説明

フォークリフト

【課題】リフトブラケットのリフト力を利用してフォーク幅を調整できるフォークリフトを提供する。
【解決手段】車体2側に設けたマスト10側に、昇降動装置30を介してリフトブラケット20を昇降自在に設けた。リフトブラケット20に左右一対のフォーク38を左右動自在に設けた。両フォーク38間に伸縮リンク機構40を設け、伸縮リンク機構40の中央部分をマスト10側に連結分離自在に構成した。中央部分をマスト側に連結した状態で、昇降動装置によりリフトブラケットの昇降動を行うことで、伸縮リンク機構を左右方向で伸縮動でき、両フォークを互いに離間動または接近動できてフォーク幅に調整できる。両フォーク間に伸縮リンク機構を設け、伸縮リンク機構の中央部分をマスト側に連結分離自在とした簡単な構成を付加するだけで、昇降動装置によるリフトブラケットのリフト力を利用してフォーク幅を調整でき、フォーク幅を調整するための駆動装置が不要となって全体を安価に構成でき、大型のフォークの場合でも確実に間隔調節を行える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、たとえばマスト側に対してリフトブラケットが昇降自在に設けられるとともに、リフトブラケット側に対してフォークが左右動自在に設けられたフォークリフトに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種のものとしては、次のような構成が提供されている。すなわち、車両前部に設けられた左右一対のマストと、これらマストに沿って昇降自在なキャリッジと、このキャリッジに支持され、左右方向にスライドされて間隔が調整される左右一対のフォークとを備えた荷役車両の荷役装置であって、左右のフォークを連結するリンク機構と、リンク機構を駆動する駆動装置を設けている。そして、左右のフォークを連結するリンク機構が、駆動装置により左右のフォーク間の中心から左右対称に駆動されることにより、フォークがキャリッジに沿ってスライドされ、フォーク間の間隔が調節されるとともに、フォーク間の中心が荷役車両の中心線上からずれないように、左右のフォークのスライドが同調される(たとえば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−180040号公報(第3頁、図1−図3)
【特許文献2】実願平1−9134号(実開平2−99897号)のマイクロフィルム
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上記した従来構成によると、左右のフォーク間の間隔を調節する構成が、リンク機構と駆動装置(シリンダ装置)とからなることで、高価な駆動装置が必要となり、特に大型のフォークの場合、確実に間隔調節を行うためには大型で高価な駆動装置が必要となる。
【0005】
そこで本発明の請求項1記載の発明は、リフトブラケットのリフト力を利用してフォーク幅を調整し得るフォークリフトを提供することを目的としたものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前述した目的を達成するために、本発明の請求項1記載のフォークリフトは、車体側に設けられるマスト側には、昇降動装置を介してリフトブラケットが昇降自在に設けられ、このリフトブラケットには左右一対のフォークが左右動自在に設けられるとともに、両フォーク間には伸縮リンク機構が設けられ、この伸縮リンク機構の中央部分をマスト側に連結分離自在に構成したことを特徴としたものである。
【0007】
したがって請求項1の発明によると、フォークリフトは、昇降動装置を作動させることでリフトブラケットを昇降動させ得、以てフォークを昇降動させて所期のフォーク作業を行える。その際に所期のフォーク作業は、両フォークのフォーク幅を被運搬物の大きさに合わせて調整していることで安定して行え、また伸縮リンク機構の中央部分をマスト側に対して分離させていることで、伸縮リンク機構側に何ら支障なく行える。
【0008】
そして、取り扱う被運搬物の大きさに合わせてフォーク幅を調整するに、まず伸縮リンク機構の中央部分をマスト側に連結し、この状態で昇降動装置によりリフトブラケットの昇降動を行う。すると、伸縮リンク機構の中央部分の連結位置がリフトブラケットに対して上下に変位し、以て伸縮リンク機構を左右方向で伸縮動させる。これにより、左右一対のフォークを互いに離間動または接近動させ、以て取り扱う被運搬物の大きさに合わせたフォーク幅に調整し得る。その際に伸縮リンク機構の作用によって、左右一対のフォークの離間動または接近動は左右同調式となり、以てフォークは常に左右で均等な配置になる。このようにしてフォーク幅の調整を行ったのち、伸縮リンク機構の中央部分をマスト側に対して分離させることで、所期のフォーク作業を行えることになる。
