用電源を有している。この場合、電源回路の遮断手段は、電源に直列に取り付けられ制御エネルギーの供給を遮断するた2つの制御可能スイッチを有し、第1のコントローラは第1のスイッチを制御し、第2のコントローラは第2のスイッチを制御して制御エネルギーの供給を遮断するよう構成されている。
【0025】
本発明の実施例では、少なくとも1つの制動装置の制御手段は、ブレーキ制御回路において直列に取り付けられた2つのスイッチを含み、第1のコントローラは第1のスイッチの制御信号の出力を有し、第2のコントローラは第2のスイッチの制御信号の出力を有し、さらに第1および第2のコントローラはいずれも、第1および第2のスイッチの位置を示すデータの入力を有している。
【0026】
本発明による電力制御装置において、第1のコントローラは第1のパルス状制御信号の出力を有し、第2のコントローラは第2のパルス状制御信号の出力を有している。第1のコントローラは第2のパルス状制御信号測定の入力を有し、第2のコントローラは第1のパルス状制御信号測定用の入力を有している。本発明のこの実施例では、少なくとも1つの制動装置の制御手段は第1および第2のパルス状制御信号の入力を有し、上記制動装置の制御手段は第1および第2のパルス状制御信号による同時制御のみにより制動装置に制御電力を供給するよう構成されている。
【0027】
本発明による電力制御装置は、少なくとも1つのデータバスを含むデータ転送バスを有し、このバスで第1のコントローラが通信を行なうよう構成されている。本発明による他の電力制御装置は、第1のデータバスに加えて、第2のデータバスを有し、このバスで第2のコントローラが通信を行なうよう構成されている。この場合、電力制御装置はさらに、第1のデータバスへ接続されて輸送機器の第1の動き信号を送信する送信器と、第2のデータバスへ接続されて輸送機器の第2の動き信号を送信する送信器とを有している。本発明のこの実施例では、第1および第2のコントローラは自身でデータバスから並列に読み取った第1および第2の動き信号を比較し、これら信号が相互の間で一定の限界値を超えた分だけ異なっていることを検出すると、輸送システムを停止させる動作を行なうよう構成されている。上述の第1および第2のデータバスは有線バスもしくは無線バスにでよい。無線データバスの場合、データは、例えば電磁信号もしくは超音波信号の形で転送することができる。
【0028】
本発明の実施例では、データ転送バスは、第1のデータバスへ接続され輸送システムの安全接触器の状態データを送信する送信器と、第2のデータバスへ接続され輸送システムの安全接触器の状態データを送信する送信器とを有している。
【0029】
本発明による電力制御装置において、コンバータ制御機能はモータ駆動モードを有し、少なくとも第1のコントローラは、コンバータ制御機能の状態がモータ駆動モードと異なる状況では、コンバータの正の切替接触器もしくは負の切替接触器を択一的に導通状態へ切り替えてモータの発電制動を行なうよう構成されている。
【0030】
本発明による電力制御装置において、輸送機器の速度および/または位置のモニタリングは、第1のコントローラに関しては第1の最大許容速度の包絡線を、また第2のコントローラに関しては第2の最大許容速度包絡線を含む。この場合、第1および第2のコントローラは、測定された速度を対応の最大許容速度の包絡線の値と比較し、測定された速度と包絡線値との間に所定の限界値を超える差を検出すると、輸送システムを停止させる動作を行なうよう構成されている。
【0031】
本発明の実施例では、第2のコントローラは、測定された速度と最大許容速度の包絡線値との間に所定の限界値を超える差を検出すると、第1のコントローラにモータトルク設定値を送信して、所定の減速度で輸送システムを停止させるよう構成されている。
【0032】
本発明による電力制御装置は、測定された速度と最大許容速度の包絡線値との間に所定の限界値を超える差を検出すると、コンバータ制御によって所定の減速度でモータを停止させるよう構成されている。
【0033】
本発明による電力制御装置において、第1のコントローラは動力用電源コンバータ制御手段を有している。
【0034】
本発明による電力制御装置において、少なくとも第1のコントローラは、障害状態を検出すると、動力用電源コンバータ制御手段によりエネルギー源から電源回路の直流電圧中間回路への電力供給を遮断するよう構成されている。
【0035】
本発明による電力制御装置は、エネルギー源とエレベータシステムのモータとの間で給電を行なうよう構成されている。
【0036】
本発明の電力制御装置を用いる際、給電は、何らかのエネルギー源と何らかの輸送システムモータとの間で行なうことができる。モータはいずれの種類の電動機、すなわち回転モータあるいはリニアモータのいずれでもよい。エネルギー源は、例えば動力用電源もしくは発電機でよい。エネルギー源はまた、バッテリーもしくはスーパコンデンサなどの直流電圧源でよい。
【0037】
本発明の電力制御装置の電源回路は、制御可能なスイッチを有する少なくとも1つのコンバータを有し、これは、例えば周波数および振幅が変化する電圧をモータへ供給するインバータでよい。電源回路はまた、動力用電源コンバータなどの他のコンバータを含んでもよい。この場合、動力用電源コンバータは、動力用電源の交流電圧を直流電圧に変換して電源回路の直流電圧中間回路へ送って、インバータが直流電圧中間回路の電圧を交流電圧に再変換してモータへ送る。
【0038】
本発明の実施例では、通信バスを第1のコントローラと第2のコントローラの間に設けている。これらコントローラのうち2番目のものは、メッセージを所定の時間間隔で送信するよう構成され、このメッセージの長さおよび内容は、あらかじめ決めておいてもよい。両コントローラのうち1番目のものは、第2のコントローラへ応答メッセージを所定の時間内に送信するよう構成されている。第1のコントローラは、所定の時間間隔内に第2のコントローラからメッセージが到着していないことを検出すると、第2のコントローラを故障と判定する。同様に、第2のコントローラは、第1のコントローラが所定の時間内に応答メッセージを送信していないことを検出すると、第1のコントローラの故障と判定する。このような場合、故障状態を検出したコントローラは、他方のコントローラとは無関係にそれ独自で輸送システムを停止させる動作を行なうことができる。「輸送システムを停止させる動作」とは、所定の加速度による制御された状態で輸送システムを停止させること、または駆動機械用ブレーキもしくはエレベータかごの制動装置などの少なくとも1つの停止装置を作動させて輸送システムを停止させることを言う。輸送システムを停止させる動作は、例えば、少なくとも第1のコントローラもしくは第2のコントローラを、ブレーキの解除および/またはモータの始動を禁止する運用状態に設定することによって輸送システムの再始動を阻止する動作を含む。送信すべき相続くメッセージの間の時間間隔と応答メッセージの許容される時間遅延は、典型的には短かくして、本質的にコントローラの故障で輸送システムが危険な状態になる前にこれを検出できるようにする。相続くメッセージの間の時間間隔は、例えば10ミリ秒でよい。
【0039】
本発明の実施例では、コンバータに用いられる切替スイッチはIGBTトランジスタである。この場合、「コンバータの切替スイッチを制御する手段」とは、切替スイッチを制御する制御信号の信号路、および制御信号を増幅する手段を言う。これらの手段は少なくとも、IGBTトランジスタのゲート制御部の制御用エネルギー電源、およびIGBTトランジスタのゲートへの制御信号を増幅する増幅回路を含む。使用される切替スイッチはIGBTトランジスタ以外の制御可能なスイッチ、例えば従来技術のMOSFETトランジスタもしくはGTOサイリスタなどでもよい。この場合にも、制御手段は、信号路、各スイッチを制御する制御用エネルギー電源、および制御信号を増幅する増幅回路を含んでよい。
【0040】
本発明の実施例では、電力制御装置は電源回路を遮断する機能を有している。本発明の実施例では、動力用電源回路の遮断は、切替スイッチを制御する手段に含まれる増幅回路への電力供給を抑止することによって実現される。この電力供給は、互いに直列に接続された2つの制御可能なスイッチによって抑止され、各スイッチは増幅回路へ電力を供給する電源と直列にある。これらのスイッチのうち1番目のものは第1のコントローラによって、また2番目のものは第2のコントローラによって制御される。したがって、両コントローラのいずれか一方によって、互いに無関係に、電源回路を遮断することができる。さらに、第2のスイッチの制御信号の状態は第1のコントローラによって、また第1のスイッチの状態は第2のコントローラによってそれぞれ測定することができ、そうすれば、電源回路遮断機能の作動状態の正確性をテレコ状態で測定することによって検証することができる。遮断に用いる制御可能なスイッチは、望ましくはMOSFETトランジスタである。
【0041】
本発明の実施例では、電力制御装置は、ブレーキ制御回路、およびブレーキ制御回路において互いに直列に取り付けた2つの制御可能なスイッチを有している。これらのスイッチのうち少なくとも1つが開くと、ブレーキ制御回路は遮断された状態になり、ブレーキコイルには電流が流れない。したがって、ブレーキが掛かり、輸送機器の動きを阻止する。本発明のこの実施例では、第1のスイッチは第1のコントローラによって、また第2のスイッチは第2のコントローラによって制御され、したがってブレーキ制御回路は、いずれかのコントローラによって互いに無関係に遮断することができる。
【0042】
本発明の装置は、制動装置を制御する1つ以上の制御機能を含み、これは、第1のパルス状制御信号および第2のパルス状制御信号の入力を含む。第1のコントローラが第1のパルス状制御信号を、また第2のコントローラが第2のパルス状制御信号を上記の制動装置制御機能のそれぞれに供給してよい。各制動装置制御機能は、第1および第2のパルス状制御信号の両方を受信したときのみ、電力を制動装置へ供給するよう構成されている。両パルス状制御信号のいずれか一方が停止すると、すなわち、制御信号が直流信号に変わると、制動装置を制御する制御機能は直ちに制動装置への電力供給を停止する。制動装置はここで制動を開始し、これによって輸送機器の動きを阻止する。
【0043】
本発明の実施例では、電力制御装置は2つの個別のデータバスからなるデータ転送バスを有している。第1のコントローラは第1のデータバスを通して通信し、また第2のコントローラは第2のデータバスを通して通信するよう構成されている。これらのコントローラは、データ転送バスの別々のデータバスから同時にデータを読み取り、それぞれが読み取ったデータをコントローラ間の通信バスを通して相手に送信し、同時に読み取ったデータ項目を互いに比較し、これによってデータの正確性を検証することができる。例えば、第1のデータバスには第1の測定装置を配設し、これは、輸送機器の加速度、速度もしくは位置を測定し、その送信器を介して輸送機器の加速度、速度もしくは位置に関する測定データを第1のデータバスを通して第1のコントローラへ送信するものであってよい。第2のデータバスには第2の測定装置を配設して、これは、輸送機器の加速度、速度もしくは位置を測定し、その送信器を介して輸送機器の加速度、速度もしくは位置に関する測定データを第2のデータバスを通して第2のコントローラへ送信するものであってよい。これらコントローラは第1の測定装置と第2の測定装置の測定データを相互に比較することができ、測定データの間に最大許容限界値を超える差を検出すると、測定装置の一方が故障していると判定する。この場合、電力制御装置は輸送システムを停止させる動作を行ない、例えばその輸送機器を所定の加速度で停止させることによって、および/または少なくとも1つの停止装置を作動させることによって運転の再始動を阻止することができる。
