説明

フルオロアルキル基を有するテトラヒドロピラゾロピラゾロン誘導体及びその製造方法

【課題】フルオロアルキル基を有するテトラヒドロピラゾロピラゾロン誘導体及びその製造方法を提供する。
【解決手段】式(1)の化合物。


(式中,Rは水素原子,置換もしくは未置換のアルキル基,アルケニル基,アラルキル基,アルキニル基,アリール基,又はアリールオキシ基を示す。R,R,R及びRはそれぞれ独立に水素原子,アルキル基,アルコキシ基,アラルキル基,ハロゲン原子,置換基を有していてもよいアミノ基,ヒドロキシル基,アルキルチオ基,カルボニル基,置換基を有していてもよいカルバモイル基,シアノ基,ニトロ基,アリール基,アリールオキシ基,アルケニル基,又はアルキニル基を示す。なおRおよびR,RおよびR,RおよびR,RおよびR,RおよびR,又はRおよびRが一体となって,ヘテロ原子の介在もしくは非介在で環状構造の一部を形成してもよい。Rはペルフルオロアルキル基を示す。)

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は,フルオロアルキル基を有するテトラヒドロピラゾロピラゾロン誘導体及びその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
トリフルオロメチル基をはじめとするフルオロアルキル基を有する化合物はフッ素原子のもつ特異的な性質により,医薬農薬分野において強い生理活性や物性をもつことが知られている。一方,ヘテロ環構造も医薬品,農薬において非常に多くみられる構造である。これら二つの構造を同時にもつ化合物は強い生理活性をもつことが期待される合成中間体であるが,その合成法は複雑な過程を経るものが多く実用に堪えるものは少ない(非特許文献1,2)。そのため簡便に,一段階でヘテロ環構造とフルオロアルキル基を同時にもつ化合物を構築できる製造方法が求められている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【非特許文献1】Ogawa, S.; Shibata, N.; Inagaki, J.; Nakamura, S.; Toru, T.; Shiro, M. Angew. Chem. Int. Ed. 2007, 46, 8666.
【非特許文献2】Huang, Y.; Tokunaga, E.; Suzuki, S.; Shiro, M.; Shibata, N. Org. Lett. 2010, 12, 1136.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は上記点に鑑みて,ヘテロ環構造とフルオロアルキル基を同時にもつ化合物,及び簡便に,一段階でヘテロ環構造とフルオロアルキル基を同時にもつ化合物を構築できる製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するため,発明者らは下記一般式(3)で示されるフルオロアルキル基を有するニトロオレフィンと下記一般式(2)で示されるアゾメチンイミン誘導体を1,3‐双極子環化付加させることによりフルオロアルキル基とヘテロ環構造をもつ化合物を無触媒,一段階で簡便に合成することに成功した。また本反応は,酸触媒を加えることにより無触媒時とは異なる立体選択性でフルオロアルキル基とヘテロ環構造をもつ化合物を合成できることを見出した。すなわち請求項1に記載の発明は,下記一般式(1)で表されるフルオロアルキル基を有するテトラヒドロピラゾロピラゾロン誘導体にある。
【0006】
【化1】

【0007】
(式中,Rは水素原子,置換もしくは未置換のアルキル基,アルケニル基,アラルキル基,アルキニル基,アリール基,又はアリールオキシ基を示す。R,R,R及びRはそれぞれ独立に水素原子,アルキル基,アルコキシ基,アラルキル基,ハロゲン原子,置換基を有していてもよいアミノ基,ヒドロキシル基,アルキルチオ基,カルボニル基,置換基を有していてもよいカルバモイル基,シアノ基,ニトロ基,アリール基,アリールオキシ基,アルケニル基,又はアルキニル基を示す。なおRおよびR,RおよびR,RおよびR,RおよびR,RおよびR,又はRおよびRが一体となって,ヘテロ原子の介在もしくは非介在で環状構造の一部を形成してもよい。Rはペルフルオロアルキル基を示す。)
請求項2に記載の発明は,前記一般式(1)で表されるフルオロアルキル基を有するテトラヒドロピラゾロピラゾロン誘導体の合成法であって,下記一般式(2)で表されるアゾメチンイミン誘導体と下記一般式(3)で表されるフルオロアルキル基を有するニトロアルケンとの1,3−双極子環化反応を行う工程を備えることを特徴とする製造方法にある。
【0008】
【化2】

