説明

フッ素化オレフィンの製造方法

【課題】4つの単位操作の単一の組を使用して、1,1,1,2−テトラフルオロプロペンおよび/または1,1,1,2,3−ペンタフルオロプロペンを製造するための方法を提供する。
【解決手段】前記単位操作は、(1)ヘキサフルオロプロペンと、任意選択で再循環された1,1,1,2,3−ペンタフルオロプロペンとを含む出発物質の水素化;(2)1,1,1,2,3,3−ヘキサフルオロプロパンおよび/または1,1,1,2,3−ペンタフルオロプロパン等の所望の中間体ヒドロフルオロアルカンの分離;(3)所望の1,1,1,2−テトラフルオロプロペンおよび/または1,1,1,2,3−ペンタフルオロプロペンを製造するための、中間体ヒドロフルオロアルカンの脱フッ化水素化;次いで(4)所望の生成物の単離のための別の分離、および任意選択で、1,1,1,2,3−ペンタフルオロプロペンの再循環;を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、参照することにより本明細書に組み入れられる、2008年3月14日出願の米国仮特許出願第61/036,526号に関連し、その優先権の利益を主張する。また、いずれも2006年10月27日に出願された米国特許出願第11/588,465号および第11/588,671号も、参照することにより本明細書に組み入れられる。
【0002】
一つの種類としてのフッ素化オレフィン類は、化学的中間体およびモノマー、冷媒、発泡剤、噴射剤、ならびに溶剤を含む、多種多様な用途を有する。
【背景技術】
【0003】
フッ素化オレフィンを調製するためのいくつかの方法が知られている。例えば、米国特許第5,679,875号は、1,1,1,2,3−ペンタフルオロプロペンおよび1,1,1,2,3−ペンタフルオロプロパンを製造するための方法を開示しており(特許文献1);米国特許第6,031,141号は、ハイドロフルオロカーボンを脱フッ化水素化してフルオロオレフィンにするための、クロム含有触媒を使用した触媒プロセスを開示しており(特許文献2);米国特許第5,396,000号は、気相触媒脱ハロゲン化水素化を使用してCFCF=CHFおよびHFを生成した後、HFの存在下でのCFCF=CHFの気相触媒水素化を行ってCFCHFCHFを生成するためのプロセスを開示しており(特許文献3);米国特許第6,548,719号は、相間移動触媒の存在下でハイドロフルオロカーボンを脱ハロゲン化水素化することにより、フルオロオレフィンを生成するためのプロセスを開示しており(特許文献4);米国特許出願公開第2006/0106263号は、ハイドロフルオロオレフィン化合物の製造および精製を開示しており(特許文献5);そして、国際公開第98/33755号パンフレットは、ヘキサフルオロプロパンのペンタフルオロプロペンへの脱フッ化水素化の触媒プロセスを開示している(特許文献6)。
【0004】
出願人らはまた、1,1,1,2,3−ペンタフルオロプロペン(HFO−1225ye)および1,1,1,2−テトラフルオロプロペン(HFO−1234yf)がそれぞれ様々な用途において有用であり、ある用途においては、それらの化合物の一方は他方よりも好ましい場合があることを理解するに至った。例えば、ある冷媒および発泡剤の用途では、HFO−1225yeよりもHFO−1234yfが好ましい。
【0005】
出願人らは、以前、HFO−1225yeを水素化して1,1,1,2,3−ペンタフルオロプロパン(HFC−245eb)を製造し、次いでHFC−245ebを脱フッ化水素化反応における反応物質として使用してHFO−1234yeを製造することを含む、HFO−1234yfを製造するためのプロセスを開発した。出願人らはまた、以前、まずヘキサフルオロプロピレン(HFP)を水素化して1,1,1,2,3,3−ヘキサフルオロプロパン(HFC−236ea)を製造し、次いでHFC−236eaを脱水素化反応における反応物質として使用してHFO−1225yeを製造することを含む、HFO−1225yeを製造するためのプロセスを開発した。これらの従来技術のプロセスに従いこれらの2つの生成物を商業的に製造するには、製造施設は、それぞれの生成物に対して、少なくとも4つの別個の単位操作、すなわち、出発物質の水素化、所望の中間体の分離、所望の生成物を生成するための中間体の脱フッ化水素化、次いで所望の生成物を単離するための別の分離を必要とする。出願人らは、そのような商業施設を開発するには多大な経済的投資が必要であることを理解するに至った。結果として、従来技術のプロセスに従ってこれらの所望のフッ素化オレフィンのそれぞれを生成するための処理施設を建設することは、経済的にひどく高額となり得る。
従来のプロセスの上述の問題および特徴に対する出願人らの認識を考慮して、出願人らは、資本コストにおける実質的な経済的利点を達成することができるとともに、一連のフッ素化オレフィン類の効率および製造を最大化するための実際の操作における実質的な柔軟性および利点を達成することができる、改善されたプロセスを開発した。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】米国特許第5,679,875号明細書
【特許文献2】米国特許第6,031,141号明細書
【特許文献3】米国特許第5,396,000号明細書
【特許文献4】米国特許第6,548,719号明細書
【特許文献5】米国特許出願公開第2006/0106263号公報
【特許文献6】国際公開第98/33755号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
出願人らは、HFO−1225yeおよびHFO−1234yfの両方が、4つの単位操作を有する単一設備において製造され得ることを発見した。本発明は、一部分において、水素によるHFP(ヘキサフルオロプロピレン)の水素化によりHFC−236eaおよびHFC−245ebの両方が生じることを認識したことにある。(HFC−245ebは、HFC−236eaのHとの反応から形成すると考えられる。)HFC−236eaと同様に、HFC−245ebは、続いて脱フッ化水素化されて所望の生成物を生成することができる。具体的には、HFC−236eaは、脱フッ化水素化されてHFO−1225yeを生成することができ、HFC−245ebは、脱フッ化水素化されてHFO−1234yfを生成することができる。
【課題を解決するための手段】
【0008】
このように、HFO−1225yeおよびHFO−1234yfの両方が、4つの単位操作、つまり出発物質の水素化、所望の中間体の分離、所望の生成物を生成するための中間体の脱フッ化水素化、次いで所望の生成物を単離するための別の分離という、単一の組を使用して生成され得る。例えば、好ましいシステム(装置)において、水素化反応器内でHFPおよびHを反応させて、HFC−236eaおよび/またはHFC−245ebを含む中間生成物の流れを形成する。HFC−236eaおよびHFC−245ebの相対的濃度は、反応器内の圧力、温度、および反応物質の相対的濃度等の、水素化反応器内の反応条件に依存する。所望の最終生成物がHFO−1225yeである場合は、処理条件は、好ましくはHFC−236eaの生成に有利となる。すなわち、水素化反応器は、HFC−236eaに富む中間生成物の流れを生成するように操作され、HFC−236eaは続いて中間生成物の流れから分離されて脱フッ化水素化反応器内に供給され、HFO−1225yeを含む最終生成物の流れを形成する。このHFO−1225yeは、次いで最終生成物の流れから分離され、精製された生成物として回収される。所望の最終生成物がHFO−1234yfである場合は、処理条件は、好ましくはHFC−245ebの生成に有利となる。すなわち、水素化反応器は、HFC−245ebに富む中間生成物の流れを生成するように操作される。これは、HFPをHFC−236eaに変換し、次いでHFC−236eaをHFC−245ebに変換するのに有利な条件下で、水素化反応器を操作することにより達成される。次いでHFC−245ebは中間生成物の流れから分離されて脱フッ化水素化反応器内に供給され、HFO−1234yfを含む最終生成物の流れを形成する。このHFO−1234yfは、次いで最終生成物の流れから分離され、精製された生成物として回収される。
