フコイダン由来オリゴ糖
【課題】 分子量が極めて大きい硫酸化多糖であるフコイダンを医薬品、健康食品として開発する際に生じる、吸収性、抗原性、均一性、抗凝血活性等に関する問題の少ない、特定された構造と機能を有する低分子フコイダン由来低分子化合物を提供する。
【解決手段】
フコイダンを酸加水分解することにより、明細書に記載した新規のフコイダンオリゴ糖(I)〜(XI)を見出した。これらオリゴ糖にはIFN−γ誘導能、IL−10、12誘導能、樹状細胞成熟化作用、CTL活性誘導作用等のさまざまな免疫機能調節作用があることが見出された。
【解決手段】
フコイダンを酸加水分解することにより、明細書に記載した新規のフコイダンオリゴ糖(I)〜(XI)を見出した。これらオリゴ糖にはIFN−γ誘導能、IL−10、12誘導能、樹状細胞成熟化作用、CTL活性誘導作用等のさまざまな免疫機能調節作用があることが見出された。
【発明の詳細な説明】
【産業上の利用分野】
【0001】
本発明は免疫力の増強、免疫機能の調節などを目的とした飲食品、健康食品、機能性食品、医薬品、化粧品等に利用可能な新規化合物およびそれを含む組成物に関する。
【発明の背景】
【0002】
フコイダンは藻類に含まれる硫酸化多糖であり、抗血液凝固作用、脂血清澄作用(血液中のコレステロールや過酸化脂質を除去する作用)、抗腫瘍作用、癌転移抑制作用、抗エイズウイルス感染作用等の様々な活性を有することが報告されている。中でも、生体の免疫機能を正常化する作用が注目されており、免疫機能調節作用を有する飲食品や医薬品の素材として有用であると考えられている。
【0003】
一方、フコイダンの構造は、由来となる藻類やその生育環境などにより異なることが知られている。その理由の一つは、フコイダンの構成成分であるフコース、ガラクトース、キシロース、グルクロン酸等の組成が、藻類やその生育環境によって変動するためである。また、それら構成糖上のエステル結合およびグルコシド結合の位置が変動し得ることも、フコイダン構造の多様性に寄与している。そのため、未だに多くのフコイダンの構造が特定されていない。
【0004】
これらの理由により、フコイダンを利用して飲食品や医薬品などを開発する場合には、それらに適切なフコイダンを選定するのに多大な時間を要することが多かった。また、消費者にとっても、どのフコイダンを選べばよいのか明確ではなかった。さらに、フコイダンは分子量が極めて大きい硫酸化多糖であり、このためそのまま飲食品や医薬品として用いる際には、吸収性、抗原性、均一性、抗凝血活性等に関する問題がある。
【0005】
これらの問題を解決するために、特定された構造と機能を有する低分子のフコイダン由来オリゴ糖が望まれる。
これまでに、化学合成によるフコース含有オリゴ糖が報告されているが(非特許文献1、2および3)、これらは有機合成反応により調製されているため食品などに使用するのは好ましくなかった。
【0006】
一方、フコイダンを加水分解してフコイダンを低分子化する方法も報告されている。例えば、特許文献1には、フコイダンを酸加水分解する方法が開示されており、得られた低分子フコイダンは、5×103以下の分子量分布を有していたことが記載されている。また、特許文献2には、酸を外部から添加することなくフコイダンを加水分解してオリゴ糖を得る方法が記載されている。また、特許文献3のように酵素によりフコイダンを加水分解する方法も報告されている。
【0007】
また、フコイダンの加水分解により得られ、構造が決定されたオリゴ糖がいくつか報告されている。例えば、特許文献4においては、モズク等の藻類から得たフコイダンを酸加水分解してオリゴ糖を製造したことが報告されており、数種の低分子フコイダン由来オリゴ糖の構造が特定されている。また、特許文献5および6においては、フコイダンを酵素的に加水分解して得たオリゴ糖の構造が開示されている。
【特許文献1】特開平7−215990
【特許文献2】特開2002−226496
【特許文献3】特開2000−236889
【特許文献4】特開2000−351790
【特許文献5】特開2003−199596
【特許文献6】特開2001−226408
【非特許文献1】Carbohydrate research 4, 189-195 (1967)
【非特許文献2】Carbohydrate research 37, 75-79 (1974)
【非特許文献3】Carbohydrate research 41, 308-312 (1975)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、特許文献1〜3に記載の方法で得られた物質は構造が特定されていない。したがって、これら構造不明のオリゴ糖を食品に使用する際には、品質の管理が容易ではないという問題がある。
【0009】
また、特許文献4に記載のオリゴ糖は、食品などに利用した場合の機能が明らかにされておらず安全性が高いとは言い難い。さらに、特許文献5に記載のオリゴ糖には分子量が大きいという問題が、特許文献6に記載の製法にはその操作が煩雑であるという問題もある。
【0010】
そこで、様々な用途に用いることができる素材として、上記のように、特定された構造を有し、簡便かつ正確に品質管理できるフコイダン由来オリゴ糖を開発することが望まれている。また、飲食品や医薬品における用途を考慮すると、低分子で扱いやすくまた簡便に製造できるものであること、さらには安全性が高いものであることが必要とされる。
【課題を解決するための手段】
【0011】
そこで、本発明の目的は、構造が特定された新規なフコイダン由来オリゴ糖を提供することである。
また、本発明の別の目的は、安全性が高く、生体の免疫機能を正常化するのに寄与するフコイダン由来オリゴ糖を提供することである。なお、ここでいう免疫機能の正常化とは、例えばキシロオリゴ糖のように腸内細菌叢を改善して間接的に免疫機能を整えるものではなく、いくつかのフコイダンで示されているように直接的に免疫担当細胞を活性化するものを指す。
【0012】
本発明のさらなる目的は、効果量を的確に飲食品、医薬組成物等に添加することができるフコイダン由来オリゴ糖を提供することである。
本発明のさらなる目的は、煩雑な工程を必要とせずに当該オリゴ糖を提供することでもある。
【0013】
本発明者は、フコイダンから新規オリゴ糖を製造し、それらの免疫賦活活性を確認することにより、本発明の完成に至った。本発明においては、これらオリゴ糖をフコイダンオリゴ糖とも称する。
【0014】
すなわち本発明は、
(1)下記構造式(I)、(II)、(III)、(IV)、(V)、(VI)、(VII)、(VIII)、(IX)、(X)、または(XI)で表されるフコイダンオリゴ糖;
【0015】
【化1】
【0016】
【化2】
【0017】
【化3】
【0018】
【化4】
【0019】
【化5】
【0020】
【化6】
【0021】
【化7】
【0022】
【化8】
【0023】
【化9】
【0024】
【化10】
【0025】
【化11】
(2)式(I)〜(XI)で表される化合物から選択される少なくとも一種を含む免疫機能調節剤;
(3)式(I)〜(XI)で表される化合物から選択される少なくとも一種を添加した飲食品;
(4)式(I)〜(XI)で表される化合物から選択される少なくとも一種を含有し、免疫機能調節作用を有する旨の表示を付した飲食品;
(5)式(I)〜(XI)で表される化合物から選択される少なくとも一種を含む医薬組成物;および
(6)式(I)〜(XI)で表される化合物から選択される少なくとも一種を含む化粧品
に関する。
【発明の実施の形態】
【0026】
フコイダン
フコイダンとは藻類由来の硫酸化多糖の総称であり、主な構成糖であるフコースに加えて、ガラクトース、グルクロン酸、キシロース等を含有する。構成糖の種類や量は、フコイダンの由来となる藻類やその生育環境により異なる。
本発明のフコイダンオリゴ糖のための原料として用いられるフコイダンは、どのような構造のものでもよく、またいずれの藻類から取得してもよい。藻類の例には、クロガシラ目(Sphacelariales)、ナガマツモ目(Chordariales)、カヤモノリ目(Scytosiphonales)、ウイキョウモ目(Dictyosiphonales)、ムチモ目(Cutleriales)、ケヤリモ目(Sporochnales)、アミジグサ目(Dictyotales)、コンブ目(Laminariales)、ヒバマタ目(Fucales)を含む褐藻綱Phaeophyceaeの海藻が含まれる。好ましくはモズク、より好ましくは沖縄モズク由来のフコイダンを用いる。
フコイダンの抽出方法
フコイダンを藻類から抽出する方法は種々検討されており、広く知られている(例えば、特開平10−245334に記載されているような水を用いる方法、特開平10−195106に記載されているような酸を用いる方法、特開2002−262788に記載されているようなアルカリ水性溶媒を用いる方法等である)。本発明オリゴ糖の原料として用いるフコイダンはこれら公知の方法により取得することができる。本発明においては、例えば、以下の方法により取得したものを用いる。
【0027】
即ち、藻類(例えば沖縄モズク)に蒸留水5〜10倍量を加え、50〜100℃で0〜5時間、好ましくは80〜100℃で0.5〜2時間、さらに好ましくは90〜100℃で約1時間抽出する。このようにして得られた藻類抽出物を冷却、吸引濾過、脱塩および乾燥することにより、容易に水に溶解するフコイダン画分を得ることができる。このようにして得られたフコイダン画分は、さらに精製することなく次の工程に用いてもよいし、更に精製してから用いてもよい。
【0028】
フコイダンは、好ましくは上記のように藻類から抽出したものを用いるが、藻類に含まれた状態で用いてもよい。フコイダンまたはそれを含む藻類を次の加水分解工程に付すことによって本発明による化合物が得られる。
【0029】
フコイダンオリゴ糖混合物の製造方法
本発明のフコイダンオリゴ糖を製造するには、先ず、特許文献1〜3に記載されているように、フコイダンを酸や酵素を用いる方法により加水分解することにより、フコイダンオリゴ糖の混合物を得る。好ましくは、以下の様な酸加水分解条件を用いる。
