説明

フェンス用支柱

【課題】支柱の上端面が若干傾斜して形成されていても、該上端面に支柱キャップを取付ける際に、上端面の前側端部側で支柱キャップとの間に隙間が発生しないようなフェンス用支柱を提供する。
【解決手段】支柱キャップ3の後部には、固定ねじBが挿通されるねじ孔33が設けられ、支柱本体2の上端面21の後部には、支柱キャップ3のねじ孔33に対応する螺着孔22が設けられ、ねじ孔33から螺着孔22に螺入した固定ねじBを締め付けた際に、支柱キャップ3の先端部が前傾状で支柱本体2の上端面21に取付けられるように、支柱キャップ3の内面に支柱本体2の上端面21との間の隙間Sが後方から前方に向かって徐々に大きくなるような傾斜面23aを形成するように構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、支柱本体に支柱キャップが取付けられたフェンス用支柱に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、フェンス用支柱としては、強度的に安定しておりコストの安い鋼管や、断面形状をある程度自由に設計できる中空部を有するアルミ押出型材等の金属製のものが用いられており、これら支柱の上端部には、支柱の内部に雨水等の水分の浸入を防ぐために支柱キャップが取付けられている。支柱キャップとしては、支柱の上端面から上側縁を覆ういわゆるオーバーキャップ状のものや、支柱内部の中空部に挿入或いは圧入される取付部を備えたもの等が用いられている。特に、アルミ押出型材からなる支柱の場合は、支柱の内部にビスホールを成形し、支柱キャップに形成したねじ孔を通して前記ビスホールに向けて固定ねじを螺着させ、支柱上端部に支柱キャップを固定する方法も用いられている。
【0003】
例えば、特許文献1には、押出成型による金属製の型材で形成された筒状体と、板材で形成された筒状体用のキャップとを有し、取付用ねじを、キャップに形成した取付孔と筒状体に形成した取付孔に螺合してキャップを筒状体の上面に取付けるようになった衝立構成体の連結装置が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平9−250203号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、前記の門扉用キャップの取付装置には次のような問題点があった。すなわち中空状型材の切断加工時に、長手方向に対して若干斜めに切断され、中空状型材の上端面が若干傾斜する場合があり、支柱の上端面にキャップを被せると両者の間に隙間が生じる。ねじを増し締めすることにより隙間を少なくすることができるが、前記ねじを増し締めする際、支柱の上端面やキャップの内面が潰れる等の部材自身の変形も生じるため、前記隙間を少なくするねじの締めしろはその分少なくなり、開口端部とキャップとの隙間が残存する場合がある。従って、特に中空状型材の前面側にそのような隙間が生じると、その隙間に服等が挟まったり、中空状型材の切断面に触れてけがをしたりする恐れがあった。
【0006】
本発明は、支柱の上端面が若干傾斜して形成されていても、該上端面に支柱キャップを取付ける際に、上端面の前側端部において支柱キャップとの隙間が発生しないようになされたフェンス用支柱を提供せんとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明は次のような構成としている。
【0008】
すなわちこの発明に係るフェンス用支柱は、支柱本体の上端面に固定ねじを介して支柱キャップが取付けられたフェンス用支柱において、前記支柱キャップの後部には、前記固定ねじが挿通されるねじ孔が設けられると共に、前記支柱本体の上端面の後部には、支柱キャップのねじ孔に対応する螺着孔が設けられ、前記ねじ孔から螺着孔に螺入した固定ねじを締め付けた際に、該支柱キャップの先端部が前傾状で支柱本体の上端面に取付けられるように、支柱キャップの内面に支柱本体の上端面との間の隙間が後方から前方に向かって徐々に大きくなるような傾斜面が形成されていることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、固定ねじが挿通される支柱キャップのねじ孔から支柱本体の螺着孔に螺入した固定ねじを締め付けた際に、該支柱キャップの先端部が前傾状で支柱本体の上端面に取付けられるように、支柱キャップの内面に支柱本体の上端面との間の隙間が後方から前方に向かって徐々に大きくなるような傾斜面が形成されているので、
【0010】
固定ねじを増し締めする際の締めしろを十分確保でき、この増し締めにより支柱本体の上端面の前側端部と前傾状に取付けられる支柱キャップの先端部の内面との間に隙間が生じることを防ぐことができる。従って、支柱本体と支柱キャップとの間に服等が挟まれにくくなり、又、支柱本体の上端面の縁部に通行人等が触れてけがをする恐れがなくなり、更に、支柱キャップは、前後両側で支柱本体に支持されることとなるので、支柱本体により強固に取付けることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明に係るフェンス用支柱の実施の一形態を示す正面図である。