【0009】
さらに、HFO−1234yfが所望の生成物である場合、ある時点でHFO−1225yeを水素化反応器内に導入し、次いでHFC−245ebに変換することができる。このHFO−1225yeの供給源は、別個の供給物流れおよび/または再循環流れ(すなわち、上述のようにHFC−236eaから得られた再循環HFO−1225ye)であってもよい。ここでもまた、このHFC−245ebは中間生成物の流れから分離されて脱フッ化水素化反応器内に供給され、HFO−1234yfを含む最終生成物の流れを形成する。このHFO−1234yfは、次いで最終生成物の流れから分離され、精製された生成物として回収される。
【0010】
同じ処理機器を使用してHFO−1225yeおよびHFO−1234yfの両方を生成可能であるという発見は、経済的に非常に有利である。したがって、本発明は、一態様において、フッ素化オレフィン類、好ましくは、3個から6個の炭素原子および少なくとも4個のフッ素置換基を有するフッ素化オレフィン類、さらにより好ましくは、1,1,1,2−テトラフルオロプロペン(HFO−1234yf)、1,1,1,2,3−ペンタフルオロプロペン(HFO−1225ye)、およびそれらの組合せからなる群から選択される少なくとも1種類のフッ素化オレフィンを製造する方法を提供する。好ましくは、この方法は、少なくとも1種類の高フッ素化オレフィン、好ましくはN+1のフッ素化度、さらにより好ましくは5個のフッ素置換基(すなわち、N=4以上)を有するフッ素化プロペン、またさらにより好ましくはHFPを水素化して、1種類または複数種類のフッ素化アルカン、好ましくはN+1のフッ素化度を有する1種類または複数種類のフッ素化プロパン、さらにより好ましくはHFC−236eaおよび/またはHFC−245ebを製造すること;および、1種類または複数種類のフッ素化アルカンを脱フッ化水素化して、Nのフッ素化度を有する所望のフッ素化オレフィン、好ましくはHFO−1234yfおよび/またはHFO−1225yeのうちの1種類または複数種類を含む粗生成物の流れを生成すること;を含む。好ましい用途において、これらの方法は、さらに、粗生成物の流れから第1の所望のフッ素化オレフィンを分離することができる分離システム(装置)を提供し、さらに、前記第1のフッ素化オレフィンのための少なくとも第1および第2の選択的な流路を提供する工程を含み、前記第1の流路は、前記第1のフッ素化オレフィンの少なくとも一部を、前記水素化反応工程に導入(例えば、再循環)するように構成され、前記第2の流路は、前記第1の所望のフルオロオレフィンをさらなる処理に送達して、前記第1の所望のフルオロオレフィンを含有する比較的精錬された生成物の流れを生成するように構成され、前記第1および第2の選択的な流路は独立して動作可能である。
【0011】
図10を参照すると、本発明の他の態様は、同時に、および選択的に、1,1,1,2−テトラフルオロプロペン(HFO−1234yf)および1,1,1,2,3−ペンタフルオロプロペン(HFO−1225ye)を製造することができるシステム(装置)であって、(a)HFP、および任意選択で、または選択的にHFO−1225yeを含む供給物流れを、高い割合のHFC−236eaまたは高い割合のHFC−245eb(水素化反応生成物の流れにおけるHFC−236eaおよびHFC−245ebの総量を基準とする)を含む少なくとも1つの水素化反応生成物の流れに変換するのに効果的な条件下で操作されるように構成される、少なくとも第1の水素化反応器;(b)前記水素化反応器生成物の流れを複数の流れに分離することができる、少なくとも第1の分離器(そこで、前記流れのうちの少なくとも1つ(すなわち、第1の中間体の流れ)は、HFC−236eaまたはHFC−245ebのいずれか一方に比較的富み、また任意選択で、他の流れ(すなわち、第2の中間体の流れ)は、HFC−236eaまたはHFC−245ebの他方に比較的富む);(c)前記第1および/または第2の中間体の流れに分離された水素化反応生成物の少なくとも一部を、1,1,1,2−テトラフルオロプロペン(HFO−1234yf)、1,1,1,2,3−ペンタフルオロプロペン(HFO−1225ye)、およびそれらの組合せのうちの少なくとも1つに変換するのに効果的な条件下で操作されるように構成される、少なくとも1つの脱フッ化水素化反応器;を備えるシステム(装置)を提供する。好ましい実施形態において、このシステム(装置)は、(d)脱フッ化水素化反応生成物を、HFO−1234yfに比較的富む少なくとも第1の生成物の流れ、および/またはHFO−1225yeに比較的富む少なくとも第2の生成物の流れに分離することができる、少なくとも第2の分離器をさらに含む。ある好ましい実施形態において、このシステム(装置)は、HFO−1225yeに富む流れの少なくとも一部、好ましくはすべてを、水素化反応器および流路に再循環させるための流路を含む。ある好ましい実施形態において、このシステム(装置)は、前記HFO−1225yeをさらなる処理に送達して比較的より高い濃度のHFO−1225yeを含有する比較的精製された生成物の流れを生成するための、前記第1の流路と同時に、および独立して動作可能な少なくとも第2の流路を含む。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の実施形態によるフルオロオレフィンの製造を示すプロセスフロー図である。
【図2】本発明の実施形態による水素化単位操作を示すプロセスフロー図である。
【図3】本発明の他の実施形態による水素化単位操作を示すプロセスフロー図である。
【図4】本発明の実施形態による第1の分離単位操作を示すプロセスフロー図である。
【図5】本発明の他の実施形態による第1の分離単位操作を示すプロセスフロー図である。
【図6】本発明の実施形態による脱フッ化水素化単位操作を示すプロセスフロー図である。
【図7】本発明の他の実施形態による脱フッ化水素化単位操作を示すプロセスフロー図である。
【図8】本発明の実施形態による第2の分離単位操作を示すプロセスフロー図である。
【図9】本発明の他の実施形態による第2の分離単位操作を示すプロセスフロー図である。
【図10】本発明のある実施形態による同じ4つの単位操作を使用した、異なるフルオロオレフィンの製造を示すプロセスフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
ある非常に好ましい実施形態において、本発明の望ましいフッ素化オレフィンは、1個または複数のC3〜C6のフルオロアルケン、好ましくは以下の式:
CF3−z
(式中、Xは、C2、C3、C4、またはC5の不飽和、置換または非置換のアルキル基であり、各Rは、独立して、Cl、F、Br、I、またはHであり、zは1から3である)を有する化合物を含む。そのような化合物の中で非常に好ましいのは、3個から5個のフッ素置換基を有するプロペンおよびブテンであり、それらの中でも、テトラフルオロプロペン(HFO−1234)およびペンタフルオロプロペン(HFO−1225)が特に好ましい。
【0014】
本発明の好ましいプロセスは、ハロゲン置換度がNの合成されるべき1種類または複数種類のフッ素化オレフィンと実質的に同じ数の炭素原子を有する、ハロゲン置換度がN+1のフッ素化オレフィン出発物質を反応させることを含む。好ましくは、N+1のフッ素置換度を有するフッ素化オレフィン出発物質は、このオレフィンと同じ数の炭素原子を有する1種類または複数種類のフッ素化アルカンを含有する反応生成物を生成するのに効果的な反応条件に曝される。本発明の好ましい一態様において、このオレフィン変換工程は、便宜上本明細書において還元または水素化処理(工程)と称されることがある反応を含むが、必ずしも限定を意図するものではない。次いで、フッ素化アルカンは、好ましくは、Nのフッ素置換度を有するフッ素化オレフィンに変換される。本発明の好ましい一態様において、このアルカン変換工程は、便宜上本明細書において脱ハロゲン化水素化反応、またはある実施形態においてはより具体的に脱フッ化水素化もしくは脱塩化水素化反応と称されることがある反応を含むが、必ずしも限定を意図するものではない。
