説明

フェナントロリン化合物、該化合物よりなる電子輸送材料、及び該化合物を含んでなる有機薄膜太陽電池

【課題】高い電子輸送性を有し、電極とのエネルギー障壁が小さく、有機薄膜太陽電池に用いたときに高効率の光電変換特性を示す有機薄膜太陽電池用材料を提供する。
【解決手段】下記式(1)で表される化合物。


(Lは単結合もしくは2価の基であり、1,10−フェナントロリンの*で示す6位、8位又は9位のいずれか1つの位置で結合している。)

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規なフェナントロリン化合物、該化合物を含有する電子輸送材料、有機薄膜太陽電池用材料、及びそれを用いた有機薄膜太陽電池及び積層型有機薄膜太陽電池に関する。
【背景技術】
【0002】
太陽電池は、化石燃料の枯渇問題や地球温暖化問題を背景に、クリーンエネルギー源として近年注目されており、研究開発が盛んに行なわれている。従来、実用化されてきたものは、単結晶Si、多結晶Si、アモルファスSi等に代表されるシリコン系太陽電池であるが、高価であることや原料Siの不足問題等が表面化するにつれて、次世代太陽電池への要求が高まりつつある。
このような背景の中で、有機太陽電池は、安価で原材料不足の懸念もないことから、シリコン系太陽電池に次ぐ次世代の太陽電池として注目を集めている。
【0003】
有機太陽電池は、基本的には電子を輸送するn層と正孔を輸送するp層からなる。
n層としてチタニア等の無機半導体表面にルテニウム色素等の増感色素を単分子吸着させたものを用い、p層として電解質溶液を用いたものは、色素増感太陽電池(所謂グレッツェルセル)と呼ばれ、光電変換効率の高さから、1991年以降精力的に研究されてきたが、溶液を用いるため、長時間の使用に際して液漏れする等の欠点を有していた。そこでこのような欠点を克服するため、電解質溶液を固体化して全固体型の色素増感太陽電池を模索する研究も最近なされているが、多孔質チタニアの細孔に有機物をしみ込ませる技術は難易度が高く、再現性よく高変換効率が発現できるセルは完成していないのが現状である。
【0004】
一方、n層、p層ともに有機薄膜からなる有機薄膜太陽電池は、全固体型のため液漏れ等の欠点がなく、作製が容易であり、稀少金属であるルテニウム等を用いないこと等から最近注目を集め、精力的に研究がなされている。
【0005】
有機薄膜太陽電池は、最初メロシアニン色素等を用いた単層膜で研究が進められてきたが、p層とn層を積層した多層膜にすることで光電変換効率(以下、変換効率と略記する場合がある。)が向上することが見出され、それ以降多層膜で構成されたものが主流になってきている。例えば、特許文献1では、p層として銅フタロシアニン(CuPc)、n層としてペリレンイミド類(PTCBI)、励起子阻止層として含窒素系複素環化合物(バソクプロイン:BCP)で構成された有機薄膜太陽電池が開示されている。
【0006】
その後、p層とn層の間にi層(p材料とn材料の混合層)を挿入することにより、変換効率が向上することが見出された。しかしこのとき用いられた材料は、依然としてフタロシアニン類とペリレンイミド類とBCPであった。またその後、p/i/n層を何層も積層するというスタックセル構成によりさらに変換効率が向上することが見出されたが、このときの材料系はフタロシアニン類とフラーレンC60とバソクプロイン(BCP)であった。
【0007】
一方、高分子を用いた有機薄膜太陽電池では、p材料(p層を構成する材料)として導電性高分子を用い、n材料(n層を構成する材料)としてフラーレンC60化合物を用いてそれらを混合し、熱処理することによりミクロ層分離を誘起してp材料とn材料のヘテロ界面を増やし、変換効率を向上させるという、所謂バルクヘテロ構造の研究が主に行なわれてきた。ここで用いられてきた材料系はおもに、p材料としてP3HTと呼ばれる可溶性ポリチオフェン化合物、n材料としてPCBMと呼ばれる可溶性C60化合物であった。
【0008】
このように、有機薄膜太陽電池では、セル構成及びp層とn層のモルフォロジーの最適化により変換効率の向上がもたらされてきたが、そこで用いられる材料系は初期の頃からあまり進展がなく、依然としてフタロシアニン類、ペリレンイミド類、C60類、バソクプロイン(BCP)が用いられてきた。従って、それらに代わる新たな材料系の開発が熱望されていた。
【0009】
特許文献2には、下記式で示されるフェナントロリン誘導体を励起子阻止層に用いた有機薄膜太陽電池が開示されている。このフェナントロリン誘導体が、BCPと同程度のエネルギーギャップを有することに着目して、励起子阻止層への利用がなされている。
【化1】

【0010】
特許文献3には、下記式で示されるペリレンテトラカルボン酸イミドを用いた電子輸送性積層膜が開示されているが、有機薄膜太陽電池への利用についての言及はない。
【化2】

【0011】
一般に有機太陽電池の動作過程は、(1)光吸収及び励起子生成、(2)励起子拡散、(3)電荷分離、(4)電荷移動、(5)起電力発生の素過程からなっているが、有機物は概して電子輸送性に乏しい。さらに有機太陽電池において有機層から陰極への電子取出し効率の改善も課題となっている。このような、課題を解決することで、高い変換効率の有機薄膜太陽電池が得られる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】特表2003−515933号公報
【特許文献2】特表2008−522413号公報
【特許文献3】特開平11−95265号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明の目的は、高い電子輸送性をもち、電極とのエネルギー障壁が小さく、有機薄膜太陽電池に用いたときに高効率の光電変換特性を示す有機薄膜太陽電池用材料を提供することである。
上記目的を達成するため、本発明者らは鋭意研究を行い、電子求引性を示す無水フタル酸骨格、フタルイミド骨格、無水ナフタル酸骨格又はナフタルイミド骨格と、フェナントロリン骨格とを有する化合物が、高い電子輸送性をもち、電極とのエネルギー障壁が小さく、有機薄膜太陽電池に用いたときに高効率の光電変換特性を示すことを見出し、本発明を完成させた。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明によれば、以下の化合物、電子輸送材料、有機薄膜太陽電池用材料、有機薄膜太陽電池、積層型有機薄膜太陽電池、及び有機薄膜太陽電池又は積層型有機薄膜太陽電池を具備する装置が提供される。
1.下記式(1)で表される化合物。
【化3】

[式中、Lは単結合もしくは2価の基であり、1,10−フェナントロリンの*で示す6位、8位又は9位のいずれか1つの位置で結合している。
Rgは、置換もしくは無置換の、ベンゼン環又はナフタレン環である。
Xは、酸素原子、又はN−R(ここで、Rは、水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、置換もしくは無置換の炭素数1〜40のアルキル基、置換もしくは無置換の炭素数2〜40のアルケニル基、置換もしくは無置換の炭素数2〜40のアルキニル基、置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜40のアリール基、置換もしくは無置換の環形成原子数5〜40のヘテロアリール基、置換もしくは無置換の炭素数1〜40のアルコキシ基、又は置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜40のアリールオキシ基である。)である。]
2.前記式(1)で表される化合物が、下記式(2)又は式(3)で表わされる化合物である上記1に記載の化合物。
【化4】

