説明

フランジ付き管、該管の配管連結構造、及び、該管の製造方法

【課題】パッキンを用いることなく密封連結することができるフランジ付き管の結合構造を提供する。
【解決手段】第1のフランジ付き管(10)と第2のフランジ付き管(12)とを有し、第2のフランジ付き管(12)を、そのフランジ部材(50)の円錐状面(60)の環状前端面(66)よりも前方に延出した部分が、第1のフランジ付き管(10)の円錐状部分(34)内に入り、該第2のフランジ付き管の円形の前端縁(76)の全体が該円錐状部分(34)の内面に当接する。各フランジ付き管は、フランジ部材(18,52)及び管状部材(20,52)を嵌合して形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パッキンなしで結合することを可能とするフランジ付き管に関する。
【背景技術】
【0002】
食品、薬品、化粧品あるいは化学品などのプラントにおける流体移送のための配管では、一般的にステンレス鋼管が用いられる。ステンレス鋼管の端部を連結するには、一般的には、ステンレス鋼管の端部にフランジを設け、対向するフランジ間にゴムなどのパッキンを挟んでボルトや接合バンド(KFフランジ用クランプ)でフランジ同士を締め付けて係合する。
【0003】
しかし、パッキンは使用とともに劣化が進み、破片が管内部に混入する可能性があり、特に、食品、薬品、化粧品あるいは化学品などのプラントにおいては重大な問題を引き起こす虞がある。
【0004】
このため、金属性パッキンを用いたり、パッキンを用いずに管を直接つき合わせて接合したりする技術が提案されてきている。(例えば、特許文献1参照)
【特許文献1】WO2004/109174号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
食品、薬品、化粧品あるいは化学品などのプラントでは、配管を分解することなく、配管内に洗浄液を流して洗浄を行なうCIP洗浄(Cleaning in Place:定置洗浄)が広く行なわれている。しかし、特許文献1に開示された管連結構造では、連結される管端部の間や、管端部と金属パッキンとの間の小さな隙間が生じ、CIP洗浄では十分に洗浄しにくいという問題があった。
【0006】
また、管の端部に対するフランジの取り付けは一般的に溶接によって行なわれるが、熱による管の変形などの問題が生じやすい。
【0007】
本発明は、このような問題を解消するフランジ付き管、該管の配管連結構造、及び、該管の製造方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
すなわち、本発明は、
筒状部分(以下に述べる実施形態においては参照番号22で示す)、及び、該筒状部分の前端に設けられ、該筒状部分よりも大きい外径を有する環状フランジ部分(24)からなるフランジ部材(18)であって、該フランジ部材の内周面における前端から後端側に向けて先細りとなる円錐状面(26)及び該円錐状面に続き後方に延びる筒状面(28)とを有するフランジ部材、及び、
該フランジ部材の内周面の該円錐状面に密着係合された円錐状部分(34)、該円錐状部分に続いて後方に延び該フランジ部材の筒状面に密着係合された筒状係合部分(36)、及び、該筒状係合部分に続いて該フランジ部材の後端を越えて後方に延びる管本体部分(38)を有する管状部材(20)、
を有する第1のフランジ付き管(10)と;
筒状部分(54)、及び、該筒状部分の前端に設けられ、該筒状部分よりも大きい外径を有する環状フランジ部分(56)からなるフランジ部材(50)であって、該フランジ部材の内周面における前端から後端側に向けて先細りとなる円錐状面(60)及び該円錐状面に続き後方に延びる筒状面(62)とを有するするとともに、当該フランジ部材の半径方向に延びて前方に面する環状前端面(66)と、該環状前端面の内周縁から前方に突出する筒状の突出面(69)とを有し、該突出面(69)の前端縁から当該フランジ部材の円錐状面(60)が後方に延びるようになされているフランジ部材(50)、及び、
