説明

フリーホイールハブ

【課題】磁石による磁気吸引力によって2輪駆動状態を維持するようにしたフリーホイールハブにおいて、4輪駆動状態の維持の安定化を図り、動力伝達の信頼性を高めることである。
【解決手段】ハブハウジング6の内部を2輪駆動側負圧室21と4輪駆動側負圧室22とに仕切るダイヤフラム13の外周部をスリーブ8とダイヤフラムカバー14とで両側から挟持する。ダイヤフラム13の中央部を外側補強板15と内側補強板16とで両側から挟持し、その外側補強板15と内側補強板16とを中央部に挿通されたリベット17の加締めにより結合する。ダイヤフラムカバー14の内面に取付けた磁石23が外側補強板15を吸着する作用によって2輪駆動状態を保持し、前側車軸1の軸端面に固定された磁石32が内側補強板16を吸着する作用によって4輪駆動状態を保持する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、4輪駆動車のフリーホイールハブに関する。
【背景技術】
【0002】
FRベースの4輪駆動車においては、エンジンおよびトランスミッションからの動力を前側プロペラシャフトと後側プロペラシャフトに分配するトランスファを有し、そのトランスファによって2輪駆動(2WD)と4輪駆動(4WD)とに切換えるようにしている。
【0003】
ここで、2輪駆動による走行時に、従動側車輪と従動側車軸とが結合された状態にあると、従動側車輪から従動側車軸が回転されるため、走行抵抗が増大してエネルギが無駄に消費されることになる。
【0004】
そのような不都合を解消するため、特許文献1に記載された4輪駆動車においては、従動側車輪と従動側車軸との間にフリーホイールハブを設け、トランスファの2輪駆動への切換えにおいて、従動側車輪を従動側車軸から切り離し、従動側車輪をフリー状態として無駄な走行抵抗の低減を図り、一方、トランスファの4輪駆動への切換えにおいては、従動側車輪と従動側車軸とをロック状態にして、エンジンからの動力が従動側車輪に伝達されるようにしている。
【0005】
2輪駆動と4輪駆動の切換えのため、上記特許文献1に記載されたフリーホイールハブにおいては、従動側車軸と同軸上に従動側車輪のホイールハブを回転可能に設け、そのホイールハブのアウタ側端面に連結されたハブハウジングの内部にダイヤフラムを組込んで2輪駆動側負圧室と4輪駆動側負圧室とを形成し、上記2輪駆動側負圧室の減圧によりダイヤフラムを2輪駆動側負圧室に向けて変形させ、そのダイヤフラムに連結されたスライドギヤを従動側車軸上でスライドさせて、そのスライドギヤとハブハウジングの内部に固定されたアウタギヤの噛合を解除し、従動側車軸に対してホイールハブをフリー状態としている。
【0006】
また、上記4輪駆動側負圧室の減圧によりダイヤフラムを4輪駆動側負圧室に向けて変形させ、アウタギヤ側に向けて移動するスライドギヤとそのアウタギヤの噛合によりホイールハブを従動側車軸に対してロック状態としている。
【0007】
ここで、2輪駆動状態(フリー状態)または4輪駆動状態(ロック状態)を維持するために、2輪駆動側負圧室または4輪駆動側負圧室の減圧を長時間にわたって維持する構成であると、負圧室のそれぞれを密封するシール部材や、それぞれの負圧室に連通する負圧経路を密封するシール部材に常に大きな吸引力が負荷されて、そのシール部材の機能を低下させ、耐久性を低下させることになる。
【0008】
そのような不都合を解消するため、上記フリーホイールハブにおいては、ダイヤフラムの外周部を保持するダイヤフラムカバーの内面に磁石を取付け、その磁石がダイヤフラムの内周部を両側から挟持する一対の補強板の一方の外側補強板を吸着する作用によって2輪駆動状態を維持するようにしている。
【0009】
また、ダイヤフラムカバーと上記外側補強板間にスプリングを組込み、そのスプリングがダイヤフラムを4輪駆動側負圧室に向けて押圧する作用により4輪駆動状態を維持するようにしている。このとき、磁石による磁気吸引力がスプリングの弾性力より小さいと、2輪駆動状態を維持することができないため、磁石による磁気吸引力をスプリングの押圧力より高い値に設定している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開平10−278621号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
