説明

フッ素ガス発生装置を含む半導体製造設備

【課題】電解法でのフッ素ガス製造の際に生じる水素ガスに関し、当該ガスを有効活用できる方法及び装置の提供。
【解決手段】フッ素ガス発生装置2、発生したフッ素系ガスを含む主生ガスを導く導出経路103、導出経路と連結され且つ前記主生ガスが処理される処理室3、及び該処理室3を含む装置から排気されるフッ素系ガスを含む廃ガスを燃焼させる除害装置4を含む半導体製造設備1において、フッ素ガス発生装置2はフッ化水素を含む溶融塩の電解浴中でフッ化水素を電解することにより、陽極側にフッ素ガスを主成分とする主生ガスを発生させると共に、陰極側に水素ガスを主成分とする副生ガスを発生させるものであり、半導体製造設備1は、さらにフッ素ガス発生装置2から発生した副生ガスを除害装置4に導く導出経路104aを含み、除害装置4は送られた副生ガスを燃焼剤として使用する機構を備えるものである副生水素ガスを有効活用する方法及び装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電解によりフッ素ガスを発生させる装置、好ましくは半導体デバイス等の製造等に用いられる装置に近接される電解によりフッ素ガスを発生させる装置に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体の製造において、半導体ウェハ、LCD基板等の被処理基板に成膜、エッチング、拡散等の処理がなされ、当該処理はフッ素ガス等が処理される処理室内にて行われる。該処理室内では、例えば、シリコン膜、酸化シリコン膜等の薄膜のエッチングや、処理室内のクリーニング等が行われ、これら処理には該処理室と近接したフッ素ガス発生装置(オンサイト型フッ素ガス発生装置)から導出されたフッ素ガスを使用することが注目されている。
【0003】
該フッ素ガス発生装置には、電解槽を使用した装置が知られている。電解槽を使用した装置では、フッ化水素を含む溶融塩から電解浴中でフッ化水素を電解することにより、陽極側にフッ素ガスを主成分とする主生ガスが発生させると共に、陰極側に水素ガスを主成分とする副生ガスが発生する。
【0004】
水素ガスを主成分とする副生ガスは、可燃性、爆発性があるので、安全を高めた形で処理される必要がある。例えば、特許文献1は、発生した水素ガスを不活性ガスによって希釈して系外に排出する方法を開示している。また、特許文献2は、酸素を含む気流中で水素を燃焼する方法を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2005−97667号公報
【特許文献2】特開2005−224797号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
フッ素ガス発生装置が副生した水素ガスは、安全に処理される必要があるものの、これを単に処理するだけでは、資源効率、エネルギー効率が良くない。本発明は、従来、安全に処理することを主眼に処理がなされてきた水素ガスを主成分として含む副生ガスを有効活用できる方法、及び副生ガスを有効に活用する半導体製造設備を提供することを課題とする。
【0007】
本発明の半導体製造設備は、フッ素ガス発生装置、該発生装置から発生したフッ素ガスを導く導出経路、該導出経路と連結され且つ前記主生ガスが処理される処理室を含む装置、及び該処理室を含む装置から排気されるフッ素系ガスを含む廃ガスを燃焼させる除害装置を含むものであり、前記フッ素ガス発生装置はフッ化水素を含む溶融塩の電解浴中でフッ化水素を電解することにより、陽極側にフッ素ガスを主成分とする主生ガスを発生させると共に、陰極側に水素ガスを主成分とする副生ガスを発生させるものであり、前記半導体製造設備は、さらにフッ素ガス発生装置から発生した副生ガスを前記除害装置に導く導出経路を含み、前記除害装置は除害装置に送られた副生ガスを燃焼剤として使用する機構を備えることを特徴とする。
【0008】
