説明

フッ化マグネシウム膜の製造方法、反射防止膜および光学素子

【課題】 低温の加熱処理でフッ化マグネシウム膜を得ることができるフッ化マグネシウム膜の製造方法を提供する。
【解決手段】 下記一般式(1)で表されるフッ素含有有機マグネシウム化合物を含有する溶液を基材上に塗布して塗布膜を形成する工程と、前記塗布膜に波長246nm以下の光線を照射しながら加熱処理する工程を有するフッ化マグネシウム膜の製造方法。前記加熱処理温度が250℃以下で、かつ波長が185nm以下の光線を照射することが好ましい。
【化1】


(式中、Xは単結合、または置換基を有していてもよい−(CF−、−(CH−、−CHCF−を表す。n、mは1から4の整数を表す。)

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フッ化マグネシウム膜の製造方法、反射防止効果に優れた低屈折率の反射防止膜およびその反射防止膜を備えた光学素子に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、レンズ等の反射防止効果が必要な光学素子の反射防止膜は、TiO、ZrO等の高屈折率物質と、フッ化マグネシウム(MgF)等の低屈折率物質を交互に真空蒸着法により多層膜化したものが知られている。特に空気側の層は、屈折率が低い物質ほどよく、n=1.38のMgFが用いられてきた。nは波長587nmの光に対する屈折率である。
【0003】
一方、真空蒸着に依らないMgF薄膜の形成方法として、湿式法で製造する方法が特許文献1に記載されている。
【0004】
特許文献1には、フッ化マグネシウムを加熱処理による不均化反応(thermal disproportional reaction)で製造する方法が開示されている。具体的には、フッ素含有有機マグネシウム化合物あるいはその前駆体を、基板上に塗布後、加熱により不均化することでフッ化マグネシウムを製造する方法である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開昭59−213643号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、特許文献1の方法では、フッ素含有有機マグネシウム化合物を熱分解あるいは不均化することにより、フッ化マグネシウム膜を形成するためには300℃以上の加熱が必要である。
【0007】
フッ素含有有機マグネシウム化合物としてフッ化カルボン酸マグネシウムを用いた場合、用いるフッ化カルボン酸の分子量が増加するに従い、さらに高温に加熱しないとMgF薄膜を得ることができない。
【0008】
基材上にMgF薄膜を形成した光学素子を作製する場合、MgF薄膜の形成のために基材に高温を加えることは、寸法精度の低下を招く恐れがあり、基材の素材によっては更に大きなダメージを与えることになる。
【0009】
本発明は、この様な背景技術に鑑みてなされたものであり、低温の加熱処理でフッ化マグネシウム膜を得ることができるフッ化マグネシウム膜の製造方法を提供するものである。
【0010】
また、本発明は、そのフッ化マグネシウム膜の製造方法により製造された反射防止効果に優れた低屈折率の反射防止膜およびその反射防止膜を備えた光学素子を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記の課題を解決するフッ化マグネシウム膜の製造方法は、下記一般式(1)で表されるフッ素含有有機マグネシウム化合物を含有する溶液を基材上に塗布して塗布膜を形成する工程と、前記塗布膜に波長246nm以下の光線を照射しながら加熱処理する工程を有することを特徴とする。
【0012】
【化1】

【0013】
(式中、Xは単結合、または置換基を有していてもよい−(CF−、−(CH−、−CHCF−を表す。n、mは1から4の整数を表す。)
上記の課題を解決する反射防止膜は、上記のフッ化マグネシウム膜の製造方法によって製造された、波長587nmにおける屈折率が1.35以下であることを特徴とする。
上記の課題を解決する光学素子は、上記の反射防止膜を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、低温の加熱処理でフッ化マグネシウム膜を得ることができるフッ化マグネシウム膜の製造方法を提供することができる。
【0015】
また、本発明は、そのフッ化マグネシウム膜の製造方法により製造された反射防止効果に優れた低屈折率の反射防止膜およびその反射防止膜を備えた光学素子を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明における加熱処理工程の一実施態様を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
【0018】
本発明に係るフッ化マグネシウム膜の製造方法は、下記一般式(1)で表されるフッ素含有有機マグネシウム化合物を含有する溶液を基材上に塗布して塗布膜を形成する工程と、前記塗布膜に波長246nm以下の光線を照射しながら加熱処理する工程を有することを特徴とする。
【0019】
【化2】

