説明

フットレスト付き折畳みチェア

【課題】 フットレストの機能、および、テーブルの機能の両方を有する折畳みチェアを提供する。
【解決手段】 2つの足(11a)、(12a)のそれぞれに一端がユニバーサルジョイント(21)、(22)で取り付けられ、中央近傍で相互に回動可能な2つのビーム(31)、(32)と、それぞれのビーム(31)、(32)の他端近傍にわたされるシート状のフットレスト体(40)と、それぞれのビーム(31)、(32)に一端が取り付けられ、他端に係合具(51b)、(52b)を備える2つのベルト(51)、(52)と、係合具(51b)、(52b)に係合可能で、フットレスト体(40)を第1の高さに支持するように、チェア本体(1)に備える2つの第1被係合具(11b)、(12b)と、係合具(51b)、(52b)に係合可能で、フットレスト体(40)を第2の高さに支持するように、チェア本体(1)に備える2つの第2被係合具(51c)、(52c)とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フットレストを備えた折畳みチェアに関する。
【背景技術】
【0002】
最近では、生活の多様化に伴い、屋外でのキャンプなど、アウトドアを楽しむ機会が増えている。そのため、主として屋外で使用する椅子として、例えば、特開平10−262772号公報に記載されているように、屋外で使用することができ、かつ、軽量で、コンパクトに収納可能な携帯用の折畳み式リクライニングチェアが考案されている。
【0003】
一方、屋内などでは、フットストール(footstool)や、オットマン(ottoman)などとも呼ばれるフットレストを、ソファやリクライニングチェアのすぐ前に置き、その上に使用者の脚を載せることにより、膝をやや曲げた状態まで伸ばし、足を高くして座ることで、使用者は快適に心地よく椅子に座ることが可能となっている。
【0004】
このような快適さは、主に屋外で使用される携帯用の折畳みチェアにも求められている。
【0005】
そのため、例えば、フォーステップチェア(コールマンジャパン社製、型番170−5602)のように、携帯用のリクライニングチェアに、フットレストの機能を持つ構造を一体に備えた折畳みチェアが工夫されるようになってきた。
【0006】
さらに、通信環境の整備などにより、携帯に便利で、快適に腰掛けられるリクライニングチェアを使用しつつ、屋外を含むあらゆる場所でノートパソコンやポータブルプレイヤーなどの機器をも楽しもうとするように、生活習慣が変化しつつある。
【0007】
しかし、ノートパソコンのような機器を両手で操作したり、機器の表示画面に映し出される映像などを鑑賞するためには、折畳みチェアの近傍に別体のテーブルを置く必要がある。このようなテーブルは使用者の左右のいずれかに設置されるため、両手で操作しやすいように作られたキーボードを片手で操作したり、無理な姿勢で操作することが強いられている。また、表示画面を顔の正面で見るために、首を曲げて、さらに上半身に無理な力をかけるので、疲れやすく、筋肉痛などの原因になるという問題があった。
【0008】
このようなテーブルとしては、医療用テーブルのように、使用者がベッドの上で上半身を起こして、食事をしたり、ノートパソコンを操作するために、床から立ち上がるビームの上に組み立てられるテーブルがある。このようなテーブルと椅子とを一体とすることは可能ではあるが、折畳みチェアの場合には、その構造上、テーブルと一体となる構造を採用することはできず、テーブルおよび支持構造を別体として設ける必要があった。
【0009】
以上のように、折畳みチェアにおいても、快適さをもたらすフットレストの機能と、ノートパソコン等の機器を使用できるテーブルの機能が切望されている。
【0010】
【特許文献1】特開平10−262772号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は、フットレストの機能、および、テーブルの機能の両方を有する折畳みチェアを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の折畳みチェアは、チェア本体と、該チェア本体に一端が接続するビームと、該ビームの他端に取り付けられたフットレスト体と、該フットレスト体および前記ビームをチェア本体に高さ自在に支持するための吊り上げ部材とからなり、該吊り上げ部材を前記チェア本体に対して、少なくとも第1の高さと第2の高さにおいて接続することが可能となっており、前記吊り上げ部材を第1の高さで接続させると、前記フットレスト体がフットレストとなり、前記吊り上げ部材を第2の高さで接続させると、前記フットレスト体がテーブルとなる。
