説明

フッ素ゴム塗料組成物、塗膜及び塗装物品

【課題】 撥水性及び撥油性等の表面機能を低下させることなく、耐磨耗性、機械的強度に優れる塗膜が得られるフッ素ゴム塗料組成物を提供する。
【解決手段】 本発明は、フッ素ゴムおよびアミン化合物を含むフッ素ゴム塗料組成物であって、アミン化合物は、揮発開始温度が150〜200℃であり、かつ分子内に下記式(1);
−CH−CH−CH−NH (1)
で表されるアミノプロピル基を有することを特徴とするフッ素ゴム塗料組成物である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フッ素ゴム塗料組成物、塗膜及び塗装物品に関する。
【背景技術】
【0002】
フッ素ゴム塗料は、フッ素ゴムの優れた耐熱性、耐候性、耐油性、耐溶剤性及び耐薬品性のために、例えば、織物、繊維、金属、プラスチック、ゴム、その他種々の基材に塗布または含浸されて、工業用材料として広く用いられている。例えば、O―リング、ダイヤフラム、耐薬品チューブ、燃料ホース、バルブシール、各種ガスケット、複写機・プリンター用の定着部材、ファクシミリ等のOA機器用ロール(例えば、圧着ロール、圧着ロール)、搬送ベルト等が挙げられる。
【0003】
上記基材としては、鉄、ステンレス鋼、銅、アルミニウム、真鍮などの金属類;ガラス板、ガラス繊維の織布及び不織布などのガラス製品;ポリプロピレン、ポリオキシメチレン、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリスルホン、ポリエーテルサルホン、ポリエーテルエーテルケトンなどの汎用および耐熱性樹脂の成形品および被覆物;SBR、ブチルゴム、NBR、EPDMなどの汎用ゴム、およびシリコーンゴム、フッ素ゴムなどの耐熱性ゴムの成形品および被覆物;天然繊維および合成繊維の織布および不織布;などが使用されている。この内、プラスチック、ゴム、繊維等の基材にフッ素ゴム塗料を塗布して塗膜を形成する場合、塗膜形成時における基材の熱劣化を低減するため、低温で加硫するか、仮に高温でも短時間で加硫を済ませる必要がある。
【0004】
一般にフッ素ゴム組成物を低温で架橋する方法はポリアミン系加硫剤による方法が知れている(例えば、特許文献1参照。)。この方法では、必ずしも充分な耐久性が得られていないのが現状であり、更なる耐久性アップが望まれている。
【0005】
また、フッ素ゴムの水性塗料としては、特定のアミノシラン化合物及び特定のジアミン化合物とを併せ配合したフッ素ゴム水性塗料も知られている(例えば、特許文献2参照。)。しかしながら、従来のアミン化合物を配合したフッ素ゴム水性塗料では、ジアミン化合物の添加量が多かったり、また加硫効率が充分でなく、塗膜の強度、耐磨耗性等の点で改善の余地があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特公昭58−53671号公報
【特許文献2】特開昭56−47455号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、撥水性及び撥油性等の表面機能を低下させることなく、耐磨耗性、機械的強度に優れる塗膜が得られるフッ素ゴム塗料組成物を提供することにある。
【0008】
本発明は、少なくともフッ素ゴム、アミン化合物を含み、必要に応じて、アミノシラン化合物、フッ素樹脂等を含むフッ素ゴム塗料組成物であって、アミン化合物は、揮発開始温度が150〜200℃であり、かつ分子内に特定のアミノプロピル基を有することを特徴とするものである。
以下に、本発明を詳細に説明する。
【0009】
本発明は、フッ素ゴムおよびアミン化合物を含むフッ素ゴム塗料組成物であって、アミン化合物は、揮発開始温度が150〜200℃であり、かつ分子内に下記式(1);
−CH−CH−CH−NH (1)
で表されるアミノプロピル基を有するフッ素ゴム塗料組成物である。
【0010】
本発明のフッ素ゴム塗料組成物は、基材等の被塗装物上に塗装して塗膜を形成するために用いられる。上記塗膜は、被塗装物上に上記フッ素ゴム塗料用組成物を塗布し、乾燥したのち、通常、焼成により形成される。
【0011】
(フッ素ゴム)
フッ素ゴムは、フッ素化された弾性状の共重合体(弾性状含フッ素共重合体)であることが好ましい。弾性状含フッ素共重合体は、主鎖に−CH−で示される繰り返し単位を含む含フッ素共重合体である。
