説明

フッ素化フルオレン誘導体

【課題】高度に負のDC異方性を有し、液晶媒体の成分として適する、新規で安定な液晶またはメソゲン性化合物、液晶媒体並びに光学的および電気光学的ディスプレイ素子を提供する。
【解決手段】式1、R−(−A−Z−)k1−(A−Z−)k2−W−(−Z−A−)k3(−Z−A−)k4−R、式中、W=部分式(2)


であり、L、Lは、独立して、=H、F、Cl、−CHF、−CHFまたは−CFであり、ただし、LおよびLは、共にHではなく、L、Lは、独立して、=HまたはFであり、R、R、A、A、A、A、Z、Z、Z、Z、k1、k2、k3およびk4は、所定の意味を有する、で表される、誘電定数の負の異方性を有する新規なフッ素化フルオレン誘導体であり、液晶媒体、光学的および電気光学的ディスプレイ素子。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、誘電定数の負の異方性(DC異方性)を有する、式I
−(−A−Z−)k1−(−A−Z−)k2−W−(−Z−A−)k3−(−Z−A−)k4−R
式中、
Wは、
【化1】

基であり、
【0002】
およびLは、互いに独立して、H、F、Cl、−CHF、−CHFまたは−CFであり、ただし、LおよびLは、共にHではなく、
およびLは、互いに独立して、HまたはFであり、
およびRは、互いに独立して、H、ハロゲン、−CN、−NCS、−SFまたは1〜18個の炭素原子を有するアルキルであり、ここで、さらに、1つまたは2つの隣接していない−CH−基は、−O−、−S−、−CO−、−O−CO−、−CO−O−、−E−および/または−C≡C−により置換されていることができ、および/または、ここで、さらに、1個または2個以上のH原子は、ハロゲンおよび/または−CNにより置換されていることができ、
【0003】
Eは、CR=CRまたはCHR−CHRであり、
およびRは、各々、互いに独立して、H、1〜6個の炭素原子を有するアルキル、F、Cl、CFまたはCNであり、
、A、AおよびAは、各々、互いに独立して、1つまたは2つ以上のCH基が、Nにより置換されていることができる1,4−フェニレン、1つまたは2つの隣接していないCH基が、Oおよび/またはSにより置換されていることができる1,4−シクロヘキシレン、1,4−シクロヘキセニレン、1,4−ビシクロ[2.2.2]オクチレン、ピペリジン−1,4−ジイル、ナフタレン−2,6−ジイル、デカヒドロナフタレン−2,6−ジイルもしくは1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−2,6−ジイルであり、ここで、A、A、AおよびAについて示した意味において、1個または2個以上のH原子は、ハロゲン、−CNおよび/または1〜6個の炭素原子を有するアルキルにより置換されていることができ、ここで、1個または2個以上のH原子は、ハロゲンまたは−CNにより置換されていることができ、および/または、ここで、1つまたは2つ以上の隣接していない−CH−基は、互いに独立して、−CO−、−O−CO−、−CO−O−、−O−、−S−、−CH=CH−または−C≡C−により置換されていることができ、
【0004】
、Z、ZおよびZは、互いに独立して、−O−CO−、−CO−O−、−CH−O−、−CF−O−、−O−CH−、−O−CF−、−C−、−CH−CF−、−CF−CH−、−CF−CF−、−CH=CH−、−CF=CH−、−CH=CF−、−CF=CF−、−C≡C−または単結合であり、
k1、k2、k3およびk4は、互いに独立して、0、1または2である、
で表されるフッ素化フルオレン誘導体に関する。
【0005】
本発明は、さらに、本発明の液晶媒体を含む液晶媒体並びに、本発明の液晶媒体を含む液晶および電気光学的ディスプレイ素子に関する。
【0006】
XがFまたはHである
【化2】

基を含む、フッ素化フルオレン誘導体は、強誘電液晶混合物の成分として、DE 197 20 289に記載されている。この点に関して、誘電異方性(Δε)の一層負の値を、このタイプの化合物を混合することにより得ることができることが述べられている。逆モードにおける動作のためのFLC混合物における使用が、好ましいものとして引用されている。しかし、個別の物質または混合物についての値は、示されていない。
【0007】
高度に、ないし極めて高度に負の誘電異方性Δεを有する化合物および媒体、特に、極めて高い比抵抗、同時に広い中間相範囲および低い粘度を有する化合物および媒体に対する大きな要求が継続している。
本発明の目的は、高度に、ないし極めて高度に負のDC異方性を有し、液晶媒体の成分として適する、新規であり、安定な液晶またはメソゲン性化合物を提供することにある。
本発明は、さらに、液晶媒体並びに光学的および電気光学的ディスプレイ素子を提供することに関する。
【0008】
最初に述べた目的は、式Iで表されるフルオレン誘導体により達成される。本発明の化合物は、液晶媒体の成分として著しく好適であることが見出された。これらを用いて、電気光学的LCディスプレイに特に好適である、安定な液晶媒体を得ることができる。本発明のフルオレン誘導体は、高度に、ないし極めて高度に負のΔε値を有する。一般的に、これらの値は、専らH原子をフルオレン基の1および8位において有する相当する化合物のΔε値よりも顕著に低い。さらに、本発明のフルオレン誘導体は、電気光学的ディスプレイ素子において用いるのに好ましい光学異方性Δnの比較的低い値および中間相範囲を有する。さらに、これらの化合物はまた、化学的に、熱的に、および光の作用に対して安定であり、他の液晶物質と容易に混和可能である。
【0009】
本発明のフルオレン誘導体を提供することにより、極めて一般的に顕著に、種々の用途的観点から、液晶混合物の製造に適する、液晶物質の範囲が拡大される。
【0010】
さらに、本発明は、2種または3種以上の液晶成分を有する液晶媒体に関し、ここで、該媒体は、少なくとも1種の本発明のフルオレン誘導体を有する。本発明のフルオレン誘導体を用いることにより、このタイプの媒体の誘電異方性に、標的された方法で、負のΔε値の方向に影響を与え、低い粘度を有利に達成することが可能になる。しかし、さらに、本発明の1種または2種以上の化合物を、液晶媒体に加えて、光学異方性および/または中間相範囲および/またはこのタイプの媒体のティルト角を、標的された方法で改変することも可能である。
【0011】
本発明の化合物を、液晶媒体の成分として、特にねじれセルの原理、ゲスト−ホスト効果、DAP(配向相の変形)、ECB(電気的に制御された複屈折)、CSH(色超ホメオトロピック)、VA(垂直配向)もしくはIPS(面内切換)効果または動的散乱の効果に基づくディスプレイのために、用いることができる。
さらに、本発明の化合物を、光学的に活性な、傾斜した、スメクティック(強誘電性)液晶媒体の成分として、特に、クラーク(Clark)およびラガーウォール(Lagerwall)のSSFLCD(表面安定化強誘電性液晶ディスプレイ)効果に基づくディスプレイ、またDHF(変形らせん形成)効果またはPSFLCD(ピッチ安定化強誘電性液晶ディスプレイ)効果に基づくディスプレイのために用いることができ、これはまた、SBF(短ピッチ双安定強誘電)効果として知られている。
【0012】
本発明は、さらに、本発明の液晶媒体を含む光学的ディスプレイ素子および、本発明の液晶媒体を誘電体として含む電気光学的ディスプレイ素子に関する。前述のディスプレイ素子が、ここで好ましい。
本明細書中、基、置換基および指数W、R、R、E、R、R、L、L、L、L、Z、Z、Z、Z、A、A、A、A、k1、k2、k3およびk4は、他に特に述べない限りは、式Iに関して定義した通りである。基が、1回よりも多く出現する場合には、これは、同一のまたは異なる意味を取り得る。
【0013】
式Iで表される意味は、式Iで表される化合物において結合している化学元素のすべての同位体を含む。鏡像体的に純粋な、または富化された形態において、式Iで表される化合物はまた、キラルなドーパントとして、および一般的にキラルな中間相を達成するために好適である。
本発明のフルオレン誘導体の基および置換基の好ましい意味を、以下に示す。
【0014】
基Wの好ましい意味を、従属式W1〜W3により表す:
【化3】

