説明

フラッシュ装置

【課題】 補助光を発光した場合であっても被写体が感じる眩しさを低減可能なフラッシュ装置を提供する。
【解決手段】 フラッシュ装置1は、フラッシュ発光部2と、フラッシュ光度Lfより低く、且つ消光状態から発光したときに被写体が眩しさを感じる光度として設定した値より低い光度Lsの補助光を発光する補助光発光部3とを備える。フラッシュ装置1は、フラッシュ発光部2を発光する以前に、補助光発光部3の発光を知覚時間tp以上発光させ、補助光発光部3が発光してから反応時間trが経過する前にフラッシュ発光部2を発光させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フラッシュ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、撮影時に被写体を照らすフラッシュライトを有する携帯電話が知られている(特許文献1)。この携帯電話では、夜間や屋内などで被写体の周囲が暗いときにフラッシュライトを発光することで鮮明な画像を撮影することができる。周囲が暗いときにフラッシュライトを発光すると、周囲の光度とフラッシュライトの光度との差が大きくなり、被写体は眩しさを感じやすい。
【0003】
このため、特許文献1の携帯電話では、照明キーが押下されると、撮影時にフラッシュライトが発光する光度よりも低い光度の補助光を被写体に向けて発光し、その後シャッタキーが押下されると撮影のためにフラッシュライトを被写体に向けて発光する。このように予め補助光が発光することで周囲の光度を増加させ、周囲の光度とフラッシュライトの光度との差を小さくし、補助光を発光しない場合に比べて被写体が感じる眩しさを低減している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−338973号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1の携帯電話では、照明キーが押下されるとシャッターキーが押下されるまで補助光を発光し続ける。被写体は、光度の低い補助光であっても周囲の光度が暗い環境で発光が長時間続くと、眩しさを感じてしまう。
【0006】
そこで、本発明は、補助光を発光した場合であっても被写体が感じる眩しさを低減可能なフラッシュ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のフラッシュ装置は、眩しさを感じる被写体を撮像する撮像装置に用いられるフラッシュ装置であって、フラッシュ発光部と、フラッシュ発光部が発光するときの光度より低く、且つ消光状態から発光したときに被写体が眩しさを感じる光度として設定した値より低い光度の補助光を発光する補助光発光部と、フラッシュ発光部及び補助光発光部の発光を制御する制御手段とを備え、被写体が、補助光発光部が発光してから発光を知覚するまでの時間を知覚時間、被写体が、補助光発光部が発光を知覚してから補助光発光部に視線を向けるまでの時間を運動時間、知覚時間と運動時間とを合計した時間を反応時間としたとき、制御手段は、フラッシュ発光部を発光する以前に、補助光発光部の発光を知覚時間以上発光させ、補助光発光部が発光してから反応時間が経過する前にフラッシュ発光部を発光させることを特徴とする。
【0008】
一般に、被写体(例えば、人)は、光源が発光したことを知覚するには、所定の時間(知覚時間)継続して発光する必要があることが知られている。また、人は、発光したことを知覚してから光源に対して視線を向ける(例えば、眼球を動かす)までに所定の時間(運動時間)がかかる。このように、人は、光源が発光してから知覚時間と運動時間とを合計した反応時間が経過するまでは反応できない。
【0009】
本発明によれば、フラッシュ光よりも光度が低く、且つ消光状態から発光したときに被写体が眩しさを感じる光度として設定した値より低い光度の補助光を知覚時間以上の時間で発光させるので、被写体は補助光を知覚できる。そして、補助光が発光してから反応時間が経過する前にフラッシュが発光する。これによって、フラッシュの発光前に、フラッシュ光よりも光度の低い補助光が予め発光によって周囲の光度が増加しているので、周囲の光度とフラッシュ光の光度との差が小さくなる。これによって、被写体が感じるフラッシュが発光するときの眩しさを低減できる。
【0010】
また、補助光が発光してから反応時間が経過する前にフラッシュが発光する、すなわち、補助光が消光するので、長時間発光が続くことによる眩しさを低減できる。
【0011】
本発明において、光が点滅するときの消光時間の長さについて、被写体が実際の光度よりも強い光度として知覚する長さを光度増大時間、被写体が点滅を知覚する長さを点滅知覚時間としたとき、補助光発光部を知覚時間以上発光させた後に、補助光発光部を光度増大時間より長く、且つ点滅知覚時間より短い時間を消光時間とする光の点滅を基本発光パターンとし、制御手段は、基本発光パターンを少なくとも1回以上繰り返す発光パターンに従って補助光発光部を発光させることが好ましい。
【0012】