【0009】
また本発明の請求項2記載のフォークリフトは、上記した請求項1記載の構成において、マストは、車体側の外枠と、この外枠側に案内されて昇降自在な内枠とにより上下方向で伸縮自在に構成されるとともに、前記内枠側にリフトブラケットが昇降自在に設けられ、伸縮リンク機構はパンタグラフ式からなり、その中央部分を内枠側に連結分離自在に構成したことを特徴としたものである。
【0010】
したがって請求項2の発明によると、フォークリフトは、昇降動装置を作動させることで外枠に対して内枠を昇降動させるとともに、この内枠に対してリフトブラケットを昇降動させ得、以てフォークを昇降動させて所期のフォーク作業を行える。そしてフォーク幅を調整するに、まずパンタグラフ式の伸縮リンク機構の中央部分を内枠側に連結し、この状態で昇降動装置によりリフトブラケットの昇降動を行う。すると、内枠の昇降量とリフトブラケットの昇降量との差分だけ、伸縮リンク機構の中央部分の連結位置がリフトブラケットに対して上下に変位し、以て伸縮リンク機構を左右方向で伸縮動させてフォーク幅に調整し得る。その際にパンタグラフ式の伸縮リンク機構の作用によって、左右一対のフォークの離間動または接近動は左右同調式となり、以てフォークは常に左右で均等な配置になる。このようにしてフォーク幅の調整を行ったのち、伸縮リンク機構の中央部分を内枠側に対して分離させることで、所期のフォーク作業を行えることになる。
【0011】
そして本発明の請求項3記載のフォークリフトは、上記した請求項1または2記載の構成において、連結分離が、伸縮リンク機構の中央部分に設けられた筒状掛止体と、この筒状掛止体の貫通部に挿抜自在でかつマスト側に着脱自在な連結体とにより行われることを特徴としたものである。
【0012】
したがって請求項3の発明によると、連結体を、筒状掛止体の貫通部に前方から差し込んで、マスト側に着装させることで、伸縮リンク機構の中央部分をマスト側に連結し得る。そしてフォーク幅の調整を行ったのち、連結体を引き抜き動などして、マスト側から離脱させるとともに、筒状掛止体の貫通部から抜出させることで、伸縮リンク機構の中央部分をマスト側から分離し得る。
【発明の効果】
【0013】
上記した本発明の請求項1によると、フォークリフトは、昇降動装置を作動させることでリフトブラケットを昇降動でき、以てフォークを昇降動させて所期のフォーク作業を行うことができる。その際に所期のフォーク作業は、両フォークのフォーク幅を被運搬物の大きさに合わせて調整していることで安定して行うことができ、また伸縮リンク機構の中央部分をマスト側に対して分離させていることで、伸縮リンク機構側に何ら支障なく行うことができる。
【0014】
そして、取り扱う被運搬物の大きさに合わせてフォーク幅を調整するに、まず伸縮リンク機構の中央部分をマスト側に連結し、この状態で昇降動装置によりリフトブラケットの昇降動を行う。すると、伸縮リンク機構の中央部分の連結位置がリフトブラケットに対して上下に変位し、以て伸縮リンク機構を左右方向で伸縮動できる。これにより、左右一対のフォークを互いに離間動または接近動でき、以て取り扱う被運搬物の大きさに合わせたフォーク幅に調整できる。その際に伸縮リンク機構の作用によって、左右一対のフォークの離間動または接近動は左右同調式となり、以てフォークを常に左右で均等な配置にできる。このようにしてフォーク幅の調整を行ったのち、伸縮リンク機構の中央部分をマスト側に対して分離させることで、所期のフォーク作業を行うことができる。
【0015】
このように,両フォーク間に伸縮リンク機構を設け、この伸縮リンク機構の中央部分をマスト側に連結分離自在とした簡単な構成を付加するだけで、昇降動装置によるリフトブラケットのリフト力を利用してフォーク幅を調整することができ、以てフォーク幅を調整するための駆動装置が不要となって全体を安価に構成できるとともに、リフト力の利用によって大型のフォークの場合でも確実に間隔調節を行うことができる。
【0016】
