説明

フルオロポリマー水性分散液

【課題】良好な分散安定性を示し、長期間貯蔵してもpHが低下しにくいフルオロポリマー水性分散液を提供する。
【解決手段】フルオロポリマー、フッ素非含有界面活性剤、並びに、ヒドロキシモノカルボン酸、ヒドロキシジカルボン酸、トリカルボン酸及びアミノ酸からなる群より選択される少なくとも1種の有機電解質、並びに、炭素数が7以下の含フッ素アニオン界面活性剤を含むことを特徴とするフルオロポリマー水性分散液。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フルオロポリマー水性分散液に関する。
【背景技術】
【0002】
フルオロポリマー水性分散液は、コーティング、含浸等の方法で、化学的安定性、非粘着性、耐候性等に優れた特性を示すフィルムを形成することができるので、調理器具、配管のライニング、ガラスクロス含浸膜等の用途に広く使われてきた。これらの用途において、フルオロポリマー水性分散液は、フルオロポリマーの濃度が高いものが好ましいので、一般に、水性媒体中で含フッ素アニオン界面活性剤の存在下に含フッ素モノマーを重合したのち濃縮して得られたものが使用されている。しかしながら、コスト面で含フッ素アニオン界面活性剤はフルオロポリマー水性分散液から除去することが望ましい。
【0003】
しかし、含フッ素アニオン界面活性剤の含有量が低いフルオロポリマー水性分散液は、(1)フルオロポリマー濃度が上昇すると粘度が上昇し、取り扱いが困難となる問題、(2)移送時や被膜形成等の加工時に機械的応力を受けた場合、フルオロポリマー粒子が凝集物となりやすく、該水性分散液、これを用いて得られるフィルムや含浸体等の品質が損なわれる問題(いわゆる機械安定性の問題)等があった。そこで、含フッ素アニオン界面活性剤の濃度が低くても分散安定性に優れたフルオロポリマー水性分散液の開発が進められてきた(例えば、特許文献1〜3参照)。
【0004】
また、特許文献4には、水性フルオロポリマー分散体を静置しておいた時にそのフルオロポリマーがゲル化する現象を避けるために、水性フルオロポリマー分散体に硫酸カリウムのような無機金属塩を添加することが記載されている。
【0005】
特許文献5には、濃縮された分散系の安定性は、特定の条件下で、低分子量フッ素化界面活性剤の量がより高い分散系よりも低くなり得るとの問題を解決するために、非イオン性非フッ素化界面活性剤と非フッ素化アニオン性界面活性剤との混合物を使用することが記載されている。特許文献5が開示する非フッ素化アニオン性界面活性剤は、好適にはスルホネート基を有するアニオン性炭化水素界面活性剤である。
【0006】
フルオロモノマーの重合によって得られるフルオロポリマー水性分散液は、重合反応中に分解した重合開始剤を含むため、pHが1.0〜3.0程度の酸性であるのが通常である。従って、重合により得られたフルオロポリマー水性分散液は、公知の濃縮法によってフルオロポリマーの濃度が高められ、アンモニウムイオンや水酸化物イオンなどのアルカリによって液性をアルカリ性に調整した後、使用に供される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】国際公開第2006/132368号パンフレット
【特許文献2】国際公開第2007/026822号パンフレット
【特許文献3】国際公開第2008/001846号パンフレット
【特許文献4】特表2006−522836号公報
【特許文献5】特表2006−523758号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、従来の含フッ素アニオン界面活性剤の含有量が低いフルオロポリマー水性分散液は、時間が経過するとともにpHが低下していくことが、本発明者らによって見出された。水性分散液のpHが低下すると、低いpHでは活性を失う材料が使用できないという問題がある。特に、酸化還元反応や中和反応を利用する電池の電極材料や自動車の駆動部品に適用する場合、フルオロポリマー水性分散液のpHの低下は非常に大きな問題である。また、フルオロポリマー水性分散液を適用する直前にpHを調整することができたとしても、このような操作は経済性の観点から不利である。
