説明

フラットな又は実質的にフラットな発光構造体

本発明は、互いに向かい合っている第1及び第2の壁体(2、3)であって、且つ光源(6、7)を有する内側空間(10)を画定している第1及び第2の壁体(2、3);光源のための第1及び第2の電極(4)であって、この第1及び第2の電極に対して垂直な少なくとも1つの成分を有する電界線を形成し、且つ前記第1の電極(4)が、高周波電磁信号を供給され又は供給されることができる、第1及び第2の電極(4、5)を有する、フラットな又は実質的にフラットな発光構造体に関する。ここで本発明は、第1の電極のための外側の覆いとして、誘電体(14)によって第1の電極から分離されている導電体(41)を有する電気的安全システムを有し、この導電体が、電位V及び/又は周波数fの電源に接続されており又は接続することができ、これらが、外部漏れ電流のピーク値が、fがゼロの場合には2mA又はそれ未満、fがゼロではない場合には0.7mA又はそれ未満であるようにして調節されていることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発光構造体、特にフラットな又は実質的にフラットな発光構造体の分野に関する。ここでこのフラットな又は実質的にフラットな発光構造体は、互いに向かい合っており、且つ光源を有する内側空間を画定している第1及び第2の壁体、並びに光源のための第1及び第2の電極を有する。ここで、第1及び第2の電極は、第1及び第2の電極に対して垂直な少なくとも1つの成分を有する電界線を作る。また、少なくとも第1の電極は、高周波電磁信号を供給され又は供給されることができる。
【背景技術】
【0002】
フラットな発光構造体としては、装飾又は建築用の照明器具として使用できるフラットランプ、又は液晶スクリーンのためのバックライトとして使用できるフラットランプが知られている。これらのフラットランプは典型的に、小さい隙間、一般的に数ミリメートル未満の隙間を開けて共に保持されている2枚のガラス板から作られている。ここで、2枚のガラス板の間の隙間は密封されており、それによってその中の気体が減圧状態にあるようにされている。2枚のガラス板の間の隙間では、放電が、一般に紫外領域の放射をもたらし、これが光ルミネセンス材料を励起させ、そして光ルミネセンス材料が可視光を放射する。
【0003】
特許文献1は、下記の構成要素を有するフラット放電ランプを開示している:
○平行になるようにして共に保持され且つ気体が充填されている内側空間を画定するようにされているガラス板である2つの壁体、ここで、これらの壁体の内側空間に向いている面が、光ルミネセンス材料でコーティングされている;
○内側空間の外側で対応する2つの壁体を覆っている均一な層の形の2つの電極、ここでこれらの電極は、これらの電極に対して垂直な少なくとも1つの成分を有する電界線を形成している;及び
○中間プラスチックフィルムを介して壁体に結合している2つのガラス板。
【0004】
このタイプのフラットランプを提供するためには、電極の少なくとも1つは、典型的に1kV程度の電位V、典型的に1〜100kHz程度の高周波、及び例えば約100Wの出力を有している。
【0005】
【特許文献1】国際公開WO2004/015739
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本件発明者等は、積層ガラス/プラスチックフィルムアセンブリの絶縁性が不満足なものであることを見出した。特に本件発明者等は、高周波電力を供給されている電極に関して、良好な導電体、特に金属体が、積層ガラスに近づけられたときの、従来技術のこのフラットランプの安全性の問題を見出した。
従って本発明の目的は、高周波を供給されており且つ垂直成分を有する電界を用いるフラットな又は実質的にフラットな発光構造体であって、安全な発光構造体を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この目的に関して、本発明は、互いに向かい合っており、且つ光源を有する内側空間を画定している第1及び第2の壁体を有する発光構造体を提供する。ここでこの光源は、この光源のための第1及び第2の電極を有し、この第1及び第2の電極は、第1及び第2の電極に対して垂直な少なくとも1つの成分を有する電界線を形成する。また、第1の電極は、高周波電磁信号を供給され又は供給されることができる。この本発明の発光構造体は更に、第1の電極のための外側の覆いとして、誘電体によって第1の電極から分離されている導電体を有する電気的安全システムを有する。この導電体は、電位V及び/又は周波数fを有する電源に接続されており又は接続することができ、これらが、外部漏れ電流のピーク値が、fがゼロの場合には2mA又はそれ未満、又はfがゼロではない場合には0.7mA又はそれ未満であるようにして調節されている。