また上記した本発明の請求項2によると、フォークリフトは、昇降動装置を作動させることで外枠に対して内枠を昇降動できるとともに、この内枠に対してリフトブラケットを昇降動でき、以てフォークを昇降動させて所期のフォーク作業を行うことができる。そしてフォーク幅を調整するに、まずパンタグラフ式の伸縮リンク機構の中央部分を内枠側に連結し、この状態で昇降動装置によりリフトブラケットの昇降動を行うことで、内枠の昇降量とリフトブラケットの昇降量との差分だけ、伸縮リンク機構の中央部分の連結位置がリフトブラケットに対して上下に変位し、以て伸縮リンク機構を左右方向で伸縮動させてフォーク幅に調整できる。その際にパンタグラフ式の伸縮リンク機構の作用によって、左右一対のフォークの離間動または接近動は左右同調式となり、以てフォークは常に左右で均等な配置にできる。このようにしてフォーク幅の調整を行ったのち、伸縮リンク機構の中央部分を内枠側に対して分離させることで、所期のフォーク作業を行うことができる。
【0017】
そして上記した本発明の請求項3によると、連結体を、筒状掛止体の貫通部に前方から差し込んで、マスト側に着装させることで、伸縮リンク機構の中央部分をマスト側に連結できる。そしてフォーク幅の調整を行ったのち、連結体を引き抜き動などして、マスト側から離脱させるとともに、筒状掛止体の貫通部から抜出させることで、伸縮リンク機構の中央部分をマスト側から分離できる。これにより、伸縮リンク機構の中央部分をマスト側に対して、簡単かつ容易に連結分離できる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の実施の形態1を示し、フォークリフトの正面図である。
【図2】同フォークリフトの側面図である。
【図3】同フォークリフトの平面図である。
【図4】同フォークリフトにおける伸縮リンク機構部分の一部切り欠き平面図である。
【図5】同フォークリフトにおける連結分離部分で、(a)は連結前の一部切り欠き平面図、(b)は連結後の一部切り欠き平面図である。
【図6】同フォークリフトにおけるリフトブラケット部分の分解斜視図である。
【図7】同フォークリフトにおけるフォーク幅変更後の正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
[実施の形態1]
以下に、本発明の実施の形態1を、図に基づいて説明する。
図1〜図3において、フォークリフト1は、その車体2の前部に左右一対の前車輪(駆動輪)3が設けられるとともに、後部に左右一対の後車輪(換向輪)4が設けられ、そして車体2の前部で上方には運転部5が設けられる。前記車体2の前端部には上下方向で伸縮自在なマスト10が、車幅方向のマスト連結軸7を介して前後方向に傾動自在に取り付けられるとともに、前後傾動を行わせるティルトシリンダー8が、車体2とマスト10との間に設けられる。前記運転部5には、座席15や、この座席15の前方に位置されるハンドル16などが配設され、そして上方にはヘッドガード17が配設されている。さらに座席15の後方で車体2上にはカウンターウエイト18が設けられている。
【0020】
前記マスト10は、車体2側の左右一対の外枠11と、この外枠11に内枠ローラ12を介して案内されて昇降自在な左右一対の内枠13とからなり、前記外枠11側にティルトシリンダー8が連結されるとともに、左右一対の内枠13間で上下方向の複数箇所は左右方向の連結部材14によって連結されている。前記内枠13側にブラケットローラ22を介して案内されて昇降自在なリフトブラケット20が設けられる。このリフトブラケット20は長方形の平枠状であって、その厚さ方向を前後方向とし、長尺方向を左右方向とし、短尺方向を上下方向として配置され、そして後面側に保持体21を介して前記ブラケットローラ22が遊転自在に設けられている。なお、リフトブラケット20の上枠体には上向きガイド部20Aが形成されるとともに、下枠体には下向きガイド部20Bが形成されている。
【0021】
前記マスト10側には、リフトブラケット20を昇降させる昇降動装置30が設けられ、この昇降動装置30は、外枠11と内枠13との間に設けられたリフトシリンダー31と、マスト10とリフトブラケット20との間に設けられたリフト連動手段32とにより構成されている。このリフト連動手段32は、内枠13の上部に設けられた左右一対の遊転歯輪33と、これら遊転歯輪33にそれぞれ巻回されたチェーン34とからなり、これらチェーン34の内側下端が連結部材35を介して外枠11側に連結されるとともに、両チェーン34の外側下端が連結部材36を介してリフトブラケット20側に連結されている。以上の31〜36などにより昇降動装置30の一例が構成される。