【0030】
即ち、上記のようにして藻類から得られたフコイダンを含む画分またはフコイダンを、酸、好ましくは塩酸を用い分解する。より具体的には、0.1〜5.0N、好ましくは0.5〜4.0N、さらに好ましくは0.5〜3.0NのHClを含む、25〜100℃、好ましくは30〜95℃、さらに好ましくは50〜90℃の水性溶媒中で、0.1〜3時間、好ましくは0.25〜2.5時間、さらに好ましくは0.5〜2時間加水分解を行なう。得られた反応物を塩基、例えば約1NのNaOHで中和した後、電気透析もしくはゲル濾過糖の適切な手段で脱塩し、乾燥(例えば、凍結乾燥)することにより、フコイダンオリゴ糖混合物を得ることができる。
【0031】
オリゴ糖の精製
このようにして得られる混合物からフコイダンオリゴ糖をさらに精製するためには、クロマトグラフィー、再結晶、透析、アルコール沈殿等の方法を単独で、または組み合わせて用いることができる。例えば、以下の操作に従ってオリゴ糖を精製する。
【0032】
先ず、フコイダンの加水分解により得られたオリゴ糖混合物を陰イオン交換樹脂を用いたクロマトグラフィーに付して、吸着されずに通過する、硫酸基を含まないオリゴ糖を含有する画分(中性・酸性糖画分)と、酸性溶出液により溶出する、硫酸基を多く含むオリゴ糖を含有する画分(硫酸化糖画分)とを分離する。
【0033】
中性・酸性糖画分をさらにゲル濾過に付すことにより、式(I)で表される二糖と式(II)で表される三糖を得ることができる。
一方、硫酸化糖画分をクロマトグラフィーに付すことにより、硫酸化オリゴ糖(III)〜(XI)の各成分を単離することができる。
【0034】
各オリゴ糖は、精製、構造解析をより容易にするために適宜標識化または誘導体化してもよい。例えば、オリゴ糖は、4−アミノ安息香酸エチル(ABEE)のような試薬で蛍光標識化することができ、これによりオリゴ糖の検出が容易となる。標識化された各オリゴ糖を分離した後にその標識化部分を除去することにより、純粋なオリゴ糖を取得することができる。
【0035】
こうして得られるフコイダンオリゴ糖は、例えば飲食品、医薬品、化粧品等に用いて、これらに免疫機能調節作用を付与することができる。
免疫機能調節剤
本明細書における免疫機能調節作用とは、生体において低下している免疫反応を高める、および/または亢進している免疫反応を抑制する作用のことをいう。従って、その作用には、免疫賦活作用および免疫抑制作用が含まれる。
【0036】
本明細書における免疫機能調節作用は、当該技術分野で知られている方法で測定することができる。それは、例えば、免疫機能調節作用を有するサイトカインを誘導する作用を指標として測定することができる。この目的に用いられるサイトカインには、インターフェロン−γ、インターロイキン−10、12等が含まれる。また、免疫機能調節作用は、免疫応答に関与する樹状細胞の成熟化や、細胞障害性T細胞(CTL)の活性を指標として測定することもできる。
【0037】
本発明の免疫機能調節剤は健康増進のために用いることができるが、腫瘍、癌の転移、ウイルス性疾患(例えば、カゼ、エイズ、ウイルス性肝炎)、アレルギー性疾患(例えば、花粉症、アレルギー性鼻炎、アトピー、喘息)、自己免疫疾患(例えば、リウマチ様関節炎)、炎症性疾患、糖尿病のような疾患または状態に有効であることも知られている。
【0038】
フコイダンオリゴ糖を含む食品添加物および飲食品、並びにそれを添加した飲食品
本発明のフコイダンオリゴ糖を飲食品に用いる場合には、それを含み免疫機能調節作用を有する食品添加物および飲食品として、並びにそれを添加した免疫機能調節作用を有する健康食品として実施することが好適である。それらは、公知の甘味料、酸味料、ビタミン等の各種成分と混合してユーザーの嗜好に合う製品とすればよい。飲食品は、例えば、錠剤、カプセル剤、清涼飲料、茶飲料、ドリンク剤、ヨーグルトや乳酸菌飲料等の乳製品、調味料、加工食品、デザート類、菓子(例えば、ガム、キャンディ、ゼリー)等の形態で提供することが可能である。本発明の飲食品には、免疫機能調節作用を有する旨の表示を容器や説明書に付した機能性食品(特定保健用食品や条件付き特定保健用食品が含まれる)も含まれる。表示場所は容器またはそれに添付した指示書などが挙げられるが、これらに限られない。容器には、瓶、缶、ペットボトル、プラスチックボトル、紙パック等が含まれるが、それらに限定されない。また、表示の方法には、印刷、刻印、シール等が含まれるが、それらに限定されない。また、飲食品は、ペットの餌として加工したペットフード等や動物飼料等でもよい。
【0039】
フコイダンオリゴ糖を含む医薬組成物
本発明のフコイダンオリゴ糖は、例えば、免疫機能調節剤、免疫賦活剤、抗アレルギー剤および免疫抑制剤として用いることができる。したがって、1つの態様において、本発明はフコイダンオリゴ糖を含む、免疫機能調節作用、免疫賦活作用、抗アレルギー作用および/または免疫抑制作用を有する医薬組成物である。
【0040】
医薬組成物は、主薬に希釈剤、担体、結合剤、崩壊剤、滑沢剤、矯味矯臭剤、溶解補助剤、懸濁剤、コーティング剤等の医薬の製剤技術分野において通常使用する公知の補助剤を用いて製剤化することができる。剤型としては、錠剤、カプセル剤、顆粒剤、散剤、液剤、シロップ剤、座剤、クリーム剤、軟膏剤、エマルション、ハップ剤、注射剤等を挙げることができ、特に限定されるものではない。本医薬品の投与経路としては、例えば、経口投与、直腸投与、経腸投与等を挙げることができるが、特に限定されるものではない。
【0041】
フコイダンオリゴ糖を含む化粧品
本発明のフコイダンオリゴ糖を用いることにより、免疫機能調節作用を有する化粧品を製造することができる。
【0042】
本発明オリゴ糖が添加または配合される化粧品は、例えば、顔用、皮膚用、頭髪用のクリーム、ローション、ゲル、ムース、シャンプー、リンス等である。
他の成分との併用
本発明のフコイダンオリゴ糖は、飲食品、医薬組成物、および化粧品において、それ自体単独で使用してもよいが、他の免疫機能調節作用または免疫賦活作用を有する食品素材または物質と併用することも好適である。そのような食品素材または物質としては、乳酸菌、キノコ類、フコイダン等が挙げられる。
【0043】
フコイダンオリゴ糖と乳酸菌の組み合わせ
本発明のフコイダンオリゴ糖は、特に、乳酸菌と組み合わせることにより、それらの免疫機能調節作用が相乗的に増強される。したがって、本発明には、フコイダンオリゴ糖を乳酸菌と組み合わせて添加した、またはそれらを含む、飲食品、医薬組成物、および化粧品も含まれる。これら飲食品、医薬組成物、および化粧品は、フコイダンオリゴ糖または乳酸菌を単独で用いた場合と比較して相乗的に増強された免疫機能調節作用を有することを特徴とする。この目的に用いられる乳酸菌には、Lactobacillus属が含まれる。好ましくは、乳酸菌は Lactobacillus plantarumまたはLactobacillus pentosus である。用いられるフコイダンオリゴ糖の乳酸菌に対する好ましい比率は、重量で1:1〜10000:1、より好ましくは250:1〜1000:1である。また、本発明には、フコイダンオリゴ糖と乳酸菌とを組み合わせて用いることによりそれらの免疫機能調節作用を相乗的に増強する方法も含まれる。
【0044】
本発明の飲食品、組成物には、これら活性成分以外に、具体的な態様に応じて、一般的な成分、例えば、担体、希釈剤、賦形剤または添加剤等の成分を配合することができる。ここで担体、希釈剤または賦形剤としては、フコイダンオリゴ糖の生理活性を妨げないものであれば特に制限されず、例えばシュクロース、グルコース、果糖、マルトース、トレハロース、乳糖、澱粉、水飴、異性化液糖などの糖類、エタノール、プロピレングリコール、グリセリン等のアルコール類、ソルビトール、マンニトール、エリスリトール、ラクチトール、キシリトール、マルチトール、還元パラチノース、還元澱粉分解物等の糖アルコール類、トリアセチン等の溶剤、アラビアガム、カラギナン、キサンタンガム、グァーガム、ジェランガム、ペクチン等の多糖類、または水を挙げることができる。また添加剤としては、キレート剤等の助剤、香料、香辛料抽出物、防腐剤などを挙げることができる。担体、添加剤等を本発明の効果を損なわない限り配合することができる。
【0045】
飲食品、医薬組成物および化粧品におけるオリゴ糖の配合量は、選択する他の配合成分との関係等により適宜選択されるものであり、特に限定されるものではない。しかしながら、通常、フコイダンオリゴ糖は、飲料または食品中、医薬組成物中に添加する場合、個体の体重60kgに対して0.01g〜10g/日、好ましくは0.05g〜1g/日、特に好ましくは0.05g〜0.5g/日である。化粧品中には、0.01〜20重量%、好ましくは0.05から15重量%用いられる。
【0046】
本発明のオリゴ糖は、抽出精製品や合成製品を単独で飲食品、医薬組成物、および化粧品に用いることもできるが、本発明オリゴ糖の1つ以上を含む混合物の形態で飲食品等に添加することもできる。
【0047】
なお本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
[発明の効果]
本発明の新規フコイダンオリゴ糖は、免疫機能調節作用を有する。また、本発明のフコイダンオリゴ糖は、食品素材から分離されたものであるため穏やかな作用を有し、極めて安全性が高い。従って、本発明のオリゴ糖は非常に有用であり、その応用範囲は健康食品のみならず、医薬品および化粧品にも適用可能である。
【0048】
即ち、本発明のオリゴ糖を添加することにより、生体の免疫機能を正常化するのに寄与する飲食品、医薬組成物、または化粧品を提供することができる。
また、本発明により、煩雑でない方法で本発明のフコイダンオリゴ糖を提供することができる。
[実施例]
以下、実施例に基づいて本発明を具体的に説明するが、本発明の範囲はこれらの実施例に限定されないことは言うまでもない。
【0049】