【0008】
従来技術の構造では、(第1の電極の活性面積)/(金属体の面積)の比、高周波、高電圧、及びランプによって消費される電力に比例して、漏れ電流が大きくなる。
【0009】
本発明の構造体では、漏れ電流は、導電体の周波数f及び/又は電位Vを調節することによって制限されて、発光構造体を安全にする。
【0010】
本発明によれば、上記の面積の比が大きければ大きいほど、また一般にランプのサイズが大きければ大きいほど、導電体に印加される電位V及び周波数f、又はそれらの積V・fは、制限される。
【0011】
漏れ電流を測定するために、好ましくは金属体は、第1の電極と等しい面積を有するように選択する(最も極端な条件)。電極よりも小さい金属体面積では、それに比例して、電流は減少する。
【0012】
好ましくは電力は、Vが交流電圧である場合には100W程度でよく、又はVが直流電圧又は0(ゼロ)電圧である場合には1kWまででよい。
【0013】
本発明は、高周波電力を供給され且つ垂直成分を有する電界E(少なくとも2つの非共面電極)を有する任意の発光構造体、特に任意のタイプの光源(プラズマガス、ルミネセンス等)、任意のサイズ、及び任意のタイプの使用(一方向性及び/又は二方向性照明、装飾用ランプ、スクリーンのためのバックライト)の発光構造体に適用される。
【0014】
本発明の目的は例えば、照明及び/又はディスプレイとしての機能(発光サイン、ロゴ、マーク)を有する装飾又は建築用の構成要素、例えば特にフラット照明、発光体、特に吊り下げ式の、壁式の、発光タイル等を製造することである。
【0015】
また本発明の構造体は、発光窓を構成すること、建築物及び移動手段の窓(列車窓、ボート又は航空機の客室の窓、屋根、産業用の乗り物の側面窓、又は風防もしくは後部窓の一部としても)に具備させることができる。本発明の構造体は、レージング装置、建物内用、特にオフィス内用のパーティション、地上、空若しくは空用の移動手段の2つの区画/客室の間のパーティション、又は店舗の窓若しくは陳列台、又は任意のタイプの容器に適合させることができる。
【0016】
好ましくは第1及び第2の電極は、第1及び第2の壁体、好ましくはガラス板を有する第1及び第2の壁体と、それぞれ組み合わされている。
【0017】
高性能のフラットランプ構造がこのようにして維持される。
【0018】
組み立てに関しては、第1の電極は好ましくは、最も接近しにくい側、例えばタイルの場合には地面側に配置される。
【0019】
好ましくは誘電体は、下記の要素のうちの少なくとも1つを有する:
○ガラス構成要素、好ましくはガラス板;
○ポリマー材料、好ましくはポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリビニルブチル(PVB)、エチレン−ビニルアセテート(EVA)、又はポリウレタン(PU)から作られている構成要素;
○気体、例えば空気;又は
○上記の構成要素の組み合わせ。
【0020】
例えば発光タイル又は液晶ディスプレイスクリーンのバックライトのためには、一方向性の発光が有益である。
【0021】
二方向性の発光の場合には、構造体の光源の外側の全ての構成要素は当然に、共通の部分にわたって、実質的に透明又は全体に透明であり(例えば、放出された光を十分に通すような拡散、吸収又は反射構造)、又はこれらの構成要素は半透明である。
【0022】
誘電体又は導電体は、実質的に又は全体に透明である。
【0023】
第1の態様では、電位Vは大地電位である。
【0024】
この場合には、ランプは完全に絶縁されており、導電体がシールドとして機能し、漏れ電流はゼロである。
【0025】
好ましくは第2の電極は接地されており、より好ましくは導電体と第2の電極は場合によっては、光源の電源回路の同じ位置に接続されている。
【0026】