[式中、Xは前記式(1)で定義した通りであり、Lは、単結合もしくは下記式(L1)〜(L12)で表されるいずれかの基であり、1,10−フェナントロリンの*で示す6位、8位又は9位のいずれか1つの位置で結合している。
【化5】

(式中、R11〜R20はそれぞれ、ハロゲン原子、シアノ基、置換もしくは無置換の炭素数1〜40のアルキル基、置換もしくは無置換の炭素数2〜40のアルケニル基、置換もしくは無置換の炭素数2〜40のアルキニル基、置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜40のアリール基、置換もしくは無置換の環形成原子数5〜40のヘテロアリール基、置換もしくは無置換の炭素数1〜40のアルコキシ基、置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜40のアリールオキシ基、置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜40のアリールアミノ基、又は置換もしくは無置換の炭素数1〜40のアルキルアミノ基である。
aは0〜4の整数、bは0〜3の整数,cは0〜2の整数、dは0〜2の整数、eは0又は1、fは0〜2の整数、gは0〜2の整数、hは0〜2の整数、iは0〜2の整数、及びjは0又は1の整数である。
a〜d及びf〜iが2以上の場合、2以上のR11〜R14、R16〜R19はそれぞれ同一でも異なっていてもよい。)]
3.上記1又は2に記載の化合物を含有する電子輸送材料。
4.上記1又は2に記載の化合物を含有する有機薄膜太陽電池用材料。
5.一対の電極の間に上記1又は2に記載の化合物を含む有機層が配置された有機薄膜太陽電池。
6.前記有機層が陰極側のバッファー層である上記5に記載の有機薄膜太陽電池。
7.複数の有機太陽電池単セルを積層した積層型有機薄膜太陽電池の中間電極に接するバッファー層が上記1又は2に記載の化合物を含有する積層型有機薄膜太陽電池。
8.上記5又は6に記載の有機薄膜太陽電池又は上記7に記載の積層型有機薄膜太陽電池を具備する装置。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、有機薄膜太陽電池用材料として用いたときに高効率の光電変換特性を示す新規な特定構造のフェナントロリン化合物が提供できる。
本発明によれば、新規な電子輸送材料及び有機薄膜太陽電池用材料が提供できる。
本発明によれば、高効率な光電変換特性が得られる有機薄膜太陽電池及び積層型有機薄膜太陽電池が提供できる。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明の化合物は下記式(1)で表される構造を有する。
【化6】

式中、Lは単結合もしくは2価の基であり、1,10−フェナントロリンの*で示す6位、8位又は9位のいずれか1つの位置で結合している。
Rgは、置換もしくは無置換の、ベンゼン環又はナフタレン環である。
【0017】
Xは、酸素原子又はN−Rである。
は、水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、置換もしくは無置換の炭素数1〜40のアルキル基、置換もしくは無置換の炭素数2〜40のアルケニル基、置換もしくは無置換の炭素数2〜40のアルキニル基、置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜40のアリール基、置換もしくは無置換の環形成原子数5〜40のヘテロアリール基、置換もしくは無置換の炭素数1〜40のアルコキシ基、又は置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜40のアリールオキシ基である。Rは、好ましくは、炭素数1〜40のアルキル基である。
【0018】
本発明の式(1)で表される化合物は、分子内に無水フタル酸骨格、フタルイミド骨格、無水ナフタル酸骨格及びナフタルイミド骨格から選択される骨格構造を含むことを特徴とし、好ましくは、フタルイミド骨格、ナフタルイミド骨格を含む。
本発明の化合物は、これらの骨格構造を有するため、高い電子輸送性を有し、電極とのエネルギー障壁が小さい。従って、本発明の化合物を有機薄膜太陽電池に用いると、高効率の光電変換特性を示す有機薄膜太陽電池が得られる。
【0019】
式(1)において、Lが2価の基である場合、置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜40のアリーレン基、具体的には、ベンゼン環等から水素原子を2つ取り去った基や、置換もしくは無置換の環形成原子数5〜40のヘテロアリーレン基、具体的には、ピリジン環、ピリミジン環、ピラジン環、トリアジン環、チオフェン環、フラン環、イソオキサゾール環、オキサジアゾール環及びチアゾール環等から水素原子を2つ取り去った基、さらには、キノイド構造を有する化合物、具体的には、ベンゾキノン骨格、テトラシアノキノジメタン骨格等から水素原子を2つ取り去った基を好ましく挙げることができる。
本発明の化合物は、上記のような架橋基Lを有することで、電荷輸送性が向上する。
Lは、さらに好ましくは単結合又はアリーレン基である。単結合の場合は、Jsc(短絡電流密度)を高めることができる、電子輸送性が大きいフタルイミドと、FF(形状因子)が高いフェナントロリン骨格を直接連結することで両方の性能を満たすので変換効率向上の点で好ましい。また,フェニレン基のようなアリーレン基の場合は、π共役が広がるため電子輸送性が増し、変換効率の向上に寄与するので好ましい。アリーレン基としてはフェニレン基が好ましい。
【0020】
式(1)で表される本発明の化合物は、下記式(2)又は式(3)で表わされる化合物であることが好ましい。
【化7】

式中、Xは前記式(1)のXと同様な基であり、Lは、単結合もしくは下記式(L1)〜(L12)で表されるいずれかの基であり、1,10−フェナントロリンの*で示す6位、8位又は9位のいずれか1つの位置で結合している。
【化8】