【0044】
本発明の実施例では、電力制御装置は輸送機器の少なくとも1つの安全スイッチの状態を読み取るよう構成されている。安全スイッチに関連して電子的読取装置が設けられ、これは、安全スイッチの状態を読み取り、それを第1のデータバスと第2のデータバスへ別々に送信する。第1および第2のコントローラは安全スイッチの状態を読み取り、状態データを互いに比較する。このようにして、状態データを比較することによって、安全スイッチ状態データの正確性を検証することができる。このような安全スイッチには、例えばエレベータシステムにおける乗り場ドア安全スイッチや、エスカレータシステムにおけるくし板安全スイッチが含まれる。
【0045】
本発明による電力制御装置において、少なくとも第1のコントローラはコンバータ制御段を有している。コンバータ制御機能はモータ駆動モードなどのさまざまな作動モードを有してよく、これは、少なくとも第1のコントローラが速度基準値に可能な限り従って輸送システムのモータのトルクを調節するモードを意味している。コンバータ制御機能は発電ブレーキモードを有してもよく、さらにコンバータ制御機能は、モータ駆動モードを終了する都度、発電ブレーキモードにはいるように構成してもよい。発電ブレーキモードでは、少なくとも第1のコントローラはコンバータの正の切替接触器もしくは負の切替接触器を択一的に導通状態に制御することができ、これによってモータの従来技術の発電ブレーキを作動させる。
【0046】
この文脈で「切替スイッチ」とは、電源回路における直流電圧中間回路の正および負の電流レールの間に直列に取り付けられた2つの制御可能なスイッチを言う。「正の切替接触器」とは、正の電流レールへ取り付けたスイッチを意味し、「負の切替接触器」とは、負の電流レールへ取り付けたスイッチを意味する。
【0047】
本発明の実施例では、第1および第2のコントローラは最大許容速度の包絡線を含む。最大許容速度の包絡線の値は、輸送機器の位置の関数として、例えば、輸送機器が動きの終端限界点へ近づいている場合、限界値の絶対値が小さくなるよう変化してよい。さらに、限界値は、輸送機器の所望の速度に従って、すなわち速度基準値に従って変化して、所定の一定値もしくは1より大きい倍率に従って限界値の絶対値が速度基準の絶対値より常に大きくなるようにしてもよい。本発明の実施例では、第1および第2のコントローラは輸送機器の速度と最大許容速度の包絡線の値との間で個々に比較を行なう。第1もしくは第2のコントローラは、輸送機器の測定速度が所定の限界値を超えた分だけ異なっていることを検出すると、それぞれ独自に輸送システムを停止させる動作を行なう。
【0048】
本発明について説明したコントローラは、例えばマイクロコントローラもしくはプログラム可能なFPGA(フィールドプログラム可能なゲートアレイ)回路でよい。各コントローラは、論路回路などの個別部品を用いて実現してもよい。
【発明の利点】
【0049】
本発明により達成される利点は次のうちの少なくとも1つを含む。
−個別の安全装置の数が減少するので、システム全体が簡素化される。システム全体の信頼性が改善され、コストが低減される。
−停止装置は機械スイッチによって直接制御されず、スイッチの状態を測定し、その測定データをフィルタできるので、スイッチの瞬断によるシステムの信頼性の問題が減少する。
−電力制御装置がエレベータの安全停止を集中的に管理するので、装置は、すでに行なった推測に基づいてエレベータかごを所定の減速度で停止させ、例えばエレベータかごを最寄りの階に停留させてエレベータかごから乗客を降ろすことができ、または状況に応じて電力制御装置は、少なくとも1つの停止装置を作動させてエレベータかごを可能な限り迅速に停止させることができる。
−電力制御装置に含まれている各コントローラは互いの作動をモニタすることができ、障害状況を検出すると、エレベータかごを制御して直ちに停止させるので、電力制御装置の故障の場合のシステムの反応時間が短縮される。
−モータを電力制御装置によって制御する必要がある場合、コントローラは、エレベータかごの動きに関する設定値、すなわち動き基準値を距離もしくは時間の関数として算出する必要がある。最大許容動き限度をモニタする必要がある場合、この動き基準から最大限度を生成するのに多量の計算は必要ない。例えば、速度超過制御に用いられる最大許容速度の包絡線を距離もしくは時間の関数として速度の設定値から、すなわち速度基準値から、例えば従来技術のやり方で線形スケーリングによってたやすく生成することができる。そこで、包絡線の計算をより速く行なうことができ、これがさらにコントローラの計算容量を節減する。
【図面の簡単な説明】
【0050】
次に、添付図面を参照して本発明を詳細に説明する。
【図1】本発明による電力制御装置を示す図である。
【図2】本発明の電力制御装置の通信バスで送信されるメッセージのタイミングを示す図である。
【図3】本発明の電力制御装置に用いられるコンバータを示す図である。
【図4】本発明による電源回路の遮断を示す図である。
【図5】本発明による電源回路における切替スイッチを示す図である。
【図6】制動装置を制御する本発明による手法を示す図である。
【図7】制動装置を制御する本発明による他の手法を示す図である。
【図8】本発明による2つの制動装置を制御する手法を示す図である。
【図9】本発明による2つの制動装置を制御する他の手法を示す図である。
【図10】本発明によるデータ転送バスを示す図である。
【図11】輸送機器の最大許容速度および速度基準値に関する本発明による包絡線を示す図である。
【図12】安全診断の動作を示す図である。
【実施例】
【0051】
次の実施例はフェイルセーフ電力制御装置を設けたエレベータシステムを説明するものである。
【0052】
図1は、本発明によるフェイルセーフ電力制御装置を示す。電源回路6は、動力用電源コンバータ8およびインバータ7を有している。動力用電源コンバータは正弦波動力用電源電圧4を直流電圧に変換し、これを電源回路の直流電圧中間回路23へ送る。直流電源中間回路は電圧を平滑化するエネルギー蓄積器22を有している。インバータ7は直流電圧を可変周波数および可変振幅の電圧に変換し、これをモータ5へ供給する。動力用電源線には、動力用電源スイッチ16が追加されている。
【0053】
第2のコントローラ2はモータ速度13を測定し、その測定速度をできる限り速度基準値59に従って調節するが、これは、速度基準値と速度測定値との間の差に相当するモータトルク設定値を第1のコントローラ1に通信バスを通して送信することによって行なう。第1のコントローラ1は、モータトルクをそのコンバータ制御機能によってインバータ7のスイッチ32を制御することで調節する。
【0054】
第2のコントローラ2は自身が測定した速度値を通信バス17を通してメッセージとして第1のコントローラ1へ送信する。第1のコントローラは同様に、速度12を測定し、これにより得られた速度値を応答メッセージとして第2のコントローラへ通信バスを通して送信する。両コントローラは互いに速度測定値を比較し、これらの測定値間に所定の限界値を超える差を検出すると、それぞれ独自にエレベータシステムを安全状態にする動作を行なう。ここで言う「エレベータシステムを安全状態にする動作」とは、所定の加速度でエレベータかごを停止させ、または少なくとも1つの制動装置を作動させることを言う。第1および第2のコントローラはそれぞれ独自に最大許容速度の包絡線58を計算する。これは速度の設定値、すなわちエレベータかごの速度基準を1より大きい一定値によってスケーリングすることにより行なう。加えて、第1および第2のコントローラは測定速度値12、13を最大許容速度の包絡線と比較して、その速度測定値が包絡線の値を超えている場合、両コントローラはそれぞれ独自にエレベータシステムを安全状態にする動作を行なう。
【0055】
本発明のこの実施例では、エレベータかごの速度は、エレベータモータ5の駆動綱車に係合する2つのエンコーダによって測定するが、エレベータの動きの測定機能は、例えば第1のコントローラ1がエレベータかごの動きを例えばそのエレベータかごに取り付けられた加速度センサもしくはエンコーダによって測定し、第2のコントローラ2がモータ5の動きを回転軸もしくは駆動綱車へ連結されたエンコーダによって測定するように構成することもできる。これにより、エレベータかごの動きの測定値を比較することによって、例えばエレベータロープ破損の発生を検出することができる。しかし、第1のコントローラ1および第2のコントローラ2がエレベータかごの動きを、例えばそのエレベータかごに直接連結された、またはエレベータの超過速度ガバナのローププーリへ連結されたセンサによって測定することも可能である。
【0056】
エレベータシステムを安全状態にするため、いずれか一方のコントローラは少なくとも1つの制動装置44、45をそれぞれ独自に作動させることができる。制動装置の制御は、解除すべきブレーキについて各コントローラから同じ制御指令を必要とするよう構成されている。いずれのコントローラからも制御指令が得られない場合、ブレーキは解除されない。
【0057】
エレベータシステムを安全状態にするのにブレーキを直ちに閉にする必要がない場合、第2のコントローラは第1のコントローラにエレベータモータのトルクの設定値を送って、エレベータかごを所定の減速度60で停止させることができる。第1のコントローラもやはり、モータトルクをコンバータ制御により制御して、第2のコントローラとは無関係にエレベータかごを所定の減速度で停止させることができる。
【0058】
フェイルセーフ電力制御装置はデータ転送バス10も含んでいる。このデータ転送バスを通して、第1のコントローラ1および第2のコントローラ2は、エレベータシステムにおける安全スイッチ57の位置などの各センサからの読取りを行なうことができる。第1および第2のコントローラは上記位置データを比較し、これによって測定の動作状態を検証することができる。各測定値に基づいて、第1のコントローラおよび/または第2のコントローラは、必要な場合、エレベータシステムを安全状態にする動作を行なうことができる。
【0059】
第1のコントローラ1および第2のコントローラ2は、インバータ7の切替スイッチの負の切替接触器34および/または正の切替接触器33の制御を禁止することによって電源回路6を個々に遮断することができる。また、第2のコントローラは、禁止指令を第1のコントローラへ送信することによって、動力用電源インバータ8を通る動力用電源4から直流電圧中間回路23への給電を阻止することができる。第1のコントローラは、動力用電源から直流電圧中間回路への給電を禁止することができるが、これは、動力用電源インバータ8を動力用電源インバータ制御によって制御して直流電圧中間回路23へ電力が流れないようにすることで行なう。