第1の態様では、導電体は例えば、上記の誘電体上に堆積している層である。最適なコンパクトさ、及び製造の単純さのために、この層は、フィルム及び/又は積層ガラスカバーによってひっかきから保護されていてもよい。これは、導電体がはぎ取られるのも防ぐ。
【0027】
導電体は、追加の外部誘電体基材、例えば強度を増すための積層ガラスカバーの内側面又は外側面に堆積している層であってもよい。
【0028】
導電体は、導電性材料で作られている格子又は任意の他の構成であってもよい。
【0029】
好ましくは、強化ガラス板が、誘電体及びこの格子を有する。そのような構造は、コンパクトで且つ強い。
【0030】
1つの変形では、電位は直流電圧、例えば12V、24V又は48Vであってよく、特にガラスタイプの絶縁体を上部に配置する場合には無制限の値であってもよい。
【0031】
第2の態様では、電気的な保護システムは、導電体上に配置された覆い誘電体(空気以外)を有することでき、且つ電位Vは、400V又はそれ未満、好ましくは220V又はそれ未満、より好ましくは110V又はそれ未満、且つ/又は周波数fは100Hz又はそれ未満、好ましくは60Hz又はそれ未満、より好ましくは50Hz又はそれ未満である。
【0032】
製造を容易にするために、第2の電極も、実質的に同一の電位及び周波数を有していてもよい。
【0033】
電位Vは、好ましくは220V又はそれ未満であり、且つ周波数fは、好ましくは50Hz又はそれ未満である。
【0034】
過剰に厚くなること且つ/又は過剰に重くなることを避けるために、且つまたコストに関する理由で、この覆い誘電体は、好ましくは厚さ4mm又はそれ未満のガラス板を有することができる。
【0035】
当然に、誘電体の厚さが小さければ小さいほど、電位及び/又は周波数は制限される。
【0036】
この第2の態様では、第1の電極と導電体との間の誘電体は、容量性の挿入物であり、従ってこれは、光源のための電源を設計する際に考慮しなければならないことがあるキャパシタンスをもたらす。最も小さい可能な相対誘電率を有し、且つ好ましくは厚さが小さく、またコストが最も小さい誘電体を選択することによって、この追加のキャパシタンスを最小化することが有益なことがある。
【0037】
第2の電極は、高周波信号を供給され又は供給されることができるようにされていてよいので、発光構造体は好ましくは、他の1つの電気的安全システム、例えば上記の電気的安全システムと同様なシステムを有していてもよい。
【0038】
更に、電気的保護システムは、電気的に制御されたデバイス、好ましくは可変の光学的性能を有するデバイス、例えばエレクトロクロミックデバイス又は切り替え可能な反射性若しくは透明表面を有するデバイスの一部を構成していてもよい。
【0039】
電極は層の形であってもよい。これらの層は、壁体の内側面又は外側面の一部又は全部を覆っていてよい。表面の特定の領域のみに、1又は複数の壁体を提供して、いずれか1つの表面に、予め画定された発光領域を形成することが可能である。
【0040】
例えば層は、幅3〜15mmの平行な帯の列であって、2つの帯の間に帯の幅よりも広い非導電性の間隔が配置されている帯の列の形であってよい。これらの層は、180°ずれるようにされ、それによって2つの壁体の導電性の帯が向かい合って並ぶことを避けなければならない。有利にはこれは、ガラス基材の有効キャパシタンスを減少させ、ランプの電源及びその効率(ルーメンス/W)に関して好ましい。
【0041】
これらの層は、光を通すフラットな構成要素の形であることが可能な任意の導電性材料、特にガラス又はPETのようなプラスチックフィルム上に光を通すコーティングとして堆積させることができる導電性材料で作ることができる。導電性金属酸化物、又は電子空孔を有する金属酸化物、例えばフッ素ドープ酸化スズ若しくは混合インジウムスズ酸化物からコーティングを作ることが好ましい。
【0042】
電極は格子状であってよく、例えばそれぞれの壁体又は外部誘電体に組み込まれていてよい。
【0043】