【0020】
式中、Xは単結合、または置換基を有していてもよい−(CF−、−(CH−、−CHCF−を表す。n、mは1から4の整数を表す。Xの例を示すと、例えば単結合、−CF−、−(CF−、−(CF−、−(CF−、−CH−、−CHCF−等が挙げられる。
【0021】
本発明に用いられるフッ素含有有機マグネシウム化合物は、マグネシウム源としてのマグネシウムまたはマグネシウム化合物と、フッ化カルボン酸を反応させることで得られる。
【0022】
マグネシウム化合物としては、例えば酢酸マグネシウム、マグネシウムアルコキシド等が挙げられる。
【0023】
フッ化カルボン酸は末端にCF基を有しているものが好ましく、下記の一般式(2)で表される化合物が好ましい。
【0024】
【化3】

【0025】
(式中、Xは単結合、または置換基を有していてもよい−(CF−、−(CH−、−CHCF−を表す。n、mは1から4の整数を表す。)
一般式(2)で表されるフッ化カルボン酸の具体例として、トリフルオロ酢酸(CFCOOH)、ペンタフルオロプロピオン酸(CFCFCOOH)、ヘプタフルオロ酪酸(CF(CFCOOH)、ノナフルオロ吉草酸(CF(CFCOOH)、ウンデカフルオロヘキサン酸(CF(CFCOOH)等のパーフルオロカルボン酸、および置換基を有するフルオロカルボン酸を用いることができる。
【0026】
フッ化カルボン酸としてトリフルオロ酢酸を用いて、マグネシウムまたはマグネシウム化合物とフッ化カルボン酸を反応させた場合の具体例は、以下の通りである。
(CHCOO)Mg+2CFCOOH→(CFCOO)Mg+2CHCOOH(1)
Mg(COH)+2CFCOOH→(CFCOO)Mg+COH(2)
Mg+2CFCOOH→(CFCOO)Mg+H(3)
このうち(1)、(2)は溶液中での平衡反応であり、フッ化カルボン酸マグネシウムを単離する工程が必要となる。フッ化カルボン酸マグネシウムを作成するためには(3)の金属マグネシウムとフッ化カルボン酸による反応が好適である。
【0027】
フッ素含有有機マグネシウム化合物を有機溶媒に溶解した後、基材または光学素子上に塗布することで塗布膜が形成される。塗布膜を形成する方法として、例えばディッピング法、スピンコート法、スプレー法、印刷法、フローコート法、ならびにこれらの併用等、既知の塗布手段を適宜採用することができる。膜厚は、ディッピング法における引き上げ速度やスピンコート法における基板回転速度などを変化させることと、塗布溶液の濃度を変えることにより制御することが可能である。
【0028】
塗布膜の膜厚は、加熱による不均化反応により、1/2から1/10程度まで減少する。減少の度合いは、不均化反応の際の遮蔽の度合いにより変化する。
【0029】
いずれの場合も加熱による不均化反応後の膜厚dが、設計波長λにおける光学膜厚λ/4の整数倍となるように、塗布膜の膜厚は調整される。
【0030】
有機溶媒としては、例えばメタノール、エタノール、2−プロパノール、ブタノール、エチレングリコールもしくはエチレングリコール−モノ−n−プロピルエーテルなどのアルコール類;n−ヘキサン、n−オクタン、シクロヘキサン、シクロペンタン、シクロオクタンのような各種の脂肪族系ないしは脂環族系の炭化水素類;トルエン、キシレン、エチルベンゼンなどの各種の芳香族炭化水素類;ギ酸エチル、酢酸エチル、酢酸n−ブチル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテートなどの各種のエステル類;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノンなどの各種のケトン類;ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジイソプロピルエーテルのような各種エーテル類;クロロホルム、メチレンクロライド、四塩化炭素、テトラクロロエタンのような、各種の塩素化炭化水素類;N−メチルピロリドン、ジメチルフォルムアミド、ジメチルアセトアミド、エチレンカーボネートのような、非プロトン性極性溶剤等が挙げられる。本発明で使用される塗布溶液を調製するに当たり、溶液の安定性の点から上述した各種の溶剤類のうちアルコール類を使用することが好ましい。
【0031】
これら溶媒は塗布方法に応じて適時選択される。蒸発速度が速すぎる場合、塗布ムラが発生しやすい。その場合、蒸気圧の低い溶媒を用いることで改善される。
【0032】
