説明

フッ素含有化合物

【課題】透明樹脂が有する透明性等の種々の特性を損なうことなく透明樹脂材料を低吸水率化、撥水化させる添加剤等の用途に使用することができるフッ素含有化合物を提供する。
【解決手段】下記一般式(1);
【化1】


(式中、Xは、O又はSを表す。Rfは、炭素数4以上のフッ素含有アルキル基である。rは、芳香環に結合しているRf−X−の数であり、1以上の整数である。sは、芳香環に結合しているフッ素原子の数であり、1以上の整数である。また、r+sは、2〜5の整数である。)で表されるフッ素含有化合物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フッ素含有化合物に関する。より詳しくは、光通信、光導波路、光記録、液晶ディスプレイ等の種々の用途に用いられる透明樹脂材料の添加剤として用いることができるフッ素含有化合物に関する。
【背景技術】
【0002】
フッ素含有化合物は、フッ素原子により撥水性等の優れた特性を発揮することができる有用な化合物であり、様々な工業製品の原料として用いられている。ところで、フッ素化学品の技術分野として、光通信、光導波路、光記録、液晶ディスプレイ等に用いられる透明樹脂材料への利用が挙げられる。従来、これらの用途に用いられてきた透明樹脂は吸水性を示すものが多く、透明樹脂中への水分の吸収は、成形物のそりやひずみの発生、伝送損失の増大等の様々な弊害を招くため、透明樹脂の低吸水率化について種々検討されている。フッ素原子に起因する特性を発揮することができるフッ素含有化合物は、最近のIT(情報技術)の進展にともない、このような分野に用いられる透明樹脂材料への利用が注目されている。
【0003】
従来の透明樹脂を含有する材料に関し、エーテル結合を含有する6員環構造を有する繰り返し単位を含む重合体(A)と(メタ)アクリル系重合体(B)とからなる樹脂組成物(例えば、特許文献1参照。)、フェニルメタクリレート、ジシクロペンテニルアクリレート、炭素数1〜5のアルキル基を有するアルキルアクリレート及び架橋剤を含有する組成物をラジカル重合開始剤の存在下に注型重合して得られる低吸水性透明樹脂(例えば、特許文献2参照。)が開示されている。これらの樹脂組成物においては、レンズ等の光学部品、光ディスク等の光学式情報記録用媒体、光伝送材等に用いられることが記載されている。また、主鎖に窒素原子を含む化合物がエステル結合された繰り返し単位を含む光通信用高分子材料が開示されている(例えば、特許文献3参照。)。
しかしながら、これらの透明樹脂を含有する材料においては、低吸水性を更に向上させて、光通信、光導波路、光記録、液晶ディスプレイ等の種々の用途に好適に用いられるものとするための工夫の余地があった。
【特許文献1】特開2000−239325号公報(第2−3頁)
【特許文献2】特開平5−32731号公報(第2、4頁)
【特許文献3】特開2000−89049号公報(第2−3頁)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、上記現状に鑑みてなされたものであり、透明樹脂が有する透明性等の種々の特性を損なうことなく透明樹脂材料を低吸水率化、撥水化させる添加剤等の用途に使用することができるフッ素含有化合物を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者等は、フッ素含有化合物について種々検討したところ、シアノ基を置換基として有するベンゼン環の水素原子がフッ素原子に置換され、フッ化アルキル基が酸素原子(O)又はイオウ原子(S)を介してベンゼン環に1つ以上結合した構造を有する新規なフッ素含有化合物を見いだした。そして、この化合物を例えば、アクリル系樹脂等の透明樹脂に添加剤として加えると、フッ素は撥水性に優れているため、透明樹脂における吸水性を低下させ、撥水化させるとともに、透明樹脂が本来有する熱的特性等の各種特性を損なうことなく、屈折率制御が可能となることを見いだし、上記課題をみごとに解決することができることに想到した。併せてこのような特定構造のフッ素含有化合物を効率的に製造する製造方法も見いだし、本発明に到達したものである。
【0006】
すなわち本発明は、下記一般式(1);
【0007】
【化1】