【0009】
本発明の目的は、上記の現状に鑑み、良好な分散安定性を示し、長期間貯蔵してもpHが低下しにくいフルオロポリマー水性分散液を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者らは鋭意検討した結果、特定の有機電解質がフルオロポリマー水性分散液のpHの低下を抑制することを見出し、本発明を完成するに至った。
【0011】
すなわち、本発明は、フルオロポリマー、フッ素非含有界面活性剤、並びに、ヒドロキシモノカルボン酸、ヒドロキシジカルボン酸、トリカルボン酸及びアミノ酸からなる群より選択される少なくとも1種の有機電解質、並びに、炭素数が7以下の含フッ素アニオン界面活性剤を含むことを特徴とするフルオロポリマー水性分散液である。
【0012】
本発明は、上記フルオロポリマー水性分散液からなる塗料でもある。
【0013】
本発明は、上記フルオロポリマー水性分散液からなる電池用結着剤でもある。
【0014】
本発明は、炭素数が7以下の含フッ素アニオン界面活性剤の存在下にフルオロモノマーを水性媒体中で乳化重合する工程(1)、工程(1)により得られた水性分散液にフッ素非含有界面活性剤を添加して含フッ素アニオン界面活性剤を除去する工程(2)、工程(2)により得られた水性分散液に、ヒドロキシモノカルボン酸、ヒドロキシジカルボン酸、トリカルボン酸及びアミノ酸からなる群より選択される少なくとも1種の有機電解質を添加する工程(3)、及び、水性分散液のpHを8〜10に調整する工程(4)を含むことを特徴とするフルオロポリマー水性分散液の製造方法でもある。
【発明の効果】
【0015】
本発明の水性分散液は、良好な分散安定性を示し、長期間貯蔵してもpHの低下を示さないことから、使用直前にpHを調整する操作が不要であり、幅広い用途に使用することができる。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明のフルオロポリマー水性分散液は、フルオロポリマー、フッ素非含有界面活性剤、特定の有機電解質、及び、炭素数が7以下の含フッ素アニオン界面活性剤を含むことを特徴とする。
【0017】
上記有機電解質は、ヒドロキシモノカルボン酸、ヒドロキシジカルボン酸、トリカルボン酸及びアミノ酸からなる群より選択される少なくとも1種である。これらはいずれも1分子中に少なくとも1つのカルボキシル基を有し、かつ、カルボキシル基、ヒドロキシ基及びアミノ基を合計で2つ以上有する。上記有機電解質は、フッ素原子を含まないことが好ましく、界面活性剤でないことが好ましい。
【0018】
本発明のフルオロポリマー水性分散液は、上記有機電解質を含むことによりpHの低下がみられない。従来のフルオロポリマー水性分散液のpHが低下する理由は明確ではないが、中和に使用したアンモニアの蒸散、空気中の二酸化炭素の溶解、重合開始剤残渣の分解などが影響しているものと推測される。驚くべきことに、特定の有機電解質がフルオロポリマー水性分散液のpHの低下を抑制する作用を奏する。
【0019】
上記ヒドロキシモノカルボン酸としては、乳酸、グリセリン酸、グリコール酸、ヒドロキシ酪酸等が挙げられる。
上記ヒドロキシジカルボン酸としては、リンゴ酸、酒石酸等が挙げられる。
上記トリカルボン酸としては、クエン酸、イソクエン酸等が挙げられる。
上記アミノ酸としては、グリシン等が挙げられる。
【0020】
有機電解質としては、なかでも、クエン酸、イソクエン酸、リンゴ酸、グリシン及び乳酸からなる群より選択される少なくとも1種であることが好ましく、クエン酸、イソクエン酸及び乳酸からなる群より選択される少なくとも1種であることがより好ましい。
【0021】