以下の実施例においては、特に明記しない限り、ECA−600型核磁気共鳴装置(日本電子株式会社)を用いてNMR分析を行なった。測定溶媒として重水(D2O)を用いた。構成糖の結合様式は、2D-NMRを用いて行なった。
【実施例1】
【0050】
a)フコイダン画分の調製
沖縄モズク藻体100gに蒸留水を1000ml加え、100℃で1時間抽出した。得られた抽出物を冷却後、吸引濾過、電気透析(脱塩)をして凍結乾燥し、フコイダン画分を2g得た。このフコイダンを2NH2SO4を含む100℃の水溶液で1時間加水分解し、得られた水溶液を2NNaOHを用いて中和し、ABEEで蛍光標識化することで単糖分析サンプルを調製した。その構成糖の組成はSFuc(硫酸化フコース):GlcA:Fuc:Xyl=49.3:4.9:12.1:1であることを確認した(図1)。
カラム:Cosmosil C18 AR−II(4.6mmφ×250mm)
移動相:10%アセトニトリル含有0.2Mホウ酸カリウム緩衝液
流速:1.0ml/分
温度:45℃
検出:蛍光検出器(株式会社島津製作所)、Ex:305nm、Em:360nm
b)フコイダンの加水分解およびオリゴ糖の分離
得られたフコイダン画分1gに2NHClを100ml加えて50〜100℃で1時間酸加水分解を行ない、次いで1NNaOHで中和した。得られた反応液をゲル濾過(バイオゲルP−6(Bio−Rad))に付して脱塩し、凍結乾燥を行なうことによりフコイダンオリゴ糖混合物を895mg得た。得られたフコイダンオリゴ糖混合物は、蟻酸で活性化した陰イオン交換樹脂(東ソー株式会社)を用いるクロマトグラフィーに付した。結果として、オリゴ糖混合物は、水で溶出することで得られた硫酸基を含まないオリゴ糖を含有する画分(中性・酸性糖画分)280mgと、2NHClで溶出することで得られた硫酸基を多く含むオリゴ糖を含有する画分(硫酸化糖画分)425mgに分離された。
【0051】
c)化合物(I)および(II)の単離
b)で得られた中性・酸性糖画分100mgをゲル濾過(バイオゲルP−4(Bio−Rad)、溶出溶媒:0.2Mホウ酸カリウム(K2B4O7)水溶液)に付すことにより、当該画分から分子量340の二糖と分子量486の三糖が分離された(化合物 I、II)。これらの分子量は、FAB−MSにより求めた(図2、3;化合物(I)[M−H]−:339.2、化合物(I)[M−H]−:485.0)。これらの化合物5mgに、水1ml、ABEE(4−アミノ安息香酸エチル)1.6g、NaBH3CN(水素化シアノほう素ナトリウム)350mg、メタノール3.5ml、酢酸410μlを加え、65℃、4時間撹拌した。反応液をクロロホルムと水で分配することにより蛍光標識化された上記二糖および三糖を約7〜9mg取得した。これら標識化オリゴ糖について測定した1H−NMRおよび13C−NMRのチャートを図4〜7に示し、それらを解析した結果を表1、2に示した。これらの結果より、得られた分子量340の二糖は式(I)で表されるα−D−GlcA−(1→2)−L−Fucであり、分子量486の三糖は式(II)で表されるα−D−GlcA−(1→2)−α−L−Fuc−(1→3)−L−Fucであることが分かった。
【0052】
【表1】
【0053】
【表2】
d)化合物(III)〜(XI)の製造
次に、硫酸化糖画分をゲル濾過(バイオゲルP−6(Bio−Rad))に付すことにより脱塩した。得られた硫酸化糖画分100mgに、水1ml、ABEE(4−アミノ安息香酸エチル)1.6g、NaBH3CN(水素化シアノほう素ナトリウム)350mg、メタノール3.5ml、酢酸410μlを加え、65℃、4時間撹拌した。得られた生成物を真空で乾燥させ、水とクロロホルムに分配し、水層を逆相カラムで(担体:Lichroprep RP−8(25−40μm)(Merck)、φ10×220mm;溶媒条件:5%CH3CN/0.1%TFA(100ml)、8%CH3CN/0.1%TFA(100ml)、15%CH3CN/0.1%TFA(100ml)、20%CH3CN/0.1%TFA(100ml))処理することにより蛍光標識化されたオリゴ糖の混合物を得た。得られた蛍光標識化合物をHPLC(カラム:cosmosil 5C18−AR−II、φ10.0×250mm;溶媒条件:12.5%CH3CN/0.1%TFA(5分)、12.5−27.5%CH3CN/0.1%TFA(50分);流速:3ml/分)でアセトニトリル:0.1%TFA水溶液を5〜30%の濃度勾配で溶出して、分子量が539、715、861、903、957、999であり硫酸基を有する6つの標識化フコイダンオリゴ糖を混合物から分離した(分子量は、ESI−MSにより決定した)。得られた標識化オリゴ糖についてNMRスペクトルを測定し、その結果を解析した。標識化オリゴ糖の1H−NMRおよび13C−NMRのチャートを図8〜19に示し、それらを解析した結果を表3〜8に示す。これら結果から、分子量539、715、861、903、957、999の化合物は、それぞれ、化合物(III)、(V)、(VI)、(VII)、(VIII)、(IX)の標識体であることが明らかとなった。
【0054】
確認のため、各オリゴ糖上に結合していたABEEを除去し、再生したオリゴ糖の純品を得た。即ち、これら分離した各標識化オリゴ糖10mg(100μl)に、過酸化水素、酢酸を各10μl加えて一昼夜放置した後、乾固した。こうして得られた再生オリゴ糖のうち、分子量903の化合物から得られたものを1H−NMR(図20)、TOF−MS(装置Voyager DE-STR(Applied Biosystems)、Ion mode: negative、Mode of operation: reflector、Accelerating voltage: 20kV、Matrix: 2,5-dihydroxybenzoic acid)(図21)、MS/MS(図22)で解析したところ、その結果は、確かに式(VII)の構造を示していた。
【0055】
また、上記方法で分離できなかった分子量420、858、900の化合物(それぞれ(IV)、(X)、(XI))に関しては、反応混合物をFAB−MS/MS(装置:HX110A/HX110A(JEOL)、Ion mode:MS, MS/MS(negative)、Xe atom beam:5kV、Ion source accelerating potential:10kV、Collision energy:2keV、Matrix:Glycerol)、およびESI−MS−MSで分析することによりその存在を確認した。これら未標識化オリゴ糖の分析結果を図23〜27に示す。図23に(IV)のFAB−MSチャート、図24にMS/MSチャートを示した。また図25に(X)および(XI)のFAB−MSチャートを、図26、27にそれぞれのMS/MSチャートを示した。
【0056】
これらの結果より、分子量390の二糖は化学式(III)で表されるα−L−Fuc−4−O−SO3−−(1→3)−L−Fuc、分子量420の二糖は化学式(IV)で表されるα−D−GlcA−(1→2)−L−Fuc、分子量566の三糖は化学式(V)で表されるα−L−Fuc−4−O−SO3−−(1→3)−[α−D−GlcA−(1→2)]−L−Fuc、分子量712の四糖は化学式(VI)で表されるα−L−Fuc−4−O−SO3−−(1→3)−[α−D−GlcA−(1→2)]−α−L−Fuc−(1→3)−L−Fuc、そして分子量754の四糖は化学式(VII)で表されるα−L−Fuc−4−O−SO3−−(1→3)−[α−D−GlcA−(1→2)]−α−L−Fuc−4−O−アセチル−(1→3)−L−Fuc、分子量808の5糖は化学式(VIII)で表される[α−D−GlcA−(1→2)−α−L−Fuc−(1→3)]−[α−D−GlcA−(1→2)]−α−L−Fuc−(1→3)−L−Fuc、分子量850の5糖は化学式(IX)で表される[α−D−GlcA−(1→2)−α−L−Fuc−(1→3)]−[α−D−GlcA−(1→2)]−4−O−アセチル−α−L−Fuc−(1→3)−L−Fuc、分子量858の5糖は化学式(X)で表されるα−L−Fuc−4−O−SO3−−(1→3)−α−L−Fuc−(1→3)−[α−D−GlcA−(1→2)]−α−L−Fuc−(1→3)−L−Fuc、分子量900の5糖は化学式(XI)で表されるα−L−Fuc−4−O−SO3−−(1→3)−α−L−Fuc−(1→3)−[α−D−GlcA−(1→2)]−α−L−Fuc−4−O−アセチル−(1→3)−L−Fucであることが分かった。
【0057】
【表3】
【0058】
【表4】
【0059】
【表5】
【0060】
【表6】
【実施例2】
【0061】
オキナワモズク藻体100gに2NHCl(100ml)500〜1000mlを入れ、1時間、50〜100℃で酸加水分解を行った。得られた抽出物を冷却後、吸引濾過、電気透析(脱塩)を行ない凍結乾燥しフコイダン画分を2g得た。得られたフコイダン画分をABEEで蛍光標識化したものをESI−MS(4000Q TRAP LC/MS/MSシステム(Applied Biosystems);分析条件 Polarity:Negative ion mode;Declustering Potential:−50v;Collision energy:−10eV;Temperature:550℃)で分析した結果、図28で示されるチャートが得られ、式(I)〜(XI)に示されるフコイダンオリゴ糖の存在が確認できた。
【実施例3】
【0062】
免疫機能調節作用の測定(1)
マウス脾細胞に対するIFN−γ誘導作用
C57BL/6マウス(8週齢、雄、日本チャールズリバー株式会社)から脾細胞を分離し、5×106cells/mlになるように調製し、24wellプレートで培養した。化合物(I)、(II)のフコイダンオリゴ糖を100μg/mlになるように各wellに添加した。比較対照としてフコースと硫酸化フコース(それぞれMW164、244)、キシロオリゴ糖(XOS)を等量用いた。24時間培養後、培養上清を回収しIFN−γの産生量をELISAキット(OptEIA、BD Pharmingen)を用いて測定した(図29)。化合物(II)に強いIFN−γ誘導作用が見られた。