ところで、上記のように、スプリングにより4輪駆動状態を維持するフリーホイールハブにおいては、4輪駆動状態での走行状態で大きな軸方向の振動がスライドギヤに負荷された場合に、振動Gによるスライドギヤの移動力がスプリング荷重を上回ってスプリングが収縮し、4輪駆動状態を維持できなくなる可能性があった。
【0012】
その対策には、スプリング荷重を大きく設定することが有効であるが、スプリング荷重を大きくすると、2輪駆動時のスプリング荷重が大きくなり、2輪駆動状態を維持するための磁力が不足するという問題が生じ、スプリング荷重を大きくすることができない。
【0013】
この発明の課題は、磁石による磁気吸引力によって2輪駆動状態を維持するようにしたフリーホイールハブにおいて、4輪駆動状態の維持の安定化を図り、動力伝達の信頼性を高めることである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記の課題を解決するため、この発明においては、従動側車軸と同軸上に従動側車輪のホイールハブを回転可能に設け、そのホイールハブのアウタ側端面に連結されたハブハウジングの内部に、そのハブハウジングと一体に回転するアウタギヤと、そのアウタギヤの軸方向外側にスリーブとを設け、そのスリーブとアウタギヤの対向面間をシール部材でシールし、前記ハブハウジングの内部に位置する従動側車軸の端部にスライドギヤをスライド自在に嵌合し、かつ、回り止めし、前記スリーブのアウタ側端面と、そのアウタ端部の外周に圧入される円筒部を外周に有するダイヤフラムカバーとでダイヤフラムの外周部を両側から挟持して、そのダイヤフラムの軸方向外側に2輪駆動側負圧室と、軸方向内側に4輪駆動側負圧室とを設け、前記ダイヤフラムの内周部を両側から挟持する外側補強板と内側補強板とを、その中心部に挿通されたリベットの加締めにより結合し、その内側補強板を前記スライドギヤに連結し、前記2輪駆動側負圧室の減圧によるダイヤフラムの弾性変形によりスライドギヤをアウタギヤとの噛合が解除する方向に移動させて2輪駆動に切換え、前記ダイヤフラムカバーの内面に取付けた磁石が外側補強板を磁気吸着する作用によって2輪駆動への切換え状態を保持し、4輪駆動側負圧室の減圧によるダイヤフラムの弾性変形によってスライドギヤをアウタギヤに噛合する位置まで移動させて4輪駆動に切換えるようしたフリーホイールハブにおいて、前記ダイヤフラムと共に4輪駆動側負圧室に向けて移動する金属製の移動部材をその4輪駆動側負圧室内に組み込まれた磁石で吸着して4輪駆動への切換え状態を保持する吸着保持手段を設けた構成を採用したのである。
【0015】
上記の構成からなるフリーホイールハブにおいて、4輪駆動側負圧室に対する減圧によりダイヤフラムを4輪駆動側負圧室に弾性変形させ、スライドギヤをアウタギヤに噛合する方向に移動させて4輪駆動に切換えると、吸着保持手段による磁石の吸着作用によって4輪駆動状態が維持される。
【0016】
このように、4輪駆動状態の維持が磁石の吸着によるため、スプリングにより4輪駆動状態を維持する場合に比較して、安定性に優れ、動力伝達の信頼性を高めることができる。また、スプリングの収容空間を確保する必要がないため、フリーホイールハブの軸方向長さのコンパクト化を図ることができ、しかも、ダイヤフラムカバーに必要であったスプリング保持部の形成を不要とすることができるため、ダイヤフラムカバーの形状の簡素化を図ることができる。
【0017】
この発明に係るフリーホイールハブにおいて、吸着保持手段として、下記の構成1乃至4からなるものを採用することができる。
構成1;従動側車軸の軸端面に形成された磁石収容凹部内に磁石を固定し、その磁石により移動部材としての内側補強板を吸着する構成としたもの。
構成2;従動側車軸の軸端面に形成された環状溝内に環状の磁石を固定し、その磁石の内側に配置されたコアの磁化により2枚の補強板を結合一体化する移動部材としてのリベットを吸着する構成としたもの。
構成3;アウタギヤの外側面に磁石を固定し、移動部材としての内側補強板の外周部に形成されてスライドギヤの外径面に嵌合された円筒部の開口端部に外向きフランジを設け、その外向きフランジを上記磁石で吸着する構成からなるもの。
構成4;アウタギヤとスリーブを一体化し、そのスリーブ部のアウタギヤ部との連設部位における内径面に環状突出部を設け、その環状突出部の外側面に磁石を固定し、移動部材としての内側補強板の外周部に形成された円筒部の開口端部に外向きフランジを設け、その外向きフランジを上記磁石で吸着する構成からなるもの。
【0018】