【0015】
本発明の一態様によれば、本発明の方法は、好ましくは、
(a)式(I):
(CX3−n)(CRCX=CH2−m (I)
の化合物を、式(II):
(CX3−n)(CRCHXCHm+12−m (II)
の少なくとも1種類のフッ素化アルカンを形成するのに効果的な条件下で水素化すること
(式中、各Xは、独立して、Cl、F、I、またはBrであり、但し、少なくとも2つのXはFであり;
各Yは、独立して、H、Cl、F、I、またはBrであり;
各Rは、独立して、H、Cl、F、I、Br、または非置換もしくはハロゲン置換メチルもしくはエチル基であり;
各Rは、独立して、H、Cl、F、I、Br、または非置換もしくはハロゲン置換メチルもしくはエチル基であり;
nは、1、2、または3(好ましくは3)であり;
aおよびbは、それぞれ、0、1、または2であり、但し、a+b=2であり;
mは、0、1、または2(好ましくは0または1)であり;
zは、0、1、2、または3(好ましくは0)である)、および
(b)式(II)の化合物を、式(I)の化合物よりもフッ素置換度が低いフルオロオレフィンを生成するのに効果的な条件下で脱ハロゲン化水素化し、好ましくは式(III):
(CX3−n)(CRCX=CHm+11−m (III)
(式中、nは、式(I)における値と同じであり、mは、0または1である)の化合物を製造することを含む。
【0016】
ある好ましい実施形態において、式(I)の反応物質は、zが0である式(IA)、すなわち:
CX3−nCX=CH2−m (IA)
の三炭素のオレフィンを含み、下記式(IIA):
(CX3−n)CHXCHm+12−m (IIA)
の三炭素のアルカンを生成し(式中、X、Y、n、およびmは、すべて上に示した通りである)、この化合物は次いで脱ハロゲン化水素化されて、式(IIIA):
(CX3−n)CX=CHm+11−m (IIIA)
(式中、nは、式(IA)における値と同じであり、mは、0または1である)の化合物を形成する。
【0017】
そのような実施形態のある非常に好ましい態様において、式(I)または(IA)の化合物の飽和末端炭素は、完全にフッ素で置換されており(例えば、飽和末端炭素上のnが3であり、その炭素上の各XがFである)、またさらにより好ましくは、nは3であり、この化合物における各XがFである。
【0018】
そのような好ましい態様の三炭素の実施形態では、式(IA)の化合物は、好ましくは、3個から6個のフッ素置換基を有し、また場合によっては他のハロゲン置換基を有するフルオロプロペンであり、例えばヘキサフルオロプロペン(すなわち、Zが0であり、nが3であり、mが0であり、すべてのXがFである)、またはペンタフルオロプロペン(すなわち、Zが0であり、nが3であり、mが1であり、すべてのXがFである)を含み、式(IIA)の化合物は、好ましくは、クロロトリフルオロプロパン(HCFC−244)、およびペンタフルオロプロパン(HFC−245)、およびヘキサフルオロプロパン(HFC−236)(これらのそれぞれのすべての異性体を含むが、好ましくは1,1,1,2,3−ペンタフルオロプロパン(HFC−245eb)、1,1,1,2,3,3−ヘキサフルオロプロパン(HFC−236ea)、およびこれらの組合せを含む)といったフッ素化アルカンのうちの1種類または複数種類を含み、またより好ましくはそれらからなる群から選択される。ある好ましい実施形態において、変換工程により生成されるフッ素化アルカンは、N+1のフッ素置換度を有する。
【0019】
好ましい実施形態において、オレフィンがアルカンに変換される工程は、少なくとも約40%、より好ましくは少なくとも約55%、さらにより好ましくは少なくとも約70%の式(I)の変換を与えるのに効果的な条件下で行われる。ある好ましい実施形態において、この変換は、少なくとも約90%、より好ましくは約99%である。さらに、ある好ましい実施形態において、式(II)の化合物を生成するための式(I)の化合物の変換は、少なくとも約60%、より好ましくは少なくとも約80%、より好ましくは少なくとも約90%、さらにより好ましくは約100%の式(II)の選択性を与えるのに効果的な条件下で行われる。
【0020】
好ましい実施形態において、アルカンがNのフッ素化度を有するフッ素化オレフィンに変換される工程は、少なくとも約40%、より好ましくは少なくとも約55%、さらにより好ましくは少なくとも約70%の式(II)の変換を与えるのに効果的な条件下で行われる。ある好ましい実施形態において、この変換は、少なくとも約90%、より好ましくは約95%である。さらに、ある好ましい実施形態において、式(III)の化合物を生成するための式(II)の化合物の変換は、少なくとも約60%、より好ましくは少なくとも約80%、より好ましくは少なくとも約90%、さらにより好ましくは約98%の式(III)の選択性を与えるのに効果的な条件下で行われる。
【0021】
ここで図1を参照すると、本発明の好ましい方法およびシステム(装置)は、少なくとも第1の水素化反応器Aと、N+1のハロゲン置換度、好ましくはN+1のフッ素置換度を有する少なくとも1種類のフッ素化オレフィンを含む、この水素化反応器への少なくとも第1の供給物流れ1とを備える。水素化工程Aは、好ましくは、還元剤を含む供給物流れ2も含む。好ましくは、この変換工程Aは、1つまたは複数の反応槽を備えることを含み、少なくともその反応槽の1つが好ましくは還元または水素化触媒を含有し、そして、所望の変換を達成するのに効果的な条件下で、この1つまたは複数の反応槽内に流れ1および2を導入することを含む。
【0022】
図において、流れ1および2は便宜上別個の流れとして示されているが、これは便宜上示されたものであり、本発明はそのように制限されない。例えば、流れ1および2は、ある実施形態において、反応槽の外で組み合わされ、次いで共に反応槽に導入されてもよく、または、他の実施形態において、流れ1および流れ2は、それぞれいくつかの別個の流れを含み、その流れそれぞれが異なる時間および/もしくは場所で1つもしくは複数の反応槽内に導入されてもよい。さらに、本発明は、後により詳細に説明するように、流れ1が実際には2つ以上の別個の流れを含んでもよく、工程Aが2つ以上の反応槽を備えてもよいことを企図する。そのような変形のすべてが企図される。別段に具体的に指定されていない限り、これと同じ規定が、本明細書全体を通して、説明および図の両方における、「流れ」、「工程」等の用語のすべての使用に対して、使用および適用されている。
【0023】
好ましい変換工程Aは、本発明によるフッ素化アルカンを含有する少なくとも1つの反応生成物の流れ3を生成する。流れ3は、好ましくは、脱ハロゲン化水素化工程Cにおける反応物質として使用される少なくとも第1の流れ5を与える、分離工程Bに導入される。また、好ましくは、反応生成物の流れ3の少なくとも一部を水素化反応工程Aに戻すために、流れまたは流路4が分離工程Bから提供される。工程Aからのフッ素化アルカン反応生成物の少なくとも一部を含有する流れ5は、脱ハロゲン化水素化工程Cに供給され、そこで流れ中のフッ素化アルカンは、本発明によるNのハロゲン置換度、ある好ましい実施形態においてはNのフッ素置換度を有するフッ素化オレフィンに変換される。変換工程Cは、好ましくは、1つまたは複数の反応槽を備えることを含み、少なくともその反応槽の1つが好ましくは脱ハロゲン化水素化触媒を含有し、粗反応生成物の流れ6において所望のフルオロオレフィンを生成するのに効果的な条件下で、この1つまたは複数の反応槽内に少なくとも流れ5を導入することを含む。
【0024】