【0063】
さらに、オリゴ糖を添加して30分後に、乳酸菌(Lactobacillus pentosus;FERM ABP-10028)(死菌)を0.1μg/mlずつ各wellに添加して上記と同様の操作も行った。化合物(I)に関しては、それを乳酸菌と併用すると著しく強いIFN−γ誘導能が得られた。この作用は、化合物(I)と乳酸菌をそれぞれ単独で用いて得られた結果(図29中、左から2番目および右から3番目)から予測できない程強く、両者を組み合わせて用いることにより相乗的効果が生じることを裏付けている。構成成分のフコースや硫酸化フコースにはこのような活性が無く、プレバイオティクスとして広く使われているキシロオリゴ糖にもこのような作用が無かった。
【0064】
したがって、化合物(I)、化合物(II)のフコイダンオリゴ糖には脾細胞を活性化させる機能があり、生体の免疫機能を調節できる。
また、同様に調製した脾細胞に、化合物(I)〜(VII)の化合物を任意に3種類均等に混合したものを50μg/mlの濃度で添加し、30分後に乳酸菌(Lactobacillus pentosus;FERM ABP-10028)(死菌)を0.1μg/mlずつ各wellに添加した。24時間培養後、培養上清を回収しIFN−γの産生量を測定した(図30)。図に示すとおり、(V)、(VI)および(VII)の混合物、(I)、(V)および(VI)の混合物、および(I)、(V)および(VII)の混合物を用いると、高いIFN−γ産生量が観測された。したがって、化合物(I)〜(XI)が混在していている場合でも乳酸菌と併用することで免疫機能調節活性が上昇することがわかった。
【実施例4】
【0065】
免疫機能調節作用の測定(2)
マウス由来樹状細胞に対する、IL−10および12誘導作用、樹状細胞成熟作用およびCTL活性増強作用
BALB/cマウス(8週齢、雄、日本SLC株式会社)の大腿骨から骨髄細胞を分離し、1×106cells/mlになるように、10%FBS、20ng/ml GM−CSF(Peprotec)、20ng/ml IL−3(Peprotec)を含むRPMI1640培地中に懸濁し、24wellプレートで培養した。培養開始3、5日目に培地交換を行ない、付着性の未成熟樹状細胞を得た。得られた樹状細胞に、化合物(I)、(II)、(III)、(V)、(VI)、および(VII)をそれぞれ50μg/mlの濃度で加えた(前処理)。2日間培養後、培養上清と細胞を回収した。また、前処理30分後に、乳酸菌(Lactobacillus pentosus;FERM ABP-10028)(死菌))を0.1μg/mlずつ各wellに添加して上記と同様の操作を行なった。
【0066】
回収した培養上清はELISAキットを用いてIL−12とIL−10を測定した。結果をそれぞれ図31、32に示した。化合物(II)、(III)、および(VI)は、単独でIL−12誘導能を示した。化合物(I)は、それを乳酸菌と併用することで相乗的にIL−12を誘導した(図31)。また、化合物(II)、(III)および(V)は乳酸菌と併用することでIL−10を誘導した(図32)。これらのことにより、本発明で見つかったフコイダンオリゴ糖には生体の免疫系を正にも負にも調節(低下した免疫を活性化し、または過剰な免疫反応を抑制する)する機能があることが分かった。キシロオリゴ糖には、このような作用は認められなかった。
【0067】
回収した細胞の表面の成熟化マーカーであるCD86の陽性率をフローサイトメトリー(EPICS XL、ベックマンコールター株式会社製)を用いて解析した。その結果、フコイダンオリゴ糖には単独で樹状細胞を成熟化させる作用があることが確認できた(図33)。
【0068】
さらに、回収した細胞をカウントし、1×105cells/mlに調製後、1mlの細胞懸濁液中にマイトマイシンC(50μg/ml)を処理し、37℃で30分間反応させた。反応終了後、PBSの洗浄によりマイトマイシンCを除去し、常法により調製したC57BL/6マウスの脾細胞(5×106cells/ml)を1ml添加し、4日間混合培養した。培養後細胞を回収し、C57BL/6マウスのアロ抗原を持つP−815細胞(5000cells/100μl)をターゲットにし、E:T比40:1および80:1の割合で4時間反応させ、殺傷されたP−815の数をフローサイトメトリーでカウントすることによりCTL活性を求めた(図34)。化合物(II)、(VI)、(VII)は単独でCTL活性を高める作用があることを確認した。また、化合物(III)、(V)、(VI)、(VII)は乳酸菌と併用することでCTL活性が増強されることも分かった。
【図面の簡単な説明】
【0069】
【図1】沖縄モズクから熱水抽出により得られるフコイダンの糖組成分析を示すHPLCチャートである。
【図2】式(I)で表される分子量340のフコイダンオリゴ糖のMSスペクトルを示す図である。
【図3】式(II)で表される分子量486のフコイダンオリゴ糖のMSスペクトルを示す図である。
【図4】式(I)の化合物に対応する標識化オリゴ糖の1H−NMRスペクトルを示す図である。
【図5】式(I)の化合物に対応する標識化オリゴ糖の13C−NMRスペクトルを示す図である。
【図6】式(II)の化合物に対応する標識化オリゴ糖の1H−NMRスペクトルを示す図である。
【図7】式(II)の化合物に対応する標識化オリゴ糖の13C−NMRスペクトルを示す図である。
【図8】式(III)の化合物に対応する分子量539の標識化オリゴ糖の1H−NMRスペクトルを示す図である。
【図9】式(III)の化合物に対応する分子量539の標識化オリゴ糖の13C−NMRスペクトルを示す図である。
【図10】式(V)の化合物に対応する分子量715の標識化オリゴ糖の1H−NMRスペクトルを示す図である。
【図11】式(V)の化合物に対応する分子量715の標識化オリゴ糖の13C−NMRスペクトルを示す図である。
【図12】式(VI)の化合物に対応する分子量861の標識化オリゴ糖の1H−NMRスペクトルを示す図である。
【図13】式(VI)の化合物に対応する分子量861の標識化オリゴ糖の13C−NMRスペクトルを示す図である。
【図14】式(VII)の化合物に対応する分子量903の標識化オリゴ糖の1H−NMRスペクトルを示す図である。
【図15】式(VII)の化合物に対応する分子量903の標識化オリゴ糖の13C−NMRスペクトルを示す図である。
【図16】式(VIII)の化合物に対応する分子量957の標識化オリゴ糖の1H−NMRスペクトルを示す図である。
【図17】式(VIII)の化合物に対応する分子量957の標識化オリゴ糖の13C−NMRスペクトルを示す図である。
【図18】式(IX)の化合物に対応する分子量999の標識化オリゴ糖の1H−NMRスペクトルを示す図である。
【図19】式(IX)の化合物に対応する分子量999の標識化オリゴ糖の13C−NMRスペクトルを示す図である。
【図20】式(VII)で表される分子量754のフコイダンオリゴ糖の1H−NMRスペクトルを示す図である。
【図21】式(VII)で表される分子量754のフコイダンオリゴ糖のTOF-MSスペクトルを示す図である。
【図22】式(VII)で表される分子量754のフコイダンオリゴ糖を再生した後のMS/MSスペクトルを示す図である。
【図23】式(IV)で表される分子量420のフコイダンオリゴ糖のFAB-MSスペクトルを示す図である。
【図24】式(IV)で表される分子量420のフコイダンオリゴ糖のMS/MSスペクトルを示す図である。
【図25】式(X)で表される分子量858および式(XI)で表される分子量900のフコイダンオリゴ糖のFAB-MSスペクトルを示す図である。
【図26】式(X)で表される分子量858のフコイダンオリゴ糖のMS/MSスペクトルを示す図である。
【図27】式(XI)で表される分子量900のフコイダンオリゴ糖のMS/MSスペクトルを示す図である。
【図28】沖縄モズクを加水分解後、ABEEで蛍光標識化したESI−MSのチャートを示す図である。
【図29】フコイダンオリゴ糖の脾細胞に対するIFN−γ誘導効果を示す図である。
【図30】複数のフコイダンオリゴ糖の脾細胞に対するIFN−γ誘導効果を示す図である。
【図31】フコイダンオリゴ糖の樹状細胞に対するIL−12誘導効果を示す図である。
【図32】フコイダンオリゴ糖の樹状細胞に対するIL−10誘導効果を示す図である。
【図33】フコイダンオリゴ糖による樹状細胞の成熟化効果を示す図である。
【図34】フコイダンオリゴ糖のCTL活性誘導効果を示す図である。
【産業上の利用分野】
【0001】
本発明は免疫力の増強、免疫機能の調節などを目的とした飲食品、健康食品、機能性食品、医薬品、化粧品等に利用可能な新規化合物およびそれを含む組成物に関する。
【発明の背景】
【0002】
フコイダンは藻類に含まれる硫酸化多糖であり、抗血液凝固作用、脂血清澄作用(血液中のコレステロールや過酸化脂質を除去する作用)、抗腫瘍作用、癌転移抑制作用、抗エイズウイルス感染作用等の様々な活性を有することが報告されている。中でも、生体の免疫機能を正常化する作用が注目されており、免疫機能調節作用を有する飲食品や医薬品の素材として有用であると考えられている。
【0003】
一方、フコイダンの構造は、由来となる藻類やその生育環境などにより異なることが知られている。その理由の一つは、フコイダンの構成成分であるフコース、ガラクトース、キシロース、グルクロン酸等の組成が、藻類やその生育環境によって変動するためである。また、それら構成糖上のエステル結合およびグルコシド結合の位置が変動し得ることも、フコイダン構造の多様性に寄与している。そのため、未だに多くのフコイダンの構造が特定されていない。
【0004】
これらの理由により、フコイダンを利用して飲食品や医薬品などを開発する場合には、それらに適切なフコイダンを選定するのに多大な時間を要することが多かった。また、消費者にとっても、どのフコイダンを選べばよいのか明確ではなかった。さらに、フコイダンは分子量が極めて大きい硫酸化多糖であり、このためそのまま飲食品や医薬品として用いる際には、吸収性、抗原性、均一性、抗凝血活性等に関する問題がある。