【0060】
動力用電源インバータ8はサイリスタブリッジでよいが、その場合、第1および第2のコントローラは、動力用電源4から直流電圧中間回路23への給電を、サイリスタブリッジにあるサイリスタのゲートへ電流が流れるのを阻止することによって遮断することができる。
【0061】
図2は、第1のコントローラ1と第2のコントローラ2の間の通信バス17におけるメッセージのタイミングを可視化したものである。第2のコントローラ2はメッセージ19を第1コントローラへ送る。メッセージは一定の間隔18で送信される。第1のコントローラ1は応答メッセージ20を第2のコントローラに、メッセージ19の受信後所定の時間21内に送信する。第1のコントローラが所定の一定間隔18で第2のコントローラからメッセージ19が到着していないことを検出すると、第1のコントローラは第2のコントローラが故障したと推測し、エレベータシステムを安全状態にする動作を行なうことができる。同様に、第2のコントローラにおいて、第1のコントローラが所定の時間21内に応答メッセージ20を送信しなかったことを検出すると、第2のコントローラは第1のコントローラが故障したと推測し、エレベータシステムを安全状態にする動作を行なうことができる。
【0062】
図4は、電源回路6の遮断を示す。遮断回路は2つの制御可能なスイッチ25、31を有し、これらを使用して、切替接触器の制御信号30を増幅する増幅回路29への給電を阻止することができる。第1のコントローラは制御信号26によってスイッチ25を制御し、第2のコントローラは制御信号27によってスイッチ31を制御する。これらスイッチ25、31は直列になっているので、第1コントローラ1および第2のコントローラ2の双方とも、そのスイッチを開にして増幅回路29への給電を阻止することによって、それぞれ独自に電源回路6を遮断することができる。
【0063】
図6は制動装置の制御を示す。制動装置は、磁化電流を制動装置36の磁化コイル36に供給することによって制御される。電流がコイルに流れると、ブレーキが解除される。ブレーキ制御回路39は、直列に配設された2つの制御可能なスイッチ37、38を有している。これらのスイッチのいずれか一方が開になると、磁化コイルへの電力の流れが遮断され、これによってブレーキの解除を阻止する。第1のコントローラ1は制御信号40によって第1のスイッチ37を制御し、第2のコントローラ2は制御信号41によって第2のスイッチ38を制御する。各コントローラはそれぞれ独自にブレーキ制御回路を開にして、ブレーキの解除を阻止することができる。換言すれば、解除されるブレーキにとっては、両コントローラ1、2からの同じ制御が必要となる。
【0064】
図7は、ブレーキ制御装置11を示す。このブレーキ制御装置は、一次側に2つの磁化コイルと二次側に1つの出力コイルを設けた変成器50を有している。磁化コイル内の電流は、パルス状制御信号によって制御されるスイッチ51、42を交互に切り替えることによって制御され、第1のスイッチ51は第1のコントローラ1によって、また第2の制御可能スイッチ42は第2のコントローラ2によってそれぞれ制御される。出力コイルが電力を制動装置の磁化コイル44へ供給するためには、変成器50を磁化コイルによって交互に磁化したり消磁したりする必要がある。このため、第1および第2のコントローラからのパルス状制御信号14、15を逆位相にして、スイッチ51、42を交互にオンオフする必要がある。いずれか一方のコントローラがパルス状制御信号ではなく直流信号を生成し始め、これによって磁化の制御が停止すると、制動装置の磁化コイル44への給電が止まり、ブレーキが掛かる。
【0065】
図8は、第1の制動装置44および第2の制動装置45の磁化コイルの制御に用いる制御装置11、43を示す。第1のコントローラ1および第2のコントローラ2は第1のブレーキ制御装置11および第2のブレーキ制御装置43を同時に制御して、制動装置の磁化コイル44、45へ電力を供給するために第1および第2のコントローラはパルス状制御信号14、15を生成する必要がある。また、第1のコントローラ1は第2のコントローラ2により生成されるパルス状制御信号の測定値の入力48を有し、第2のコントローラ2は第1のコントローラにより生成される制御信号の測定値の入力49を有している。このようにして、両コントローラはブレーキ制御の作動状態を測定し、運転の信頼性を検証することができる。
【0066】
図9は、制動装置の磁化コイル44、45の制御を示す。第1のコントローラ1は、第1のブレーキ制御装置の制御信号14用出力と第2のブレーキ制御装置43の制御信号46用出力を有している。第2のコントローラ2は、第1のブレーキ制御装置11の制御信号15用出力と第2のブレーキ制御装置43の制御信号47用出力を有している。本実施例では、第1および第2の磁化コイル44、45をパルス状制御信号によって個別に制御することができる。
【0067】
図10は、電力制御装置のデータ転送バス10を示す。このデータ転送バスは第1のデータバス52を有し、これを通して第1のコントローラ1が通信を行ない、さらに第2のデータバス53を含み、これを通して第2のコントローラ2が通信を行なうよう構成されている。データ転送バスには、エレベータかご速度の第1の測定結果12を第1のデータバス52へ送信する送信器54やエレベータかご速度の測定結果13を第2のデータバス53へ送信する送信器58などの送信器が接続されている。加えて、データ転送バスには、例えばエレベータシステムにおける安全スイッチの位置を示す位置データを第1および第2のデータバスへ送信する送信器55、56を接続してもよい。エレベータシステムのこのような安全スイッチの例は、乗り場ドアの安全スイッチである。
【0068】
図12はコントローラの安全診断の動作を示す。コントローラ1、2は故障信号もしくは機能上の逸脱などの第1のエラー状況70を判定する。次いでコントローラ1、2は、そのエラー状況が危険を含むものであるか否かに関する推測71を行なう。必要ならば、コントローラはプログラム制御を作動禁止モード78に設定して、その場合、輸送システムを停止させる動作を行なうとともに、輸送システムの再始動を禁止する。エラー状況によっては作動禁止モード78への遷移が必要ない場合、コントローラは依然として、輸送システムを再始動できる停止状態79にプログラム制御が移行する輸送システムの停止を行なうか、または輸送システムが通常状態で作動し続けることを可能にする。コントローラは、次いで第2のエラー状況80を検出すると、再び同様の方法で推測を行ない、エラー状況が危険73、74を含むものであるか否かを判定し、そこでコントローラは、輸送システムを作動禁止モード78に設定るか、あるいは輸送システムの通常の停止79を行なうか、あるいは輸送システムの通常の作動を可能とする。第3のエラー状況81の後は、同様の推測手順75、76をもう一度繰り返し、この後、新たなエラー状況82が続くと、輸送システムを停止し、プログラム制御は、安全診断ソフトウエアに記述されているような作動禁止モード78か、あるいは再始動を許可する停止モード79のいずれかに移行する。
【0069】
以上、本発明を少数の実施例を参照して説明したが、本発明が上述の実施例だけに限定されることはなく、特許請求の範囲に記載する発明概念の範囲内で多くの他の実施例が可能であることは、当業者に明らかである。
【発明の分野】
【0001】
本発明は、請求項1の前段に記載のフェイルセーフ電力制御装置に関するものである。
【従来技術】
【0002】
エレベータシステムなどの輸送システムには従来から、輸送システムを制御する別個の制御システムと輸送システムの安全を確保する別個の安全システムとが設けられている。
【0003】
エレベータシステムの制御システムは、少なくとも1つのエレベータモータ、エレベータコントローラ、エレベータモータに給電する電力制御装置を含んでいる。エレベータコントローラはエレベータ群制御機能と、かご呼びおよび乗り場呼びを処理する機能とを含んでいる。
【0004】
エレベータシステムの安全システムは安全回路を含み、これは障害状態で開く1つ以上の安全接触器の直列回路と、駆動機械ブレーキもしくは乗りかごブレーキなどの安全回路が開くと作動する安全装置とを有している。さらに、安全システムは、なかでも、速度超過の場合にエレベータかごの安全装置を作動させる超過速度ガバナと、エレベータシャフトの両端部にある終端緩衝器とを含んでもよい。
【0005】
近年、輸送システムに関する安全規則が変わってきて、技術的規則上の観点では、さまざまな機械式安全装置を同様の電気式安全装置に置き換えることが可能になっている。
【0006】
米国特許第6,170,614号明細書は電子式超過速度ガバナを開示し、これは、エレベータシステムにおいて機械式の遠心力作動超過速度ガバナの代わりに使用することができる。電子式超過速度ガバナはエレベータかごの速度もしくは位置を測定し、そのエレベータかごの速度超過が発生中と判定すると、エレベータかごの安全装置などの停止装置を作動させてエレベータかごを停止させる。
【0007】
欧州特許第1,159,218号明細書は、エレベータシステム用に電子的に実現された安全回路を開示している。直列接続の安全接触器を有する従来のエレベータシステム安全回路は、安全接触器もしくは同等のセンサの状態を測定し、これを別のコントローラに直列転送で送信する装置を用いるように改良されている。安全回路のこのような改良は、電気安全機器に関する新しいエレベータシステム安全基準において、いわゆるPESSRAL基準で承認されている。
【0008】
個々の機械式安全装置もしくはリレーなどの機械スイッチを用いて実現される個々の安全装置を同等の電子式安全装置に代えることは、実質的に安全装置の数を少なくすることにはならない。安全装置の基本的機能はいまだに、輸送機器の速度もしくは位置などの特定の輸送システムパラメータを測定することと、測定したパラメータから輸送機器に障害発生中の可能性があるかを推測することに基づいている。例えば、輸送機器のモータを制御するインバータなどの電力制御装置に危険な障害が生じても、この障害は遅れて検出されるにすぎない。例えば、輸送機器の速度が最高許容速度の限界値を越える危険な水準まで加速されたら、超過速度ガバナによって検出されるにすぎない。
【0009】
米国特許出願公開US 2003/0150690 A1号明細書は、輸送システムの速度モニタ用と同システムの停止用の2つのチャンネルを設けたフェイルセーフ制御装置を開示している。
【0010】
米国特許出願公開US 2006/0060427 A1号明細書は、輸送システムの速度モニタ用と同システムの停止用の2つのコントローラを設けたフェイルセーフ制御装置を開示している。
【発明の目的】
【0011】
本発明は、輸送システムに発生し得る障害状態を、従来技術の輸送システムの安全システムを用いた場合に起こり得るより実質的に早期に検出できるフェイルセーフ電力制御装置を開示することを目的とする。同時に、本発明は、輸送システムの安全システムを従来技術の安全システムよりもかなり簡易に作ることができる装置を開示することを目的とする。本発明によるフェイルセーフ電力制御装置を有する安全システムは、従来技術の安全システムより少数の個別の安全装置を有している。
【発明の特徴】