好ましい実施形態において、変換工程Cは、所望のフルオロオレフィンの1種類または複数種類だけでなく、粗生成物の流れ6により反応工程Cから回収される水素および他の副生成物をも含む、反応生成物を生成する。そのような実施形態において、一般に、この流れ6を分離工程Dに導入し、そこで水素の少なくとも一部が流れから分離されて、(粗生成物の流れ6と比較して)所望のフッ素化オレフィンに比較的富む少なくとも第1の流れ7、(供給物流れ4と比較して)水素および/または他の副生成物に比較的富む少なくとも第2の流れ、ならびに、未反応の反応物質の少なくともある部分を脱ハロゲン化水素化工程Cに戻すための少なくとも1つの再循環流れ8を生成することが好ましい。さらに、好ましい実施形態によれば、分離工程または単位(ユニット)から、粗反応生成物6中に含有される任意のHFO−1225yeの少なくとも一部を水素化工程Aに戻すための流路10を提供することが好ましい。
【0025】
工程A、B、C、およびDのそれぞれ、ならびにそれに関連する供給物流れ、生成物の流れ、および流路のそれぞれの好ましい態様を以下に説明する。
【実施例】
【0026】
水素化工程
水素化または還元工程はバッチ操作で行われてもよいことが企図されるが、水素化反応は実質的に連続操作として行われることが好ましい。さらに、水素化反応は単一の反応槽内で行われてもよいことが企図されるし、反応工程Aは、並列式、直列式、もしくはその両方、または反応器設計のあらゆる組合せの、2つ以上の反応器もしくは反応段階を備えることができることもまた企図される。さらに、この反応工程は、各用途の詳細に依存して、1つまたは複数の供給物予熱工程または段階を含んでもよいことが企図される。
【0027】
ある実施形態において、この反応は液相反応を含み得ることが可能であるが、好ましい実施形態において、水素化反応は、少なくとも1つの気相反応段階を含むか、またさらに好ましくは少なくとも1つの気相反応段階からなることが企図される。
【0028】
本発明の好ましい一実施形態において、水素化工程は、関連した少なくとも第1の流路または供給物流れ1A、少なくとも第2の流路または供給物流れ1B、および少なくとも第3の流路または供給物流れ2を有する反応工程Aを含み、各流路は独立して動作可能である。1つのそのような実施形態を、図2に概略的に示す。そのような実施形態において、第1の流路または供給物流れ1AはHFP(ヘキサフルオロプロピレン)を含み、好ましくはHFPの実質的にすべてが反応工程Aに供給され、第2の流路または供給物流れ1BはHFO−1225yeを含み、好ましくはHFO−1225yeの実質的にすべてが反応工程Aに供給されるのが好ましい(多くの実施形態において、供給物流れ1Bは、実質的にゼロの流量を有すること、および他の実施形態において、この供給物流れ1Bは、実際にはこのプロセスにおける後続の操作からの再循環流れであってもよいことを理解されたい)。供給物流れ2は、反応工程Aのための水素化剤、好ましくはHを含む。流路または流れ4は、反応工程への再循環流れの導入を可能にするための経路である。ある実施形態において、再循環流れ4の実際の流量はゼロであるが、好ましい実施形態において、再循環流れは、冷却され分離された後の反応生成物の流れ3Aの一部を含む比較的低温の流れを含み、再循環流れ4の内容は、存在する場合には、好ましくはHFC−236ea、HFC−245eb、またはそれらの組合せに比較的富む。
【0029】
図3に示されるような本発明の他の好ましい実施形態において、水素化工程は、少なくとも第1の反応工程A1および第2の反応工程A2を含む。並列式または直列式あるいは並列式または直列式の組合せの1つまたは複数の反応段階を含むことができる第1の反応工程A1は、関連した少なくとも第1の流路または供給物流れ1A、および少なくとも第2の流路または供給物流れ2Aを有し、各流路は独立して動作可能である。そのような実施形態においては、第1の流路または供給物流れ1AがHFPを含み、好ましくはHFPの実質的にすべてが反応工程Aに供給され、第2の流路または供給物流れ2Aは、反応工程Aのための水素化剤、好ましくはHを含むことが好ましい。流路または流れ4Aは、反応工程への再循環流れの導入を可能にするための経路である。ある実施形態において、再循環流れ4Aの実際の流量は実質的にゼロであるが、好ましい実施形態において、再循環流れは、冷却され分離された後の反応生成物の流れ3Aの一部を含む比較的低温の流れを含み、再循環流れ4Aの内容は、存在する場合には、好ましくはHFC−236ea、HFC−245eb、またはそれらの組合せに比較的富む。並列式または直列式あるいは並列式または直列式の組合せの1つまたは複数の反応段階を含むことができる第1の反応工程A1は、関連した少なくとも第1の流路または供給物流れ1A、および少なくとも第2の流路または供給物流れ2Aを有し、各流路は独立して動作可能である。
【0030】
水素化反応器内でHFPを変換する反応段階に関連して、ある実施形態において、トリクルベッド反応器(trickle bed reactor)を使用することが好ましい。そのような場合、反応は以下のように進行することが企図される:
CFCF=CF+H→CFCHFCFH(HFC−236ea)
このプロセスの主要な副反応は、HFC−245ebおよびHFを生じる。HFC−245ebは、水添脱フッ素化反応(hydrodefluorination)および/または脱フッ化水素化に続く還元により、HFC−236eaから形成されると考えられる:
HFC−236ea+H→HFC−245eb+HF
【0031】
並列式または直列式あるいは並列式または直列式の組合せの1つまたは複数の反応段階を含むことができる第2の反応工程A2は、関連した少なくとも第1の流路または供給物流れ1B、および少なくとも第2の流路または供給物流れ2Bを有し、各流路は独立して動作可能である。そのような実施形態において、第1の流路または供給物流れ2Bは、存在する場合には、HFO−1225yeを含み、好ましくはHFO−1225yeの実質的にすべてが反応工程Aに供給される(多くの実施形態において、供給物流れ2Bは、実質的にゼロの流量を有すること、および他の実施形態において、この供給物流れ2Bは、実際にはこのプロセスにおける後続の操作からの再循環流れであってもよいことを理解されたい)。第2の流路または供給物流れ2Bは、反応工程A2のための水素化剤、好ましくはHを含む。流路または流れ4Bは、反応工程への再循環流れの導入を可能にするための経路である。いくつかの実施形態において、再循環流れ4Bの実際の流量はゼロであるが、好ましい実施形態において、再循環流れは、冷却され分離された後の反応生成物の流れ3Aおよび/または3Bの一部を含む比較的低温の流れを含み、再循環流れ4Bの内容は、存在する場合には、好ましくはHFC−236ea、HFC−245eb、またはそれらの組合せに比較的富む。流路または流れ10は、反応工程への第2の再循環流れの導入を可能にするための経路であり、これは、好ましい実施形態において、HFO−1225yeに比較的富む流れを含むように処理された後の反応生成物の流れ6の少なくとも一部を含む。
【0032】
水素化反応器内でHFO−1225yeを変換する反応段階に関連して、ある実施形態において、トリクルベッド反応器を使用することが好ましい。そのような場合、反応は以下のように進行することが企図される:
CFCF=CFH(液体)+H(気体)→CFCHFCFH(HFC−245eb−気体)
主要な副反応は、以下の通りであることが企図される:
HFC−245eb+H→CFCHFCH(HFC−254)+HF
【0033】
好ましくは、水素化反応条件は、その反応において、本発明に従い所望の変換および/または選択性を達成するために制御される。本明細書で使用される場合、「反応条件」という用語は、単数および複数を含むことを意図し、場合によっては反応槽または反応段階の使用または不使用を含む、いずれか1個または複数の処理パラメータの制御を意味し、これは、本明細書に含まれる教示に従い供給物質の変換および/または選択性をもたらすために、反応の操作者により変更され得る。限定を目的とせず、例として、反応の温度、反応物質の流速、希釈剤の存在、反応槽に存在する触媒の量、反応槽の形状およびサイズ、反応の圧力、ならびに、これらと、本明細書に含まれる開示を考慮して当業者に利用可能であり既知である他のプロセスパラメータとのいずれかの組合せのうち、いずれか1つまたは複数を制御または調整することにより、供給物質の変換を制御または調整することができる。反応槽自体のサイズおよび形状、ならびに他の特性は、本発明の範囲内で広く変動する可能性があり、また各段階に関連した反応槽は、上流側および下流側の反応段階に関連した反応槽とは異なっていても、あるいは同じであってもよいことが企図される。さらに、変換を制御するために必要な手段および機構が提供される限り、すべての反応段階が単一槽内で生じてもよいことが企図される。例えば、ある実施形態においては、各反応段階に対して単一の管状反応器を利用し、管状反応器全体を通した触媒の量および/または分布の賢明な選択による変換制御を提供することが望ましい場合がある。そのような場合、管状反応器の異なる部分から除去される、またはそこに加えられる熱量を制御することにより、同じ管状反応器の異なる部分において変換をさらに制御することが可能である。