一般に、視神経に光が刺激として入力されることで、視神経から興奮性信号又は抑制性信号が出力される。例えば、1回発光されると視神経から興奮性信号が1回出力される。また、「発光→消光→発光」のように2回発光する場合には、消光している時間(消光時間)が短いとき(光度増大時間以下のとき)には視神経から興奮性信号が1回出力され、消光時間が長いとき(点滅知覚時間以上のとき)には興奮性信号が2回出力され、消光時間が光度増大時間より長く点滅知覚時間より短い長さである場合には、視神経から興奮性信号が1回出力された後に抑制性信号が1回出力される。
【0013】
このように、消光時間が光度増大時間以下のとき及び消光時間が点滅知覚時間以上のときには興奮性信号のみが出力されるので、被写体は、補助光の後に発光されるフラッシュを眩しく感じる。本発明では、基本発光パターンの消光時間を光度増大時間より長く点滅知覚時間より短い長さとしている。これによって、興奮性信号の後に抑制性信号が出力されるので、この抑制性信号によって被写体が感じるフラッシュの眩しさを低減できる。
【0014】
本発明において、制御手段は、補助光発光部を発光するときに、補助光発光部の光度を漸増させる又は段階的に増加させることが好ましい。これにより、補助光が消光しているときから発光させるときの光度の変化が小さくなり、且つフラッシュ発光時の補助光の光度とフラッシュ光の光度との差が小さくなるため、被写体が感じる眩しさをより効果的に低減できる。
【0015】
本発明において、フラッシュ発光部と補助光発光部に同一の光源を使用することが好ましい。フラッシュ発光部と補助光発光部とに同一の光源を使用する場合には、補助光の発光が開始してからフラッシュが発光するまでの時間が反応時間以上になると、被写体は補助光発光部、すなわちフラッシュ発光部に視線が向いてしまう。被写体は、フラッシュ発光部に視線が向いた後にフラッシュが発光することで眩しさを感じる。本発明では、フラッシュ発光部と補助光発光部とに同一の光源を使用しても、補助光発光部が発光してから反応時間が経過する前、すなわちフラッシュ発光部に視線が向く前にフラッシュが発光するので、被写体が感じる眩しさを低減できる。
【0016】
本発明において、フラッシュ発光部は発光ダイオードで構成されることが好ましい。これにより、発光ダイオードは小型であっても大きな光度で発光できるので、フラッシュ装置を小型化できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】(a)は第1実施形態のフラッシュ装置を備えた撮像装置、(b)は第1実施形態のフラッシュ装置を備えた別の撮像装置を示す図。
【図2】第1実施形態のフラッシュ装置を含む撮像装置のブロック図。
【図3】本発明の第1実施形態で用いる発光パターンの基本となる発光パターンの説明図。
【図4】第1実施形態の発光パターンの説明図。
【図5】第1実施形態の発光パターンの消光時間に対する眩しさの評価を示す図。
【図6】第1実施形態の制御装置の撮像制御の処理手順を示すフローチャート。
【図7】本発明の第2実施形態で用いる発光パターンの基本となる発光パターンの説明図。
【図8】第2実施形態の発光パターンの説明図。
【図9】第2実施形態の発光パターンにおいて、フラッシュ発光する直前の補助光の発光時間に対する眩しさの評価を示す図。
【図10】第2実施形態の発光パターンにおいて、最初に発光する補助光の発光時間に対する眩しさの評価を示す図。
【図11】別の実施形態のフラッシュ装置を備えた更に別の撮像装置を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0018】
[第1実施形態]
図1及び図2を参照して、本発明の第1実施形態のフラッシュ装置を含む撮像装置の構成について説明する。
【0019】
第1実施形態のフラッシュ装置1は、発光部23と、制御手段4とを備える。発光部23は、光源が発光ダイオードで構成されている。発光部23は、被写体を撮像するときにフラッシュ光を発光するフラッシュ発光部2の機能を備えると共に、フラッシュ光を発光する前にフラッシュ光より光度の低い補助光を発光する補助光発光部3の機能をも備える。すなわち、発光部23は、フラッシュ発光部2と補助光発光部3に同一の光源を使用する。以下の説明では、フラッシュ発光部2と補助光発光部3とを区別する必要がないときは、これらを総称的に発光部23といい、区別する場合には、フラッシュ発光部2と補助光発光部3とに分けて表記する。
【0020】
制御手段4は、発光部23の発光を制御する。制御手段4は、各種演算処理を実行するCPU(中央演算処理装置)4aと、このCPUで実行される各種演算プログラム、各種テーブル、演算結果等を記憶するROM及びRAMからなるメモリ(内部記憶手段)4bとを備える。
【0021】
撮像装置10は、図1(a)に示されるように、カメラが搭載された携帯電話10aである。なお、撮像装置10は、携帯電話10aに限らず、図1(b)に示されるようなデジタルカメラ10bであってもよい。以下、携帯電話10a,デジタルカメラ10bを総称して撮像装置10という。
【0022】
撮像装置10は、被写体を撮像する方向に向かってフラッシュ光及び補助光を発光できるように、発光部23を筐体の前面に備える。また、撮像装置10は、レンズ11と、シャッタースイッチ12と、モード設定スイッチ13とを備える。
【0023】