半導体の製造を行う処理室を含む装置、例えばスパッタ、真空蒸着等の物理的気相成膜装置、熱CVD(化学的気相蒸着)装置、プラズマCVD法装置等の装置の処理室内に導入されたフッ素ガスは、薄膜のエッチングや、処理室内のクリーニング等を行った後に、フッ素ガスを含んだ廃ガスへ転じる。該廃ガスは無害化して系外に排出される必要があるので、前記処理室から廃ガスは、除害設備へと送られる。
【0009】
本発明では、廃ガスの燃焼により除害を行うものとし、前記廃ガスの燃焼を効率化させるために、従来、単に排気処理がなされているにしかすぎなかった水素ガスを主成分とする副生ガスを除害設備へと導出し、燃焼剤とした。
【0010】
従来、スパッタやCVDなどの半導体処理装置から排出される廃ガスを処理する除害設備には、主な燃焼剤として、メタンを主成分とする液化天然ガス(LNGガスと呼ぶ)や、プロパン、ブタンなどを主成分とするや液化石油ガス(LPGガスと呼ぶ)などの炭化水素系のガスが用いられていた。
【0011】
燃焼剤として、上記LNGガスやLPGガスの他には水素が挙げられる。水素はメタンガスなどの天然ガスと比較して、燃焼速度が10倍以上大きく、火炎の着火特性などに優れているため、燃焼剤として優れている。
【0012】
しかしながら、水素は天然ガスに比べて、燃焼範囲が広く、燃焼速度も大きく、爆発の危険性が懸念される。そのため、水素を燃焼剤として使用する場合には、メタンなどの天然ガスに比べて、水素ガスを供給するボンベ等の取り扱いなどメンテナンスの作業負荷が増えるなどの理由により、除害設備に供給する燃焼剤として水素を利用している例は極めて少ない。
【0013】
本発明は、水素ガスを主成分とする副生ガスを系外へ排出することなく、燃焼剤として有効活用し、資源の効率化、エネルギーの効率化を達成し、さらに、除害設備にメンテナンス作業負担の大きい水素ガス用ボンベ等を設けることなく除害設備の燃焼効率を向上させることができる利点を有する。
【0014】
またさらに本発明は、フッ素ガス発生装置の副生ガスの除害方法であり、フッ化水素を含む溶融塩の電解浴中でフッ化水素を電解することにより、陽極側にフッ素ガスを主成分とする主生ガスを発生させると共に、陰極側に水素ガスを主成分とする副生ガスを発生させるフッ素ガス発生装置の前記副生ガスの除害方法に関し、該方法は前記主生ガスを、前記処理室を含む装置に導入する工程、前記処理室を含む装置から排気されたフッ素系ガスを含む廃ガスに前記副生ガスを加える工程、及び、前記廃ガスと前記副生ガスとを共に燃焼する工程を有することを特徴とする。
【0015】
またさらに本発明は、フッ素ガス発生装置を含む半導体製造設備であって、フッ化水素を含む溶融塩からなる電解浴中でフッ化水素を電解することによって陽極側にフッ素を主成分とする主生ガスを発生させると共に、陰極側に水素ガスを主成分とする副生ガスを発生させるフッ素ガス発生装置と、前記発生装置から発生したフッ素ガスを含む主生ガスを導く第1導出経路と、前記第1導出経路と連結され、かつ、前記主生ガスが処理される処理室を含む装置と、前記発生装置から発生した水素ガスを含む副生ガスを導く第2導出経路と、前記第2導出経路と連結され、かつ、前記副生ガス中のフッ化水素濃度を低減させる精製装置と、前記精製装置に設けられ、精製された水素ガスを導く第3導出経路と、前記第3導出経路と連結され、かつ、前記精製された水素ガスを燃料として発電する燃料電池設備と、を備え、前記燃料電池設備において発電された電力を、フッ素ガス発生装置もしくはフッ素ガス発生装置に併設して利用される半導体処理装置の電力源として利用することを特徴とする半導体製造設備である。
【0016】
また前記精製装置は、湿式スクラバーと、水素の沸点以上かつ水の融点以下の温度範囲に設定された脱水塔と、を備えることが好ましく、さらに、前記湿式スクラバーは、アルカリ溶液を用いた湿式スクラバーを少なくとも一つ有することが好ましい。
【発明の効果】
【0017】
本発明のフッ素ガス発生装置を含む半導体製造設備は、フッ素ガス等が処理される処理室内から排出されたフッ素ガスを除害化する設備に、フッ素ガスと接触させると危険とされていた水素ガスを導入するものであり、フッ素ガス発生装置から発生する副生ガスの系外への排出を行うことなく、燃焼剤として有効活用するので、資源の効率化、エネルギーの効率化を達成することに奏功する。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】半導体製造設備1のシステムの概略中要部を示す図である。