【0022】
図1〜図6において、前記リフトブラケット20には左右一対のフォーク38が設けられ、これらフォーク38はL状であって、その後面には、下向き被ガイド部39Aと上向き被ガイド部39Bが上下一対として設けられている。そして、下向き被ガイド部39Aを上向きガイド部20Aに摺動自在に係合させるとともに、上向き被ガイド部39Bを下向きガイド部20Bに摺動自在に係合させることで、リフトブラケット20に対して左右一対のフォーク38が左右動自在に構成されている。
【0023】
両フォーク38間には伸縮リンク機構40が設けられ、この伸縮リンク機構40の中央部分がマスト10側に連結分離自在に構成されている。すなわち伸縮リンク機構40は、それぞれ上下一対のリンク41の左右外端がフォーク38の内側面に前後方向の外端連結ピン42を介して上下揺動自在に連結され、そして上下一対のリンク41の中間部間が前後方向の中間連結ピン43を相対回動自在に連結されるとともに、上下一対のリンク41の左右内端間が相対回動自在に連結されることで、横方向のパンタグラフ式に構成されている。
【0024】
その際に、上下一対のリンク41の左右内端間で下位の左右内端間は、前後方向の内端連結ピン44を介して相対回動自在に連結され、また上下一対のリンク41の左右内端間で上位の左右内端間は、前後方向の筒状掛止体45を介して相対回動自在に連結されている。ここで筒状掛止体45は、中央に貫通部46が形成されるとともに、その内端に外側への鍔部45aが形成され、両リンク41の上位の左右内端が相対回転自在に外嵌されたのち、外端側のリンク41が溶接などにより筒状掛止体45に固定されている。以上の41〜46などにより伸縮リンク機構40の一例が構成される。
【0025】
かかる構成の伸縮リンク機構40の中央部分が前記内枠13側に連結分離自在に構成されている。その際に連結分離が、伸縮リンク機構40の中央部分に設けられた前記筒状掛止体45と、この筒状掛止体45の貫通部46に挿抜自在でかつマスト10側に着脱自在なピン状の連結体50とにより行われるように構成されている。すなわち、両内枠13の前面側には、それぞれ上下一対の受け部材51が所定間隔を置いて配設されている。そして、両内枠13の前面間にはリンク状の保持部材52が配置され、この保持部材52は2組の受け部材51に対して、前面側から着脱自在(嵌合離脱自在)に、また左右側から着脱自在(差し抜き自在)に構成されている。
【0026】
前記保持部材52の左右方向中央部には前後方向の貫通孔53が形成され、この貫通孔53に対して、前記連結体50の小径部50Aを前面側から差し抜きすることで、保持部材52(マスト10側)に対して連結体50が着脱自在に構成される。その際に差し抜きを、連結体50の筒状掛止体45の貫通部46に連結体50を挿抜させて行うことで、伸縮リンク機構40の中央部分が内枠13側(マスト10側)に対して連結分離自在に構成される。
【0027】
以下に、上記した実施の形態1における作用を説明する。
フォークリフト1は、運転部5の座席15に座った作業者がハンドル16を操縦することで走行動し得る。そして、リフト用レバーを操作して昇降動装置30のリフトシリンダー31を作動させることで、外枠11に対して内枠13を昇降動させ、この内枠13の昇降動により、リフト連動手段32を介してリフトブラケット20を昇降動させ得、以てフォーク38を昇降動させ得る。また作業者が、たとえばティルト操作レバーを操作してティルトシリンダー8を伸縮動させることで、マスト10を、マスト連結軸7を介して前後方向に傾動(回動)し得、その際にフォーク38も一体状に傾動し得る。これらの操作により所期のフォーク作業を行える。その際に所期のフォーク作業は、両フォーク38の外側面間距離であるフォーク幅Wを被運搬物の大きさに合わせて調整していることで、安定して行え、また保持部材52や筒状掛止体45に対して連結体50を抜出させ、受け部材51に対して保持部材52を離脱させていることで、伸縮リンク機構40側に何ら支障なく行える。
【0028】