レンズ11は、被写体を撮像するために撮像装置10の筐体の前面に配置される。シャッタースイッチ12は、押圧スイッチで構成され、撮像装置10の筐体に設けられる。制御手段4は、シャッタースイッチ12が押されると、この押圧時にレンズ11が集光している像を画像データとしてメモリ4bに記憶する。
【0024】
モード設定スイッチ13は、シャッタースイッチ12と同様に押圧スイッチで構成され、撮像装置10の筐体に設けられる。撮像装置10は、撮像時にフラッシュ発光部2がフラッシュ光を発光する場合に、被写体(例えば、人)がフラッシュ光を眩しく感じることを低減するための撮像モード(撮像機能)の「眩しさ低減モード」を備える。制御手段4は、モード設定スイッチ13が押されると「眩しさ低減モード」にする。制御手段4は、眩しさ低減モードの状態でシャッタースイッチ12が押されると、撮像時に後述する眩しさを低減するための処理を実行する。制御手段4は、眩しさ低減モードの状態で再度モード設定スイッチ13が押されると、眩しさ低減モードを解除して、通常の撮像モードにする。このように、制御手段4は、モード設定スイッチ13が押される度に、「眩しさ低減モード」と「通常の撮像モード」とを切り替える。
【0025】
次に、制御手段4が実行する眩しさ低減モードについて説明する。眩しさ低減モードとは、上述したとおり、被写体が感じる眩しさを低減する撮像モードである。被写体は、夜や屋内など周囲が暗いときに、フラッシュ発光部2を発光して撮像する場合、周囲の光度とフラッシュ発光の光度との差が大きくなると眩しさを感じやすい。
【0026】
第1実施形態のフラッシュ装置1では、制御手段4が、フラッシュ発光の前に補助光発光部3から補助光を、図3に示されるような発光パターンPに従って発光することで、被写体が感じる眩しさを低減している。図3は縦軸が光度を示し、横軸が時間を示す。ここで、発光パターンとは、発光部23の光源の光度の時間変化を示すものである。制御手段4は、発光部23の光源の光度が発光パターンに示される光度になるように電流を制御する。第1実施形態のフラッシュ装置1は、補助光を発光した後に消光する発光パターンを基本発光パターンPBとし、この基本発光パターンPBを少なくとも1回以上繰り返した後に、フラッシュ光を発光するパターンを発光パターンPとしている。フラッシュ装置1は、基本発光パターンPB及び発光パターンPをメモリ4bに予め記憶している。
【0027】
基本発光パターンPBでは、フラッシュ発光部2が発光するフラッシュの光度(以下、「フラッシュ光度」という)をLfとし、補助光発光部3が発光する補助光の最大光度(以下、「補助光最大光度」という)をLsとしている。ここで、補助光最大光度とは、補助光発光部3が発光する光度の最大値を示す。補助光最大光度Lsは、フラッシュ光度Lfより低く、且つ消光状態(光度が0)から発光したときに被写体が眩しさを感じる光度として設定した値より低く設定される。
【0028】
ここで、光源が発光してから、人がこの発光を知覚するまでにはかかる時間を知覚時間tpとする。また、人が発光を知覚してから光源に視線を向ける(例えば、眼球が光源の方向に向く)までにかかる時間を運動時間taとし、知覚時間tpと運動時間taとを合計した時間を反応時間trとする。
【0029】
基本発光パターンPBでは、補助光を発光している時間(発光時間)tnを、知覚時間tp以上且つ反応時間trより短くなるようにしている。
【0030】
一般に、視神経に光が刺激として入力されることで、視神経から興奮性信号(興奮性ニューロン)又は抑制性信号(抑制性ニューロン)が出力されることが知られている。例えば、1回の発光では、視神経から興奮性信号が1回出力される。この興奮性信号が出力されることで他の神経を介して視覚中枢に信号が伝達されることで光を感じる。
【0031】
また、「発光→消光→発光」のように2回発光する場合には、消光している時間(消光時間)が充分に長いとき(例えば、100[ms])には、視神経から興奮性信号が2回出力される。このため、人は、2回の独立した発光として知覚する。以下、人が、2回の独立した発光、すなわち点滅しているとして知覚するときの消光時間を「点滅知覚時間」tbという。
【0032】
一方、2回発光していると知覚できないほど消光時間が短いとき(例えば、10[ms])には、視神経から興奮性信号が1回出力される。このため、人は、2回の発光が1回の連続した発光として知覚する。また、このように消光時間が短いときには、人は、2回目の発光の光度に1回目の発光の光度の一部(残像)が加わることで、2回目に発光した実際の光度よりも強い光度として知覚する。以下、人が、実際の光度よりも強い光度として知覚するときの消光時間を「光度増大時間」tiという。
【0033】
また、消光時間が、興奮性信号が1回出力されるときの消光時間より長く、興奮性信号が2回出力されるときの消光時間より短い場合(例えば、30[ms]〜80[ms])には、興奮性信号が出力された後、抑制性信号が出力される。このような場合には、抑制性信号によって、2回目の発光に対する反応が抑制され、人が感じる眩しさが低減される。このように、人は、光源が2回発光する場合の消光時間の長さによっては、2回目の発光の実際の光度よりも低い光度として感じることがある。
【0034】