【0021】
式中、R11〜R20はそれぞれ、ハロゲン原子、シアノ基、置換もしくは無置換の炭素数1〜40のアルキル基、置換もしくは無置換の炭素数2〜40のアルケニル基、置換もしくは無置換の炭素数2〜40のアルキニル基、置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜40のアリール基、置換もしくは無置換の環形成原子数5〜40のヘテロアリール基、置換もしくは無置換の炭素数1〜40のアルコキシ基、置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜40のアリールオキシ基、置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜40のアリールアミノ基、又は置換もしくは無置換の炭素数1〜40のアルキルアミノ基である。
【0022】
aは0〜4の整数、bは0〜3の整数,cは0〜2の整数、dは0〜2の整数、eは0又は1、fは0〜2の整数、gは0〜2の整数、hは0〜2の整数、iは0〜2の整数、及びjは0又は1の整数である。
a〜d、f〜iが2以上の場合、2以上のR11〜R14、R16〜R19はそれぞれ同一でも異なっていてもよい。
a〜jは、好ましくは、0である。
【0023】
及びR11〜R20の置換もしくは無置換の炭素数1〜40のアルキル基は、直鎖、分岐鎖又は環状のいずれであってもよい。具体例としては、例えば、メチル基、エチル基、1−プロピル基、2−プロピル基、1−ブチル基、2−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、種々のペンチル基、種々のヘキシル基、種々のオクチル基、種々のデシル基、種々のドデシル基、2−エチルヘキシル基、3,7−ジメチルオクチル基、シクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、1−アダマンチル基、2−アダマンチル基、ノルボルニル基、トリフルオロメチル基、トリクロロメチル基、ベンジル基、α,α−ジメチルベンジル基、2−フェニルエチル基及び1−フェニルエチル基等が挙げられる。これらのうち、原料の入手しやすさ等の観点から、置換もしくは無置換の炭素数1〜20のアルキル基が好ましく、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、tert−ブチル基及びシクロヘキシル基等がさらに好ましい。
は好適には、置換もしくは無置換の炭素数1〜20のアルキル基である。この範囲のアルキル基が存在すると、湿式法を用いて有機薄膜太陽電池を製造する場合に、溶剤への溶解性が向上し、塗布性が向上するので好ましい。
上記アルキル基の置換基としては、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子のようなハロゲン原子、フェニル基のようなアリール基が挙げられ、当該アリール基はメチル基、エチル基、プロピル基等の炭素数1〜5のアルキル基でさらに置換されていてもよい。
【0024】
及びR11〜R20の置換もしくは無置換の炭素数2〜40のアルケニル基は、直鎖、分岐鎖又は環状のいずれであってもよい。それらの具体例としては、例えば、ビニル基、プロペニル基、ブテニル基、オレイル基、エイコサペンタエニル基、ドコサヘキサエニル基、スチリル基、2,2−ジフェニルビニル基、1,2,2−トリフェニルビニル基及び2−フェニル−2−プロペニル基等が挙げられる。これらのうち、原料の入手しやすさ等の観点から、置換もしくは無置換の炭素数2〜20のアルケニル基が好ましく、ビニル基、スチリル基及び2,2−ジフェニルビニル基等がさらに好ましい。
上記アルケニル基の置換基としては、例えば、フェニル基のようなアリール基が挙げられ、当該アリール基はメチル基、エチル基、プロピル基等の炭素数1〜5のアルキル基でさらに置換されていてもよい。
【0025】
及びR11〜R20の置換もしくは無置換の炭素数2〜40のアルキニル基は、直鎖、分岐鎖又は環状のいずれであってもよい。それらの具体例としては、例えば、エテニル基、プロピニル基及び2−フェニルエテニル基等が挙げられる。これらのうち、原料の入手しやすさ等の観点から、置換もしくは無置換の炭素数2〜20のアルキニル基が好ましく、エテニル基及び2−フェニルエテニル基等がさらに好ましい。
上記アルキニル基の置換基としては、例えば、フェニル基のようなアリール基が挙げられ、当該アリール基はメチル基、エチル基、プロピル基等の炭素数1〜5のアルキル基でさらに置換されていてもよい。
【0026】
及びR11〜R20の置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜40のアリール基の具体例としては、例えば、フェニル基、2−トリル基、4−トリル基、4−トリフルオロメチルフェニル基、4−メトキシフェニル基、4−シアノフェニル基、2−ビフェニリル基、3−ビフェニリル基、4−ビフェニリル基、ターフェニリル基、3,5−ジフェニルフェニル基、3,4−ジフェニルフェニル基、ペンタフェニルフェニル基、4−(2,2−ジフェニルビニル)フェニル基、4−(1,2,2−トリフェニルビニル)フェニル基、フルオレニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基、9−アントリル基、2−アントリル基、9−フェナントリル基、1−ピレニル基、クリセニル基、ナフタセニル基及びコロニル基等が挙げられる。これらのうち、原料の入手しやすさ等の観点から、置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜30のアリール基が好ましく、フェニル基、4−ビフェニリル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基及び9−フェナントリル基等がさらに好ましい。
上記アリール基の置換基としては、例えば、フェニル基のようなアリール基が挙げられ、当該アリール基はメチル基、エチル基、プロピル基等の炭素数1〜5のアルキル基でさらに置換されていてもよい。
【0027】
及びR11〜R20の置換もしくは無置換の環形成原子数5〜40のヘテロアリール基について、含窒素アゾール系へテロ環の場合の結合位置は、炭素だけでなく窒素で結合することができる。それらの具体例としては、例えば、フラニル基、チオフェニル基、ピロリル基、イミダゾリル基、ベンズイミダゾリル基、ピラゾリル基、ベンズピラゾリル基、トリアゾリル基、オキサジアゾリル基、ピリジル基、ピラジル基、トリアジル基、キノリル基、ベンゾフラニル基、ジベンゾフラニル基、ベンゾチオフェニル基、ジベンゾチオフェニル基及びカルバゾリル基等が挙げられる。これらのうち、原料の入手しやすさ等の観点から、置換もしくは無置換の環形成原子数5〜20のヘテロアリール基が好ましく、フラニル基、チオフェニル基、ピリジル基及びカルバゾリル基等がさらに好ましい。
【0028】
及びR11〜R20の置換もしくは無置換の炭素数1〜40のアルコキシ基は、直鎖、分岐鎖又は環状のいずれであってもよく、それらの具体例としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、1−プロピルオキシ基、2−プロピルオキシ基、1−ブチルオキシ基、2−ブチルオキシ基、sec−ブチルオキシ基、tert−ブチルオキシ基、種々のペンチルオキシ基、種々のヘキシルオキシ基、種々のオクチルオキシ基、種々のデシルオキシ基、種々のドデシルオキシ基、2−エチルヘキシルオキシ基、3,7−ジメチルオクチルオキシ基、シクロプロピルオキシ基、シクロペンチルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基、1−アダマンチルオキシ基、2−アダマンチルオキシ基、ノルボルニルオキシ基、トリフルオロメトキシ基、ベンジロキシ基、α,α−ジメチルベンジロキシ基、2−フェニルエトキシ基及び1−フェニルエトキシ基等が挙げられる。これらのうち、原料の入手しやすさ等の観点から、置換もしくは無置換の炭素数1〜20のアルコキシ基が好ましく、メトキシ基、エトキシ基及びter−ブチルオキシ基等がさらに好ましい。
上記アルコキシ基の置換基としては、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子のようなハロゲン原子、フェニル基のようなアリール基が挙げられ、当該アリール基はメチル基、エチル基、プロピル基等の炭素数1〜5のアルキル基でさらに置換されていてもよい。
【0029】
及びR11〜R20の置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜40のアリールオキシ基の具体例としては、前記アリール基が酸素を介して窒素原子又はL1〜L12で表される基に結合する置換基が挙げられる。これらのうち、原料の入手しやすさ等の観点から、フェノキシ基、ナフトキシ基及びフェナントリルオキシ基等が好ましい。
【0030】
11〜R20の置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜40のアリールアミノ基は、アミノ基に結合する置換基のうち少なくともひとつがアリール基であればよく、具体的には、フェニルアミノ基、メチルフェニルアミノ基、ジフェニルアミノ基、ジp−トリルアミノ基、ジm−トリルアミノ基、フェニルm−トリルアミノ基、フェニル−1−ナフチルアミノ基、フェニル−2−ナフチルアミノ基、フェニル(sec−ブチルフェニル)アミノ基、フェニルt−ブチルアミノ基、ビス(4−メトキシフェニル)アミノ基及びフェニル−4−カルバゾリルフェニルアミノ基等を挙げることができる。これらのうち、原料の入手しやすさ等の観点から、ジフェニルアミノ基、ジトリルアミノ基及びビス(4−メトキシフェニル)アミノ基等が好ましい。
【0031】
11〜R20の置換もしくは無置換の炭素数1〜40のアルキルアミノ基は、アミノ基の窒素原子に結合する置換基のうち少なくとも一つがアルキル基、ヒドロキシアルキル基又はアルコキシアルキル基であればよく、2つのアルキル基、ヒドロキシアルキル基又はアルコキシアルキル基がアミノ基に結合する場合、これらの基は互いに同じでも異なっていてもよく、互いに結合して環を形成していてもよい。具体的には、例えば、メチルアミノ基、ジメチルアミノ基、メチルエチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ビス(2−ヒドロキシエチル)アミノ基、ビス(2−メトキシエチル)アミノ基、ピペリジノ基、モルホリノ基等を挙げることができる。これらのうち、原料の入手しやすさ等の観点から、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ピペリジノ基等が好ましい。
【0032】
式(1)中のRgは、置換もしくは無置換の、ベンゼン環又はナフタレン環である。Rgの置換基の例としては、上述したR11〜R20と同様な基が挙げられる。具体的には、ハロゲン原子、シアノ基、置換もしくは無置換の炭素数1〜40のアルキル基、置換もしくは無置換の炭素数2〜40のアルケニル基、置換もしくは無置換の炭素数2〜40のアルキニル基、置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜40のアリール基、置換もしくは無置換の環形成原子数5〜40のヘテロアリール基、置換もしくは無置換の炭素数1〜40のアルコキシ基、置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜40のアリールオキシ基、置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜40のアリールアミノ基、又は置換もしくは無置換の炭素数1〜40のアルキルアミノ基である。
【0033】
本発明の化合物のうち、フタルイミド骨格を有する上記式(2)で表される好ましい化合物としては、例えば以下の構造の化合物が挙げられる。
【化9】