【0005】
これらの問題を解決するために、特定された構造と機能を有する低分子のフコイダン由来オリゴ糖が望まれる。
これまでに、化学合成によるフコース含有オリゴ糖が報告されているが(非特許文献1、2および3)、これらは有機合成反応により調製されているため食品などに使用するのは好ましくなかった。
【0006】
一方、フコイダンを加水分解してフコイダンを低分子化する方法も報告されている。例えば、特許文献1には、フコイダンを酸加水分解する方法が開示されており、得られた低分子フコイダンは、5×103以下の分子量分布を有していたことが記載されている。また、特許文献2には、酸を外部から添加することなくフコイダンを加水分解してオリゴ糖を得る方法が記載されている。また、特許文献3のように酵素によりフコイダンを加水分解する方法も報告されている。
【0007】
また、フコイダンの加水分解により得られ、構造が決定されたオリゴ糖がいくつか報告されている。例えば、特許文献4においては、モズク等の藻類から得たフコイダンを酸加水分解してオリゴ糖を製造したことが報告されており、数種の低分子フコイダン由来オリゴ糖の構造が特定されている。また、特許文献5および6においては、フコイダンを酵素的に加水分解して得たオリゴ糖の構造が開示されている。
【特許文献1】特開平7−215990
【特許文献2】特開2002−226496
【特許文献3】特開2000−236889
【特許文献4】特開2000−351790
【特許文献5】特開2003−199596
【特許文献6】特開2001−226408
【非特許文献1】Carbohydrate research 4, 189-195 (1967)
【非特許文献2】Carbohydrate research 37, 75-79 (1974)
【非特許文献3】Carbohydrate research 41, 308-312 (1975)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、特許文献1〜3に記載の方法で得られた物質は構造が特定されていない。したがって、これら構造不明のオリゴ糖を食品に使用する際には、品質の管理が容易ではないという問題がある。
【0009】
また、特許文献4に記載のオリゴ糖は、食品などに利用した場合の機能が明らかにされておらず安全性が高いとは言い難い。さらに、特許文献5に記載のオリゴ糖には分子量が大きいという問題が、特許文献6に記載の製法にはその操作が煩雑であるという問題もある。
【0010】
そこで、様々な用途に用いることができる素材として、上記のように、特定された構造を有し、簡便かつ正確に品質管理できるフコイダン由来オリゴ糖を開発することが望まれている。また、飲食品や医薬品における用途を考慮すると、低分子で扱いやすくまた簡便に製造できるものであること、さらには安全性が高いものであることが必要とされる。
【課題を解決するための手段】
【0011】
そこで、本発明の目的は、構造が特定された新規なフコイダン由来オリゴ糖を提供することである。
また、本発明の別の目的は、安全性が高く、生体の免疫機能を正常化するのに寄与するフコイダン由来オリゴ糖を提供することである。なお、ここでいう免疫機能の正常化とは、例えばキシロオリゴ糖のように腸内細菌叢を改善して間接的に免疫機能を整えるものではなく、いくつかのフコイダンで示されているように直接的に免疫担当細胞を活性化するものを指す。
【0012】
本発明のさらなる目的は、効果量を的確に飲食品、医薬組成物等に添加することができるフコイダン由来オリゴ糖を提供することである。
本発明のさらなる目的は、煩雑な工程を必要とせずに当該オリゴ糖を提供することでもある。
【0013】
本発明者は、フコイダンから新規オリゴ糖を製造し、それらの免疫賦活活性を確認することにより、本発明の完成に至った。本発明においては、これらオリゴ糖をフコイダンオリゴ糖とも称する。
【0014】
すなわち本発明は、
(1)下記構造式(I)、(II)、(III)、(IV)、(V)、(VI)、(VII)、(VIII)、(IX)、(X)、または(XI)で表されるフコイダンオリゴ糖;
【0015】
【化1】
【0016】
【化2】
【0017】
【化3】
【0018】
【化4】
【0019】
【化5】
【0020】
【化6】
【0021】
【化7】
【0022】
【化8】
【0023】
【化9】
【0024】
【化10】
【0025】
【化11】
(2)式(I)〜(XI)で表される化合物から選択される少なくとも一種を含む免疫機能調節剤;
(3)式(I)〜(XI)で表される化合物から選択される少なくとも一種を添加した飲食品;
(4)式(I)〜(XI)で表される化合物から選択される少なくとも一種を含有し、免疫機能調節作用を有する旨の表示を付した飲食品;
(5)式(I)〜(XI)で表される化合物から選択される少なくとも一種を含む医薬組成物;および
(6)式(I)〜(XI)で表される化合物から選択される少なくとも一種を含む化粧品
に関する。
【発明の実施の形態】
【0026】
フコイダン
フコイダンとは藻類由来の硫酸化多糖の総称であり、主な構成糖であるフコースに加えて、ガラクトース、グルクロン酸、キシロース等を含有する。構成糖の種類や量は、フコイダンの由来となる藻類やその生育環境により異なる。
本発明のフコイダンオリゴ糖のための原料として用いられるフコイダンは、どのような構造のものでもよく、またいずれの藻類から取得してもよい。藻類の例には、クロガシラ目(Sphacelariales)、ナガマツモ目(Chordariales)、カヤモノリ目(Scytosiphonales)、ウイキョウモ目(Dictyosiphonales)、ムチモ目(Cutleriales)、ケヤリモ目(Sporochnales)、アミジグサ目(Dictyotales)、コンブ目(Laminariales)、ヒバマタ目(Fucales)を含む褐藻綱Phaeophyceaeの海藻が含まれる。好ましくはモズク、より好ましくは沖縄モズク由来のフコイダンを用いる。
フコイダンの抽出方法
フコイダンを藻類から抽出する方法は種々検討されており、広く知られている(例えば、特開平10−245334に記載されているような水を用いる方法、特開平10−195106に記載されているような酸を用いる方法、特開2002−262788に記載されているようなアルカリ水性溶媒を用いる方法等である)。本発明オリゴ糖の原料として用いるフコイダンはこれら公知の方法により取得することができる。本発明においては、例えば、以下の方法により取得したものを用いる。
【0027】
即ち、藻類(例えば沖縄モズク)に蒸留水5〜10倍量を加え、50〜100℃で0〜5時間、好ましくは80〜100℃で0.5〜2時間、さらに好ましくは90〜100℃で約1時間抽出する。このようにして得られた藻類抽出物を冷却、吸引濾過、脱塩および乾燥することにより、容易に水に溶解するフコイダン画分を得ることができる。このようにして得られたフコイダン画分は、さらに精製することなく次の工程に用いてもよいし、更に精製してから用いてもよい。
【0028】
フコイダンは、好ましくは上記のように藻類から抽出したものを用いるが、藻類に含まれた状態で用いてもよい。フコイダンまたはそれを含む藻類を次の加水分解工程に付すことによって本発明による化合物が得られる。
【0029】
フコイダンオリゴ糖混合物の製造方法
本発明のフコイダンオリゴ糖を製造するには、先ず、特許文献1〜3に記載されているように、フコイダンを酸や酵素を用いる方法により加水分解することにより、フコイダンオリゴ糖の混合物を得る。好ましくは、以下の様な酸加水分解条件を用いる。
【0030】
即ち、上記のようにして藻類から得られたフコイダンを含む画分またはフコイダンを、酸、好ましくは塩酸を用い分解する。より具体的には、0.1〜5.0N、好ましくは0.5〜4.0N、さらに好ましくは0.5〜3.0NのHClを含む、25〜100℃、好ましくは30〜95℃、さらに好ましくは50〜90℃の水性溶媒中で、0.1〜3時間、好ましくは0.25〜2.5時間、さらに好ましくは0.5〜2時間加水分解を行なう。得られた反応物を塩基、例えば約1NのNaOHで中和した後、電気透析もしくはゲル濾過糖の適切な手段で脱塩し、乾燥(例えば、凍結乾燥)することにより、フコイダンオリゴ糖混合物を得ることができる。
【0031】
オリゴ糖の精製
このようにして得られる混合物からフコイダンオリゴ糖をさらに精製するためには、クロマトグラフィー、再結晶、透析、アルコール沈殿等の方法を単独で、または組み合わせて用いることができる。例えば、以下の操作に従ってオリゴ糖を精製する。
【0032】
先ず、フコイダンの加水分解により得られたオリゴ糖混合物を陰イオン交換樹脂を用いたクロマトグラフィーに付して、吸着されずに通過する、硫酸基を含まないオリゴ糖を含有する画分(中性・酸性糖画分)と、酸性溶出液により溶出する、硫酸基を多く含むオリゴ糖を含有する画分(硫酸化糖画分)とを分離する。
【0033】
中性・酸性糖画分をさらにゲル濾過に付すことにより、式(I)で表される二糖と式(II)で表される三糖を得ることができる。
一方、硫酸化糖画分をクロマトグラフィーに付すことにより、硫酸化オリゴ糖(III)〜(XI)の各成分を単離することができる。
【0034】
各オリゴ糖は、精製、構造解析をより容易にするために適宜標識化または誘導体化してもよい。例えば、オリゴ糖は、4−アミノ安息香酸エチル(ABEE)のような試薬で蛍光標識化することができ、これによりオリゴ糖の検出が容易となる。標識化された各オリゴ糖を分離した後にその標識化部分を除去することにより、純粋なオリゴ糖を取得することができる。
【0035】
こうして得られるフコイダンオリゴ糖は、例えば飲食品、医薬品、化粧品等に用いて、これらに免疫機能調節作用を付与することができる。
免疫機能調節剤
本明細書における免疫機能調節作用とは、生体において低下している免疫反応を高める、および/または亢進している免疫反応を抑制する作用のことをいう。従って、その作用には、免疫賦活作用および免疫抑制作用が含まれる。