【0009】
(式中,R,R2,R,R及びRは式(1)記載の通りである。)
CHCHNO (3)
(式中,Rは式(1)記載の通りである。)
請求項3に記載の発明は,前記一般式(1)で表されるフルオロアルキル基を有するテトラヒドロピラゾロピラゾロン誘導体の合成法であって,下記一般式(4),(5),(6)および(7)から選ばれる少なくとも1種の酸触媒存在下,前記一般式(2)で表されるアゾメチンイミン誘導体と前記一般式(3)で表されるフルオロアルキル基を有するニトロアルケンとの1,3−双極子環化反応を行う工程を備えることを特徴とする製造方法にある。
(RO)nM (4)
(RCO)nM (5)
(RSO)n M (6)
(X)nM (7)
(式中,Mは,金属元素,半金属元素を示す。nは、Mの原子価と同数の整数を表す。R及びRは水素原子または置換基を有してもよい直鎖状若しくは分岐した炭素数1〜8のアルキル基、または炭素数6〜20の置換または無置換のアリール基を表す。Rはペルフルオロアルキル基を示す。Xはハロゲン原子を表す。)
【発明を実施するための形態】
【0010】
本明細書において,R,R,R,R及びRが示すアルキル基としては,例えば,炭素数1乃至20程度のアルキル基を用いることができる。具体的には,メチル基,エチル基,プロピル基,ブチル基,プロピル基,ペンチル基,ヘキシル基,ヘプチル基,オクチル基,ノニル基,デシル基,ウンデシル基,ドデシル基,トリデシル基,テトラデシル基,ペンタデシル基,ヘキサデシル基,ヘプタデシル基、オクタデシル基、ノナデシル基,イコシル基,又はこれらの環状アルキル基,分鎖アルキル基などを用いることができる。アルキル基はハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、アリール基、アシル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アシルオキシ基などの置換基で置換されていてもよい。
,R,R,R及びRが示すアルケニル基又はアルキニル基に含まれる不飽和結合の数は特に限定されないが,好ましくは1乃至2個程度である。該アルケニル基又はアルキニル基は,直鎖状又は分枝鎖状のいずれでもよい。
,R,R,R及びRが示すアラルキル基は,例としてベンジル基,ペンタフルオロベンジル基,o−メチルベンジル基,m−メチルベンジル基,p−メチルベンジル基,p−ニトロベンジル基,ナフチルメチル基,フルフリル基,α−フェネチル基等が挙げられる。
,R,R,R及びRが示すアリール基としては,ヘテロアリール基も含有し,具体例としては,例えば炭素数2〜30のアリール基,具体的にはフェニル基,ナフチル基,アンスラニル基,ピレニル基,ビフェニル基,インデニル基,テトラヒドロナフチル基,ピリジル基,ピリミジニル基,ピラジニル基,ピリダニジル基,ピペラジニル基,ピラゾリル基,イミダゾリル基,キニリル基,ピロリル基,インドリル基,フリル基などが挙げることができる。
,R,R,R及びRが示すアリールオキシ基としては,ヘテロアリールオキシ基も含有し,具体例としては,例えば炭素数2〜30のアリール基,具体的にはフェニルオキシ基,ナフチルオキシ基,アンスラニルオキシ基,ピレニルオキシ基,ビフェニルオキシ基,インデニルオキシ基,テトラヒドロナフチルオキシ基,ピリジルオキシ基,ピリミジニルオキシ基,ピラジニルオキシ基,ピリダニジルオキシ基,ピペラジニルオキシ基,ピラゾリルオキシ基,イミダゾリルオキシ基,キニリルオキシ基,ピロリルオキシ基,インドリルオキシ基,フリルオキシ基などが挙げることができる。
,R,R及びRが示すアルコキシ基としては,例えば,炭素数1〜6程度のアルコキシ基を用いることができる。より具体的には,メトキシ基,エトキシ基,n−プロポキシ基,イソプロポキシ基,n−ブトキシ基,sec−ブトキシ基,tert−ブトキシ基,シクロプロピルメチルオキシ基,n−ペントキシ基,n−ヘキソキシ基,トリエチレングリコシル基などを挙げることができる。
,R,R,R及びXが示すハロゲン原子はフッ素原子,塩素原子,臭素原子,又はヨウ素原子のいずれでもよい。
,R,R及びRが示すアミノ基が置換基を有する場合,置換基として,例えば,上記に説明した炭素数1〜10程度のアルキル基又はハロゲン化アルキル基等を有していてもよい。より具体的には,炭素数1〜6程度のアルキル基で置換されたモノアルキルアミノ基,又は炭素数1〜6程度の2個のアルキル基で置換されたジアルキルアミノ基(2個のアルキル基は同一でも異なっていてもよい)などを挙げることができる。
,R,R及びRが示すアルキルチオ基としては,上記に説明した炭素数1〜10程度のアルキルチオ基を用いることができる。例えば,メチルチオ基,エチルチオ基などを挙げることができる。
,R,R及びRが示すカルボキシ基としては,例えば,アルキル基,アルコキシ基,アルケニル基,アルキニル基,又はアリール基を有するカルボキシ基を用いることができる。具体的には,アセトキシ基,プロピオノキシ基,ブタノキシ基,ペンタノキシ基,ヘキサノキシ基,メトキシカルボニル基,エトキシカルボニル基などが挙げられる。
,R,R及びRが示すカルバモイル基が置換基を有する場合,置換基として,例えば,上記に説明した炭素数1〜6程度のアルキル基又はハロゲン化アルキル基等を有していてもよい。カルバモイル基が2個の置換基を有する場合には,それらは同一でも異なっていてもよい。
,R,R及びRを組み合わせて形成されうる前記環状構造の例としては,3員環から20員環でなる単環,双環,またはそれ以上の多環の構造を示すことができる。これらの環状構造はヘテロ原子を有してもよい。
アルキル基又はアルキル部分を含む置換基(例えば,アルコキシ基,アルキルチオ基,アルコキシカルボニル基など)のアルキル部分,アリール基又はアリール部分を含む置換基(例えば,アリールオキシ基など)のアリール部分は,フッ素原子,塩素原子,臭素原子,及びヨウ素原子からなる群から選ばれる1又は2個以上のハロゲン原子有していてもよく,2個以上のハロゲン原子が置換している場合には,それらは同一でも異なっていてもよい。
,R,R,R及びRはそれぞれ独立に上記に定義されたいずれかの置換基を示すが,全部が同一の置換基であってもよい。