【図2】図1の主要部の説明図である。
【図3】支柱キャップの説明図である。
【図4】図2の主要部の断面図である。
【図5】図2の部分分解説明図である。
【図6】図2の部分分解説明図である。
【図7】図2の部分分解説明図である。
【図8】図2の支柱本体の他の実施形態を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
次に、本発明を実施するための最良の形態について図面を参照し、具体的に説明する。
【0013】
図面において、1は地表に立設されたフェンス用支柱、2は支柱本体、3は支柱キャップであり、本発明に係るフェンス用支柱1は、支柱本体2と支柱キャップ3とから主に構成され、支柱本体2の上端面に支柱キャップ3が固定ねじBを介して取付けられ、そして複数のフェンス用支柱1の間にフェンス体Fが架設されるものである。
【0014】
フェンス体Fは、図1に示すように、取付金具Kを介して隣合って配置されたフェンス用支柱1の間に架設されたものであり、一般には、亜鉛めっきが施された多数本の鋼線材を縦横格子状に組合せ、その格子の各交点は電気溶接により接合し、更に表面全体を樹脂で被覆したものであり、生産性や防錆性能等を考慮すると本形態がより好ましい。他の実施形態としては、他の金属線材を用いた物、菱形状の網目が形成されたもの、線材等の交点を止め金具で固定したもの、金属板や樹脂板にパンチング等により多数の透孔を設けたもの等を挙げることができる。
【0015】
取付部材Tは、フェンス体Fをフェンス用支柱に固定するものである。一般には、取付部材Tの一端が支柱本体2に取付けられ、該他端がフェンス体Fの縦線材或いは横線材の少なくとも一方前後から挟持する部材や、前記他端において先端部を湾曲させてフック状に形成し、該フック部に前記線材を係止する部材が用いられる。
【0016】
図2は、図1に示されたフェンス用支柱1の上端部の説明図であり、(a)は拡大正面図、(b)は分解側面図、(c)は(b)のA−A断面における縦断面図である。支柱本体2は、上下方向に長尺となされたものであり、該支柱本体2の上端面21に支柱キャップ3を取付ける際に、固定ねじBが螺入される螺着孔22が上下方向に向けて形成された支柱後部23と、該支柱後部23の前側端部に設けられた支柱前部14とを備えている。
【0017】
支柱本体2は、本実施形態では、平面視T字状であり、アルミニウム合金の押出型材からなる長尺体を適宜長さに切断して用いられるが、鋼材やステンレス合金等の他の金属から形成されたものでもよく、又支柱本体2の断面形状も平面視T字状に限定されるものではなく、支柱後部23に支柱キャップ3を固定する固定ねじBが螺着されるものであればよい。
【0018】
支柱後部23は、本実施形態では、前後方向に対して左右方向に幅広となされ、内部に中空部25が形成されると共に、中空部25の左右両端に前記螺着孔22がそれぞれ形成されている。該螺着孔22の形状は、本実施形態では、支柱後部23の中央側が開口された平面視略C字状となされたものであるが、丸孔状でもよく、固定ねじBが確実に螺入されるものであればよい。又、螺着孔22の位置や個数は特に限定されるものではないが、支柱キャップ3を支柱本体2の上端面21に強固に取付けるために、支柱後部23の左右端部に少なくとも1個ずつ設けるのが好ましい。
【0019】
図8は、支柱本体2の他の実施形態を示すものであり、(a)は部分分解側面図、(b)、(c)は、B−B断面及びC−C断面における断面図である。図8に示された支柱本体2は、図2に対して、螺着孔22の形態及び中空部25の有無の点が異なるものであり、他の点は同様である。すなわち、図8に示された支柱本体2では、中空部25が形成されず、又螺着孔22が支柱本体22の上端面22から適宜深さで形成されたものである。このように、中空体25は必ずしも必要ではなく、支柱本体2に必要な強度や耐食性等を考慮して適宜設けることができる。又、螺着孔22の形態も、固定ビスBが螺入できるものであれば特に限定されるものではない。
【0020】
支柱前部24は、本実施形態では、前記支柱後部23の前側面から前方に突設された縦板状に形成されたものであり、前側先端部は左右方向に拡げられた拡幅部が形成されている。又、支柱前部24の内部に上下方向に向けて中空部を形成してもよい。
【0021】
図3は、支柱キャップ3の説明図であり、(a)は平面図、(b)は内面図、(c)は(a)のD−D断面における断面図、(d)はE−E断面における端面図である。支柱キャップ3は、支柱本体2の上端面21に取付けられるものであり、支柱本体2の支柱後部3に対応するキャップ後部31と、該キャップ後部31の前側面から前方に突設された支柱前部に対応するキャップ前部22とを備えている。そして、図2の(c)に示すように、支柱本体2の上端面21の外形より大きくなされ、該上端面21の全体を覆うものである。尚、支柱キャップ3の外形は、支柱本体2と略相似形状となされているが、上端面21全体を覆うものであればよく、三角形状や矩形状であってもよい。