基本発光パターンPBでは、これを利用して、補助光を消光している時間(消光時間)tfを、光度増大時間tiより長い時間で、且つ点滅知覚時間tbより短い時間としている。これによって、被写体が消光後の発光の光度が高い場合であってもより低い光度として感じるようにしている。
【0035】
発光パターンPは、以上のような基本発光パターンPBを少なくとも1回以上繰り返すように設定される。図3には基本発光パターンPBの例として、基本発光パターンPBが3回繰り返された後にフラッシュ発光部2が発光する発光パターンが例示されている。時刻t1a〜t1bは、1回目の補助光の発光時間tnを示し「tn≧tp」としている。時刻t1b〜t1cは、1回目の補助光の消光時間tfを示し「ti<tf<tb」としている。時刻t1c〜t1dは、2回目の補助光の発光時間tnを示し「tn≧tp」としている。時刻t1d〜t1eは、2回目の補助光の消光時間tfを示し「ti<tf<tb」としている。時刻t1e〜t1fは、3回目の補助光の発光時間tnを示し「tn≧tp」としている。時刻t1f〜t1gは、3回目の補助光の消光時間tfを示し「ti<tf<tb」としている。時刻t1g〜t1hは、フラッシュ光の発光時間を示す。
【0036】
また、図3に示されるように、1回目の補助光の光度Ls1a、2回目の補助光の光度Ls1b、及び3回目の補助光の光度Ls1cがそれぞれ、「Ls1a<Ls1b<Ls1c」となるようにしている。また、3回目の補助光の光度Ls1cは、補助光最大光度Ls以下に設定される。このようにすることで、1回目の補助光の発光による光度を補助光最大光度Lsよりも更に低く設定でき、1回目の補助光の発光の光度をより低く設定でき、被写体が補助光の発行時に眩しく感じることを効果的に防止できる。また、補助光の光度を徐々に大きくすることで、フラッシュ光を発光する前の補助光の光度を補助光最大光度Lsに近付けることができ、フラッシュ光度Lfとの差を小さくし、より効果的に眩しさを抑制できる。
【0037】
また、発光パターンPは、基本発光パターンPBを複数回繰り返す場合には、この繰り返されるパターンの合計時間が反応時間trより短くなるようにする。これによって、補助光が発光されてから補助光発光部3に被写体の視線が向くまでの時間、すなわち反応時間trが経過する前にフラッシュ発光部2が発光するので、被写体がフラッシュ発光部2を直視することなくフラッシュ発光部2が発光する。特に第1実施形態のように、フラッシュ発光部2及び補助光発光部3とが同一の光源である場合であっても、フラッシュ発光部2の発光によって被写体が感じる眩しさを低減できる。
【0038】
第1実施形態では、図3に示されるような発光パターンPをメモリ4bに予め記憶している。
【0039】
図4は、図3に示される発光パターンPを基本に、第1実施形態のフラッシュ装置1で実際に使用する発光パターンPを示す。図4の発光パターンPは、1回の基本発光パターンPBの後にフラッシュ光を発光する発光パターンである。図4の縦軸は光度を示し、横軸は時間を示す。時刻t11〜t12は、補助光の発光時間tnを示す。時刻t12〜t13は、補助光の消光時間tfを示す。時刻t13〜t14は、フラッシュ光の発光時間を示す。
【0040】
本発明者は、図4に示される発光パターンPを用いて、フラッシュ発光部2が発光したときに感じる眩しさの評価実験を行なった。評価実験は、被験者に対して撮像装置10を向け、図4に示される発光パターンPに従って、補助光発光部3及びフラッシュ発光部2を発光させ、このときに被験者が感じた眩しさを9段階で評価した。評価は1段目(耐えられない眩しさ)が最も眩しく、9段目(眩しさを感じない)に向かうにつれ眩しくなくなり、9段目が最も眩しくない。本評価実験では、4段目以上の評価であればフラッシュの発光による眩しさを低減できているとした。
【0041】
本評価実験では、補助光の光度を、フラッシュ光の光度の1/10とし、補助光の発光時間tnを200[ms]とし、フラッシュ光の発光時間を250[ms]とし、補助光の消光時間tf(時刻t12〜t13)を様々な長さの時間に変化させて実験を行なった。
【0042】
図5は、本評価実験の結果を示し、縦軸は眩しさの9段階評価を示し、横軸は時刻t12〜13(消光時間tf)を示す。本評価実験の結果は、図5に示されるように、消光時間tfが30〜80[ms]のときに、フラッシュの発光による眩しさを低減できた。このため、第1実施形態では、消光時間tfを最も眩しさを低減できた50[ms]とし、他の値は評価実験と同様に、補助光の光度をフラッシュ光の光度の1/10とし、補助光の発光時間tnを200[ms]とし、フラッシュ光の発光時間を250[ms]とした。
【0043】
また、本発明者は、補助光最大光度Ls及び補助光が発光してからフラッシュが発光するまでの時間についての望ましい値の範囲を得るために、消光時間tfの範囲を得る上記のような評価実験と同様の評価実験を行なうことで、それぞれの値を以下のような範囲内に設定することが望ましいという結果が得られた。
【0044】
補助光最大光度Lsについては、フラッシュ光度Lfの1/4以下の値に設定することで眩しさを低減できると共に、補助光の発光によって眩しさを感じない光度であるという結果が得られた。この1/4という値が、本発明における「フラッシュ発光部が発光するときの光度より低く、且つ消光状態から発光したときに被写体が眩しさを感じる光度として設定した値より低い光度」に相当する。