該フランジ部材の筒状面に密着係合された筒状係合部分(74)、該筒状係合部分の前端から該フランジ部材の内周面の該円錐状面(60)に沿って円錐形状に延び円形の前端縁に至る円錐状部分(70)、及び、該筒状係合部分(74)の後端から該フランジ部材の後端を越えて後方に延びる管本体部分(74)を有する管状部材(52)、
を有する第2のフランジ付き管(12);
を有し、
該第2のフランジ付き管(12)を、そのフランジ部材(50)の円錐状面(60)の環状前端面(66)よりも前方に延出した部分が、該第1のフランジ付き管(10)の円錐状部分(34)内に入り、該第2のフランジ付き管の円形の前端縁(76)の全体が該円錐状部分(34)の内面に当接するようにされた第1及び第2フランジ付き管(10、12)を備える配管連結構造を提供する。
【0009】
この配管連結構造におけるフランジ付き管(10,12)は、管状部材とフランジ部材と溶接することなしに結合することができ、溶接により生じやすい変形などの影響を受けることがない。また、第1及び第2のフランジ付き管は、第1のフランジ付き管の円錐状面に第2フランジ付き管の円錐状部分の円形の前端縁が当接するように連結されるものであり、両フランジ付き管の連結端部間には狭い隙間ができず、当該配管を洗浄するときに、分解することなく洗浄液を当該配管内部に流すCIP洗浄だけで、十分な洗浄を行なうことが可能となる。また、パッキンを使う必要が無いので、パッキンが劣化して、配管内部に入り込む虞もない。
【0010】
管状部材の円錐状部分の傾斜角度は、当該フランジ付き管の長手方向軸線に対して45±8°とすることができる。
【0011】
洗浄や液漏れ防止という観点から、この傾斜角度は約45°とすることが好ましい。
【0012】
本発明はまた、
筒状部分(22,54)、及び、該筒状部分の前端に設けられ、該筒状部分よりも大きい外径を有する環状フランジ部(24,56)分からなるフランジ部材(18,50)であって、該フランジ部材の内周面における前端から後端側に向けて先細りとなる円錐状面(26、60)及び該円錐状面に続き後方に延びる筒状面(28,62)を有するフランジ部材(18,50)と、
該フランジ部材の内周面の該円錐状面(26、60)に密着係合された円錐状部分(34,70)、該円錐状部分に続いて後方に延び該フランジ部材の筒状面に密着係合された筒状係合部分(36,74)、及び、該筒状係合部分に続いて該フランジ部材の後端を越えて後方に延びる管本体部分(38,74)を有する管状部材((20,52)と、
を有するフランジ付き管を提供する。
【0013】
すなわち、このフランジ付き管は、上述のような効果を奏する配管に使用することが可能である。
【0014】
具体的には、
該フランジ部材の内周面の筒状面が係止用凹凸(30,64)を有し、
該管状部材の外周面の前端部分が、該係止用凹凸に対応する係止用対応凹凸(40,80)を有し、
該管状部材の係止用対応凹凸が該フランジ部材の係止用凹凸にスナップ嵌めされるようにすることができる。
【0015】
スナップ嵌めにより、フランジ部材と管状部材とを溶接することなく連結することができる。
【0016】
また、別の具体例では、
該フランジ部材(18,50)の内周面の筒状面が、当該フランジ部材の後端から前方に当該フランジ付き管の長手軸線方向で延びる大径部分(62−1)と、該大径部分に続き半径方向内側に延びる環状面(62−2)と、該環状面の内周縁から該円錐状面まで延びる同長手軸線方向で延びる小径部分(62−3)とを有し、