【0034】
当業者は、本明細書に含まれる教示を考慮して、本発明の水素化工程に使用される1種類または複数種類の触媒の種類を容易に選択することができる。例えば、ある実施形態において、少なくとも1つであるが好ましくはすべての反応段階が、パラジウム触媒、好ましくは1%のパラジウム炭素を、単独で、または他の触媒と組み合わせて利用することが好ましい。これに関して、本発明による反応段階のうちの1つまたは複数に対し、参照することにより本明細書に組み入れられる米国特許第5,679,875号(特許文献1)に開示される水素化触媒の1種類または複数種類を使用することができる。ある好ましい実施形態において、触媒は、好ましくは、炭素メッシュ等の炭素上に担持されたパラジウムを含む。
【0035】
したがって、本方法のある実施形態は、式Iに従うフッ素化オレフィン、およびH等の水素化剤を、少なくとも第1の反応段階において第1の量の触媒に接触させ、1種類または複数種類のハイドロフルオロカーボン、未反応のフッ素化オレフィン、および水素を含む反応流れを生成することを含む。ある好ましい実施形態において、水素化工程の次に、後述するような好ましい分離工程が続く。使用されている触媒および最も望ましい反応生成物等の関連要因に依存して、広範な水素化反応温度を用いることができることが企図されるが、一般に、水素化工程のための反応温度は、約50℃から約150℃、好ましくは約75℃から約115℃、さらにより好ましくは約90℃から約100℃であることが好ましい。
【0036】
一般に、これも使用されている特定の触媒および最も望ましい反応生成物等の関連要因に依存して、広範な反応圧力を用いることができることも企図される。反応圧力は、例えば、約100psigから約300psig、好ましくは約150psigから約250psig、さらにより好ましくは約200psigであり得る。
【0037】
出願人らは、いなかる特定の理論にも束縛または限定されず、水素化反応における冷却された再循環流れ4の使用により、供給物質が、水素化反応からの熱を除去するための手段として機能することができることを発見した。本発明の還元または水素化反応は、概して発熱反応であり、通常は実質的に発熱反応であるため、そのような再循環物質の使用は、好ましい実施形態において、他のすべての処理条件が同一に維持されると仮定して、反応器温度を、再循環が使用されない場合に存在するであろう温度より低く維持するという効果を有する。
【0038】
使用される水素の量は広く変動し得ることが企図される。好ましい実施形態において、水素は、約1:1から約2:1のH:オレフィン供給比で、さらにより好ましくは約1:1から約1.5:1、さらにより好ましくは約1.3:1の比で、気体として反応工程に供給される。
【0039】
水素化反応流出物の分離
このように、ある好ましい実施形態において、本発明は、反応器生成物の流れの少なくとも一部を冷却して、反応熱の少なくとも一部を除去する工程を含む。多くの好ましい実施形態において、この冷却工程は、以下の図4、5、および6と関連して説明される、分離工程Bの好ましい態様の一部として含まれる。好ましくは、冷却された再循環反応生成物の新鮮な供給物に対する比率は、約12:1であり、再循環流れの温度は、好ましくは約50℃から約100℃、さらにより好ましくは約70℃である。さらに、反応熱の除去を補助するため、ある実施形態において、新鮮な供給物および/または再循環供給物を液相で反応に導入し、反応熱で液体供給物および/または反応生成物を蒸発させ、気相の反応生成物を回収することが好ましい。
【0040】
ここで図4を参照すると、反応生成物の流れ3Aおよび3Bは、分離工程Bに向けられており、この分離工程Bは、図4の実施例において1つまたは複数の冷却された反応生成物の流れ3AB(これは次いで1つまたは複数の分離段階B2に供給される)を生成する冷却工程B1を含む。当業者は、本明細書に含まれる教示を考慮して、過度の実験を行うことなく、そのような冷却を達成するための多くの手段および機構を考案することができ、またそのような手段および機構のすべてが、本発明の範囲内であることが企図される。好ましい分離工程B2は、好ましくは、未反応の水素、HFC−236eaおよび/またはHFC−245eb等のフッ素化アルカン、またはこれらの組合せに比較的富む第1の流れ4(これは、さらなる処理により、または処理なしで、反応工程Aに再循環されてもよい)を生成する、少なくとも第1の分離工程を含む。HFC−236eaおよび/またはHFC−245eb等のフッ素化アルカンに比較的富む第2の流れ5もまた、分離工程B2から生成される。
【0041】
図4Aに示される好ましい一実施形態において、分離工程は、冷却工程B1に加え、反応生成物の一部を含有する少なくとも第1の冷却された流れ4A(これは好ましくは反応工程Aに再循環される)、および粗生成物の流れ100(これはさらなる分離工程B3に供給され、そこで流れ100中の過剰な水素の実質的な部分がこの流れから排出され、廃棄もしくは流れ4Bにおけるさらなる処理に送られる)を生成する分離工程B2を含む。分離工程B3からの流れ101は、次いでさらなる分離工程B4に供給され、そこで不要な副生成物が流れ4Cにおいて除去され、1つまたは複数の生成物の流れ5Aおよび5Bが生成される。好ましい実施形態において、流れ5Aは、第1のフッ素化アルカン、好ましくはHFC−236eaに比較的富み、および第2の流れ5Bは、第2のフッ素化アルカン、好ましくはHFC−245ebに富む。
【0042】
ここで図5を参照して説明される他の実施形態において、反応生成物の流れ3Aおよび3Bは、それぞれ別個の分離工程に向けられており、これらの分離工程は別個の冷却工程B1およびB1’を含み、これらの冷却工程のそれぞれは1つまたは複数の冷却された反応生成物の流れ3A’および3B’を生成し、次いで別個の分離段階B2およびB2’に供給されて、供給物流れ3AがHFPに富む場合はHFC−236ea等の第1のフッ素化アルカン生成物に比較的富む第1の流れ5Aと、供給物流れ3BがHFO−1225yeに富む場合はHFC−245eb等の第2のフッ素化アルカン生成物に比較的富む第2の反応生成物の流れ5Bとを生成する。図4に関連して上述した流れ4(図示せず)も、工程B2およびB2’のそれぞれから除去され得る。さらに、図4Aに示され説明された具体的な実施形態はまた、図5に示される分離工程BおよびB’の1つまたは両方と関連した使用に適応され得る。
【0043】
脱ハロゲン化水素化
脱ハロゲン化水素化反応工程は、本明細書に含まれる全般的な教示を考慮して、広範な処理パラメータおよび処理条件を使用して行うことができることが企図され、例えば、脱ハロゲン化水素化工程は、ある好ましくない実施形態においては、液相反応を含み得ることが企図される。しかしながら、本発明の多くの実施形態において、この反応工程は、好ましくは、触媒、好ましくは金属触媒、さらにより好ましくは1種類または複数種類の遷移金属系触媒(ある好ましい実施形態においては、遷移金属ハライド触媒を含む)、例えば担持された、またはバルクでのFeCl、クロムオキシフルオライド、Ni(Niメッシュを含む)、NiCl、CrF、およびそれらの混合物等の存在下での気相反応を含むことが好ましい。他の触媒には、炭素担持触媒、アンチモン系触媒(SbCl等)、アルミニウム系触媒(AlF、Alおよびフッ素化Al等)が含まれる。具体的な実施形態の要件に依存して、例えばパラジウム系触媒、白金系触媒、ロジウム系触媒、およびルテニウム系触媒を含む、他の多くの触媒を使用することができることが期待される。当然ながら、これらの触媒、または本明細書に挙げられていない他の触媒のいずれか2種類以上を組み合わせて使用してもよい。