【0036】
本明細書における免疫機能調節作用は、当該技術分野で知られている方法で測定することができる。それは、例えば、免疫機能調節作用を有するサイトカインを誘導する作用を指標として測定することができる。この目的に用いられるサイトカインには、インターフェロン−γ、インターロイキン−10、12等が含まれる。また、免疫機能調節作用は、免疫応答に関与する樹状細胞の成熟化や、細胞障害性T細胞(CTL)の活性を指標として測定することもできる。
【0037】
本発明の免疫機能調節剤は健康増進のために用いることができるが、腫瘍、癌の転移、ウイルス性疾患(例えば、カゼ、エイズ、ウイルス性肝炎)、アレルギー性疾患(例えば、花粉症、アレルギー性鼻炎、アトピー、喘息)、自己免疫疾患(例えば、リウマチ様関節炎)、炎症性疾患、糖尿病のような疾患または状態に有効であることも知られている。
【0038】
フコイダンオリゴ糖を含む食品添加物および飲食品、並びにそれを添加した飲食品
本発明のフコイダンオリゴ糖を飲食品に用いる場合には、それを含み免疫機能調節作用を有する食品添加物および飲食品として、並びにそれを添加した免疫機能調節作用を有する健康食品として実施することが好適である。それらは、公知の甘味料、酸味料、ビタミン等の各種成分と混合してユーザーの嗜好に合う製品とすればよい。飲食品は、例えば、錠剤、カプセル剤、清涼飲料、茶飲料、ドリンク剤、ヨーグルトや乳酸菌飲料等の乳製品、調味料、加工食品、デザート類、菓子(例えば、ガム、キャンディ、ゼリー)等の形態で提供することが可能である。本発明の飲食品には、免疫機能調節作用を有する旨の表示を容器や説明書に付した機能性食品(特定保健用食品や条件付き特定保健用食品が含まれる)も含まれる。表示場所は容器またはそれに添付した指示書などが挙げられるが、これらに限られない。容器には、瓶、缶、ペットボトル、プラスチックボトル、紙パック等が含まれるが、それらに限定されない。また、表示の方法には、印刷、刻印、シール等が含まれるが、それらに限定されない。また、飲食品は、ペットの餌として加工したペットフード等や動物飼料等でもよい。
【0039】
フコイダンオリゴ糖を含む医薬組成物
本発明のフコイダンオリゴ糖は、例えば、免疫機能調節剤、免疫賦活剤、抗アレルギー剤および免疫抑制剤として用いることができる。したがって、1つの態様において、本発明はフコイダンオリゴ糖を含む、免疫機能調節作用、免疫賦活作用、抗アレルギー作用および/または免疫抑制作用を有する医薬組成物である。
【0040】
医薬組成物は、主薬に希釈剤、担体、結合剤、崩壊剤、滑沢剤、矯味矯臭剤、溶解補助剤、懸濁剤、コーティング剤等の医薬の製剤技術分野において通常使用する公知の補助剤を用いて製剤化することができる。剤型としては、錠剤、カプセル剤、顆粒剤、散剤、液剤、シロップ剤、座剤、クリーム剤、軟膏剤、エマルション、ハップ剤、注射剤等を挙げることができ、特に限定されるものではない。本医薬品の投与経路としては、例えば、経口投与、直腸投与、経腸投与等を挙げることができるが、特に限定されるものではない。
【0041】
フコイダンオリゴ糖を含む化粧品
本発明のフコイダンオリゴ糖を用いることにより、免疫機能調節作用を有する化粧品を製造することができる。
【0042】
本発明オリゴ糖が添加または配合される化粧品は、例えば、顔用、皮膚用、頭髪用のクリーム、ローション、ゲル、ムース、シャンプー、リンス等である。
他の成分との併用
本発明のフコイダンオリゴ糖は、飲食品、医薬組成物、および化粧品において、それ自体単独で使用してもよいが、他の免疫機能調節作用または免疫賦活作用を有する食品素材または物質と併用することも好適である。そのような食品素材または物質としては、乳酸菌、キノコ類、フコイダン等が挙げられる。
【0043】
フコイダンオリゴ糖と乳酸菌の組み合わせ
本発明のフコイダンオリゴ糖は、特に、乳酸菌と組み合わせることにより、それらの免疫機能調節作用が相乗的に増強される。したがって、本発明には、フコイダンオリゴ糖を乳酸菌と組み合わせて添加した、またはそれらを含む、飲食品、医薬組成物、および化粧品も含まれる。これら飲食品、医薬組成物、および化粧品は、フコイダンオリゴ糖または乳酸菌を単独で用いた場合と比較して相乗的に増強された免疫機能調節作用を有することを特徴とする。この目的に用いられる乳酸菌には、Lactobacillus属が含まれる。好ましくは、乳酸菌は Lactobacillus plantarumまたはLactobacillus pentosus である。用いられるフコイダンオリゴ糖の乳酸菌に対する好ましい比率は、重量で1:1〜10000:1、より好ましくは250:1〜1000:1である。また、本発明には、フコイダンオリゴ糖と乳酸菌とを組み合わせて用いることによりそれらの免疫機能調節作用を相乗的に増強する方法も含まれる。
【0044】
本発明の飲食品、組成物には、これら活性成分以外に、具体的な態様に応じて、一般的な成分、例えば、担体、希釈剤、賦形剤または添加剤等の成分を配合することができる。ここで担体、希釈剤または賦形剤としては、フコイダンオリゴ糖の生理活性を妨げないものであれば特に制限されず、例えばシュクロース、グルコース、果糖、マルトース、トレハロース、乳糖、澱粉、水飴、異性化液糖などの糖類、エタノール、プロピレングリコール、グリセリン等のアルコール類、ソルビトール、マンニトール、エリスリトール、ラクチトール、キシリトール、マルチトール、還元パラチノース、還元澱粉分解物等の糖アルコール類、トリアセチン等の溶剤、アラビアガム、カラギナン、キサンタンガム、グァーガム、ジェランガム、ペクチン等の多糖類、または水を挙げることができる。また添加剤としては、キレート剤等の助剤、香料、香辛料抽出物、防腐剤などを挙げることができる。担体、添加剤等を本発明の効果を損なわない限り配合することができる。
【0045】
飲食品、医薬組成物および化粧品におけるオリゴ糖の配合量は、選択する他の配合成分との関係等により適宜選択されるものであり、特に限定されるものではない。しかしながら、通常、フコイダンオリゴ糖は、飲料または食品中、医薬組成物中に添加する場合、個体の体重60kgに対して0.01g〜10g/日、好ましくは0.05g〜1g/日、特に好ましくは0.05g〜0.5g/日である。化粧品中には、0.01〜20重量%、好ましくは0.05から15重量%用いられる。
【0046】
本発明のオリゴ糖は、抽出精製品や合成製品を単独で飲食品、医薬組成物、および化粧品に用いることもできるが、本発明オリゴ糖の1つ以上を含む混合物の形態で飲食品等に添加することもできる。
【0047】
なお本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
[発明の効果]
本発明の新規フコイダンオリゴ糖は、免疫機能調節作用を有する。また、本発明のフコイダンオリゴ糖は、食品素材から分離されたものであるため穏やかな作用を有し、極めて安全性が高い。従って、本発明のオリゴ糖は非常に有用であり、その応用範囲は健康食品のみならず、医薬品および化粧品にも適用可能である。
【0048】
即ち、本発明のオリゴ糖を添加することにより、生体の免疫機能を正常化するのに寄与する飲食品、医薬組成物、または化粧品を提供することができる。
また、本発明により、煩雑でない方法で本発明のフコイダンオリゴ糖を提供することができる。
[実施例]
以下、実施例に基づいて本発明を具体的に説明するが、本発明の範囲はこれらの実施例に限定されないことは言うまでもない。
【0049】
以下の実施例においては、特に明記しない限り、ECA−600型核磁気共鳴装置(日本電子株式会社)を用いてNMR分析を行なった。測定溶媒として重水(D2O)を用いた。構成糖の結合様式は、2D-NMRを用いて行なった。
【実施例1】
【0050】
a)フコイダン画分の調製
沖縄モズク藻体100gに蒸留水を1000ml加え、100℃で1時間抽出した。得られた抽出物を冷却後、吸引濾過、電気透析(脱塩)をして凍結乾燥し、フコイダン画分を2g得た。このフコイダンを2NH2SO4を含む100℃の水溶液で1時間加水分解し、得られた水溶液を2NNaOHを用いて中和し、ABEEで蛍光標識化することで単糖分析サンプルを調製した。その構成糖の組成はSFuc(硫酸化フコース):GlcA:Fuc:Xyl=49.3:4.9:12.1:1であることを確認した(図1)。
カラム:Cosmosil C18 AR−II(4.6mmφ×250mm)
移動相:10%アセトニトリル含有0.2Mホウ酸カリウム緩衝液
流速:1.0ml/分
温度:45℃
検出:蛍光検出器(株式会社島津製作所)、Ex:305nm、Em:360nm
b)フコイダンの加水分解およびオリゴ糖の分離
得られたフコイダン画分1gに2NHClを100ml加えて50〜100℃で1時間酸加水分解を行ない、次いで1NNaOHで中和した。得られた反応液をゲル濾過(バイオゲルP−6(Bio−Rad))に付して脱塩し、凍結乾燥を行なうことによりフコイダンオリゴ糖混合物を895mg得た。得られたフコイダンオリゴ糖混合物は、蟻酸で活性化した陰イオン交換樹脂(東ソー株式会社)を用いるクロマトグラフィーに付した。結果として、オリゴ糖混合物は、水で溶出することで得られた硫酸基を含まないオリゴ糖を含有する画分(中性・酸性糖画分)280mgと、2NHClで溶出することで得られた硫酸基を多く含むオリゴ糖を含有する画分(硫酸化糖画分)425mgに分離された。
【0051】
c)化合物(I)および(II)の単離