追加の機能性を有するコーティングを、基材に組み込むことも有利なことがある。これは、赤外波長の放射を遮蔽する機能を有するコーティング(例えば誘電体層によって囲まれた1又は複数の銀層、又は窒化物層、例えばTiN若しくはZrN、若しくは金属酸化物、若しくは鋼若しくはNi−Cr合金を使用)、低放射性の機能を有するコーティング(例えばドープされた金属酸化物、例えばSnO:F又はスズでドープされた酸化インジウムITO、又は1若しくは複数の銀層)、曇り防止の機能を有するコーティング(親水性の層を使用)、汚れ防止の機能を有するコーティング(少なくとも部分的にアナターゼ型に結晶化したTiOを含有する光触媒コーティング)、又は反射防止の機能を有するコーティング(例えばSi/SiO/Si/SiOタイプ)であってよい。
【0044】
層状の導電体は、低放射性又は太陽光保護の機能を有することもできる。
【0045】
電源を有する又は有さない電気的保護システムと、電源を有する又は有さないフラットランプの構造の一部は、一体型のアセンブリを構成していても、結合されたアセンブリを構成していてもよい。すなわち、電気的保護システムとフラットランプの構造の一部は、構成要素及び/又は電源を共有していてもよい。
【0046】
電気的保護システムとフラットランプの構造の一部は、別個に供給され、キットの形で販売され、且つ組み立てられるようにされていてもよい。
【0047】
更に発光構造体は、二重グレージングユニットのガラス板のうちの一方の代わりとして用いて、又は二重グレージングユニットと組み合わせて、例えば二重グレージングユニットに組み込んで、二重グレージングユニットの一部を構成することもできる。
【0048】
本発明の課題は、表面に対して垂直な少なくとも1つの成分を有する電界線を発生させる表面上の電極を有するフラットな又は実質的にフラットな発光構造体を電気的に保護する方法である。ここでこの方法は、導電体を、高周波電磁信号fを供給される又は供給されることができる電極の上の誘電体上に配置し、導電体を、電位V及び/又は周波数fの電源に接続し、外部漏れ電流のピーク値が、fがゼロの場合には2mA又はそれ未満になるようにし、又はfがゼロではない場合には0.7mA又はそれ未満になるようにすることを特徴とする。
【0049】
本発明の他の詳細及び特徴は、添付の図面と関連して説明される以下の詳細な説明から明らかになる。
【0050】
尚、明確さのために、示されている様々な要素の寸法は、必ずしも実際の寸法と比例するようには記載されていない。
【0051】
図1は、フラットランプ1000を示している。このフラットランプ1000は、第1の面21及び31並びに第2の面22及び23を有するガラス板2及び3、例えば厚さ4mmのガラス板でできている2つの基材によって形成されている部分1からなっている。ここで第1の面21及び31は好ましくは、電極を構成する連続で均一な導電性コーティング4及び5でコーティングされている。第2の面22及び32は、光ルミネセンス材料、例えば透明な光ルミネセンス材料、例えばケイ酸リチウムのような無機マトリックス中に分散している蛍光体の粒子の形のコーティング6及び7を有している。
【0052】
ガラス板2及び3は、これらのガラス板2及び3の間の間隔(一般に5mm未満)がこれらのガラス板の間のガラススペーサ9によって設定され、光ルミネセンス材料6及び7を有する第2の面22及び32が内側に向くようにして、シールフリット8によって組み立てられている。ここでガラス板2及び3の間の間隔は、約0.3〜5mm、例えば0.4〜2mmである。
【0053】
スペーサ9は、球型、筒型、若しくは立方体型、又は他の多角形の断面、例えば十字型の断面を有する。これらのスペーサは、少なくともプラズマガス雰囲気に露出されるそれらの側面において、蛍光体6及び7と同じ又は異なる蛍光体で、コーティングされていてもよい。
【0054】
ガラス板2及び3の間の空間は、減圧、一般に大気圧の10分の1の減圧の、希ガス、例えばキセノン、場合によってはキセノンとネオン又はヘリウムとの混合ガスの雰囲気である。
【0055】
それぞれの電極は、基材2及び3の外側表面21及び31に直接に堆積している。それぞれの電極4及び5は好ましくは、フッ素でドープされた酸化スズの層である。
【0056】
1つの変形では、それぞれの電極が、様々な様式で基材に適用されていてよい。これは、電気的に絶縁性の保持構成要素の外側又は内側面に堆積していてもよい。この保持構成要素は、基材に結合されており、それによってコーティングが、基材の外側表面21及び31に対して押し付けられる。この構成要素は例えば、EVA又はPVBタイプのプラスチックフィルム、又は複数のプラスチックフィルム、例えばPET、PVB又はPUフィルムであってよい。
