説明

フォルダ、光複合電力ケーブル、光ケーブル接続方法

【課題】ルースチューブ型の光ケーブルなどの接続時、光ファイバ芯線の接続部分を適切に保護するとともに光ケーブルの接続部を細径化でき、光ケーブルの接続作業も簡略化できるフォルダ等を提供する。
【解決手段】光複合電力ケーブル100の光ケーブル10(10−1、10−2)を互いに接続する光ケーブル接続部1において、光ケーブル10のルースチューブ11内の複数の光ファイバ芯線111を平らに並べ、多芯融着機40を用いて一括して接続する。この光ファイバ接続部12を補強スリーブ50に納め、補強スリーブ50の加熱および冷却を行った後、光ファイバ接続部12を冷却固化した補強スリーブ50の補強材52のみで被覆した状態とし、フォルダ30の収容溝33に収容して保護する。フォルダ30には、収容溝33と貫通溝35が2つずつ設けられており、光ケーブル接続部1では、2つのフォルダ30に4つの光ファイバ接続部12が分散配置される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は光複合電力ケーブルにおける光ケーブルの接続部に用いるフォルダ、これを用いた光複合電力ケーブル、および光ケーブル接続方法に関する。
【背景技術】
【0002】
電力供給や通信に用いるために、海底等に光複合電力ケーブルを布設することがある。光複合電力ケーブルは光ケーブルと電力ケーブルを複合したものであり、その例が図14(a)に示す光複合電力ケーブル100である。光複合電力ケーブル100は、被覆6の内部に3本の電力ケーブル5と1本の光ケーブル10とを配置し1体のケーブルとしたものである。
【0003】
海底等に布設する光複合電力ケーブルは長尺のものが必要となる。しかし、光ケーブルについては、工場における光ケーブルの製造可能長や、光複合電力ケーブルの製造設備等の制約から、一旦製造した光ケーブル同士を工場にて相互に接続し長尺化させ必要な長さとした後、光複合電力ケーブルの製造を行う。なお電力ケーブルについても同様である。
【0004】
光ケーブル同士を工場にて接続した接続部(工場接続部)については、その外径をできる限り光ケーブルの部分と同径またはほぼ同径(以下、「準同径」という)にすることが望ましい。図14(b)に示すように、光ケーブル10の接続部が太くなると、光複合電力ケーブル100が光ケーブル10の接続部で膨らみ、光複合電力ケーブル100の製造工程中や布設時等に側圧が加わった際、光ケーブル10の接続部が極端な圧力を受けて内部の光ファイバ芯線が損傷するなどの影響を受ける可能性があるためである。
特許文献1には、光ケーブルと準同径とした、光ケーブルの接続部の例が示されている。
【0005】
ところで、光ケーブルには、スロット型の光ケーブルやルースチューブ型の光ケーブルがあるが、両者を比較した場合、ルースチューブ型の光ケーブルは製造可能長がより長いため、長尺の光複合電力ケーブルを製造する際は、ルースチューブ型の光ケーブルを用いた方が、光ケーブルの接続部が少なくて済むという利点がある。
【0006】
ルースチューブ型の光ケーブルの例を図15に示す。図15に示す光ケーブル10は、被覆71内で、4本のルースチューブ11と2本のフィラー81とをテンションメンバ21の周囲に撚り合わせたものである。
【0007】
ルースチューブ11は円形断面を有する樹脂製の筒体であり、内部にはジェリー110が充填され、UV(ultra violet)被覆が施された複数の光ファイバ芯線111が、拘束されず、余長を含んだ状態で収容されている。図の例では4本のルースチューブ11に6芯ずつ、計24芯の光ファイバ芯線111が光ケーブル10に収容されている。
なお、フィラー81は、被覆71内で、ルースチューブ11とテンションメンバ21以外の空間を埋めるために設けられる線状の部材である。
【0008】
上記のようなルースチューブ型の光ケーブルの長尺製造性に伴う光ケーブルの接続部の数の低減という利点を、長尺の光複合電力ケーブルの製造時に活用するためには、ルースチューブ型の光ケーブルに適用可能な、光ケーブルの接続部の準同径化が実現できる光ケーブルの接続方法を確立することが重要である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特許第3714928号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
ルースチューブ型の光ケーブル同士を接続するには、各光ケーブルのルースチューブ内の光ファイバ芯線同士を接続し、接続部分の保護を行う。特許文献1には、光ケーブルの接続部において、複数本の光ファイバ芯線を単芯ずつ接続し保護を行うことが記載されている。しかしながら、このような接続作業を単芯ずつ行うのは手間がかかり、作業性が悪い。
【0011】
また、光ファイバ芯線の接続時には、接続する光ファイバ芯線を余裕を持たせた長さで光ケーブルから取り出し、接続した光ファイバ芯線は弛み(余長)を持たせて光ケーブルの接続部に収納する。光ケーブルに引張張力が加わった際に、光ファイバ芯線に直接張力が加わらないようにするためである。
余長は接続する全ての光ファイバ芯線で同程度の値として管理する必要があるが、ルースチューブ型の光ケーブルの光ファイバ芯線を単芯ずつ接続する場合、接続部分の位置等を考慮して光ファイバ芯線ごとに余長を合わせることが必要になり、作業が煩雑になる。
【0012】
図16はこれを説明する図であり、光ケーブル10について側面が示されている。図16に示すように、光ケーブル10のルースチューブ11内の光ファイバ芯線を取り出す位置112と光ファイバ芯線の接続部分の位置113との最短距離114が異なる場合、前記の余長を同程度にするためには、光ファイバ芯線の長さ(最短距離114+余長)を光ファイバ芯線ごとに異なるものとする必要があるので、光ファイバ芯線ごとに必要な長さを切断するなどの作業が接続前に必要になる。
【0013】
これに対し、複数の光ファイバ芯線同士を一括して接続し、この接続部分の保護を行うと、光ケーブル接続時の作業性が向上する。加えて、余長の管理も一括した複数の光ファイバ芯線ごとに行えるようになる。
このような方法の例としては、複数の光ファイバ芯線同士の融着接続を行い、この接続部分を補強スリーブで保護する方法がある。
【0014】
この補強スリーブの例が図17(a)に示す補強スリーブ50である。補強スリーブ50は、熱溶融性材料からなる筒状の補強材52と抗張力体53とを、熱収縮性チューブ51内の上半部と下半部にそれぞれ収容したものである。
【0015】