【0008】
(式中、Xは、O又はSを表す。Rfは、炭素数4以上のフッ素含有アルキル基である。rは、芳香環に結合しているRf−X−の数であり、1以上の整数である。sは、芳香環に結合しているフッ素原子の数であり、1以上の整数である。また、r+sは、2〜5の整数である。)で表されるフッ素含有化合物である。
本発明はまた、炭素数4以上のフッ素含有アルキルアルコール又は炭素数4以上のフッ素含有アルキルチオールとフッ素含有ベンゾニトリルとを反応させてなる下記一般式(3);
【0009】
【化2】

【0010】
(式中、Xは、O又はSを表す。Rfは、炭素数4以上のフッ素含有アルキル基である。rは、芳香環に結合しているRf−X−の数であり、1以上の整数である。sは、芳香環に結合しているフッ素原子の数であり、1以上の整数である。また、r+sは、2〜5の整数である。)で表されるフッ素含有化合物の製造方法でもある。
以下に本発明を詳述する。
【0011】
本発明のフッ素含有化合物は、上記一般式(1)で表されるものであるが、上記一般式(1)中、フッ素含有アルキル基とは、アルキル基を構成する炭素原子に結合した水素原子の一部又は全部がフッ素原子で置換されたものであり、構造は特に制限されず、直鎖、分岐、環状アルキル基のいずれの構造であってもよいが、炭素原子に結合したフッ素原子の数が炭素原子に結合した水素原子の数よりも多いものであることが好ましい。フッ素原子の数が水素原子の数より多いと、例えば、上記フッ素含有化合物を透明樹脂材料の添加剤として用いた場合に、透明樹脂材料が充分な撥水性を発揮することができることになる。好ましくは、上記一般式(1)において、r+sが5であるもの、すなわち、芳香環のすべての炭素原子にフッ素原子又はRf−X−のいずれかが結合しているものである。より好ましくは、r=1、s=4の場合である。
本発明のフッ素含有化合物を透明樹脂材料に添加剤として加える場合、1種又は2種以上を加えることができる。
【0012】
上記一般式(1)において、r=1、s=4である化合物としては、例えば、下記式(1−1)〜(1−6)で表される化合物等が挙げられる。
【0013】
【化3】

【0014】
本発明のフッ素含有化合物としては、上記一般式(1)で表されるフッ素含有化合物であって、r+sが5である化合物の中でも、下記一般式(2);
【0015】
【化4】

【0016】
で表される化合物であることがより好ましい。フッ素含有化合物がこのような構造を有するものであると、透明樹脂材料に添加した場合に透明樹脂材料をより低吸水化、撥水化させることが可能となる。
【0017】
本発明はまた、炭素数4以上のフッ素含有アルキルアルコール又は炭素数4以上のフッ素含有アルキルチオールと、フッ素含有ベンゾニトリルとを反応させてなる下記一般式(3);
【0018】
【化5】