ここで、磁石の固定は、接着によるものであってもよく、磁石収容凹部や環状溝に対する溶融樹脂のモールドによるものであってもよい。また、磁石収容凹部の開口部周囲部の内向きの加締めによるものであってもよい。
【0019】
磁石として、鋳造磁石や焼結磁石を採用することができる。
【発明の効果】
【0020】
この発明に係るフリーホイールハブにおいては、上記のように、磁石の吸着により4輪駆動状態を維持するようにしたので、スプリングによって4輪駆動状態の維持を図る場合に比較して、安定した4輪駆動状態を維持することができ、動力伝達の信頼性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】この発明に係るフリーホイールハブの実施の形態を示す縦断面図
【図2】4輪駆動状態に切換えた状態の断面図
【図3】吸着保持手段の他の例を示す断面図
【図4】吸着保持手段の他の例を示す断面図
【図5】吸着保持手段の他の例を示す断面図
【図6】(I)乃至(III)は磁石の固定の各例を示す断面図
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、この発明の実施の形態を図面に基いて説明する。図1に示すように、従動側車軸としての前側車軸1とその外側に設けられた従動側車輪としての前輪のホイールハブ2は同軸上の配置とされている。
【0023】
前側車軸1とホイールハブ2との間には筒状のスピンドル3が組み込まれ、そのスピンドル3とホイールハブ2は軸受4によって相対的に回転自在に支持されている。
【0024】
ホイールハブ2のアウタ側端面にはボルト5の締め付けによってハブハウジング6が連結されている。ハブハウジング6の内部にはアウタギヤ7と、その軸方向外側にスリーブ8が組込まれている。
【0025】
アウタギヤ7はリング状をなし、その内周には歯部としてのスプライン歯9が形成されている。アウタギヤ7およびスリーブ8のそれぞれは、スプラインによる嵌合によりハブハウジング6の内径面に固定されて、そのハブハウジング6と一体に回転するようになっており、そのアウタギヤ7とスリーブ8の軸方向の対向面間はシール部材10の組込みによってシールされている。
【0026】
前側車軸1のハブハウジング6の内部に位置する軸端部にはスライドギヤ11が嵌合されている。スライドギヤ11はスプラインあるいはセレーションの嵌合によって前側車軸1に回り止めされ、かつ、軸方向に移動自在とされ、その外径面には上記アウタギヤ7のスプライン歯9と噛合可能なスプライン歯12が設けられている。
【0027】
ハブハウジング6の内部には、スリーブ8の軸方向外側にダイヤフラム13が組込まれている。ダイヤフラム13の外周部は、スリーブ8のアウタ側端面と、そのスリーブ8のアウタ側端部の外周に圧入嵌合される円筒部14aを外周に有するダイヤフラムカバー14によって両側から挟持されている。
【0028】
ダイヤフラム13の中央部は、外側補強板15と内側補強板16とで両側から挟持されており、その外側補強板15と内側補強板16は中央部を貫通するリベット17の加締めによって結合一体化されている。
【0029】
外側補強板15および内側補強板16は、磁性金属板のプレス成形品からなり、内側補強板16の外周部には円筒部18が設けられ、その円筒部18の開口端は内方に折曲げられて内筒部18aが形成され、その内筒部18aがスライドギヤ11のアウタ側端部の外周に形成された円筒状外径面11aに嵌合されて、スライドギヤ11と軸方向に連結されている。
【0030】
内側補強板16とスライドギヤ11の軸方向の連結に際し、ここでは、スライドギヤ11の円筒状外径面11aの端部にリング溝19を形成し、そのリング溝19に嵌合した止め輪20に内筒部18aの端部を係合させるようにしている。
【0031】
上記ダイヤフラム13の組み込みによってハブハウジング6の内部には、そのダイヤフラム13の軸方向外側に2輪駆動側負圧室21と、ダイヤフラム13の軸方向内側に4輪駆動側負圧室22とが形成され、上記2輪駆動側負圧室21を減圧することにより、ダイヤフラム13が2輪駆動側負圧室21に向けて変形し、スライドギヤ11がアウタギヤ7から離反する方向に移動して、アウタギヤ7に対しての噛合が解除され、2輪駆動状態とされる。
【0032】
また、4輪駆動側負圧室22を減圧することにより、ダイヤフラム13が4輪駆動側負圧室22に向けて変形し、スライドギヤ11がアウタギヤ7に向けて移動して、アウタギヤ7に噛合し、4輪駆動状態とされる。
【0033】