【0045】
補助光が発光してからフラッシュが発光するまでの時間については、100〜300[ms]の範囲に設定することで眩しさを低減できるという結果が得られた。この100[ms]という値が、本発明における知覚時間に相当する。また、300[ms]という値が、反応時間に相当する。
【0046】
次に、図6を参照して、上記構成のフラッシュ装置1の制御手段4のCPU4aが実行する撮像制御の処理手順を説明する。
【0047】
最初のステップST1では、撮像領域、すなわちレンズ11が集光して得られる像内に人の顔があるか否かを判定する。これは、予め人の顔の画像を複数集め、これらの画像から画像処理して抽出した人の顔の特徴量のデータの集合をテンプレートとしてメモリ4bに記憶しておく。この記憶されたテンプレートと撮像領域内の像から得られる画像データとをマッチング処理することで、人の顔が撮像領域に入っているか否かを判定する。撮像領域に入っていれば顔を認識したことになり、入っていなければ顔を認識しなかったことになる。
【0048】
ステップST1で顔を認識しなかった場合(ステップST1の判定結果がNOの場合)には、ステップST2に進み、シャッタースイッチ12が押されたか否かを判定する。シャッタースイッチ12が押されていない場合(ステップST2の判定結果がNOの場合)には、ステップST1に戻る。
【0049】
ステップST2でシャッタースイッチ12が押されたと判定された場合(ステップST2の判定結果がYESの場合)には、ステップST3に進み、フラッシュ発光部2が発光するべきか否かを判定する。この判定は、例えば、夜や屋内にいるとき等、綺麗に撮像するために必要な光度より周囲の光度が低いときに、フラッシュ発光部2が発光するべきと判定し、それ以外の場合には撮像に必要な光度が確保されているとして、フラッシュ発光部2が発光するべきではないと判定する。
【0050】
ステップST3でフラッシュ発光部2が発光するべきではないと判定された場合(ステップST3の判定結果がNOの場合)には、ステップST4に進み、撮像処理を実行して終了する。
【0051】
一方、ステップST3でフラッシュ発光部2が発光するべきと判定された場合(ステップST3の判定結果がYESの場合)には、ステップST5に進み、フラッシュ発光部2を発光する準備を行ない、次のステップST6で撮像処理を開始し、ステップST7でフラッシュ発光部2を発光させ、ステップST8で撮像処理を実行して終了する。
【0052】
制御手段4は、ステップST6〜ST8の処理によって、フラッシュ発光部2の発光前から発光終了までの間に複数のタイミングで、それぞれ撮像領域内の像を画像データに変換してメモリ4bに保存する。
【0053】
制御手段4は、これによって得られた複数の画像データのうち最適な画像を1つ選択して、撮像データとしてメモリ4bに保存する。最適な画像の選択は、例えば、画像データに変換したときの露出等のデータから最も適切な環境で撮影されたものを制御手段4が選択すればよい。なお、制御手段4が自動的に最適な画像を選択するのではなく、例えば、複数の画像をユーザーに提示して気に入ったものを選択するように促してもよい。
【0054】
ステップST1で顔を認識した場合(ステップST1の判定結果がYESの場合)には、ステップST9に進み、シャッタースイッチ12が押されたか否かを判定する。シャッタースイッチ12が押されていない場合(ステップST9の判定結果がNOの場合)には、ステップST1に戻る。
【0055】
ステップST9でシャッタースイッチ12が押されたと判定された場合(ステップST9の判定結果がYESの場合)には、ステップST10に進み、フラッシュ発光部2が発光するべきか否かを判定する。ステップST10の処理はステップST3と同様である。ステップST10でフラッシュ発光部が発光するべきではないと判定された場合(ステップST10の判定結果がNOの場合)には、ステップST4に進み、撮像処理を行なう。
【0056】
ステップST10でフラッシュ発光部が発光するべきと判定された場合(ステップST10の判定結果がYESの場合)には、ステップST11に進み、眩しさ低減モードであるか否かを判定する。これは、モード設定スイッチ13が押されることで眩しさ低減モードになっている場合には、眩しさ低減モードであると判定する。
【0057】
ステップST11で眩しさ低減モードではないと判定される場合(ステップST11の判定結果がNOの場合)には、ステップST12でフラッシュ発光部2を発光する準備を行ない、ステップST13で撮像処理を開始し、ステップST14でフラッシュ発光部2を発光させ、ステップST15で撮像処理を実行して終了する。ステップST13〜ST15は、前述のステップST6〜ST8の処理と同じである。
【0058】
ステップST11で眩しさ低減モードであると判定される場合(ステップST11の判定結果がYESの場合)には、ステップST16でフラッシュ発光部2を発光する準備を行ない、ステップST17で撮像処理を開始し、ステップST18で補助光発光部3を発光させる。これは上述したように、図3及び図4に示されるような発光パターンPに従って補助光発光部3を発光させる。次に、ステップST19でフラッシュ発光部2を発光させて、ステップST20で撮像処理を実行して終了する。