そして、取り扱う被運搬物の大きさに合わせてフォーク幅Wを調整するに、まず昇降動装置30によりリフトブラケット20を昇降させて、伸縮リンク機構40における筒状掛止体45の位置を受け部材51による保持部材52の受け位置にレベル合わせする。次いで受け部材51を、保持部材52に対して左右側から着装(差し込み)して、両内枠13間に配置させたのち、前方から見て、筒状掛止体45の貫通部46が保持部材52の貫通孔53と合致状であるか否かを確認し、合致状でないときには、再び昇降動装置30によるリフトブラケット20の昇降調整を行って合致状とする。そして図5(a)に示すように、合致状を確認したのちに連結体50を、筒状掛止体45の貫通部46に前方から差し込んで、その小径部50Aを保持部材52の貫通孔53に嵌合させることで、図1〜図4、図5(b)に示すように、伸縮リンク機構40の中央部分を保持部材52に連結し得る。
【0029】
このようにして、伸縮リンク機構40の中央部分を、連結体50や保持部材52を介して内枠13側(マスト10側)に連結した状態で、昇降動装置30によりリフトブラケット20の昇降動を行う。すると、リフトシリンダー31による内枠13の昇降量に対して、リフト連動手段32を介してのリフトブラケット20の昇降量が小さいことで、その差分だけ、伸縮リンク機構40の中央部分の連結位置がリフトブラケット20に対して上下に変位し、以て伸縮リンク機構40を左右方向で伸縮動させる。これにより、一対のフォーク38を互いに離間動または接近動させ、以て取り扱う被運搬物の大きさに合わせたフォーク幅Wに調整し得る。
【0030】
すなわち、たとえば図1に示すように、リフトブラケット20や連結体50の位置が下降限で伸縮リンク機構40を左右方向で伸展動させて、両フォーク38を互いに離間動させたフォーク幅Wと、図7に示すように、上昇動によって、リフトブラケット20と連結体50との上下方向での位置の差が大きくなることで伸縮リンク機構40を左右方向で収縮動させて、両フォーク38を互いに接近動させたフォーク幅Wとに調整し得る。その際に伸縮リンク機構40の作用によって、左右一対のフォーク38の離間動または接近動は左右同調式となり、以てフォーク38は常に左右で均等な配置になる。なお、一対のフォーク38の左右動(離間動または接近動)は、両被ガイド部39A,39Bが両ガイド部20A,20Bに支持案内されることで、安定して行われる。
【0031】
上述したように,両フォーク38間に伸縮リンク機構40を設け、この伸縮リンク機構40の中央部分をマスト10側に連結分離自在とした簡単な構成を付加するだけで、昇降動装置30によるリフトブラケット20のリフト力を利用してフォーク幅Wを調整することができ、以てフォーク幅を調整するための駆動装置が不要となって全体を安価に構成できるとともに、リフト力の利用によって大型のフォークの場合でも確実に間隔調節を行うことができる。
【0032】
このようにしてフォーク幅Wの調整を行ったのち、連結体50を引き抜き動することで、図5(a)に示すように、保持部材52の貫通孔53や筒状掛止体45の貫通部46から抜出させ、そして保持部材52を、受け部材51に対して左右側から離脱(引き抜き)することで、所期のフォーク作業を行えることになる。
【0033】
上述では、まず昇降動装置30によりリフトブラケット20を昇降させて、伸縮リンク機構40における筒状掛止体45の位置を受け部材51による保持部材52の受け位置にレベル合わせしたのち、受け部材51を、保持部材52に対して左右側から着装(差し込み)しているが、調整開始時におけるリフトブラケット20の位置によっては、まず受け部材51に保持部材52を着装(差し込み)したのち、昇降動装置30によりリフトブラケット20を昇降させて、伸縮リンク機構40における筒状掛止体45の位置を保持部材52の貫通孔53にレベル合わせしてもよい。
【0034】
上述では、受け部材51を、保持部材52に対して左右側から着脱(差し抜き)しているが、調整開始時におけるリフトブラケット20の位置によっては、保持部材52を2組の受け部材51に対して、前面側から着脱(嵌合離脱)させてもよい。
【0035】
上記した実施の形態1では、伸縮リンク機構40の中央部分を内枠13側に連結分離自在に構成した形式が示されているが、これは伸縮リンク機構40の中央部分を外枠11側に連結分離自在に構成した形式などであってもよい。この場合には、一定状レベルの保持部材52側に対して伸縮リンク機構40の中央部分が昇降により位置合わせされる。
【0036】
上記した実施の形態1では、連結体50を筒状掛止体45の貫通部46に前方から差し込んで、その小径部50Aを保持部材52の貫通孔53に嵌合させることで、伸縮リンク機構40の中央部分を保持部材52に連結する形式が示されているが、これは、連結体50の端部を螺子状として保持部材52の螺子孔に螺合させる形式や、連結体50の端部を保持部材52にボルト止めする形式などであってもよい。