ダイヤフラムカバー14の内面における内周部には永久磁石23が取り付けられている。永久磁石23は、環状のものであってもよく、あるいは、周方向に不連続のものであってもよい。この永久磁石23はスライドギヤ11がアウタギヤ7に対する噛合が解除する2輪駆動状態で外側補強板15を吸着して、2輪駆動状態を保持するようになっている。
【0034】
図2は、スライドギヤ11がアウタギヤ7に噛合する4輪駆動状態を示し、その4輪駆動状態は、磁石の吸引による吸着保持手段30によって保持される。吸着保持手段30は、前側車軸1の軸端面に磁石収容凹部31を形成し、その磁石収容凹部31内に磁石32を固定し、その磁石32で移動部材としての内側補強板16を吸着するようにしている。
【0035】
磁石32は、鋳造磁石であってもよく、焼結磁石であってもよい。その磁石32の固定に際しては、図6(I)乃至(III)に示す固定方法を採用することができる。ここで、(I)は、磁石収容凹部31の閉塞端面に磁石32を接着している。33は接着剤を示す。(II)は、磁石収容凹部31の開口部周囲部の内向きの加締めによって磁石32を固定している。34は加締め片を示す。(III)は、磁石収容凹部31内に溶融樹脂を注入して磁石32をモールドしている。35は樹脂を示す。
【0036】
図1において、24は、2輪駆動側負圧室21に連通する吸引路を示し、25は4輪駆動側負圧室22に連通する吸引路を示す。さらに、26は、2輪駆動側負圧室21に連通する吸引路24と4輪駆動側負圧室22に連通する吸引路25間をシールするシール部材を示す。
【0037】
実施の形態で示すフリーホイールハブは上記の構造からなり、2輪駆動による走行に際しては、2輪駆動側負圧室21を減圧する。その減圧によりダイヤフラム13が2輪駆動側負圧室21に向けて変形し、そのダイヤフラム13に連結されたスライドギヤ11がアウタギヤ7から離反する方向に移動して、図1に示すように、アウタギヤ7との噛合が解除され、ホイールハブ2は前側車軸1に対し切り離されてフリー状態となり、ホイールハブ2から前側車軸1への回転伝達が遮断される状態になる。
【0038】
上記のような2輪駆動への切り換え状態では、磁石23が外側補強板15を吸着する。その吸着により2輪駆動側負圧室21に対する減圧を解除しても、フリーホイールハブは2輪駆動状態に維持される。
【0039】
一方、4輪駆動による走行に際しては、4輪駆動側負圧室22を減圧する。その減圧によりダイヤフラム13が4輪駆動側負圧室22に向けて変形し、スライドギヤ11がアウタギヤ7に向けて移動して、図2に示すように、アウタギヤ7に噛合し、ホイールハブ2は前側車軸1に対して結合されたロック状態となり、上記前側車軸1からホイールハブ2に回転が伝達される状態となる。
【0040】
このとき、吸着保持手段30における磁石32が内側補強板16を吸着するため、ダイヤフラム13は4輪駆動側負圧室22に向けて変形した状態を保持しるため、4輪駆動側負圧室22に対する減圧を解除しても、フリーホイールハブは4輪駆動状態に保持される。
【0041】
このように、磁石32が内側補強板16を吸着する作用によって4輪駆動状態を保持することにより、信頼性の高い動力伝達状態を得ることができる。
【0042】
図1に示す実施の形態では、吸着保持手段30として、前側車軸1の軸端面に形成された磁石収容凹部31に磁石32を固定し、その磁石32で内側補強板16の内面を吸着するようにしたものを示したが、吸着保持手段30はこれに限定されるものではない。
【0043】
図3乃至図5は吸着保持手段30の他の例を示している。図3に示す吸着保持手段30においては、前側車軸1の軸端面に形成された環状溝36内に環状の磁石37を固定し、その磁石37の内側に配置されたコア38の磁化により、そのコア38で外側補強板15と内側補強板16とを結合一体化するリベット17を吸着して、4輪駆動状態を保持するようにしている。
【0044】
図4に示す吸着保持手段30においては、アウタギヤ7の外側面における内周部に環状溝39を形成し、その環状溝39内に環状の磁石40を嵌合して固定し、内側補強板16の外周部に形成された円筒部18の内向き折曲げ部に外向きフランジ18bを設け、上記磁石40の内側に配置されて磁石40により磁化されたコア41でその外向きフランジ18bを吸着して、4輪駆動状態を保持するようにしている。
【0045】
図5に示す吸着保持手段30においては、図1に示すアウタギヤ7とスリーブ8を一体化し、そのスリーブ部のアウタギヤ部との連設部位における内径面に環状突出部42を設け、その環状突出部42の外側面に磁石43を固定し、内側補強板16の外周部に形成された円筒部18の内向き折曲げ部に外向きフランジ18bを設け、その外向きフランジ18bを上記磁石43で吸着して、4輪駆動状態を保持するようにしている。