【0012】
本発明のフェイルセーフ電力制御装置は、請求項1の特徴段に記載する事項を特徴とする。本発明の他の実施例は、その他の請求項に記載する事項を特徴とする。発明の実施例は本願の明細書部分にも提示されている。本願に開示した発明の内容は、下記の請求項にて定義した以外の方法により定義することもできる。本発明の内容はまた、とくに明示的もしくは暗示的サブタスクに照らして、または達成される利点もしくは複数の利点のいくつかの組合せに関して本発明を考慮すれば、いくつかの別個の発明を含むこともある。その場合、下記の請求項に含まれる属性の一部は、別の発明概念の観点から不要なこともある。
【0013】
本発明は、輸送システム用のフェイルセーフ電力制御装置に関する。この意味でのフェイルセーフとは、どのような状況で障害が発生しても、電力制御装置により制御される輸送システムの利用者に装置の障害が危険を及ぼさずに安全であるよう設計された装置を言う。
【0014】
本発明に関わる輸送システムは、例えばエレベータシステム、エスカレータシステム、動く歩道システム、もしくはクレーンシステムであってよい。用語「輸送システム」とはここでは、エレベータシステムなどの輸送を目的としたシステム全体を言うが、一方、用語「輸送機器」とは、エレベータかごなど、実際の輸送に用いられるシステム構成機器を言う。
【0015】
エネルギー源と輸送システムのモータとの間で給電を行なう本発明の電力制御装置は電源回路を有し、これは制御可能切替スイッチを有する少なくとも1つの電子的電力コンバータを含む。電力制御装置は、互いに通信するよう構成された少なくとも第1のコントローラと第2のコントローラを有し、これらのコントローラは全体で少なくとも1つのコンバータ制御機能を構成している。電力制御装置は少なくとも1つの制動装置の制御手段を有している。少なくとも第1のコントローラおよび第2のコントローラは、輸送機器の動きをモニタする輸送機器動き信号の入力と、少なくとも1つの制動装置に関する制御信号の出力とを有している。「輸送機器動き信号」とは、輸送機器の加速度、速度もしくは位置などの輸送機器の動き状態を示す信号を言う。このような信号は、例えば輸送機器の動きを測定するエンコーダもしくは加速度センサの測定信号でよい。同様に、「輸送機器の動きのモニタ」とは、輸送機器の加速度、速度もしくは位置などの動き状態をモニタすることを言う。「輸送機器の動き基準の判定」とは、輸送機器の加速度、速度もしくは位置などの動き状態に関する基準値/基準値の組を判定することを言う。
【0016】
本発明の実施例では、少なくとも第1のコントローラはインバータ制御手段を有し、少なくとも第2のコントローラは輸送機器の速度調節手段を有している。この場合、第1および第2のコントローラは輸送機器速度および/または位置を示す測定信号の入力、ならびに輸送機器の速度および/または位置をモニタする入力を有している。
【0017】
本発明による電力制御装置において、第1および第2のコントローラは安全診断機能を含んでいる。「安全診断」とは、特定の安全手順に従って設計されたコンピュータプログラムおよび/または制御電子回路など、特定の安全手順に従って設計されたモニタリングもしくは制御を言う。
【0018】
本発明の実施例では、上記の安全診断の障害状態を輸送機器の動きのモニタリングに基づいて判定する。
【0019】
本発明の実施例では、上記の安全診断の障害状態を第1コントローラと第2コントローラの間の通信に基づいて判定する。
【0020】
本発明による電力制御装置において、少なくとも第1および第2のコントローラは第1および第2の制動装置に関する制御信号の出力を有している。この場合、第1の制動装置は、輸送機器のモータの軸もしくは駆動綱車に機械的に係合する機械ブレーキでよい。第2の制動装置もやはり、上述のモータに係合する機械ブレーキ、または例えばエレベータかごとエレベータかごのガイドレールとの間で機械的に係合するレールブレーキもしくは超過速度ガバナ・ウエッジブレーキでよい。
【0021】
本発明による電力制御装置において、第1のコントローラと第2のコントローラの間には通信バスが配設されている。第2のコントローラは第1のコントローラにメッセージを所定の時間間隔で送信するよう構成され、第1のコントローラは、このメッセージを受信すると第2のコントローラへ応答メッセージを所定の時間内に送信するよう構成されている。両コントローラは、メッセージもしくは応答メッセージの間の時間間隔で所定の限界値からの偏りを検出すると、それぞれが独立して輸送システムを停止させる動作を行なうよう構成されている。
【0022】
本発明による電力制御装置において、メッセージおよび応答メッセージはいずれも少なくとも次のようなデータ項目、すなわち、メッセージもしくは応答メッセージを送信するコントローラにより読み取られた速度および/または位置の測定データ、メッセージもしくは応答メッセージを送信するコントローラにより検出された障害に関する通知、および少なくとも1つの制動装置に対する制御コマンドを含む。両コントローラは、制動装置に対する制御コマンド間の偏り、または各コントローラの速度および/もしくは位置の測定データの間の偏りを検出すると、または検出された誤りに関するメッセージを受信すると、それぞれが独自に輸送システムを停止させる動作を行なうよう構成されている。
【0023】
本発明による電力制御装置は電源回路の遮断機能を有し、この場合、少なくとも第1および第2のコントローラは電源回路を遮断する制御信号の出力を有している。
【0024】
本発明による電力制御装置は、コンバータの切替えスイッチを制御する制御手段を有し、上記制御手段は、少なくとも正の切替接触器もしくは負の切替接触器を制御する制御エネルギー用電源を有している。この場合、電源回路の遮断手段は、電源に直列に取り付けられ制御エネルギーの供給を遮断するた2つの制御可能スイッチを有し、第1のコントローラは第1のスイッチを制御し、第2のコントローラは第2のスイッチを制御して制御エネルギーの供給を遮断するよう構成されている。
【0025】
本発明の実施例では、少なくとも1つの制動装置の制御手段は、ブレーキ制御回路において直列に取り付けられた2つのスイッチを含み、第1のコントローラは第1のスイッチの制御信号の出力を有し、第2のコントローラは第2のスイッチの制御信号の出力を有し、さらに第1および第2のコントローラはいずれも、第1および第2のスイッチの位置を示すデータの入力を有している。
【0026】
本発明による電力制御装置において、第1のコントローラは第1のパルス状制御信号の出力を有し、第2のコントローラは第2のパルス状制御信号の出力を有している。第1のコントローラは第2のパルス状制御信号測定の入力を有し、第2のコントローラは第1のパルス状制御信号測定用の入力を有している。本発明のこの実施例では、少なくとも1つの制動装置の制御手段は第1および第2のパルス状制御信号の入力を有し、上記制動装置の制御手段は第1および第2のパルス状制御信号による同時制御のみにより制動装置に制御電力を供給するよう構成されている。
【0027】
本発明による電力制御装置は、少なくとも1つのデータバスを含むデータ転送バスを有し、このバスで第1のコントローラが通信を行なうよう構成されている。本発明による他の電力制御装置は、第1のデータバスに加えて、第2のデータバスを有し、このバスで第2のコントローラが通信を行なうよう構成されている。この場合、電力制御装置はさらに、第1のデータバスへ接続されて輸送機器の第1の動き信号を送信する送信器と、第2のデータバスへ接続されて輸送機器の第2の動き信号を送信する送信器とを有している。本発明のこの実施例では、第1および第2のコントローラは自身でデータバスから並列に読み取った第1および第2の動き信号を比較し、これら信号が相互の間で一定の限界値を超えた分だけ異なっていることを検出すると、輸送システムを停止させる動作を行なうよう構成されている。上述の第1および第2のデータバスは有線バスもしくは無線バスにでよい。無線データバスの場合、データは、例えば電磁信号もしくは超音波信号の形で転送することができる。
【0028】
本発明の実施例では、データ転送バスは、第1のデータバスへ接続され輸送システムの安全接触器の状態データを送信する送信器と、第2のデータバスへ接続され輸送システムの安全接触器の状態データを送信する送信器とを有している。
【0029】
本発明による電力制御装置において、コンバータ制御機能はモータ駆動モードを有し、少なくとも第1のコントローラは、コンバータ制御機能の状態がモータ駆動モードと異なる状況では、コンバータの正の切替接触器もしくは負の切替接触器を択一的に導通状態へ切り替えてモータの発電制動を行なうよう構成されている。
【0030】
本発明による電力制御装置において、輸送機器の速度および/または位置のモニタリングは、第1のコントローラに関しては第1の最大許容速度の包絡線を、また第2のコントローラに関しては第2の最大許容速度包絡線を含む。この場合、第1および第2のコントローラは、測定された速度を対応の最大許容速度の包絡線の値と比較し、測定された速度と包絡線値との間に所定の限界値を超える差を検出すると、輸送システムを停止させる動作を行なうよう構成されている。
【0031】
本発明の実施例では、第2のコントローラは、測定された速度と最大許容速度の包絡線値との間に所定の限界値を超える差を検出すると、第1のコントローラにモータトルク設定値を送信して、所定の減速度で輸送システムを停止させるよう構成されている。
【0032】
本発明による電力制御装置は、測定された速度と最大許容速度の包絡線値との間に所定の限界値を超える差を検出すると、コンバータ制御によって所定の減速度でモータを停止させるよう構成されている。
【0033】
本発明による電力制御装置において、第1のコントローラは動力用電源コンバータ制御手段を有している。
【0034】
本発明による電力制御装置において、少なくとも第1のコントローラは、障害状態を検出すると、動力用電源コンバータ制御手段によりエネルギー源から電源回路の直流電圧中間回路への電力供給を遮断するよう構成されている。
【0035】
本発明による電力制御装置は、エネルギー源とエレベータシステムのモータとの間で給電を行なうよう構成されている。
【0036】
本発明の電力制御装置を用いる際、給電は、何らかのエネルギー源と何らかの輸送システムモータとの間で行なうことができる。モータはいずれの種類の電動機、すなわち回転モータあるいはリニアモータのいずれでもよい。エネルギー源は、例えば動力用電源もしくは発電機でよい。エネルギー源はまた、バッテリーもしくはスーパコンデンサなどの直流電圧源でよい。
【0037】
本発明の電力制御装置の電源回路は、制御可能なスイッチを有する少なくとも1つのコンバータを有し、これは、例えば周波数および振幅が変化する電圧をモータへ供給するインバータでよい。電源回路はまた、動力用電源コンバータなどの他のコンバータを含んでもよい。この場合、動力用電源コンバータは、動力用電源の交流電圧を直流電圧に変換して電源回路の直流電圧中間回路へ送って、インバータが直流電圧中間回路の電圧を交流電圧に再変換してモータへ送る。
【0038】
