説明

フッ素系中空糸膜およびその製造方法

本発明は、フッ素系中空糸膜およびその製造方法に関する。本発明では、非対称構造を有しながらも、スポンジ状の気孔構造が発現したフッ素系中空糸膜およびその製造方法を提供する。これにより、本発明では、卓越した機械的強度を有しながらも、濾過性能および逆洗性能に優れたフッ素系中空糸膜およびその製造方法を提供することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フッ素系中空糸膜およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
伝統的に効果的な物質分離のための方法として、蒸留、抽出、吸収、吸着または再結晶などの様々な分離工程が用いられてきた。ところが、上述したような在来式分離工程は、多量のエネルギー消費や空間利用の非効率性などの問題点を持っている。
【0003】
これにより、前述した在来式分離工程を代替するための省エネルギー型分離工程として、分離膜の重要性が台頭しつつある。分離膜は2つの相(phase)の間に存在する選択的障壁(selective barrier)と定義できる。特に、高分子分離膜は選択分離および効率のよい物質透過機能を前提として、化学から環境、医療、バイオおよび食品産業などに至るまでその産業的需要が引き続き拡大している。
【0004】
また、工業および農業廃水の処理や飲用水の供給、毒性産業廃棄物の処理などをめぐって、環境汚染の深刻性が全世界的に台頭することにより、高分子分離膜に対する重要性はさらに大きくなっている。
【0005】
例えば、代表的な高分子分離膜の一つであるフッ素系中空糸膜(例えば、PVDF(polyvinylidene fluoride)系中空糸膜)は、限外濾過(UF、ultralfiltration)または精密濾過(MF、microfiltration)のための分離膜として注目を浴びている。このようなフッ素系中空糸膜を製造するための代表的な方法としては非溶媒相分離法がある。非溶媒相分離法は、良溶媒に溶解した重合体溶液を樹脂の融点より低い温度で二重管型ノズルから押し出した後、樹脂の非溶媒を含む液体と接触させることにより、非溶媒有機相分離を誘導し、多孔構造を形成する方法である。
【0006】
この方法で製造された中空糸膜の場合、熱誘導相分離法に比べて経済的に有利であり、逆洗およびファウリング除去効果に優れるという利点があった。ところが、非溶媒相分離法で製造された中空糸膜の場合、膜表面への気孔形成が難しく、マクロボイドを含む非対称構造膜が形成されるため、機械的強度が低下するという欠点がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、フッ素系中空糸膜およびその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するための手段として、本発明は、平均直径0.01μm〜0.5μmの気孔を含むスポンジ構造の濾過領域と、平均直径0.5μm〜5μmの気孔を含むスポンジ構造の支持領域と、平均直径2μm〜10μmの気孔を含むスポンジ構造の逆洗領域とを含んでなり、前記濾過領域、前記支持領域および前記逆洗領域が外表面から内表面の方向に順次形成されている、フッ素系中空糸膜を提供する。
【0009】
上記課題を解決するための他の手段として、本発明は、内側管および外側管を備えた二重管型ノズルとして、前記外側管の幅(D)に対するノズルの長さ(L)の比率(L/D)が3以上の二重管型ノズルを用いて、前記ノズルの内側管から内部凝固液を吐き出し、前記ノズルの外側管から放射溶液を吐き出す第1段階と、放射溶液を外部凝固液と接触させる第2段階とを含んでなる、中空糸膜の製造方法を提供する。
【0010】
上記課題を解決するための別の手段として、本発明は、前記本発明の方法で製造され、引張破断強度が4MPa以上である、フッ素系中空糸膜を提供する。
【発明の効果】
【0011】
本発明では、非対称構造を有しながらも、内部にマクロボイドが排除されたスポンジ状の気孔構造が発現したフッ素系中空糸膜を提供することができる。また、本発明では、外表面および内表面の気孔特性が効果的に制御されたフッ素系中空糸膜を提供することができる。これにより、本発明では、卓越した機械的強度を有しながらも、優れた逆洗性能および濾過性能を示すフッ素系中空糸膜を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】図1は本発明の中空糸膜の気孔構造を模式的に示す図である。
【図2】図2は本発明で使用することが可能な二重管型ノズルの一例を示す図である。
【図3】図3は本発明の中空糸膜が製造される過程を概略的に示す図である。
【図4】図4は本発明の実施例で製造された中空糸膜の走査電子顕微鏡写真(SEM)を示す図である。
【図5】図5は本発明の実施例で製造された中空糸膜の走査電子顕微鏡写真(SEM)を示す図である。
【図6】図6は本発明の実施例で製造された中空糸膜の走査電子顕微鏡写真(SEM)を示す図である。