【0019】
(式中、Rfは、炭素数4以上のフッ素含有アルキル基である。rは、芳香環に結合しているRf−X−の数であり、1以上の整数である。sは、芳香環に結合しているフッ素原子の数であり、1以上の整数である。また、r+sは、2〜5の整数である。)で表されるフッ素含有化合物の製造方法でもある。この製造方法により、フッ素含有ベンゾニトリルの芳香環に1つ又は2つ以上のフッ素含有アルコキシル基が置換した化合物を効率的に製造することができる。この反応において、炭素数4以上のフッ素含有アルキルアルコール及びフッ素含有ベンゾニトリルは、それぞれ1種を用いてもよく、2種以上を用いてもよい。
【0020】
上記反応において、フッ素含有アルキルアルコール又はフッ素含有アルキルチオールと、フッ素含有ベンゾニトリルの使用量の比率は、反応によって製造するフッ素含有化合物に置換するフッ素含有アルコキシル基、又は、フッ素含有アルキルチオ基の数等に応じて適宜決定すればよい。例えば、フッ素含有アルキルアルコールとペンタフルオロベンゾニトリル(PFBN)とを反応させて、ペンタフルオロベンゾニトリルに1つのフッ素含有アルキル基が置換した1置換体を製造する場合、フッ素含有アルキルアルコール1モルに対して、ペンタフルオロベンゾニトリルを1〜5モルの割合で加えて反応させることが好ましい。より好ましくは、フッ素含有アルキルアルコール1モルに対して、ペンタフルオロベンゾニトリルを1〜2モルの割合で加えて反応させることである。
【0021】
また上記反応は、塩基性触媒の存在下で行われることが好ましい。塩基性触媒としては、反応系中のフッ化水素(HF)を捕捉することができる塩基性物質であれば特に制限されず、炭酸カリウム、炭酸カルシウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、フッ化カリウム、トリエチルアミン、トリブチルアミン、ピリジン等を用いることができる。これら塩基性物質の使用量もまた、反応によって製造するフッ素含有化合物に置換するフッ素含有アルコキシル基、又は、フッ素含有アルキルチオ基の数等によって適宜決定すればよい。例えば、生成物として上記ペンタフルオロベンゾニトリルに1つのフッ素含有アルキル基が置換した1置換体を製造する場合、ペンタフルオロベンゾニトリル1モルに対して0.5〜5モルであることが好ましい。より好ましくは、0.5〜1モルである。これら塩基性物質は、1種を用いてもよく、2種以上を用いてもよい。
【0022】
上記反応において使用できる溶媒としては、アセトニトリル、N−メチルピロリドン(NMP)、N−メチル−2−ピロリジノン、ジメチルアセトアミド(DMAc)、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、ニトロベンゼン、ニトロメタン等の極性溶媒、及び、これらの極性溶媒とトルエンやキシレン等の非極性溶媒との混合溶媒が挙げられる。溶媒として極性溶媒とトルエン等の非極性溶媒との混合溶媒を反応の初期段階に用いることにより、反応中に副生する水を共沸脱水によりトルエンの共沸物として除去することができる。これらの溶媒は、1種を用いてもよく、2種以上を用いてもよい。
これらの溶媒中におけるフッ素含有ベンゾニトリルの濃度は、1〜40質量%であることが好ましい。溶媒中におけるフッ素含有ベンゾニトリルの濃度がこの範囲を外れると、反応の効率が低下することになる。より好ましくは、5〜30質量%である。
【0023】
上記反応の反応条件は、特に制限されないが、反応温度としては0〜150℃が好ましく、反応時間としては、1時間以上が好ましい。これらの条件下で反応を行うことにより、上述したフッ素含有化合物を高い収率で得ることができる。また、反応は、常圧下で行ってもよく、減圧下で行ってもよい。
上記反応により生成した生成物は、析出塩を取り除いた上で溶媒留去を行った後に蒸留したり、溶媒留去後、有機溶媒により抽出し、カラムクロマトグラフを用いる等の方法によりその他の成分と分離して得ることができる。
【0024】
本発明のフッ素含有化合物は、透明樹脂材料の添加剤として好適に用いることができるものである。本発明のフッ素含有化合物を透明樹脂材料の添加剤として用いると、フッ素原子が撥水性に優れていることに起因して、透明樹脂の吸水性を低下させ、撥水化させることができるだけでなく、フッ素含有化合物の含有量を適宜設定することにより、熱的特性等の各種特性を損なうことなく透明樹脂材料の屈折率を添加剤の含有量に応じて変化させることができる。
【0025】
本発明のフッ素含有化合物を透明樹脂材料の添加剤として使用する場合、透明樹脂材料が含有する透明樹脂に対して1〜100質量%添加されることが好ましい。1質量%未満であると、透明樹脂材料が充分に低吸水率化、撥水化されないおそれがあり、100質量%を超えると、透明性、機械的強度等の基本特性が充分に発揮されないおそれがある。下限値としては、より好ましくは、5質量%であり、更に好ましくは、10質量%である。上限値としては、より好ましくは、80質量%であり、更に好ましくは、70質量%である。
【0026】
上記透明樹脂材料は、透明性をもつ成形物を形成する重合体を含有するものである。このような透明樹脂材料は、透明性をもつ成形物を形成するものであればよく、例えば、後述するようなアクリル系樹脂等の透明樹脂を含有するものであればよい。