【0015】
従属式W1の特に好ましい意味を、従属式W11〜W18により表す:
【化4】

【0016】
本明細書中、l=0、1または2であり、従って−CH3−l基は、−CHF、−CHFまたは−CFである。lは、好ましくは、0または1の値を有し、特に好ましくは、値l=0である。指数lが、式中に1回よりも多く出現する場合には、これは、同一の、または異なる意味を有することができる。
【0017】
従属式W2の特に好ましい意味を、従属式W21〜W28により表す:
【化5】

【0018】
従属式W2および対応する従属式W21〜W28は、
【化6】

基の炭素原子が、キラル中心である場合には、ラセミ体および鏡像体的に純粋なまたは富化された形態の両方を含む。
【0019】
従属式W3の特に好ましい意味を、従属式W31〜W38により表す:
【化7】

【0020】
前述の従属式の中で、W1、特にW11〜W18およびW3、特にW31〜W38は、極めて特に好ましい。
本発明の第1の好ましい態様において、k1、k2、k3およびk4は、0の値を有し、従って、本発明の化合物は、式Ia
−W−R Ia
を有する。
ここでの基RまたはRの少なくとも1つ、好ましくはRおよびRは、互いに独立して、1〜18個の炭素原子を有するアルキルの意味を有し、ここで、さらに、1つまたは2つの隣接していない−CH−基および/またはさらに1個または2個以上のH原子は、示したように置換されていることができる。
【0021】
特に好ましいのは、W11〜W38について前に示した意味を有する、従属式Ia1〜Ia10で表される化合物である。
【化8】

【0022】
第2の好ましい態様において、指数k1、k2、k3および/またはk4の少なくとも1つは、0に等しくない値を有する。
これに関する好ましい第1の変法において、k1=1およびk2=k3=k4=0であり、従って、フルオレン誘導体は、式Ib
−A−Z−W−R Ib
を有する。
【0023】
好ましい第2の変法において、k1=k2=1およびk3=k4=0であり、従って、フルオレン誘導体は、式Ic
−A−Z−A−Z−W−R Ic
を有する。
好ましい第3の変法において、k1=k3=1およびk2=k4=0であり、従って、フルオレン誘導体は、式Id
−A−Z−W−Z−R Id
を有する。
【0024】
、A、Aおよび/またはAの特に好ましい意味は、互いに独立して、フッ素により単置換、二置換または三置換されていることができる1,4−フェニレン、トランス−1,4−シクロヘキシレンおよび1,3−ジオキサン−2,5−ジイルであり、ここで、単純の理由により、それぞれ略語Phe、CycおよびDioを、以下で用いる。
用語1,3−ジオキサン−2,5−ジイルは、各々の場合において、2種の位置異性体
【化9】

を含む。
【0025】
第2の態様により、化合物が、基Wに加えて、6員環を含む場合には、従属式Ib1〜Ib3で表される以下の化合物が好ましい:
【化10】

【0026】
第2の態様により、化合物が、基Wに加えて、2つの6員環を含む場合には、従属式Ic1〜Ic9およびId1〜Id9で表される以下の化合物が好ましい:
【化11】