【0013】
あるいは、少なくとも2つの足部を備えるチェア本体と、前記2つの足部に一端が回動自在に取り付けられ、中央近傍で相互に回動可能な2つのビームと、各ビームの他端に取り付けられ、該他端間にわたされるシート状のフットレスト体と、それぞれのビームに一端が取り付けられ、他端に係合具を備えるフレキシブルかつ長さ調整可能な2つの吊り上げ部材と、前記係合具に係合可能で、前記フットレスト体とビームを第1の高さに支持するようにチェア本体に備えられた2つの第1被係合具と、前記係合具に係合可能で、前記フットレスト体を第2の高さに支持するようにチェア本体に備えられた2つの第2被係合具とを有する。
【0014】
さらに、前記フットレスト体が第2の高さにある場合に、該フットレスト体の上面に載せられた物品の滑落を防止する手段を備えていることが望ましい。
【0015】
さらに、前記第1の高さにおいて、使用者の脚を前記フットレスト体で支持するように、各構成要素が寸法付けられ、かつ、前記第2の高さにおいて、前記フットレスト体をテーブル面として使用可能なように、各構成要素が寸法付けられていることが望ましい。
【0016】
本発明の折畳みチェア用フットレストは、折畳みチェアに備えられた少なくとも2つの足部のそれぞれに着脱可能であって、一端近傍にユニバーサルジョイントが設けられ、中央近傍で相互に回動可能な2つのビームと、それぞれのビームの他端に取り付けられ、該他端間にわたされているシート状のフットレスト体と、それぞれのビームに一端が取り付けられ、他端に係合具を備えるフレキシブルかつ長さ調整可能な2つの吊り上げ部材とからなり、前記係合部が、前記折畳みチェアに着脱可能に、かつ、第1の高さと第2の高さにおいて、前記フットレスト体を支持するように固定された第1被係合具と第2の被係合具に係合可能となっている。
【0017】
さらに、前記フットレスト体が、第2の高さにある時に、該フットレスト体の上面に載せられた物品の滑落を防止する手段を備えていることが望ましい。
【発明の効果】
【0018】
本発明の折畳みチェアにより、フットレストを含めて全てが一体に束ねられるように収納できる。また、使用者の脚を載せるのに適した高さにフットレストを支持することができ、疲労を感じることなく、長時間の使用が可能となる。あるいは、フットレストを高く支持することにより、操作するのに適した位置にノートパソコンなどを支持することができる。
【0019】
また、本発明の折畳みチェア用フットレストにより、既存の折畳みチェアにも同様の機能を付加させることが可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
本発明の折畳みチェアを、図面を参照して説明する。図1は、本発明の一実施例の折畳みチェアを示す平面図であり、フットレスト体をフットレストとして使用している。図2は、図1に示した折畳みチェアを示す側面図である。図3は、本発明の一実施例の折畳みチェアを示す平面図であり、フットレスト体をテーブルとして使用している。図4は、図3に示した折畳みチェアを示す側面図である。チェア本体の図示を省略したが、本発明に係るフットレストを取り付け可能な構造の折畳みチェアであればよく、例えば、前述の特開平10−262772号公報に示された折畳みチェアや、フォーステップチェア(コールマンジャパン社製、型番170−5602)のように、回動可能な脚と、大腿部から背中までを支持するように張られた布とからなる折畳みチェアであることが好ましい。
【0021】
本発明の折畳みチェアは、着地する例えば4つの足部を備えるチェア本体(1)と、フットレストとからなる。
【0022】