【図7】図7は本発明の比較例で製造された中空糸膜の走査電子顕微鏡写真(SEM)を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明は、平均直径0.01μm〜0.5μmの気孔を含むスポンジ構造の濾過領域と、平均直径0.5μm〜5μmの気孔を含むスポンジ構造の支持領域と、平均直径2μm〜10μmの気孔を含むスポンジ構造の逆洗領域とを含んでなり、前記濾過領域、前記支持領域および前記逆洗領域が外表面から内表面の方向に順次形成されている、フッ素系中空糸膜に関する。
【0014】
以下、本発明のフッ素系中空糸膜を詳細に説明する。
【0015】
本発明の中空糸膜は、外表面から内表面の方向に気孔のサイズが順次増加する非対称構造を有しながらも、スポンジ構造で形成された気孔構造を持つ。本発明で使用する用語「スポンジ構造」は、気孔構造内にマクロボイド、具体的には平均直径数十μm以上の巨大気孔が存在していない状態を意味する。
【0016】
本発明の中空糸膜は、外表面から内表面の方向に順次形成された濾過領域、支持領域および逆洗領域を含んでなり、前記濾過領域、前記支持領域および前記逆洗領域がそれぞれスポンジ構造で形成されている。本発明で使用する用語「濾過領域」は、図1に示すように、中空糸膜の外表面に隣接して形成されている。そして、約0.01〜0.5μm、好ましくは約0.05μm〜0.3μm、より好ましくは約0.2μmの平均直径を持つ気孔を含んでなるスポンジ構造の領域を意味する。また、本発明で使用する用語「支持領域」は、図1に示すように、中空糸膜の中央部に形成され、約0.5〜5μm、好ましくは約0.5μm〜2μm、より好ましくは約1μmの平均直径を持つ気孔を含んでなるスポンジ構造の領域を意味する。用語「逆洗領域」は、図1に示すように、中空糸膜の内表面に隣接して形成され、約2μm〜10μm、好ましくは約2μm〜5μm、より好ましくは約2μmの平均直径を持つ気孔を含んでなるスポンジ構造の領域を意味する。本発明では、例えば、上記濾過領域、支持領域および逆洗領域に含まれる気孔の平均直径が濾過領域、支持領域および逆洗領域の順に増加する。また、図1に示すように、濾過領域、支持領域および逆洗領域が中空糸膜の外表面から内表面の方向に連続的に形成されていてもよい。
【0017】
本発明において、上述したような中空糸膜の内部気孔の平均直径は、例えば、中空糸膜の断面を走査電子顕微鏡を用いて観察した後、気孔サイズの分布を測定する方式で測定することができる。
【0018】
本発明において、上述したように中空糸膜の内部に形成された濾過領域、支持領域および逆洗領域の比率は特に限定されない。本発明では、例えば、前記濾過領域の断面長さLfに対する支持領域の断面長さLsの比率Ls/Lfが約10〜70、好ましくは20〜60であってもよい。濾過領域の断面長さLfに対する逆洗領域の断面長さLbの比率Lb/Lfが約5〜30、好ましくは5〜20の範囲にありうる。また、本発明で前記濾過領域、支持領域および逆洗領域の長さの合計Lf+Ls+Lbは、約100μm〜400μm、好ましくは約200μm〜300μmの範囲にありうる。
【0019】
また、本発明の中空糸膜では、前記外表面に形成されている気孔の平均直径が約0.01μm〜0.05μmであり、内表面に存在する気孔の平均直径が約2μm〜10μmの範囲にありうる。
【0020】
本発明では、気孔の存在様態および構造などを前述したように制御することにより、卓越した逆洗能、濾過能および透水率を示しながらも機械的強度に優れる中空糸膜を製造することができる。
【0021】
すなわち、本発明の中空糸膜は、引張破断強度が約4MPa以上、好ましくは4.5MPa以上、より好ましくは約5MPa以上であってもよい。本発明において、前記引張破断強度は、例えば、引張試験機(Zwick Z100)を用いた引張試験によって測定することができる。具体的には、約25℃の温度および約40%〜70%の相対湿度条件の下で、湿潤状態の中空糸膜を引張試験機に装着(チャック間距離:約5cm)し、約200mm/minの引張速度で引張り、試片(中空糸膜)が破断する時点における荷重を測定して引張破断強度を測定することができる。本発明において、引張破断強度が4MPa未満であれば、中空糸膜の機械的強度が低下し、長期間にわたっての安定な運転が難しくなるおそれがある。一方、本発明において、中空糸膜の引張破断強度は、その数値が大きいほど中空糸膜が優れた機械的強度を示すもので、その上限は特に制限されず、例えば12MPa以下の範囲で適切に制御できる。
【0022】