【0027】
第2の態様における化合物はまた、基Wに加えて、3つまたは4つ以上の6員環を含むことができる。
およびLがHである場合には、好ましいのは、R−(−A−Z−)k1−(−A−Z−)k2−および−(−Z−A−)k3−(−Z−A−)k4−Rが、フルオレン誘導体が、−2.0より低いかまたはこれに等しい、特に好ましくは−4.0より低いかまたはこれに等しい、極めて特に好ましくは−5.0より低いかまたはこれに等しい誘電異方性Δεを有するように選択されている、式Iで表されるフルオレン誘導体である。
【0028】
またはLがFであり、他方の置換基LまたはLがHである場合には、好ましいのは、R−(−A−Z−)k1−(−A−Z−)k2−および−(−Z−A−)k3−(−Z−A−)k4−Rが、フルオレン誘導体が、−6.0より低いかまたはこれに等しい、特に好ましくは−8.0より低いかまたはこれに等しい、極めて特に好ましくは−10.0より低いかまたはこれに等しい誘電異方性Δεを有するように選択されている、式Iで表されるフルオレン誘導体である。
【0029】
およびLがFである場合には、好ましいのは、R−(−A−Z−)k1−(−A−Z−)k2−および−(−Z−A−)k3−(−Z−A−)k4−Rが、フルオレン誘導体が、−8.0より低いかまたはこれに等しい、特に−10.0より低いかまたはこれに等しい、特に好ましくは−12.0より低いかまたはこれに等しい、極めて特に好ましくは−15.0より低いかまたはこれに等しい誘電異方性Δεを有するように選択されている、式Iで表されるフルオレン誘導体である。
【0030】
本明細書中に示した基または置換基、特にRおよび/またはRにおけるアルキルの意味の場合において、アルキル基は、直鎖状または分枝状であることができる。これは、好ましくは、1、2、3、4、5、6、7または8個の炭素原子を有する。これは、好ましくは直鎖状であり、従って、特にメチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチルまたはオクチルである。
および/またはRは、好ましくは、アルキル、アルケニル、アルコキシ、アルケニルオキシ、オキサアルキル、オキサアルケニル、アルキルカルボニルオキシまたはアルキルオキシカルボニルである。
【0031】
アルキルの場合における前述の意味に加えて、アルキルとしてのRおよびRはまた、8個より多い炭素原子を有することができ、従って特に、ノニル、デシル、ウンデシル、ドデシル、トリデシル、テトラデシルまたはペンタデシルである。
および/またはRの他の好ましい意味は、アルコキシである。アルコキシ基は、直鎖状または分枝状であることができる。これは、好ましくは直鎖状であり、1、2、3、4、5、6、7または8個の炭素原子を有し、従って特に、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシ、ペントキシ、ヘキソキシ、ヘプトキシまたはオクトキシ、さらにノノキシ、デコキシ、ウンデコキシ、ドデコキシ、トリデコキシまたはテトラデコキシである。
【0032】
さらに、Rおよび/またはRは、好ましくはオキサアルキルである。この基は、直鎖状または分枝状であることができる。これは、好ましくは直鎖状であり、例えば、2−オキサプロピル(=メトキシメチル)、2−(=エトキシメチル)もしくは3−オキサブチル(=2−メトキシエチル)、2−、3−もしくは4−オキサペンチル、2−、3−、4−もしくは5−オキサヘキシル、2−、3−、4−、5−もしくは6−オキサヘプチル、2−、3−、4−、5−、6−もしくは7−オキサオクチル、2−、3−、4−、5−、6−、7−もしくは8−オキサノニルまたは2−、3−、4−、5−、6−、7−、8−もしくは9−オキサデシルである。
【0033】
および/またはRがアルケニル基である場合には、これは、直鎖状または分枝状であることができる。これは、好ましくは直鎖状であり、2〜8個の炭素原子を有する。従って、これは、特に、ビニル、プロプ−1−もしくは−2−エニル、ブト−1−、−2−もしくは−3−エニル、ペント−1−、−2−、−3−もしくは−4−エニル、ヘクス−1−、−2−、−3−、−4−もしくは−5−エニル、ヘプト−1−、−2−、−3−、−4−、−5−もしくは−6−エニルまたはオクト−1−、−2−、−3−、−4−、−5−、−6−もしくは−7−エニルである。
【0034】
および/またはRがアルケニルオキシ基である場合には、これは、直鎖状または分枝状であることができる。これは、好ましくは直鎖状であり、従って特に、ビニルオキシ、プロプ−1−もしくは−2−エニルオキシ、ブト−1−、−2−もしくは−3−エニルオキシ、ペント−1−、−2−、−3−もしくは−4−エニルオキシ、ヘクス−1−、−2−、−3−、−4−もしくは−5−エニルオキシ、ヘプト−1−、−2−、−3−、−4−、−5−もしくは−6−エニルオキシまたはオクト−1−、−2−、−3−、−4−、−5−、−6−もしくは−7−エニルオキシである。
【0035】
および/またはRがオキサアルケニル基である場合には、これは、直鎖状または分枝状であることができる。これは、好ましくは直鎖状であり、特に好ましくは、3−オキサブト−1−エニル(=メトキシビニル)、2−オキサブト−3−エニル(=ビニルオキシメチル)、4−オキサペント−1−エニル(=メトキシプロプ−1−エニル)、3−オキサペント−1−エニル(=エトキシビニル)、4−オキサペント−2−エニル(=メトキシプロプ−2−エニル)、2−オキサペント−3−エニル(=プロプ−1−エノキシメチル)、2−オキサペント−4−エニル(=プロプ−2−エノキシメチル)、3−オキサペント−4−エニル(=ビニルオキシエチル)、3−オキサヘクス−1−エニル、4−オキサヘクス−1−エニル、5−オキサヘクス−1−エニル、4−オキサヘクス−2−エニル、5−オキサヘクス−2−エニル、2−オキサヘクス−3−エニル、5−オキサヘクス−3−エニル、2−オキサヘクス−4−エニル、3−オキサヘクス−4−エニル、2−オキサヘクス−5−エニル、3−オキサヘクス−5−エニルまたは4−オキサヘクス−5−エニルである。
【0036】
および/またはRが、1つのCH基が−O−により置換されており、1つが−CO−により置換されているアルキル基である場合には、これらは、好ましくは隣接している。従って、これは、カルボニルオキシ基(アシルオキシ基)−CO−O−またはオキシカルボニル基−O−CO−を含む。これらは、好ましくは直鎖状であり、2〜6個の炭素原子を有する。従って、これらは、特に、アセトキシ、プロピオニルオキシ、ブチリルオキシ、ペンタノイルオキシ、ヘキサノイルオキシ、アセトキシメチル、プロピオニルオキシメチル、ブチリルオキシメチル、ペンタノイルオキシメチル、2−アセトキシエチル、2−プロピオニルオキシエチル、2−ブチリルオキシエチル、3−アセトキシプロピル、3−プロピオニルオキシプロピル、4−アセトキシブチル、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、プロポキシカルボニル、ブトキシカルボニル、ペントキシカルボニル、メトキシカルボニルメチル、エトキシカルボニルメチル、プロポキシカルボニルメチル、ブトキシカルボニルメチル、2−(メトキシカルボニル)エチル、2−(エトキシカルボニル)エチル、2−(プロポキシカルボニル)エチル、3−(メトキシカルボニル)プロピル、3−(エトキシカルボニル)プロピルまたは4−(メトキシカルボニル)ブチルである。