本発明の実施例では、通信バスを第1のコントローラと第2のコントローラの間に設けている。これらコントローラのうち2番目のものは、メッセージを所定の時間間隔で送信するよう構成され、このメッセージの長さおよび内容は、あらかじめ決めておいてもよい。両コントローラのうち1番目のものは、第2のコントローラへ応答メッセージを所定の時間内に送信するよう構成されている。第1のコントローラは、所定の時間間隔内に第2のコントローラからメッセージが到着していないことを検出すると、第2のコントローラを故障と判定する。同様に、第2のコントローラは、第1のコントローラが所定の時間内に応答メッセージを送信していないことを検出すると、第1のコントローラの故障と判定する。このような場合、故障状態を検出したコントローラは、他方のコントローラとは無関係にそれ独自で輸送システムを停止させる動作を行なうことができる。「輸送システムを停止させる動作」とは、所定の加速度による制御された状態で輸送システムを停止させること、または駆動機械用ブレーキもしくはエレベータかごの制動装置などの少なくとも1つの停止装置を作動させて輸送システムを停止させることを言う。輸送システムを停止させる動作は、例えば、少なくとも第1のコントローラもしくは第2のコントローラを、ブレーキの解除および/またはモータの始動を禁止する運用状態に設定することによって輸送システムの再始動を阻止する動作を含む。送信すべき相続くメッセージの間の時間間隔と応答メッセージの許容される時間遅延は、典型的には短かくして、本質的にコントローラの故障で輸送システムが危険な状態になる前にこれを検出できるようにする。相続くメッセージの間の時間間隔は、例えば10ミリ秒でよい。
【0039】
本発明の実施例では、コンバータに用いられる切替スイッチはIGBTトランジスタである。この場合、「コンバータの切替スイッチを制御する手段」とは、切替スイッチを制御する制御信号の信号路、および制御信号を増幅する手段を言う。これらの手段は少なくとも、IGBTトランジスタのゲート制御部の制御用エネルギー電源、およびIGBTトランジスタのゲートへの制御信号を増幅する増幅回路を含む。使用される切替スイッチはIGBTトランジスタ以外の制御可能なスイッチ、例えば従来技術のMOSFETトランジスタもしくはGTOサイリスタなどでもよい。この場合にも、制御手段は、信号路、各スイッチを制御する制御用エネルギー電源、および制御信号を増幅する増幅回路を含んでよい。
【0040】
本発明の実施例では、電力制御装置は電源回路を遮断する機能を有している。本発明の実施例では、動力用電源回路の遮断は、切替スイッチを制御する手段に含まれる増幅回路への電力供給を抑止することによって実現される。この電力供給は、互いに直列に接続された2つの制御可能なスイッチによって抑止され、各スイッチは増幅回路へ電力を供給する電源と直列にある。これらのスイッチのうち1番目のものは第1のコントローラによって、また2番目のものは第2のコントローラによって制御される。したがって、両コントローラのいずれか一方によって、互いに無関係に、電源回路を遮断することができる。さらに、第2のスイッチの制御信号の状態は第1のコントローラによって、また第1のスイッチの状態は第2のコントローラによってそれぞれ測定することができ、そうすれば、電源回路遮断機能の作動状態の正確性をテレコ状態で測定することによって検証することができる。遮断に用いる制御可能なスイッチは、望ましくはMOSFETトランジスタである。
【0041】
本発明の実施例では、電力制御装置は、ブレーキ制御回路、およびブレーキ制御回路において互いに直列に取り付けた2つの制御可能なスイッチを有している。これらのスイッチのうち少なくとも1つが開くと、ブレーキ制御回路は遮断された状態になり、ブレーキコイルには電流が流れない。したがって、ブレーキが掛かり、輸送機器の動きを阻止する。本発明のこの実施例では、第1のスイッチは第1のコントローラによって、また第2のスイッチは第2のコントローラによって制御され、したがってブレーキ制御回路は、いずれかのコントローラによって互いに無関係に遮断することができる。
【0042】
本発明の装置は、制動装置を制御する1つ以上の制御機能を含み、これは、第1のパルス状制御信号および第2のパルス状制御信号の入力を含む。第1のコントローラが第1のパルス状制御信号を、また第2のコントローラが第2のパルス状制御信号を上記の制動装置制御機能のそれぞれに供給してよい。各制動装置制御機能は、第1および第2のパルス状制御信号の両方を受信したときのみ、電力を制動装置へ供給するよう構成されている。両パルス状制御信号のいずれか一方が停止すると、すなわち、制御信号が直流信号に変わると、制動装置を制御する制御機能は直ちに制動装置への電力供給を停止する。制動装置はここで制動を開始し、これによって輸送機器の動きを阻止する。
【0043】
本発明の実施例では、電力制御装置は2つの個別のデータバスからなるデータ転送バスを有している。第1のコントローラは第1のデータバスを通して通信し、また第2のコントローラは第2のデータバスを通して通信するよう構成されている。これらのコントローラは、データ転送バスの別々のデータバスから同時にデータを読み取り、それぞれが読み取ったデータをコントローラ間の通信バスを通して相手に送信し、同時に読み取ったデータ項目を互いに比較し、これによってデータの正確性を検証することができる。例えば、第1のデータバスには第1の測定装置を配設し、これは、輸送機器の加速度、速度もしくは位置を測定し、その送信器を介して輸送機器の加速度、速度もしくは位置に関する測定データを第1のデータバスを通して第1のコントローラへ送信するものであってよい。第2のデータバスには第2の測定装置を配設して、これは、輸送機器の加速度、速度もしくは位置を測定し、その送信器を介して輸送機器の加速度、速度もしくは位置に関する測定データを第2のデータバスを通して第2のコントローラへ送信するものであってよい。これらコントローラは第1の測定装置と第2の測定装置の測定データを相互に比較することができ、測定データの間に最大許容限界値を超える差を検出すると、測定装置の一方が故障していると判定する。この場合、電力制御装置は輸送システムを停止させる動作を行ない、例えばその輸送機器を所定の加速度で停止させることによって、および/または少なくとも1つの停止装置を作動させることによって運転の再始動を阻止することができる。
【0044】
本発明の実施例では、電力制御装置は輸送機器の少なくとも1つの安全スイッチの状態を読み取るよう構成されている。安全スイッチに関連して電子的読取装置が設けられ、これは、安全スイッチの状態を読み取り、それを第1のデータバスと第2のデータバスへ別々に送信する。第1および第2のコントローラは安全スイッチの状態を読み取り、状態データを互いに比較する。このようにして、状態データを比較することによって、安全スイッチ状態データの正確性を検証することができる。このような安全スイッチには、例えばエレベータシステムにおける乗り場ドア安全スイッチや、エスカレータシステムにおけるくし板安全スイッチが含まれる。
【0045】
本発明による電力制御装置において、少なくとも第1のコントローラはコンバータ制御段を有している。コンバータ制御機能はモータ駆動モードなどのさまざまな作動モードを有してよく、これは、少なくとも第1のコントローラが速度基準値に可能な限り従って輸送システムのモータのトルクを調節するモードを意味している。コンバータ制御機能は発電ブレーキモードを有してもよく、さらにコンバータ制御機能は、モータ駆動モードを終了する都度、発電ブレーキモードにはいるように構成してもよい。発電ブレーキモードでは、少なくとも第1のコントローラはコンバータの正の切替接触器もしくは負の切替接触器を択一的に導通状態に制御することができ、これによってモータの従来技術の発電ブレーキを作動させる。
【0046】
この文脈で「切替スイッチ」とは、電源回路における直流電圧中間回路の正および負の電流レールの間に直列に取り付けられた2つの制御可能なスイッチを言う。「正の切替接触器」とは、正の電流レールへ取り付けたスイッチを意味し、「負の切替接触器」とは、負の電流レールへ取り付けたスイッチを意味する。
【0047】
本発明の実施例では、第1および第2のコントローラは最大許容速度の包絡線を含む。最大許容速度の包絡線の値は、輸送機器の位置の関数として、例えば、輸送機器が動きの終端限界点へ近づいている場合、限界値の絶対値が小さくなるよう変化してよい。さらに、限界値は、輸送機器の所望の速度に従って、すなわち速度基準値に従って変化して、所定の一定値もしくは1より大きい倍率に従って限界値の絶対値が速度基準の絶対値より常に大きくなるようにしてもよい。本発明の実施例では、第1および第2のコントローラは輸送機器の速度と最大許容速度の包絡線の値との間で個々に比較を行なう。第1もしくは第2のコントローラは、輸送機器の測定速度が所定の限界値を超えた分だけ異なっていることを検出すると、それぞれ独自に輸送システムを停止させる動作を行なう。
【0048】
本発明について説明したコントローラは、例えばマイクロコントローラもしくはプログラム可能なFPGA(フィールドプログラム可能なゲートアレイ)回路でよい。各コントローラは、論路回路などの個別部品を用いて実現してもよい。
【発明の利点】
【0049】
本発明により達成される利点は次のうちの少なくとも1つを含む。
−個別の安全装置の数が減少するので、システム全体が簡素化される。システム全体の信頼性が改善され、コストが低減される。
−停止装置は機械スイッチによって直接制御されず、スイッチの状態を測定し、その測定データをフィルタできるので、スイッチの瞬断によるシステムの信頼性の問題が減少する。
−電力制御装置がエレベータの安全停止を集中的に管理するので、装置は、すでに行なった推測に基づいてエレベータかごを所定の減速度で停止させ、例えばエレベータかごを最寄りの階に停留させてエレベータかごから乗客を降ろすことができ、または状況に応じて電力制御装置は、少なくとも1つの停止装置を作動させてエレベータかごを可能な限り迅速に停止させることができる。
−電力制御装置に含まれている各コントローラは互いの作動をモニタすることができ、障害状況を検出すると、エレベータかごを制御して直ちに停止させるので、電力制御装置の故障の場合のシステムの反応時間が短縮される。
−モータを電力制御装置によって制御する必要がある場合、コントローラは、エレベータかごの動きに関する設定値、すなわち動き基準値を距離もしくは時間の関数として算出する必要がある。最大許容動き限度をモニタする必要がある場合、この動き基準から最大限度を生成するのに多量の計算は必要ない。例えば、速度超過制御に用いられる最大許容速度の包絡線を距離もしくは時間の関数として速度の設定値から、すなわち速度基準値から、例えば従来技術のやり方で線形スケーリングによってたやすく生成することができる。そこで、包絡線の計算をより速く行なうことができ、これがさらにコントローラの計算容量を節減する。
【図面の簡単な説明】
【0050】
次に、添付図面を参照して本発明を詳細に説明する。
【図1】本発明による電力制御装置を示す図である。
【図2】本発明の電力制御装置の通信バスで送信されるメッセージのタイミングを示す図である。
【図3】本発明の電力制御装置に用いられるコンバータを示す図である。
【図4】本発明による電源回路の遮断を示す図である。