【0022】
キャップ後部31には、支柱本体2に取付けるための固定ねじBが挿通されるねじ孔33が上下に貫通して設けられている。そして、このねじ孔33に対応した位置に、支柱後部23の螺着孔22が設けられている。本実施形態では、固定ねじBの頭部がねじ部に向けて縮径した皿ねじとなされており、それに対応してねじ孔33も下方に向けて縮径されたものである。尚、ねじ孔33の形状は、固定ねじBの頭部形状に合わせて適宜設定することができる。
【0023】
支柱キャップ3の内面には、その外周縁に沿ってリブ34が設けられ、支柱本体2の上端面21に支柱キャップ3を取付けた際に、該上端面21がリブ34の内側に収まるようになされている。支柱キャップ3を前記上端面21上に載置した際に、水平方向の移動を阻止することができる。尚、固定ねじBを仮止めすることにより、支柱キャップ3の水平方向の移動を阻止できる場合は、該リブ34を形成しなくてもよく、或いは必要な箇所に部分的に形成した形態でもよい。
【0024】
図4は、図2の(c)のD−D断面における主要部の断面図であり、支柱キャップ3の内面形状を示す説明図である。キャップ後部31の内面には、支柱本体2の長手方向に対する直角面Tに対して前方に上る傾斜面31aが設けられている。そして該傾斜面31aを通って、支柱キャップ3のねじ孔33が設けられている。
【0025】
図5〜7は、図2の(c)のF−F断面における拡大部分分解断面図であり、支柱本体2の長手方向に対する直角面Tに対して、支柱本体2の上端面21が前方に下るように傾斜した場合の、支柱本体2と支柱キャップ3との関係を示す説明図である。先ず図5に示すように、支柱キャップ3のねじ孔33から支柱本体2の螺着孔22に向けて固定ねじBを螺入させて、支柱本体2に支柱キャップ3を取付ける。これにより、図6に示すように、上端面21の後端部とキャップ後部31の傾斜面31aの後端部とが当接され、上端面21の前端部と支柱前部32の前端部との間に隙間Sが形成される。この時、上端面21と傾斜面31aとの隙間が後方から前方に向かって徐々に大きくなっている。
【0026】
図6において、固定ねじBを増し締めすると、隙間Sが徐々に狭くなり、図7に示すように、増し締めにより隙間Sが残った状態でも、支柱キャップ3の先端部が前下がりとなって、キャップ前部32の内面32aが、上端面21の前端縁21aに当接される。
【0027】
固定ねじBの増し締めのための締めしろは隙間Sの間隔に依存するが、該増し締めにより、支柱本体2の上端面21とキャップ前部32の内面32aとが圧接されて変形すると、隙間Sの間隔なくなるまで増し締めすることは困難となる。すなわち、図5〜7において、支柱キャップ3の内面が直角面Tに対して略平行に形成されていると、固定ねじBの増し締めでは、隙間Sが残り、支柱本体2の前端面において支柱キャップ3と隙間が生じることとなる。
【0028】
キャップ前部32の内面32aは、図4に示すように、前記傾斜面31aよりも傾斜角度が小さくなされており、本実施形態では、前記直角面Tと略平行に形成されている。これにより、支柱本体2の上端面21が直角面Tと平行に形成されていても、図5〜7に示すように、該上端面23が前方に下る傾斜面となされていても、支柱本体2に支柱キャップ3を取付けた状態では、上端面21の前端部21aと前記内面32aとは離れているので、支柱本体2と支柱キャップ3の前方が当接するまで固定ねじBを増し締めすればよく、不必要に固定ねじBを増し締めする必要はなく、支柱本体2と支柱キャップ3との前端部間の隙間をなくすことができる。尚、内面32aは、支柱本体2の上端面23が直角面Tと平行に形成された場合に、上端面23の前端部に内面32aが略当接される程度に後方から前方に下る傾斜面としてもよい。
【符号の説明】
【0029】
1 フェンス用支柱
2 支柱本体
21 上端面
22 螺着孔
23 支柱後部
24 支柱前部
3 支柱キャップ
31 キャップ後部
32 キャップ前部
33 ねじ孔
B 固定ねじ
S 隙間
T 直角面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
支柱本体の上端面に固定ねじを介して支柱キャップが取付けられたフェンス用支柱において、前記支柱キャップの後部には、前記固定ねじが挿通されるねじ孔が設けられると共に、前記支柱本体の上端面の後部には、支柱キャップのねじ孔に対応する螺着孔が設けられ、前記ねじ孔から螺着孔に螺入した固定ねじを締め付けた際に、該支柱キャップの先端部が前傾状で支柱本体の上端面に取付けられるように、支柱キャップの内面に支柱本体の上端面との間の隙間が後方から前方に向かって徐々に大きくなるような傾斜面が形成されていることを特徴とするフェンス用支柱。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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