【0059】
制御手段4は、ステップST17〜ST20の処理によって、補助光発光部3を発光前からフラッシュ発光部2の発光終了までの間に複数のタイミングで、それぞれ撮像領域内の像を画像データに変換してメモリ4bに保存する。制御手段4は、これによって得られた複数の画像データのうち最適な画像を1つ選択して、撮像データとしてメモリ4bに保存する。最適な画像の選択方法については、ステップST6〜8と同様である。
【0060】
なお、ステップST6〜ST8,ステップST13〜ST15,及びステップST17〜ST20において、制御手段4は、保存した複数の画像データのうち最適な画像を1つ選択しているが、これに限らず、フラッシュ発光部2を発光したときの画像だけをメモリ4bに保存してもよい。
【0061】
以上のように、第1実施形態のフラッシュ装置1では、補助光最大光度Lsをフラッシュ光度Lf未満の光度に設定している。詳細には、「Ls=Lf/4」となるようにしている。これによって、補助光が発光したときに、補助光が発光する前の周囲の光度と補助光の光度との差を小さくし、補助光の発光によって、被写体が感じる眩しさを低減している。
【0062】
また、補助光が発光してからフラッシュが発光するまでの時間(時刻t1a〜t1g、又は時刻t11〜t13)を、知覚時間tp以上且つ反応時間trより短い時間、詳細には、100〜300[ms]となるようにしている。これによって、補助光が発光されてから補助光発光部3に被写体の視線が向くまでの時間、すなわち反応時間trが経過する前にフラッシュ発光部2が発光するので、被写体がフラッシュ発光部2を直視することなくフラッシュ発光部2が発光する。これによって、フラッシュ発光部2の発光によって被写体が感じる眩しさを低減できる。
【0063】
また、第1実施形態では、発光パターンPの消光時間tfを、光度増大時間tiより長い時間で、且つ点滅知覚時間tbより短い時間、詳細には、30〜80[ms]に設定している。これによって、抑制性信号が出力されるこによって、フラッシュ発光部2の発光によって被写体が感じる眩しさを低減できる。
【0064】
また、第1実施形態のフラッシュ装置1では、シャッターボタン12が押下されてから補助光発光部3の発光を開始し、この発光の開始から反応時間trが経過するまでにフラッシュ発光部2が発光するので、補助光が発光し続けることがなく、被写体が補助光の発光によって眩しさを感じることを防止できる。
【0065】
なお、第1実施形態の発光パターンPは、図3に基本発光パターンPBを3回繰り返すような例が示され、図4に基本発光パターンPBが1回のみの例が示されているが、回数はこれに限らない。補助光が発光してからフラッシュが発光するまでの時間が反応時間trより短く、発光時間tnが知覚時間tp以上であり、消光時間tfが光度増大時間tiより長く点滅知覚時間tbより短ければ、何回繰り返してもよい。
【0066】
[第2実施形態]
次に、本発明の第2実施形態のフラッシュ装置について説明する。第2実施形態のフラッシュ装置1も、第1実施形態と同様に、図1(a),(b)に示されるような撮像装置10に搭載される。
【0067】
第2実施形態のフラッシュ装置1は、第1実施形態のフラッシュ装置1に比べて、発光パターンPが異なる。第2実施形態では、発光パターンPは、図7に示されるように、補助光発光部3の光度を段階的に増加させるか、又は漸増させる。
【0068】
図7(a)の発光パターンPは、3つの異なる光度の補助光を光度を段階的に増加させる発光パターンである。詳細には、発光パターンPは、3つの異なる光度の大きさの関係は「Ls2a<Ls2b<Ls2c」であり、時刻t2a〜t2bでは1段目の補助光を光度Ls2aで発光し、時刻t2b〜t2cでは2段目の補助光を光度Ls2bで発光し、時刻t2c〜t2dでは3段目の補助光を光度Ls2cで発光し、時刻t2d〜t2eではフラッシュ光を光度Lfで発光する発光パターンである。
【0069】
また、図7(a)に示されるように、1段目の補助光の光度Ls2a、2段目の補助光の光度Ls2b、及び3段目の補助光の光度Ls2cがそれぞれ、「Ls2a<Ls2b<Ls2c」となるようにしている。また、3段目の補助光の光度Ls2cは、補助光最大光度Ls以下に設定される。このようにすることで、1段目の補助光の発光による光度を補助光最大光度Lsよりも更に低く設定でき、1回目の補助光の発光の光度をより低く設定でき、被写体が補助光の発行時に眩しく感じることを効果的に防止できる。また、補助光の光度を徐々に大きくすることで、フラッシュ光を発光する前の補助光の光度を補助光最大光度Lsに近付けることができ、フラッシュ光度Lfとの差を小さくし、より効果的に眩しさを抑制できる。
【0070】
また、図7(a)の発光パターンPは、時刻t2a〜t2dの時間を反応時間trより短い時間となるようにする。このようにすることで、補助光発光部3が発光してから被写体が補助光発光部3に視線を向けるまでに、フラッシュ発光部2が発光するため、フラッシュの発光によって被写体が感じる眩しさを低減できる。
【0071】