フッ素含有有機マグネシウム化合物を含有する溶液を基材上に塗布して塗布膜を形成した後、前記塗布膜に光線を照射しながら加熱処理することによりフッ化マグネシウム膜が形成される。図1は、本発明における加熱処理工程における一実施態様を示す概略図である。11は基材(支持体)、12は塗布膜、13は加熱手段、14は光線を示す。
【0033】
本発明者等は、フッ素含有有機マグネシウム化合物の塗布膜を熱分解することによりMgF膜に転化する際、前記塗布膜に光線を照射しながら加熱処理すると、通常の熱分解温度よりも低温でMgF膜に転化することを見出した。
【0034】
フッ素含有有機マグネシウム化合物を熱分解する際、加熱によるフッ素原子の離脱が起こり、離脱したフッ素原子がマグネシウム−カルボン酸間の結合と置換されることでフッ化マグネシウムが形成されると考えられる。すなわちフッ素原子の離脱を光線の照射により容易に起こすことが可能となれば、より低温でも不均化反応が進行し、MgF膜が形成されると考えられる。
【0035】
C−F間の結合エネルギーは116kcal/molであることが知られている(R.D.Chambers,Fluorine in Organic Chemistry,p.5 John Wiley & Sons(1973))。この結合エネルギーは、波長246nmの光子エネルギーに相当し、これより波長の短い光を用いることでフッ素原子を脱離させることができる。
【0036】
本発明で照射に用いる光線の光源としては、波長が246nm以下、好ましくは10nm以上185nm以下の波長の光線を照射する光源が好ましく、より好ましくは、150nm以上185nm以下の波長が望ましい。150nmよりも短い場合、光源において発生した紫外線が、塗布膜に到達する前に減衰してしまい、特に凹凸形状を有する光学部品において、均一露光が難しくなる。メタルハライドランプ、エキシマランプ、深UVランプ、低圧水銀灯が使用できる。特に、低圧水銀灯では短波長側185nmのUV光を得ることができ、フッ素原子を脱離することにより金属フッ化物を得ることが出来る。
【0037】
高圧水銀灯では短波長側254nmまでしか得られず、前記理由によりC−F結合を切断することが出来ない。本発明においては、短波長のUV光の照射と加熱処理を併用することで、通常の熱分解温度よりも低温でフッ素含有有機マグネシウム化合物を分解することができ、MgF膜が得られる。
【0038】
ここで通常の熱分解温度とは、フッ素含有有機マグネシウム化合物を熱のみで熱分解することの出来る温度を指しており、示差熱天秤(TG−DTA)で観測される熱分解による発熱ピーク、重量減少の変曲点を表す。
【0039】
光照射をすることで、光照射によるフッ素含有有機マグネシウム化合物の分解反応を促進させることができる。光照射を併用しない場合、300℃以上の加熱が必要であるが、光照射を併用することで200℃以下の温度でフッ素含有有機マグネシウム化合物が分解し、フッ化マグネシウムを生成する。
【0040】
本発明においては、加熱処理温度が250℃以下で、かつ波長が185nm以下の光を照射する方法、または加熱処理温度が200℃以下で、かつ波長が185nm以下の光を照射する方法が好ましい。
【0041】
加熱手段としては、電熱線を利用したホットプレート、オーブン、温風乾燥機、真空乾燥機、赤外線ランプといった公知の方法を用いることが可能である。
【0042】
加熱処理時間は5分から2時間、より好ましくは10分から1時間である。5分より短いと基材の温度が十分に上昇せず、反応効率が向上しない。この場合、光照射前に基材加熱を施した後、光照射することが有効である。
【0043】
本発明における基材には、各種ガラスが用いられる。ガラスの具体例として、無アルカリガラス、アルミナケイ酸ガラス、ホウケイ酸ガラス、バリウムあるいは希土類を含有する高屈折率低分散ガラス、フッ素系低屈折率ガラス等の光学ガラスを挙げることができる。
【0044】
本発明に係る反射防止膜は、上記のフッ化マグネシウム膜の製造方法によって製造された、d線(波長587nm)における屈折率が1.35以下であることを特徴とする。
【0045】
本発明におけるフッ化マグネシウムからなる反射防止膜には、各種機能を付与するための層を更に設けることができる。例えば、膜硬度を向上させるために、ハードコート層を設けたり、透明基材とハードコート層との密着性を向上させるために接着剤層やプライマー層を設けたりすることができる。上記のように透明基材とハードコート層との中間に設けられるその他の層の屈折率は、透明基材の屈折率とハードコート層の屈折率の中間値とすることが好ましい。