フッ素ゴムとしては、−CF−CH−、−CH−CH−、−CF−CFCl−、−CH−CH(CH)−、−CF−CF(CF)−、−CF−CF−、および、−CF−CF(ORf)−(式中、Rfは炭素数1〜6のフルオロアルキル基である。)からなる群より選択される少なくとも1種の繰り返し単位を含む弾性状含フッ素共重合体が好ましい。より具体的には、フッ素ゴムは、ビニリデンフルオライドとヘキサフルオロプロピレンの共重合体、ビニリデンフルオライドとテトラフルオロエチレンとヘキサフルオロプロピレンの共重合体、エチレンとヘキサフルオロプロピレンの共重合体、及び、テトラフルオロエチレンとプロピレンの共重合体からなる群より選択される少なくとも1種の弾性状含フッ素共重合体であることが好ましい。なかでも、架橋性の点でビニリデンフルオライド系共重合体がより好ましい。ビニリデンフルオライド系共重合体とは、少なくともビニリデンフルオライドに基づく繰り返し単位(−CF−CH−)を含む共重合体である。ビニリデンフルオライド系共重合体は、ビニリデンフルオライドに基づく繰り返し単位を、全繰り返し単位の50〜85モル%含むことが好ましい。共重合体における繰り返し単位のモル比は、NMR、FT−IR、元素分析、蛍光X線分析を単量体の種類によって適宜組み合わせることで算出することができる。
【0012】
フッ素ゴムは、乳化重合、懸濁重合、溶液重合、塊状重合等の重合方法によって水性ディスパージョンの形で製造することができる。本発明のフッ素ゴム塗料組成物が水性塗料(水性媒体を含むフッ素ゴム塗料組成物)である場合には、乳化重合で得られたフッ素ゴムが好ましい。
上記重合方法においては、含フッ素界面活性剤を使用してもよいし、使用しなくてもよい。
上記水性ディスパージョンは、重合工程において使用した含フッ素界面活性剤を低減したものであることが好ましい。
上記弾性状含フッ素共重合体としては、「ダイエル(登録商標、ダイキン工業株式会社)」、「バイトン・フローム(登録商標、E.I.デュポン社)」、「アフラス(登録商標、旭硝子株式会社)」等の市販品を使用してもよい。
フッ素ゴムの含有量は、フッ素ゴム塗料組成物の、20〜60質量%であることが好ましい。
【0013】
(アミン化合物)
アミン化合物は、揮発開始温度が150〜200℃であり、かつ分子内に下記式(1);
−CH−CH−CH−NH (1)
で表されるアミノプロピル基を有する。上記アミン化合物は、式(1)で表されるアミノプロピル基を有することで加硫性に優れる。また、加硫反応に優れるため、加硫剤の添加量を少なくすることができる。更に、余分なアミン化合物が揮発するため、塗膜中に必要以上のアミン化合物が残らず、撥水性、撥油性を低下させることなく、耐磨耗性と機械的強度を向上させることができる。
【0014】
上記揮発開始温度は、熱重量分析装置を用いて、空気中で室温から400℃まで10℃/分で昇温したときに、重量が10%減少したときの温度である。アミン化合物の揮発開始温度としては、155〜195℃であることが好ましく、160〜190℃であることがより好ましい。
【0015】
アミン化合物は、水溶性アミン化合物であることが好ましい。アミン化合物が水溶性であることによって、本発明のフッ素ゴム塗料組成物を水性塗料とすることができる。また、他の化合物と混合しやすく、フッ素ゴム塗料組成物の均一性を向上させることができる。例えば、本発明のフッ素ゴム塗料組成物が後述するアミノシラン化合物を含む場合、アミノシラン化合物は加水分解した状態で用いることが好ましく、純水等と混合して用いられる。アミン化合物が水溶性であることによって、純水等と混合したアミノシラン化合物と容易に混合することができる。
【0016】
アミン化合物は、分子内の窒素原子数が4個以内であることが好ましい。これにより、窒素原子が少ないのでフッ素ゴム塗料組成物及び得られる塗膜の着色を抑えることができる。
【0017】
アミン化合物は、分子内に式(1)で表されるアミノプロピル基を2個有するアミン化合物であることが好ましい。これにより、より加硫性が良好であるとともに、アミノプロピル基を有することで後述するアミノシラン化合物と容易に混合することができる。
【0018】
アミン化合物としては、1,4−ジ(3−アミノプロピル)ピペラジン[BAPPRZ]が特に好ましい。BAPPRZは、加硫性及び水溶性が良好であり、150℃程度の温度でも加硫を生じさせることができる。また、170℃程度の温度で反応しなかった余分なアミン化合物が徐々に揮発して抜け始め、塗膜に余分なアミン化合物が残らない。そのため、撥水性、撥油性が低下することなく、耐磨耗性と機械的強度を向上させることができる。
【0019】
アミン化合物は、フッ素ゴム100質量部に対して、0.30〜3.00質量部であることが好ましい。より好ましくは、0.40〜2.70質量部、更に好ましくは、0.50〜2.50質量部である。アミン化合物が上記範囲の含有量であることによって、形成される塗膜はより耐磨耗性と機械的強度に優れるものとなる。
【0020】
(アミノシラン化合物)