複数の光ファイバ芯線同士を融着接続した光ファイバ接続部60を、補強スリーブ50の筒状の補強材52の内部に納め、補強スリーブ50を加熱すると、補強材52が溶融すると共に熱収縮性チューブ51が収縮し、図17(b)に示すように、溶融した補強材52で光ファイバ接続部60が被覆された状態となる。その後補強スリーブ50が冷却されると、補強材52が固化し、光ファイバ接続部60が補強スリーブ50に一体化されて保護される。抗張力体53は、ガラス等により形成され適度な剛性を有し、光ファイバ接続部60に機械的な力が加わることを抑えるためのもので、特に曲がりを抑制する効果が大きい。
【0016】
しかしながら、このような従来の接続方法を光ケーブル10の接続部に適用する場合、これを細径化し光ケーブル10と準同径とすることが困難になる。
【0017】
すなわち、図18(a)に示すように、光ケーブル10の内周101(図では一部のみ示す)は、テンションメンバ21の半径にルースチューブ11の直径を加えた長さを半径とする円周状となる。一方、図18(b)に示すように、光ファイバ接続部60に対応する位置では、テンションメンバ21の周囲に光ファイバ接続部60を保護した補強スリーブ50が配置されることになる。この補強スリーブ50は一般的にルースチューブ11よりも大きいものとなり、その分、光ケーブル10の内周101が膨らむ。光ファイバ接続部60の保護は必要であるものの、従来の補強スリーブ50をそのまま用いると、光ケーブル10の接続部を細径化して光ケーブル10と準同径とすることが困難になる。
【0018】
また、光ケーブル10の接続部に曲がりが加わると、図18(c)に示すように、曲げられたテンションメンバ21が補強スリーブ50の抗張力体53を圧迫して過度な力を加え、抗張力体53が破損する可能性もある。抗張力体53が破損すると、補強スリーブ50としての機能を失うばかりか、破損した抗張力体53により光ファイバ接続部60が損傷する可能性もある。
【0019】
本発明は、以上のような問題点に鑑みてなされたもので、ルースチューブ型の光ケーブルなどの接続時、光ファイバ芯線の接続部分を適切に保護するとともに光ケーブルの接続部を細径化でき、さらに光ケーブルの接続作業も簡略化できるフォルダ、これを用いた光複合電力ケーブル、および光ケーブル接続方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0020】
前述した目的を達するための第1の発明は、光ケーブルが電力ケーブルに複合された光複合電力ケーブルの光ケーブルの接続部に用いられるフォルダであって、前記光ケーブルの複数の光ファイバ芯線同士を一括して接続した光ファイバ接続部が収容される収容部を有することを特徴とするフォルダである。
【0021】
かかる構成により、フォルダの収容部に、複数の光ファイバ芯線同士を一括して接続した光ファイバ接続部を収容することで、光ケーブルの接続部の曲げ等に対しフォルダにより抵抗でき、光ファイバ接続部が保護される。従って、従来の光ファイバ接続部で用いられる補強スリーブの抗張力体等が省略できるので、光ケーブルの接続部を光ケーブルとほぼ同じ径まで細径化できる。すなわち、光ケーブルの接続部の準同径化が実現できる。抗張力体の破損による光ファイバ接続部の損傷等の心配もない。
また、複数の光ファイバ芯線の一括接続とフォルダを用いた光ファイバ接続部の保護により、光ケーブルの接続作業が簡略化される。加えて余長の管理も一括した複数の光ファイバ芯線ごとに行えるようになり容易とできる。
【0022】
また、第1の発明のフォルダは、円柱体の外周面に、幅広の部分を含み平らな底面を有する収容溝を、軸方向に貫通するように設けたものであることが望ましい。
【0023】
かかる構成により、光ファイバ接続部を収容溝の頂部開口から収容溝へ容易に収容できる。また、光ファイバ接続部を収容したフォルダを曲げに対して強い構造とできる。さらに、底面が平らであり、幅広の部分すなわち深さより幅の広い部分を有する収容溝は、平らに並べた複数の光ファイバ芯線同士を一括して接続した光ファイバ接続部を収容し、これを保護するのに適している。このような光ファイバ芯線同士の接続は、従来の多芯融着機を使用して行えるので作業性が高い。
【0024】
また、第1の発明のフォルダは、前記光ケーブルのテンションメンバが貫通可能な貫通孔を有することが望ましい。
【0025】
かかる構成により、貫通孔に光ケーブルのテンションメンバを通してフォルダを配置でき、省スペース化により光ケーブルの接続部を細径化できる。
【0026】
さらに、第1の発明のフォルダは、周方向に等間隔に複数の収容部を有することが望ましい。
【0027】
かかる構成により、光ファイバ接続部の複数を1つのフォルダで効率よく保護できるようになる。
【0028】
また、第1の発明のフォルダは、前記光ファイバ接続部での接続対象でない光ファイバ芯線が通過できる貫通部を有することが望ましい。
【0029】
かかる構成により、光ファイバ接続部が多数の場合には、複数のフォルダを配置して、光ファイバ接続部を1個所に集中配置させず、複数のフォルダに分散して配置できるようになる。すなわち、光ファイバ接続部をフォルダの収容部に収容すると共に、該光ファイバ接続部での接続対象でない光ファイバ芯線はフォルダの貫通部を通過させ、これを接続処理した光ファイバ接続部は他のフォルダに収容するようにできる。このように、光ファイバ接続部を1個所に集中配置させず、複数のフォルダに分散して配置することで、光ケーブルの接続部が細径化できる。
【0030】
前述した目的を達するための第2の発明は、光ファイバ芯線が拘束されずに収容された光ケーブルが電力ケーブルに複合された光複合電力ケーブルの光ケーブルの接続部において、前記光ケーブルの複数の光ファイバ芯線同士を平らに並べた状態で一括して接続した光ファイバ接続部が、第1の発明のフォルダの収容部に収容されることを特徴とする光複合電力ケーブルである。
【0031】
かかる構成により、光複合電力ケーブルの光ケーブルの接続部において、複数の光ファイバ芯線同士を一括して接続した光ファイバ接続部が、第1の発明のフォルダを用いて適切に保護される。これにより、従来の光ファイバ接続部で用いられる補強スリーブの抗張力体等が省略でき、光ケーブルの接続部が光ケーブルとほぼ同じ径まで細径化できる。このような光複合電力ケーブルでは、製造工程中や布設時等に光ケーブルの接続部が極端な圧力を受けるのを回避できるので、内部の光ファイバ芯線が損傷等するのを防止できる。