また、本発明の中空糸膜は、引張破断伸び率が約60%以上、好ましくは80%以上、より好ましくは約100%以上、さらに好ましくは約150%以上であってもよい。本発明において、前記引張破断伸び率は、例えば、前述した引張破断強度と類似の方式で測定することができる。すなわち、前記引張破断強度の測定時と同一の温度および湿度条件で、湿潤状態の中空糸膜を引張試験機に装着(チャック間距離:約5cm)し、約200mm/minの引張速度で引張り、試片(中空糸膜)が破断する時点における変位を測定して引張破断伸び率を測定することができる。本発明において、引張破断伸び率が60%未満であれば、中空糸膜の機械的強度が低下し、長期間にわたっての安定な運転が難しくなるおそれがある。一方、本発明において、中空糸膜の引張破断伸び率は、その数値が大きいほど中空糸膜が優れた機械的強度を示すもので、その上限は特に限定されず、例えば200%以下の範囲で適切に制御できる。
【0023】
また、本発明の中空糸膜は、純水(pure water)に対する透過率(flux)が60LMH(L/m2・hr)以上、好ましくは80LMH(L/m2・hr)以上、より好ましくは約100LMH(L/m2・hr)以上であってもよい。本発明において、純水に対する透過率は、例えば、下記実施例に開示された方法で測定することができる。本発明において、純水に対する透過率が60LMH(L/m2・hr)未満であれば、中空糸膜の水処理効率が低下するおそれがある。一方、本発明において、前記純水に対する透過率は、その数値が高いほど中空糸膜が優れた水処理能を示すもので、その上限は特に限定されず、例えば、450LMH(L/m2・hr)以下の範囲で適切に制御できる。
【0024】
本発明の中空糸膜は、前述したような気孔特性、引張破断強度、引張破断伸び率または透過率を示す限り、その具体的な素材の種類は特に限定されない。本発明のフッ素系中空糸膜は、例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)系中空糸膜、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)系中空糸膜、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(EPE)系中空糸膜、テトラフルオロエチレン−エチレン共重合体(ETFE)系中空糸膜、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)系中空糸膜、クロロトリフルオロエチレン−エチレン共重合体(ECTFE)系中空糸膜またはポリフッ化ビニリデン(PVDF)系中空糸膜などであってもよく、これらの中でも、耐オゾン性および機械的強度などに優れるということから、テトラフルオロエチレン−エチレン共重合体、ポリクロロトリフルオロエチレンおよびポリフッ化ビニリデン、好ましくはポリフッ化ビニリデン系中空糸膜であってもよいが、これに限定されない。前記において、ポリフッ化ビニリデン系中空糸膜に含まれる素材の例としては、フッ化ビニリデンの単独重合体(homopolymer)、またはフッ化ビニリデンおよびこれと共重合可能な他の単量体との共重合体(copolymer)を挙げることができる。前記において、フッ化ビニリデンと共重合可能な他の単量体の具体的な例としては、テトラフッ化エチレン、六フッ化プロピレン、三フッ化エチレン、三フッ化塩化エチレンまたはフッ化ビニルなどの1種または2種以上を挙げることができるが、これに限定されない。
【0025】
本発明で上述のような特性を満足する中空糸膜を製造する方法は、特に限定されず、当該分野における公知の技術を適切に適用して前記中空糸膜を製造することができる。
【0026】
本発明では、特に、前述した特性を満足するフッ素系水処理膜の効果的な製造のために、内側管および外側管を備えた二重管型ノズルとして、前記外側管の幅(D)に対するノズルの長さ(L)の比率(L/D)が3以上の二重管型ノズルを用いて、前記内側管から内部凝固液を吐き出し、前記ノズルの外側管から放射溶液を吐き出す第1段階と、第1段階で吐き出された放射溶液を外部凝固液と接触させる第2段階とを含んでなる方法で、フッ素系中空糸膜を製造することができる。
【0027】
本発明の前記方法では、非溶媒(non-solvent)相分離法によって、中空糸膜を製造する過程で、放射溶液の吐き出しに使用される二重管型ノズルの形を制御して、目的の特性を持つ中空糸膜を製造する。
【0028】
具体的に、本発明では、放射溶液を吐き出す二重管型ノズルとして、前記ノズルに含まれる外側管の幅(D)に対するノズルの長さ(L)の比率(L/D)が3以上、好ましくは5以上、より好ましくは7以上のノズルを使用することができる。
【0029】
本発明において、前記比率が3未満であれば、分子の再配列による効果が十分に発現しないため、マクロボイドが発生し、スポンジ状の気孔構造が効果的に発現しないおそれがある。また、本発明において、前記比率(L/D)は、その数値が大きいほど分子再配列の誘導効率が良くなり、気孔構造内にマクロボイド(巨大気孔)の生成を抑制することができるもので、その数値は特に限定されない。本発明では、例えば、ノズルの損傷可能性を考慮し、前記比率(L/D)を10以下、好ましくは8以下の範囲で制御することができる。
【0030】
本発明で使用することが可能な二重管型ノズルの具体的形態は、前述した範囲の規格を持つ限り、特に限定されない。
【0031】