b)で得られた中性・酸性糖画分100mgをゲル濾過(バイオゲルP−4(Bio−Rad)、溶出溶媒:0.2Mホウ酸カリウム(K2B4O7)水溶液)に付すことにより、当該画分から分子量340の二糖と分子量486の三糖が分離された(化合物 I、II)。これらの分子量は、FAB−MSにより求めた(図2、3;化合物(I)[M−H]−:339.2、化合物(I)[M−H]−:485.0)。これらの化合物5mgに、水1ml、ABEE(4−アミノ安息香酸エチル)1.6g、NaBH3CN(水素化シアノほう素ナトリウム)350mg、メタノール3.5ml、酢酸410μlを加え、65℃、4時間撹拌した。反応液をクロロホルムと水で分配することにより蛍光標識化された上記二糖および三糖を約7〜9mg取得した。これら標識化オリゴ糖について測定した1H−NMRおよび13C−NMRのチャートを図4〜7に示し、それらを解析した結果を表1、2に示した。これらの結果より、得られた分子量340の二糖は式(I)で表されるα−D−GlcA−(1→2)−L−Fucであり、分子量486の三糖は式(II)で表されるα−D−GlcA−(1→2)−α−L−Fuc−(1→3)−L−Fucであることが分かった。
【0052】
【表1】
【0053】
【表2】
d)化合物(III)〜(XI)の製造
次に、硫酸化糖画分をゲル濾過(バイオゲルP−6(Bio−Rad))に付すことにより脱塩した。得られた硫酸化糖画分100mgに、水1ml、ABEE(4−アミノ安息香酸エチル)1.6g、NaBH3CN(水素化シアノほう素ナトリウム)350mg、メタノール3.5ml、酢酸410μlを加え、65℃、4時間撹拌した。得られた生成物を真空で乾燥させ、水とクロロホルムに分配し、水層を逆相カラムで(担体:Lichroprep RP−8(25−40μm)(Merck)、φ10×220mm;溶媒条件:5%CH3CN/0.1%TFA(100ml)、8%CH3CN/0.1%TFA(100ml)、15%CH3CN/0.1%TFA(100ml)、20%CH3CN/0.1%TFA(100ml))処理することにより蛍光標識化されたオリゴ糖の混合物を得た。得られた蛍光標識化合物をHPLC(カラム:cosmosil 5C18−AR−II、φ10.0×250mm;溶媒条件:12.5%CH3CN/0.1%TFA(5分)、12.5−27.5%CH3CN/0.1%TFA(50分);流速:3ml/分)でアセトニトリル:0.1%TFA水溶液を5〜30%の濃度勾配で溶出して、分子量が539、715、861、903、957、999であり硫酸基を有する6つの標識化フコイダンオリゴ糖を混合物から分離した(分子量は、ESI−MSにより決定した)。得られた標識化オリゴ糖についてNMRスペクトルを測定し、その結果を解析した。標識化オリゴ糖の1H−NMRおよび13C−NMRのチャートを図8〜19に示し、それらを解析した結果を表3〜8に示す。これら結果から、分子量539、715、861、903、957、999の化合物は、それぞれ、化合物(III)、(V)、(VI)、(VII)、(VIII)、(IX)の標識体であることが明らかとなった。
【0054】
確認のため、各オリゴ糖上に結合していたABEEを除去し、再生したオリゴ糖の純品を得た。即ち、これら分離した各標識化オリゴ糖10mg(100μl)に、過酸化水素、酢酸を各10μl加えて一昼夜放置した後、乾固した。こうして得られた再生オリゴ糖のうち、分子量903の化合物から得られたものを1H−NMR(図20)、TOF−MS(装置Voyager DE-STR(Applied Biosystems)、Ion mode: negative、Mode of operation: reflector、Accelerating voltage: 20kV、Matrix: 2,5-dihydroxybenzoic acid)(図21)、MS/MS(図22)で解析したところ、その結果は、確かに式(VII)の構造を示していた。
【0055】
また、上記方法で分離できなかった分子量420、858、900の化合物(それぞれ(IV)、(X)、(XI))に関しては、反応混合物をFAB−MS/MS(装置:HX110A/HX110A(JEOL)、Ion mode:MS, MS/MS(negative)、Xe atom beam:5kV、Ion source accelerating potential:10kV、Collision energy:2keV、Matrix:Glycerol)、およびESI−MS−MSで分析することによりその存在を確認した。これら未標識化オリゴ糖の分析結果を図23〜27に示す。図23に(IV)のFAB−MSチャート、図24にMS/MSチャートを示した。また図25に(X)および(XI)のFAB−MSチャートを、図26、27にそれぞれのMS/MSチャートを示した。
【0056】
これらの結果より、分子量390の二糖は化学式(III)で表されるα−L−Fuc−4−O−SO3−−(1→3)−L−Fuc、分子量420の二糖は化学式(IV)で表されるα−D−GlcA−(1→2)−L−Fuc、分子量566の三糖は化学式(V)で表されるα−L−Fuc−4−O−SO3−−(1→3)−[α−D−GlcA−(1→2)]−L−Fuc、分子量712の四糖は化学式(VI)で表されるα−L−Fuc−4−O−SO3−−(1→3)−[α−D−GlcA−(1→2)]−α−L−Fuc−(1→3)−L−Fuc、そして分子量754の四糖は化学式(VII)で表されるα−L−Fuc−4−O−SO3−−(1→3)−[α−D−GlcA−(1→2)]−α−L−Fuc−4−O−アセチル−(1→3)−L−Fuc、分子量808の5糖は化学式(VIII)で表される[α−D−GlcA−(1→2)−α−L−Fuc−(1→3)]−[α−D−GlcA−(1→2)]−α−L−Fuc−(1→3)−L−Fuc、分子量850の5糖は化学式(IX)で表される[α−D−GlcA−(1→2)−α−L−Fuc−(1→3)]−[α−D−GlcA−(1→2)]−4−O−アセチル−α−L−Fuc−(1→3)−L−Fuc、分子量858の5糖は化学式(X)で表されるα−L−Fuc−4−O−SO3−−(1→3)−α−L−Fuc−(1→3)−[α−D−GlcA−(1→2)]−α−L−Fuc−(1→3)−L−Fuc、分子量900の5糖は化学式(XI)で表されるα−L−Fuc−4−O−SO3−−(1→3)−α−L−Fuc−(1→3)−[α−D−GlcA−(1→2)]−α−L−Fuc−4−O−アセチル−(1→3)−L−Fucであることが分かった。
【0057】
【表3】
【0058】
【表4】
【0059】
【表5】
【0060】
【表6】
【実施例2】
【0061】
オキナワモズク藻体100gに2NHCl(100ml)500〜1000mlを入れ、1時間、50〜100℃で酸加水分解を行った。得られた抽出物を冷却後、吸引濾過、電気透析(脱塩)を行ない凍結乾燥しフコイダン画分を2g得た。得られたフコイダン画分をABEEで蛍光標識化したものをESI−MS(4000Q TRAP LC/MS/MSシステム(Applied Biosystems);分析条件 Polarity:Negative ion mode;Declustering Potential:−50v;Collision energy:−10eV;Temperature:550℃)で分析した結果、図28で示されるチャートが得られ、式(I)〜(XI)に示されるフコイダンオリゴ糖の存在が確認できた。
【実施例3】
【0062】
免疫機能調節作用の測定(1)
マウス脾細胞に対するIFN−γ誘導作用
C57BL/6マウス(8週齢、雄、日本チャールズリバー株式会社)から脾細胞を分離し、5×106cells/mlになるように調製し、24wellプレートで培養した。化合物(I)、(II)のフコイダンオリゴ糖を100μg/mlになるように各wellに添加した。比較対照としてフコースと硫酸化フコース(それぞれMW164、244)、キシロオリゴ糖(XOS)を等量用いた。24時間培養後、培養上清を回収しIFN−γの産生量をELISAキット(OptEIA、BD Pharmingen)を用いて測定した(図29)。化合物(II)に強いIFN−γ誘導作用が見られた。
【0063】
さらに、オリゴ糖を添加して30分後に、乳酸菌(Lactobacillus pentosus;FERM ABP-10028)(死菌)を0.1μg/mlずつ各wellに添加して上記と同様の操作も行った。化合物(I)に関しては、それを乳酸菌と併用すると著しく強いIFN−γ誘導能が得られた。この作用は、化合物(I)と乳酸菌をそれぞれ単独で用いて得られた結果(図29中、左から2番目および右から3番目)から予測できない程強く、両者を組み合わせて用いることにより相乗的効果が生じることを裏付けている。構成成分のフコースや硫酸化フコースにはこのような活性が無く、プレバイオティクスとして広く使われているキシロオリゴ糖にもこのような作用が無かった。
【0064】
したがって、化合物(I)、化合物(II)のフコイダンオリゴ糖には脾細胞を活性化させる機能があり、生体の免疫機能を調節できる。
また、同様に調製した脾細胞に、化合物(I)〜(VII)の化合物を任意に3種類均等に混合したものを50μg/mlの濃度で添加し、30分後に乳酸菌(Lactobacillus pentosus;FERM ABP-10028)(死菌)を0.1μg/mlずつ各wellに添加した。24時間培養後、培養上清を回収しIFN−γの産生量を測定した(図30)。図に示すとおり、(V)、(VI)および(VII)の混合物、(I)、(V)および(VI)の混合物、および(I)、(V)および(VII)の混合物を用いると、高いIFN−γ産生量が観測された。したがって、化合物(I)〜(XI)が混在していている場合でも乳酸菌と併用することで免疫機能調節活性が上昇することがわかった。
【実施例4】
【0065】
免疫機能調節作用の測定(2)
マウス由来樹状細胞に対する、IL−10および12誘導作用、樹状細胞成熟作用およびCTL活性増強作用
BALB/cマウス(8週齢、雄、日本SLC株式会社)の大腿骨から骨髄細胞を分離し、1×106cells/mlになるように、10%FBS、20ng/ml GM−CSF(Peprotec)、20ng/ml IL−3(Peprotec)を含むRPMI1640培地中に懸濁し、24wellプレートで培養した。培養開始3、5日目に培地交換を行ない、付着性の未成熟樹状細胞を得た。得られた樹状細胞に、化合物(I)、(II)、(III)、(V)、(VI)、および(VII)をそれぞれ50μg/mlの濃度で加えた(前処理)。2日間培養後、培養上清と細胞を回収した。また、前処理30分後に、乳酸菌(Lactobacillus pentosus;FERM ABP-10028)(死菌))を0.1μg/mlずつ各wellに添加して上記と同様の操作を行なった。