及びRが示すペルフルオロアルキル基は炭素数が1〜10の,水素がフッ素で置換された枝分かれがあっても良いアルキル基または炭素数が3〜20のシクロアルキル基が好ましく,場合によってはハロゲン原子などで置換されていてもよい。
Mが示す金属元素としては,アルカリ金属,アルカリ土類金属,遷移金属,ランタノイド系金属,アクチノイド系金属を用いることができる。具体的には,リチウム,ナトリウム,カリウム,マグネシウム,カルシウム,スカンジウム,イットリウム,チタン,ジルコニウム,クロム,マンガン,モリブデン,鉄,ルテニウム,コバルト,ロジウム,ニッケル,パラジウム,ニッケル,銅,亜鉛,アルミニウム,ガリウム,インジウム,スズ,ランタン,ウランなどが挙げることができる。
Mが示す半金属元素としては,例えば,ホウ素,ケイ素,砒素,ゲルマニウム,鉛などが挙げることができる。
【0011】
及びRが示すアルキル基は炭素数が1〜20の枝分かれがあっても良いアルキル基が好ましく,炭素数が1〜8の枝分かれがあっても良いアルキル基がさらに好ましい。
及びRが示すアリール基は炭素数が6〜20の置換または無置換のアリール基が好ましく,炭素数が6〜15の置換または無置換のアリール基がさらに好ましい。
本発明の化合物の光学異性体又はジアステレオ異性体などの立体異性体はいずれも本発明の範囲に包含される。光学的に純粋な形態の異性体は本発明の好ましい態様である。また,立体異性体の任意の混合物,ラセミ体なども本発明の範囲に包含される。
本発明のフルオロアルキル基を有するテトラヒドロピラゾロピラゾロン誘導体及びその製造方法は特に限定されないが,前記式(2)で表されるアゾメチンイミン誘導体に対して,前記式(3)で表されるフルオロアルキル基を有するニトロアルケンを,溶媒中で反応させることによって前記式(1)のフルオロアルキル基を有するテトラヒドロピラゾロピラゾロン誘導体を製造することができる。
また,前記式(2)で表されるアゾメチンイミン誘導体に対して,前記式(3)で表されるフルオロアルキル基を有するニトロアルケンを前記式(4),(5),(6)または(7)で示される酸触媒存在下,溶媒中で反応させることによって前記式(1)のフルオロアルキル基を有するテトラヒドロピラゾロピラゾロン誘導体を製造することができる。
前記式(2)で表されるアゾメチンイミン誘導体は特に限定されないが,非特許文献3などによって合成されるアゾメチンイミン誘導体などを用いることができる。
【非特許文献3】Sibi, M. P.; Rane, D.; Stanley, L. M.; Soeta, T. Org. Lett. 2008, 10, 2971.前記式(3)で表されるフルオロアルキル基を有するニトロアルケンは特に限定されないが,非特許文献4などによって合成される3,3,3−トリフルオロ−1−ニトロプロパ−1−エンなどを用いることができる。
【非特許文献4】Molteni, M.; Volonterio, A.; Zanda, M. Org. Lett. 2003, 5, 3887.前記一般式(4),(5),(6)または(7)中で示される酸としては,特に制限するわけではないが,例えば四塩化チタン,四塩化すず,三塩化アルミニウム,三フッ化ホウ素ジエチルエーテル錯塩,トリフルオロメタンスルホン酸銅(II),過塩素酸ニッケル(II),酢酸亜鉛(II),酢酸パラジウム(II),酢酸銅(II),フッ化銀(I),フッ化亜鉛(II),フッ化銅(II),フッ化インジウム(III),塩化マグネシウム,フッ化チタン(IV),チタンテトライソプロポキシド等が挙げられる。これらは単独で使用し得るのみならず,2種類以上を混合して用いることも可能である。用いる金属化合物の形態はガス状,溶液状,塩状,どれでも使用可能であり,特に好ましくは塩上,溶液状である。溶媒の種類は特に限定されないが,ジエチルエーテル,ジイソプロピルエーテル,n−ブチルメチルエーテル,tert−ブチルメチルエーテル,テトラヒドロフラン,ジオキサン等のエーテル系溶媒;ヘプタン,ヘキサン,シクロペンタン,シクロヘキサン等の炭化水素系溶媒;クロロホルム,四塩化炭素,塩化メチレン,ジクロロエタン,トリクロロエタン等のハロゲン化炭化水素系溶媒;ベンゼン,トルエン,キシレン,クメン,シメン,メシチレン,ジイソプロピルベンゼン,ピリジン,ピリミジン,ピラジン,ピリダジン等の芳香族系溶媒;酢酸エチル等のエステル系溶媒;アセトン,メチルエチルケトン等のケトン系溶媒;ジメチルスルホキシド,ジメチルホルムアミド等の溶媒;メタノール,エタノール,プロパノール,i-プロピルアルコール,アミノエタノール,N,N-ジメチルアミノエタノール等のアルコール系溶媒;超臨界二酸化炭素,イオン性液体が挙げられるが,塩化メチレンが最も好ましい。これらは単独で使用し得るのみならず,2種類以上を混合して用いることも可能である。前記式(1)の製造は加圧下に行うこともできるが,通常は常圧で行う。反応温度は−80℃から溶媒の沸点までの間で行うことができるが,好ましくは−20℃乃至室温付近である。反応後、前記式(1)で示されるフルオロアルキル基を有するテトラヒドロピラゾロピラゾロン誘導体は一般的な手法によって反応液から単離および精製することができ,例えば反応液を濃縮した後,蒸留精製またはシリカゲル,アルミナ等の吸着剤を用いたカラムクロマトグラフ法での精製,塩析,再結晶等が挙げられる。
【実施例】
【0012】
以下,実施例により本発明をさらに具体的に説明するが,本発明の範囲は下記の実施例に限定されることはない。
【0013】
(第1実施例)
前記式(1)の一般的な製造方法
非特許文献3によって合成したアゾメチンイミン誘導体2a(17.4mg,0.10mmol)をCHCl 1.0mlに溶かし,室温で,非特許文献4によって合成した3,3,3‐トリフルオロ−1−ニトロプロパ−1−エン3(0.0192ml,0.20mmol)を加えた。17時間撹拌した後、減圧下、溶媒を留去した。残渣をカラムクロマトグラフィーにて精製し、生成物1a(無色結晶)を収率74%,ジアステレオ選択性99.6:0.4:0:0の比で得た。
【0014】
【化3】