本発明では、例えば、図2に示すように、放射溶液が供給される放射溶液注入口(11)、放射溶液が外部へ放射される外側管(13)、内部凝固液が注入される内部凝固液注入口(12)、および内部凝固液が放射される内側管(14)を含む二重管型ノズル(1)を使用することができる。
【0032】
一方、本発明で使用する用語「ノズルの長さ」は、前記内側管または外側管の長さであって、例えば、図2においてLで表示される長さを意味することができる。
【0033】
また、本発明で使用する用語「外側管の幅」は、二重管型ノズルに含まれて放射溶液の流路になる外側管の幅であって、例えば、図2においてDで表示される長さを意味することができる。
【0034】
本発明では、ノズルの長さ(L)および外側管の幅(D)の比率が前述の範囲を満足する限り、そのそれぞれの具体的な寸法は特に限定されない。本発明では、例えば、前記ノズルの長さ(L)が0.5mm〜5mmの範囲内で設定できる。
【0035】
本発明の製造方法の第1段階では、上述したような形態の二重管型ノズルを用いて、放射溶液および内部凝固液を同時に或いは順次それぞれ吐き出す。
【0036】
この際、放射溶液の組成は、特に限定されず、目的の中空糸膜を考慮して適切に選択できる。本発明では、例えば、前記放射溶液がフッ素系高分子および前記高分子に対する良溶媒を含むことができる。
【0037】
本発明において、放射溶液に含まれるフッ素系高分子の種類は、特に限定されるものではなく、目的の中空糸膜を考慮し、通常用いられるフッ素系高分子を使用することができる。本発明では、例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)系高分子、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)系高分子、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)系高分子、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(EPE)系高分子、テトラフルオロエチレン−エチレン共重合体(ETFE)系高分子、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)系高分子、クロロトリフルオロエチレン−エチレン共重合体(ECTFE)系高分子、またはポリフッ化ビニリデン(PVDF)系高分子などを使用することができ、これらの中でも、耐オゾン性および機械的強度などに優れるということから、テトラフルオロエチレン−エチレン共重合体、ポリクロロトリフルオロエチレンおよびポリフッ化ビニリデン、好ましくはポリフッ化ビニリデン系高分子を使用することができるが、これに限定されるものではない。前記において、ポリフッ化ビニリデン系高分子の例としては、フッ化ビニリデンの単独重合体、またはフッ化ビニリデンおよびこれと共重合可能な他の単量体との共重合体を挙げることができる。前記において、フッ化ビニリデンと共重合可能な他の単量体の具体的な例としては、テトラフッ化エチレン、六フッ化プロピレン、三フッ化エチレン、三フッ化塩化エチレンまたはフッ化ビニルなどの1種または2種以上を挙げることができるが、これに限定されるものではない。
【0038】
本発明で放射溶液に含まれるフッ素系高分子は、重量平均分子量が10万〜100万、好ましくは20万〜50万の範囲にありうる。本発明において、フッ素系高分子の重量平均分子量が10万未満であれば、中空糸膜の機械的強度が低下するおそれがあり、フッ素系高分子の重量平均分子量が100万超過であれば、相分離による多孔化効率が低下するおそれがある。
【0039】
本発明において、前記放射溶液は、前述したフッ素系高分子と共に、良溶媒を含むことができる。本発明で使用する用語「良溶媒」は、フッ素系樹脂の溶融温度以下、具体的には約20℃〜180℃の温度でフッ素系高分子を溶解させることが可能な溶媒を意味することができる。本発明で使用することが可能な良溶媒の具体的な種類は、前述した特性を示す限り特に限定されない。例えば、N−メチルピロリドン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、メチルエチルケトン、アセトンおよびテトラヒドロフランよりなる群から選ばれた一つ以上を挙げることができる。本発明では、前記良溶媒のうち、N−メチルピロリドンを使用することが多少好ましいが、これに限定されない。
【0040】
本発明の放射溶液において、前記良溶媒は、前述したフッ素系高分子100重量部に対し、150重量部〜900重量部、好ましくは300重量部〜700重量部の量で含有できる。本発明において、前記良溶媒の含量が150重量部未満であれば、相分離による多孔化効率が低下するおそれがあり、前記良溶媒の含量が900重量部超過であれば、製造された中空糸膜の機械的強度が低下するおそれがある。
【0041】