【0037】
分枝した翼基Rおよび/またはRを有する、式Iで表される化合物は、時々、慣用の液晶ベース材料への一層良好な溶解性のために重要であり得るが、特に、これらが光学的に活性である場合には、キラルなドーパントとして重要であり得る。このタイプのスメクティック化合物は、強誘電性材料の成分として特に適する。
【0038】
このタイプの分枝状基は、一般的に、1つよりも多くない鎖分枝を含む。好ましいキラルな分枝状基Rおよび/またはRは、2−ブチル(=1−メチルプロピル)、2−メチルブチル、2−メチルペンチル、3−メチルペンチル、2−エチルヘキシル、2−プロピルペンチル、2−オクチル、特に2−メチルブチル、2−メチルブトキシ、2−メチルペントキシ、3−メチルペントキシ、2−エチルヘキソキシ、1−メチルヘキソキシ、1−メチルヘプチルオキシ、2−オクチルオキシ、2−オキサ−3−メチルブチル、3−オキサ−4−メチルペンチル、4−メチルヘキシル、2−ノニル、2−デシル、2−ドデシル、6−メトキシオクトキシ、6−メチルオクトキシ、6−メチルオクタノイルオキシ、5−メチルヘプチルオキシカルボニル、2−メチルブチリルオキシ、3−メチルバレロイルオキシ、4−メチルヘキサノイルオキシ、2−メチル−3−オキサペンチル、2−メチル−3−オキサヘキシル、1−メトキシプロピル−2−オキシ、1−エトキシプロピル−2−オキシ、1−プロポキシプロピル−2−オキシ、1−ブトキシプロピル−2−オキシ、2−フルオロオクチルオキシ、2−フルオロデシルオキシである。
【0039】
好ましいアキラルな分枝状基Rおよび/またはRは、イソプロピル、イソブチル(=2−メチルプロピル)、イソペンチル(=3−メチルブチル)、イソプロポキシ、2−メチルプロポキシおよび3−メチルブトキシである。
式Iは、これらの化合物のラセミ体および光学的対掌体の両方、並びにこれらの混合物を包含する。
【0040】
およびRの前述の意味の場合において、特にアルキル、アルケニル、アルコキシ、アルケニルオキシ、オキサアルキル、オキサアルケニル、アルキルカルボニルオキシまたはアルキルオキシカルボニルとして、1個または2個以上のH原子は、好ましくは、ハロゲン原子、好ましくはフッ素および/または塩素、特に好ましくはフッ素により置換されている。好ましくは、2個または3個以上のH原子は、フッ素により置換されている。特に好ましくは、前述の基における末端メチル基中の2個または3個のH原子は、フッ素により置換されており、従って、前述の基は、−CHFまたは−CF基を含む。全体の基Rおよび/またはRはまた、パーフルオロ化されていることができる。
【0041】
式Iおよび従属式で表される化合物の中で、好ましいのは、この中に存在する基の少なくとも1つが、示した好ましい意味の1つを有するものである。
【0042】
本発明の化合物は、有機合成についての標準的な学術書、例えばHouben-Weyl, Methoden der Organischen Chemie [有機化学の方法]、Georg-Thieme-Verlag, Stuttgartに記載されているように、文献から自体公知の方法により製造される。この製造を、ここでは、知られており、前述の反応に適する反応条件下で実施する。また、ここで、自体公知であるが、ここでは一層詳細には述べない合成変法を用いることができる。出発物質および/または中間体はまた、所要に応じて、インサイチュ(in situ)で形成することができる。即ち、これらを、反応混合物から単離せず、代わりに直ちにさらに変換する。
【0043】
本発明の式Ia−W1、Ia−W2およびIa−W3で表される3種の化合物の、式IIaで表されるフルオレノン化合物から開始する合成を、反応スキーム1を参照して、例により示す。化合物Ia−W1の生成を、好適な還元剤、例えばNaBHを用いて、AlClおよび溶媒としてテトラヒドロフラン(THF)の存在下で実施する。
【0044】
式Ia−W2で表される化合物の合成において、例えばNaBHおよびその後三フッ化ジエチルアミノ硫黄(DAST)を用いて、還元を先ず実施し、続いてフッ素化を実施する。他の可能な合成は、硫化フェニルを介して2段階で進行する。カルボニル化合物(ここではフルオレノン)を、先ずフェニルチオールと、三フッ化ホウ素一水和物による触媒の下に反応させ、その後トリエチルシランを用いて還元する。第2段階において、得られた硫化フェニルを、テトラフルオロホウ酸ニトロソニウム/ピリジン/HF複合体を用いてフッ素化する(Ch. York et al., Tetrahedron 52, 1996, 9-14)。
【0045】
式Ia−W3で表される9,9−ジフルオロフルオレンを製造するために、先ず、式IIaで表されるフルオレノン化合物を、対応するジチオケタールに、例えば三フッ化ホウ素の存在下でのエタン−1,2−ジチオールとの反応により変換する。ジチオケタールに、その後フッ素化剤および酸化体の存在下で、酸化的フルオロ脱硫黄(fluorodesulfurisation)を施す。用いられる酸化体は、好ましくは、ハロニウム等価体(equivalent)を遊離する化合物である。例示的な酸化体は、N−ブロモスクシンイミド、N−ヨードスクシンイミド、1,3−ジブロモ−5,5−ジメチルヒダントインおよび臭素である。また好適なのは、例えば、SOCl、SOClF、ニトロソニウムおよびニトロニウム塩(C. York、上記引用文中)およびクロラミンTである。ニトロソニウムおよびニトロニウム塩はまた、所望により、好適な前駆体から、例えば無機または有機亜硝酸塩および/または硝酸塩から、インサイチュで製造することができる。用いることができるフッ素化剤は、慣用のフッ素化剤である。フッ素化剤は、特に好ましくは、脂肪族および芳香族アミン/フッ化水素複合体、例えばピリジン/フッ化水素複合体、NEt・3HF、メラミン/HFおよびポリビニルピリジン/HFにより形成される群から選択される。
【0046】
前述の反応において観察されるべき反応条件は、当業者に自体公知である。一般的に、該反応を、−100〜+50℃の温度において実施する。溶媒として、不活性極性溶媒またはこの混合物、例えばエーテルまたはハロアルカン、例えばジエチルエーテル、テトラヒドロフランまたはジクロロメタンを用いる。
【0047】
式IIaで表されるフルオレノンの製造のための好適な合成経路を、反応スキーム2中に示す。これにおいて、合成を、式Vaで表される臭素化された芳香族化合物から開始して、対応するホウ素化合物IVaおよびこの式Va’で表される臭素化された芳香族化合物とのクロスカップリングを介して実施して、式IIIaで表されるビフェニル化合物を得、これをジメチルカーボネートと反応させて、フルオレノンを得る(R. D. Chamber et al., JCS (C) 1968, 2394)。
【0048】
反応スキーム1および2において、R、R、LおよびLは、前に定義した通りである。記載した合成は、ここで明瞭の理由により選択した、式Iaで表される化合物にのみならず、本発明の式Iで表される化合物すべてに適する。
【0049】
反応スキーム1
【化12】