本発明のフッ素ゴム塗料組成物は、更にアミノシラン化合物を含むことが好ましい。アミノシラン化合物を含むことにより、フッ素ゴムと基材との接着性を向上させることができる。また、アミノシラン化合物は、ゴムの架橋にも寄与する。アミン化合物とアミノシラン化合物とを併用することで、架橋性をより向上させることができ、上記アミン化合物は、アミノシラン化合物との相溶性が良好であり、均一に混合できるため、物性の安定した塗膜が得られる。アミノシラン化合物は、シラン(SiH)の水素原子が他の基に置換され、少なくとも一つのアミノ基を有し、かつメトキシ基、エトキシ基などのアルコキシ基(−OR:Rは炭素数1〜6、好ましくは1〜3のアルキル基を表す。)を有する化合物であることが好ましい。
【0021】
アミノシラン化合物は、下記一般式(2);
N−X−C−Si(CH(3−y)(OR (2)
(式中、Rは−CH又は−Cである。Xは、−(CNH)−、−(CO−NH)−、又は、−(C−NH−C−NH)−である。yは2又は3であり、zは0又は1である。)
で表される化合物であることが好ましい。一般式(2)で表されるアミノシラン化合物を上記アミン化合物と併用することで、基材等への高い接着性と充分な塗膜強度が得られる。
【0022】
一般式(2)で表されるアミノシラン化合物としては、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルジエトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルジメトキシシラン、N−β−アミノエチル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β−アミノエチル−γ−アミノプロピルジメトキシシラン、N−β−アミノエチル−γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−β−アミノエチル−γ−アミノプロピルジエトキシシラン、N−β−アミノエチル−γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−β−アミノエチル−γ−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、などが挙げられる。
アミノシラン化合物としてより好ましくは、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン及びγ−アミノプロピルトリメトキシシランからなる群より選択される少なくとも一種の化合物である。
【0023】
上記アミン化合物は、アミノシラン化合物に対して、6.0〜12.0モル%であることが好ましい。より好ましくは、7.0〜11.0モル%、更に好ましくは、8.0〜10.0モル%である。アミン化合物とアミノシラン化合物との割合が上記範囲であることによって、本発明のフッ素ゴム塗料組成物から形成される塗膜は、膜強度と基材との接着性のバランスが優れたものになる。なお、水性塗料を含むフッ素ゴム塗料組成物にアミノシラン化合物を直接添加すると、増粘して一部でゲル化を起こすおそれがあるため、予め、アミノシラン化合物を水に溶かし、加水分解させてアミノシラノール化合物にしておいて使用するのが好ましい。
【0024】
本発明のフッ素ゴム塗料組成物は、更にポリオール系加硫剤を含んでもよい。ポリオール系加硫剤としては、例えば、特開2000−351882号公報に記載のポリオール系加硫剤を添加してもよい。
【0025】
(液状担体)
本発明のフッ素ゴム塗料組成物は、更に液状担体を含むことが好ましい。液状担体を含むことによって、容易に塗膜を形成することができるフッ素ゴム塗料組成物となる。
液状担体は、本発明のフッ素ゴム塗料用組成物の成分のうち、液状担体以外の成分を溶解又は分散させうる液体である。上記液状担体としては、水性媒体及び/又は有機溶剤を用いることができる。
【0026】
上記水性媒体は、液状であり、水を含むものであれば特に限定されない。水性媒体を用いることによって、環境負荷やコストに優れる。また、分散安定性も向上する。
【0027】
水性媒体としては、例えば、純水、イオン交換水等の水を用いることができる。水性媒体中の水の含有量は、10質量%以上であることが好ましく、30質量%以上であることがより好ましく、50質量%以上であることがさらに好ましく、90%以上であることが特に好ましい。また、最も好ましくは、水性媒体が実質的に水からなることである。すなわち、本発明のフッ素ゴム塗料組成物は、液状担体が水であることが好ましい。
【0028】
上記水性媒体は、水と共に、アルコール、エーテル、ケトン等のフッ素非含有有機溶媒、沸点が40℃以下であるフッ素含有有機溶媒等を含んでもよい。
【0029】
有機溶剤としては、例えばメチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類;酢酸ブチル、酢酸イソペンチル等のエステル類;ジエチレングリコールジメチルエーテル等のエーテル類;トルエン、キシレン等の炭化水素類;N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン等のアミド類等が挙げられる。有機溶剤は、本発明のフッ素ゴム塗料組成物の全体質量の40〜90質量%用いることが好ましい。
