説明

フォームプラスチックから形状カットされた物体を製造する方法

フォームプラスチックから形状カットされた物体を製造するための方法。本発明の課題は、形状カットされた物体をフォームプラスチックから製造する公知の方法を改良し、フォームプラスチック内での複雑に形成される形状カットの精確な形成を可能とすることである。この課題は、本発明に係る方法に従い、物体の第一の仮バージョンが第一の形状カット部または輪郭カット部の領域に、(第二の)形状カット部を設けられ、この第二の形状カット部が、第一の形状カット部または輪郭カット部に重ねあわされ、第一のカットよりも深い深さに達していることによって解決される。請求される方法、およびこれから生じるフォームプラスチック製の物体の有利な適用範囲は例えばまくらである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フォームプラスチックから形状カットされた物体、例えばまくら、マットレス、またはカメラ、計測機器若しくはその他の衝撃に敏感な製品の為の型どった保持器を製造するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1により、フォームプラスチック、フォームラバー等のようなフォーム弾性プラスチック製の物体のアーチ形の表面を製造するための型が公知である。この型は、押圧部分を備えているか、またはそのようなものから成っており、この押圧部分は、製造するアーチ状表面のための収容部を備えており、材料が押しつぶされる際にこの収容部によってプレス圧力下に無い部分が仮のアーチ形にされ切り取られる、その後圧力を取り去った後に、カット表面は望まれるアーチ形の表面を形成する。
【0003】
特許文献2からは、対称および非対称の立体的固体を人造フォームプラスチックプレートおよび同様の原材料から機械により切り出し形成する装置が公知である。この装置においては、回転する帯ナイフまたは帯ノコが型に押し込まれたフォームプラスチックを切断する。その際、原材料を一つのレベルの型内に押さえつけるシリンダー状の押圧ローラーが、ローラー周囲速度と同じ速度でまっすぐな方向に、作業台上においてローラー下に密接して通り抜けて搬送される。ローラーの後方に、型の搬送方向に対して横向きに回転するナイフが配置されており、このナイフがフォームプラスチックをほぼ中心平面で二つに切断し、その際調整装置が、上部縁・型と下部縁・ローラーの間の間隔のためにも、ナイフの高度長さのためにも設けられている。
【0004】
特許文献3からは、フォームラバー、ラバースポンジ、またはプラスチックフォーム等のようなフォーム塊(poroese Masse)から、下部に空洞を空けられた表面および上部に平らな表面を有する固体を形づくるためのプレス型が公知である。その際、例えば、ケース形状またはパイプ形状の型は下方に開口部を有する底を備え、この開口部の縁は、くり抜き部の大部分の大きさの型を有しており、この大きさを、製造すべき固体は受け容れるべきである。プレススタンプ(Presstempel)として、底に対して平行に型にぴったりとはめ込まれ、中へ動くことができるディスクが使用されるので、このディスクはスタンプと底の間のプレスされるべき材料(Pressgut)を押しつぶし、プレス塊(Pressmasse)の一部を蓋の開口部から外へ盛り上がらせ、底の表面上に案内されるナイフによって切り取られることが可能である。
【0005】
特許文献4から、抵抗線器具または熱切断器具等を用いて、フォームプラスチックまたはリジッドフォーム等の未加工品から固体を製造する方法が公知である。その際、複数の仮想平面が未加工品を通して置かれている。平面の、未加工品に接するかまたはその外部にある各接線の定められた点が、隣接する平面の、未加工品に接するかまたはその外部にある対応する接線の対応する定義された点と、しなやかな耐熱性の接続を使って接続され、この接続に沿って切断要素が案内される。
【0006】
フォームプラスチックの中で輪郭を切り取ることが公知である。形状カットをスクイーズ機械または形状カット機械を使ってフォームプラスチックにもたらすこともまた公知である。このため第一の作業ステップで、例えばブロック形状で存在する最初のフォームプラスチックの未加工品が、第一の工具とも呼ばれる第一のネガティブ型の中にローラーを使って押し付けられる。フォームプラスチックのネガティブ型の中に押し付けられた部分は、その後、例えば振動するかまたは回転するナイフを使って切り取られる。更に搬送された後、フォームプラスチックは再び負荷解放され、フォームプラスチック内には、少なくとも第一の形状カット部分が第一のネガティブ型に対応して形成される。ネガティブ型は、例えば木またはアルミニウムから形成可能である。
【0007】
この方法において、この方法は複雑な形状カット、つまり例えば狭く曲がり角の多い空所をフォームプラスチックに深い深さ/異なった深さでもたらすことには適していないことは不利である。その場合、境界/角は不正確にしか裁断されず、表面は滑らかでない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】ドイツ連邦共和国実用新案登録出願明細書DE1758789U
【特許文献2】ドイツ連邦共和国実用新案登録出願明細書DE1891607U
【特許文献3】ドイツ連邦共和国実用新案登録出願明細書DE1709739U