【0044】
概して、触媒はフッ素化されるのが好ましい。好ましい実施形態において、触媒のフッ素化は、反応温度および圧力付近において、触媒をHFの流れに曝すことを含む。例えば、気体形態の式(II)の化合物を適した反応槽または反応器内に導入することにより、気相脱ハロゲン化水素化反応を行ってもよい。好ましくは、この反応槽は、ハステロイ、インコネル、モネル、および/またはフルオロポリマーのライニング等の、耐腐食性の材料から構成される。好ましくは、この槽は、触媒、例えば適した脱ハロゲン化水素化触媒を充填した固定または流動触媒床等を含有し、反応混合物を所望の反応温度まで加熱する適した手段を備える。
【0045】
使用されている触媒および最も望ましい反応生成物等の関連要因に依存して、広範な反応温度を用いることができることが企図されるが、一般に、脱ハロゲン化水素化工程のための反応温度は、約150℃から約600℃、好ましくは約200℃から約400℃、さらにより好ましくは約250℃から約300℃であることが好ましい。
【0046】
一般に、これも使用されている特定の触媒および最も望ましい反応生成物等の関連要因に依存して、広範な反応圧力を用いることができることが企図される。反応圧力は、例えば、過圧、大気圧、または真空下とすることができる。ある実施形態において、窒素、酸素、および窒素と酸素の混合物等の不活性希釈ガスおよび/または酸化剤を、式(II)の化合物と組み合わせて、脱ハロゲン化水素化工程への供給物として使用することができる。そのような希釈剤および/または酸化剤が使用される場合、一般に、供給物流れは、希釈剤および式(II)の化合物の総合重量を基準として、約5重量%から95重量%を超える式(II)の化合物を含むことが好ましい。
【0047】
使用される触媒の量は、各実施形態に存在する具体的なパラメータに依存して変動することが企図される。好ましい実施形態において、総供給流量(ml/秒)に対する触媒体積(ml)の比率として表現される接触時間は、約0.1秒から約1000秒であり、好ましくは、約2秒から約120秒である。
【0048】
概して、反応は吸熱反応であることが企図される。熱管理を補助するために、ある実施形態において、反応器は等温管状反応器を含み、熱入力は、高温の塩および/または油、過熱した流れ、または再循環高温ガス等の比較的高温の熱媒体を用いて提供されることが企図される。さらに、反応で生成されたHFO−1225yeの再循環も、反応温度の制御を補助するために使用することができる。
【0049】
1つの好ましい脱ハロゲン化水素化反応は、脱フッ化水素化反応を含む。例えば、式(III)の所望の生成物がHFO−1234yfである実施形態のためには、ある実施形態において式(II)の化合物が1,1,1,2,3−ペンタフルオロプロパンを含むことが好ましい。出願人らは、そのような実施形態においては、触媒としてフッ素化された酸化クロム触媒を使用することが好ましいことを発見した。
【0050】
そのような脱フッ化水素化の実施形態において、好ましくは、変換は、少なくとも約50%、より好ましくは少なくとも約65%、さらにより好ましくは少なくとも約90%である。好ましくは、HFO−1234yfに対する選択性は、少なくとも約70%、より好ましくは少なくとも約80%、さらにより好ましくは少なくとも約90%である。好ましくは、各使用サイクルの前に、脱ハロゲン化水素化触媒は乾燥され、前処理され、活性化される。また、ある実施形態においては、長期間使用された後、触媒を反応器内に入れたまま定期的に再生することが有利となり得る。前処理は、窒素または他の不活性ガスの流れで触媒を約250℃から約430℃に加熱することを含んでもよい。次いで触媒は、高い触媒活性を得るために、大過剰の窒素ガスで希釈されたHFの流れで処理することにより活性化され得る。触媒の再生は、例えば、反応器のサイズに依存して、約1時間から約3日間、約100℃から約400℃の温度で触媒に空気または酸素を通じることによるもの等、当技術分野で知られたいかなる手段によっても達成することができる。
【0051】
ある実施形態において、反応は液相反応を含み得ることが可能であるが、好ましい実施形態において、脱ハロゲン化水素化反応は、少なくとも1つの気相反応段階を含むか、またさらに好ましくは少なくとも1つの気相反応段階からなることが企図される。本発明の好ましい一実施形態において、脱ハロゲン化水素化工程は、関連した少なくとも第1の流路または供給物流れ5A、少なくとも第2の流路または供給物流れ5B、および少なくとも第3の流路または供給物流れ8を有する反応工程Cを含み、各流路は独立して動作可能である。1つのそのような実施形態を、図6に概略的に示す。そのような実施形態においては、第1の流路または供給物流れ5AはHFO−236eaを含み、好ましくはHFO−236eaの実質的にすべてが反応工程Cに供給され、第2の流路または供給物流れ5BはHFC−245ebを含み、好ましくはHFO−245ebの実質的にすべてが反応工程Cに供給されるのが好ましい(多くの実施形態において、供給物流れ5Bは、実質的にゼロの流量を有することを理解されたい)。流路または流れ8は、この反応工程への再循環流れの導入を可能にするための経路である。いくつかの実施形態において、再循環流れ8の実際の流量はゼロであるが、好ましい実施形態において、再循環流れは、冷却され分離された後の反応生成物の流れ6Aの一部を含む比較的低温の流れを含み、再循環流れ4の内容は、存在する場合には、好ましくはHFC−236ea、HFC−245eb、またはそれらの組合せに比較的富む。
【0052】
図7に示されるような本発明の他の好ましい実施形態において、脱ハロゲン化水素化工程は、少なくとも第1の反応工程C1および第2の反応工程C2を含む。並列式または直列式あるいは並列式または直列式の組合せの1つまたは複数の反応段階を含むことができる第1の反応工程C1は、関連した少なくとも第1の流路または供給物流れ5A、および少なくとも第2の流路または供給物流れ8Aを有し、各流路は独立して動作可能である。並列式または直列式あるいは並列式または直列式の組合せの1つまたは複数の反応段階を含むことができる第2の反応工程C2は、関連した少なくとも第1の流路または供給物流れ5B、および少なくとも第2の流路または供給物流れ8Bを有し、各流路は独立して動作可能である。そのような実施形態においては、第1の流路または供給物流れ5AはHFO−236eaを含み、好ましくはHFO−236eaの実質的にすべてが反応工程Cに供給され、第2の流路または供給物流れ5Bは、存在する場合には、HFO−245ebを含み、好ましくはHFO−245ebの実質的にすべてが反応工程Cに供給されるのが好ましい。流路または流れ8Aおよび8Bは、未反応供給物の少なくとも一部を含む再循環流れの反応工程への導入を可能にするための流路である。いくつかの実施形態において、再循環流れ8Aおよび8Bの実際の流量は実質的にゼロであるが、好ましい実施形態において、再循環流れは、冷却され分離された後の反応生成物の流れ6Aおよび6Bの一部を含む比較的低温の流れを含む。
【0053】
脱ハロゲン化水素化反応器内でHFO−236eaを変換する反応段階に関連して、そのような場合に反応は以下のように進行することが企図される:
CFCHFCFH(HFC−236ea−気体)→CFCF=CHF(HFC−1225ye−気体)+HF
【0054】
本プロセスは、典型的には約150℃の温度で行われる、HFO−1225yeの所望の異性体へ変換するための異性化工程を含んでもよいことが理解されよう。
【0055】
並列式または直列式あるいは並列式または直列式の組合せの1つまたは複数の反応段階を含むことができる第2の反応工程C2は、関連した少なくとも第1の流路または供給物流れ5B、および少なくとも第2の流路または供給物流れ8Bを有し、各流路は独立して動作可能である。そのような実施形態においては、第1の流路または供給物流れ5BはHFC−245ebを含み、好ましくはHFC−245ebの実質的にすべてが反応工程Cに供給されることが好ましい。第2の流路または供給物流れ8Bは、上述のように、反応生成物の一部の再循環を含む。