【0046】
図3乃至図5に示すいずれの吸着保持手段30においても4輪駆動状態を確実に保持することができる。
【符号の説明】
【0047】
1 前側車軸(従動側車軸)
2 ホイールハブ
6 ハブハウジング
7 アウタギヤ
11 スライドギヤ
13 ダイヤフラム
14 ダイヤフラムカバー
14a 円筒部
15 外側補強板
16 内側補強板
17 リベット
18 円筒部
18b 外向きフランジ
23 磁石
30 吸着保持手段
31 磁石収容凹部
32 磁石
33 接着剤
34 加締め片
35 樹脂
36 環状溝
37 磁石
38 コア
40 磁石
42 環状突出部
43 磁石

【特許請求の範囲】
【請求項1】
従動側車軸と同軸上に従動側車輪のホイールハブを回転可能に設け、そのホイールハブのアウタ側端面に連結されたハブハウジングの内部に、そのハブハウジングと一体に回転するアウタギヤと、そのアウタギヤの軸方向外側にスリーブとを設け、そのスリーブとアウタギヤの対向面間をシール部材でシールし、前記ハブハウジングの内部に位置する従動側車軸の端部にスライドギヤをスライド自在に嵌合し、かつ、回り止めし、前記スリーブのアウタ側端面と、そのアウタ端部の外周に圧入される円筒部を外周に有するダイヤフラムカバーとでダイヤフラムの外周部を両側から挟持して、そのダイヤフラムの軸方向外側に2輪駆動側負圧室と、軸方向内側に4輪駆動側負圧室とを設け、前記ダイヤフラムの内周部を両側から挟持する外側補強板と内側補強板とを、その中心部に挿通されたリベットの加締めにより結合し、その内側補強板を前記スライドギヤに連結し、前記2輪駆動側負圧室の減圧によるダイヤフラムの弾性変形によりスライドギヤをアウタギヤとの噛合が解除する方向に移動させて2輪駆動に切換え、前記ダイヤフラムカバーの内面に取付けた磁石が外側補強板を磁気吸着する作用によって2輪駆動への切換え状態を保持し、4輪駆動側負圧室の減圧によるダイヤフラムの弾性変形によってスライドギヤをアウタギヤに噛合する位置まで移動させて4輪駆動に切換えるようしたフリーホイールハブにおいて、
前記ダイヤフラムと共に4輪駆動側負圧室に向けて移動する金属製の移動部材をその4輪駆動側負圧室内に組み込まれた磁石で吸着して4輪駆動への切換え状態を保持する吸着保持手段を設けたことを特徴とするフリーホイールハブ。
【請求項2】
前記吸着保持手段が、前記従動側車軸の軸端面に形成された磁石収容凹部内に磁石を固定し、その磁石により前記内側補強板を吸着する構成からなる請求項1に記載のフリーホイールハブ。
【請求項3】
前記吸着保持手段が、前記従動側車軸の軸端面に形成された環状溝内に環状の磁石を固定し、その磁石の内側に配置されたコアの磁化により前記リベットを吸着する構成からなる請求項1に記載のフリーホイールハブ。
【請求項4】
前記吸着保持手段が、前記アウタギヤの外側面に磁石を固定し、前記内側補強板の外周部に形成されて前記スライドギヤの外径面に嵌合された円筒部の開口端部に外向きフランジを設け、その外向きフランジを前記磁石で吸着する構成からなる請求項1に記載のフリーホイールハブ。
【請求項5】
前記吸着保持手段が、前記アウタギヤとスリーブを一体化し、そのスリーブ部のアウタギヤ部との連設部位における内径面に環状突出部を設け、その環状突出部の外側面に磁石を固定し、前記内側補強板の外周部に形成された円筒部の開口端部に外向きフランジを設け、その外向きフランジを前記磁石で吸着する構成からなる請求項1に記載のフリーホイールハブ。
【請求項6】
前記磁石の固定が、接着による請求項2乃至5のいずれかの項にフリーホイールハブ。
【請求項7】
前記磁石の固定が、前記磁石収容凹部に対する溶融樹脂のモールドによる請求項2又は3に記載のフリーホイールハブ。
【請求項8】
前記磁石の固定が、前記磁石収容凹部の開口部周囲部の内向きの加締めによる請求項2又は3に記載のフリーホイールハブ。
【請求項9】
前記磁石が、鋳造磁石からなる請求項1乃至8のいずれかの項に記載のフリーホイールハブ。
【請求項10】
前記磁石が、焼結磁石からなる請求項1乃至8のいずれかの項に記載のフリーホイールハブ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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