【特許文献4】ドイツ連邦共和国実用新案登録出願明細書DE3522192A1
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
この先行技術に発し、本発明の課題は、形状カットまたは輪郭カットされた物体をフォームプラスチックから製造する公知の方法を改良し、フォームプラスチック内での複雑に形成される形状カットの精確な形成を可能とすることである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この課題は、請求項1にて請求される方法により解決される。
【0011】
形状カットの概念は、本発明の枠内においては、フォームプラスチック内に空所を設けること、または任意の断面を設けること、または任意の輪郭を設けることも意味している。ネガティブ型は工具とも称されている。
【0012】
本発明は、フォームプラスチックが、第一の作業ステップとしての第一の形状カットまたは輪郭カットの後に、少なくとも第二の作用ステップを受けることを意図している。第二の作業ステップでは、第一の作業ステップの後に残っているフォームプラスチックの一部が形状カット機械でもって、ネガティブ型つまり工具の中に押し付けられる。第一の作業ステップにおいて同様に形状カット機械が使用され場合、好ましくは、第一および第二のネガティブ型は互いに異なっている。
【0013】
第一の形状カット部または輪郭カット部の領域のフォームプラスチックを、第二の作業ステップで使用されるネガティブ型内に押し込む間、良好な圧力分配を下方のみならず側方に対しても届かせるために、押し込みは好ましくは、押圧スタンプ(Druckstempel)を用いて行われる。この押圧スタンプは、ポジティブ型として、形状カットによってかまたは輪郭カットによって切り取られたフォームプラスチックの第一の部分に、少なくとも近似的に合致している。この方法によって、フォームプラスチックが第二の作業ステップの間、ネガティブ型の狭いまたは曲がり角の多い領域の中へも押し込まれることが保証される。
【0014】
押圧スタンプは、加工されるフォームプラスチックと同じ材料からか、または、例えば木、アルミニウム若しくは高密度フォームのような他の材料から製造されることが可能である。
【0015】
第二の作業ステップの間、押圧スタンプはプレスローラーとフォームプラスチックの間に置かれ、更に言うと、好ましくは、第一の形状カットまたは輪郭カットの領域で、そのポジティブな形状部をフォームプラスチック上に置かれている。このようにネガティブ型に押し込まれたフォームプラスチックの部分は、その後切断線に沿って切り取られ、その後に形状カット部がそのフォームプラスチック内に発生する。第二の作業ステップの間に形成された形状カット部または輪郭カット部は第一の形状カット部に重ねられており、第一のカットよりもフォームプラスチックの深い深さに達している。
【0016】
本発明に係る方法は、記載した作業ステップを、好ましくは異なる形状にされた各工具を用いてn段繰り返すことによって、任意多数かつ任意形状に形成されたカットを、一つのおよび同一のフォームプラスチック片に一般的に可能にする。このステップによる加工によって最終的には、シャープな輪郭/境界/角および滑らかな表面を有する、複雑に形成された全体形状カット部が、深い深さでもってもフォームプラスチック内にもたらされることが可能である。
【0017】
この本発明による方法は、様々な密度特性および表面特性を有するフォームプラスチック、例えば粘弾性のフォームプラスチック(viskoelastische Schaumstoff)、ポリエーテル・フォームプラスチック(Polyether-Schaumstoff)またはラテックス・フォーム(Latex-Schaum)に適している。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明による第一の作業ステップ
【図2】第一の作業ステップの成果物としての、形状カットされたかまたは輪郭カットされたフォームプラスチック製の物体の第一の仮バージョン
【図3】第二の作業ステップ
【図4】第二の作業ステップ後の形状カットされた物体
【図5】形状カットされた物体が使用される図
【発明を実施するための形態】
【0019】
今しがた一般的に記載した本発明にかかる方法を、添付の図面と関連して、以下に例示的に説明する。
【0020】
図1−5は、形状カットされた物体の例としてのまくらの製造を示す。全ての図において同じ技術要素は同じ符号を付されている。
【0021】
図1は、直方体形状の当初のフォームプラスチック未加工品100の第一の部分110が、第一のネガティブ型200’内に押さえつけられている第一の作業ステップを分かりやすく示している。押し込みは力F’でもってローラー300を介して行われている。力F’またはこれから生じる圧力は、独自に調節される。ネガティブ型に押し込まれたフォームプラスチックの部分110は切断線Sにそって切り取られる。
【0022】
負荷解放の後、フォームプラスチック内には、図2で示されるように第一の空所110’の形状の第一の形状カット部が形成される。負荷解放されたフォームプラスチックは、製造されるべき、形状カットされた物体の最後の結果の第一の仮バージョン(Vorversion)100’を表わす。
【0023】