本発明のフルオロポリマー水性分散液は、上記有機電解質がフルオロポリマー1gに対して0.1〜100mmolであることが好ましく、0.1〜50mmolであることがより好ましく、0.1〜10mmolであることが更に好ましく、0.2〜1.0mmolであることが特に好ましく、0.3〜0.6mmolであることが殊更好ましい。有機電解質が多すぎると貯蔵中に上澄相と濃縮相との分離がおこるおそれがあり、少なすぎると貯蔵中にpHが低下するおそれがある。
【0022】
上記フルオロポリマーは、フッ素樹脂であることが好ましい。上記フッ素樹脂は、明確な融点を有するものであれば特に限定されない。
【0023】
上記フルオロポリマーは、融点が100〜347℃であることが好ましく、150〜347℃であることがより好ましい。
上記融点は、例えば、示差走査熱量計〔DSC〕を用いて10℃/分の速度で昇温したときの融解熱曲線における極大値に対応する温度として求めることができる。
【0024】
上記フルオロポリマーは、通常、粒子状である。以下、粒子状のフルオロポリマーをフルオロポリマー粒子という。上記フルオロポリマー粒子の平均粒子径は、10〜400nmであることが好ましく、100〜350nmであることがより好ましい。上記平均粒子径は、フルオロポリマー粒子の濃度を0.22質量%に調整した水性分散液の単位長さに対する550nmの投射光の透過率と、透過型電子顕微鏡写真における定方向径を測定して決定された平均粒子径との検量線をもとにして、上記透過率から決定したものである。
【0025】
上記フルオロポリマーは、少なくとも1種の含フッ素エチレン性単量体から誘導される繰り返し単位を有する単独重合体又は共重合体であることが好ましい。上記フルオロポリマーは、含フッ素エチレン性単量体のみを重合してなるものであってもよいし、含フッ素エチレン性単量体とフッ素原子を有さないエチレン性単量体を重合してなるものであってもよい。
【0026】
上記フルオロポリマーは、フッ化ビニル〔VF〕、テトラフルオロエチレン〔TFE〕、フッ化ビニリデン〔VdF〕、クロロトリフルオロエチレン〔CTFE〕、へキサフルオロプロピレン〔HFP〕、へキサフルオロイソブテン、CH=CZ(CF(式中、ZはH又はF、ZはH、F又はCl、nは1〜10の整数である。)で表される単量体、CF=CF−ORf(式中、Rfは、炭素数1〜8のパーフルオロアルキル基を表す。)で表されるパーフルオロ(アルキルビニルエーテル)〔PAVE〕、及び、CF=CF−O−CH−Rf(式中、Rfは、炭素数1〜5のパーフルオロアルキル基)で表されるアルキルパーフルオロビニルエーテル誘導体からなる群より選択される少なくとも1種の含フッ素エチレン性単量体に由来する繰り返し単位を有することが好ましい。
【0027】
上記フルオロポリマーは、フッ素原子を有さないエチレン性単量体に由来する繰り返し単位を有してもよく、耐熱性や耐薬品性等を維持する点で、炭素数5以下のエチレン性単量体に由来する繰り返し単位を有することも好ましい形態の一つである。上記フルオロポリマーは、エチレン、プロピレン、1−ブテン、2−ブテン、塩化ビニル、塩化ビニリデン及び不飽和カルボン酸からなる群より選択される少なくとも1種のフッ素非含有エチレン性単量体を有することも好ましい。
【0028】
上記フルオロポリマーとしては、ポリテトラフルオロエチレン〔PTFE〕、ポリクロロトリフルオロエチレン〔PCTFE〕、エチレン〔Et〕/TFE共重合体〔ETFE〕、Et/クロロトリフルオロエチレン〔CTFE〕共重合体、CTFE/TFE共重合体、TFE/HFP共重合体〔FEP〕、TFE/PAVE共重合体〔PFA〕、及び、ポリビニリデンフルオライド〔PVdF〕からなる群より選択される少なくとも1種であることが好ましく、PCTFE、ETFE、CTFE/TFE共重合体、FEP及びPFAからなる群より選択される少なくとも1種であることがより好ましい。
【0029】
フルオロポリマーは、なかでも、PTFE及びFEPからなる群より選択される少なくとも1種であることが更に好ましく、PTFEであることが特に好ましい。