該管状部材(20,52)の筒状係合部分の外周面が、その前端から後方に同長手軸線方向で延び、該フランジ部材の内周面の小径部分に密着係合された小径部分と、該小径部分に続き半径方向外側に延び、該フランジ部材の環状部分に当接された環状面と、該環状面から後方に同長手軸線方向で延び、該フランジ部材の内周面の大径部分に密着係合された大径部分とを有するようにすることができる。
【0017】
この場合は、上記環状面同士の当接、及び、フランジ部材の内周面の円錐状面(26、60)と管状部材の円錐状部分(34,70)との密着係合によって、フランジ部材と管状部材とは連結される。
【0018】
また、
該フランジ部材(18,50)が当該フランジ部材の半径方向に延びて前方に面する環状前端面(66)と、該環状前端面の内周縁から前方に突出する筒状の突出面(69)とを有し、該突出面(69)の前端縁から当該フランジ部材の円錐状面(60)が後方に延びるようになされ、
該フランジ部材の筒状面に密着係合された筒状係合部分(74)、該筒状係合部分の前端から該フランジ部材の内周面の該円錐状面(60)に沿って円錐形状に延び円形の前端縁に至る円錐状部分(70)、及び、該筒状係合部分(72)の後端から該フランジ部材の後端を越えて後方に延びる管本体部分(74)を有する管状部材(52)、
該管状部材(52)が、該フランジ部材の筒状面に密着係合された筒状係合部分(72)、該筒状係合部分の前端から該フランジ部材の内周面の該円錐状面(60)に沿って円錐形状に延び円形の前端縁に至る円錐状部分(70)、及び、該筒状係合部分(72)の後端から該フランジ部材の後端を越えて後方に延びる管本体部分(74)を有するようにすることができる。
【0019】
第2のフランジ付き管の管状部材(52)の円形の前端縁が、第1のフランジ付き管の円錐状部分の内面と当接することになり、より良好な密封状態を得ることができる。
【0020】
また、配管連結構造に関連して述べたが、該第1及び第2のフランジ付き管の管状部材の該円錐状部分の傾斜角度は、当該フランジ付き管の長手方向軸線に対して45±8°とすることが好ましい。
【0021】
更に、本発明は、
筒状部分(22,54)、及び、該筒状部分の前端に設けられ、該筒状部分よりも大きい外径を有する環状のフランジ部分(24,56)を有するフランジ部材(18,50)であって、該フランジ部材の内周面が、当該フランジ部材の前端から後端側に向けて先細りとなる円錐状面(26、60)及び該円錐状面に続き後方に延びる筒状面(28,62)とを有するフランジ部材(18,50)と、管状部材(20,52)とを用意する工程と、
該管状部材(20,52)の前端部分を該フランジ部材(18,50)に嵌合して、その前端が該フランジ部材の前端より前方に延びる状態とし、該管状部材の前端部分の外周面を該フランジ部材の該筒状面(28,62)に密着係合する工程と、
該フランジ部材(18,50)の円錐状面(26、60)に対応する円錐状外周面(100)を有するマンドレル(102)を、該フランジ部材に嵌合した該管状部材の前端部分に圧入し、該前端部分を該フランジ部材の円錐状面(26、60)に密着係合するように広げる工程と、
を有する、該フランジ部材と該管状部材とを一体化したフランジ付き管を形成する方法を提供する。
【0022】
この方法によれば、溶接を必要とせずにフランジ付き管を形成することができる。
【0023】
具体的には、
該フランジ部材(18,50)を用意する工程において、該フランジ部材の内周面の筒状面に係止用凹凸(30,64)を備えるフランジ部材を用意し、
該管状部材(20,52)を用意する工程において、該管状部材の外周面の前端部分に該係止用凹凸(30,64)に対応する係止用対応凹凸(40,80)を備える管状部材を用意し、
該管状部材の前端部分を該フランジ部材に嵌合するときに、該管状部材の前端を該フランジ部材に挿入し、該管状部材の被係止用対応凹凸(40,80)を該フランジ部材の係止用凹凸(30,64)にスナップ嵌めするようにすることができる。
【0024】