【0057】
それぞれの電極は、プラスチックフィルム又は後に強化ガラスを構成する基材と一体化されている金属格子の形であってよい。
【0058】
それぞれの電極は、第1の電気的絶縁体と第2の電気的絶縁体との間に挟まれていて、このようなアセンブリが、基材2及び3に結合されていてもよい。電極は例えば、2つのプラスチックフィルムの間に挿入されていてもよい。
【0059】
電気的絶縁体の他の組み合わせでは、PVBシートを第1の電気的絶縁体とし、これを、電極を有する第2の電気的絶縁体、例えばPETシートに結合し、電極がPVBシートとPETシートの間にあるようにすることができる。
【0060】
電極4及び5は、可撓性のシム11a及び11bを介して、高周波電源に接続する。
【0061】
電極4は、1kV程度の電位V及び40〜50kHzの高周波fである。
【0062】
基材2及び3の厚さ(一般に電極を隔てている絶縁体の厚さ)が比較的小さい場合、例えば2又は1mmまで小さくされている場合、比較的小さい電圧Vが必要とされ、従って絶縁を保証するためのV及びfに関する条件が比較的柔軟である。
【0063】
電極5は、約220Vの電位V及び50Hzの周波数fである。
【0064】
電極4の上には、誘電体14及び導電体41が配置されており、この導電体41は、可撓性シム11cを介して電力を供給されており、且つ電極5に接続されている。この導電体41は例えば、ガラス板16、例えば厚さ3.85mmのガラス板、又は厚いプラスチック支持体の内側面全体に堆積しているフッ素でドープされた酸化スズの層の形である。
【0065】
面積0.36mの電極4及び100Wの出力では、3.85mm厚のガラス板16上に同じ面積の連続金属体を配置することによって測定される漏れ電流は、約0.6mA(ピーク値)である。
【0066】
誘電体14は、容量性の積層インサート、例えばキャパシタンスを制限するために、厚さ1.5mmのPVBフィルムである。
【0067】
外側表面31上には、適当な樹脂又は透明プラスチックフィルム15、例えば厚さ1.5mmのPVBが配置されており、これは、ガラス基材、例えば3.15mm厚のガラス板17又は厚い硬質プラスチック支持体と積層インサートとして機能する。
【0068】
面積0.36mの電極5及び出力100Wでは、3.15mm厚のガラス板17上に同じ面積の連続金属体を配置することによって測定される漏れ電流は、約0.65mA(ピーク値)である。
【0069】
この金属体の面積が比較的小さい場合、漏れ電流は比例して比較的小さくなる。
【0070】
第1の変形では、Vは、ランプのための電源回路の1つの箇所で提供されている大地電位であり、この場合には、漏れ電流がゼロである。
【0071】
第2の変形では、電極5と導電体41とは、接続されていない。例えば導電体はVであり、他方で第2の電極は220V及び50Hzの本線に接続されており、又は接地されている。
【0072】
図2に示されている態様では、下記の点を除いて、ランプの構造体2000は、図1の構造体と同様である:
○強化ガラス板161内の格子である導電体42、ここで電極よりも上のガラスの厚さは例えば2mmである;
○フィルム上、例えばPVBフィルムと組み合わされたPETフィルム上に配置されている、又は3.85mm厚のガラス板17と結合している電極の配置、
○異なる発光のために縁の周りの部分にのみ配置されている不透明な光ルミネセンス材料61及び71。
電極51及び導電体42も接地されている。
【0073】
図3に示されている態様では、下記の点を除いて、ランプの構造体3000は、図1の構造体と同様である:
○ガラス板162を覆っている導電体43の配置、この導電体も場合によっては、接着フィルム、例えばポリウレタン又はポリカーボネートフィルムで保護されている;
○誘電体14は、例えば厚さ1.5mmの積層インサートである;且つ
○積層ガラスカバー、及び電極5の上側のプラスチック挿入フィルムの不存在。
電極5及び導電体43が接地されているので、導電体43が遮蔽として機能する。
【0074】
図4に示されている態様では、約+300Vの電位を有する電極4及び約50kHzの周波数で約−700Vの電位を有する電極5を除いて、ランプの構造体4000は、図1の構造体と同様である。更に、共に積層インサートである誘電体によって電極から離されている連続透明導電性の形の2つの導電体44及び44’は、全ての漏れ電流を防ぐために、ランプに電力を供給するための回路のグランドに接続されている。