【図2】除害設備4、スクラバー5の例の要部を説明したものを示す図である。
【図3】水素ガスを燃料電池の燃料として利用する半導体製造設備の概略中要部を示す図である。
【図4】水素ガスを精製するための精製装置の概略図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
本発明の半導体製造設備の好適な例を、図面を用いて説明する。図1は、本発明の半導体製造設備1のシステムの概略中要部を示したものである。フッ素ガス発生装置2にフッ化水素を含む溶融塩の電解浴23が形成される。電解浴23には図示してない陽極、陰極が挿入され、これらを通じて電解することにより、陽極側21にはフッ素ガスを主成分とする主生ガス、陰極側22には水素ガスを主成分とする副生ガスが生じる。主生ガスと副生ガスは仕切り壁24によって分離されている。
【0020】
電解浴23を形成する溶融塩の例として、酸性フッ化カリウム等が挙げられる。主生成ガスは、主生成ガスを導く導出経路103を通じて主生成ガスが処理される処理室3に導かれる。処理室3は、半導体の製造において、半導体ウェハ、LCD基板等の被処理基板を成膜したり、エッチング、拡散等の処理を行ったりするものである。これら処理の際に処理室3へ前記主生ガスが導入されたりすることにより、例えば、シリコン膜、酸化シリコン膜等の薄膜のエッチングが行われる。また、処理室3のクリーニングを行うために、前記主生ガスが導入されることもある。
【0021】
副生ガスは、副生ガスを除害設備4に導く導出経路104aを通じて、除害設備4に導かれる。除害設備4には、処理室3から排気されるフッ素系ガスを含む廃ガスを除害設備4に導く導出経路104bを通じて、処理室3から排気されるフッ素系ガスを含む廃ガスが導かれる。
【0022】
導出経路103の経路過程中には、必要に応じてポンプ、圧力並びに流量調整弁、圧力計、精製装置等が配置されてもよい。また、導出経路104aの経路過程中には、必要に応じてポンプ、圧力並びに流量調整弁、圧力計等が配置され、導出経路104bの経路過程中には、必要に応じてポンプ、圧力並びに流量調整弁等が配置されてもよい。
【0023】
主生成ガス、副生成ガスの各々には、電解浴に含まれるフッ化水素の蒸気圧に応じてフッ化水素ガスが含まれることがあるので、導出経路103、104aの経路過程中にフッ化水素を捕獲するための設備、例えば、NaF吸収管等を配置してもよい。
【0024】
除害設備4では、フッ素系ガスを含む廃ガスが燃焼により除害化される。図2に除害設備4の例の要部を説明したものを示す。また、図2はスクラバー5の例の要部を説明したものも合わせて示している。尚、ここで処理されうるフッ素系ガスを含む廃ガスの例としては、F等のハロゲン、SiF等のフッ化ケイ素、BF等のフッ化ホウ素、TiF等のフッ化チタン、WF等のフッ化タングステン、GeF等フッ化ゲルマニウム、CF等のフッ化炭素、AsF等のフッ化ヒ素、PF等のフッ化リン、SF等のフッ化イオウ、NbF等のフッ化ニオブ、SeF等のフッ化セレン、MoF等のフッ化モリブデン等を含んだものが挙げられる。
【0025】
フッ素系ガスを含む廃ガスは、導出経路104b(図2中では、フッ素系ガスを含む廃ガスの導入経路408a乃至408dとして表されている。)を通じて除害設備4に導入される。フッ素系ガスを含む廃ガスの除害設備への導入量は、圧力センサー407、弁411などにより調整される。
【0026】
一方、水素を主成分とする副生ガスは、導出経路104a(図2中では、副生ガスの導入経路402として表されている。)を通じて除害設備4に導入される。燃焼剤は、燃焼ガスの導入経路401、導入経路402から除害設備4へと導入される。図2に示すとおり、フッ素系ガスを含む廃ガスの導入経路408a乃至408d、燃焼ガスの導入経路401、副生ガスの導入経路402によりバーナーが形成される。導入経路401より燃焼剤を導入し、燃焼室403内で着火し火炎を形成する。図2の例では、前記のようにして形成されたバーナーと燃焼室403とが副生ガスを燃焼剤として使用する機構に相当することとなる。着火の際には、導入経路402により前記副生ガスを導入してもよい。その他に、導入経路より402からだけ前記副生ガスを導入し、これだけを燃焼剤として着火を行ってもよい。