【0030】
上記PTFEとしては、非溶融加工性を有するものであれば特に限定されず、ホモPTFEであっても、変性PTFEであってもよく、コア−シェル構造を有するものであってもよい。
【0031】
上記変性PTFEとは、TFEと、TFE以外の微量単量体との共重合体であって、非溶融加工性であるものを意味する。
上記微量単量体としては、例えば、HFP、CTFE等のフルオロオレフィン、炭素原子1〜5個、特に炭素原子1〜3個を有するアルキル基を持つフルオロ(アルキルビニルエーテル);フルオロジオキソール;パーフルオロアルキルエチレン;ω―ヒドロパーフルオロオレフィン等が挙げられる。
【0032】
変性PTFEにおいて、上記微量単量体に由来する微量単量体単位の全単量体単位に占める含有率は、通常0.001〜1モル%、好ましくは0.005〜0.5モル%、より好ましくは0.01〜0.1モル%の範囲である。
【0033】
上記PAVEとしては、パーフルオロ(メチルビニルエーテル)〔PMVE〕、パーフルオロ(エチルビニルエーテル)〔PEVE〕、パーフルオロ(プロピルビニルエーテル)〔PPVE〕、パーフルオロ(ブチルビニルエーテル)等が挙げられ、なかでも、PMVE、PEVE又はPPVEがより好ましい。
【0034】
上記アルキルパーフルオロビニルエーテル誘導体としては、Rfが炭素数1〜3のパーフルオロアルキル基であるものが好ましく、CF=CF−O−CH−CFCFがより好ましい。
【0035】
FEPとしては、特に限定されないが、TFE単位70〜99モル%とHFP単位1〜30モル%からなる共重合体であることが好ましく、TFE単位80〜97モル%とHFP単位3〜20モル%からなる共重合体であることがより好ましい。TFE単位が70モル%未満では機械物性が低下する傾向があり、99モル%を超えると融点が高くなりすぎ成形性が低下する傾向がある。FEPは、TFE及びHFPと共重合可能な単量体に由来する単量体単位が0.1〜10モル%であり、TFE単位及びHFP単位が合計で90〜99.9モル%である共重合体であることも好ましい。TFE及びHFPと共重合可能な単量体としては、PAVE、アルキルパーフルオロビニルエーテル誘導体等が挙げられる。
【0036】
上述した共重合体の各単量体の含有量は、NMR、FT−IR、元素分析、蛍光X線分析を単量体の種類によって適宜組み合わせることで算出できる。
【0037】
本発明のフルオロポリマー水性分散液は、上記フルオロポリマーの固形分濃度が35〜75質量%であることが好ましく、より好ましい下限が40質量%、更に好ましい下限が50質量%であり、より好ましい上限が65質量%である。本発明のフルオロポリマー水性分散液は、フルオロポリマーを高濃度で含む場合にも、高い分散安定性を示す。
【0038】
上記フルオロポリマーの固形分濃度は、試料約1g(Xg)を直径5cmのアルミカップにとり、100℃、1時間で乾燥し、更に300℃、1時間乾燥した加熱残分(Zg)に基づき、式:P=Z/X×100(%)にて決定できる。
【0039】
上記フッ素非含有界面活性剤としては、フッ素を含有していない化合物からなるものであれば、ノニオン界面活性剤であってもよいしアニオン界面活性剤であってもよく、ノニオン界面活性剤とアニオン界面活性剤とを併用してもよいが、フッ素非含有ノニオン界面活性剤であることが好ましい。
【0040】
上記フッ素非含有アニオン界面活性剤としては、例えば、アルキルスルホン酸及びその塩、アルキル硫酸エステル及びその塩、アルキルスルホコハク酸エステル及びその塩、オキシ アルキル化されたスルホン酸及びその塩等が挙げられる。上記フッ素非含有界面活性剤として、ノニオン界面活性剤とアニオン界面活性剤とを併用することにより、得られる水性分散液において、効率よく、貯蔵安定性を向上させ、液温上昇に伴う粘度上昇を抑制することができる。
【0041】