図3は、第一の仮バージョン110’からのフォームプラスチックの(第二の)部分120が、第二のネガティブ型200’’内に押さえつけられている第二の作業ステップを分かりやすく示している。押し込みは力F’’でもって行われている。押し込みの間、特に第一の形状カット部110’の領域で良好な圧力分配が下方へのみならず第二のネガティブ型200’’の側面に対して中へも達するように、押し込みは好ましくは押圧スタンプ400を使って行われる。この押圧スタンプは、ポジティブ型として、第一の外郭カット部110’に対して少なくともおよそ補完的に形成されている。続いて、第二のネガティブ型内に押し込まれたフォームプラスチックは切断線S’’に沿って切り取られる。
【0024】
図4に示されるように、第二の作業ステップにより、第一の形状カット部110の領域内に第二の形状カット部120’が、まくら表面に、空所または切り口の形でもたらされる。この方法により切り口の横に、それぞれ上部表面132と側方側面134を有するリブ130が設けられる。側面は、傾いてまたはまっすぐ伸びることが可能であるので、リブ130は、台形または長方形に形成されている。
【0025】
図4は第二の作業ステップの成果物、つまりこの場合には出来上がった形状カットされたまくらを、逆さまに置いた状態ではあるが、示している。他の場合には、その都度先の形状カット部と重なり、フォームプラスチック内のますます深い深に達する別の形状カット部をまくらに設けるために、別の作業ステップが行われることも可能である。
【0026】
図5は、人500がその頭をまくら100’’に載せている、本発明にかかる形状カットされたまくらの使用を示している。このまくらの場合、第一の形状カット部110’は、人のまがった頭を最善に受け入れることを実現する。これに加えて、第二の形状カット部が頭の部分での換気を実現し、その結果、この人はまくらに頭を載せた場合により少ない汗をかく。
【符号の説明】
【0027】
100 フォームプラスチック
100’ 第一の仮バージョン
100’’ まくら
110 第一の部分
110’ 第一の形状カット部
120 第二の部分
130 リブ
132 上部表面
134 側方側面
200’ 第一のネガティブ型
200’’ 第二のネガティブ型
300 ローラー
400 押圧スタンプ
500 人
S 切断線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
形状カットされた物体をフォームプラスチックから製造する方法であって、少なくとも以下のステップを有している方法であり、
a)第一のネガティブ型の中に押し込まれた、フォームプラスチック未加工品の第一の部分を切り取ることにより、第一の形状カット部を有する物体の第一の仮バージョンを製造するステップ、または、
a’)フォームプラスチック未加工品の第一の部分を輪郭カットによって切り取ることにより、物体の第一の仮バージョンを製造するステップ、
b)第一の形状カット部または輪郭カット部の領域内の物体の第一の仮バージョンの部分を、押圧スタンプを用いて第二のネガティブ型に押し込むステップであって、その際ポジティブとしての押圧スタンプが少なくとも近似的に、形状カットによってか輪郭カットによって切り取られたフォームプラスチックの第一の部分に合致するステップ、および、
c)第二のネガティブ型に押し込まれた第一の仮バージョンの部分を切り取ることにより、第一の形状カット部または輪郭カット部に重なる各形状カット部を有する物体を製造するステップを特徴とする方法。
【請求項2】
第一および第二のネガティブ型として異なるネガティブ型が使用されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
ネガティブ型へのフォームプラスチックの部分の押し込みが、その都度独自に、例えば使用される各フォームプラスチックの材質、または先にフォームプラスチック内に設けられた形状カット部または輪郭カット部の深さによって調節される圧力により行われることを特徴とする請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
形状カットによりフォームプラスチックから製造される物体であって、第一の形状カット部または輪郭カット部を有する物体において、
第一の形状カット部または輪郭カット部に重ねられ、第一のカット部よりもフォームプラスチックの深い深さに達する少なくとも一つの(第二の)形状カット部を特徴とする物体。
【請求項5】
フォームプラスチックが、粘弾性のフォームプラスチック、ポリエーテル・フォームプラスチック、またはラテックス・フォームであることを特徴とする請求項4に記載の物体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2010−524735(P2010−524735A)
【公表日】平成22年7月22日(2010.7.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−504566(P2010−504566)
【出願日】平成20年4月28日(2008.4.28)
【国際出願番号】PCT/EP2008/003415
【国際公開番号】WO2008/135191
【国際公開日】平成20年11月13日(2008.11.13)
【出願人】(509302308)ケーラー・ウント・クラフト・ゲゼルシャフト・ミト・ベシュレンクテル・ハフツング・ウント・コンパニー・コマンディトゲゼルシャフト (1)
【Fターム(参考)】