【0015】
Compound 1a: 7−(トリフルオロメチル)−テトラヒドロ−6−ニトロ−5−フェニルピラゾロ[1,2−a]ピラゾール−1(5H)−オン
Major diastereomer; colorless crystals. 1H NMR (200 MHz, CDCl3) δ 1.96 (1H, ddd, J = 20.6, 10.0, 2.80 Hz), 2.41 (1H, ddd, J = 17.6, 9.00, 3.20 Hz), 3.20 (1H, dt, J = 11.4, 3.00 Hz), 3.31 (1H, q, J = 10.2 Hz), 4.63 (1H, d, J = 7.00 Hz), 5.43 (1H, dq, J = 6.40, 6.40 Hz), 5.71 (1H, dd, J = 7.00, 5.00 Hz), 7.12 (2H, dd, J = 7.50, 1.90 Hz), 7.33-7.43 (3H, m) ; 19F NMR (188.2 MHz, CDCl3) δ -73.4 (3F, d, J = 5.27 Hz) ;
(第2実施例)
第1実施例と同様の方法によって生成物1b(無色結晶)を収率86%,ジアステレオ選択性>99.9:0.1:0:0の比で得た。
【0016】
【化4】

【0017】
Compound 1b: 7−(トリフルオロメチル)−テトラヒドロ−6−ニトロ−5−p−トリルピラゾロ[1,2−a]ピラゾール−1(5H)−オン
Major diastereomer; colorless crystals. 1H NMR (200 MHz, CDCl3) δ 1.91 (1H, ddd, J = 27.6, 17.2, 7.20 Hz), 2.34 (3H, s), 2.38 (1H, ddd, J = 17.4, 9.00, 2.80 Hz), 3.18 (1H, dt, J = 9.80, 2.80 Hz), 3.33 (1H, dt, J = 11.2, 9.40 Hz), 4.62 (1H, d, J = 7.20 Hz), 5.44 (1H, dq, J = 6.40, 6.40 Hz), 5.70 (1H, dd, J = 7.20, 5.20 Hz), 6.99 (2H, d, J = 8.00 Hz), 7.18 (2H, d, J = 8.00 Hz) ; 19F NMR (188.2 MHz, CDCl3) δ -73.6 (3F, d, J = 3.95 Hz) ;
(第3実施例)
第1実施例と同様の方法によって生成物1c(無色結晶)を収率81%,ジアステレオ選択性>99.9:0.1:0:0の比で得た。
【0018】
【化5】