また、本発明の放射溶液は、フッ素系高分子および良溶媒に、当該分野における公知の様々な添加剤をさらに含むことができる。すなわち、当該分野では、中空糸膜の多孔化効率の改善および放射溶液の粘度の調節などを目的とする多様な添加剤が公知になっており、本発明では、その目的に応じて前記添加剤の1種または2種以上を適切に選択して使用することができる。本発明で使用することが可能な前記添加剤の種類としては、ポリエチレングリコール、グリセリン、ジエチルグリコール、トリエチルグリコール、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、エタノール、水、過塩素酸リチウム(lithium perchlorate)または塩化リチウムなどを挙げることができるが、これに限定されない。
【0042】
本発明で前述のような成分を含む放射溶液を製造する方法は、特に限定されない。本発明では、例えば、前記それぞれの成分を適切な条件で混合し、熟成(aging)させた後、溶液内に含まれたガスを除去する工程によって、放射溶液を製造することができる。この際、前記各成分の混合は、例えば、約60℃の温度で行われてもよい。また、前記脱ガス工程は、例えば、窒素(N2)ガスによるパージング(purging)工程によって行うことができる。この工程は、約60℃の温度で約12時間行うことができるが、これに限定されるものではない。
【0043】
本発明において、前述のような放射溶液と共に、二重管型ノズルの内側管から放射される、内部凝固液(bore fluid)の種類は特に限定されない。本発明では、例えば、前記内部凝固液として、水(例えば、純水(pure water)または水道水(tap water))または水と有機溶媒との混合溶液を使用することができる。前記において有機溶媒の具体的な例としては、N−メチルピロリドン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、メチルエチルケトン、アセトン、テトラヒドロフランまたは多価アルコールの1種または2種以上の混合物を使用することができる。また、前記において、多価アルコールの例としては、2価〜9価のアルコールを挙げることができ、具体的にはエチレングリコールまたはプロピレングリコールのような炭素数1〜8のアルキレングリコール、またはグリセロールなどを挙げることができるが、これに限定されない。
【0044】
本発明では、特に、気孔構造の効率的な制御などの観点からみて、前記内部凝固液として、水と有機溶媒との混合溶液を使用することが好ましく、水(例えば、純水)とN−メチルピロリドンとの混合溶液を使用することがより好ましい。この場合、前記混合溶液内における有機溶媒の濃度は10重量%〜90重量%、好ましくは20重量%〜80重量%である。本発明において、混合溶液内の有機溶媒の濃度が10重量%未満であれば、中空糸膜のスポンジ構造の発現効率が低下して機械的強度が低下するおそれがあり、混合溶液内の有機溶媒の濃度が90重量%超過であれば、気孔形成効率が低下するおそれがある。
【0045】
一方、本発明において、前記内部凝固液は、常温、具体的には約10℃〜30℃の温度を持つことができる。本発明で使用する用語「常温」は、加温または減温状態ではなく自然な状態の温度範囲を意味する。具体的には、前述したように約10℃〜30℃、好ましくは約15℃〜30℃、より好ましくは約20℃〜30℃、さらに好ましくは約25℃の温度を意味することができる。本発明において、内部凝固液の温度があまり低くなると、水の飽和水蒸気圧が減少して気泡が生成されるか、或いは放射溶液の放射が途切れるおそれがある。逆に、内部凝固液の温度があまり高くなると、相転移が発生する前に放射溶液が溶解して製造効率が低下するおそれがある。
【0046】
本発明において、前記内部凝固液を製造する方法は、特に限定されず、前記放射溶液の場合と同様に、各成分を適切な条件で混合し、脱ガス工程(degassing process)を適切に行うことにより前記内部凝固液を製造することができる。
【0047】
本発明の第1段階では、前記放射溶液および内部凝固液を二重管型ノズルを用いてそれぞれ外側管および内側管へ放射する。次に、このような過程を図3を参照して説明する。
【0048】
図3は本発明の中空糸膜の製造工程が行われる過程の一つの例示を示す図である。すなわち、本発明では、例えば、適切な混合器(21)内で放射溶液の各成分を混合した後、これをタンク(22)へ移送して脱ガス工程を行うことにより、放射溶液を製造することができる。その後、製造された放射溶液を、モーター(23)付きポンプ(24)を用いて前記二重管型ノズル(27)へ移送した後、その外側管を介して放射することができる。一方、これと同時に或いは順次内部凝固液タンク(25)内に貯蔵された内部凝固液を、やはり適切なポンプ(26)などの手段を用いて二重管型ノズル(27)へ移送した後、これを内側管を介して放射する工程を行うことができる。
【0049】