【0034】
本発明の化合物のうち、フタルイミド骨格を有する上記式(2)で表されるさらに好ましい化合物としては、例えば以下の構造の化合物が挙げられる。
【化10】

【0035】
本発明の化合物のうち、ナフタルイミド骨格を有する上記式(3)で表される好ましい化合物としては、上記の(2−A)〜(2−L)において、N−メチルフタルイミド骨格に代えて、4位で結合基又はフェナントロリン骨格と結合するN−メチルナフタルイミド骨格を有する化合物が挙げられる。
【0036】
上記式(2)で表される本発明の化合物を合成する方法としては種々のものがあるが、中でもパラジウムに代表される金属触媒を用いるクロスカップリング反応を挙げることができる。合成経路は、原料が入手し易いこと、反応条件が温和なこと、高収率で目的物を与えること等から好ましい。上記式(2)において、Lが1,10−フェナントロリンの8位に置換する場合の合成経路の一例を下記に示す。
【化11】

【0037】
ここで、Yは、塩素、臭素、ヨウ素等のハロゲン元素、又はトリフルオロメタンスルホニルオキシ基、ノナフルオロブタンスルホニルオキシ基、メタンスルホニルオキシ基及びp−トルエンスルホニルオキシ基等の擬ハロゲン置換基を表す。
【0038】
Mは、−B(OH)、ピナコラートボリル基、カテコールボリル基等のボロン酸基及びそのエステル試薬、Sn(Bu)等の有機スズ試薬、−Si(OH)等の有機ケイ素試薬に代表される典型金属グループを表す。典型金属グループは無水フタル酸に結合していてもよいし(反応式1)、架橋基Lを介してフェナントロリン化合物に結合していてもよい(反応式2)。
【0039】
これら擬ハロゲン置換基を有する結合ユニットと典型金属グループを有する試薬を反応させる条件としては、熊田・玉尾カップリング(Grignard試薬)、根岸カップリング(有機亜鉛試薬)、鈴木・宮浦カップリング(ボロン試薬)、小杉・右田・Stilleカップリング(有機スズ試薬)、檜山カップリング(有機珪素試薬)等の人名反応を用いることができる。
【0040】
また、無水フタル酸誘導体の代わりに無水ナフタル酸誘導体を用いれば、下記のように同様の合成経路によって上記式(3)で表される化合物を製造することができる。
【化12】