上記液状担体は、1種又は2種以上を用いることができる。
【0030】
液状担体は、フッ素ゴム100質量部に対して、30〜70質量部であることが好ましい。より好ましくは、40〜60質量部である。液状担体が上記範囲の含有量であることによって、塗装しやすくなり、得られる塗膜も平滑性に優れるものとなる。
【0031】
(フッ素樹脂)
本発明のフッ素ゴム塗料組成物は、フッ素樹脂を含むことも好ましい形態の一つである。本発明で必要に応じて使用するフッ素樹脂としては、−CF−CF−、−CF−CF(CF)−、−CF−CFCl−、および、−CF−CF(ORf)−(式中、Rfは炭素数1〜6のフルオロアルキル基である。)からなる群より選択される少なくとも1種の繰り返し単位を含む重合体が好ましい。より具体的には、テトラフルオロエチレンのホモポリマー(PTFE)、テトラフルオロエチレンとヘキサフルオロプロピレンの共重合体(FEP)、テトラフルオロエチレンとパーフルオロアルキルビニルエーテルとの共重合体(PFA)、及びポリクロロトリテトラフルオロエチレン(PCTFE)からなる群より選択される少なくとも1種の重合体であることが好ましい。
フッ素樹脂の融点としては、210〜330℃であることが好ましい。例えば、PTFEの場合には約327℃、FEPの場合には255〜265℃、PFAの場合には302〜310℃、PCTFEの場合には210〜212℃であることが好ましい。フッ素樹脂の融点は、示差走査熱量測定(DSC)装置によって測定することができる。
【0032】
(界面活性剤)
フッ素ゴム塗料組成物が水性塗料である場合、本発明のフッ素ゴム塗料組成物は、界面活性剤を含むことが好ましい。界面活性剤としては、イオン性界面活性剤および非イオン性界面活性剤のいずれを用いてもよいが、比較的低温で分解されるものが好ましく、非イオン性界面活性剤が好ましい。
【0033】
上記非イオン性界面活性剤により、フッ素ゴムやフッ素樹脂、受酸剤、増粘剤等の各種添加剤を水中に安定的に分散させることができる。
【0034】
上記非イオン性界面活性剤としては、例えば、下記式(3);
−O(CHCHO)n1H (3)
(式中、Rは炭素数5〜18、好ましくは10〜16のアルキル基であり、n1は1以上の数であり、好ましくは30以下の数である。)で表されるポリオキシエチレンアルキルエーテルや、下記式(4);
HO(CHCHO)n2−(CHCH(CH)O)n3−(CHCHO)n4 (4)
(式中、n2、n3およびn4は、同一又は異なって、1以上の数であり、n2+n3+n4は、好ましくは1000以下である。)で表されるポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンブロックポリマーなどの、フェニル基を有しない非イオン性界面活性剤が挙げられる。
【0035】
これらの非イオン性界面活性剤は内分泌撹乱作用を有すると疑われる化学物質を原料とせず、非内分泌撹乱性化学物質から合成されているために、環境上の観点からみても好ましい物質である。分解温度の高い界面活性剤は、焼成後に塗膜中に残存するおそれがあり、これがフッ素ゴムやフッ素樹脂のブリードアップを阻害することとなるため好ましくない。
【0036】
上記界面活性剤は、フッ素ゴム100質量部に対し、1〜100質量部の割合で添加することが好ましい。ただし、下記式(5);
−Ph−O(CHCHO)n1H (5)
(式中、Rおよびn1は上記と同じある。Phは、2価のフェニル基である。)で表されるような界面活性剤は、内分泌撹乱作用を有すると疑われる化学物質を原料とするため、製品としての界面活性剤にも微量ながらそのような物質が含まれる可能性があるため、極力精製除去されたものを使用するのが環境上の観点からみると好ましい。
【0037】
(各種添加剤)
本発明の組成物には上記のものに加え、フッ素ゴム組成物に通常添加される、加硫促進剤、受酸剤、増粘剤、充填材、着色剤等の各種添加剤を必要に応じて配合することができる。
【0038】
(受酸剤)
本発明のフッ素ゴム塗料組成物は、受酸剤を含むことが好ましい。受酸剤は、架橋により生じるフッ化水素酸を捕捉する。受酸剤としては特に限定されず、水不溶性であるか、又は、難水溶性であることが好ましい。また、水溶性であったとしても、pKaが6〜9であればよい。受酸剤として具体的には、酸化鉛、酸化亜鉛、炭酸鉛等の無機酸化物系受酸剤;ハイドロタルサイト等の無機複合化合物系受酸剤等が挙げられ、なかでも、無機複合化合物系受酸剤が好ましい。
【0039】
なお、水酸化カルシウムなどのpKaが9を超えるものはゲル化を起こしやすいため、好ましくない。通常、受酸剤はその活性度に応じてフッ素ゴム100質量部に対し、1〜40質量部配合できる。
【0040】
増粘剤としては、セルロース系増粘剤、ウレタン系増粘剤、脂肪酸、非イオン性会合型増粘剤、ポリアクリル酸系増粘剤等が挙げられる。