上記ノニオン界面活性剤としては、フッ素を含有しないノニオン性の化合物からなるもの(フッ素非含有ノニオン界面活性剤)であれば特に限定されず、公知のものを使用できる。上記フッ素非含有ノニオン界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキレンアルキルエーテル等のエーテル型ノニオン界面活性剤;エチレンオキサイド/プロピレンオキサイドブロック共重合体等のポリオキシエチレン誘導体;ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル等のエステル型ノニオン界面活性剤;ポリオキシエチレンアルキルアミン、アルキルアルカノールアミド等のアミン系ノニオン界面活性剤;等が挙げられる。
【0042】
上記ノニオン界面活性剤を構成する化合物において、その疎水基は、アルキルフェノール基、直鎖アルキル基及び分岐アルキル基の何れであってもよいが、アルキルフェノール基を構造中に有しない化合物等、ベンゼン環を有さないものであることが好ましい。
【0043】
本発明のフルオロポリマー水性分散液は、フッ素非含有界面活性剤の濃度がフルオロポリマーの固形分の質量を基準にして0.1〜30質量%であることが好ましく、0.2質量%以上であることがより好ましく、10質量%以下であることがより好ましい。フッ素非含有界面活性剤の濃度が多すぎると経済性が損なわれることがあり、少なすぎるとフルオロポリマー水性分散液の分散安定性が劣ることがある。
【0044】
本明細書において、上記フッ素非含有界面活性剤の濃度(N)は、試料約1gを直径5cmのアルミカップにとり、100℃にて1時間で加熱した加熱残分(Yg)、更に、得られた加熱残分(Yg)を300℃にて1時間加熱した加熱残分(Zg)より、式:N=[(Y−Z)/Z]×100(%)から算出したものである。
【0045】
本発明のフルオロポリマー水性分散液は、フルオロポリマーの固形分の質量を基準にして0.001〜2000ppmの含フッ素アニオン界面活性剤を含むことが好ましい。上記含フッ素アニオン界面活性剤は、より好ましくは0.001〜100ppm、更に好ましくは0.001〜50ppm、特に好ましくは0.001〜20ppmであり、可能なかぎり除去することも好ましい。本発明のフルオロポリマー水性分散液は、含フッ素アニオン界面活性剤をほとんど含まない場合にも分散安定性に優れる。
【0046】
フルオロポリマー水性分散液は、通常乳化重合によって得られ、得られた重合上がりの水性分散液にはフルオロモノマーの重合において使用された炭素数が7以下の含フッ素アニオン界面活性剤が含まれる。含フッ素アニオン界面活性剤の炭素数は、4以上であることが好ましく、5以上であることがより好ましい。
【0047】
上記炭素数が7以下の含フッ素アニオン界面活性剤としては、例えば、カルボン酸系界面活性剤、スルホン酸系界面活性剤等が挙げられる。含フッ素アニオン界面活性剤としては、下記一般式(i)、(ii)、(iii)、(iv)、(v)、(vi)及び(vii)で表されるカルボン酸系界面活性剤からなる群より選択される少なくとも1種であることが好ましい。
【0048】
上記含フッ素アニオン界面活性剤としては、一般式(i):
X−RfCOOM (i)
で表されるカルボン酸系界面活性剤が挙げられる。式中、XはH、F、又はClである。Rfは炭素数5〜6の直鎖又は分岐のフルオロアルキレン基であり、例えば、炭素数6の直鎖又は分岐のフルオロアルキレン基である。Rfはとしては、とりわけ、直鎖又は分岐のパーフルオロアルキレン基であることが好ましい。Mは1価のアルカリ金属、NH又はHを表す。
【0049】
一般式(i)で表されるカルボン酸系界面活性剤としては、例えば、C11COOH、C13COOH等やこれらの塩が挙げられる。
【0050】
上記含フッ素アニオン界面活性剤としてはまた、一般式(ii):
(CF−O−CX−(CF−O−CX−(CF−COOM (ii)