また、複数の光ファイバ芯線の一括接続とフォルダを用いた光ファイバ接続部の保護により、光ケーブルの接続作業も簡略化される。加えて余長の管理も容易とできる。また、光ファイバ接続部は、光ケーブル内で拘束されずに収容された光ファイバ芯線を平らに並べ一括接続したものであるが、このような光ファイバ芯線同士の接続は、従来の多芯融着機等を使用して行えるので作業性も高い。さらに、ルースチューブ型の光ケーブルを用いることは、光複合電力ケーブルにおける光ケーブルの接続部の低減にもつながる。
【0032】
また、第2の発明の光複合電力ケーブルでは、光ケーブルのテンションメンバが貫通可能な貫通孔を有する第1の発明のフォルダが用いられ、前記光ケーブルのテンションメンバが前記フォルダの貫通孔を貫通していることが望ましい。
【0033】
かかる構成により、光複合電力ケーブルの光ケーブルの接続部において、貫通孔にテンションメンバを通してフォルダを配置することで、省スペース化により光ケーブルの接続部が細径化できる。
【0034】
また、第2の発明の光複合電力ケーブルでは、前記光ファイバ接続部での接続対象でない光ファイバ芯線が通過できる貫通部を有する第1の発明のフォルダを、ケーブル長さ方向に複数配置すると共に、ケーブル長さ方向に位置の異なる複数の光ファイバ接続部を複数の前記フォルダに分散して配置することが望ましい。
【0035】
かかる構成により、光ファイバ接続部が多数の場合に、複数のフォルダを配置し、光ファイバ接続部を1個所に集中配置させず複数のフォルダに分散して配置することで、光ケーブルの接続部が細径化できる。
【0036】
前述した目的を達するための第3の発明は、光ファイバ芯線が拘束されずに収容された光ケーブルが電力ケーブルに複合された光複合電力ケーブルにおける光ケーブルの接続方法であって、前記拘束されずに収容された複数の光ファイバ芯線を平らに並べた状態にした後、接続対象の光ファイバ芯線同士を互いに突き合わせ一括して接続し、この光ファイバ接続部を、第1の発明のフォルダの収容部に収容することを特徴とする光ケーブル接続方法である。
【0037】
かかる光ケーブル接続方法によれば、第1の発明のフォルダを用いて、複数の光ファイバ芯線同士を一括して接続した光ファイバ接続部の保護を適切かつ容易に行うことができる。これにより従来の光ファイバ接続部で用いられる補強スリーブの抗張力体が省略でき、光ケーブルの接続部を光ケーブルとほぼ同じ径まで細径化できる。
また、複数の光ファイバ芯線を一括接続し、この光ファイバ接続部をフォルダに収容して保護するので、光ケーブルの接続作業が簡略化される。加えて余長の管理も容易とできる。また、この際、光ケーブル内で拘束されずに収容された光ファイバ芯線を平らに並べ接続を行うので、従来の多芯融着機を使用することができ作業性も高い。さらに、ルースチューブ型の光ケーブルを用いることは、光複合電力ケーブルにおける光ケーブルの接続部の低減にもつながる。
【0038】
また、熱収縮性チューブに抗張力体と熱溶融性材料からなる補強材とが収容されてなる補強スリーブに、前記光ファイバ接続部を納め、前記補強スリーブを加熱して補強材を溶かすと共に熱収縮性チューブを収縮させることで溶融した補強材で前記光ファイバ接続部を被覆し、補強材が冷却固化した後に、前記補強スリーブの熱収縮性チューブと抗張力体を取り除き、次いで補強材で被覆されている前記光ファイバ接続部を前記フォルダの収容部に収容することが望ましい。
【0039】
光ファイバ接続部を補強スリーブの補強材で被覆することにより、光ファイバの接続作業の信頼性が向上する。加えて、補強スリーブの熱収縮性チューブと抗張力体を取り除き、フォルダの収容部に納めるので、光ケーブルの接続部が太くなるのも回避できる。
【発明の効果】
【0040】
本発明により、ルースチューブ型の光ケーブルなどの接続時、光ファイバ芯線の接続部分を適切に保護するとともに光ケーブルの接続部を細径化でき、さらに光ケーブルの接続作業も簡略化できるフォルダ、これを用いた光複合電力ケーブル、および光ケーブル接続方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】光ケーブル接続部1の概略を示す図
【図2】保護チューブ13、異形チューブ14、扁平チューブ15について説明する図
【図3】抗張力体53等を除去した補強スリーブ50を示す図
【図4】ガイド23を示す図
【図5】テンションメンバ連結部ガイド24を示す図
【図6】フォルダ30を示す図
【図7】光ケーブル10の接続方法を示す図
【図8】光ケーブル10の接続方法を示す図
【図9】光ファイバ芯線111の接続方法を示す図
【図10】光ファイバ芯線111の接続方法を示す図
【図11】光ファイバ固定具42について示す図
【図12】フォルダ80を示す図
【図13】フォルダ90を示す図
【図14】光複合電力ケーブル100を示す図
【図15】ルースチューブ型の光ケーブル10を示す図
【図16】余長の管理について説明する図
【図17】補強スリーブ50を示す図
【図18】補強スリーブ50を用いた光ケーブルの接続部について示す図
【発明を実施するための形態】
【0042】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態について説明する。
【0043】
[第1の実施形態]
まず、図1を参照して、本発明の第1の実施形態に係るフォルダを用いた光ケーブルの接続部の概略について説明する。
【0044】
図1は、光ケーブル接続部1の概略を示す図である。
光ケーブル接続部1は、図14(a)で説明した光複合電力ケーブル100において、図15で説明したルースチューブ型の光ケーブル10の長尺化を目的とし、2本の光ケーブル10(10−1、10−2)を相互に接続した工場接続部である。なお、光ケーブル接続部1全体は図示しないインターロック管やポリエチレンシース等を被せて保護される。
【0045】
光ケーブル接続部1では、各光ケーブル10−1、10−2の端部の被覆71が除去されており、図15で示したルースチューブ11、フィラー81、およびテンションメンバ21が露出される。なお、図1では、説明を分かり易くするため、光ケーブル10の4本のルースチューブ11のうち1本のみ示し、フィラー81については図示を省略した。
【0046】
各光ケーブル10−1、10−2のテンションメンバ21同士は、テンションメンバ連結部22で連結用金具221を用いて連結される。
【0047】
これらのテンションメンバ21には、一方の光ケーブル10−1から他方の光ケーブル10−2へと順に、光ケーブル10−1側の複数のガイド23、テンションメンバ連結部ガイド24(24−1、24−2)、フォルダ30(30−1、30−2)、誘導ガイド25、および光ケーブル10−2側の複数のガイド23が取り付けられる。また、フォルダ30の両側にはストッパ39が取り付けられ、フォルダ30のケーブル長さ方向の移動が抑えられる。