なお、別の実施形態の発光パターンとして、図7(b)に示されるような補助光の光度を徐々に漸増させる発光パターンでもよい。詳細には、発光パターンPは、時刻t2a’〜t2d’では補助光の光度を0からLs2c’まで漸増させ、時刻t2d’〜t2e’ではフラッシュ光を光度Lfで発光する発光パターンである。図7(b)においても、図7(a)と同様に、補助光が発光する際の光度が0から漸増するので、被写体が補助光の発光時に眩しく感じることを効果的に防止できる。また、補助光の光度を徐々に大きくする効果についても図7(a)に示される発光パターンPと同様である。
【0072】
また、図7(b)の発光パターンPは、時刻t2a'〜t2d'の時間を反応時間trより短い時間となるようにする。このようにすることで、補助光発光部3が発光してから被写体が補助光発光部3に視線を向けるまでに、フラッシュ発光部2が発光するため、フラッシュの発光によって被写体が感じる眩しさを低減できる。
【0073】
補助光最大光度Lsは、第2実施形態においても第1実施形態と同様に、フラッシュ光度Lfより低く、且つ消光状態(光度が0)から発光したときに被写体が眩しさを感じる光度として設定した値より低く設定される。具体的には「Ls=Lf/4」と設定される。
【0074】
第2実施形態では、補助光の光度の変化の制御の簡便性を鑑みて、漸増させる図7(b)の発光パターンPではなく、段階的に増加させる図7(a)の発光パターンPを採用している。
【0075】
図8は、図7(a)に示される発光パターンPを基本に、第2実施形態のフラッシュ装置1で実際に使用する発光パターンPを示す。図8の発光パターンPは、補助光を2つの光度で段階的に変化させた後にフラッシュ発光する発光パターンである。図8の縦軸は光度を示し、横軸は時間を示す。時刻t21〜t22は、1段目の補助光の発光時間tnを示す。時刻t22〜t23は、2段目の補助光の発光時間tnを示す。時刻t23〜t24は、フラッシュ光の発光時間を示す。
【0076】
また、図8に示されるように、1段目の補助光は光度Ls21で発光し、2段目の補助光は光度Ls22で発光し、フラッシュ光は光度Lfで発光する。
【0077】
本発明者は、図8に示される発光パターンPを用いて、フラッシュ発光部2が発光したときに感じる眩しさの評価実験を行なった。評価実験は、第1実施形態と同様に、被験者に対して撮像装置10を向け、図8に示される発光パターンPに従って、補助光発光部3及びフラッシュ発光部2を発光させ、このときに被験者が感じた眩しさを9段階で評価した。第2実施形態においても4段目以上の評価であれば、フラッシュの発光による眩しさを低減できているとした。
【0078】
本評価実験では、1段目の補助光の発光時間tn(時刻t21〜t22)を固定し、2段目の補助光の発光時間tn(時刻t22〜t23)を様々な長さの時間に変化させる実験(以下、「第1実験」という)と、2段目の補助光の発光時間tn(時刻t22〜t23)を固定し、1段目の補助光の発光時間tn(時刻t21〜t22)を様々な長さの時間に変化させる実験(以下、「第2実験」という)との2つの実験を行なった。
【0079】
第1実験及び第2実験では、いずれの場合においても、1段目の補助光の光度Ls21はフラッシュ光の光度の1/11とし、2段目の補助光の光度Ls22はフラッシュ光の光度の1/5とし、フラッシュ光の発光時間を250[ms]としている。
【0080】
図9は、第1実験の結果を示し、縦軸は眩しさの9段階評価を示し、横軸は時刻t21〜23を示す。第1実験の結果は、図9に示されるように、1段目の補助光の発光時間tnと2段目の補助光の発光時間tnとの合計時間が100〜300[ms]のときに、フラッシュの発光による眩しさを低減できた。
【0081】
図10は、第2実験の結果を示し、縦軸は眩しさの9段階評価を示し、横軸は時刻t21〜23を示す。第2実験の結果は、図10に示されるように、1段目の補助光の発光時間tnと2段目の補助光の発光時間tnとの合計時間が100〜300[ms]のときに、フラッシュの発光による眩しさを低減できた。
【0082】
以上のように第2実施形態のフラッシュ装置1は、第1実施形態と同様に、補助光最大光度Lsをフラッシュ光度Lf未満の光度に設定している。詳細には、「Ls=Lf/4」となるようにしている。これによって、補助光が発光したときに、補助光が発光する前の周囲の光度と補助光の光度との差を小さくし、補助光の発光によって、被写体が感じる眩しさを低減している。
【0083】
また、補助光が発光してからフラッシュが発光するまでの時間(時刻t2a〜t2d、又は時刻t21〜t23)を、知覚時間tp以上且つ反応時間trより短い時間、詳細には、100〜300[ms]となるようにしている。これによって、補助光が発光されてから補助光発光部3に被写体の視線が向くまでの時間、すなわち反応時間trが経過する前にフラッシュ発光部2が発光するので、被写体がフラッシュ発光部2を直視することなくフラッシュ発光部2が発光する。これによって、フラッシュ発光部2の発光によって被写体が感じる眩しさを低減できる。
【0084】