【0050】
反応スキーム2
【化13】

【0051】
他の好適な可能な合成は、当業者により、DE 197 20 289 A1の反応スキーム1〜8に記載されている合成を同様に用いることにより得ることができる。
式Iで表されるエステルを、また、アルコールもしくはフェノール(もしくはこの反応性誘導体)を用いた対応するカルボン酸(もしくはこの反応性誘導体)のエステル化により、またはDCC法(DCC=ジシクロヘキシルカルボジイミド)により得ることができる。
対応するカルボン酸およびアルコールは、知られているか、または既知の方法と同様にして製造することができる。
【0052】
前述のカルボン酸の好適な反応性誘導体は、特に、酸ハロゲン化物、特に塩化物および臭化物、さらに無水物、アジ化物またはエステル、特にアルキル基中に1〜4個の炭素原子を有するアルキルエステルである。
前述のアルコールの好適な反応性誘導体は、特に、好ましくはアルカリ金属、例えばNaまたはKの対応する金属アルコキシドである。
【0053】
エステル化を、有利には、不活性溶媒の存在下で実施する。高度に好適な溶媒は、特に、エーテル、例えばジエチルエーテル、ジ−n−ブチルエーテル、THF、ジオキサンおよびアニソール、ケトン、例えばアセトン、ブタノンまたはシクロヘキサノン、アミド、例えばDMFまたはヘキサメチルリン酸トリアミド、炭化水素、例えばベンゼン、トルエンまたはキシレン、ハロゲン化炭化水素、例えばテトラクロロメタンまたはテトラクロロエチレン、並びにスルホキシド、例えばジメチルスルホキシドまたはスルホランである。水不混和性溶媒を、有利には、同時に、エステル化の間に生成した水の蒸留により共沸除去のために用いることができる。過剰の有機塩基、例えばピリジン、キノリンまたはトリエチルアミンを、時々またエステル化のための溶媒として用いることができる。また、エステル化を、溶媒の不存在下で、例えば単に成分を酢酸ナトリウムの存在下で加熱することにより、実施することができる。反応温度は、通常−50℃〜+250℃、好ましくは−20℃〜+80℃である。これらの温度において、エステル化反応は、一般的に、15分〜48時間後に完了する。
【0054】
詳細には、エステル化のための反応条件は、実質的に、用いる出発物質の性質に依存する。従って、遊離のカルボン酸を、一般的に、遊離のアルコールと、強酸、例えば鉱酸、例えば塩酸または硫酸の存在下で反応させる。好ましい反応手順は、酸無水物または特に酸塩化物の、アルコールとの、好ましくは塩基性媒体中での反応であり、重要な塩基は、特に、アルカリ金属水酸化物、例えば水酸化ナトリウムもしくは水酸化カリウム、アルカリ金属炭酸塩もしくは炭酸水素塩、例えば炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸カリウムまたは炭酸水素カリウム、アルカリ金属酢酸塩、例えば酢酸ナトリウムまたは酢酸カリウム、アルカリ土類金属水酸化物、例えば水酸化カルシウム、または有機塩基、例えばトリエチルアミン、ピリジン、ルチジン、コリジンもしくはキノリンである。エステル化の他の好ましい態様は、先ずアルコールをナトリウムアルコキシドまたはカリウムアルコキシドに、例えばエタノール性水酸化ナトリウム溶液または水酸化カリウム溶液での処理により変換し、このアルコキシドを単離し、これを、酸無水物または特に酸塩化物と反応させることを含む。
【0055】
、Z、ZまたはZが−CH=CH−である、式Iで表される化合物の製造のための他の方法において、ハロゲン化アリールを、オレフィンと、第三アミンの存在下で、およびパラジウム触媒の存在下で反応させる(R.F. Heck, Acc. Chem. Res. 12 (1979) 146参照)。好適なハロゲン化アリールの例は、塩化物、臭化物およびヨウ化物、特に臭化物およびヨウ化物である。カップリング反応の成功に必要な第三アミン、例えばトリエチルアミンはまた、溶媒として好適である。好適なパラジウム触媒の例は、この塩、特に酢酸Pd(II)と、有機リン(III)化合物、例えばトリアリールホスフィンとの塩である。この方法を、不活性溶媒の存在下または不存在下で、約0℃〜150℃、好ましくは20℃〜100℃の温度で実施することができる;好適な溶媒は、例えば、ニトリル、例えばアセトニトリル、または炭化水素、例えばベンゼンもしくはトルエンである。出発物質として用いるハロゲン化アリールおよびオレフィンは、多くの場合において、商業的に入手できるか、あるいは、文献から知られている方法、例えば対応する基本化合物のハロゲン化または対応するアルコールもしくはハロゲン化物に対する脱離反応により、製造することができる。
【0056】
このようにして、例えばスチルベン誘導体を、製造することができる。スチルベンを、さらに、4−置換ベンズアルデヒドを対応するリンイリドと、ウィティッヒ方法により反応させることにより、製造することができる。しかし、式Iで表されるトランを、また、単置換アセチレンをオレフィンの代わりに用いることにより、製造することができる(Synthesis 627 (1980)またはTetrahedron Lett. 27, 1171 (1986))。
【0057】
芳香族化合物のカップリングのために、さらに、ハロゲン化アリールをアリールスズ化合物と反応させることが可能である。これらの反応を、好ましくは、触媒、例えばパラジウム(0)錯体を加えて、不活性溶媒、例えば炭化水素中で、高温において、例えば沸騰キシレン中で、保護ガスの下で実施する。
アルキニル化合物のハロゲン化アリールとのカップリング反応を、A.O. King, E. Negishi, F.J. VillaniおよびA. SilveiraによりJ. Org. Chem. 43, 358 (1978)中に記載されている方法と同様にして実施することができる。
【0058】
、Z、ZまたはZが−C≡C−である、式Iで表されるトランを、また、フリッチ−ブッテンベルグ−ウィーシェル(Fritsch-buttenberg-Wiechell)転位により製造することができ(Ann. 279, 319, 1984)、ここで、1,1−ジアリール−2−ハロエチレンを、強塩基の存在下で転位させて、ジアリールアセチレンを得る。
式Iで表されるトランを、また、対応するスチルベンの臭素化、続いて脱ハロゲン化水素により製造することができる。ここで、自体公知であるが、ここでは一層詳細に述べない、この反応の変法を用いることができる。
【0059】
式Iで表されるエーテルは、対応するヒドロキシル化合物、好ましくは対応するフェノールのエーテル化により得られ、ここで、ヒドロキシル化合物を、有利には、先ず、対応する金属誘導体、例えば対応するアルカリ金属アルコキシドまたはアルカリ金属フェノキシドに、NaH、NaNH、NaOH、KOH、NaCOまたはKCOでの処理により変換する。次に、この金属誘導体を、適切なハロゲン化アルキル、アルキルスルホネートまたはジアルキルスルフェートと、有利には不活性溶媒、例えばアセトン、1,2−ジメトキシエタン、DMFもしくはジメチルスルホキシド中で、または、あるいはまた、過剰の水性もしくは水−アルコール性NaOHもしくはKOHと、約20℃〜100℃の温度において反応させることができる。
【0060】
式Iで表される側方に置換されているフッ素または塩素化合物を製造するために、対応するアニリン誘導体を、硝酸ナトリウムおよびテトラフルオロホウ酸(F原子を導入するために)または塩化銅(I)(Cl原子を導入するために)のいずれかと反応させて、ジアゾニウム塩を得、これを次に、100〜140℃の温度において熱的に分解することができる。
【0061】
芳香環の非芳香環への結合または2つの非芳香環の結合を、好ましくは、脂肪族基Zが、該環の間に存在することが意図される場合には、有機リチウムまたは有機マグネシウム化合物とケトンとの縮合により、得る。
有機金属化合物を、例えば、対応するハロゲン化合物と有機リチウム化合物、好ましくはtert−ブチルリチウムもしくはリチウムナフタレニドとの間の金属−ハロゲン交換(例えばOrg. React. 6, 339-366 (1951)による)またはマグネシウム粉(turning)との反応により、製造する。
【0062】
2つの芳香環の結合を、好ましくは、フリーデル−クラフツアルキル化またはアシル化により、対応する芳香族化合物のルイス酸触媒との反応により実施する。好適なルイス酸は、例えば、SnCl、ZnCl、AlClおよびTiClである。
さらに、2つの芳香環の結合を、ヨウ化アリールとヨウ化銅との間の、しかし好ましくはアリール銅化合物とヨウ化アリールとの間のウルマン(Ullmann)反応(例えばSynthesis 1974, 9)または、アリールジアゾニウム塩と対応する芳香族化合物との間のゴンバーグ−バックマン(Gomberg-Bachmann)反応(例えばOrg. React. 2, 224 (1944))により実施することができる。
【0063】
式Iで表されるトランを、例えば、対応するハロゲン化アリールのアセチリドとの、塩基性溶媒中での、遷移金属触媒を伴う反応により製造する;パラジウム触媒、特に溶媒としてのピペリジン中の塩化ビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)およびヨウ化銅の混合物を、好ましくはここで用いることができる。
さらに、式Iで表される化合物を、式Iに適合するが、H原子の代わりに1つまたは2つ以上の還元可能な基および/またはC−C結合を含む化合物を還元することにより、製造することができる。
【0064】
好適な還元可能な基は、好ましくは、カルボニル基、特にケト基、さらに、例えば遊離の、もしくはエステル化されたヒドロキシル基または芳香的に結合したハロゲン原子である。還元のための好ましい出発物質は、式Iに適合するが、シクロヘキセン環またはシクロヘキサノン環をシクロヘキサン環の代わりに含み、および/または−CHCH−基を−CH=CH−基の代わりに含み、および/または−CO−基を−CH−基の代わりに含み、および/または遊離の、もしくは官能的に(例えばこのp−トルエンスルホネートの形態で)修飾されたOH基をH原子の代わりに含む化合物である。
【0065】
還元を、例えば、約0℃〜約200℃の温度および約1〜200バールの圧力における、不活性溶媒、例えばアルコール、例えばメタノール、エタノールもしくはイソプロパノール、エーテル、例えばテトラヒドロフラン(THF)もしくはジオキサン、エステル、例えば酢酸エチル、カルボン酸、例えば酢酸、または炭化水素、例えばシクロヘキサン中での接触水素添加により、実施することができる。好適な触媒は、有利には、支持体上(例えば炭素上のPd、炭酸カルシウムもしくは炭酸ストロンチウム)での、または微細に分割された形態での、酸化物(例えばPtOもしくはPdO)の形態で用いることができる貴金属、例えばPtもしくはPdである。
【0066】
ケトンを、また、アルキル基および/または−CHCH−基を含む、式Iで表される対応する化合物に、クレメンゼンの方法(亜鉛、亜鉛アマルガムもしくはスズおよび塩酸を用いて、有利には水−アルコール性溶液もしくは水/トルエンとの不均一相中で、約80〜120℃の温度において)またはウォルフ−キシュナーの方法(ヒドラジンを用いて、有利にはアルカリ、例えばKOHもしくはNaOHの存在下で、高沸点溶媒、例えばジエチレングリコールもしくはトリエチレングリコール中で、約100〜200℃の温度において)により、還元することができる。
【0067】
さらに、複合水素化物での還元が可能である。例えば、アリールスルホニルオキシ基を、還元的にLiAlHを用いて除去することができ、特にp−トルエンスルホニルオキシメチル基を、メチル基に、有利には不活性溶媒、例えばジエチルエーテルまたはTHF中で、約0〜100℃の温度において還元することができる。二重結合を、メタノール中のNaBHまたは水素化トリブチルスズを用いて水素添加することができる。
出発物質は、知られているか、または既知の化合物と同様にして製造することができる。
【0068】
本発明の液晶媒体は、好ましくは、2〜40種、特に4〜30種の成分を、本発明の1種または2種以上の化合物以外のさらなる構成成分として含む。これらの媒体は、極めて特に好ましくは、本発明の1種または2種以上の化合物以外に、7〜25種の成分を含む。これらのさらなる構成成分は、好ましくは、ネマティックまたはネマトゲン性(nematogenic)(単変性またはアイソトロピック)物質、特にアゾキシベンゼン、ベンジリデンアニリン、ビフェニル、ターフェニル、安息香酸フェニルまたは安息香酸シクロヘキシル、シクロヘキサンカルボン酸のフェニルまたはシクロヘキシルエステル、シクロヘキシル安息香酸のフェニルまたはシクロヘキシルエステル、シクロヘキシルシクロヘキサンカルボン酸のフェニルまたはシクロヘキシルエステル、安息香酸、シクロヘキサンカルボン酸またはシクロヘキシルシクロヘキサンカルボン酸のシクロヘキシルフェニルエステル、フェニルシクロヘキサン、シクロヘキシルビフェニル、フェニルシクロヘキシルシクロヘキサン、シクロヘキシルシクロヘキサン、シクロヘキシルシクロヘキシルシクロヘキセン、1,4−ビスシクロヘキシルベンゼン、4,4’−ビスシクロヘキシルビフェニル、フェニルまたはシクロヘキシルピリミジン、フェニルまたはシクロヘキシルピリジン、フェニルまたはシクロヘキシルジオキサン、フェニルまたはシクロヘキシル−1,3−ジチアン、1,2−ジフェニルエタン、1,2−ジシクロヘキシルエタン、1−フェニル−2−シクロヘキシルエタン、1−シクロヘキシル−2−(4−フェニルシクロヘキシル)エタン、1−シクロヘキシル−2−ビフェニリルエタン、1−フェニル−2−シクロヘキシルフェニルエタン、随意にハロゲン化されたスチルベン、ベンジルフェニルエーテル、トランおよび置換されたケイ皮酸の群からの物質から選択されている。これらの化合物における1,4−フェニレン基はまた、フッ素化されていてもよい。
【0069】
本発明の媒体のさらなる構成成分として適する最も重要な化合物は、式1、2、3、4および5により特徴づけることができる:
【化14】