前記放射溶液および内部凝固液を吐き出す(放射する)条件(例えば、放射速度または放射温度)は特に限定されるものではない。本発明では、例えば、前記吐き出しを約6cc/min〜20cc/min、好ましくは8cc/min〜15cc/minの速度で行うことができる。また、前記吐き出し工程は、約15℃〜100℃、好ましくは約25℃〜60℃の温度範囲内で行うことができる。ところが、前記吐き出し速度および温度は本発明の一つの例示に過ぎない。すなわち、本発明では、使用された放射溶液および/または内部凝固液の組成や目的の中空糸膜の物性を考慮して前記吐き出し速度および温度を適切に選択することができる。
【0050】
本発明の第2段階は、前述したように、二重管型ノズルを用いて吐き出した放射溶液を外部凝固液と接触させる段階である。このような工程は、例えば、図3に示すように、前記二重管型ノズル(27)を介して吐き出された放射溶液が外部凝固液の貯蔵されたタンク(28)へ注入されるようにすることにより行うことができる。
【0051】
本発明では、特に前記段階で、二重管型ノズルから吐き出された放射溶液が、吐き出し直後に直ちに外部凝固液と接触するように制御することが好ましい。前記で吐き出し直後、放射溶液が外部凝固液と接触するとは、例えば、図3に示した二重管型ノズル(27)とタンク(28)に貯蔵された外部凝固液との間隔、すなわちエアギャップ(air gap)が形成されないように制御(すなわち、エアギャップの長さが0となるように制御)して、放射溶液が吐き出しと同時に外部凝固液へ進入することを意味することができる。
【0052】
このように、放射溶液が二重管型ノズルから吐き出された直後、外部凝固液と接触するようにすることにより、機械的強度および伸び率特性に優れた中空糸膜を製造することができる。
【0053】
一方、本発明で使用することが可能な前記外部凝固液の種類は、特に限定されず、非溶媒相分離法で使用される通常の外部凝固液を使用することができる。本発明では、特に、前記外部凝固液として、フッ素系樹脂に対する非溶媒、または非溶媒と良溶媒との混合溶液を使用することができる。本発明で使用する用語「非溶媒」は、樹脂の溶融温度以下、具体的には約20℃〜180℃の温度で、フッ素系高分子を実質的に溶解させない溶媒を意味することができる。本発明で使用することが可能な前記非溶媒の例としては、グリセロール、エチレングリコール、プロピレングリコール、低分子量ポリエチレングリコールおよび水(例えば、純水(pure water) または水道水(tap water)」ゥよりなる群から選ばれた一つ以上を挙げることができる。本発明では、前記非溶媒のうち水(例えば、水道水(tap water))を使用することが好ましい。
【0054】
一方、前記混合溶液に含まれる良溶媒の種類は、特に限定されない。具体的には、前記内部凝固液の説明で記述した有機溶媒を使用することができ、好ましくはN−メチルピロリドンを使用することができる。
【0055】
本発明において、外部凝固液として前記混合溶液を使用する場合、前記溶液に含まれる良溶媒の濃度は、例えば0.5重量%〜30重量%、好ましくは1重量%〜10重量%であってもよい。本発明において、混合溶液内の良溶媒の濃度が0.5重量%未満であれば、外部気孔形成効率が低下するおそれがあり、混合溶液内の良溶媒の濃度が30重量%超過であれば、中空糸膜の外表面に巨大気孔が生成されて濾過効率が低下するおそれがある。
【0056】
本発明において、前記外部凝固液は40℃〜80℃、好ましくは40℃〜60℃の温度を持つことができる。本発明において、外部凝固液の温度が40℃未満であれば、球状結晶構造の生成により中空糸膜の機械的強度および伸び率が低下するおそれがあり、外部凝固液の温度が80℃超過であれば、非溶媒成分の蒸発により工程上に問題が発生するおそれがある。
【0057】
本発明では、前述したように二重管型ノズルによって吐き出された放射溶液を外部凝固液と接触させて相分離を誘導することにより、目的の中空糸膜を製造することができる。また、本発明では、前述した外部凝固液との接触段階に相次いで、洗浄槽(29)における洗浄および巻取装置(30)における巻取などの通常の後工程を連続的に行うこともできる。
【0058】
本発明の方法によれば、前述したような特徴的な気孔構造を示し、上述した機械的強度(引張破断強度および伸び率)および透水率を有する中空糸膜を効果的に製造することができる。
【実施例】
【0059】
以下、本発明に係る実施例および本発明に係らない比較例によって本発明をより詳細に説明する。ところが、本発明の範囲はこれらの実施例によって限定されるものではない。
【0060】
<実施例1>
ポリフッ化ビニリデン15重量部、LiCl5重量部およびH2O3重量部をN−メチルピロリドン(NMP)77重量部に均一に溶解させて放射溶液を製造し、図2および図3に示したような中空糸膜の製造装置を用いて中空糸膜を製造した。この際、使用された二重管型ノズルの外側管の幅(D)に対する長さ(L)の比率(L/D)は7であり、前記ノズルの長さ(L)は2.1mmであった。また、二重管型ノズルと外部凝固液との間には間隔が形成されないように制御(すなわち、エアギャップを0cmに制御)し、放射溶液が吐き出しと同時に外部凝固液と接触するようにした。内部凝固液としてはN−メチルピロリドン(NMP)と水の混合溶液(NMP濃度:80wt%、常温)を使用し、外部凝固液としては60℃の水を使用した。本実施例において、二重管型ノズルを用いた放射溶液の吐き出しの際に、吐き出し速度は約12cc/min、吐き出し温度は常温に調整した。