【0048】
一方、各光ケーブル10−1、10−2のルースチューブ11には、保護チューブ13、異形チューブ14、および扁平チューブ15がこの順に接続される。
なお、ルースチューブ11は、図15に示した内部の複数(6芯)の光ファイバ芯線111を残して途中で切除されており、上記の保護チューブ13等は、この複数の光ファイバ芯線111を内側に通しつつ、ルースチューブ11の残った端部から順に接続したものであるが、この手順については後述する。
【0049】
ここで、一方の光ケーブル10−1について見ると、光ケーブル10−1のルースチューブ11に接続された保護チューブ13は、ガイド23およびテンションメンバ連結部ガイド24−1、24−2を通過し、フォルダ30−1の手前で、異形チューブ14に接続され、次いで扁平チューブ15に接続される。
他方の光ケーブル10−2について見ると、光ケーブル10−2のルースチューブ11に接続された保護チューブ13は、ガイド23、誘導ガイド25、およびフォルダ30−2を通過し、フォルダ30−1の手前で、異形チューブ14に接続され、次いで扁平チューブ15に接続される。
【0050】
光ファイバ接続部12では、各光ケーブル10−1、10−2の扁平チューブ15から出た前記の複数の光ファイバ芯線111同士が一括して接続される。光ファイバ接続部12は、フォルダ30(30−1)に収容される。
【0051】
図示は省略したが、光ケーブル10の他の3本のルースチューブ11内の光ファイバ芯線111についても同様にして接続処理が行われる。
【0052】
次に、上記の保護チューブ13、異形チューブ14、扁平チューブ15、および光ファイバ接続部12について説明する。
【0053】
(保護チューブ13、異形チューブ14、扁平チューブ15)
図2は、保護チューブ13、異形チューブ14、および扁平チューブ15について示す図である。図2(a)は図1の範囲Aにおけるルースチューブ11と保護チューブ13の接続箇所を示す図であり、図2(b)は図1の範囲Bにおける保護チューブ13、異形チューブ14、および扁平チューブ15の接続箇所を示す図である。図2(c)は、異形チューブ14、扁平チューブ15の接続について示す図である。図2(d)は図2(b)の線C−Cにおける断面図であり、図2(e)は図2(b)の線D−Dにおける断面図である。
【0054】
図2(a)に示すように、保護チューブ13は円形断面を有する筒体であり、その外径は、ルースチューブ11の内径と同程度の大きさである。
保護チューブ13は、一方の端部131をルースチューブ11の端部の内側に挿入することにより、ルースチューブ11に接続される。
【0055】
図2(b)に示すように、異形チューブ14は、両端部141、145およびその中間部143で断面形状が異なる筒体である。
一方の端部141は円形断面を有し、その内径は保護チューブ13の外径と同程度の大きさである。なお、外径はルースチューブ11の外径と同程度の大きさである。
また、他方の端部145は扁平状の断面を有する。さらに、両端部141、145の間の中間部143では、断面形状が一方の端部141の円形断面から他方の端部145の扁平状の断面へと連続的に変化する。
異形チューブ14は、一方の端部141を保護チューブ13の他方の端部133の外側に嵌め込むことにより、保護チューブ13に接続される。
【0056】
また、扁平チューブ15は扁平状の断面を有する筒体であり、外周形状の高さおよび幅は、異形チューブ14の他方の端部145の内周形状の高さおよび幅と同程度の大きさである。
扁平チューブ15は、端部を異形チューブ14の他方の端部145の内側に挿入することにより、異形チューブ14に接続される。
【0057】
図2(c)の矢印に示すように上記した異形チューブ14や扁平チューブ15の接続を行うことで、図2(d)や図2(e)にも示すように、保護チューブ13の内側で不規則に配置されていた複数の光ファイバ芯線111が、異形チューブ14の中間部143により案内されて、扁平チューブ15の内側にて、上下に重なることなく平らに並べて配置された状態となる。
【0058】
なお、保護チューブ13、異形チューブ14、扁平チューブ15は樹脂により形成され、適度な柔軟性を有するものとする。また、異形チューブ14はルースチューブを加工することにより製作できる。
【0059】
(光ファイバ接続部12)
図1に示す光ファイバ接続部12では、多芯融着機を用いて、前記の複数の光ファイバ芯線111の一括融着接続が行われるが、この手順については後述する。
この光ファイバ接続部12は、図17(a)、図17(b)で説明した補強スリーブ50を用いて被覆される。しかし、本実施形態では、前記した手順により図17(b)に示すように光ファイバ接続部12に一体化させた補強スリーブ50から、熱収縮性チューブ51と抗張力体53の部分を取り除き、図3に示すように、光ファイバ接続部12が冷却固化した補強材52のみで被覆された状態とする。
【0060】
次に、上記の保護チューブ13等や光ファイバ接続部12の配置を行うための、ガイド23、テンションメンバ連結部ガイド24(24−1、24−2)、誘導ガイド25、およびフォルダ30(30−1、30−2)について説明する。
【0061】
(ガイド23)
図1に示すように、光ケーブル10(10−1、10−2)のルースチューブ11に接続された保護チューブ13は、複数のガイド23に取り付けて配置される。
【0062】
図4はガイド23を示す図であり、図1の線E−Eにおける断面図である。
図4に示すように、ガイド23は、円板体231の径方向断面の外周部に、保護チューブ13を配置するための凹部231aを周方向に等間隔で複数設けたものである。図の例では60°間隔で6つ設けられる。また、円板体231の径方向断面の外周部には、必要に応じてCリング状のガイドカバー231cが嵌められ、凹部231aに配置された保護チューブ13を拘束する。
【0063】
さらに、円板体231には、径方向断面の中央部を軸方向に貫通する貫通孔231bが設けられる。ガイド23は、貫通孔231bにテンションメンバ21を通して配置される。
【0064】
保護チューブ13は、配置する凹部231aの位置をガイド23毎に変えつつ、図1に示すように、複数のガイド23に周方向に位置が変化するように取り付けられる。このようにして、保護チューブ13内の光ファイバ芯線111を弛みを持たせて光ケーブル接続部1に収納する。