上記透明性とは、高い光線透過率を有していることである。ここでいう透明樹脂材料とは、全光線透過率が70%以上であるものを指している。その測定方法は、測定装置として、測色色差計 NDH−1001DP型(日本電色工業社製)を用いた方法等を挙げることができる。
【0027】
上記成形物としては、ファイバー、成形体、厚膜フィルム等が好適である。
上記成形物においてファイバーとは、繊維状の成形物であり、直径としては、10μm以上、10000μm以下であることが好ましい。成形体とは、所定の形状を有する成形物であり、例えば、ペレット形状、平板や波板等のシート形状、パイプ形状等の成形体;半円、L字形、T字形、U字形、山形等の形状をしている異形の成形体が挙げられる。厚膜フィルムとは、フィルム又はシート状の成形物であり、厚さとしては、10μm以上、1000μm以下であることが好ましい。
上記成形物の成形方法としては、射出成形、押出成形、真空成形、ブロー成形、熱成形、圧縮成形、カレンダー成形、粉末成形、発泡成形、積層成形、溶剤キャスト法等の方法が好適である。
【0028】
上記透明樹脂としては、アクリル系樹脂、ポリカーボネート樹脂、フッ素系樹脂、エポキシ系樹脂、ポリエーテル系樹脂、ポリエステル系樹脂等が好適である。好ましくは、アクリル系樹脂、ポリカーボネート樹脂である。
上記アクリル系樹脂としては、(メタ)アクリル酸やそのエステル化合物を必須成分として含む単量体成分を重合して得られる重合体を含んでなるものであることが好ましく、例えば、ポリメチルメタクリレート、他種モノマーを共重合したポリメチルメタクリレート、マレイミド変性ポリメチルメタクリレート、重水素化ポリメチルメタクリレート等が好適である。なかでも、これらのアクリル系樹脂の混合物又は共重合物が好適である。
上記ポリカーボネート樹脂としては、主鎖にカーボネート結合(−O−CO−O−)を有する重合体を含んでなるものである。
【0029】
本発明のフッ素含有化合物を含んだ透明樹脂材料は、光通信、光導波路、光記録、液晶ディスプレイ等の各種用途に用いることができる。例えば、光ピックアップレンズ、カメラレンズランプレンズ等のレンズ;ビデオディスク、オーディオディスク、コンピューター用追記型ディスク等のディスク;光ファイバー、光コネクター、導光体等の光伝送材を挙げることができる。
【発明の効果】
【0030】
本発明のフッ素含有化合物は、上述の構成よりなり、例えば、透明樹脂材料の添加剤として用いられると、透明樹脂が有する透明性等の種々の特性を損なうことなく透明樹脂材料を低吸水化及び撥水化できる。また、フッ素含有化合物を添加することで、通常の樹脂に加えると屈折率を下げられることや誘電率の低下が見込まれる。
また、本発明の特定構造を有するフッ素含有化合物の製造方法は、このような透明樹脂材料の添加剤として好適なフッ素含有化合物を効率的に製造することができる方法として好適なものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0031】
以下に実施例を掲げて本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。
【0032】
合成例1
ペンタフルオロデカノキシテトラフルオロベンゾニトリル(17FD−TFBN)の合成
ペンタフルオロベンゾニトリル(PFBN)5.66g(29.31mmol)、アルキルフッ素化アルコール9.28g(19.99mmol)、炭酸カリウム1.45g(10.49mmol)及びアセトニトリル50gを反応容器に一括で仕込んだ。この反応溶液を70℃で24時間加熱し、その後冷却した。反応終了後、析出塩を濾過した後、溶媒留去し、得られた粗生成物を113−118℃/0.1mmHgの条件で減圧蒸留して、白色固体8.92g(収率70%)を得た。得られた生成物は、ペンタフルオロデカノキシ−2,3,5,6−テトラフルオロベンゾニトリル(p−置換体)/ペンタフルオロデカノキシ−3,4,5,6−テトラフルオロベンゾニトリル(o−置換体)=87.7/12.3の混合物であった。得られた物質のH−NMR及びF−NMRチャートを図1に示す。なお、得られた生成物のp−置換体/o−置換体の比率は、図2に示したF−NMRチャートの(i)、(j)及び(k)、(l)、(m)、(n)のピークの面積比から算出したものである。H−NMR及びF−NMR測定は、以下の装置及び条件により行った。得られた17FD−TFBNの熱的特性評価を行った。結果を表1に示す。熱的特性評価の測定装置及び条件は以下のとおりである。
【0033】
[H−NMR及びF−NMR測定]
Unity Plus 400(Varian社製)を用いて、溶媒CDClを使用し、H−NMR(400MHz)及びF−NMR(376MHz)スペクトル測定し、構造分析を行った。なお、H−NMRスペクトルは、内部標準としてテトラメチルシラン(TMS)のHの位置を0ppmとし、F−NMRスペクトルは、内部標準としてヘキサフルオロベンゾニトリルのFの位置を0ppmとした。
[熱的特性評価]
島津示差熱熱重量同時測定装置(島津製作所製)を用いて、分解温度(2%重量減少温度)を測定した。
昇温速度は窒素雰囲気下、10℃/分とした。
【0034】
【表1】