【0061】
<実施例2>
内部凝固液としてはN−メチルピロリドンと水の混合溶液(NMP濃度:20wt%、常温)を使用した以外は、実施例1と同様にして中空糸膜を製造した。
【0062】
<実施例3>
外部凝固液としては、N−メチルピロリドンと水の混合溶液(NMP濃度:5wt%、60℃)を使用した以外は、実施例1と同様にして中空糸膜を製造した。
【0063】
<比較例1>
二重管型ノズルとして、外側管の幅(D)に対するノズル(L)の長さの比(L/D)が2であり、ノズルの長さLが0.7mmあるものを使用した以外は、実施例1と同様にして中空糸膜を製造した。
【0064】
前記実施例および比較例の中空糸膜の製造条件を下記表1にまとめて記載した。
【0065】
【表1】

【0066】
<試験例1>気孔構造の分析
実施例および比較例で製造された中空糸膜の断面および外表面を走査電子顕微鏡(SEM:Scanning Electron Microscope)で測定し、その結果を図4〜図7に示した。具体的に、図4は実施例1の中空糸膜の断面図、図5は実施例1の中空糸膜の外表面から順次形成された濾過、支持および逆洗領域の気孔構造、図6は実施例2の中空糸膜の外表面、図7は比較例1の中空糸膜の断面図をそれぞれ示す。添付図面から確認されるように、本発明の実施例1および2の中空糸膜の場合、内部にマクロボイドがないスポンジ構造の気孔が発現する。そして、外表面から内表面の方向に漸進的に気孔のサイズが大きくなる非対称構造を持つ。また、外表面の気孔特性も効率よく制御された中空糸膜が製造されたことを確認することができた。これに対し、比較例1の場合、非対称気孔構造を示したが、内部に平均直径数十μmのマクロボイドが形成されていることを確認することができる。
【0067】
前記実施例1で製造された中空糸膜の濾過領域、支持領域および逆洗領域のサイズおよび気孔の平均直径を走査電子顕微鏡で測定した結果、平均直径約0.2μmの気孔を含む濾過領域が外表面から約5μmの長さに形成され、次いで平均直径約1μmの気孔を含む支持領域が約200μmの長さに形成される。その後、平均直径約2μmの気孔を含む逆洗領域が約50μmの長さに形成されていることを確認した。
【0068】
<試験例2>引張破断強度および引張破断伸び率の分析
実施例2で製造された中空糸膜に対して、下記の方法で引張破断強度および伸び率を測定した。具体的には、実施例2で製造された中空糸膜を50重量%のエタノール水溶液に長時間保管した後、水で反復的に交換させることにより、湿潤状態の中空糸膜を製造した。次いで、湿潤状態の中空糸膜を引張試験機(Zwick Z100)にチャック間距離が約5cmとなるように装着した。その後、約25℃の温度および約60%の相対湿度条件下で、前記中空糸膜を約200mm/minの引張速度で引張させた。このような過程を経て、試片(湿潤状態の中空糸膜)が破断する時点における荷重および変位を測定することにより、引張破断強度および引張破断伸び率をそれぞれ測定した。
【0069】
このような過程を経て測定した結果、実施例2の引張破断強度は5.94MPaであり、引張破断伸び率は157%であった。
【0070】
<試験例3>純水に対する透過率の測定
実施例3で製造された中空糸膜に対して、純水に対する透過率を測定した。
【0071】
具体的に、長さ300mmの中空糸膜64本をエタノールに浸漬した後、純水に長時間浸漬させてエタノールを純水で置換させた。次いで、純水で置換された中空糸を10wt%のグリセリンに数時間浸漬させた後、常温で徐々に乾燥させた。乾燥の後、中空糸をPVC材質のチューブの両端にエポキシ樹脂を用いて固定させ、効率面積0.06mm2の小型モジュールを製作した。
【0072】
その後、製造されたモジュールを50wt%のエタノールに浸漬し、さらに純水に浸漬させて膜を湿潤状態に維持した。その後、前記モジュールを流量および圧力制御が可能な小型モジュール分析装置に装着し、純水を0.5barの圧力で流した。流入水の流入後5分が経過した時点で、30分間透過量を測定し、下記一般式1によって透過率を測定した。
【0073】
【数1】

【0074】
上述したような方式で実施例3の中空糸膜の透過率を測定した結果、その透過率は173LMHであって、優れた透過率を有することを確認することができた。
【符号の説明】
【0075】
1:二重管型ノズル 11:放射溶液注入口
12:内部凝固液注入口 13:外側管
14:内側管 L:ノズルの長さ
P:外側管の直径
21:混合器 22:貯蔵タンク
23:モーター 24:ポンプ
25:貯蔵タンク 26:モーター
27:二重管型ノズル 28:外部凝固液タンク