なお、図1では光ケーブル10から取り出したフィラー81について図示を省略したが、フィラー81については、複数のガイド23に入る手前の箇所で切断するようにしておく。
【0065】
(テンションメンバ連結部ガイド24)
図1に示すように、テンションメンバ連結部22の連結用金具221の両側には、テンションメンバ連結部ガイド24(24−1、24−2)が取り付けられる。テンションメンバ連結部ガイド24−1は、連結用金具221に対してガイド23側に取り付けられ、テンションメンバ連結部ガイド24−2は、連結用金具221に対してフォルダ30−1側に取り付けられる。
【0066】
ガイド23を出た光ケーブル10−1の保護チューブ13は、テンションメンバ連結部ガイド24に取り付けて配置される。テンションメンバ連結部ガイド24は、保護チューブ13を連結用金具221からケーブル外側方向に退避させ、連結用金具221と保護チューブ13の接触による、保護チューブ13内の光ファイバ芯線111の局部曲げに伴う光損失の増大を防ぐためのものである。
【0067】
図5はテンションメンバ連結部ガイド24について示す図である。図5(a)は図1の範囲Fを側方から見た図である。図5(b)は図5(a)の線G−Gにおける断面図である。図5(c)は図5(a)の線H−Hにおける断面図である。
【0068】
図5(a)に示すように、テンションメンバ連結部ガイド24は、円錐台体243の小径の端面に円板体241の端面を取り付け、大径の端面に円板体245の端面を取り付けたものであり、連結用金具221側に円板体245が位置するように配置される。
【0069】
図5(b)、図5(c)に示すように、円板体241、245の径方向断面の外周部には、それぞれ、保護チューブ13を配置するための凹部241a、245aが周方向に等間隔で複数設けられる。図の例ではそれぞれ90°間隔で4つ設けられる。また、円板体245の凹部245aの深さは、円板体241の凹部241aよりも浅く定められる。
【0070】
テンションメンバ連結部ガイド24には、さらに、円板体241、円錐台体243、円板体245の径方向断面の中央部を軸方向に貫通する貫通孔247が設けられる。テンションメンバ連結部ガイド24は、貫通孔247にテンションメンバ21を通して配置される。
【0071】
図5(a)〜図5(c)を参照すると、保護チューブ13は、テンションメンバ連結部ガイド24−1において、円板体241の凹部241aから円錐台体243の外面の傾斜を経て円板体245の凹部245aに配置されることにより、ケーブル外側方向へ移動する。この保護チューブ13は、連結用金具221を挟んで、テンションメンバ連結部ガイド24−2の円板体245の凹部245aに架け渡される。
このようにして保護チューブ13の配置をケーブル外側方向にずらすことにより、保護チューブ13が連結用金具221から退避される。
【0072】
(誘導ガイド25)
一方、図1に示すように、ガイド23を出た光ケーブル10−2の保護チューブ13は、誘導ガイド25に取り付けられる。
誘導ガイド25は、図5で説明したテンションメンバ連結部ガイド24−1と同様の構成を有しており、テンションメンバ連結部ガイド24−1と同様にして、光ケーブル10−2の保護チューブ13をケーブル外側方向へ移動させ、後述するフォルダ30の外周面の収容溝33や貫通溝35に向けて保護チューブ13を誘導する。
【0073】
(フォルダ30)
図1に示すように、光ファイバ接続部12はフォルダ30(30−1)に収容して保護される。
【0074】
図6はフォルダ30(30−1、30−2)について示す図である。図6(a)は図1の範囲Jを上から見た図である。図6(b)は図6(a)の線K−Kにおける断面図、図6(c)は図6(a)の線L−Lにおける断面図、図6(d)は図6(a)の線M−Mにおける断面図である。
なお、図6(b)〜図6(d)では、説明のため、図1等では図示を省略した、光ケーブル10の他の3本のルースチューブ11内の光ファイバ芯線111の接続処理を行った光ファイバ接続部12などについても全て表示した。
【0075】
図6(a)〜図6(d)に示すように、フォルダ30は、円柱体31の外周面に、収容溝33と貫通溝35とを軸方向に貫通するように設けたものである。また、円柱体31には、径方向断面の中央部を軸方向に貫通する貫通孔37が設けられる。フォルダ30は、貫通孔37にテンションメンバ21を通して配置される。
なお、フォルダ30の材質としては、光ファイバ接続部12の保護のため、想定されるフォルダ30の曲げ等に対し抵抗できる剛性を有するものであればよく、例えば金属等を用いることができる。
【0076】
収容溝33は、光ファイバ接続部12を配置し収容するための収容部であり、図6(b)等に示すように、円柱体31の径方向断面の外周部において、周方向に180°離間して等間隔で2つ設けられる。光ファイバ接続部12は、収容溝33の頂部開口から収容溝33へ配置して収容する。
【0077】
収容溝33は平らな底面を有し、図6(a)、図6(b)等に示すように、軸方向の中間部33aは、深さより幅が広い幅広の形状となっている。この中間部33aに光ファイバ接続部12が配置される。一方、図6(a)、図6(c)等に示すように、軸方向の両端部33b、33bも幅広に形成されるが、その幅は若干狭くなっている。この両端部33b、33bには、光ファイバ接続部12の両側の扁平チューブ15、15がそれぞれ配置される。
【0078】
また、図6(b)に示すように、収容溝33の深さ33cは、収容した光ファイバ接続部12に側圧が加わらないように、光ファイバ接続部12の高さ(光ファイバ接続部12を被覆する補強材52の高さ)より大きく定められる。
【0079】
貫通溝35は、光ファイバ芯線111を収容した保護チューブ13を通すための貫通部であり、図6(b)等に示すように、円柱体31の径方向断面の外周部において、周方向に180°離間して等間隔で2つ設けられる。この2つの貫通溝35は、前記した2つの収容溝33に対して周方向に90°ずらして配置される。保護チューブ13は、貫通溝35の頂部開口から貫通溝35へ配置する。
【0080】
図6(a)〜図6(d)に示すように、光ケーブル接続部1では、ケーブル長さ方向の異なる位置に2つのフォルダ30−1、30−2が配置される。
また、フォルダ30−2は、フォルダ30−1に対し周方向に90°回転して配置されており、一方のフォルダ30−1(30−2)の収容溝33の周方向の位置と、他方のフォルダ30−2(30−1)の貫通溝35の周方向の位置が対応する。
【0081】