(式中のY及びMは、上記無水フタル酸を用いる場合と同様である。)
【0041】
上記の反応で使用することのできる金属触媒としては、塩化パラジウム、酢酸パラジウム、ジクロロビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム等の2価パラジウム、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジジウム、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム等の0価パラジウム、塩化ニッケル、ジクロロビス(トリフェニルホスフィン)ニッケル、ジクロロ(1,3−ビスジフェニルホスフィノプロパン)ニッケル等の2価ニッケル、テトラキス(トリフェニルホスフィン)ニッケル、テトラカルボニルニッケル、ビス(シクロオクタジエン)ニッケル等の0価ニッケルが挙げられる。
【0042】
また、これらの金属触媒に配位子を添加することもできる。その際に用いることのできる配位子としては、2,2’−ビピリジン、1,10−フェナントロリン等のピリジン類、トリフェニルホスフィン、トリ(o−トリル)ホスフィン、トリ(2−フリル)ホスフィン、トリシクロヘキシルホスフィン、トリ(t−ブチル)ホスフィン、2−ジt−ブチルホスフィノビフェニル(JohnPhos)、2−ジt−ブチルホスフィノ−2’−ジメチルアミノビフェニル(DavePhos)、2−ジシクロヘキシルホスフィノ−2’,4’,6’−トリイソプロピル−1,1’−ビフェニル(XPhos)、2−ジシクロヘキシルホスフィノ−2’,6’−ジメトキシビフェニル(SPhos)等の単座ホスフィン類、1,2−ビス(ジフェニルホスフィノ)エタン(DPPE)、1,3−ビス(ジフェニルホスフィノ)プロパン(DPPP)、2,2’−ビス(ジフェニルホスフィノ)−1,1’−ビナフチル(BINAP)、1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン(DPPF)、4,5−ビス(ジフェニルホスフィノ)−9,9−ジメチルキサンテン(XantPhos)等の2座ホスフィン類等がある。これらのうちで、高収率を与えることや反応条件が温和になるという理由からホスフィン類が好ましい。
【0043】
本発明の化合物は、高い電子輸送性を有し、電極とのエネルギー障壁が小さいため、電子輸送材料及び有機薄膜太陽電池用材料として有用である。
本発明の電子輸送材料及び有機薄膜太陽電池用材料は、本発明の化合物を含有することを特徴とする。
本発明の電子輸送材料及び有機薄膜太陽電池用材料は、本発明の化合物単独であってもよいし、本発明の化合物と他の成分を含有していてもよい。
本発明の有機薄膜太陽電池用材料からなる有機薄膜太陽電池の部材は、本発明の材料単独から形成されていてもよいし、本発明の材料と他の成分の混合物から形成されていてもよい。
本発明の材料を用いる有機薄膜太陽電池は、高効率の変換特性を示す。
【0044】
本発明の有機薄膜太陽電池は、一対の電極の間に本発明の化合物を含む有機層が配置されていることを特徴とする。ここで、「有機層」とは、太陽電池における有機化合物を含む全ての層を意味する。
本発明の有機薄膜太陽電池では、電池を構成する有機層からなるいずれかの部材に本発明の化合物を含有していればよい。また、本発明の化合物を含有する部材は、他の成分を併せて含んでいてもよい。本発明の化合物を含まない部材や混合材料については、有機薄膜太陽電池で使用される公知の部材や材料を使用することができる。
本発明の化合物を含む有機層は、陰極側のバッファー層であることが好ましい。
【0045】
本発明の有機薄膜太陽電池のセル構造は、一対の電極の間に上記化合物を含有する有機層を含む構造であれば特に限定されるものでない。具体的には、安定な絶縁性基板上に下記の素子構成を有する構造が挙げられる。
(1)下部電極/p層/n層/上部電極
(2)下部電極/バッファー層/p層/n層/上部電極
(3)下部電極/p層/n層/バッファー層/上部電極
(4)下部電極/バッファー層/p層/n層/バッファー層/上部電極
(5)下部電極/バッファー層/p層/i層(又はp材料とn材料の混合層)/n層/バッファー層/上部電極
(6)下部電極/p層/n層/バッファー層/中間電極/バッファー層/p層/n層/バッファー層/上部電極
(7)下部電極/バッファー層/p層/n層/バッファー層/中間電極/バッファー層/p層/n層/バッファー層/上部電極
(8)下部電極/バッファー層/p層/i層(又はp材料とn材料の混合層)/n層/バッファー層/中間電極/バッファー層/p層/i層(又はp材料とn材料の混合層)/n層/バッファー層/上部電極
【0046】
上記素子構成のうち、素子構成(2)〜(8)のバッファー層、特に陰極側バッファー層もしくは中間電極に接するバッファー層に本発明の化合物を用いることが好ましく、素子構成(3)〜(8)のバッファー層、特に陰極側バッファー層もしくは中間電極に接するバッファー層に本発明の化合物を用いることが好ましい。
以下、各構成部材について簡単に説明する。
【0047】
1.下部電極及び上部電極
下部電極、上部電極の材料は特に制限はなく、公知の導電性材料を使用できる。例えば、p層と接続する電極としては、錫ドープ酸化インジウム(ITO)や金(Au)、オスミウム(Os)、パラジウム(Pd)等の金属が使用でき、n層と接続する電極としては、銀(Ag)、アルミニウム(Al)、インジウム(In)、カルシウム(Ca)、白金(Pt)リチウム(Li)等の金属やMg:Ag、Mg:InやAl:Li等の二成分金属系が使用できる。n層と接続する電極としては、仕事関数の小さい金属あるいは金属系が好ましい。
【0048】
尚、高効率の光電変換特性を得るためには、例えば有機薄膜太陽電池の少なくとも一方の面は太陽光スペクトルにおいて充分透明であることが望ましい。透明電極は、公知の導電性材料を使用して、蒸着やスパッタリング等の方法で所定の透光性が確保できるように形成する。受光面の電極の光透過率は10%以上であることが望ましい。一対の電極の好ましい構成では、電極部の一方が仕事関数の大きな金属を含み、他方は仕事関数の小さな金属を含む。
【0049】
2.p層、n層及びi層
n層の材料は特に限定されないが、電子受容体としての機能を有する化合物が好ましい。有機化合物であれば、例えば、C60等のフラーレン化合物、カーボンナノチューブ、ペリレン化合物、多環キノン及びキナクリドン等、高分子系ではCN−ポリ(フェニレン−ビニレン)、MEH−CN−PPV、−CN基又はCF基含有ポリマー及びポリ(フルオレン)化合物等を挙げることができる。電子の移動度が高い材料が好ましく、さらに電子親和力が小さい材料が好ましい。このように電子親和力の小さい材料をn層として組み合わせることで充分な開放端電圧を実現することができる。
【0050】
また、無機化合物であれば、n型特性の無機半導体化合物を挙げることができる。具体的には、n−Si、GaAs、CdS、PbS、CdSe、InP、Nb、WO及びFe等のドーピング半導体及び化合物半導体、また、二酸化チタン(TiO)、一酸化チタン(TiO)、三酸化二チタン(Ti)等の酸化チタン、酸化亜鉛(ZnO)及び酸化スズ(SnO)等の導電性酸化物が挙げられ、これらのうちの1種又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。好ましくは、酸化チタン、特に好ましくは、二酸化チタンを用いる。
【0051】
p層の材料は特に限定されないが、正孔受容体としての機能を有する化合物が好ましい。有機化合物であれば、例えば、N,N’−ビス(3−トリル)−N,N’−ジフェニルベンジジン(mTPD)、N,N’−ジナフチル−N,N’−ジフェニルベンジジン(NPD)及び4,4’,4’’−トリス(フェニル−3−トリルアミノ)トリフェニルアミン(MTDATA)等に代表されるアミン化合物、フタロシアニン(Pc)、銅フタロシアニン(CuPc)、亜鉛フタロシアニン(ZnPc)及びチタニルフタロシアニン(TiOPc)等のフタロシアニン類、オクタエチルポルフィリン(OEP)、白金オクタエチルポルフィリン(PtOEP)及び亜鉛テトラフェニルポルフィリン(ZnTPP)等に代表されるポルフィリン類、高分子化合物であれば、ポリヘキシルチオフェン(P3HT)及びメトキシエチルヘキシロキシフェニレンビニレン(MEHPPV)等の主鎖型共役高分子類、並びにポリビニルカルバゾール等に代表される側鎖型高分子類等が挙げられる。
【0052】
本発明の化合物をi層に用いるときは、上記p層化合物もしくはn層化合物と混合してi層を形成してもよいし、本発明の化合物を単独でi層として用いてもよい。その場合のp層もしくはn層には、上記例示化合物のいずれを用いてもよい。
【0053】
3.バッファー層
一般に、有機薄膜太陽電池は総膜厚が薄いことが多く、そのため上部電極と下部電極が短絡し、セル作製の歩留まりが低下することが多い。このような場合には、バッファー層を積層することによってこれを防止することが好ましい。
本発明の化合物は、電子輸送性が高く、電極とのエネルギー障壁が小さいため、バッファー層、特に陰極側のバッファー層に用いることが好ましい。
また、本発明の有機薄膜太陽電池が積層型である場合、中間電極に接するバッファー層に本発明の化合物を用いることが好ましい。
本発明の化合物以外のバッファー層に好ましい化合物としては、膜厚を厚くしても短絡電流が低下しないようにキャリア移動度が充分に高い化合物が好ましい。低分子化合物であれば、例えば、下記に示すNTCDAに代表される芳香族環状酸無水物等が挙げられ、高分子化合物であれば、下記に示すポリ(3,4−エチレンジオキシ)チオフェン:ポリスチレンスルホネート(PEDOT:PSS)及びポリアニリン:カンファースルホン酸(PANI:CSA)等に代表される公知の導電性高分子等が挙げられる。
【化13】