【図5】本発明による電源回路における切替スイッチを示す図である。
【図6】制動装置を制御する本発明による手法を示す図である。
【図7】制動装置を制御する本発明による他の手法を示す図である。
【図8】本発明による2つの制動装置を制御する手法を示す図である。
【図9】本発明による2つの制動装置を制御する他の手法を示す図である。
【図10】本発明によるデータ転送バスを示す図である。
【図11】輸送機器の最大許容速度および速度基準値に関する本発明による包絡線を示す図である。
【図12】安全診断の動作を示す図である。
【実施例】
【0051】
次の実施例はフェイルセーフ電力制御装置を設けたエレベータシステムを説明するものである。
【0052】
図1は、本発明によるフェイルセーフ電力制御装置を示す。電源回路6は、動力用電源コンバータ8およびインバータ7を有している。動力用電源コンバータは正弦波動力用電源電圧4を直流電圧に変換し、これを電源回路の直流電圧中間回路23へ送る。直流電源中間回路は電圧を平滑化するエネルギー蓄積器22を有している。インバータ7は直流電圧を可変周波数および可変振幅の電圧に変換し、これをモータ5へ供給する。動力用電源線には、動力用電源スイッチ16が追加されている。
【0053】
第2のコントローラ2はモータ速度13を測定し、その測定速度をできる限り速度基準値59に従って調節するが、これは、速度基準値と速度測定値との間の差に相当するモータトルク設定値を第1のコントローラ1に通信バスを通して送信することによって行なう。第1のコントローラ1は、モータトルクをそのコンバータ制御機能によってインバータ7のスイッチ32を制御することで調節する。
【0054】
第2のコントローラ2は自身が測定した速度値を通信バス17を通してメッセージとして第1のコントローラ1へ送信する。第1のコントローラは同様に、速度12を測定し、これにより得られた速度値を応答メッセージとして第2のコントローラへ通信バスを通して送信する。両コントローラは互いに速度測定値を比較し、これらの測定値間に所定の限界値を超える差を検出すると、それぞれ独自にエレベータシステムを安全状態にする動作を行なう。ここで言う「エレベータシステムを安全状態にする動作」とは、所定の加速度でエレベータかごを停止させ、または少なくとも1つの制動装置を作動させることを言う。第1および第2のコントローラはそれぞれ独自に最大許容速度の包絡線58を計算する。これは速度の設定値、すなわちエレベータかごの速度基準を1より大きい一定値によってスケーリングすることにより行なう。加えて、第1および第2のコントローラは測定速度値12、13を最大許容速度の包絡線と比較して、その速度測定値が包絡線の値を超えている場合、両コントローラはそれぞれ独自にエレベータシステムを安全状態にする動作を行なう。
【0055】
本発明のこの実施例では、エレベータかごの速度は、エレベータモータ5の駆動綱車に係合する2つのエンコーダによって測定するが、エレベータの動きの測定機能は、例えば第1のコントローラ1がエレベータかごの動きを例えばそのエレベータかごに取り付けられた加速度センサもしくはエンコーダによって測定し、第2のコントローラ2がモータ5の動きを回転軸もしくは駆動綱車へ連結されたエンコーダによって測定するように構成することもできる。これにより、エレベータかごの動きの測定値を比較することによって、例えばエレベータロープ破損の発生を検出することができる。しかし、第1のコントローラ1および第2のコントローラ2がエレベータかごの動きを、例えばそのエレベータかごに直接連結された、またはエレベータの超過速度ガバナのローププーリへ連結されたセンサによって測定することも可能である。
【0056】
エレベータシステムを安全状態にするため、いずれか一方のコントローラは少なくとも1つの制動装置44、45をそれぞれ独自に作動させることができる。制動装置の制御は、解除すべきブレーキについて各コントローラから同じ制御指令を必要とするよう構成されている。いずれのコントローラからも制御指令が得られない場合、ブレーキは解除されない。
【0057】
エレベータシステムを安全状態にするのにブレーキを直ちに閉にする必要がない場合、第2のコントローラは第1のコントローラにエレベータモータのトルクの設定値を送って、エレベータかごを所定の減速度60で停止させることができる。第1のコントローラもやはり、モータトルクをコンバータ制御により制御して、第2のコントローラとは無関係にエレベータかごを所定の減速度で停止させることができる。
【0058】
フェイルセーフ電力制御装置はデータ転送バス10も含んでいる。このデータ転送バスを通して、第1のコントローラ1および第2のコントローラ2は、エレベータシステムにおける安全スイッチ57の位置などの各センサからの読取りを行なうことができる。第1および第2のコントローラは上記位置データを比較し、これによって測定の動作状態を検証することができる。各測定値に基づいて、第1のコントローラおよび/または第2のコントローラは、必要な場合、エレベータシステムを安全状態にする動作を行なうことができる。
【0059】
第1のコントローラ1および第2のコントローラ2は、インバータ7の切替スイッチの負の切替接触器34および/または正の切替接触器33の制御を禁止することによって電源回路6を個々に遮断することができる。また、第2のコントローラは、禁止指令を第1のコントローラへ送信することによって、動力用電源インバータ8を通る動力用電源4から直流電圧中間回路23への給電を阻止することができる。第1のコントローラは、動力用電源から直流電圧中間回路への給電を禁止することができるが、これは、動力用電源インバータ8を動力用電源インバータ制御によって制御して直流電圧中間回路23へ電力が流れないようにすることで行なう。
【0060】
動力用電源インバータ8はサイリスタブリッジでよいが、その場合、第1および第2のコントローラは、動力用電源4から直流電圧中間回路23への給電を、サイリスタブリッジにあるサイリスタのゲートへ電流が流れるのを阻止することによって遮断することができる。
【0061】
図2は、第1のコントローラ1と第2のコントローラ2の間の通信バス17におけるメッセージのタイミングを可視化したものである。第2のコントローラ2はメッセージ19を第1コントローラへ送る。メッセージは一定の間隔18で送信される。第1のコントローラ1は応答メッセージ20を第2のコントローラに、メッセージ19の受信後所定の時間21内に送信する。第1のコントローラが所定の一定間隔18で第2のコントローラからメッセージ19が到着していないことを検出すると、第1のコントローラは第2のコントローラが故障したと推測し、エレベータシステムを安全状態にする動作を行なうことができる。同様に、第2のコントローラにおいて、第1のコントローラが所定の時間21内に応答メッセージ20を送信しなかったことを検出すると、第2のコントローラは第1のコントローラが故障したと推測し、エレベータシステムを安全状態にする動作を行なうことができる。
【0062】
図4は、電源回路6の遮断を示す。遮断回路は2つの制御可能なスイッチ25、31を有し、これらを使用して、切替接触器の制御信号30を増幅する増幅回路29への給電を阻止することができる。第1のコントローラは制御信号26によってスイッチ25を制御し、第2のコントローラは制御信号27によってスイッチ31を制御する。これらスイッチ25、31は直列になっているので、第1コントローラ1および第2のコントローラ2の双方とも、そのスイッチを開にして増幅回路29への給電を阻止することによって、それぞれ独自に電源回路6を遮断することができる。
【0063】
図6は制動装置の制御を示す。制動装置は、磁化電流を制動装置36の磁化コイル36に供給することによって制御される。電流がコイルに流れると、ブレーキが解除される。ブレーキ制御回路39は、直列に配設された2つの制御可能なスイッチ37、38を有している。これらのスイッチのいずれか一方が開になると、磁化コイルへの電力の流れが遮断され、これによってブレーキの解除を阻止する。第1のコントローラ1は制御信号40によって第1のスイッチ37を制御し、第2のコントローラ2は制御信号41によって第2のスイッチ38を制御する。各コントローラはそれぞれ独自にブレーキ制御回路を開にして、ブレーキの解除を阻止することができる。換言すれば、解除されるブレーキにとっては、両コントローラ1、2からの同じ制御が必要となる。
【0064】
図7は、ブレーキ制御装置11を示す。このブレーキ制御装置は、一次側に2つの磁化コイルと二次側に1つの出力コイルを設けた変成器50を有している。磁化コイル内の電流は、パルス状制御信号によって制御されるスイッチ51、42を交互に切り替えることによって制御され、第1のスイッチ51は第1のコントローラ1によって、また第2の制御可能スイッチ42は第2のコントローラ2によってそれぞれ制御される。出力コイルが電力を制動装置の磁化コイル44へ供給するためには、変成器50を磁化コイルによって交互に磁化したり消磁したりする必要がある。このため、第1および第2のコントローラからのパルス状制御信号14、15を逆位相にして、スイッチ51、42を交互にオンオフする必要がある。いずれか一方のコントローラがパルス状制御信号ではなく直流信号を生成し始め、これによって磁化の制御が停止すると、制動装置の磁化コイル44への給電が止まり、ブレーキが掛かる。
【0065】
図8は、第1の制動装置44および第2の制動装置45の磁化コイルの制御に用いる制御装置11、43を示す。第1のコントローラ1および第2のコントローラ2は第1のブレーキ制御装置11および第2のブレーキ制御装置43を同時に制御して、制動装置の磁化コイル44、45へ電力を供給するために第1および第2のコントローラはパルス状制御信号14、15を生成する必要がある。また、第1のコントローラ1は第2のコントローラ2により生成されるパルス状制御信号の測定値の入力48を有し、第2のコントローラ2は第1のコントローラにより生成される制御信号の測定値の入力49を有している。このようにして、両コントローラはブレーキ制御の作動状態を測定し、運転の信頼性を検証することができる。
【0066】
図9は、制動装置の磁化コイル44、45の制御を示す。第1のコントローラ1は、第1のブレーキ制御装置の制御信号14用出力と第2のブレーキ制御装置43の制御信号46用出力を有している。第2のコントローラ2は、第1のブレーキ制御装置11の制御信号15用出力と第2のブレーキ制御装置43の制御信号47用出力を有している。本実施例では、第1および第2の磁化コイル44、45をパルス状制御信号によって個別に制御することができる。
【0067】
図10は、電力制御装置のデータ転送バス10を示す。このデータ転送バスは第1のデータバス52を有し、これを通して第1のコントローラ1が通信を行ない、さらに第2のデータバス53を含み、これを通して第2のコントローラ2が通信を行なうよう構成されている。データ転送バスには、エレベータかご速度の第1の測定結果12を第1のデータバス52へ送信する送信器54やエレベータかご速度の測定結果13を第2のデータバス53へ送信する送信器58などの送信器が接続されている。加えて、データ転送バスには、例えばエレベータシステムにおける安全スイッチの位置を示す位置データを第1および第2のデータバスへ送信する送信器55、56を接続してもよい。エレベータシステムのこのような安全スイッチの例は、乗り場ドアの安全スイッチである。