本実施形態では、図1に明示した光ファイバ接続部12を含む2つの接続部12をフォルダ30−1の収容溝33、33に配置し、残る2つの光ファイバ接続部12を他方のフォルダ30−2の収容溝33、33に収容し、4つの光ファイバ接続部12をケーブル長さ方向に位置を変え分散して配置する。
【0082】
すなわち、図6(b)、図6(d)等に示すように、一方のフォルダ30−1(30−2)では、2か所の収容溝33に2つの光ファイバ接続部12がそれぞれ配置されるとともに、該光ファイバ接続部12での接続対象でない光ファイバ芯線111を収容する保護チューブ13を、2か所の貫通溝35にそれぞれ配置して通過させる。
貫通溝35を通過させた光ファイバ芯線111について接続処理を行った2つの光ファイバ接続部12は、該貫通溝35と周方向に対応する位置にある、他方のフォルダ30−2(30−1)の2か所の収容溝33にそれぞれ配置される。
このようにして、4つの光ファイバ接続部12が2つのフォルダ30−1、30−2に分散して配置される。
【0083】
光ケーブル接続部1は、以上に説明した構成を有する。次に、この光ケーブル接続部1を形成するための光ケーブル10の接続方法について説明する。
【0084】
光ケーブル10の接続を行うには、まず、図15に示した光ケーブル10の端部の被覆71を接続に必要な長さだけ剥がして除去し、ルースチューブ11、テンションメンバ21、フィラー81を露出させる。この状態を図7(a)に示す。
なお、図7および後述する図8では、図1と同様、光ケーブル10の4本のルースチューブ11のうち1本のみ示し、フィラー81については図示を省略した。
【0085】
次に、図7(b)に示すように、ルースチューブ11を途中で切除し、内部にあった複数の光ファイバ芯線111を取り出す。
【0086】
そして、この複数の光ファイバ芯線111を内側に通しつつ、図7(c)に示すように、ルースチューブ11の残った端部に保護チューブ13、異形チューブ14、扁平チューブ15を順に前記したように接続する。光ファイバ芯線111の端部は、光ファイバ芯線111の接続作業を行うため、扁平チューブ15から必要な長さを露出させる。
以上の工程を、接続する各光ケーブル10−1、10−2について行う。
【0087】
次に、図8(a)に示すように、光ファイバ接続部12にて、各光ケーブル10−1、10−2の上記の複数の光ファイバ芯線111同士を接続し、この光ファイバ接続部12を補強スリーブ50を利用して被覆する。
【0088】
以下この手順を図9、図10を用いて説明する。図9、図10において、40は多芯融着機、41は融着機構、42は光ファイバ固定具、43は加熱・冷却機構であり、それぞれ従来の多芯融着機の概略構成を示したものである。
【0089】
まず、図9(a)に示すように、扁平チューブ15から出た複数の光ファイバ芯線111を光ファイバ固定具42にセットして、上下が重ならないように平らに並べた状態で固定し、光ファイバ芯線111の口出しを行い端部のUV被覆を除去すると共に、末端を切断してその位置を揃える。
この工程を接続する各光ケーブル10−1、10−2について行う。一方については、図9(a)に示すように、光ファイバ芯線111に予め補強スリーブ50を通した後、光ファイバ固定具42にセットするようにしておく。この際、図17(a)に示した補強スリーブ50の補強材52の内部に、光ファイバ芯線111を通しておく。
【0090】
その後、図9(b)に示すように、各光ケーブル10−1、10−2の複数の光ファイバ芯線111を、それぞれ光ファイバ固定具42ごと多芯融着機40にセットして対向配置させ、融着機構41にて端部同士を互いに突き合わせて一括して融着を行い、光ファイバ接続部12とする。
【0091】
ここで、前記の光ファイバ固定具42について図11を用いて説明する。図11は光ファイバ固定具42の鉛直方向断面の概略構成を示す図である。
【0092】
図11に示すように、光ファイバ固定具42は基台421と上蓋423とを有し、基台421には、光ファイバ芯線を並べて配置し位置決めするための溝422が設けられる。
複数の光ファイバ芯線111をこの溝422に配置し、上下に重ならず平らに並べた状態とし、上蓋423を閉じると、これらの光ファイバ芯線111が、基台421と上蓋423により上下から把持されて固定される。
【0093】
ここで、光ファイバ芯線111が上下に重なっていたりすると、光ファイバ固定具42での把持不良や、光ファイバ芯線111の損傷等の原因になるが、光ファイバ芯線111は扁平チューブ15により既に平らに揃えられているので、光ファイバ固定具42への配置を容易かつ適切に行うことができる。
また、光ファイバ芯線111の融着接続後には、光ファイバ芯線111を光ファイバ固定具42により把持しつつスライドさせ光ファイバ接続部12の引張検査が行われる場合があるが、この引張検査も適切に行うことができる。
【0094】
図9(b)に示すように光ファイバ芯線111の接続を行った後、光ファイバ固定具42から光ファイバ芯線111を取り外し、補強スリーブ50を移動させ、図9(c)に示すように、光ファイバ接続部12が補強スリーブ50内の適切な位置に来るように配置する。このとき、光ファイバ接続部12は、図17(a)に示すように、補強スリーブ50の補強材52の内部に配置される。
【0095】
そして、光ファイバ接続部12の両側の扁平チューブ15、15を、異形チューブ14、14からそれぞれ引き出し、図10(a)に示すように補強スリーブ50の両端部に挿入する。
これにより、光ファイバ接続部12の両側の光ファイバ芯線111について、平らに配置された状態が扁平チューブ15内で維持され、後の工程で作業を行う際に配置がくずれ、光ファイバ芯線111同士が擦れて傷が生じたりすることがなくなる。また、上記の工程は扁平チューブ15を引き出して行うので、この際に配置が崩れることもない。
なお、前記の図7(c)で説明した工程において扁平チューブ15を異形チューブ14に接続する際、扁平チューブ15を異形チューブ14に挿入する長さは、上記の工程における扁平チューブ15の引き出し長さ以上としておく。
【0096】
次に、図10(b)に示すように、補強スリーブ50を多芯融着機40の加熱・冷却機構43にセットして、補強スリーブ50の加熱を行い、続いて、補強スリーブ50を冷却し、前記したように補強スリーブ50と光ファイバ接続部12を一体化させる(図17(b)参照)。
【0097】
その後、図10(c)に示すように多芯融着機40から補強スリーブ50を取り外し、図17(b)に示した状態から補強スリーブ50の熱収縮性チューブ51と抗張力体53を取り除いて、図3に示したように、補強材52のみで光ファイバ接続部12が被覆された状態にする。熱収縮性チューブ51と抗張力体53は、カッタ等により補強材52から切り離すことができる。