【0054】
上記の他、バッファー層の材料として、上記n層の材料として例示した無機半導体化合物を用いてもよい。当該無機半導体化合物としてはCdTe、p−Si、SiC、GaAs、NiO、WO及びV等を用いることができる。
【0055】
4.基板
基板は、機械的、熱的強度を有し、透明性を有するものが好ましい。例えば、ガラス基板及び透明性樹脂フィルムがある。透明性樹脂フィルムとしては、ポリエチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−ビニルアルコール共重合体、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリメチルメタアクリレート、ポリ塩化ビニル、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール、ナイロン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリサルホン、ポリエーテルサルフォン、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体、ポリビニルフルオライド、テトラフルオロエチレン−エチレン共重合体、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体、ポリクロロトリフルオロエチレン、ポリビニリデンフルオライド、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリウレタン、ポリイミド、ポリエーテルイミド、ポリイミド及びポリプロピレン等が挙げられる。
【0056】
5.積層型有機薄膜太陽電池
積層型有機薄膜太陽電池はタンデム構造太陽電池と呼ばれるもので、一対の電極の間に少なくとも2つの発電層と少なくとも1つの中間電極を有する。典型的な構造では、透明基板上にITO等の透明陽極が設置され、その上にp層/i層/n層からなるフロントセルが形成され、その上に設置された中間電極上に、p層/i層/n層からなるバックセルが形成され、その上に陰極が形成される。このような多層構造の採用により、変換効率の向上を図ることができる。
積層型有機薄膜太陽電池を構成する上部電極、下部電極、p層、n層、i層及びバッファー層の説明は前記と同様である。
本発明の積層型有機薄膜太陽電池は、中間電極に接するバッファー層に本発明の化合物を含有することが好ましい。
【0057】
6.中間電極
中間電極によって、電子−正孔再結合ゾーンを形成することにより積層型素子の個々の光電変換ユニットを分離することができる。この層は前方の光電変換ユニット(フロントセル)のn層と後方の光電変換ユニット(バックセル)のp層の間の逆ヘテロ接合の形成を防ぐ役目をする。個々の光電変換ユニットの間の層は、前方の光電変換ユニットから入る電子と後方の光電変換ユニットからの正孔が再結合するゾーンを提供する。前方の光電変換ユニットから入る電子と後方の光電変換ユニットからの正孔の効率的な再結合は、光誘起電流を積層型素子で起こそうとする場合に必要である。
【0058】
中間電極による電子−正孔再結合ゾーンを形成する材料は特に限定されず、上記上部電極及び下部電極を形成する材料を用いることができる。好ましくは、中間電極による電子−正孔再結合ゾーンは薄い金属層を含む。
金属層は、光が後方の(複数の)光電変換ユニットに到達できるように、十分薄くて半透明でなければならない。この目的のために、金属層の厚さは約20Åより薄いことが好ましい。金属膜が約5Å程度の厚さであると特に好ましい。これらの極めて薄い金属膜(〜5Å)は連続膜でなく、むしろ孤立した金属ナノ粒子からなると考えられている。驚くべきことに、この極めて薄い金属層は連続ではないが、それは依然として電子−正孔再結合層として有効である。この層に用いられる好ましい金属には、Ag、Li、LiF、Al、Ti及びSnが含まれる。このうちAgが特に好ましい。
【0059】
7.太陽電池の製造方法
本発明の有機薄膜太陽電池や積層型有機薄膜太陽電池の各層の形成には、真空蒸着、スパッタリング、プラズマ及びイオンプレーティング等の乾式成膜法やスピンコーティング、ディップコート、キャスティング、ロールコート、フローコーティング及びインクジェット等の湿式成膜法を適用することができる。
各層の膜厚は特に限定されないが、適切な膜厚に設定する。一般に有機薄膜の励起子拡散長は短いことが知られているため、膜厚が厚すぎると励起子がヘテロ界面に到達する前に失活してしまうため光電変換効率が低くなる。膜厚が薄すぎるとピンホール等が発生してしまうため、充分なダイオード特性が得られないため、変換効率が低下する。通常の膜厚は1nmから10μmの範囲が適しているが、5nmから0.2μmの範囲がさらに好ましい。
【0060】
乾式成膜法の場合、公知の抵抗加熱法が好ましく、混合層の形成には、例えば、複数の蒸発源からの同時蒸着による成膜方法が好ましい。さらに好ましくは、成膜時に基板温度を制御する。
湿式成膜法の場合、各層を形成する材料を、適切な溶媒に溶解又は分散させて発光性有機溶液を調製し、薄膜を形成するが、任意の溶媒を使用できる。例えば、ジクロロメタン、ジクロロエタン、クロロホルム、四塩化炭素、テトラクロロエタン、トリクロロエタン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン及びクロロトルエン等のハロゲン系炭化水素系溶媒や、ジブチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン及びアニソール等のエーテル系溶媒、メタノールやエタノール、プロパノール、ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、シクロヘキサノール、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ及びエチレングリコール等のアルコール系溶媒、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、ヘキサン、オクタン、デカン及びテトラリン等の炭化水素系溶媒、並びに酢酸エチル、酢酸ブチル及び酢酸アミル等のエステル系溶媒等が挙げられる。なかでも、炭化水素系溶媒及びエーテル系溶媒が好ましい。また、これらの溶媒は単独で使用しても複数混合して用いてもよい。尚、使用可能な溶媒は、これらに限定されるものではない。
【0061】
本発明においては、有機薄膜太陽電池のいずれの有機薄膜層においても、成膜性向上、膜のピンホール防止等のため適切な樹脂や添加剤を使用してもよい。使用の可能な樹脂としては、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリエステル、ポリアミド、ポリウレタン、ポリスルフォン、ポリメチルメタクリレート、ポリメチルアクリレート及びセルロース等の絶縁性樹脂及びそれらの共重合体、ポリ−N−ビニルカルバゾール及びポリシラン等の光導電性樹脂、並びにポリチオフェン及びポリピロール等の導電性樹脂を挙げられる。
また、添加剤としては、酸化防止剤、紫外線吸収剤及び可塑剤等が挙げられる。
【0062】
本発明の有機薄膜太陽電池や積層型有機薄膜太陽電池を具備する装置としては、これらを集積した集積型モジュールを示すことができる。具体的には、時計、携帯電話及びモバイルパソコン等への使用が挙げられる。
【実施例】
【0063】
以下、実施例を用いて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例によって何ら限定されるものではない。
【0064】
実施例1:フェナントロリン化合物(2−A)の合成
【化14】