【0068】
図12はコントローラの安全診断の動作を示す。コントローラ1、2は故障信号もしくは機能上の逸脱などの第1のエラー状況70を判定する。次いでコントローラ1、2は、そのエラー状況が危険を含むものであるか否かに関する推測71を行なう。必要ならば、コントローラはプログラム制御を作動禁止モード78に設定して、その場合、輸送システムを停止させる動作を行なうとともに、輸送システムの再始動を禁止する。エラー状況によっては作動禁止モード78への遷移が必要ない場合、コントローラは依然として、輸送システムを再始動できる停止状態79にプログラム制御が移行する輸送システムの停止を行なうか、または輸送システムが通常状態で作動し続けることを可能にする。コントローラは、次いで第2のエラー状況80を検出すると、再び同様の方法で推測を行ない、エラー状況が危険73、74を含むものであるか否かを判定し、そこでコントローラは、輸送システムを作動禁止モード78に設定るか、あるいは輸送システムの通常の停止79を行なうか、あるいは輸送システムの通常の作動を可能とする。第3のエラー状況81の後は、同様の推測手順75、76をもう一度繰り返し、この後、新たなエラー状況82が続くと、輸送システムを停止し、プログラム制御は、安全診断ソフトウエアに記述されているような作動禁止モード78か、あるいは再始動を許可する停止モード79のいずれかに移行する。
【0069】
以上、本発明を少数の実施例を参照して説明したが、本発明が上述の実施例だけに限定されることはなく、特許請求の範囲に記載する発明概念の範囲内で多くの他の実施例が可能であることは、当業者に明らかである。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エネルギー源(4)と輸送システムのモータ(5)との間にあって、制御可能な切替スイッチ(32)を含む少なくとも1つの電子的電力コンバータ(7、8)を含む電源回路(6)と、互いに通信するよう構成された少なくとも第1のコントローラ(1)および第2のコントローラ(2)とを含み、該コントローラ(1、2)は、全体で少なくとも1つのコンバータ制御機能を含み、さらに、少なくとも1つの制動装置の制御手段(11、43)を含む給電用電力制御装置(3)において、少なくとも第1および第2のコントローラ(1、2)は、該輸送機器の動き信号(12、13)の入力、輸送機器の動きをモニタする入力、おおび少なくとも1つの制動装置の制御信号(14、15、46、47)の出力を含むことを特徴とする給電用電力制御装置。
【請求項2】
請求項1に記載の電力制御装置において、少なくとも第1のコントローラ(1)はコンバータ制御機能を含み、少なくとも第2のコントローラ(2)は輸送機器速度の調節機能を含み、第1のコントローラ(1)および第2のコントローラ(2)は、該輸送機器の速度および/または位置を示す測定信号の入力を含み、前記コントローラは、該輸送機器の速度および/または位置のモニタリング機能を含むことを特徴とする電力制御装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の電力制御装置において、第1および第2のコントローラは安全診断機能を含むことを特徴とする電力制御装置。
【請求項4】
請求項3に記載の電力制御装置において、前記安全診断機能によるエラー状況は、輸送機器動きのモニタリングに基づいて判定することを特徴とする電力制御装置。
【請求項5】
請求項3または4に記載の電力制御装置において、前記安全診断機能によるエラー状況は、第1のコントローラ(1)と第2のコントローラ(2)の間の通信に基づいて判定することを特徴とする電力制御装置。
【請求項6】
前記請求項のいずれかに記載の電力制御装置において、第1のコントローラ(1)と第2のコントローラ(2)の間には通信バス(17)が設けられ、第2のコントローラ(2)は、第1のコントローラ(1)にメッセージ(19)を所定の時間間隔(18)で送信するよう構成され、第1のコントローラ(1)は、前記メッセージを受信すると第2のコントローラに応答メッセージ(20)を所定の時間(21)内に送信し、該コントローラ(1、2)は、メッセージ間もしくは応答メッセージ間の間隔が所定の限界値から逸脱したことを検出すると、前記輸送システムを停止させる動作をそれぞれが独立して行なうよう構成されていることを特徴とする電力制御装置。
【請求項7】
請求項2に記載の電力制御装置において、前記メッセージ(19)および応答メッセージ(20)はいずれも、少なくとも次のデータ項目:
・前記メッセージ(19)もしくは応答メッセージ(20)を送信するコントローラが読み取った速度および/または位置の測定データ(12、13)
・前記メッセージもしくは応答メッセージを送信するコントローラにより検出された障害に関する通知
・少なくとも1つ制動装置(44、45)への制御指令
を含み、
両コントローラは、前記制動装置制御指令の間に、もしくは前記コントローラの速度および/または位置の測定データの間に偏りを検出すると、または検出された障害に関するメッセージを受信すると、前記輸送システムを停止させる動作をそれぞれが独自に行なうよう構成されていることを特徴とする電力制御装置。
【請求項8】
前記請求項のいずれかに記載の電力制御装置(3)において、該電力制御装置は電源回路の遮断手段を含み、少なくとも第1のコントローラ(1)および第2のコントローラ(2)は、前記電源回路(6)を遮断する制御信号(26、27)の出力を含むことを特徴とする電力制御装置。
【請求項9】
請求項4に記載の電力制御装置において、該電力制御装置は、前記コンバータの切替スイッチを制御する制御手段(24)を含み、該制御手段は、正の切替接触器(33)もしくは負の切替接触器(34)を制御する、少なくとも制御エネルギー用の電源(28)を含み、前記電源回路(6)の遮断手段は、該電源に直列に設けられて前記制御エネルギーの供給を遮断する2つの制御可能スイッチ(25、31)含み、第1のコントローラ(1)は第1のスイッチ(25)を制御するよう構成され、第2のコントローラ(2)は第2のスイッチ(31)を制御するよう構成されて前記制御エネルギーを遮断することを特徴とする電力制御装置。
【請求項10】
前記請求項のいずれかに記載の電力制御装置において、少なくとも1つの制動装置の制御手段(11、43)はブレーキ制御回路(39)に直列に設けられ2つのスイッチ(37、38)を含み、第1のコントローラ(1)は第1のスイッチの制御信号(40)の出力を含み、第2のコントローラ(2)は第2のスイッチ(41)の制御信号の出力を含み、両第1および第2のコントローラは、第1のスイッチ(37)および第2のスイッチ(38)の位置を示すデータの入力を含むことを特徴とする電力制御装置。
【請求項11】
請求項1ないし5のいずれかに記載の電力制御装置において、第1のコントローラ(1)は第1のパルス状制御信号(14)の出力を含み、第2のコントローラ(2)は第2のパルス状制御信号(15)の出力を含み、第1のコントローラは第2のパルス状制御信号の測定結果の入力(48)を含み、第2のコントローラは第1のパルス状制御信号の測定結果の入力(49)を含み、少なくとも1つの制動装置の制御手段(11、43)は第1および第2のパルス状制御信号(14、15)の入力を含み、該制動装置の制御手段(11、43)は、第1および第2のパルス状制御信号(14、15)によって該制動装置(44、45)へ制御用電力を同時制御によってのみ供給するよう構成されていることを特徴とする電力制御装置。
【請求項12】
前記請求項のいずれかに記載の電力制御装置において、該電力制御装置はデータ転送バス(10)を含み、該データ転送バスは、第1のコントローラ(1)の通信を通すように構成された第1のデータバス(52)と、第2のコントローラ(2)の通信を通すように構成された第2のデータバス(53)と、第1のデータバスに接続されて前記輸送機器の第1の動き信号(12)を送信する送信器(54)と、第2のデータバスに接続されて該輸送機器の第2の動き信号(13)を送信する送信器(58)とを含み、第1および第2のコントローラは、自身で前記データバス(52、53)から並列に読み出した第1および第2の動き信号を比較し、該信号が互いに一定の限界値を超える分だけ異なっていることを検出すると、前記輸送システムを停止させる動作を行なうよう構成されていることを特徴とする電力制御装置。
【請求項13】
請求項8に記載の電力制御装置において、前記データ転送バス(10)は、第1のデータバス(52)に接続されて前記輸送システムの安全接触器(57)の状態データを送信する送信器(55)と、第2のデータバス(53)に接続されて該輸送システムの安全接触器(57)の状態データを送信する送信器(56)とを含むことを特徴とする電力制御装置。
【請求項14】
前記請求項のいずれかに記載の電力制御装置において、前記コンバータ制御機能はモータ駆動モードを含み、少なくとも第1のコントローラ(1)は、該コンバータ制御機能の状態が前記モータ駆動モードとは異なる状況では、前記コンバータの正の切替接触器(33)もしくは負の切替接触器(34)を択一的に導通状態に切り替えて、前記モータ(5)の発電制動を行なうよう構成されていることを特徴とする電力制御装置。
【請求項15】
前記請求項のいずれかに記載の電力制御装置において、前記輸送機器の速度および/または位置のモニタリングは、第1のコントローラ(1)に関しては第1の最大許容速度の包絡線(58)を、また第2のコントローラに関しては第2の最大許容速度の包絡線(58)を含み、第1および第2のコントローラは、前記測定された速度(12、13)を対応する最大許容速度の包絡線(58)の値と比較し、該測定された速度と該包絡線の値との間に所定の限界値を超える差を検出すると、前記輸送システムを停止させる動作を行なうよう構成されていることを特徴とする電力制御装置。
【請求項16】
請求項11に記載の電力制御装置において、第2のコントローラ(2)は、前記測定された速度と前記最大許容速度の包絡線(58)の値との間に所定の限界値を超える差を検出すると、第1のコントローラ(1)にモータトルク設定値を送って前記輸送システムを所定の減速度(60)で停止させるよう構成されていることを特徴とする電力制御装置。
【請求項17】
請求項11または12に記載の電力制御装置において、第1のコントローラ(1)は、前記測定された速度(12、13)と前記最大許容速度の包絡線(58)の値との間に所定の限界値を超える差を検出すると、前記モータをコンバータ制御により所定の減速度(60)で停止させえるよう構成されていることを特徴とする電力制御装置。
【請求項18】
前記請求項のいずれかに記載の電力制御装置において、第1のコントローラ(1)は動力用電源コンバータ制御機能を含むことを特徴とする電力制御装置。
【請求項19】
請求項14に記載の電力制御装置において、少なくとも第1のコントローラは、障害状況を検出すると、前記エネルギー源(4)から前記電源回路(6)の直流電圧中間回路(23)への給電を動力用電源コンバータ制御により遮断するよう構成されていることを特徴とする電力制御装置。
【請求項20】