【0027】
火炎形成後、導入経路408a乃至408dからフッ素系ガスを含む廃ガスを除害設備4に導入し、該廃ガスの燃焼を行う。該廃ガスの燃焼を行っている間、圧力センサー407、温度センサー409、pHセンサー410等からの指示に応じて、各ガスの導入量の調整を行う。導入経路401から導入される燃焼剤を燃焼のための主剤とし、導入経路402から導入される前記副生ガスを燃焼助剤として、本発明の設備の操業を行ってもよい。
【0028】
導入経路401より導入される燃焼剤の例としては、メタンガス、エタンガス、プロパンガス、ブタンガス、アセチレンガスや水素ガスなどが挙げられる。さらに、これらのガスの混合物を使用することもできる。
【0029】
燃焼室403の燃焼では、水素と酸素が反応して水、フッ素と水素が反応してフッ化水素が生じ、フッ酸水溶液が生じる。該水溶液は、除害化されて、系外に放出されることが好ましい。該水溶液は、導出経路105を通じて、スクラバー5に導入されることが好ましい。
【0030】
図2で示されたスクラバーは、液タンク501、液面センサー502、液漏センサー503を備えている。これらセンサーからの指示に応じて、給液経路504より、水等の補給液が導入される。また、給液経路505より、水酸化カリウム等のアルカリ性溶液が導入され、液タンク501内の溶液が中和され、廃液は導出経路506から系外に放出される。導出経路にpHセンサーが備えられていてもよく、該センサーの指示に応じて、経路505からのアルカリ性溶液の導入量を調整してもよい。
【0031】
上述では、副生ガスである水素を燃焼除害の燃料として利用する実施形態(以下、第1の実施形態と呼ぶ)について説明したが、副生ガスである水素を燃料として発電に利用し、副生ガスを有効利用することも可能である。
【0032】
従来の電解法によってフッ素を発生させるフッ素発生装置では、フッ素ガス発生装置の電力消費が大きいという問題点があった。
【0033】
そこで、本発明者らは、電解工程において副生する水素を燃料として利用し、発電に利用することによって電力を得て、得られた電力をフッ素ガス発生装置に利用できる知見を得た。
【0034】
具体的には、電解工程において発生する水素を含む副生ガスを精製し、精製された水素を燃料電池の燃料として使用し、燃料電池によって発電した電力を、フッ化水素発生装置の電力として利用する方法である。
【0035】
以下、副生ガスである水素を発電に利用し、副生ガスを有効利用する実施の形態(以下、第2の実施形態と呼ぶ)について説明する。
【0036】
図3は本発明の、フッ素ガス発生装置において、副生ガスとして発生した水素ガスを燃料電池の燃料として利用する半導体製造設備の概略中要部を示したものである。
【0037】
図3を参照して、本発明の第2の実施形態に係る半導体製造設備200について説明する。以下では、上記第1の実施形態と異なる点を中心に説明し、第1の実施の形態と同様の構成には同一の符号を付し説明を省略する。
【0038】
半導体製造設備200は、フッ素ガス発生装置2によって生成された水素ガスを燃料電池設備6に供給し、水素ガスを燃料として使用し、燃料電池設備6によって発電した電力をフッ素ガス発生装置2の電力源として利用するものである。
【0039】
フッ素ガス発生装置2は、前述のフッ素ガス発生装置2と同様なものを適用することができる。
【0040】
フッ素ガス発生装置2における電解浴23の陽極側21には、フッ素ガスを含む主生ガスを導く導出経路103が接続されており、さらに、その下流には主生ガスが処理される処理室3が設けられる。
【0041】