上記増粘剤は、粘度調整の必要に応じて1種又は2種以上を用いることができる。上記増粘剤は、2種以上を混合して使用すると、例えば、塗布後の乾燥速度の調整が容易となりやすい。
【0041】
上記増粘剤は、本発明のフッ素ゴム塗料組成物の0.01〜3.00質量%であることが好ましい。0.01質量%未満であると、本発明のフッ素ゴム塗料組成物を高粘度に調製する場合、高粘度組成物が得られにくいことがあり、3.00質量%を超えると、粘度が高すぎて泡が消え難い場合がある。上記フッ素ゴム塗料用組成物に占める上記増粘剤のより好ましい下限は0.1質量%、更に好ましい下限は0.2質量%であり、より好ましい上限は2.0質量%、更に好ましい上限は1.0質量%である。
【0042】
充填材としてはカーボンブラック、ホワイトカーボン、炭酸カルシウム、硫酸バリウムなどが例示できる。着色剤としては、無機顔料、複合酸化物顔料などが例示できる。
【0043】
本発明のフッ素ゴム塗料組成物は、上記の構成を有することから、温度190℃のキュラスト試験(加硫試験)における適正加硫時間(T90)を0.5〜4.0分とすることができる。フッ素ゴム塗料組成物のT90として、より好ましくは0.5〜3.0分であり、更に好ましくは、0.5〜2.0分であり、特に好ましくは、0.5〜1.5分である。また、本発明のフッ素ゴム塗料組成物は、最大トルク(M)を0.5kgf以上にすることができる。Mは1.0kgfを超えることが好ましく、1.2kgf以上であることがより好ましく、1.5kgf以上であることが更に好ましい。
なお、キュラスト試験により測定するT90とMは、JIS K 6300−2に準じて求めることができる。
【0044】
(加硫促進剤)
本発明のフッ素ゴム塗料組成物は、必要に応じて加硫促進剤を含んでいてもよい。加硫促進剤としては、一般的にフッ素ゴムの加硫に用いられる加硫促進剤を用いることができる。
【0045】
(塗料系)
本発明のフッ素ゴム塗料組成物は、1液型であっても、2液型であってもよい。一般に保存安定性を重視する場合は、フッ素ゴムを含む主剤(A液)と加硫剤(B液)との2液型として調製することが好ましい。2液型の場合、上記アミン化合物及びアミノシラン化合物は、通常加硫剤に含まれる。
【0046】
(塗装方法)
本発明のフッ素ゴム塗料組成物の塗膜形成法としては、一般の塗料のコーティング方法を用いることができ、次のように行うことができる。
フッ素ゴム塗料組成物は、スプレーコーティング、フローコーティング、スピンコーティング、ディスペンサーコーティング、スクリーンコーティング、ハケ塗り、浸漬塗布等により被塗装物に塗布する。二液型のフッ素ゴム塗料組成物である場合には、塗布の前に、上記A液とB液と混合する。フッ素ゴム塗料組成物を塗布した後、通常、水性媒体等を蒸発させるために常温〜100℃程度の温度で乾燥する。その後、必要に応じて、150〜350℃の温度で焼成する。焼成時間としては、通常15分〜30分である。これにより、上記フッ素ゴム塗料組成物中のフッ素ゴムは充分に加硫し、反応ガス及び水蒸気が系外に追い出される。焼成温度の下限は、180℃であることが好ましく、200℃であることがより好ましい。焼成温度が上記温度範囲であることによって、アミン化合物が残留しにくく、機械的強度、低磨耗性に優れる塗膜を形成することができる。焼成温度の上限としては、フッ素ゴム塗料組成物を塗布する被塗装物等によって適宜設定すればよいが、例えば、350℃であることが好ましく、340℃であることがより好ましい。
【0047】
(基材)
基材としては、鉄、ステンレス鋼、銅、アルミニウム、真鍮などの金属類;ガラス板、ガラス繊維の織布及び不織布などのガラス製品;ポリプロピレン、ポリオキシメチレン、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリスルホン、ポリエーテルサルホン、ポリエーテルエーテルケトンなどの汎用および耐熱性樹脂の成形品および被覆物;SBR、ブチルゴム、NBR、EPDMなどの汎用ゴム、およびシリコーンゴム、フッ素ゴムなどの耐熱性ゴムの成形品および被覆物;天然繊維および合成繊維の織布および不織布;などを使用することができる。基材(被塗装物)の表面は、フッ素ゴム塗料組成物を塗布する前に、充分脱脂、洗浄しておくのが好ましい。基材とフッ素ゴム塗料組成物から形成される塗膜との接着性を向上させるため、シラン系プライマー、シリコーン系プライマー等によりプライマー層を基材表面に形成してもよい。
【0048】
(塗膜)
本発明は、上記フッ素ゴム塗料組成物を基材に塗布して得られる塗膜でもある。上記フッ素ゴム塗料組成物を塗布して得られる塗膜は、撥水性及び撥油性等の表面機能を低下させることなく、耐磨耗性、機械的強度に優れるものとなる。本発明の塗膜は、上記フッ素ゴム塗料組成物を塗布して形成された被覆層の上に、さらに他の層を有する多層構造であってもよい。他の層は、例えば、上記フッ素樹脂を使用して、通常の方法で形成することができる。他の層は、1層又は2層以上設けられていてもよい。