【0065】
(1)中間体A1の合成
窒素雰囲気下、4−ブロモ−無水フタル酸(15g,66.1mmol)、メチルアミン(40% in HO)(8.26mL,99.1mmol)、酢酸ナトリウム(8.67g,106mmol)に酢酸(100mL)を加えて6時間加熱撹拌還流した。反応混合物に水(200mL)を加え、沈殿物を濾別して白色固体(15.2g,96%)を得た。
この固体の核磁気共鳴測定(H−NMR)の結果を以下に示す。
H−NMR(400MHz,CDCl,TMS)δ:3.18(s,3H),7.71(d,J8.0,1H),7.84(d,J8.0,1H),7.98(s,1H).
【0066】
(2)中間体A2の合成
窒素雰囲気下、中間体A1(10g,41.7mmol)、ビス(ピナコラト)ジボロン(13g,50.0mmol)、1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]パラジウム(II)ジクロリド ジクロロメタン錯体(0.65g,0.80mmol)、酢酸カリウム(30g,305mmol)、1,4−ジオキサン100mL)を加えて80℃で12時間撹拌した。反応混合物に酢酸エチル(300mL)、水(50mL)を加え、有機層を分取、無水硫酸マグネシウムで乾燥、溶媒留去して白色固体を得た。これをカラムクロマトグラフィ(シリカゲル/ヘキサン:酢酸エチル=3:1)で精製して白色固体(8.0g,67%)を得た。
H−NMR(400MHz,CDCl,TMS)δ:1.37(s,12H),3.18(s,3H),7.82(d,J8.0,1H),8.14(d,J8.0,1H),8.27(s,1H).
【0067】
(3)フェナントロリン化合物(2−A)の合成
窒素雰囲気下、中間体A2(1.6g、5.6mmol)、2−クロロフェナントロリン(0.8g、3.7mmol)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(0.1g、0.11mmol)、炭酸セシウム(3.0g、9.3mmol)1,2−ジメトキシエタン(37mL)を加えて80℃で6時間撹拌した。反応混合物に水(50mL)を加え、沈殿物を濾別して黄色固体(化合物(2−A);0.76g、60%)を得た。
H−NMR(400MHz,CDCl,TMS)δ:3.25(s,3H),7.70(d,J8.0,1H),8.03(d,J8.0,1H),8.18(d,J8.0,1H),8.30(d,J8.0,1H),8.41(d,J8.0,1H),8.69(s,1H),8.83(d,J8.0,1H),9.26(d,J8.0,1H).
【0068】
実施例2:フェナントロリン化合物(2−B)の合成
【化15】

【0069】
窒素雰囲気下、実施例1(2)で合成した中間体A2(0.33g、1.15mmol)、3−ブロモフェナントロリン(0.2g、0.77mmol)、炭酸セシウム(0.63g、2.0mmol)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(0.027g、0.023mmol)、1,2−ジメトキシエタン(10mL)を加えて80℃で6時間撹拌した。反応混合物に水(50mL)を加え、沈殿物を濾別して黄色固体(化合物(2−B);0.23g、90%)を得た。
H−NMR(400MHz,CDCl,TMS)δ:3.24(s,3H),7.69(d,J8.0,1H),7.90(s,1H),8.03(d,J8.0,1H),8.13(d,J8.0,1H),8.26−8.31(m,2H),8.50(d,J8.0,1H),9.24(d,J8.0,1H),9.46(d,J8.0,1H).
【0070】
実施例3:フェナントロリン化合物(2−D)の合成
【化16】

【0071】
窒素雰囲気下、実施例1(2)で合成した中間体A2(1.0g、3.6mmol)、4−ブロモフェニル−2−フェナントロリン(1.0g、2.99mmol)、炭酸セシウム(1.75g、5.4mmol)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(0.17g、0.15mmol)、1,2−ジメトキシエタン(30mL)を加えて80℃で6時間撹拌した。反応混合物に水(50mL)を加え、沈殿物を濾別して黄色固体(化合物(2−D);1.00g、81%)を得た。
H−NMR(400MHz,CDCl,TMS)δ:3.23(s,3H),7.66(d,J8.0,2H),7.81−7.87(m,4H),7.94(d,J8.0,2H),8.02(d,J8.0,1H),8.18(d,J8.0,2H),8.28(d,J8.0,1H),8.36(d,J8.0,1H),8.50d,J8.0,2H),9.26(d,J8.0,1H).
【0072】
実施例4:フェナントロリン化合物(2−G)の合成
【化17】

【0073】
窒素雰囲気下、中間体A2(1.0g、3.6mmol)、3−ブロモフェニル−2−フェナントロリン(1.0g、2.99mmol)、炭酸セシウム(1.75g、5.4mmol)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(0.17g、0.15mmol)、1,2−ジメトキシエタン(30mL)を加えて80℃で6時間撹拌した。反応混合物に水(50mL)を加え、沈殿物を濾別して黄色固体(化合物(2−G);1.06g、85%)を得た。
H−NMR(400MHz,CDCl,TMS)δ:3.23(s,3H),7.64−7.75(m,3H),7.84(d,J8.0,2H),7.94(d,J8.0,1H),8.08(d,J8.0,1H),8.16−8.20(m,2H),8.28(d,J8.0,1H),8.36−8.39(m,2H),8.58(s,1H)9.23(d,J8.0,1H).
【0074】
実施例5〜8
25mm×75mm×0.7mm厚のITO透明電極付きガラス基板をイソプロピルアルコール中で5分間超音波洗浄した後、30分間UVオゾン洗浄を実施した。洗浄後の透明電極ライン付きガラス基板を真空蒸着装置の基板ホルダーに装着し、まず下部電極である透明電極ラインが形成されている側の面上に、透明電極を覆うようにして膜厚30nmのCuPc(下記に構造式を記載する)を抵抗加熱蒸着により、1Å/sで成膜した。続けてその上に膜厚60nmのC60(下記に構造式を記載する)を抵抗加熱蒸着により1Å/sで成膜した。
【化18】