また別の具体例としては、
該フランジ部材(18,50)を用意する工程において、該フランジ部材の内周面の筒状面(28,62)に当該フランジ部材の後端から前方に当該フランジ付き管の長手軸線方向で延びる大径部分(62−1)と、該大径部分に続き半径方向内側に延びる環状面(62−2)と、該環状面の内周縁から該円錐状面まで同長手軸線方向で延びる小径部分(62−3)とを有するフランジ部材を用意し、
該管状部材(20,52)を用意する工程において、該管状部材の外周面に、その前端から後方に同長手軸線方向で延び、該フランジ部材の内周面の小径部分と略同じ径の小径部分と、該小径部分に続き半径方向外側に延びる環状面と、該環状面から後方に同長手軸線方向で延び、該フランジ部材の内周面の大径部分と略同じ径の大径部分とを有する管状部材を用意し、
該管状部材(20,52)の前端を該フランジ部材(18,50)に嵌合するときに、該管状部材の前端部分を、該フランジ部材の後端側から挿入して該管状部材の環状部分が該フランジ部材の環状部分に当接する状態とし、
この状態で、マンドレルを筒状部材の先端から圧入するようにすることができる。
【0025】
また、
該フランジ部材(18,50)を用意する工程において、当該フランジ部材の半径方向に延びて前方に面する環状前端面(66)と、該環状前端面の内周縁から前方に突出する筒状の突出面(69)とを有し、該突出面(69)の前端縁から当該フランジ部材の円錐状面(60)が後方に延びるようになされているフランジ部材を用意し、
該管状部材(20,52)をマンドレル(102)で広げる工程において、該管状部材の前端部分が該フランジ部材の円錐状面に沿って広げられると共に、該円錐状面の前端縁から折り返されて該環状面を覆うようにするようにすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
図1は、本発明に係る第1及び第2のフランジ付き管10,12が結合されている配管連結構造14を示している。
【0027】
第1のフランジ付き管10は、フランジ部材18と管状部材20とから構成されている。
【0028】
フランジ部材18は、筒状部分22、及び、該筒状部分22の前端に設けられ、該筒状部分よりも大きい外径を有する環状のフランジ部分24からなる。フランジ部材18は、その内周面が、前端から後端側に向けて先細りとなる円錐状面26及び該円錐状面に続き後方に延びる筒状面28とを有し、該筒状面28には鋸歯状の係止用凹凸30が形成されている。
【0029】
管状部材20は、フランジ部材18の内周面の円錐状面26に密着係合された円錐状部分34、円錐状部分34に続いて後方に延びフランジ部材18の筒状面28に密着係合された筒状係合部分36、及び、該筒状係合部分36に続いて当該フランジ部材18の後端を越えて後方に延びる管本体部分38と、を有する。筒状係合部分の外周面には、フランジ部材の係止用凹凸30にスナップ係合される被係止用凹凸40が形成されている。ここでスナップ係合とは、変形した部材が弾性復元力で戻って他の部材にパチッと係合することをいい、この実施形態では、管状部材20の前端部分をフランジ部材18の後端から挿入していった場合、該管状部材の被係止用凹凸が弾性変形しながら進み、該被係止用凹凸が係止用凹凸30に整合されたときに、その復元力により該係止用凹凸30にパチッと係合することを意味する。
【0030】
第2のフランジ付き管12は、フランジ部材50と管状部材52とから構成されている。フランジ部材50は、筒状部分54、及び、該筒状部分の前端に設けられ、該筒状部分よりも大きい外径を有する環状フランジ部分56からなる。フランジ部材50は、該フランジ部材の内周面における前端から後端側に向けて先細りとなる円錐状面60及び該円錐状面に続き後方に延びる筒状面62とを有し、該筒状面には鋸刃状の係止用凹凸64が形成されている。該フランジ部材は、その半径方向に延びて前方に面する環状前端面66と、該環状前端面の内周縁から前方に突出する筒状の突出面69とを有し、突出面69の前端縁から当該フランジ部材の円錐状面60が後方に延びるようになされている。