【0019】
Compound 1c: 7−(トリフルオロメチル)−テトラヒドロ−5−(4−メトキシフェニル)−6−ニトロピラゾロ[1,2−a]ピラゾール−1(5H)−オン
Major diastereomer; colorless crystals. 1H NMR (200 MHz, CDCl3) δ 1.95 (1H, ddd, J = 18.8, 9.80, 3.20 Hz), 2.39 (1H, ddd, J = 17.4, 9.00, 2.80 Hz), 3.16 (1H, dt, J = 11.8, 2.80 Hz), 3.33 (1H, dt, J = 11.0, 10.0 Hz), 3.79 (3H, s), 4.62 (1H, d, J = 7.00 Hz), 5.44 (1H, dq, J = 6.00, 6.00 Hz), 5.69 (1H, dd, J = 7.20, 5.20 Hz), 6.89 (2H, dd, J = 8.80, 2.00 Hz), 7.02 (2H, dd, J = 6.80, 2.00 Hz) ; 19F NMR (188.2 MHz, CDCl3) δ -73.6 (3F, d, J = 5.27 Hz) ;
(第4実施例)
第1実施例と同様の方法によって生成物1d(茶色油状物)を収率71%,ジアステレオ選択性>99.9:0.1:0:0の比で得た。
【0020】
【化6】

【0021】
Compound 1d: 7−(トリフルオロメチル)−テトラヒドロ−5−(4−イソプロピルフェニル)−6−ニトロピラゾロ[1,2−a]ピラゾール−1(5H)−オン
Major diastereomer; brown oil. 1H NMR (200 MHz, CDCl3) δ 1.22 (6H, d, J = 7.00 Hz), 1.83 (1H, td, J = 17.6, 10.4 Hz), 2.35 (1H, ddd, J = 17.4, 9.20, 3.00 Hz), 2.89 (1H, 7, J = 7.00 Hz), 3.18 (1H, dt, J = 10.0, 3.00 Hz), 3.34 (1H, dt, J = 11.2, 9.40 Hz), 4.65 (1H, d, J = 7.20 Hz), 5.46 (1H, dq, J = 6.20, 6.20 Hz), 5.71 (1H, dd, J = 7.20, 5.40 Hz), 7.01 (2H, td, J = 8.40, 1.90 Hz), 7.23 (2H, dd, J = 8.00, 1.60 Hz) ; 19F NMR (188.2 MHz, CDCl3) δ -73.7 (3F, d, J = 5.27 Hz) ;
(第5実施例)
第1実施例と同様の方法によって生成物1e(無色結晶)を収率68%,ジアステレオ選択性>99.9:0.1:0:0の比で得た。
【0022】
【化7】

【0023】
Compound 1e: 7−(トリフルオロメチル) −5−(フラン−2−イル)−テトラヒドロ−6−ニトロピラゾロ[1,2−a]ピラゾール−1(5H)−オン
Major diastereomer; colorless crystals. 1H NMR (200 MHz, CDCl3) δ 1.38 (1H, td, J = 18.0, 10.4 Hz), 2.29 (1H, ddd, J = 18.0, 9.80, 2.80 Hz), 3.19 (1H, ddd, J = 16.0, 10.4, 2.80 Hz), 3.57 (1H, td, J = 13.0, 10.2 Hz), 4.90 (1H, d, J = 7.20 Hz), 5.53 (1H, dq, J = 6.40, 6.40 Hz), 5.71 (1H, t, J = 7.00 Hz), 6.42-6.47 (2H, m), 7.40-7.41 (1H, m) ; 19F NMR (188.2 MHz, CDCl3) δ -74.7 (3F, d, J = 6.59 Hz) ;
(第6実施例)
第1実施例と同様の方法によって生成物1f(無色結晶)を収率97%,ジアステレオ選択性98.7:1.3:0:0の比で得た。
【0024】
【化8】