【0075】
図5に示されている態様では、ランプの構造体5000は、基本的に図1の構造体と同様である。但し、電極5は、1kV程度の電位V及び40〜50kHzの高周波fを有し、電極4は、約220Vの電位Vref及び50Hzの周波数fを有する。
【0076】
電極5の上部には、構造体を安全にする逆電気化学ミラー100が結合されている。
【0077】
この可逆電気化学ミラーは、下記の構成を連続的に有する:
○ガラス基材101、PETに基づく材料のような透明プラスチック基材、又は任意の複合基材;
○第1の電極102;
○第1の核形成部位103、例えば白金で作られている第1の核形成部位103;
○電解質104、例えばAgIとLiBrとのγ−ブチロラクトン溶媒中の混合物である電解質104;
○第2の核形成部位105、例えば白金で作られている第2の核形成部位105;
○可撓性又は硬質の透明基材、好ましくはガラス板107、透明プラスチック基材、又は任意の複合基材;並びに
○随意の、低誘電率又は太陽光保護層108。
【0078】
第1の核形成部位103は、互いに近く、第2の核形成部位105は、互いに離れている。金属材料、例えば銀の原子M+は、電着によって、第1の部位103上に、反射性表面109又は半反射性(中間の状態)表面を形成することができ、また第2の部位105上に、導電性の島の形で、実質的に透明な表面(図示せず)を形成することができる。
【0079】
制御手段(図示せず)は、電圧を調節すること、電流の量を測定すること又は電気抵抗を測定することによって反射性表面の反射の程度を制御するために提供する。
【0080】
電極106は接地(図示せず)されているので、電極5側の漏れ電流はゼロである。
【0081】
図6に示されている態様では、ランプの構造体6000は、部分的に図1の構造体と同様である。但し、電極4’は、ガラス基板2の内側面22上に配置されている金属層である。反射材として機能する薄い誘電体23、例えばアルミナでできている反射材として機能する薄い誘電体23は、この電極4’と光ルミネセンス材料6との間に挿入されている。このランプは、一方向性の発光を提供する。
【0082】
電極4’は例えば、約850Vの電位V及び40〜50kHzの高周波fを有する。
【0083】
電気的絶縁のためには、導電体46、例えば金属でできている導電体46を、ガラス基材2の外側表面21に堆積させ、且つ接地されている電極5に接続する。
【0084】
誘電体23の厚さが比較的小さい場合、電位Vは比較的小さくてよく、従って絶縁基準が、比較的厳しくなくなる。
【0085】
1つの変形では、電極5は、導電体46と同様に、本線(220V/50Hz)に接続されており、この電極及び導電体上には、積層ガラスカバー又は全プラスチック誘電体が、漏れ電流を制限するために追加されている。
【0086】
図7に示されている態様では、ランプの構造体7000は、部分的に図6の構造体と同様である。但し、電極4”は、透明導電性層であり、また電極5”は、ガラス基板3の内側表面32上に配置されている。光ルミネセンス材料6は、電極4”上に直接に配置されている。
【0087】
電極4”は例えば、約500〜700Vの電位V”及び40〜50kHzの高周波fを有する。
【0088】
電気的絶縁のためには、導電体47を、ガラス基材2の外側表面21に堆積させ、且つ接地されている電極5”に接続する。
【0089】
1つの変形では、電極5”は、導電体47と同様に、本線(220V/50Hz)に接続されており、この導電体47上には、積層ガラスカバー又は全プラスチック誘電体が、漏れ電流を更に制限するために追加されている。
【0090】
上記の例は、いかようにも本発明を限定するものではない。
【0091】
全てのアセンブリの変形及び非対称性が、電極及び導電体に関して安全のために可能であり、且つ少なくとも1つの誘電体が導電体を電極から分離している場合に、これらの導電体を覆っている誘電体に関して可能である。
【0092】
発光構造体は、二重グレージングユニットを構成する部分を形成することができ、例えば二重グレージングユニットのガラス板のうちの1つの代わりに使用することができる。この構成では、導電体は、二重グレージングユニットの他のガラス板上に配置されていてもよい。