【0031】
管状部材52は、フランジ部材50の筒状面62に密着係合された筒状係合部分72、該筒状係合部分の前端から該フランジ部材50の内周面の該円錐状面60に沿って円錐形状に延び円形の前端縁に至る円錐状部分70、及び、該筒状係合部分72の後端から該フランジ部材の後端を越えて後方に延びる管本体部分74を有する。筒状係合部分72の外周面には、フランジ部材の係止用凹凸64とスナップ係合される被係止用凹凸80が形成されている。
【0032】
該第2のフランジ付き管12は、そのフランジ部材50の環状前端面66よりも前方に延出する部分が、第1のフランジ付き管10の円錐状部分38の内側に入り、その円形の前端縁76の全体が第1のフランジ付き管10の円錐状部部分38の内面に当接するようにされ、該第1及び第2のフランジ付き管10,12のフランジ部材を、汎用の接合バンド(KFフランジ用クランプ)78により締め付けて固定している。
【0033】
図示の実施形態においては、円錐状部分34、70の傾斜角が、当該フランジ付き管の長手方向軸線に対して37°〜53°の範囲とすることが好ましく、特に、45°が好ましい。
【0034】
このフランジ付き管の配管連結構造を通って、流体が矢印Aで示す方向に流れると、流体は第1及び第2フランジ付き管の端部間にできる環状の凹みにおいて矢印Bで示すような渦流が生じる。この渦流は、結合されたフランジ付き管をCIPするときに、洗浄液が、第1及び第2のフランジ付き管の前端の円錐状面間に形成された比較的幅の広い環状凹部内を効率的に洗浄する作用をする。
【0035】
図2乃至図5は、第2のフランジ付き管12を作る工程が示されている。
【0036】
先ず、図2及び図3に示すように、前端に円錐状部分70が形成されておらず、係止用対応凹凸80が形成されている管状部分52をフランジ部分50の後端から挿入し、該管状部分52の被係止用凹凸80がフランジ部材の係止用凹凸64にスナップ係合されるようにする。この状態では、管状部材の前端は、フランジ部材の前端よりも前方に僅かに延出している。
【0037】
この状態で、フランジ部材50の円錐状面60に対応する円錐状外周面100を有するマンドレル102を、管状部材52の前端部分に圧入し、該前端部分を該フランジ部材50の円錐状面60に押圧密着するように広げる。
【0038】
図示はしないが、第1のフランジ付き管10も同様にして形成される。
【0039】
図6及び図7は、第2のフランジ付き管12の変形例をなすフランジ付き管を作る工程を、第2のフランジ付き管12と同じ構成部分には同じ参照番号を付して示してある。このフランジ付き管では、フランジ部材50の内周面が、後端から前方に延びる大径部62−1と、該大径部の前端縁から半径方向内側に延びる環状面62−2と、該環状面の内側縁から円錐状面まで延びる小径部62−3を有している。これに対し、管状部材52の外周面は大径部62−1、環状面62−2、小径部62−3に対応する面が形成されている。フランジ付き管12と管状部材52とを連結するためには、図2乃至図5で示したと同様に、管状部材52の前端をフランジ部材50にその後端から挿入し、図4及び図5に示すと同様のマンドレルで、管状部材52の前端を広げる。ただし、この実施形態においては、図7に一点鎖線で示すように、管状部材52の前端を、フランジ部材50の円錐状面60の前端縁から後方に折り返すようにしている。
【実施例1】
【0040】
お茶飲料製造工場における、お茶飲料の搬送量毎分100Lの配管(外径38.1mm、内径35.7mm、肉厚1.2mmの配管)に、図1に示す第1及び第2のフランジ付き管3、5を組み込んだ。円錐状部分の傾斜角度は45°とし、お茶飲料を毎分100L、36時間連続して流したが、お茶飲料の漏れは認められなかった。