【0025】
Compound 1f: 7−(トリフルオロメチル)−テトラヒドロ−6−ニトロ−5−(チオフェン−2−イル)ピラゾロ[1,2−a]ピラゾール−1(5H)−オン
Major diastereomer; colorless crystals. 1H NMR (200 MHz, CDCl3) δ 1.81 (1H, td, J = 17.6, 10.0 Hz), 2.39 (1H, ddd, J = 17.6, 10.0, 3.80 Hz), 3.28 (1H, ddd, J = 12.2, 10.4, 3.70 Hz), 3.51 (1H, td, J = 12.6, 9.90 Hz), 5.04 (1H, d, J = 7.00 Hz), 5.51 (1H, dq, J = 6.40, 6.40 Hz), 5.76 (1H, t, J = 6.60 Hz), 6.84 (1H, dd, J = 3.60, 0.800 Hz), 7.04 (1H, dd, J = 5.00, 3.60 Hz), 7.42 (1H, dd, J = 5.20, 0.800 Hz) ; 19F NMR (188.2 MHz, CDCl3) δ -74.2 (3F, d, J = 6.59 Hz) ;
(第7実施例)
第1実施例と同様の方法によって生成物1g(無色結晶)を収率97%,ジアステレオ選択性69:31:0:0の比で得た。
【0026】
【化9】

【0027】
Compound 1g: 7−(トリフルオロメチル)−テトラヒドロ−6−ニトロ−5−スチリルピラゾロ[1,2−a]ピラゾール−1(5H)−オン
Major diastereomer; colorless crystals. 1H NMR (300 MHz, CDCl3) δ 2.43 (1H, td, J = 18.3, 9.90 Hz), 2.57 (1H, ddd, J = 18.0, 9.60, 3.30 Hz), 3.28 (1H, ddd, J = 12.9, 10.2, 3.30 Hz), 3.56 (1H, ddd, J = 21.4, 10.2, 3.30 Hz), 4.32 (1H, dd, J = 10.5, 6.90 Hz), 5.29 (1H, dq, J = 6.60, 6.60 Hz), 5.54-5.65 (2H, m), 6.72 (1H, d, J = 15.6 Hz), 7.26 (5H, s) ; 19F NMR (188.2 MHz, CDCl3) δ -74.3 (3F, d, J = 6.59 Hz) ; Minor diastereomer; colorless crystals. 1H NMR (300 MHz, CDCl3) δ 2.69 (1H, ddd, J = 18.3, 9.60, 3.30 Hz), 2.83 (1H, 5, J = 9.90 Hz), 3.35 (1H, ddd, J= 12.6, 9.30, 3.30 Hz), 3.65 (2H, ddd, J = 22.8, 10.5, 2.85 Hz), 5.11-5.20 (2H, m), 6.15 (1H, q, J = 8.10 Hz), 6.74 (1H, d, J = 15.6 Hz), 7.31-7.44 (5H, m) ; 19F NMR (188.2 MHz, CDCl3) δ-73.9 (3F, d, J = 6.59 Hz) ;
(第8実施例)
第1実施例と同様の方法によって生成物1h(黄色結晶)を収率95%,ジアステレオ選択性99.7:0.3:0:0の比で得た。
【0028】
【化10】

【0029】
Compound 1h: 5−(4−クロロフェニル)−7−(トリフルオロメチル)−テトラヒドロ−6−ニトロピラゾロ[1,2−a]ピラゾール−1(5H)−オン
Major diastereomer; yellow crystals. 1H NMR (200 MHz, CDCl3) δ 2.18 (1H, td, J = 17.6, 10.2 Hz), 2.51 (1H, ddd, J = 17.4, 7.80, 4.00 Hz), 3.16-3.28 (2H, m), 4.54 (1H, d, J = 7.00 Hz), 5.36 (1H, td, J = 11.0, 6.20 Hz), 5.66 (1H, dd, J = 6.80, 4.40 Hz), 7.10 (2H, td, J = 9.20, 2.30 Hz), 7.38 (2H, td, J = 9.20, 2.20 Hz) ; 19F NMR (188.2 MHz, CDCl3) δ -72.9 (3F, s) ;
(第9実施例)
第1実施例と同様の方法によって生成物1i(茶色結晶)を収率99%,ジアステレオ選択性99.1:0.9:0:0の比で得た。
【0030】
【化11】