29: ローリング装置 30: 洗浄装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
平均直径0.01μm〜0.5μmの気孔を含むスポンジ構造の濾過領域と、
平均直径0.5μm〜5μmの気孔を含むスポンジ構造の支持領域と、
平均直径2μm〜10μmの気孔を含むスポンジ構造の逆洗領域とを含んでなり、
前記濾過領域、前記支持領域および前記逆洗領域が外表面から内表面の方向に順次形成されている、フッ素系中空糸膜。
【請求項2】
外表面に平均直径0.01μm〜0.05μmの気孔が形成されている、請求項1に記載のフッ素系中空糸膜。
【請求項3】
内表面に平均直径2μm〜10μmの気孔が形成されている、請求項1に記載のフッ素系中空糸膜。
【請求項4】
引張破断強度が4MPa以上である、請求項1に記載のフッ素系中空糸膜。
【請求項5】
引張破断伸び率が60%以上である、請求項1に記載のフッ素系中空糸膜。
【請求項6】
純水に対する透過率が60LMH以上である、請求項1に記載のフッ素系中空糸膜。
【請求項7】
内側管および外側管を備えた二重管型ノズルとして、前記外側管の幅(D)に対するノズル長さ(L)の比率(L/D)が3以上の二重管型ノズルを用いて、前記ノズルの内側管から内部凝固液を吐き出し、前記ノズルの外側管から放射溶液を吐き出す第1段階と、
放射溶液を外部凝固液と接触させる第2段階とを含んでなる、中空糸膜の製造方法。
【請求項8】
放射溶液がフッ素系高分子および前記フッ素系高分子に対する良溶媒を含む、請求項7に記載の中空糸膜の製造方法。
【請求項9】
フッ素系高分子がポリフッ化ビニリデンである、請求項8に記載の中空糸膜の製造方法。
【請求項10】
フッ素系高分子が10万〜100万の重量平均分子量を有する、請求項8に記載の中空糸膜の製造方法。
【請求項11】
良溶媒がN−メチルピロリドン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、メチルエチルケトン、アセトンおよびテトラヒドロフランよりなる群から選ばれた一つ以上である、請求項8に記載の中空糸膜の製造方法。
【請求項12】
内部凝固液は水、または水と有機溶媒との混合溶液を含む、請求項7に記載の中空糸膜の製造方法。
【請求項13】
有機溶媒が、N−メチルピロリドン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、メチルエチルケトン、アセトン、テトラヒドロフランおよび多価アルコールよりなる群から選ばれた一つ以上である、請求項12に記載の中空糸膜の製造方法。
【請求項14】
混合溶液内の有機溶媒の濃度が10重量%〜90重量%である、請求項12に記載の中空糸膜の製造方法。
【請求項15】
内部凝固液が10℃〜30℃の温度を持つ、請求項7に記載の中空糸膜の製造方法。
【請求項16】
第2段階で二重管型ノズルから吐き出された放射溶液を吐き出しと同時に外部凝固液と接触させる、請求項7に記載の中空糸膜の製造方法。
【請求項17】
外部凝固液は、フッ素系樹脂に対する非溶媒、またはフッ素系樹脂に対する非溶媒と良溶媒との混合溶液を含む、請求項7に記載の中空糸膜の製造方法。
【請求項18】
非溶媒が水である、請求項17に記載の中空糸膜の製造方法。
【請求項19】
良溶媒が、N−メチルピロリドン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、メチルエチルケトン、アセトン、テトラヒドロフランおよび多価アルコールよりなる群から選ばれた一つ以上である、請求項17に記載の中空糸膜の製造方法。
【請求項20】
混合溶液内の良溶媒の濃度が0.5重量%〜30重量%である、請求項17に記載の中空糸膜の製造方法。
【請求項21】
外部凝固液が40℃〜80℃の温度を持つ、請求項7に記載の中空糸膜の製造方法。
【請求項22】
請求項7〜21のいずれか1項に記載の方法で製造され、引張破断強度が4MPa以上である、フッ素系中空糸膜。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公表番号】特表2012−525966(P2012−525966A)
【公表日】平成24年10月25日(2012.10.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−509746(P2012−509746)
【出願日】平成22年9月15日(2010.9.15)
【国際出願番号】PCT/KR2010/006319
【国際公開番号】WO2011/037354
【国際公開日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【出願人】(509286787)エルジー・ハウシス・リミテッド (49)
【氏名又は名称原語表記】LG HAUSYS,LTD.
【住所又は居所原語表記】20,Yoido−dong,youngdungpo−gu,Seoul150−721,Republic of Korea
【Fターム(参考)】