【0041】
その後、洗浄液を秒速2m以上で同配管を通し、CIP洗浄を行った後、第1及び第2フランジ付き管を分解したが、連結部分付近には汚れは全くなく、すぐに他品種の飲料を流すことが可能な状態であった。
【実施例2】
【0042】
缶コーヒー用コーヒーの製造ラインにて、コーヒー飲料の搬送量毎分200Lの配管(外径63.5mm、内径59.5mm、肉厚2mmの配管)に図1に示すと同様の第1及び第2のフランジ付き管3、5を組み込んだ。
【0043】
円錐状部分の傾斜角度は52°とし、コーヒー飲料を毎分200L、72時間連続して流したが、コーヒー飲料の漏れは認められなかった。
【0044】
その後、洗浄液を秒速2m以上で同配管を通し、CIP洗浄を行った後、第1及び第2フランジ付き管を分解したが、連結部分付近には汚れは全くなく、すぐに他品種の飲料を流すことが可能な状態であった。ステンレス製のために、コーヒーの強い匂いも付かず洗浄が簡単であった。
【実施例3】
【0045】
オレンジ果実のジュース製造ラインにて、オレンジジュースの搬送量毎分100Lの配管(外径38.1mm、内径35.7mm、肉厚1.2mmの配管)に図1に示すと同様の第1及び第2のフランジ付き管3、5を組み込んだ。
【0046】
円錐状部分の傾斜角度は45°とし、オレンジジュースを毎分100L、72時間連続して流したが、漏れは認められなかった。
【0047】
その後、洗浄液を秒速2m以上で同配管を通し、CIP洗浄を行った後、第1及び第2フランジ付き管を分解したが、連結部分付近には汚れは全くなく、すぐに他品種の飲料を流すことが可能な状態であった。
【実施例4】
【0048】
青汁製造ラインにて、青汁の搬送量毎分150Lの配管(外径38.1mm、内径35.7mm、肉厚1.2mmの配管)に図1に示すと同様の第1及び第2のフランジ付き管3、5を組み込んだ。
【0049】
円錐状部分の傾斜角度は45°とし、青汁を毎分150L、24時間連続して流したが、漏れは認められなかった。
【0050】
その後、洗浄液を秒速2m以上で同配管を通し、CIP洗浄を行った後、第1及び第2フランジ付き管を分解したが、連結部分付近には汚れは全くなく、すぐに他品種の飲料を流すことが可能な状態であった。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】本発明に係る2つのフランジ付き管を連結した状態を示す縦断面図である。
【図2】本発明に係るフランジ付き管のフランジ部材及び管状部材を組み立てるときの初めの状態を示す。
【図3】同管状部材をフランジ部材に嵌合した状態を示す。
【図4】フランジ部材に嵌合した管状部材の前端部分を広げるためのマンドレルを近づけた状態を示している。
【図5】マンドレルにより管状部材の前端部分を広げた状態を示す。
【図6】他の形態のフランジ部材及び管状部材を示す。
【図7】図6のフランジ部材及び管状部材を連結した状態を示す。
【符号の説明】
【0052】
第1のフランジ付き管10;第2のフランジ付き管12;結合構造14;フランジ部材18;管状部材20;筒状部分22;フランジ部分24;円錐状面26;筒状面28;係止用凹凸30;円錐状部分34;筒状係合部分36;管本体部分38;被係止用凹凸40;フランジ部材50;管状部材52;筒状部分54;フランジ部分56;円錐状面60;筒状面62;大径部62−1;環状面62−2;小径部62−3;係止用凹凸64;環状前端面66;前端縁68;突出面69;円錐状部分70;筒状係合部分72;管本体部分74;前端縁76;被係止用凹凸80;円錐状外周面100;マンドレル102

【特許請求の範囲】
【請求項1】