フッ素ガス発生装置2における電解浴23の陰極側22には、水素を含む副生ガスを導く導出経路104aが接続されており、その下流には水素を含む副生ガス中の不純物を除去し、水素ガスを精製するための精製装置50が設けられる。さらに、精製装置50には、精製装置50において精製された水素ガスを導く導出経路104cが設けられており、導出経路104cの下流には、燃料電池設備6が設けられており、精製された水素ガスが供給される。
【0042】
燃焼電池設備6は、フッ素ガス発生装置2における電解槽の電力源(図示せず)に接続される。また、燃料電池設備6は、CVD、スパッタ等の半導体の製造を行う処理室3の電力源に接続してもよい。
【0043】
次に、精製装置50について説明する。
フッ素ガス発生装置において副生ガスとして発生した水素ガス中には、電解浴に含まれるフッ化水素の蒸気圧に応じて、フッ化水素が含まれるため、水素ガス中のフッ化水素を除去する必要がある。精製装置50は水素ガス中に含まれる不純物、特にフッ化水素を分離して除去するための装置である。
【0044】
水素ガス中のフッ化水素を除去する方法としては、フッ化水素ガスを除去できる方法であれば特に限定されないが、水やアルカリ溶液を使用した湿式スクラバー(排ガス処理装置)を用いる方法、フッ化水素を吸着する薬剤としてフッ化ナトリウム(NaF)等を充填した吸収塔を用いる方法などが挙げられる。
【0045】
湿式スクラバーを用いる方法、NaF等の薬剤を充填した吸収塔を用いる方法の何れの方法も本発明の第2の実施形態に適用可能であるが、湿式スクラバーを用いる方法では、ガスを処理する溶液が液体であるため、NaF等の固体の薬剤を用いる場合に比べ、薬剤の交換頻度が少なく、より多量のガスを処理することが可能となるため、湿式スクラバーを用いることが特に好ましい。
【0046】
以下、精製装置として、湿式スクラバーを用いた精製装置について説明する。
【0047】
図4は、副生ガスとして発生した水素ガスを精製するための精製装置の概略図である。以下、図4を参照にして、精製装置50について説明する。
【0048】
水素を含む副生ガスを導く導出経路104aの下流には、湿式スクラバーとして、一段目に水スクラバー51、二段目にアルカリスクラバー52が順に設けられ、さらに、その後段に脱水塔53が順に設けられる。
【0049】
副生ガス中のフッ化水素を十分に除去するためには、湿式スクラバーとして、水スクラバー51の後段にアルカリスクラバー52を設置することが好ましいが、アルカリスクラバー52のみ用いて、精製することも可能である。
【0050】
湿式スクラバーに使用するアルカリ溶液としては、水酸化カリウム(KOH)溶液、水酸化ナトリウム(NaOH)溶液などを用いることができるが、NaOH溶液を使用する場合、中和処理を行うにつれ、フッ化ナトリウム(NaF)が析出し、スクラバー溶液が循環しにくくなる場合があるため、KOH溶液を用いることが特に好ましい。
【0051】
脱水塔53内の温度は、水素の沸点(-252.78℃)以上、かつ、水の融点(0℃)以下の温度に設定することが好ましい。
【0052】
脱水塔53内の温度調整について、脱水塔内53の温度を調整できるものであれば特に限定されないが、例えば、液体アルゴン又は液体窒素で冷却する方法、ドライアイスを用いる方法、熱媒または冷媒を使用した加熱冷却装置を用いた方法などが挙げられる。
【0053】
さらに、脱水塔53の下流に、内部にモレキュラーシーブを収容した吸収塔(図示せず)を設けてもよい。また、吸収塔の内部には、モレキュラーシーブに加えて、モレキュラーシーブを配置する上流に微量のフッ化水素を吸着させる酸化カルシウム(CaO)、活性アルミナ(Al)等を配置してもよい。
【0054】
本発明に用いられる燃料電池は、水素を燃料として使用するタイプのものであれば、特に限定されないが、例えば、固体高分子形燃料電池、リン酸型燃料電池、などが挙げられる。
【0055】
燃料電池によって得られた電力は、フッ素発生装置の電力源として使用するだけでなく、フッ素ガス発生装置に併設して利用される半導体処理装置、例えばCVD、スパッタ等の電力源として使用することもできる。
【0056】
以上の実施形態によれば、以下に示す作用効果を奏する。
【0057】