【0031】
Compound 1i: 5−(4−ブロモフェニル)−7−(トリフルオロメチル)−テトラヒドロ−6−ニトロピラゾロ[1,2−a]ピラゾール−1(5H)−オン
Major diastereomer; brown crystals.1H NMR (200 MHz, CDCl3) δ 2.19 (1H, td, J = 17.4, 10.2 Hz), 2.51 (1H, ddd, J = 17.6, 7.60, 4.00 Hz), 3.19-3.28 (2H, m), 4.52 (1H, d, J = 6.80 Hz), 5.35 (1H, dq, J = 5.80 Hz), 5.66 (1H, dd, J = 6.80, 4.60 Hz), 7.03 (2H, td, J = 9.00, 2.10 Hz), 7.53 (2H, d, J = 8.60 Hz) ; 19F NMR (188.2 MHz, CDCl3) δ -72.9 (3F, s) ;
(第10実施例)
第1実施例と同様の方法によって生成物1j(無色結晶)を収率91%,ジアステレオ選択性>99.9:0.1:0:0の比で得た。
【0032】
【化12】

【0033】
Compound 1j: 7−(トリフルオロメチル)−テトラヒドロ−5−(3,4−ジメチルフェニル)−6−ニトロピラゾロ[1,2−a]ピラゾール−1(5H)−オン
Major diastereomer; colorless crystals. 1H NMR (200 MHz, CDCl3) δ 1.91 (1H, td, J = 17.6, 10.2 Hz), 2.24 (6H, s), 2.37 (1H, ddd, J = 17.4, 9.20, 3.00 Hz), 3.18 (1H, dt, J = 10.9, 3.00 Hz), 3.30 (1H, td, J = 21.0, 11.6 Hz), 4.60 (1H, d, J = 7.20 Hz), 5.46 (1H, dq, J = 6.20, 6.20 Hz), 5.69 (1H, dd, J = 7.20, 5.40 Hz), 6.79 (1H, dd, J = 8.00, 1.80 Hz), 6.86 (1H, d, J = 1.80 Hz), 7.11 (1H, d, J = 7.40 Hz) ; 19F NMR (188.2 MHz, CDCl3) δ -73.6 (3F, s) ;
(第11実施例)
第1実施例と同様の方法によって生成物1k(黄色結晶)を収率82%,ジアステレオ選択性91.8:8.2:0:0の比で得た。
【0034】
【化13】

【0035】
Compound 1k: 7−(トリフルオロメチル)−テトラヒドロ−5−(ナフタレン−1−イル)−6−ニトロピラゾロ[1,2−a]ピラゾール−1(5H)−オン
Major diastereomer; yellow crystals. 1H NMR (200 MHz, CDCl3) δ 2.49-2.58 (2H, m), 3.00 (1H, ddd, J = 20.2, 10.0, 1.80 Hz), 3.40 (1H, ddd, J = 10.0, 7.60, 2.80 Hz), 5.31 (2H, 8, J = 3.20 Hz), 5.81 (1H, dd, J = 6.40, 3.00 Hz), 7.35-7.47 (2H, m), 7.51-7.69 (2H, m), 7.88-7.97 (3H, m) ; 19F NMR (188.2 MHz, CDCl3) δ -71.7 (3F, s) ;
(第12実施例)
第1実施例と同様の方法によって生成物1l(無色結晶)を収率93%,ジアステレオ選択性99.2:0.8:0:0の比で得た。
【0036】
【化14】