【0049】
(塗装物品)
本発明は、上記塗膜を有する塗装物品でもある。上記塗膜を有する塗装物品は、耐熱性、耐溶剤性、潤滑性、非粘着性が要求される分野で使用でき、具体的な用途としては、複写機、プリンター、ファクシミリなどのOA機器用のロール(例えば、定着ロール、加圧ロール)および搬送ベルト、フィルム、シート、スリーブおよびベルト;O−リング、ダイヤフラム、耐薬品性チューブ、燃料ホース、バルブシール、化学プラント用ガスケット、エンジンガスケットなどが挙げられる。また、フッ素ゴム層を表面に有する基材に、上記フッ素ゴム塗料組成物を塗布し、被覆層を形成して、燃料キャップシールとして使用することも可能である。
【発明の効果】
【0050】
本発明のフッ素ゴム水性塗料は、上述の構成を有することから、撥水性及び撥油性等の表面機能を低下させることなく、耐磨耗性、機械的強度に優れる塗膜を形成することができる。
【発明を実施するための形態】
【0051】
以下に、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されない。
【0052】
(実施例)
「フッ素ゴムディスパージョン」の調製
乳化重合(含フッ素系界面活性剤未使用)により、ビニリデンフルオライド(VdF)/テトラフルオロエチレン(TFE)/ヘキサフルオロプロピレン(HFP)共重合体(VdF:TFE:HFP=65:18:17[モル比])を製造し、得られた重合体水性分散液を界面活性剤(ポリエチレンオキサイドトリデシルエーテル[C1327−O(CHCHO)H]、第一工業製薬株式会社製ノイゲンTDS−80)の20質量%水溶液により濃縮して固形分濃度を60質量%として、フッ素ゴムディスパージョンを得た。共重合体の各単量体のモル比は、NMR、FT−IR、元素分析、蛍光X線分析を単量体の種類によって適宜組み合わせることで算出した。
得られたフッ素ゴムディスパージョンは、フッ素ゴムの平均粒子径が0.3μmであり、界面活性剤(ポリエチレンオキサイドトリデシルエーテル〔C1327−O(CHCHO)H〕、ライオン株式会社製レオコールTD−90D)をフッ素ゴムの固形分100質量部に対して6.5質量部含有していた。
【0053】
「FEPディスパージョン」の調製
容量5Lの反応器に、TFE/HFP共重合体(以下「FEP」と表記する。)分散液2000gを入れ、10%アンモニア水溶液でpHを9に調整した後、120rpmの攪拌下に、界面活性剤(ポリエチレンオキサイドトリデシルエーテル[C1327−O(CHCHO)H]、ライオン株式会社製レオコールTD−90D)125gを添加し、温水槽中で40℃にて均一に混合した。引き続き、攪拌を行いながら温水槽温度を上げ、内温を70℃に到達させたのち、攪拌を停止し、内温70℃で6時間保持した後に、分離した上澄み相を除去し、FEP水性分散相を分離した。
なお、上記FEPは、TFE:HFP=85:15(モル比)である。上記FEP分散液は、FEP含有量が25質量%であり、FEPの平均粒子径は0.20μmであり、FEP分散液を製造するときに用いたパーフルオロオクタン酸(PFOA)をFEPの2000ppmに相当する量を含有している。
【0054】
得られたFEP水性分散相(FEP濃縮水性分散液)は、FEP濃度が69.0質量%、非イオン性界面活性剤含有量がFEPの3.0質量%に相当する量、PFOAの含有量がFEPの7800ppmに相当する量であった。
【0055】
得られたFEP濃縮水性分散液2000gを陰イオン交換樹脂(製品名:アンバーライトIRA402J、ローム・アンド・ハース社製)50mlを充填したカラム(直径2cm)に温度50℃、空間速度[SV]2の条件で通液させることにより、FEPディスパージョンを得た。
【0056】
得られたFEPディスパージョンは、FEPの平均粒子径が0.19μm、固形分58%、分散剤として界面活性剤(ポリエチレンオキサイドトリデシルエーテル(C1327−O(CHCHO)H)、ライオン株式会社製レオコールTD−90D)をFEPの固形分100質量部に対して6.5質量部含有し、PFOAがFEPの250ppmに相当する量であった。
【0057】
「PFAディスパージョン」の調製
容量5Lの反応器に、TFE/PPVE共重合体(以下PFAと表記する。)分散液2000gを入れ、10%アンモニア水溶液でpHを9に調整した後、120rpmの攪拌下に、非イオン性界面活性剤(ポリエチレンオキサイドトリデシルエーテル[C1327−O(CHCHO)H]、ライオン株式会社製レオコールTD−90D)125gを添加し、温水槽中で40℃にて均一に混合した。引き続き、攪拌を行いながら温水槽温度を上げ、内温を70℃に到達させたのち、攪拌を停止し、内温70℃で6時間保持した後に、分離した上澄み相を除去し、PFA水性分散相を分離した。