【0070】
式1、2、3、4および5において、同一であるかまたは異なることができるLおよびEは、各々、互いに独立して、−Phe−、−Cyc−、−Phe−Phe−、−Phe−Cyc−、−Cyc−Cyc−,−Pyr−、−Dio−、−G−Phe−および−G−Cyc−並びにこれらの鏡像により形成された群からの2価の基であり、ここで、Pheは、非置換またはフッ素置換1,4−フェニレンであり、Cycは、トランス−1,4−シクロヘキシレンまたは1,4−シクロヘキセニレンであり、Pyrは、ピリミジン−2,5−ジイルまたはピリジン−2,5−ジイルであり、Dioは、1,3−ジオキサン−2,5−ジイルであり、Gは、2−(トランス−1,4−シクロヘキシル)エチル、ピリミジン−2,5−ジイル、ピリジン−2,5−ジイルまたは1,3−ジオキサン−2,5−ジイルである。
【0071】
基LおよびEの1つは、好ましくはCyc、PheまたはPyrである。Eは、好ましくは、Cyc、PheまたはPhe−Cycである。本発明の媒体は、好ましくは、LおよびEが、Cyc、PheおよびPyrからなる群から選択された、式1、2、3、4および5で表される化合物から選択された1種または2種以上の成分および同時に、基LおよびEの1つが、Cyc、PheおよびPyrからなる群から選択されており、他方の基が−Phe−Phe−、−Phe−Cyc−、−Cyc−Cyc−、−G−Phe−および−G−Cyc−からなる群から選択されている、式1、2、3、4および5で表される化合物から選択された1種または2種以上の成分並びに、随意に、基LおよびEが、−Phe−Cyc−、−Cyc−Cyc−、−G−Pheおよび−G−Cyc−からなる群から選択されている、式1、2、3、4および5で表される化合物からなる群から選択された1種または2種以上の成分を含む。
【0072】
R’および/またはR”は、各々、互いに独立して、8個までの炭素原子を有するアルキル、アルケニル、アルコキシ、アルコキシアルキル、アルケニルオキシまたはアルカノイルオキシ、−F、−Cl、−CN、−NCSまたは−(O)CH3−(k+l)Clであり、ここで、iは、0または1であり、kおよびlは、1、2または3である。
式1、2、3、4および5で表される化合物の一層小さい従属群において、R’およびR”は、各々、互いに独立して、8個までの炭素原子を有するアルキル、アルケニル、アルコキシ、アルコキシアルキル、アルケニルオキシまたはアルカノイルオキシである。この一層小さい従属群を、以下で群Aと呼び、化合物を、従属式1a、2a、3a、4aおよび5aにより表す。これらの化合物のほとんどにおいて、R’およびR”は、互いに異なっており、これらの基の1つは、通常、アルキル、アルケニル、アルコキシまたはアルコキシアルキルである。
【0073】
群Bとして知られている、式1、2、3、4および5で表される化合物の他の一層小さい従属群において、R”は、−F、−Cl、−NCSまたは−(O)CH3−(k+l)Clであり、ここで、iは、0または1であり、kおよびlは、1、2または3である;R”がこの意味を有する化合物を、従属式1b、2b、3b、4bおよび5bにより表す。特に好ましいのは、R”が−F、−Cl、−NCS、−CF、−OCHFまたは−OCFである、従属式1b、2b、3b、4bおよび5bで表される当該化合物である。
従属式1b、2b、3b、4bおよび5bで表される化合物において、R’は、従属式1a〜5aで表される化合物について定義した通りであり、好ましくは、アルキル、アルケニル、アルコキシまたはアルコキシアルキルである。
【0074】
式1、2、3、4および5で表される化合物の他の一層小さい従属群において、R”は、−CNである;この従属群を、以下で群Cと呼び、この従属群の化合物を、対応して従属式1c、2c、3c、4cおよび5cにより記載する。従属式1c、2c、3c、4cおよび5cで表される化合物において、R’は、従属式1a〜5aで表される化合物について定義した通りであり、好ましくはアルキル、アルコキシまたはアルケニルである。
群A、BおよびCで表される好ましい化合物に加えて、提案された置換基の他の変種を有する式1、2、3、4および5で表される他の化合物はまた、一般的である。これらの物質のすべては、文献から知られている方法により、またはこれと同様にして得られる。
【0075】
本発明の式Iで表される化合物に加えて、本発明の媒体は、好ましくは、群Aおよび/または群Bおよび/または群Cから選択された1種または2種以上の化合物を含む。本発明の媒体中のこれらの群からの化合物の重量比率は、好ましくは、
群A:0〜90%、好ましくは20〜90%、特に30〜90%
群B:0〜80%、好ましくは10〜80%、特に10〜65%
群C:0〜80%、好ましくは5〜80%、特に5〜50%
であり、本発明のそれぞれの媒体中に存在する群Aおよび/またはBおよび/またはCの化合物の重量比率の合計は、好ましくは5%〜90%および特に10%〜90%である。
【0076】
本発明の媒体は、好ましくは1〜40%、特に好ましくは5〜30%の本発明の化合物を含む。好ましいのは、さらに、40%を超える、特に45〜90%の本発明の化合物を含む媒体である。媒体は、好ましくは、本発明の3種、4種または5種の化合物を含む。
【0077】
本発明において用いることができる液晶混合物を、自体公知の方法で製造する。一般的に、小さい方の量で用いる成分の所望の量を、主成分を構成する成分中に、有利には高温で溶解する。また、成分を有機溶媒、例えばアセトン、クロロホルムまたはメタノールに溶解した溶液を混合し、溶媒を、完全に混合した後に再び、例えば蒸留により除去することも可能である。さらに、該混合物を、他の慣用の方法で、例えば予備混合物、例えば相同物混合物を用いることにより、またはいわゆる「マルチボトル(multi-bottle)」系を用いて製造することが可能である。
【0078】
誘電体はまた、当業者に知られており、文献中に記載されている他の添加剤を含むことができる。例えば、0〜15%、好ましくは0〜10%の多色性染料および/またはキラルなドーパントを、加えることができる。加えられた個別の化合物は、0.01〜6%、好ましくは0.1〜3%の濃度で用いられる。しかし、液晶混合物の他の構成成分についての、即ち液晶またはメソゲン性化合物の濃度数量を、これらの添加剤の濃度を考慮せずに示す。
【0079】
以下の例は、本発明を、これを限定せずに説明することを意図する。本明細書中、百分率は、重量パーセントである。すべての温度を、摂氏度で示す。
「慣用の精製操作(work-up)」は、所望により水を加え、混合物を、塩化メチレン、ジエチルエーテルまたはトルエンで抽出し、相を分離し、有機相を乾燥し、蒸発させ、生成物を、減圧下での蒸留または結晶化および/またはクロマトグラフィーにより精製することを意味する。
【0080】
作業例
1.式8で表される2−ブトキシ−7−エトキシ−1,8,9,9−テトラフルオロフルオレンの合成
【化15】