【0035】
実施例1及び比較例1
アクリル樹脂A(メチルメタクリレート(MMA)/t−ブチルメタクリレート(tBMA)/FM108=60/30/10、 溶媒:メチルエチルケトン(MEK)/トルエン、 固形分30%、 FM108:フッ素含有メタクリル酸誘導体、共栄社化学製)10部に、合成例1で得られた17FD−TFBN(p−置換及びo−置換体混合物)を0.9部を溶解して、透明樹脂材料を得た。
この材料をキャスト法にして、PETに作製しフィルムを剥離することでフィルムを得た。
このフィルムは、透明性を損なわず、優れた透明性を維持していた。このフィルムについて、全光線透過率、ヘイズ、吸水率の測定を行った。結果を表2に示す。全光線透過率、ヘイズ、吸水率測定の測定装置及び条件は以下のとおりである。
【0036】
[全光線透過率、ヘイズ]
側色色素計NDH−1001DP型(日本電色工業社製)を用いて測定した。
実施例1の処方で作製した50μmのフィルムの全光線透過率及びヘイズを測定した。
[吸水率]
実施例1の処方で作製したフィルムを25℃で72時間浸漬させて、その質量変化を測定し、吸水率を算出した。
【0037】
【表2】

【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】本発明の合成例1において得られたペンタフルオロデカノキシ−2,3,5,6−テトラフルオロベンゾニトリル(p−置換体)、及び、ペンタフルオロデカノキシ−3,4,5,6−テトラフルオロベンゾニトリル(o−置換体)の混合物のH−NMRの測定チャートである。
【図2】本発明の合成例1において得られた(p−置換体)、及び、ペンタフルオロデカノキシ−3,4,5,6−テトラフルオロベンゾニトリル(o−置換体)の混合物のF−NMRの測定チャートである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記一般式(1);
【化1】

(式中、Xは、O又はSを表す。Rfは、炭素数4以上のフッ素含有アルキル基である。rは、芳香環に結合しているRf−X−の数であり、1以上の整数である。sは、芳香環に結合しているフッ素原子の数であり、1以上の整数である。また、r+sは、2〜5の整数である。)で表されることを特徴とするフッ素含有化合物。
【請求項2】
前記フッ素含有化合物は、下記式(2);
【化2】

で表される化合物であることを特徴とする請求項1記載のフッ素含有化合物。
【請求項3】
炭素数4以上のフッ素含有アルキルアルコール又は炭素数4以上のフッ素含有アルキルチオールとフッ素含有ベンゾニトリルとを反応させてなることを特徴とする下記一般式(3);
【化3】

(式中、Xは、O又はSを表す。Rfは、炭素数4以上のフッ素含有アルキル基である。rは、芳香環に結合しているRf−X−の数であり、1以上の整数である。sは、芳香環に結合しているフッ素原子の数であり、1以上の整数である。また、r+sは、2〜5の整数である。)で表されるフッ素含有化合物の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2006−8648(P2006−8648A)
【公開日】平成18年1月12日(2006.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−226815(P2004−226815)
【出願日】平成16年8月3日(2004.8.3)
【出願人】(000004628)株式会社日本触媒 (2,292)
【Fターム(参考)】