筒状部分、及び、該筒状部分の前端に設けられ、該筒状部分よりも大きい外径を有する環状フランジ部分からなるフランジ部材であって、該フランジ部材の内周面における前端から後端側に向けて先細りとなる円錐状面及び該円錐状面に続き後方に延びる筒状面とを有するフランジ部材、及び、
該フランジ部材の内周面の該円錐状面に密着係合された円錐状部分、該円錐状部分に続いて後方に延び該フランジ部材の筒状面に密着係合された筒状係合部分、及び、該筒状係合部分に続いて該フランジ部材の後端を越えて後方に延びる管本体部分を有する管状部材、
を有する第1のフランジ付き管と;
筒状部分、及び、該筒状部分の前端に設けられ、該筒状部分よりも大きい外径を有する環状フランジ部分からなるフランジ部材であって、該フランジ部材の内周面における前端から後端側に向けて先細りとなる円錐状面及び該円錐状面に続き後方に延びる筒状面とを有するするとともに、当該フランジ部材の半径方向に延びて前方に面する環状前端面と、該環状前端面の内周縁から前方に突出する筒状の突出面とを有し、該突出面の前端縁から当該フランジ部材の該円錐状面が後方に延びるようになされているフランジ部材、及び、
該フランジ部材の筒状面に密着係合された筒状係合部分、該筒状係合部分の前端から該フランジ部材の内周面の該円錐状面に沿って円錐形状に延び円形の前端縁に至る円錐状部分、及び、該筒状係合部分の後端から該フランジ部材の後端を越えて後方に延びる管本体部分を有する管状部材、
を有する第2のフランジ付き管;
を有し、
該第2のフランジ付き管を、そのフランジ部材の円錐状面の環状前端面よりも前方に延出した部分が、該第1のフランジ付き管の円錐状部分内に入り、該第2のフランジ付き管の円形の前端縁の全体が該円錐状部分の内面に密封係合するようにされた第1及び第2フランジ付き管を備える配管連結構造。
【請求項2】
該第1及び第2のフランジ付き管の管状部材における円錐状部分の傾斜角度が、当該フランジ付き管の長手軸線に対して45±8°とされている請求項1に記載のフランジ付き管。
【請求項3】
筒状部分、及び、該筒状部分の前端に設けられ、該筒状部分よりも大きい外径を有する環状フランジ部分からなるフランジ部材であって、該フランジ部材の内周面における前端から後端側に向けて先細りとなる円錐状面及び該円錐状面に続き後方に延びる筒状面とを有するフランジ部材と、
該フランジ部材の内周面の該円錐状面に密着係合された円錐状部分、該円錐状部分に続いて後方に延び該フランジ部材の筒状面に密着係合された筒状係合部分、及び、該筒状係合部分に続いて該フランジ部材の後端を越えて後方に延びる管本体を有する管状部材と、
を有するフランジ付き管。
【請求項4】
該フランジ部材の内周面の筒状面が係止用凹凸を有し、
該管状部材の外周面の前端部分が、該係止用凹凸に対応する係止用対応凹凸を有し、
該管状部材の係止用対応凹凸が該フランジ部材の係止用凹凸にスナップ嵌めされている請求項3に記載のフランジ付き管。
【請求項5】
該フランジ部材の内周面の筒状面が、当該フランジ部材の後端から前方に当該フランジ付き管の長手軸線方向で延びる大径部分と、該大径部分に続き半径方向内側に延びる環状面と、該環状面の内周縁から該円錐状面まで延びる同長手軸線方向で延びる小径部分とを有し、
該管状部材の筒状係合部分の外周面が、その前端から後方に同長手軸線方向で延び、該フランジ部材の内周面の小径部分に密着係合された小径部分と、該小径部分に続き半径方向外側に延び、該フランジ部材の環状部分に当接された環状面と、該環状面から後方に同長手軸線方向で延び、該フランジ部材の内周面の大径部分に密着係合された大径部分とを有する請求項3に記載のフランジ付き管。
【請求項6】
該フランジ部材が当該フランジ部材の半径方向に延びて前方に面する環状前端面と、該環状前端面よりも前方に延出するようにした該円錐状面と、該円錐状面の前端環状縁から該環状前端面に軸線方向で延びる環状面を有し、