上記PFAは、TFE:PAVE=97:3(モル比)である。上記PFAの分散液は、PFA含有量が20質量%であり、PFAの平均粒子径は0.25μmであり、PFA分散液を製造するときに用いたPFOAをPFAの2000ppmに相当する量を含有している。
【0058】
得られたPFA水性分散相(PFA濃縮水性分散液)は、PFA濃度が69.0%、非イオン性界面活性剤含有量がPFAの3.0質量%に相当する量であり、PFOAの含有量がPFAの7800ppmに相当する量であった。
得られたPFA濃縮水性分散液2000gを陰イオン交換樹脂(製品名:アンバーライトIRA402J、ローム・アンド・ハース社製)50mlを充填したカラム(直径2cm)に温度50℃、空間速度[SV]2の条件で通液させることにより、PFAディスパージョンを得た。
【0059】
得られたPFAディスパージョンは、PFAの平均粒子径が0.25μm、固形分66質量%、分散剤として界面活性剤(ポリエチレンオキサイドトリデシルエーテル(C1327−O(CHCHO)H)、ライオン株式会社製レオコールTD−90D)をPFAの固形分100質量部に対して3.5質量部含有し、PFOAの含有量がPFAの250ppmに相当する量であった。
【0060】
「PigペーストA」の調製
受酸剤(協和化学工業株式会社製DHT−4A)5質量部を、界面活性剤(ポリエチレンオキサイドトリデシルエーテル(C1327−O(CHCHO)H)、第一工業製薬株式会社製ノイゲンTDS−80の20質量%水溶液)2質量部とともに純水35質量部に分散させてPigペーストAを調製した。
【0061】
「PigペーストB」の調製
充填剤(チタン工業社製、タロックスR−516L)3質量部および受酸剤(協和化学工業株式会社製、DHT−4A)5質量部を、界面活性剤(ポリエチレンオキサイドトリデシルエーテル(C1327−O(CHCHO)H)、第一工業製薬株式会社製、ノイゲンTDS−80の20質量%水溶液)2質量部とともに純水46質量部に分散させてPigペーストBを調製した。
【0062】
主剤A液の調製
[A−1液]
フッ素ゴムディスパージョンを80質量部、PigペーストAを19質量部、増粘剤A(旭電化工業株式会社製、UH−140Sの50質量%水溶液)を2.5質量部を混合して充分に分散させ主剤A−1を調製した。
【0063】
[A−2液]
フッ素ゴムディスパージョンを40質量部、FEPディスパージョンを40質量部、PigペーストBを11質量部、増粘剤A(旭電化工業株式会社製、UH−140Sの50質量%水溶液)を2質量部、増粘剤B(日本油脂株式会社製、DS−60HNの5質量%水溶液)を2質量部混合して充分に分散させ主剤A−2を調製した。
【0064】
[A−3液]
フッ素ゴムディスパージョンを37質量部、PFAディスパージョンを35質量部、PigペーストBを12質量部、増粘剤A(旭電化工業株式会社製UH−140Sの50質量%水溶液)を2質量部、増粘剤B(日本油脂株式会社製DS−60HNの5質量%水溶液)を2.5質量部混合して充分に分散させ主剤A−3を調製した。
【0065】
B液(加硫剤)の調製
[B−1液]
シランカップリング剤原液(商品名:A−1100、モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン株式会社製):1,4−ジ(3−アミノプロピル)ピペラジン(原液):純水=50.0:4.1:45.9(質量比)
【0066】
[B−2液:GL200B(ダイキン工業株式会社製)]
シランカップリング剤原液(商品名:A−1100、モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン株式会社製):エポメートF−100(フレーク状):純水=50.0:10.0:40.0(質量比)
【0067】
なお、1,4−ジ(3−アミノプロピル)ピペラジンの揮発開始温度は、170℃であり、エポメートF−100の揮発開始温度は、215℃である。なお、揮発開始温度は、熱重量分析装置を用いて、空気中で室温から400℃まで10℃/分で昇温したときに、重量が10%減少したときの温度である。
【0068】
(ジアミンの加硫性能の比較)
A−1液100gに対してジアミン1.82×10−3モルを添加してサンプルを常温で乾固させた。そのサンプルをキュラスト試験機にて温度190℃で測定した。結果を表1に示す。なお、測定は、JIS K 6300−2に準じて行った。
【0069】
【表1】

【0070】
実施例1〜3及び比較例1〜3
A液及びB液を所定の割合になるように均一混合した後、200メッシュの金網で濾過してフッ素ゴム塗料組成物を得た。用いたA液及びB液の種類、混合割合は、下記、表2に示す通りである。
【0071】
各実施例及び比較例で得られたフッ素ゴム塗料組成物を以下の方法で評価した。