1.1 1−ブロモ−3−フルオロ−4−ブトキシベンゼン(2)の製造
0.315molの4−ブロモ−2−フルオロフェノール(1)、1−ブタノールおよびトリフェニルホスフィンの各々を、1000mlのテトラヒドロフランに溶解し、0.315molのアゾジカルボン酸ジイソプロピルを、約20℃において滴加した。混合物を一晩かきまぜた後、溶媒を、回転蒸発器中での蒸留により除去し、残留物に、慣用の精製操作を施し、化合物(2)を、理論値の95.6%の収率で得た。
【0081】
1.2 ホウ素化合物(3)の製造
0.180molのn−ブチルリチウム(n−ヘキサンに溶解した15%溶液として)を、−70℃で、0.162molの1−ブロモ−3−フルオロ−4−ブトキシベンゼン(2)を540mlのジエチルエーテルに溶解した溶液に滴加した。混合物を、30分間かきまぜた後に、0.180molのホウ酸トリメチルを、−70℃で滴加し、混合物を、さらに30分間かきまぜた。20℃に加温した反応混合物を、水で加水分解し、2モルの塩酸で酸性化し、メチルtert−ブチルエーテルを加えた。この混合物に、慣用の精製操作を施し、化合物(3)を、白色固体として得た。
【0082】
1.3 4−エトキシ−3,3’−ジフルオロ−4’−ブトキシビフェニル(5)を得るクロスカップリング
10mlのテトラヒドロフラン、0.628mmolのビス(トリフェニルホスフィン)パラジウムジクロリドおよび0.630mmolの水酸化ヒドラジニウムを、12.6mlのHO中の24.1mmolのメタホウ酸ナトリウム八水和物に加え、混合物を、室温で5分間かきまぜた。次に、32.1mmolのホウ素化合物(3)、32.1mmolの1−ブロモ−3−フルオロ−4−エトキシベンゼン(4)(例1.1と同様にして得た)および30mlのテトラヒドロフランを加え、混合物を、還流条件下で6時間加熱した。その後の冷却の後、有機相を分離して除去し、これに慣用の精製操作を施した。
【0083】
1.4 フルオレノン誘導体(6)の製造
60mmolの4−エトキシ−3,3’−ジフルオロ−4’−ブトキシビフェニル(5)を、200mlのテトラヒドロフラン中に導入し、混合物を、−70℃に冷却する。n−ブチルリチウムをヘキサンに溶解した1.6M溶液120mmolを、滴加し、混合物を、この温度において2時間かきまぜる。その後、60mmolのジメチルカーボネートを、激しくかきまぜながら迅速に加え、混合物を、−70℃においてさらに1時間かきまぜ、放置して0℃に加温し、希塩酸で加水分解し、これに慣用の精製操作を施す。
【0084】
1.5 ジチオケタール化合物(7)の製造
30mmolのフルオレノン誘導体(6)を、100mlのジエチルエーテルに溶解し、60mmolの1,2−エタンジオールおよび45mmolの三フッ化ホウ素エーテル化合物を加え、混合物を、還流条件下で一晩加熱する。冷却後、混合物に、慣用の精製操作を施し、27.5mmol(92%)のジチオケタール(7)を得る。
【0085】
1.6 フルオレン誘導体(8)を得る酸化的フルオロ脱硫黄
11mmolの1,3−ジブロモ−5,5−ジメチルヒダントインを、50mlのジクロロメタンに溶解し、混合物を、−70℃に冷却する。ピリジン(65%)中の29mmolのフッ化水素を加える。50mlのジクロロメタンに溶解したジチオケタール(7)11mmolを、20分間にわたり滴加し、混合物を、1時間後に放置して−60℃に加温する。反応混合物を、飽和炭酸水素ナトリウム溶液中に注入し、次にこれに慣用の精製操作を施し、フルオレン誘導体(8)を得る。(Δε=−21.2、Δn=0.204)。
比較のために、同様にして得られる二フッ素化化合物2−ブトキシ−7−エトキシ−9,9−ジフルオロフルオレンについて、測定を実施する:Δε=−9.1、Δn=0.225。
【0086】
2.式9で表される2−ブトキシ−7−エトキシ−1,8,9−トリフルオロ−9H−フルオレンの合成
【化16】

20mmolのフルオレノン化合物(6)(例1.4に従って得られる)を、100mlのイソプロパノールに溶解し、8mmolの水素化ホウ素ナトリウムを加える。この混合物を、室温で3時間かきまぜ、これに慣用の精製操作を施す。粗製の生成物を、300mlのジクロロメタンに溶解し、0℃に冷却した。20mmolの三フッ化ジエチルアミノ硫黄を滴加し、混合物に、慣用の精製操作を施し、9H−フルオレン(9)を得る(Δε=−15.3、Δn=0.214)。
比較のために、同様にして得られる一フッ素化化合物2−ブトキシ−7−エトキシ−9−フルオロ−9H−フルオレンについて、測定を実施する:Δε=−4.7、Δn=0.238。
【0087】
3.式10で表される2−ブトキシ−7−エトキシ−1,8−ジフルオロ−9,9H−フルオレンの合成
【化17】

27mmolのフルオレノン化合物(6)(例1.4に従って得られる)、13mmolの水素化ホウ素ナトリウムおよび74mmolの塩化アルミニウムを、250mlのテトラヒドロフラン中に懸濁させ、混合物を、還流条件下で2時間加熱する。慣用の精製操作により、23.4mmol(87%)の9,9H−フルオレン(10)が得られる。(Δε=−8.7、Δn=0.226)。
比較のために、同様にして得られるフッ素化されていない化合物2−ブトキシ−7−エトキシ−9,9H−フルオレンについて、測定を実施する;Δε=−0.5、Δn=0.253。
【0088】
4.式20で表される1,8,9,9−テトラフルオロフルオレン化合物の合成
【化18】

4.1 1−ブロモ−2’,3’−ジフルオロ−4’−エトキシビフェニル(13)の製造
0.450molのメタホウ酸ナトリウムを、240mlの水中に導入する。0.012molの塩化ビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)、0.6molの4−ブロモ−1−ヨードベンゼン(11)および0.012molのヒドラジニウム塩酸塩を加え、混合物を、約20℃において5分間かきまぜる。次に、600mlのテトラヒドロフランに溶解した2,3−ジフルオロ−4−エトキシフェニルボロン酸(12)0.6molを加え、混合物を、4時間還流し、式13で表される化合物を得る。
【0089】
4.2 ボロン酸化合物(14)の製造
0.09molの1−ブロモ−2’,3’−ジフルオロ−4’−エトキシビフェニル(13)を、200mlのジエチルエーテルに溶解し、混合物を、−70℃に冷却する。0.095molのブチルリチウムを、この温度において滴加し、混合物を、さらに45分間かきまぜる。次に、0.1molのホウ酸トリメチルを加え、混合物を、30分間かきまぜ、約20℃に加温した後に、これに慣用の精製操作を施す。
【0090】
4.3 ターフェニル化合物(16)の製造
0.047molの2’,3’−ジフルオロ−4’−エトキシビフェニルボロン酸(14)、0.05molの1−ブロモ−3−フルオロ−4−ヨードベンゼン(15)、1mmolの酢酸パラジウム、2mmolのトリフェニルホスフィン、25mlの飽和炭酸ナトリウム溶液、20mlの水および100mlのイソプロパノールを、最初に導入し、一晩還流させる。慣用の精製操作により、ターフェニル化合物(16)が得られる。
【0091】
4.4 式18で表される化合物の製造
製造を、例1.3と同様にして、ターフェニル化合物(16)および3−フルオロ−4−エトキシフェニルボロン酸(17)を用いて実施する。
4.5 フルオレノン化合物(19)の製造
合成を、例1.4と同様にして、前に得られた化合物(18)を用いて実施する。
4.6 1,8,9,9−テトラフルオロフルオレン化合物(20)の製造
化合物(20)を、最後の段階において、例1.5および1.6と同様にして、化合物(19)の酸化的フルオロ脱硫黄により得る(Δε=−28.8、Δn=0.282)。
【0092】
以下の式
【化19】