【0037】
Compound 1l: 7−(トリフルオロメチル)−テトラヒドロ−5−(ナフタレン−2−イル)−6−ニトロピラゾロ[1,2−a]ピラゾール−1(5H)−オン
Major diastereomer; colorless crystals. 1H NMR (200 MHz, CDCl3) δ 1.99 (1H, td, J = 20.6, 8.80 Hz), 2.41 (1H, ddd, J = 17.6, 8.20, 3.60 Hz), 3.26 (2H, ddd, J = 11.4, 10.0, 8.00 Hz), 4.78 (1H, d, J = 7.00 Hz), 5.54 (1H, dq, J = 6.40, 6.40 Hz), 5.78 (1H, dd, J = 7.00, 5.00 Hz), 7.17 (1H, dd, J = 8.60, 2.00 Hz), 7.49-7.56 (2H, m), 7.64 (1H, d, J = 1.60 Hz), 7.78-7.88 (3H, m) ; 19F NMR (188.2 MHz, CDCl3) δ -73.2 (3F, s) ;
(第13実施例)
前記式(1)の酸触媒を加える一般的な製造方法
非特許文献3によって合成したアゾメチンイミン誘導体2a(17.4mg,0.10mmol)をCHCl 1.0mlに溶かし,室温でチタンテトライソプロポキシド(0.00295ml,0.01mmol)を加えたのちに,非特許文献4によって合成した3,3,3−トリフルオロ−1−ニトロプロパ−1−エン3(0.0192ml,0.20mmol)を加えた。TLCにて反応終了を確認後、減圧下、溶媒を留去した。残渣をカラムクロマトグラフィーにて精製し、生成物1a(無色結晶)を収率82%,ジアステレオ選択性10:90:0:0の比で得た。
Compound 1a: Major diastereomer; 1H NMR (300 MHz, CDCl3) δ 2.69 (1H, ddd, J = 18.3, 9.30, 3.00 Hz), 2.88 (1H, 6, J = 9.30 Hz), 3.16 (1H, ddd, J = 12.6, 9.60, 3.00 Hz), 3.62 (1H, td, J = 12.9, 9.90 Hz), 4.03 (1H, d, J = 8.40 Hz), 5.17 (1H, dt, J = 7.20, 4.50 Hz), 5.24 (1H, dd, J = 7.80, 4.80 Hz), 7.38-7.46 (5H, m) ; 19F NMR (282 MHz, CDCl3) δ -74.3 (3F, d, J = 7.05 Hz) ;Minor diastereomer; 1H NMR,19F NMRともに第1実施例の生成物と同じ


【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記一般式(1)で表されるフルオロアルキル基を有するテトラヒドロピラゾロピラゾロン誘導体。
【化15】


(式中,Rは水素原子,置換もしくは未置換のアルキル基,アルケニル基,アラルキル基,アルキニル基,アリール基,又はアリールオキシ基を示す。R,R,R及びRはそれぞれ独立に水素原子,アルキル基,アルコキシ基,アラルキル基,ハロゲン原子,置換基を有していてもよいアミノ基,ヒドロキシル基,アルキルチオ基,カルボニル基,置換基を有していてもよいカルバモイル基,シアノ基,ニトロ基,アリール基,アリールオキシ基,アルケニル基,又はアルキニル基を示す。なおRおよびR,RおよびR,RおよびR,RおよびR,RおよびR,又はRおよびRが一体となって,ヘテロ原子の介在もしくは非介在で環状構造の一部を形成してもよい。Rはペルフルオロアルキル基を示す。)
【請求項2】
請求項1に記載の一般式(1)で表されるフルオロアルキル基を有するテトラヒドロピラゾロピラゾロン誘導体の製造方法であって,下記一般式(2)で表されるアゾメチンイミン誘導体と下記一般式(3)で表されるフルオロアルキル基を有するニトロアルケンとの1,3−双極子環化反応を行う工程を備えることを特徴とするフルオロアルキル基を有するテトラヒドロピラゾロピラゾロン誘導体の製造方法。
【化16】


(式中,R,R2,R,R及びRは式(1)記載の通りである。)
CHCHNO (3)
(式中,Rは式(1)記載の通りである。)
【請求項3】
請求項1に記載の一般式(1)で表されるフルオロアルキル基を有するテトラヒドロピラゾロピラゾロン誘導体の製造方法であって,下記一般式(4),(5),(6)および(7)から選ばれる少なくとも1種の酸触媒存在下,下記一般式(2)で表されるアゾメチンイミン誘導体と下記一般式(3)で表されるフルオロアルキル基を有するニトロアルケンとの1,3−双極子環化反応を行う工程を備えることを特徴とするフルオロアルキル基を有するテトラヒドロピラゾロピラゾロン誘導体の製造方法。
(RO)nM (4)
(RCO)nM (5)
(RSO)n M (6)
(X)nM (7)
(式中,Mは,金属元素,半金属元素を示す。nは、Mの原子価と同数の整数を表す。R及びRは水素原子または置換基を有してもよい直鎖状若しくは分岐した炭素数1〜8のアルキル基、または炭素数6〜20の置換または無置換のアリール基を表す。Rはペルフルオロアルキル基を示す。Xはハロゲン原子を表す。)
【化17】


(式中,R,R2,R,R及びRは式(1)記載の通りである。)
CHCHNO (3)
(式中,Rは式(1)記載の通りである。)


【公開番号】特開2012−97041(P2012−97041A)
【公開日】平成24年5月24日(2012.5.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−246369(P2010−246369)
【出願日】平成22年11月2日(2010.11.2)
【出願人】(304021277)国立大学法人 名古屋工業大学 (784)
【Fターム(参考)】