【0046】
このような低屈折率の反射防止膜を、単独あるいは多層膜と組み合わせて光学素子に用いることで優れた反射防止性能の光学素子を実現することが可能となる。また、低屈折率であるため、多層膜構成における最上層に反射防止膜を用いた場合、界面反射の低下および斜入射特性が向上する。
【0047】
本発明における反射防止膜は、各種光学素子に適用することができる。カメラレンズ、双眼鏡や、プロジェクターなどの表示装置あるいは窓ガラスなどにも用いることが出来る。
【0048】
次に、本発明を実施例によって詳細に説明するが、本発明はそれらに限定されるものではない。
【0049】
[実施例1]
直径30mm、厚さ1mmのソーダライムガラス基板をイソプロピルアルコールで超音波洗浄、乾燥した後、コーティング用ガラス基板とした。
【0050】
マグネシウム粉末(キシダ化学(株))1質量部、1−ブタノール18質量部に対し、トリフルオロ酢酸(CFCOOH)25質量部を少しずつ加えてマグネシウムを溶解する。完全に溶解したものをろ過したのち真空乾燥することでトリフルオロ酢酸マグネシウムを得た。
【0051】
前記トリフルオロ酢酸マグネシウム1質量部をイソプロピルアルコール14質量部に溶解し、コーティング用塗料を作成した。
【0052】
前記ガラス基板に前記コーティング用塗料をスピンコートした後、低圧水銀灯(セン特殊光源(株)製、PL16−110)を用いてUV照射(波長185nm)をしながら、ホットプレートで200℃の温度で10分間の加熱処理をした。ガラス基板上には被膜が形成されていた。
【0053】
次いで得られた膜についてエリプソメーターを用い屈折率の測定を行った。各々の屈折率を表1に示す。
【0054】
同時にコーティング用塗料を差動型示差熱天秤(リガク製TG8120)を用いて反応温度を測定した。その結果を表1に示す。
【0055】
〔屈折率の測定〕
分光エリプソメーター(ジェー・エー・ウーラム・ジャパン(株)M−2000D)を用いて、波長190から1000nmの範囲で偏光解析により、屈折率の解析を行なった。表1には、波長587nmにおける屈折率を示す。
【0056】
[実施例2]
トリフルオロ酢酸をペンタフルオロプロピオン酸(CFCFCOOH)に代えた以外は実施例1と同様に作成、評価をおこなった。
【0057】
[実施例3]
トリフルオロ酢酸をヘプタフルオロ酪酸(CF(CFCOOH)に代えた以外は実施例1と同様に作成、評価をおこなった。
【0058】
[実施例4]
トリフルオロ酢酸をノナフルオロ吉草酸(CF(CFCOOH)に代えた以外は実施例1と同 様に作成、評価をおこなった。
[実施例5]
トリフルオロ酢酸をウンデカフルオロヘキサン酸(CF(CFCOOH)に代えた以外は実施例1と同様に作成、評価をおこなった。
【0059】
[実施例6]
トリフルオロ酢酸を3,3,3−トリフルオロプロピオン酸(CFCHCOOH)に代えた以外は実施例1と同様に作成、評価をおこなった。
【0060】
[実施例7から12]
成膜条件として、UV照射しながらホットプレートで250℃、10分加熱に代えた以外は、実施例1から6と同様に作成、評価をおこなった。
【0061】
[実施例13から18]
成膜条件として、UV照射をメタルハライドランプに代えた以外は、実施例7から12と同様に作成、評価をおこなった。
【0062】
[実施例19、20]
UV照射(、ホットプレートでの加熱処理時間を20分および7分に代えた以外は、実施例1と同様に作成、評価をおこなった。
【0063】
〔比較例1から6〕
成膜条件として200℃、10分加熱のみに代えた以外は、実施例1から6と同様に作成、評価をおこなった。この成膜条件下では指触可能な被膜は形成できなかった。
【0064】
〔比較例7〕
成膜条件としてUV照射のみに代えた以外は実施例1と同様に作成、評価をおこなった。この成膜条件下では指触可能な被膜は形成できなかった。
【0065】
〔比較例8〕
実施例1においてUV波長をλ=254nmの高圧水銀灯(ウシオ電機(株)製、EX−250)に代えた以外は実施例1と同様に作成、評価をおこなった。この成膜条件下では指触可能な被膜は形成できなかった。
【0066】
〔比較例9〕
加熱を250℃に代えた以外は比較例8と同様に作成、評価をおこなった。この成膜条件下では指触可能な被膜は形成できなかった。
【0067】
【表1】