なお、補強材52は、扁平チューブ15の端部も被っている(図6参照)。
【0098】
以上の手順で、光ケーブル10の4本のルースチューブ11内の光ファイバ芯線111の接続処理をそれぞれ行う。
その後、図8(b)に示すように、テンションメンバ21を必要な長さに切断するととともに、ガイド23、テンションメンバ連結部ガイド24、誘導ガイド25、フォルダ30等を図1等で説明したように取り付け、テンションメンバ21の端部同士を連結用金具221で連結する。なお、この工程は光ファイバ芯線111を接続する前に行ってもよい。
【0099】
そして、図8(c)に示すように、保護チューブ13、異形チューブ14、扁平チューブ15、および光ファイバ接続部12を、図1等で説明したように配置する。
【0100】
以上のようにして光ケーブル10−1、10−2を接続し、光ケーブル接続部1が形成される。なお、この後、インターロック管やポリエチレンシース等を被せることにより光ケーブル接続部1全体が保護されるが、インターロック管は、以上の工程に先んじて一方の光ケーブルに通しておいたものを引き戻して用いる。
【0101】
以上説明したように、第1の実施形態によれば、フォルダ30の収容溝33に、光ケーブル10−1、10−2の複数の光ファイバ芯線111同士を一括接続した光ファイバ接続部12を収容する。これにより、光ケーブル接続部1の曲げ等に対しフォルダ30により抵抗でき、光ファイバ接続部12が保護される。光ファイバ接続部12は補強スリーブ50を利用して被覆するが、フォルダ30を用いて光ファイバ接続部12の保護を行うので、補強材52のみ残し抗張力体53等は取り除く。
これにより、光ケーブル接続部1を光ケーブル10とほぼ同じ径まで細くできる。すなわち光ケーブル接続部1の準同径化が実現できる。光ケーブル接続部1を準同径とした光複合電力ケーブル100では、製造工程中や布設時等に光ケーブル接続部1が極端な側圧を受けるのを回避できるので、内部の光ファイバ芯線111が損傷等するのを防止できる。また、抗張力体53の破損による光ファイバ接続部12の損傷等の心配もない。さらに、光ファイバ接続部12は補強スリーブ50の補強材52により被覆されるので、接続作業の信頼性も向上する。
【0102】
また、複数の光ファイバ芯線111の一括接続とフォルダ30を用いた光ファイバ接続部12の保護により、光ケーブル10の接続作業が簡略化される。加えて、余長の管理も一括した複数の光ファイバ芯線111ごとに行えるようになり容易とできる。
また、この際、光ケーブル10のルースチューブ11内で拘束されずに収容された複数の光ファイバ芯線111を平らに並べ、従来の多芯融着機を使用して一括して融着接続を行うので、光ファイバ芯線111の接続も簡易である。また、ルースチューブ型の光ケーブル10を用いることは、光複合電力ケーブル100における光ケーブル接続部1の低減にもつながる。
【0103】
フォルダ30は、光ケーブル10のテンションメンバ21が貫通可能な貫通孔37を有するので、貫通孔37にテンションメンバ21を通してフォルダ30を配置でき、省スペース化により光ケーブル接続部1が細径化できる。
【0104】
また、フォルダ30は、円柱体31の外周面に収容溝33を軸方向に貫通するように設けたものであるので、光ファイバ接続部12を収容溝33の頂部開口から配置して収容溝33に容易に収容できる。また、光ファイバ接続部12を収容したフォルダ30を曲げに対して強い構造とできる。
さらに、収容溝33は、幅広の部分を含み平らな底面を有するので、前記のように、平らに並べた複数の光ファイバ芯線111同士を一括して接続した光ファイバ接続部12を配置し、これを保護するのに適している。
【0105】
また、フォルダ30には、周方向に等間隔に2つの収容溝33が設けられるので、2つの光ファイバ接続部12を1つのフォルダ30で効率よく保護できる。
さらに、フォルダ30は、上記光ファイバ接続部12での接続対象でない光ファイバ芯線111を通過させるための2つの貫通溝35を有し、光ケーブル接続部1においてケーブル長さ方向に2つ配置する。これにより、前記のように2つのフォルダ30に4つの光ファイバ接続部12を分散して配置し、1個所への集中配置を避けて光ケーブル接続部1を細径化することができる。
【0106】
なお、前記の収容溝33や貫通溝35に代えて、光ファイバ接続部12を収容する収容部や、光ファイバ芯線111を貫通させる貫通部として、円柱体31の外周部に貫通孔等を設けるような可能性も考えられる。ただし、前記の収容溝33や貫通溝35は、光ファイバ接続部12や光ファイバ芯線111の配置作業の容易さなどの点で有利である。
さらに、第1の実施形態では、フォルダ30に2つの収容溝33と貫通溝35を設けたが、収容溝33や貫通溝35の数等はこれに限ることはない。以下、本発明に係るフォルダの第2、第3の実施形態について説明する。
【0107】
[第2の実施形態]
図12は、本発明の第2の実施形態に係るフォルダ80について示す図である。図12(a)はフォルダ80を上から見た図である。図12(b)は図12(a)の線N−Nにおける断面図、図12(c)は図12(a)の線P−Pにおける断面図である。
【0108】
フォルダ80が第1の実施形態のフォルダ30と異なる点は、貫通溝35が省略され、2つの収容溝33のみ設けられる点である。その他の構成は、第1の実施形態のフォルダ30と同様であるので説明を省略する。
【0109】
[第3の実施形態]
図13は、本発明の第3の実施形態に係るフォルダ90について示す図である。図13(a)はフォルダ90を上から見た図である。図13(b)は図13(a)の線Q−Qにおける断面図、図13(c)は図13(a)の線R−Rにおける断面図である。
【0110】
フォルダ90が第1の実施形態のフォルダ30と異なる点は、収容溝33が周方向に120°離間して等間隔で3つ配置され、貫通溝35が省略される点である。この例では、1つのフォルダ90で、光ファイバ接続部12を3つ配置できる。その他の構成は、第1の実施形態のフォルダ30と同様であるので説明を省略する。
【0111】
第2の実施形態のフォルダ80や、第3の実施形態のフォルダ90を用いて光ケーブル接続部1を形成する場合も、第1の実施形態と同様の効果が得られる。ただし、第1の実施形態のフォルダ30のように貫通溝35は設けられないので、光ケーブル接続部1においては主に1個のみ設け光ファイバ接続部12を集中して配置する。