前記請求項のいずれかに記載の電力制御装置において、該電力制御装置は、エネルギー源(4)とエレベータシステムのモータ(5)との間で給電を行なうよう構成されていることを特徴とする電力制御装置。
【請求項1】
エネルギー源(4)と輸送システムのモータ(5)との間にあって、制御可能な切替スイッチ(32)を含む少なくとも1つの電子的電力コンバータ(7、8)を含む電源回路(6)と、互いに通信するよう構成された少なくとも第1のコントローラ(1)および第2のコントローラ(2)とを含み、該コントローラ(1、2)は、全体で少なくとも1つのコンバータ制御機能を含み、さらに、少なくとも1つの制動装置の制御手段(11、43)を含む給電用電力制御装置(3)において、少なくとも第1および第2のコントローラ(1、2)は、該輸送機器の動き信号(12、13)の入力、輸送機器の動きをモニタする入力、おおび少なくとも1つの制動装置の制御信号(14、15、46、47)の出力を含むことを特徴とする給電用電力制御装置。
【請求項2】
請求項1に記載の電力制御装置において、少なくとも第1のコントローラ(1)はコンバータ制御機能を含み、少なくとも第2のコントローラ(2)は輸送機器速度の調節機能を含み、第1のコントローラ(1)および第2のコントローラ(2)は、該輸送機器の速度および/または位置を示す測定信号の入力を含み、前記コントローラは、該輸送機器の速度および/または位置のモニタリング機能を含むことを特徴とする電力制御装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の電力制御装置において、第1および第2のコントローラは安全診断機能を含むことを特徴とする電力制御装置。
【請求項4】
請求項3に記載の電力制御装置において、前記安全診断機能によるエラー状況は、輸送機器動きのモニタリングに基づいて判定することを特徴とする電力制御装置。
【請求項5】
請求項3または4に記載の電力制御装置において、前記安全診断機能によるエラー状況は、第1のコントローラ(1)と第2のコントローラ(2)の間の通信に基づいて判定することを特徴とする電力制御装置。
【請求項6】
前記請求項のいずれかに記載の電力制御装置において、第1のコントローラ(1)と第2のコントローラ(2)の間には通信バス(17)が設けられ、第2のコントローラ(2)は、第1のコントローラ(1)にメッセージ(19)を所定の時間間隔(18)で送信するよう構成され、第1のコントローラ(1)は、前記メッセージを受信すると第2のコントローラに応答メッセージ(20)を所定の時間(21)内に送信し、該コントローラ(1、2)は、メッセージ間もしくは応答メッセージ間の間隔が所定の限界値から逸脱したことを検出すると、前記輸送システムを停止させる動作をそれぞれが独立して行なうよう構成されていることを特徴とする電力制御装置。
【請求項7】
請求項2に記載の電力制御装置において、前記メッセージ(19)および応答メッセージ(20)はいずれも、少なくとも次のデータ項目:
・前記メッセージ(19)もしくは応答メッセージ(20)を送信するコントローラが読み取った速度および/または位置の測定データ(12、13)
・前記メッセージもしくは応答メッセージを送信するコントローラにより検出された障害に関する通知
・少なくとも1つ制動装置(44、45)への制御指令
を含み、
両コントローラは、前記制動装置制御指令の間に、もしくは前記コントローラの速度および/または位置の測定データの間に偏りを検出すると、または検出された障害に関するメッセージを受信すると、前記輸送システムを停止させる動作をそれぞれが独自に行なうよう構成されていることを特徴とする電力制御装置。
【請求項8】
前記請求項のいずれかに記載の電力制御装置(3)において、該電力制御装置は電源回路の遮断手段を含み、少なくとも第1のコントローラ(1)および第2のコントローラ(2)は、前記電源回路(6)を遮断する制御信号(26、27)の出力を含むことを特徴とする電力制御装置。
【請求項9】
請求項4に記載の電力制御装置において、該電力制御装置は、前記コンバータの切替スイッチを制御する制御手段(24)を含み、該制御手段は、正の切替接触器(33)もしくは負の切替接触器(34)を制御する、少なくとも制御エネルギー用の電源(28)を含み、前記電源回路(6)の遮断手段は、該電源に直列に設けられて前記制御エネルギーの供給を遮断する2つの制御可能スイッチ(25、31)含み、第1のコントローラ(1)は第1のスイッチ(25)を制御するよう構成され、第2のコントローラ(2)は第2のスイッチ(31)を制御するよう構成されて前記制御エネルギーを遮断することを特徴とする電力制御装置。
【請求項10】
前記請求項のいずれかに記載の電力制御装置において、少なくとも1つの制動装置の制御手段(11、43)はブレーキ制御回路(39)に直列に設けられ2つのスイッチ(37、38)を含み、第1のコントローラ(1)は第1のスイッチの制御信号(40)の出力を含み、第2のコントローラ(2)は第2のスイッチ(41)の制御信号の出力を含み、両第1および第2のコントローラは、第1のスイッチ(37)および第2のスイッチ(38)の位置を示すデータの入力を含むことを特徴とする電力制御装置。
【請求項11】
請求項1ないし5のいずれかに記載の電力制御装置において、第1のコントローラ(1)は第1のパルス状制御信号(14)の出力を含み、第2のコントローラ(2)は第2のパルス状制御信号(15)の出力を含み、第1のコントローラは第2のパルス状制御信号の測定結果の入力(48)を含み、第2のコントローラは第1のパルス状制御信号の測定結果の入力(49)を含み、少なくとも1つの制動装置の制御手段(11、43)は第1および第2のパルス状制御信号(14、15)の入力を含み、該制動装置の制御手段(11、43)は、第1および第2のパルス状制御信号(14、15)によって該制動装置(44、45)へ制御用電力を同時制御によってのみ供給するよう構成されていることを特徴とする電力制御装置。
【請求項12】
前記請求項のいずれかに記載の電力制御装置において、該電力制御装置はデータ転送バス(10)を含み、該データ転送バスは、第1のコントローラ(1)の通信を通すように構成された第1のデータバス(52)と、第2のコントローラ(2)の通信を通すように構成された第2のデータバス(53)と、第1のデータバスに接続されて前記輸送機器の第1の動き信号(12)を送信する送信器(54)と、第2のデータバスに接続されて該輸送機器の第2の動き信号(13)を送信する送信器(58)とを含み、第1および第2のコントローラは、自身で前記データバス(52、53)から並列に読み出した第1および第2の動き信号を比較し、該信号が互いに一定の限界値を超える分だけ異なっていることを検出すると、前記輸送システムを停止させる動作を行なうよう構成されていることを特徴とする電力制御装置。
【請求項13】
請求項8に記載の電力制御装置において、前記データ転送バス(10)は、第1のデータバス(52)に接続されて前記輸送システムの安全接触器(57)の状態データを送信する送信器(55)と、第2のデータバス(53)に接続されて該輸送システムの安全接触器(57)の状態データを送信する送信器(56)とを含むことを特徴とする電力制御装置。
【請求項14】
前記請求項のいずれかに記載の電力制御装置において、前記コンバータ制御機能はモータ駆動モードを含み、少なくとも第1のコントローラ(1)は、該コンバータ制御機能の状態が前記モータ駆動モードとは異なる状況では、前記コンバータの正の切替接触器(33)もしくは負の切替接触器(34)を択一的に導通状態に切り替えて、前記モータ(5)の発電制動を行なうよう構成されていることを特徴とする電力制御装置。
【請求項15】
前記請求項のいずれかに記載の電力制御装置において、前記輸送機器の速度および/または位置のモニタリングは、第1のコントローラ(1)に関しては第1の最大許容速度の包絡線(58)を、また第2のコントローラに関しては第2の最大許容速度の包絡線(58)を含み、第1および第2のコントローラは、前記測定された速度(12、13)を対応する最大許容速度の包絡線(58)の値と比較し、該測定された速度と該包絡線の値との間に所定の限界値を超える差を検出すると、前記輸送システムを停止させる動作を行なうよう構成されていることを特徴とする電力制御装置。
【請求項16】
請求項11に記載の電力制御装置において、第2のコントローラ(2)は、前記測定された速度と前記最大許容速度の包絡線(58)の値との間に所定の限界値を超える差を検出すると、第1のコントローラ(1)にモータトルク設定値を送って前記輸送システムを所定の減速度(60)で停止させるよう構成されていることを特徴とする電力制御装置。
【請求項17】
請求項11または12に記載の電力制御装置において、第1のコントローラ(1)は、前記測定された速度(12、13)と前記最大許容速度の包絡線(58)の値との間に所定の限界値を超える差を検出すると、前記モータをコンバータ制御により所定の減速度(60)で停止させえるよう構成されていることを特徴とする電力制御装置。
【請求項18】
前記請求項のいずれかに記載の電力制御装置において、第1のコントローラ(1)は動力用電源コンバータ制御機能を含むことを特徴とする電力制御装置。
【請求項19】
請求項14に記載の電力制御装置において、少なくとも第1のコントローラは、障害状況を検出すると、前記エネルギー源(4)から前記電源回路(6)の直流電圧中間回路(23)への給電を動力用電源コンバータ制御により遮断するよう構成されていることを特徴とする電力制御装置。
【請求項20】
前記請求項のいずれかに記載の電力制御装置において、該電力制御装置は、エネルギー源(4)とエレベータシステムのモータ(5)との間で給電を行なうよう構成されていることを特徴とする電力制御装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公表番号】特表2010−523434(P2010−523434A)
【公表日】平成22年7月15日(2010.7.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−501539(P2010−501539)
【出願日】平成20年2月1日(2008.2.1)
【国際出願番号】PCT/FI2008/000020
【国際公開番号】WO2008/119870
【国際公開日】平成20年10月9日(2008.10.9)
【出願人】(591159044)コネ コーポレイション (75)
【氏名又は名称原語表記】KONE CORPORATION
【Fターム(参考)】
【公表日】平成22年7月15日(2010.7.15)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年2月1日(2008.2.1)
【国際出願番号】PCT/FI2008/000020
【国際公開番号】WO2008/119870
【国際公開日】平成20年10月9日(2008.10.9)
【出願人】(591159044)コネ コーポレイション (75)
【氏名又は名称原語表記】KONE CORPORATION
【Fターム(参考)】
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