【0075】
60膜の上に、実施例1〜4で合成した化合物(2−A)、(2−B)、(2−D)、(2−G)のいずれかを抵抗加熱蒸着により、膜厚10nm、1Å/sで成膜した。最後に、連続して対向電極として金属Alを膜厚80nm蒸着させ、有機薄膜太陽電池を形成した。面積は0.05cmであった。
【0076】
作製した有機薄膜太陽電池をAM1.5条件下(光強度100mW/cm)でI−V特性を測定した。開放端電圧(Voc)、短絡電流密度(Jsc)、曲線因子(FF)の測定結果、及び光電変換効率(η)を下記式によって導出した結果を表1に示す。
【数1】

Voc:開放端電圧
Jsc:短絡電流密度
FF:曲線因子
Pin:入射光エネルギー
【0077】
比較例1
実施例5において化合物(2−A)を用いないこと以外は実施例5と同様に有機太陽電池を作製した。このように作製された有機太陽電池をAM1.5条件下(光強度100mW/cm)でI−V特性を測定した。開放端電圧(Voc)、短絡電流密度(Jsc)、曲線因子(FF)及び光電変換効率(η)を表1に示す。
【0078】
比較例2
実施例5において化合物(2−A)をBCPに変更した以外は実施例5と同様にして素子を作製した。このように作製された有機太陽電池をAM1.5条件下(光強度100mW/cm)でI−V特性を測定した。開放端電圧(Voc)、短絡電流密度(Jsc)、曲線因子(FF)及び光電変換効率(η)を表1に示す。
【0079】
【表1】

【0080】
実施例9
25mm×75mm×0.7mm厚のITO透明電極付きガラス基板をイソプロピルアルコール中で5分間超音波洗浄した後、30分間UVオゾン洗浄を実施した。洗浄後の透明電極ライン付きガラス基板を真空蒸着装置の基板ホルダーに装着し、まず下部電極である透明電極ラインが形成されている側の面上に、透明電極を覆うようにして膜厚30nmの化合物1(WO2010/013520A1号公報に記載された化合物;下記に構造式を記載する)を抵抗加熱蒸着により、1Å/sで成膜した。続けてその上に膜厚60nmのC70(下記に構造式を記載する)を抵抗加熱蒸着により1Å/sで成膜した。
【0081】
70膜の上に、表1に示す化合物(2−D)を抵抗加熱蒸着により、膜厚5nm、1Å/sで成膜した。続けてAgを抵抗加熱蒸着により成膜し膜厚0.5nmの中間電極とし、続けてMoOを抵抗加熱蒸着により成膜し膜厚5nmのバッファー層とした。その上に化合物1を膜厚20nm、C70を膜厚20nm及びBCPを膜厚10nmとなるように順に成膜し最後に、連続して対向電極として金属Alを膜厚80nm蒸着させ、有機薄膜太陽電池を形成した。面積は0.05cmであった。
【化19】

【0082】
作製した有機薄膜太陽電池をAM1.5条件下(光強度100mW/cm)でI−V特性を測定した。開放端電圧(Voc)、短絡電流密度(Jsc)、曲線因子(FF)及び光電変換効率(η)を表2に示す。
【0083】
比較例3
実施例5において化合物(2−D)を用いないこと以外は実施例5と同様に有機太陽電池を作製した。このように作製された有機太陽電池をAM1.5条件下(光強度100mW/cm)でI−V特性を測定した。開放端電圧(Voc)、短絡電流密度(Jsc)、曲線因子(FF)及び光電変換効率(η)を表2に示す。
【0084】
【表2】

【0085】
表1及び表2からわかるように、本発明のフェナントロリン化合物をバッファー層に用いた場合、これを用いていない比較例に比べ変換効率が向上しており、優れた太陽電池特性を示すことが明らかになった。
【産業上の利用可能性】
【0086】
本発明の化合物は、電子輸送材料、有機薄膜太陽電池用材料として有用である。
本発明によれば、高効率の光電変換特性を示す有機薄膜太陽電池を提供できる。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記式(1)で表される化合物。
【化20】

[式中、Lは単結合もしくは2価の基であり、1,10−フェナントロリンの*で示す6位、8位又は9位のいずれか1つの位置で結合している。
Rgは、置換もしくは無置換の、ベンゼン環又はナフタレン環である。
Xは、酸素原子、又はN−R(ここで、Rは、水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、置換もしくは無置換の炭素数1〜40のアルキル基、置換もしくは無置換の炭素数2〜40のアルケニル基、置換もしくは無置換の炭素数2〜40のアルキニル基、置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜40のアリール基、置換もしくは無置換の環形成原子数5〜40のヘテロアリール基、置換もしくは無置換の炭素数1〜40のアルコキシ基、又は置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜40のアリールオキシ基である。)である。]
【請求項2】
前記式(1)で表される化合物が、下記式(2)又は式(3)で表わされる化合物である請求項1に記載の化合物。
【化21】

[式中、Xは前記式(1)で定義した通りであり、Lは、単結合もしくは下記式(L1)〜(L12)で表されるいずれかの基であり、1,10−フェナントロリンの*で示す6位、8位又は9位のいずれか1つの位置で結合している。
【化22】

(式中、R11〜R20はそれぞれ、ハロゲン原子、シアノ基、置換もしくは無置換の炭素数1〜40のアルキル基、置換もしくは無置換の炭素数2〜40のアルケニル基、置換もしくは無置換の炭素数2〜40のアルキニル基、置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜40のアリール基、置換もしくは無置換の環形成原子数5〜40のヘテロアリール基、置換もしくは無置換の炭素数1〜40のアルコキシ基、置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜40のアリールオキシ基、置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜40のアリールアミノ基、又は置換もしくは無置換の炭素数1〜40のアルキルアミノ基である。
aは0〜4の整数、bは0〜3の整数,cは0〜2の整数、dは0〜2の整数、eは0又は1、fは0〜2の整数、gは0〜2の整数、hは0〜2の整数、iは0〜2の整数、及びjは0又は1の整数である。
a〜d及びf〜iが2以上の場合、2以上のR11〜R14、R16〜R19はそれぞれ同一でも異なっていてもよい。)]
【請求項3】
請求項1又は2に記載の化合物を含有する電子輸送材料。
【請求項4】
請求項1又は2に記載の化合物を含有する有機薄膜太陽電池用材料。
【請求項5】
一対の電極の間に請求項1又は2に記載の化合物を含む有機層が配置された有機薄膜太陽電池。
【請求項6】
前記有機層が陰極側のバッファー層である請求項5に記載の有機薄膜太陽電池。
【請求項7】
複数の有機太陽電池単セルを積層した積層型有機薄膜太陽電池の中間電極に接するバッファー層が請求項1又は2に記載の化合物を含有する積層型有機薄膜太陽電池。
【請求項8】
請求項5又は6に記載の有機薄膜太陽電池又は請求項7に記載の積層型有機薄膜太陽電池を具備する装置。

【公開番号】特開2012−25716(P2012−25716A)
【公開日】平成24年2月9日(2012.2.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−168789(P2010−168789)
【出願日】平成22年7月28日(2010.7.28)
【出願人】(000183646)出光興産株式会社 (2,069)
【Fターム(参考)】