該管状部材の前端部分が該フランジ部材の円錐状面に密着係合すると共に、該円錐状面の前端縁から折り返されて該環状面を覆うようにされた環状部分を有する請求項3乃至5のいずれかに記載のフランジ付き管。
【請求項7】
該管状部材の該円錐状部分の傾斜角度が、当該フランジ付き管の軸線に対して45±8°とされている請求項3乃至6に記載のフランジ付き管。
【請求項8】
筒状部分、及び、該筒状部分の前端に設けられ、該筒状部分よりも大きい外径を有する環状のフランジ部分を有するフランジ部材であって、該フランジ部材の内周面が、当該フランジ部材の前端から後端側に向けて先細りとなる円錐状面及び該円錐状面に続き後方に延びる筒状面とを有するフランジ部材と、管状部材とを用意する工程と、
該管状部材の前端部分を該フランジ部材に嵌合して、その前端が該フランジ部材の前端より前方に延びる状態とし、該管状部材の前端部分の外周面を該フランジ部材の該筒状面に密着係合する工程と、
該フランジ部材の円錐状面に対応する円錐状外周面を有するマンドレルを、該フランジ部材に嵌合した該管状部材の前端部分に圧入し、該前端部分を該フランジ部材の円錐状面に押圧密着するように広げる工程と、
を有する、該フランジ部材と該管状部材とを一体化したフランジ付き管を形成する方法。
【請求項9】
該フランジ部材を用意する工程において、該フランジ部材の内周面の筒状面に係止用凹凸を備えるフランジ部材を用意し、
該管状部材を用意する工程において、該管状部材の外周面の前端部分に該係止用凹凸に対応する係止用対応凹凸を備える管状部材を用意し、
該管状部材の前端部分を該フランジ部材に嵌合するときに、該管状部材の前端を該フランジ部材に挿入し、該管状部材の係止用対応凹凸を該フランジ部材の係止用凹凸にスナップ嵌めするようにした請求項8に記載の方法。
【請求項10】
該フランジ部材を用意する工程において、該フランジ部材の内周面の筒状面に当該フランジ部材の後端から前方に当該フランジ付き管の長手軸線方向で延びる大径部分と、該大径部分に続き半径方向内側に延びる環状面と、該環状面の内周縁から該円錐状面まで同長手軸線方向で延びる小径部分とを有するフランジ部材を用意し、
該管状部材を用意する工程において、該管状部材の外周面に、その前端から後方に同長手軸線方向で延び、該フランジ部材の内周面の小径部分と略同じ径の小径部分と、該小径部分に続き半径方向外側に延びる環状面と、該環状面から後方に同長手軸線方向で延び、該フランジ部材の内周面の大径部分と略同じ径の大径部分とを有する管状部材を用意し、
該管状位部材の前端を該フランジ部材に嵌合するときに、該管状部材の前端部分を、該フランジ部材の後端側から挿入して該管状部材の環状部分が該フランジ部材の環状部分に当接する状態とし、
この状態で、マンドレルを筒状部材の先端から圧入するようにした請求項8に記載の方法。
【請求項11】
該フランジ部材を用意する工程において、当該フランジ部材の半径方向に延びて前方に面する環状前端面と、該環状前端面の内周縁から前方に突出する筒状の突出面(69)とを有し、該突出面(69)の前端縁から当該フランジ部材の円錐状面(60)が後方に延びるようになされているフランジ部材を用意し、
該管状部材をマンドレルで広げる工程において、該管状部材の前端部分が該フランジ部材の円錐状面に沿って広げられると共に、該円錐状面の前端縁から折り返されて該環状面を覆うようにするようにした請求項8乃至10いずれかに記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−209922(P2010−209922A)
【公開日】平成22年9月24日(2010.9.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−115411(P2008−115411)
【出願日】平成20年4月25日(2008.4.25)
【出願人】(597074424)TOKiエンジニアリング株式会社 (9)
【Fターム(参考)】