第2の実施形態のフォルダ80は、光ケーブル接続部1に2つの光ファイバ接続部12を配置する場合に用いることができ、例えば、12芯の光ファイバ芯線111を2つのルースチューブ11で6芯ずつ収容する光ケーブル10の接続に用いることができる。一方、第3の実施形態のフォルダ90は、光ケーブル接続部1に3つの光ファイバ接続部12を配置する場合に用いることができ、例えば、18芯の光ファイバ芯線111を3つのルースチューブ11で6芯ずつ収容する光ケーブル10の接続に用いることができる。
【0112】
このように、光ファイバ接続部12が比較的少数であれば、光ケーブル接続部1が細径化できる限りにおいて、1箇所のフォルダに光ファイバ接続部12を集中して配置することができる。これにより、構造的には若干弱い光ケーブル接続部1の長さをできるだけ短くできる利点がある。
一方、光ファイバ接続部12が多数の場合には、第1の実施形態のように、複数のフォルダへの分散配置により光ケーブル接続部1が細径化できる。
【0113】
上記したように、フォルダの収容溝33や貫通溝35の数、および使用するフォルダの数は、光ファイバ接続部12の数や、光ファイバ接続部12を分散配置するか否か等を考慮して様々に定めることができる。
加えて、収容溝33や貫通溝35の大きさなども、一括して接続する光ファイバ芯線111の本数をはじめ、光ファイバ芯線111や保護チューブ13等の太さなどに応じて適したものに定めることができる。
【0114】
また、以上の実施形態では、ルースチューブ型の光ケーブル10の接続にフォルダを用いる例を示したが、フォルダは、その他、複数の光ファイバ芯線を収容する既存のスロット型の光ケーブルを接続する際にも同様に適用でき、前記と同様の効果が得られる。さらに、光複合電力ケーブル100における光ケーブル10の接続部であれば、前記の工場接続部に限らず適用可能である。
このように、光複合電力ケーブル100や光ケーブル10、あるいは光ケーブル接続部1の構成は、本発明に係るフォルダを用いて、複数の光ファイバ芯線同士を接続した光ファイバ接続部の保護を行う限りにおいて、前記したものに限ることはなく様々な構成を採ることが可能である。
【0115】
以上、添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明はかかる例に限定されない。当業者であれば、本願で開示した技術的思想の範疇内において、各種の変更例又は修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【符号の説明】
【0116】
1………光ケーブル接続部
5………電力ケーブル
10………光ケーブル
11………ルースチューブ
12、60………光ファイバ接続部
21………テンションメンバ
30、80、90………フォルダ
31………円柱体
33………収容溝
35………貫通溝
37………貫通孔
40………多芯融着機
50………補強スリーブ
51………熱収縮性チューブ
52………補強材
53………抗張力体
100………光複合電力ケーブル
111………光ファイバ芯線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光ケーブルが電力ケーブルに複合された光複合電力ケーブルの光ケーブルの接続部に用いられるフォルダであって、
前記光ケーブルの複数の光ファイバ芯線同士を一括して接続した光ファイバ接続部が収容される収容部を有することを特徴とするフォルダ。
【請求項2】
円柱体の外周面に、幅広の部分を含み平らな底面を有する収容溝を、軸方向に貫通するように設けたことを特徴とする請求項1記載のフォルダ。
【請求項3】
前記光ケーブルのテンションメンバが貫通可能な貫通孔を有することを特徴とする請求項1または請求項2に記載のフォルダ。
【請求項4】
周方向に等間隔に複数の収容部を有することを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載のフォルダ。
【請求項5】
前記光ファイバ接続部での接続対象でない光ファイバ芯線が通過できる貫通部を有することを特徴とする請求項1から請求項4のいずれかに記載のフォルダ。
【請求項6】
光ファイバ芯線が拘束されずに収容された光ケーブルが電力ケーブルに複合された光複合電力ケーブルの光ケーブルの接続部において、前記光ケーブルの複数の光ファイバ芯線同士を平らに並べた状態で一括して接続した光ファイバ接続部が、請求項1から請求項5のいずれかに記載のフォルダの収容部に収容されることを特徴とする光複合電力ケーブル。
【請求項7】
請求項3に記載のフォルダが用いられ、前記光ケーブルのテンションメンバが前記フォルダの貫通孔を貫通していることを特徴とする請求項6に記載の光複合電力ケーブル。
【請求項8】
請求項5に記載のフォルダをケーブル長さ方向に複数配置すると共に、ケーブル長さ方向に位置の異なる複数の光ファイバ接続部を複数の前記フォルダに分散して配置したことを特徴とする請求項6または請求項7に記載の光複合電力ケーブル。
【請求項9】
光ファイバ芯線が拘束されずに収容された光ケーブルが電力ケーブルに複合された光複合電力ケーブルにおける光ケーブルの接続方法であって、前記拘束されずに収容された複数の光ファイバ芯線を平らに並べた状態にした後、接続対象の光ファイバ芯線同士を互いに突き合わせ一括して接続し、この光ファイバ接続部を、請求項1から請求項5のいずれかに記載のフォルダの収容部に収容することを特徴とする光ケーブル接続方法。
【請求項10】
熱収縮性チューブに抗張力体と熱溶融性材料からなる補強材とが収容されてなる補強スリーブに、前記光ファイバ接続部を納め、前記補強スリーブを加熱して補強材を溶かすと共に熱収縮性チューブを収縮させることで溶融した補強材で前記光ファイバ接続部を被覆し、補強材が冷却固化した後に、前記補強スリーブの熱収縮性チューブと抗張力体を取り除き、次いで補強材で被覆されている前記光ファイバ接続部を前記フォルダの収容部に収容することを特徴とする請求項9に記載の光ケーブル接続方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2013−64825(P2013−64825A)
【公開日】平成25年4月11日(2013.4.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−202832(P2011−202832)
【出願日】平成23年9月16日(2011.9.16)
【出願人】(502308387)株式会社ビスキャス (205)
【Fターム(参考)】