【0093】
プラズマガスによる活性化を行う場合、特定の領域における光ルミネセンス材料の分化した分布が、対象となる領域でのみ、プラズマエネルギーを可視光放射に変化させ、それによって発光領域(光ルミネセンス材料の性質に依存して、それ自体が不透明又は透明)及び併置されている永続的な透明領域を構成することができる。
【0094】
発光領域は、幾何学的構造(線、スタッド、点、正方形、又は任意の他の形の構造)のネットワークを形成することもでき、且つ構造間の間隔及び/又は構造のサイズは様々であってよい。
【0095】
更に、発光源はプラズマガスであってよい。
【0096】
壁体は任意の形状であってよく、外形は、多角形、凹型、凸型、特に特に正方形又は長方形、又は一定の若しくは変化している曲率半径を有する湾曲型、特に円形又は楕円形であってよい。
【0097】
壁体は、フラット又はドーム状であって、好ましくは互いに一定の間隔で保持されていてよい。
【0098】
壁体は、光学的な効果を示すガラス基材、特に着色されている壁体、装飾されている壁体、構造化されている壁体、拡散性の壁体等であってよい。
【0099】
構造体は、実質的に透明な材料(ガラス等)を使用して、又は接着剤(シリコーン)を用いて、無機材料(例えばガラスフリット)によってシールされていてよい。
【図面の簡単な説明】
【0100】
【図1】図1は、本発明の安全フラットランプの概略断面図を示している。
【図2】図2は、本発明の安全フラットランプの他の態様の概略断面図を示している。
【図3】図3は、本発明の安全フラットランプの他の態様の概略断面図を示している。
【図4】図4は、本発明の安全フラットランプの他の態様の概略断面図を示している。
【図5】図5は、本発明の安全フラットランプの他の態様の概略断面図を示している。
【図6】図6は、本発明の安全フラットランプの他の態様の概略断面図を示している。
【図7】図7は、本発明の安全フラットランプの他の態様の概略断面図を示している。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに向かい合っており、且つ光源(6、7、61、71)を有する内側空間(10)を画定している、第1及び第2の壁体(2、3);
前記光源のための第1及び第2の電極(4、5)であって、この第1及び第2の電極に対して垂直な少なくとも1つの成分を有する電界線を形成し、且つ前記第1の電極(4、5、4’、4”)が、高周波電磁信号を供給され又は供給されることができる、第1及び第2の電極(4、5);
を有する、フラットな又は実質的にフラットな発光構造体(1000〜7000)であって、前記第1の電極のための外側の覆いとして、誘電体(14、2、161)によって第1の電極から分離されている導電体(41〜47、106)を有する電気的安全システムを有し、この導電体が、電位V及び/又は周波数fの電源に接続されており又は接続されることができ、電位V及び/又は周波数fが、外部漏れ電流のピーク値が、fがゼロの場合には2mA又はそれ未満、又はfがゼロではない場合には0.7mA又はそれ未満であるようにして調節されていることを特徴とする、フラットな又は実質的にフラットな発光構造体(1000〜7000)。
【請求項2】
第1及び第2の電極(4、5、4’、4”)が、ガラス板である第1及び第2の壁体とそれぞれ結合していることを特徴とする、請求項1に記載の発光構造体(1000〜7000)。
【請求項3】
前記誘電体(14、2、161)が、以下の構成要素のうちの少なくとも1つを有することを特徴とする、請求項1又は2に記載の発光構造体(1000〜7000):
ガラス構成要素、好ましくはガラス板;
ポリマー材料、好ましくは単独の又は組み合わせられたポリエチレンテレフタレート、ポリビニルブチル又はエチレン−ビニルアセテートで作られている構成要素;
気体、例えば空気;並びに
これらの構成要素の組み合わせ。
【請求項4】
前記誘電体(14、2、161)が、実質的に又は全体に透明であることを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載の発光構造体(1000〜7000)。
【請求項5】