【0056】
脱ハロゲン化水素化反応器内でHFC−245ebを変換する反応段階に関連して、そのような場合反応は以下のように進行することが企図される:
CFCHFCFH(気体)→CFCF=CH+HF
【0057】
好ましくは、反応条件は、その反応において、本発明に従い所望の変換および/または選択性を達成するために制御される。本明細書で使用される場合、「反応条件」という用語は、単数および複数を含むことを意図し、場合によっては反応槽または反応段階の使用または不使用を含む、処理パラメータのいずれか1つまたは複数の制御を意味し、これは、本明細書に含まれる教示に従い供給物質の変換および/または選択性をもたらすために、反応の操作者により変更され得る。限定を目的とせず、例として、反応の温度、反応物質の流速、希釈剤の存在、反応槽に存在する触媒の量、反応槽の形状およびサイズ、反応の圧力、ならびに、これらと、本明細書に含まれる開示を考慮して当業者に利用可能であり既知である他のプロセスパラメータとのいずれかの組合せのうち、いずれか1つまたは複数を制御または調整することにより、供給物質の変換を制御または調整することができる。反応槽自体のサイズおよび形状、ならびに他の特性は、本発明の範囲内で広く変動する可能性があり、また各段階に関連した反応槽は、上流側および下流側の反応段階に関連した反応槽とは異なっていても、あるいは同じであってもよいことが企図される。さらに、変換を制御するために必要な手段および機構が提供される限り、すべての反応段階が単一槽内で生じてもよいことが企図される。例えば、ある実施形態においては、各反応段階に対して単一の管状反応器を利用し、管状反応器全体を通した触媒の量および/または分布の賢明な選択による変換制御を提供することが望ましい場合がある。そのような場合、管状反応器の異なる部分から除去される、またはそこに加えられる熱量を制御することにより、同じ管状反応器の異なる部分において変換をさらに制御することが可能である。
【0058】
脱ハロゲン化水素化流出物の分離
上述のように、フッ素化オレフィン、好ましくはフッ素化プロペンの生成に加え、脱フッ化水素化反応はまたHFを生成する。好ましい一実施形態において、硫酸を用いた向流抽出により、脱フッ化水素化生成物の流れからHFが除去される。この実施形態において、HFを含有する生成物の流れは、カラム、好ましくは充填カラムに一方向に供給される。同時に、同じ充填カラムに、好ましくは向流的に硫酸の流れが供給される。適切なカラム充填剤は、当業者により容易に決定され得る。適したカラム充填材料には、HFまたは硫酸の存在下で反応しない非金属ポリマー材料、金属、および合金、例えばPTFE(ポリテトラフルオロエチレン)、PFA(パーフルオロ−アルコキシアルカン)、ハステロイ、モネル、および貴金属で作製されたものが含まれる。好ましくは、硫酸の流れは、約50%から約100%の硫酸、より好ましくは約80%の硫酸を含有する。一実施形態において、硫酸の流れは、生成物の流れの供給速度の約2倍の供給速度で充填カラムの上面に連続的に供給され、好ましい実施形態においては、生成物の流れは、充填カラムの底面から供給され、硫酸を含有する実質的に下向きに流動する流れに対し実質的に向流的に略上向き方向に移動する。ある実施形態において、硫酸およびHFを含む流れは、カラムの底面から除去され、好ましくは流れの少なくとも一部、最も好ましくは流れの実質的にすべてが、抽出塔に再循環される。再循環工程は、好ましくは、カラム底部におけるHF濃度が約10重量%HFを超えるまで繰り返される。
【0059】
一実施形態において、約10重量%を超えるHFを含有する硫酸とHFの混合物は、別個の槽に投入される。次いで、混合物は、HFを気化およびフラッシュオフする(これは回収される)ために十分な温度まで加熱される。他の実施形態は、フラッシュ蒸留から回収されたHFの精製を含む。
【0060】
任意選択で、脱ハロゲン化水素化反応から生成されたHFまたはHClは、水または苛性溶液を使用して生成物の流れから洗浄される。
【0061】
ある好ましい実施形態において、本発明は、反応器生成物の流れの少なくとも一部を冷却して、反応熱の少なくとも一部を除去する工程を含む。多くの好ましい実施形態において、この冷却工程は、以下の図8および9と関連して説明される、分離工程Dの好ましい態様の一部として含まれる。好ましくは、冷却された再循環反応生成物の新鮮な供給物に対する比率は、約12:1であり、再循環流れの温度は、好ましくは約50℃から約100℃、さらにより好ましくは約70℃である。さらに、反応熱の除去を補助するため、ある実施形態において、新鮮な供給物および/または再循環供給物を液相で反応に導入し、反応熱で液体供給物および/または反応生成物を蒸発させ、気相の反応生成物を回収することが好ましい。
【0062】
ここで図8を参照すると、反応生成物の流れ6Aおよび6Bは、分離工程Dに向けられており、この分離工程Dは、図8の実施例において1つまたは複数の冷却された反応生成物の流れ7AB(これは次いで1つまたは複数の分離段階D2に供給される)を生成する冷却工程D1を含む。当業者は、本明細書に含まれる教示を考慮して、過度の実験を行うことなく、そのような冷却を達成するための多くの手段および機構を考案することができ、またそのような手段および機構のすべてが、本発明の範囲内であることが企図される。好ましい分離工程D2は、好ましくは、HFC−236eaおよび/もしくはHFC−245eb等の未反応フッ素化アルカン、またはこれらの組合せに比較的富む第1の流れ8(これは、さらなる処理により、もしくは処理なしで、反応工程Cに再循環されてもよい)を生成する、少なくとも第1の分離工程を含む。
【0063】
図8に示される好ましい一実施形態において、反応生成物7ABは、好ましくは上述のようにいかなるHFをも回収する工程と、粗生成物の流れから不要な副生成物を分離して、HFO−1234yfもしくはHFO−1225yeに富む比較的精製された生成物の流れ、またはそれら両方に富む別個の流れを生成する工程とを含む分離工程に供される。ある実施形態において、HFO−1225yeの一部が生成物の流れから分離され、また水素化反応工程に再循環されてそこで供給物として使用され得る。
【0064】
図9に示されるように、代替の実施形態において、特に供給物HFC−236eaおよびHFC−245ebが別個の反応列内に実質的に別個に供給される場合、脱ハロゲン化水素化反応工程からの流出物に対し、別個の分離列を使用することができる。
【符号の説明】
【0065】
1 供給物流れ
2 供給物流れ
3 反応生成物の流れ
4 再循環流れ
5 反応生成物の流れ
6 反応生成物の流れ
7 反応生成物の流れ
8 再循環流れ
10 再循環流れ
100 反応生成物の流れ
101 反応生成物の流れ
A 水素化工程
B 分離工程
B1 冷却工程
B1’ 冷却工程
B2 分離工程
B2’ 分離工程
B3 分離工程
B4 分離工程
C 脱ハロゲン化水素化工程
D 分離工程
D1 冷却工程
D2 分離工程

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1種類のフッ素化オレフィンを製造するための方法であって、
(a)式(I):
(CX3−n)(CRCX=CH2−m (I)
の少なくとも1種類のアルケンを含む出発物質の流れを、該出発物質を還元剤と接触させて、式(II):
(CX3−n)(CRCHXCHm+12−m (II)
の少なくとも1種類のアルカンを含む中間生成物の流れを生成することにより水素化する工程
(式中、各Xは、独立して、Cl、F、I、またはBrであり、但し、少なくとも2個のXはFであり;
各Yは、独立して、H、Cl、F、IまたはBrであり;
各Rは、独立して、H、Cl、F、I、Br、または非置換もしくはハロゲン置換メチルもしくはエチル基であり;
各Rは、独立して、H、Cl、F、I、Br、または非置換もしくはハロゲン置換メチルもしくはエチル基であり;
nは、1、2、または3であり;