【0068】
【表2】

【0069】
(注)成膜NGは、不均化反応が進んでおらず、膜がベタつく状態を表す。
【産業上の利用可能性】
【0070】
本発明のフッ化マグネシウム膜の製造方法によれば、低温の加熱処理で反射防止効果に優れた低屈折率のフッ化マグネシウム膜からなる反射防止膜が得られるので、反射防止性能を有する光学素子に利用することができる。
【符号の説明】
【0071】
11 基材
12 塗布膜
13 加熱手段
14 光線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記一般式(1)で表されるフッ素含有有機マグネシウム化合物を含有する溶液を基材上に塗布して塗布膜を形成する工程、
前記塗布膜に波長246nm以下の光線を照射しながら加熱処理する工程を有することを特徴とするフッ化マグネシウム膜の製造方法。
【化1】


(式中、Xは単結合、または置換基を有していてもよい−(CF−、−(CH−、−CHCF−を表す。n、mは1から4の整数を表す。)
【請求項2】
前記加熱処理温度が250℃以下で、かつ波長が185nm以下の光線を照射することを特徴とする請求項1記載のフッ化マグネシウム膜の製造方法。
【請求項3】
前記加熱処理温度が200℃以下で、かつ波長が185nm以下の光線を照射することを特徴とする請求項1記載のフッ化マグネシウム膜の製造方法。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか1項に記載のフッ化マグネシウム膜の製造方法によって製造された、波長587nmにおける屈折率が1.35以下であることを特徴とする反射防止膜。
【請求項5】
請求項4に記載の反射防止膜を有することを特徴とする光学素子。

【図1】
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【公開番号】特開2011−46595(P2011−46595A)
【公開日】平成23年3月10日(2011.3.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−169604(P2010−169604)
【出願日】平成22年7月28日(2010.7.28)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】