前方右の脚の着地端である足部(11a)には、ユニバーサルジョイント(21)でビーム(31)の一端が取り付けられる。同様に、前方左の脚の着地端である足部(12a)には、ユニバーサルジョイント(22)でビーム(32)の一端が取り付けられる。ビーム(31)とビーム(32)とは、中央近傍で相互に回動可能である。回動可能とする手段としては、回転軸(41)を両者に貫通させて脱落しないようにその両端に頭部を備えるようにする。
【0023】
ビーム(31)、(32)は、例えば、防錆処理をされた軽合金製の管などでよい。ユニバーサルジョイント(21)、(22)としては、例えば合成樹脂製の球を合成樹脂製の構造体で支持するような市販品でよく、同様の機能を備えた公知の接合手段でもよい。
【0024】
ビーム(31)の他端近傍と、ビーム(32)の他端近傍とには、シート状のフットレスト体(40)がわたされる。フットレスト体(40)は、ビーム(31)、(32)の先端を差し込むことが可能で、該先端を係止可能な袋部分を両端に備えた耐久性の布でよい。さらに、ビーム(31)、(32)は、フットレスト体(40)に差し込まれる部分で、やや下方に屈曲させる。フットレスト体(40)の屈曲部分の角度は、着席する人の膝に無理な力がかからずに、やや曲げられた程度に伸ばすことができるように、選定すればよい。
【0025】
ビーム(31)には、係合具(51b)を備えるフレキシブルかつ長さ調整可能な2つの吊り上げ手段を、係合具(51b)とは反対側の固定端(51a)で取り付ける。同様に、ビーム(32)には、係合具(52b)を備えるフレキシブルかつ長さ調整可能な2つの吊り上げ手段を、係合具(52b)とは反対側の固定端(52a)で取り付ける。このようなフレキシブルかつ長さ調整可能な2つの吊り上げ手段としては、例えば、フットレスト体(40)と同様の布製や、合成皮革などでよいが、耐久性を向上させるために、生地を多重にするとよい。また、鞄の下げ紐に使用されるような合成樹脂製の長さ調整機構を備える。
【0026】
さらに、チェア本体(1)には、第1被係合具(11b)、(12b)および第2被係合具(11c)、(12c)が取り付けられ、前記フットレスト体(40)を第1の高さ(H1)に支持されるように、第1被係合具(11b)、(12b)が位置付けられ、前記フットレスト体(40)を第2の高さ(H2)に支持されるように、第2被係合具(11c)、(12c)が位置付けられる。第1の高さ(H1)とは、フットレスト体(40)で、使用者の脚を支持するように、各構成要素が寸法付けられて得られる高さである。また、第2の高さ(H2)とは、フットレスト体(40)をテーブルとして使用可能とするように、各構成要素が寸法付けられて得られる高さである。
【0027】
それぞれを取り付ける位置は任意とすることができるが、第1被係合具(11b)、(12b)は、座面の前方下面に縫合し、第2被係合具(11c)、(12c)は、アームレストの下面に縫合すると、第1の高さ(H1)および第2の高さ(H2)が得られてよい。
【0028】
係合具(51b)、(52b)、第1被係合具(11b)、(12b)および第2被係合具(11c)、(12c)は、例えば合成樹脂製でよい。
【0029】
さらに、フットレスト体(40)に、第2の高さ(H2)で載せられたノートパソコン(60)などの物品が滑落するのを防止可能な滑落防止手段(40a)を備える。滑落防止手段(40a)としては、幅のある帯状の布でよく、両脇および中央の手前側をフットレスト体(40)の端部に縫合する。従って、フットレスト体(40)をフットレストとして使用する際には、滑落防止手段(40a)が載せる脚の邪魔にならず、フットレスト体(40)をテーブルとして使用する際には、ノートパソコン(60)の厚さが異なっても、ノートパソコン(60)の前方を包むように支持することができ、また、ノートパソコン(60)のキーの邪魔にならない。
【0030】
本発明の折畳みチェアは、使用しない時には、フットレストが取り付けられた2つの足部が近接するように折り畳まれると同様に、2つのビームが回動軸を中心に回動し、同一方向に揃うように束ねられて、フットレストを含めて全てが一体に束ねられるように折り畳まれる。なお、折畳み構造は、折畳みチェアの構造に従って、公知の方法を採用している。
【0031】
さらに、図示しないが、同様の構造のフットレストを、既存の折畳みチェアに取り付けることができるような折畳みチェア用フットレストが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】本発明の一実施例の折畳みチェアを示す平面図であり、フットレスト体をフットレストとして使用している。