で表されるフルオレン化合物が、例1.1〜1.6、特に1.5および1.6と同様にして得られる:
【0093】
【表1】

【0094】
【表2】

【0095】
【表3】

【0096】
【表4】

【0097】
【表5】

【0098】
【表6】

【0099】
【表7】

【0100】
【表8】

【0101】
【表9】

【0102】
【表10】

【0103】
【表11】

【0104】
以下の式
【化20】

で表されるフルオレン化合物が、例2と同様にして得られる:
【0105】
【表12】

【0106】
【表13】

【0107】
【表14】

【0108】
【表15】

【0109】
【表16】

【0110】
【表17】

【0111】
【表18】

【0112】
【表19】

【0113】
【表20】

【0114】
【表21】

【0115】
【表22】

【0116】
以下の式
【化21】

で表されるフルオレン化合物が、例3と同様にして得られる:
【0117】
【表23】

【0118】
【表24】

【0119】
【表25】

【0120】
【表26】

【0121】
【表27】

【0122】
【表28】

【0123】
【表29】

【0124】
【表30】

【0125】
【表31】

【0126】
【表32】

【0127】
【表33】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
式I
−(−A−Z−)k1−(−A−Z−)k2−W−(−Z−A−)k3−(−Z−A−)k4−R
式中、
Wは、
【化1】

基であり、
およびLは、互いに独立して、H、F、Cl、−CHF、−CHFまたは−CFであり、ただし、LおよびLは、共にHではなく、
およびLは、互いに独立して、HまたはFであり、
およびRは、互いに独立して、H、ハロゲン、−CN、−NCS、−SFまたは1〜18個の炭素原子を有するアルキルであり、ここで、さらに、1つまたは2つの隣接していない−CH−基は、−O−、−S−、−CO−、−O−CO−、−CO−O−、−E−および/または−C≡C−により置換されていることができ、および/または、ここで、さらに、1個または2個以上のH原子は、ハロゲンおよび/または−CNにより置換されていることができ、
Eは、CR=CRまたはCHR−CHRであり、
およびRは、各々、互いに独立して、H、1〜6個の炭素原子を有するアルキル、F、Cl、CFまたはCNであり、
、A、AおよびAは、各々、互いに独立して、1つまたは2つ以上のCH基が、Nにより置換されていることができる1,4−フェニレン、1つまたは2つの隣接していないCH基が、Oおよび/またはSにより置換されていることができる1,4−シクロヘキシレン、1,4−シクロヘキセニレン、1,4−ビシクロ[2.2.2]オクチレン、ピペリジン−1,4−ジイル、ナフタレン−2,6−ジイル、デカヒドロナフタレン−2,6−ジイルもしくは1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−2,6−ジイルであり、ここで、A、A、AおよびAについて示した意味において、1個または2個以上のH原子は、ハロゲン、−CNおよび/または1〜6個の炭素原子を有するアルキルにより置換されていることができ、ここで、1個または2個以上のH原子は、ハロゲンまたは−CNにより置換されていることができ、および/または、ここで、1つまたは2つ以上の隣接していない−CH−基は、互いに独立して、−CO−、−O−CO−、−CO−O−、−O−、−S−、−CH=CH−または−C≡C−により置換されていることができ、
、Z、ZおよびZは、互いに独立して、−O−CO−、−CO−O−、−CH−O−、−CF−O−、−O−CH−、−O−CF−、−C−、−CH−CF−、−CF−CH−、−CF−CF−、−CH=CH−、−CF=CH−、−CH=CF−、−CF=CF−、−C≡C−または単結合であり、
k1、k2、k3およびk4は、互いに独立して、0、1または2である、
で表されるフルオレン誘導体。
【請求項2】
従属式
【化2】

【化3】

【化4】

式中、lは、0、1または2の値を採り得る、
からなる群から選択された基Wを特徴とする、請求項1に記載のフルオレン誘導体。
【請求項3】
式Ia
−W−R Ia
式中、R、WおよびRは、請求項1または2において示した意味の1つを有する、
を特徴とする、請求項1または2に記載のフルオレン誘導体。
【請求項4】
式Ib
−A−Z−W−R Ib
式中、R、R、A、ZおよびWは、請求項1または2において示した意味の1つを有する、
を特徴とする、請求項1または2に記載のフルオレン誘導体。
【請求項5】
式IcまたはId
−A−Z−A−Z−W−R Ic
−A−Z−W−Z−A−R Id
式中、R、R、A、A、A、Z、Z、ZおよびWは、請求項1または2において示した意味の1つを有する、
を特徴とする、請求項1または2に記載のフルオレン誘導体。
【請求項6】
およびLが、Hであり、
−(−A−Z−)k1−(−A−Z−)k2−および
−(−Z−A−)k3−(−Z−A−)k4−R
が、各々、フルオレン誘導体が、−2.0より低いかまたはこれに等しい誘電異方性Δεを有するように、請求項1における意味から選択されていることを特徴とする、請求項1〜5のいずれかに記載のフルオレン誘導体。
【請求項7】
置換基LおよびLの一方がFであり、他方の置換基LまたはLがHであり、
−(−A−Z−)k1−(−A−Z−)k2−および
−(−Z−A−)k3−(−Z−A−)k4−R
が、各々、フルオレン誘導体が、−6.0より低いかまたはこれに等しい誘電異方性Δεを有するように、請求項1における意味から選択されていることを特徴とする、請求項1〜5のいずれかに記載のフルオレン誘導体。
【請求項8】
およびLが、Fであり、
−(−A−Z−)k1−(−A−Z−)k2−および
−(−Z−A−)k3−(−Z−A−)k4−R
が、各々、フルオレン誘導体が、−8.0より低いかまたはこれに等しい誘電異方性Δεを有するように、請求項1における意味から選択されていることを特徴とする、請求項1〜5のいずれかに記載のフルオレン誘導体。
【請求項9】
2種または3種以上の液晶成分を有する液晶媒体であって、これが、請求項1〜8のいずれかに記載の式Iで表される少なくとも1種の化合物を含むことを特徴とする、前記液晶媒体。
【請求項10】
請求項9に記載の液晶媒体を含むことを特徴とする、光学的ディスプレイ素子。
【請求項11】
誘電体として、請求項9に記載の液晶媒体を含むことを特徴とする、電気光学的ディスプレイ素子。

【公開番号】特開2010−59165(P2010−59165A)
【公開日】平成22年3月18日(2010.3.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−242883(P2009−242883)
【出願日】平成21年10月21日(2009.10.21)
【分割の表示】特願2002−578351(P2002−578351)の分割
【原出願日】平成14年3月7日(2002.3.7)
【出願人】(591032596)メルク パテント ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (1,043)
【氏名又は名称原語表記】Merck Patent Gesellschaft mit beschraenkter Haftung
【住所又は居所原語表記】Frankfurter Str. 250,D−64293 Darmstadt,Federal Republic of Germany
【Fターム(参考)】