前記導電体(41〜47、106)が、実質的に又は全体に透明であることを特徴とする、請求項1〜4のいずれかに記載の発光構造体(1000〜7000)。
【請求項6】
前記電位Vが大地電位であることを特徴とする、請求項1〜5のいずれかに記載の発光構造体(2000〜7000)。
【請求項7】
前記導電体(41、43〜47、106)が、前記誘電体上に堆積している層、又はガラス基材の内側若しくは外側面に堆積している層であることを特徴とする、請求項5に記載の発光構造体(1000、3000〜7000)。
【請求項8】
前記導電体(42)が格子であることを特徴とする、請求項5に記載の発光構造体(2000)。
【請求項9】
前記電気的保護手段が、覆い誘電体と呼ばれ、且つ前記導電体(41)上に配置されている誘電体(16)を有し、且つ前記電位Vが、400V又はそれ未満であり、且つ/又は前記周波数fが100Hz又はそれ未満、好ましくは60Hz又はそれ未満であることを特徴とする、請求項1〜5のいずれかに記載の発光構造体(1000)。
【請求項10】
前記電位Vが220V又はそれ未満であり、且つfが50Hz又はそれ未満であることを特徴とする、請求項9に記載の発光構造体(1000)。
【請求項11】
前記覆い誘電体が、ガラス板(16)を有し、且つ好ましくは、4mm又はそれ未満の厚さを有することを特徴とする、請求項9又は10に記載の発光構造体(1000)。
【請求項12】
導電体(41)が、前記覆い誘電体(16)の内側面に堆積している層であることを特徴とする、請求項9〜11のいずれかに記載の発光構造体(1000)。
【請求項13】
前記導電体が、誘電体に組み込まれた格子であることを特徴とする、請求項9〜11のずれかに記載の発光構造体。
【請求項14】
前記第2の電極(5)が前記導電体に接続されていることを特徴とする、請求項1〜13のいずれかに記載の発光構造体(1000〜3000、6000、7000)。
【請求項15】
前記第2の電極(5)が、高周波電磁信号(V−)を供給される又は供給されることができるときに、前記発光構造体が、前記第2の電極と組み合わされている他の電気的安全システム(44’)を有することを特徴とする、請求項1〜14のいずれかに記載の発光構造体(4000)。
【請求項16】
前記電気的保護システム(106)が、電気的に制御可能なデバイス(100)、好ましくは可変の光学的性質を有する電気的に制御可能なデバイスの一部を構成していることを特徴とする、請求項1〜15のいずれかに記載の発光構造体(5000)。
【請求項17】
前記第1の電極(4、5)が、格子、好ましくは前記第1の壁体に組み込まれている格子であり、又は前記第1の壁体(2)の内側若しくは外側面上若しくは前記誘電体の内側面上に配置されている導電性層を有することを特徴とする、請求項1〜16のいずれかに記載の発光構造体(1000〜7000)。
【請求項18】
電極に対して垂直な少なくとも1つの成分を有する電界線を形成する電極(4、5)を有するフラットな又は実質的にフラットな発光構造体(1000〜7000)を、電気的に保護する方法であって、
導電体(41〜47、106)を、高周波電磁信号を供給される又は供給されることができる前記電極(4、5)の上側の誘電体上に配置し、前記導電体が、電位V及び/又は周波数fの電源に接続されており、電位V及び/又は周波数fが、外部漏れ電流のピーク値が、fがゼロの場合には2mA又はそれ未満で、又はfがゼロではない場合には0.7mA又はそれ未満であるようにされていることを特徴とする、フラットな又は実質的にフラットな発光構造体(1000〜7000)を電気的に保護する方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公表番号】特表2008−532212(P2008−532212A)
【公表日】平成20年8月14日(2008.8.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−555681(P2007−555681)
【出願日】平成18年2月22日(2006.2.22)
【国際出願番号】PCT/FR2006/050156
【国際公開番号】WO2006/090086
【国際公開日】平成18年8月31日(2006.8.31)
【出願人】(500374146)サン−ゴバン グラス フランス (388)
【Fターム(参考)】