aおよびbは、それぞれ、0、1、または2であり、但し、a+b=2であり;
mは、0、1、または2であり;および
zは、0、1、2、または3である);
(b)任意選択で、前記中間生成物の流れを複数の流れに分離する工程であって、前記複数の中間生成物の流れは、少なくとも式IIの第1のアルカンに富む第1の流れ、少なくとも式IIの第2のアルカンに富む第2の流れ、およびアルカン再循環流れからなる群から選択される、2つ以上の流れを含む工程;
(c)工程(a)からの前記中間生成物の流れ、または工程(b)の前記複数の中間生成物の流れの少なくとも一部を脱フッ化水素化して、1,1,1,2,3−ペンタフルオロプロペンと、式(I)の化合物のフッ素化度と比較してより低いフッ素置換度を有する少なくとも1種類の追加のアルケンとを含む、アルケン生成物の流れを生成する工程;
(d)前記1,1,1,2,3−ペンタフルオロプロペンの少なくとも一部を、前記アルケン生成物の流れから分離して、1,1,1,2,3−ペンタフルオロプロペンに富む再循環流れおよび前記追加のアルケンに富む最終生成物の流れを生成する工程;および
(e)前記工程(a)において前記再循環流れを導入する工程であって、前記1,1,1,2,3−ペンタフルオロプロペンの少なくとも一部が水素化されて前記中間生成物の流れの一部を形成する工程;
を含む方法。
【請求項2】
前記追加のアルケンが、式(III):
(CX3−n)(CRCX=CHm+11−m (III)
(式中、nは式(I)における値と同じであり、mは0または1である)の化合物である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
Zが0である、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
mが0または1である、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
nが3である、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
XがFである、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記還元剤がHである、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記出発物質の流れが、ヘキサフルオロプロピレンを含み、前記追加のアルケンが、1,1,1,2−テトラフルオロプロペンである、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
1,1,1,2−テトラフルオロプロペンを製造するための方法であって、
(a)ヘキサフルオロプロピレンを含む出発物質の流れを、水素化反応器内で該出発物質の流れを還元剤と接触させることにより水素化して、1,1,1,2,3−ペンタフルオロプロパンを含む中間体の流れを生成する工程;および
(b)前記1,1,1,2,3−ペンタフルオロプロパンを、脱フッ化水素化反応器内で脱フッ化水素化して、1,1,1,2−テトラフルオロプロペンを含む生成物の流れを生成する工程;
を含む方法。
【請求項10】
前記ヘキサフルオロプロピレンの少なくとも一部が、前記還元剤と反応して1,1,1,2,3,3−ヘキサフルオロプロパンを生成し、前記1,1,1,2,3,3−ヘキサフルオロプロパンの少なくとも一部が、前記還元剤と反応して前記1,1,1,2,3−ペンタフルオロプロパンの少なくとも一部を生成する、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記中間体の流れが、1,1,1,2,3,3−ヘキサフルオロプロパンをさらに含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記中間体の流れが、1,1,1,2,3,3−ヘキサフルオロプロパンに富む中間体再循環流れに分離され、前記中間体再循環流れが、水素化反応器内に導入され、そこで前記再循環された1,1,1,2,3,3−ヘキサフルオロプロパンの少なくとも一部が水素化されて、1,1,1,2,3−ペンタフルオロプロパンを形成する、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
(c)前記1,1,1,2,3,3−ヘキサフルオロプロパンを、前記脱フッ化水素化反応器内で脱フッ化水素化して、1,1,1,2,3−ペンタフルオロプロペンを形成する工程;
をさらに含む、請求項11に記載の方法。
【請求項14】
前記1,1,1,2,3−ペンタフルオロプロペンの少なくとも一部が再循環されて工程(a)において導入され、そこで前記再循環された1,1,1,2,3−ペンタフルオロプロペンの少なくとも一部が水素化されて、1,1,1,2,3−ペンタフルオロプロパンを形成する、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
工程(b)および(c)が前記脱フッ化水素化反応器内で同時に行われ、前記生成物の流れが、前記1,1,1,2,3−ペンタフルオロプロペンをさらに含む、請求項13に記載の方法。
【請求項16】
前記生成物の流れが、前記1,1,1,2−テトラフルオロプロペンに富む最終生成物の流れ、および前記1,1,1,2,3−ペンタフルオロプロペンに富む生成物再循環流れに分離され、前記生成物再循環流れが前記水素化反応器内に導入され、そこで前記1,1,1,2,3−ペンタフルオロプロペンの少なくとも一部が水素化されて、前記中間体の流れの一部を形成する、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記中間体の流れが、1,1,1,2,3,3−ヘキサフルオロプロパンに富む中間体再循環流れに分離され、前記中間体再循環流れが、前記水素化反応器内に導入され、そこで前記再循環された1,1,1,2,3,3−ヘキサフルオロプロパンの少なくとも一部が水素化されて、1,1,1,2,3−ペンタフルオロプロパンを形成する、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
少なくとも1種類のフッ素化オレフィンを製造するための装置であって、
(a)水素化反応器;
(b)前記水素化反応器と流体接続された出発物質供給流れであって、ヘキサフルオロプロピレンを含む前記出発物質供給流れ;
(c)前記水素化反応器と流体接続された1つまたは複数の中間体の流れ;
(d)前記1つまたは複数の中間体の流れと流体接続された第1の分離器;
(e)前記第1の分離器と流体接続された1つまたは複数の分離器通過後の流れ;
(f)任意選択で、前記第1の分離器および前記水素化反応器と流体接続された第1の再循環流れ;
(g)前記分離器通過後の流れの少なくとも1つと流体接続された脱ハロゲン化水素化反応器;
(h)前記脱ハロゲン化水素化反応器と流体接続された生成物の流れ;
(i)前記生成物の流れと流体接続された第2の分離器;
(j)前記第2の分離器および前記水素化反応器と流体接続された第2の再循環流れ;および
(k)前記第2の分離器と流体接続された最終生成物の流れであって、1,1,1,2−テトラフルオロプロペンまたは1,1,1,2,3−ペンタフルオロプロペンに富む前記最終生成物の流れ;
を備える装置。
【請求項19】
前記最終生成物の流れが、1,1,1,2−テトラフルオロプロペンに富み、前記第2の再循環流れが、前記1,1,1,2,3−ペンタフルオロプロペンに富む、請求項18に記載の装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2009−221202(P2009−221202A)
【公開日】平成21年10月1日(2009.10.1)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2009−62924(P2009−62924)
【出願日】平成21年3月16日(2009.3.16)
【出願人】(500575824)ハネウェル・インターナショナル・インコーポレーテッド (1,504)
【Fターム(参考)】