基材としては、ノンブラストアルミ板(Ra:0.02μm、寸法:10cm(縦)×10cm(横)×1.5mm(厚み))を使用した。
基材上に、プライマーとしてGLP104QR(ダイキン工業株式会社製)/トルエン=1/2希釈のプライマーを2〜3μm塗装し、赤外乾燥を15分間行った。
その後、A液とB液とを混合したフッ素ゴム塗料組成物をスプレー塗布後、室温で30分間乾燥し、続いて赤外乾燥を15分間行った後、表1に示す焼成条件にて焼成し、塗膜を形成した。
【0072】
(塗膜強度)
アルミ箔上に加工した塗膜を6N塩酸でアルミ箔を除去し、JIS4号ダンベルで打ち抜き、速度500mm/分にて測定した。表2に示す結果は、3回の測定を行った平均値である。
【0073】
(光沢)
塗膜表面の光沢(60°/60°)を、デジタル変角光沢計(スガ試験機社製)によって測定した。
【0074】
(表面粗さ)
JIS B 0601に準拠して、中心線平均粗さ(Ra)、十点平均粗さ(Rz)を算出した。
【0075】
(接触角)
被覆物品表面に純水又はn−セタンを1滴滴下してゴニオメーター(協和界面科学社製)で接触角を測定した。
【0076】
(テーバー磨耗)
JIS K 7204に準拠して、摩耗輪CS−10F、荷重250g、1000回転後の摩耗量として評価した。
【0077】
(塗膜硬度)
鉛筆引っ掻き試験器を用いて、塗装面に傷が付く硬度を表面傷つき硬度、塗膜が破れて基材が露出する硬度を基材剥離硬度とした。表中の3H、H又はFは、鉛筆の硬度記号を表す。
【0078】
【表2】

【0079】
表2から、実施例1〜3により得られた塗膜は、BAPPRZの添加量がエポメートF−100よりも少ない量であるにも関わらず、比較例1〜3で得られた塗膜と比較して、撥水性、撥油性を維持しながら、耐磨耗性、塗膜強度が向上した。併せて、高温焼成した塗膜においても同様な性能が得られることが確認できた。
【産業上の利用可能性】
【0080】
本発明のフッ素ゴム塗料組成物は、機械的強度、耐磨耗性に優れ、更に撥水性及び撥油性も優れる塗膜を形成することができるため、O−リング、ダイヤフラム、燃料キャップ、バルブシール、OA機器用のロール、搬送ベルト等に好適に用いることができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
フッ素ゴムおよびアミン化合物を含むフッ素ゴム塗料組成物であって、
アミン化合物は、揮発開始温度が150〜200℃であり、かつ分子内に下記式(1);
−CH−CH−CH−NH (1)
で表されるアミノプロピル基を有することを特徴とするフッ素ゴム塗料組成物。
【請求項2】
更に、液状担体を含む請求項1記載のフッ素ゴム塗料組成物。
【請求項3】
アミン化合物は、水溶性アミン化合物である請求項1又は2記載のフッ素ゴム塗料組成物。
【請求項4】
アミン化合物は、分子内の窒素原子数が4個以内である請求項1、2又は3記載のフッ素ゴム塗料組成物。
【請求項5】
アミン化合物は、分子内に式(1)で表されるアミノプロピル基を2個有する請求項1、2、3又は4記載のフッ素ゴム塗料組成物。
【請求項6】
アミン化合物は、1,4−ジ(3−アミノプロピル)ピペラジンである請求項1、2、3、4又は5記載のフッ素ゴム塗料組成物。
【請求項7】
更にアミノシラン化合物を含む請求項1、2、3、4、5又は6記載のフッ素ゴム塗料組成物。
【請求項8】
アミノシラン化合物は、下記一般式(2);
N−X−C−Si(CH(3−y)(OR (2)
(式中、Rは−CH又は−Cである。Xは、−(CNH)−、−(CO−NH)−、又は、−(C−NH−C−NH)−である。yは2又は3であり、zは0又は1である。)
で表される請求項7記載のフッ素ゴム塗料組成物。
【請求項9】
アミン化合物は、フッ素ゴム100質量部に対して、0.30〜3.00質量部である請求項1、2、3、4、5、6、7又は8記載のフッ素ゴム塗料組成物。
【請求項10】
アミン化合物は、アミノシラン化合物に対して、6.0〜12.0モル%である請求項6、7、8又は9記載のフッ素ゴム塗料組成物。
【請求項11】
液状担体が水である請求項2、3、4、5、6、7、8、9又は10記載のフッ素ゴム塗料組成物。
【請求項12】
請求項1、2、3、4、5、6、7、8、9、10又は11記載のフッ素ゴム塗料組成物を基材に塗布して得られるものであることを特徴とする塗膜。
【請求項13】
請求項12記載の塗膜を有することを特徴とする塗装物品。

【公開番号】特開2011−32386(P2011−32386A)
【公開日】平成23年2月17日(2011.2.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−180716(P2009−180716)
【出願日】平成21年8月3日(2009.8.3)
【出願人】(000002853)ダイキン工業株式会社 (7,604)
【Fターム(参考)】