【0037】
上記した実施の形態1では、上下一対のリンク41の左右内端間で上位の左右内端間を、前後方向の筒状掛止体45を介して相対回動自在に連結した形式が示されているが、これは上下一対のリンクにおける上位の左右内端間を内端連結ピンにより相対回動自在に連結し、そして、いずれか一方のリンクを上方に延出させて、その延出部分に連結体50用の貫通部を形成した形式、または内端連結ピンに別の短尺リンクを相対回動自在に連結し、この短尺リンクに連結体50用の貫通部を形成した形式などであってもよい。
【0038】
上記した実施の形態1では、伸縮リンク機構40として左右方向で伸縮させる形式が示されているが、これは上下方向で伸縮させる形式などであってもよい。
上記した実施の形態1では、伸縮リンク機構40としてパンタグラフ式が示されているが、これはリンク体を揺動のみさせる形式などであってもよい。
【0039】
上記した実施の形態1では、昇降動装置30としてリフトシリンダー31とリフト連動手段32とからなる形式が示されているが、これはリフト連動手段32に変えて、内枠13とリフトブラケット20との間に別のシリンダーを設けた形式などであってもよい。
【0040】
上記した実施の形態1では、マスト10として外枠11と内枠13とからなる形式が示されているが、これは外枠と内枠との間に中枠を設けた形式などであってもよい。
上記した実施の形態1では、車体2の前部にフォーク38などが設けられた形式が示されているが、これは、車体の中間部に横向きのフォークなどが設けられたサイドフォーク形式などのフォークリフトであってもよい。
【0041】
上記した実施の形態1では、フォーク38の後面には、下向き被ガイド部39Aと上向き被ガイド部39Bが上下一対として設けられた形式が示されているが、これは下向き被ガイド部39Aのみで、上向き被ガイド部39Bが省略された形式などであってもよい。またフォーク幅Wを調整したフォーク38は、ピンやボルトなどによってリフトブラケット20側に固定してもよい。
【符号の説明】
【0042】
1 フォークリフト
2 車体
5 運転部
8 ティルトシリンダー
10 マスト
11 外枠
12 内枠ローラ
13 内枠
15 座席
16 ハンドル
20 リフトブラケット
20A 上向きガイド部
20B 下向きガイド部
22 ブラケットローラ
30 昇降動装置
31 リフトシリンダー
32 リフト連動手段
33 遊転歯輪
34 チェーン
38 フォーク
39A 下向き被ガイド部
39B 上向き被ガイド部
40 伸縮リンク機構
41 リンク
45 筒状掛止体
45a 鍔部
46 貫通部
50 連結体
50A 小径部
51 受け部材
52 保持部材
53 貫通孔
W フォーク幅

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体側に設けられるマスト側には、昇降動装置を介してリフトブラケットが昇降自在に設けられ、このリフトブラケットには左右一対のフォークが左右動自在に設けられるとともに、両フォーク間には伸縮リンク機構が設けられ、この伸縮リンク機構の中央部分をマスト側に連結分離自在に構成したことを特徴とするフォークリフト。
【請求項2】
マストは、車体側の外枠と、この外枠側に案内されて昇降自在な内枠とにより上下方向で伸縮自在に構成されるとともに、前記内枠側にリフトブラケットが昇降自在に設けられ、伸縮リンク機構はパンタグラフ式からなり、その中央部分を内枠側に連結分離自在に構成したことを特徴とする請求項1記載のフォークリフト。
【請求項3】
連結分離が、伸縮リンク機構の中央部分に設けられた筒状掛止体と、この筒状掛止体の貫通部に挿抜自在でかつマスト側に着脱自在な連結体とにより行われることを特徴とする請求項1または2記載のフォークリフト。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−158446(P2012−158446A)
【公開日】平成24年8月23日(2012.8.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−20273(P2011−20273)
【出願日】平成23年2月2日(2011.2.2)
【出願人】(000003241)TCM株式会社 (319)
【Fターム(参考)】