【図2】図1に示した折畳みチェアを示す側面図である。
【図3】本発明の一実施例の折畳みチェアを示す平面図であり、フットレスト体をテーブルとして使用している。
【図4】図3に示した折畳みチェアを示す側面図である。
【符号の説明】
【0033】
1 チェア本体
11a、12a 足部
11b、11c、12b、12c 被係合具
21、22 ユニバーサルジョイント
31、32 ビーム
40 フットレスト体
40a 滑落防止手段
41 回転軸
51、52 ベルト
51a、52a 固定端
51b、52b 係合具
60 ノートパソコン
H1 第1の高さ
H2 第2の高さ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
チェア本体と、該チェア本体に一端が接続するビームと、該ビームの他端に取り付けられたフットレスト体と、該フットレスト体および前記ビームをチェア本体に高さ自在に支持するための吊り上げ部材とからなり、該吊り上げ部材を前記チェア本体に対して、少なくとも第1の高さと第2の高さにおいて接続することが可能となっており、前記吊り上げ部材を第1の高さで接続させると、前記フットレスト体がフットレストとなり、前記吊り上げ部材を第2の高さで接続させると、前記フットレスト体がテーブルとなることを特徴とする折畳みチェア。
【請求項2】
少なくとも2つの足部を備えるチェア本体と、前記2つの足部に一端が回動自在に取り付けられ、中央近傍で相互に回動可能な2つのビームと、各ビームの他端に取り付けられ、該他端間にわたされるシート状のフットレスト体と、それぞれのビームに一端が取り付けられ、他端に係合具を備えるフレキシブルかつ長さ調整可能な2つの吊り上げ部材と、前記係合具に係合可能で、前記フットレスト体とビームを第1の高さに支持するようにチェア本体に備えられた2つの第1被係合具と、前記係合具に係合可能で、前記フットレスト体を第2の高さに支持するようにチェア本体に備えられた2つの第2被係合具とを有することを特徴とする折畳みチェア。
【請求項3】
前記フットレスト体が第2の高さにある場合に、該フットレスト体の上面に載せられた物品の滑落を防止する手段を備えていることを特徴とする請求項2に記載の折畳みチェア。
【請求項4】
前記第1の高さにおいて、使用者の脚を前記フットレスト体で支持するように、各構成要素が寸法付けられ、かつ、前記第2の高さにおいて、前記フットレスト体をテーブル面として使用可能なように、各構成要素が寸法付けられていることを特徴とする請求項2または3に記載の折畳みチェア。
【請求項5】
折畳みチェアに備えられた少なくとも2つの足部のそれぞれに着脱可能であって、一端近傍にユニバーサルジョイントが設けられ、中央近傍で相互に回動可能な2つのビームと、それぞれのビームの他端に取り付けられ、該他端間にわたされているシート状のフットレスト体と、それぞれのビームに一端が取り付けられ、他端に係合具を備えるフレキシブルかつ長さ調整可能な2つの吊り上げ部材とからなり、前記係合部が、前記折畳みチェアに着脱可能に、かつ、第1の高さと第2の高さにおいて、前記フットレスト体を支持するように固定された第1被係合具と第2の被係合具に係合可能となっている折畳みチェア用フットレスト。
【請求項6】
前記フットレスト体が、第2の高さにある時に、該フットレスト体の上面に載せられた物品の滑落を防止する手段を備えていることを特徴とする請求項4に記載の折畳みチェア用フットレスト。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2006−271497(P2006−271497A)
【公開日】平成18年10月12日(2006.10.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−91669(P2005−91669)
【出願日】平成17年3月28日(2005.3.28)
【出願人】(593107454)ザ・コールマン・カンパニー・インコーポレイテッド (44)
【氏名又は名称原語表記】THE COLEMAN COMPANY, INC.
【Fターム(参考)】