本発明の第2の実施形態によれば、フッ素ガス発生装置において、副生ガスとして発生した水素ガスを精製する精製装置と、精製した水素ガスを燃料として使用する燃料電池設備を備えているため、副生した水素ガスを系外に排出することなく、燃料電池設備の燃料として有効活用し、電力を作り出すことが可能となる。
【0058】
さらに、燃料電池設備によって発電された電力を、フッ素ガス発生装置やフッ素ガス発生装置に併設して利用される半導体処理装置の電力源として使用することによって、フッ素ガス発生装置から発生した水素ガスを有効活用できる半導体製造設備を提供することが可能となる。
【符号の説明】
【0059】
1、200 半導体製造設備
2 フッ素ガス発生装置
21 陽極側
22 陰極側
23 電解浴
24 仕切り壁
3 主生ガスが処理される処理室
4 除害設備
50 精製装置
6 燃料電池設備
51 水スクラバー
52 アルカリスクラバー
53 脱水塔
103 主生ガスを導く導出経路
104a 副生ガスを除害設備4に導く導出経路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
フッ素ガス発生装置、
該発生装置から発生したフッ素系ガスを含む主生ガスを導く導出経路、
該導出経路と連結され且つ前記主生ガスが処理される処理室を含む装置、
及び該処理室を含む装置から排気されるフッ素系ガスを含む廃ガスを燃焼させる除害装置
を含む半導体製造設備であり、
前記フッ素ガス発生装置はフッ化水素を含む溶融塩の電解浴中でフッ化水素を電解することにより、陽極側にフッ素ガスを主成分とする主生ガスを発生させると共に、陰極側に水素ガスを主成分とする副生ガスを発生させるものであり、前記半導体製造設備は、さらにフッ素ガス発生装置から発生した副生ガスを前記除害装置に導く導出経路を含み、前記除害装置は除害装置に送られた副生ガスを燃焼剤として使用する機構を備えることを特徴とする半導体製造設備。
【請求項2】
フッ化水素を含む溶融塩の電解浴中でフッ化水素を電解することにより、陽極側にフッ素ガスを主成分とする主生ガスを発生させると共に、陰極側に水素ガスを主成分とする副生ガスを発生させるフッ素ガス発生装置の前記副生ガスの除害方法であり、該方法は
前記主生ガスを、前記処理室を含む装置に導入する工程、
前記処理室を含む装置から排気されたフッ素系ガスを含む廃ガスに前記副生ガスを加える工程、
及び、前記廃ガスと前記副生ガスとを共に燃焼する工程を有することを特徴とするフッ素ガス発生装置の副生ガスの除害方法。
【請求項3】
フッ素ガス発生装置を含む半導体製造設備であって、
フッ化水素を含む溶融塩からなる電解浴中でフッ化水素を電解することによって陽極側にフッ素を主成分とする主生ガスを発生させると共に、陰極側に水素ガスを主成分とする副生ガスを発生させるフッ素ガス発生装置と、
前記発生装置から発生したフッ素ガスを含む主生ガスを導く第1導出経路と、
前記第1導出経路と連結され、かつ、前記主生ガスが処理される処理室を含む装置と、
前記発生装置から発生した水素ガスを含む副生ガスを導く第2導出経路と、
前記第2導出経路と連結され、かつ、前記副生ガス中のフッ化水素濃度を低減させる精製装置と、
前記精製装置に設けられ、精製された水素ガスを導く第3導出経路と、
前記第3導出経路と連結され、かつ、前記精製された水素ガスを燃料として発電する燃料電池設備と、
を備え、
前記燃料電池設備において発電された電力を、フッ素ガス発生装置もしくはフッ素ガス発生装置に併設して利用される半導体処理装置の電力源として利用することを特徴とする半導体製造設備。
【請求項4】
前記精製装置は、
湿式スクラバーと、
水素の沸点以上かつ水の融点以下の温度範囲に設定された脱水塔と、
を備えることを特徴とする請求項3に記載の半導体製造設備。
【請求項5】
前記湿式スクラバーは、アルカリ溶液を用いた湿式スクラバーを少なくとも一つ有することを特徴とする請求項4に記載の半導体製造設備。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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