【0066】
回収した培養上清はELISAキットを用いてIL−12とIL−10を測定した。結果をそれぞれ図31、32に示した。化合物(II)、(III)、および(VI)は、単独でIL−12誘導能を示した。化合物(I)は、それを乳酸菌と併用することで相乗的にIL−12を誘導した(図31)。また、化合物(II)、(III)および(V)は乳酸菌と併用することでIL−10を誘導した(図32)。これらのことにより、本発明で見つかったフコイダンオリゴ糖には生体の免疫系を正にも負にも調節(低下した免疫を活性化し、または過剰な免疫反応を抑制する)する機能があることが分かった。キシロオリゴ糖には、このような作用は認められなかった。
【0067】
回収した細胞の表面の成熟化マーカーであるCD86の陽性率をフローサイトメトリー(EPICS XL、ベックマンコールター株式会社製)を用いて解析した。その結果、フコイダンオリゴ糖には単独で樹状細胞を成熟化させる作用があることが確認できた(図33)。
【0068】
さらに、回収した細胞をカウントし、1×105cells/mlに調製後、1mlの細胞懸濁液中にマイトマイシンC(50μg/ml)を処理し、37℃で30分間反応させた。反応終了後、PBSの洗浄によりマイトマイシンCを除去し、常法により調製したC57BL/6マウスの脾細胞(5×106cells/ml)を1ml添加し、4日間混合培養した。培養後細胞を回収し、C57BL/6マウスのアロ抗原を持つP−815細胞(5000cells/100μl)をターゲットにし、E:T比40:1および80:1の割合で4時間反応させ、殺傷されたP−815の数をフローサイトメトリーでカウントすることによりCTL活性を求めた(図34)。化合物(II)、(VI)、(VII)は単独でCTL活性を高める作用があることを確認した。また、化合物(III)、(V)、(VI)、(VII)は乳酸菌と併用することでCTL活性が増強されることも分かった。
【図面の簡単な説明】
【0069】
【図1】沖縄モズクから熱水抽出により得られるフコイダンの糖組成分析を示すHPLCチャートである。
【図2】式(I)で表される分子量340のフコイダンオリゴ糖のMSスペクトルを示す図である。
【図3】式(II)で表される分子量486のフコイダンオリゴ糖のMSスペクトルを示す図である。
【図4】式(I)の化合物に対応する標識化オリゴ糖の1H−NMRスペクトルを示す図である。
【図5】式(I)の化合物に対応する標識化オリゴ糖の13C−NMRスペクトルを示す図である。
【図6】式(II)の化合物に対応する標識化オリゴ糖の1H−NMRスペクトルを示す図である。
【図7】式(II)の化合物に対応する標識化オリゴ糖の13C−NMRスペクトルを示す図である。
【図8】式(III)の化合物に対応する分子量539の標識化オリゴ糖の1H−NMRスペクトルを示す図である。
【図9】式(III)の化合物に対応する分子量539の標識化オリゴ糖の13C−NMRスペクトルを示す図である。
【図10】式(V)の化合物に対応する分子量715の標識化オリゴ糖の1H−NMRスペクトルを示す図である。
【図11】式(V)の化合物に対応する分子量715の標識化オリゴ糖の13C−NMRスペクトルを示す図である。
【図12】式(VI)の化合物に対応する分子量861の標識化オリゴ糖の1H−NMRスペクトルを示す図である。
【図13】式(VI)の化合物に対応する分子量861の標識化オリゴ糖の13C−NMRスペクトルを示す図である。
【図14】式(VII)の化合物に対応する分子量903の標識化オリゴ糖の1H−NMRスペクトルを示す図である。
【図15】式(VII)の化合物に対応する分子量903の標識化オリゴ糖の13C−NMRスペクトルを示す図である。
【図16】式(VIII)の化合物に対応する分子量957の標識化オリゴ糖の1H−NMRスペクトルを示す図である。
【図17】式(VIII)の化合物に対応する分子量957の標識化オリゴ糖の13C−NMRスペクトルを示す図である。
【図18】式(IX)の化合物に対応する分子量999の標識化オリゴ糖の1H−NMRスペクトルを示す図である。
【図19】式(IX)の化合物に対応する分子量999の標識化オリゴ糖の13C−NMRスペクトルを示す図である。
【図20】式(VII)で表される分子量754のフコイダンオリゴ糖の1H−NMRスペクトルを示す図である。
【図21】式(VII)で表される分子量754のフコイダンオリゴ糖のTOF-MSスペクトルを示す図である。
【図22】式(VII)で表される分子量754のフコイダンオリゴ糖を再生した後のMS/MSスペクトルを示す図である。
【図23】式(IV)で表される分子量420のフコイダンオリゴ糖のFAB-MSスペクトルを示す図である。
【図24】式(IV)で表される分子量420のフコイダンオリゴ糖のMS/MSスペクトルを示す図である。
【図25】式(X)で表される分子量858および式(XI)で表される分子量900のフコイダンオリゴ糖のFAB-MSスペクトルを示す図である。
【図26】式(X)で表される分子量858のフコイダンオリゴ糖のMS/MSスペクトルを示す図である。
【図27】式(XI)で表される分子量900のフコイダンオリゴ糖のMS/MSスペクトルを示す図である。
【図28】沖縄モズクを加水分解後、ABEEで蛍光標識化したESI−MSのチャートを示す図である。
【図29】フコイダンオリゴ糖の脾細胞に対するIFN−γ誘導効果を示す図である。
【図30】複数のフコイダンオリゴ糖の脾細胞に対するIFN−γ誘導効果を示す図である。
【図31】フコイダンオリゴ糖の樹状細胞に対するIL−12誘導効果を示す図である。
【図32】フコイダンオリゴ糖の樹状細胞に対するIL−10誘導効果を示す図である。
【図33】フコイダンオリゴ糖による樹状細胞の成熟化効果を示す図である。
【図34】フコイダンオリゴ糖のCTL活性誘導効果を示す図である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記構造式(I)、(II)、(III)、(IV)、(V)、(VI)、(VII)、(VIII)、(IX)、(X)、または(XI)で示される化合物。
【化1】
【化2】
【化3】
【化4】
【化5】
【化6】
【化7】
【化8】
【化9】
【化10】
【化11】
【請求項2】
請求項1記載の式(I)〜(XI)で表される化合物から選択される少なくとも一種を含む免疫機能調節剤。
【請求項3】
請求項1記載の式(I)〜(XI)で表される化合物から選択される少なくとも一種を添加した飲食品。
【請求項4】
請求項1記載の式(I)〜(XI)で表される化合物から選択される少なくとも一種を含有し、免疫機能調節作用を有する旨の表示を付した飲食品。
【請求項5】
請求項1記載の式(I)〜(XI)で表される化合物から選択される少なくとも一種を含む医薬組成物。
【請求項6】
請求項1記載の式(I)〜(XI)で表される化合物から選択される少なくとも一種を含む化粧品。
【請求項1】
下記構造式(I)、(II)、(III)、(IV)、(V)、(VI)、(VII)、(VIII)、(IX)、(X)、または(XI)で示される化合物。
【化1】
【化2】
【化3】
【化4】
【化5】
【化6】
【化7】
【化8】
【化9】
【化10】
【化11】
【請求項2】
請求項1記載の式(I)〜(XI)で表される化合物から選択される少なくとも一種を含む免疫機能調節剤。
【請求項3】
請求項1記載の式(I)〜(XI)で表される化合物から選択される少なくとも一種を添加した飲食品。
【請求項4】
請求項1記載の式(I)〜(XI)で表される化合物から選択される少なくとも一種を含有し、免疫機能調節作用を有する旨の表示を付した飲食品。
【請求項5】
請求項1記載の式(I)〜(XI)で表される化合物から選択される少なくとも一種を含む医薬組成物。
【請求項6】
請求項1記載の式(I)〜(XI)で表される化合物から選択される少なくとも一種を含む化粧品。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図33】
【図34】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
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【図11】
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【図21】
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【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図33】
【図34】
【公開番号】特開2007−39341(P2007−39341A)
【公開日】平成19年2月15日(2007.2.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−222197(P2005−222197)
【出願日】平成17年7月29日(2005.7.29)
【出願人】(000001904)サントリー株式会社 (319)
【出願人】(592234908)株式会社トロピカルテクノセンター (14)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年2月15日(2007.2.15)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年7月29日(2005.7.29)
【出願人】(000001904)サントリー株式会社 (319)
【出願人】(592234908)株式会社トロピカルテクノセンター (14)
【Fターム(参考)】
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