また、人は、光源が発光するときの瞬間的な光度の変化に対して眩しさを感じやすい。このため、第2実施形態では、図7(a)に示されるように補助光の光度を段階的に増加させている。これによって、光度の変化を小さくでき、フラッシュ発光部2の発光によって被写体が眩しく感じることを低減できる。これは、図7(b)に示されるように補助光の光度を漸増させる場合においても同じ効果がある。
【0085】
なお、第2実施形態の発光パターンPにおいて、光度を段階的に増加する場合には、図7(a)に補助光を3段階で光度を増加する例が示され、図8に補助光を2段階で光度を増加する例が示されているが段数はこれに限らない。補助光が発光してからフラッシュが発光するまでの時間が反応時間trより短く、補助光の段数が2以上であり、発光時間tnが知覚時間tp以上であれば何段であってもよい。
【0086】
また、第1実施形態及び第2実施形態では、図1に示されるように、発光部23が、フラッシュ発光部2及び補助光発光部3として機能している。すなわち、第1実施形態及び第2実施形態のフラッシュ装置1は、フラッシュ発光部2と補助光発光部3に同一の光源を使用しているがこれに限らない。例えば、図11に示されるように、フラッシュ発光部2と補助光発光部3とが別の光源であってもよい。図11では、補助光発光部3がレンズ11の周縁部に配置されており、フラッシュ発光部2は筐体の前面上端に配置されている。この場合であっても、補助光発光部3が発光することで周りの光度が高くなり、この光度とフラッシュが発光する光度との差が小さくなることで、フラッシュ発光部3の発光によって、被写体が感じる眩しさを低減できる効果が得られる。
【符号の説明】
【0087】
1…フラッシュ装置、2…フラッシュ発光部、3…補助光発光部、23…発光部(フラッシュ発光部、補助光発光部)、4…制御手段、4a…CPU、4b…メモリ、10…撮像装置、11…レンズ、12…シャッタースイッチ、13…モード設定スイッチ、tp…知覚時間、ta…運動時間、tr…反応時間、tn…発光時間、tf…消光時間、ti…光度増大時間、tb…点滅知覚時間、PB…基本発光パターン、P…発光パターン、Lf…フラッシュ光度、Ls…補助光最大光度。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
眩しさを感じる被写体を撮像する撮像装置に用いられるフラッシュ装置であって、
フラッシュ発光部と、
前記フラッシュ発光部が発光するときの光度(Lf)より低く、且つ消光状態から発光したときに前記被写体が眩しさを感じる光度として設定した値より低い光度(Ls)の補助光を発光する補助光発光部と、
前記フラッシュ発光部及び前記補助光発光部の発光を制御する制御手段とを備え、
前記被写体が、前記補助光発光部が発光してから当該発光を知覚するまでの時間を知覚時間(tp)、前記被写体が、前記補助光発光部が発光を知覚してから前記補助光発光部に視線を向けるまでの時間を運動時間(ta)、前記知覚時間(tp)と前記運動時間(ta)とを合計した時間を反応時間(tr)としたとき、
前記制御手段は、前記フラッシュ発光部を発光する以前に、前記補助光発光部の発光を前記知覚時間(tp)以上発光させ、当該補助光発光部が発光してから前記反応時間(tr)が経過する前に前記フラッシュ発光部を発光させることを特徴とするフラッシュ装置。
【請求項2】
請求項1に記載のフラッシュ装置において、
光が点滅するときの消光時間(tf)の長さについて、前記被写体が実際の光度よりも強い光度として知覚する長さを光度増大時間(ti)、前記被写体が当該点滅を知覚する長さを点滅知覚時間(tb)としたとき、
前記補助光発光部を前記知覚時間(tp)以上発光させた後に、当該補助光発光部を前記光度増大時間(ti)より長く、且つ前記点滅知覚時間(tb)より短い時間を消光時間とする光の点滅を基本発光パターン(PB)とし、
前記制御手段は、前記基本発光パターン(PB)を少なくとも1回以上繰り返す発光パターン(P)に従って前記補助光発光部を発光させることを特徴とするフラッシュ装置。
【請求項3】
請求項1に記載のフラッシュ装置において、前記制御手段は、前記補助光発光部を発光するときに、当該補助光発光部の光度を漸増させる又は段階的に増加させることを特徴とするフラッシュ装置。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項に記載のフラッシュ装置において、前記フラッシュ発光部と前記補助光発光部に同一の光源を使用することを特徴とするフラッシュ装置。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1項に記載のフラッシュ装置において、前記フラッシュ発光部は発光ダイオードで構成されることを特徴とするフラッシュ装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate


【公開番号】特開2012−230178(P2012−230178A)
【公開日】平成24年11月22日(2012.11.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−97199(P2011−97199)
【出願日】平成23年4月25日(2011.4.25)
【出願人】(000002303)スタンレー電気株式会社 (2,684)
【Fターム(参考)】