(式中、X、X、X、X及びXは、同一又は異なって、H、F又はCFを表し、Mは1価のアルカリ金属、NH又はHを表し、pは1又は2を表し、qは1又は2を表し、rは0又は1を表す。)で表されるカルボン酸系界面活性剤が挙げられる。一般式(ii)で表されるフルオロエーテルカルボン酸としては、例えば、CFOCF(CF)CFOCF(CF)COONH、CFCFOCFCFOCFCOONH、CFOCFCFCFOCHFCFCOONH等が挙げられる。
【0051】
上記含フッ素アニオン界面活性剤は、また、一般式(iii):
X−(CF−O−(CF(CF)CFO)−CF(CF)COOM(iii)
で表されるカルボン酸系界面活性剤であってもよい。式中、XはH、F、又はClであり、mは1〜4の整数であり、nは0又は1の整数である。Mは1価のアルカリ金属、NH又はHを表す。
【0052】
一般式(iii)で表されるカルボン酸系界面活性剤としては、例えば、CF−O−CF(CF)CFO−CF(CF)COOH等や、これらの塩が好ましいカルボン酸系界面活性剤として例示される。
【0053】
上記含フッ素アニオン界面活性剤は、一般式(iv):
X−(CF−O−(CF(CF)CFO)−CHFCFCOOM
(iv)
で表されるカルボン酸系界面活性剤であってもよい。式中、X、m、n及びMは上記と同じである。
【0054】
上記含フッ素アニオン界面活性剤は、一般式(v):
X−(CF−O−(CF(CF)CFO)−CHCFCOOM(v)
で表されるカルボン酸系界面活性剤であってもよい。式中、X、m、n及びMは上記と同じである。
【0055】
上記含フッ素アニオン界面活性剤としてはまた、一般式(vi)
RfOCFCFO(CFCOOM (vi)
(式中、Rfは一部又は全部の水素がフッ素置換されたアルキル基を表し、Mは1価のアルカリ金属、NH又はHを表し、pは1又は2を表す。)で表されるカルボン酸系界面活性剤が挙げられる。Rfは、炭素数が1〜3のアルキル基であることが好ましい。pは1であることが好ましい。一般式(vi)で表されるカルボン酸系界面活性剤としては、例えば、CFCFOCFCFOCFCOONH、CFCFOCFCFOCFCOOH等が挙げられる。
【0056】
上記含フッ素アニオン界面活性剤としてはまた、一般式(vii):
RfOCHFCFCOOM (vii)
(式中、Rfは一部又は全部の水素がフッ素置換された、直鎖の脂肪族基又は1以上の酸素原子が挿入された直鎖の脂肪族基を表し、Mは1価のアルカリ金属、NH又はHを表す。)で表されるフルオロエーテルカルボン酸が挙げられる。Rfは、炭素数が1〜4の脂肪族基又は1以上の酸素原子が挿入された炭素数が1〜4の脂肪族基であることが好ましい。一般式(vii)で表されるカルボン酸系界面活性剤としては、例えば、CFOCFCFCFOCHFCFCOONH、CFOCFCFCFOCHFCFCOOH等が挙げられる。
【0057】
本発明のフルオロポリマー水性分散液は、水性媒体を含むことが好ましい。上記水性媒体は、水を含む液体であれば特に限定されず、水に加え、例えば、アルコール、エーテル、ケトン、パラフィンワックス等のフッ素非含有有機溶媒、及び、フッ素含有有機溶媒からなる群より選択される少なくとも1種をも含むものであってもよい。
【0058】
本発明のフルオロポリマー水性分散液はアルカリ化合物を含むことも好ましい。アルカリ化合物としては、アンモニア、水酸化ナトリウム、水酸化カルシウム等が挙げられ、アンモニアであることが好ましい。
【0059】
本発明のフルオロポリマー水性分散液は、25℃でのpHが7〜10であることが好ましく、8〜10であることがより好ましく、9〜10であることが更に好ましい。本発明のフルオロポリマー水性分散液は、pHを8〜10に調整してから30℃に21日間放置した後のpHが7〜10であることが特に好ましい。
【0060】
本発明のフルオロポリマー水性分散液は、pHを調整した後のpHをA(但し、Aは8以上とする)とし、30℃に30日間保存した後のpHをBとしたとき、AとBとの差〔A−B〕が絶対値で1.5以下であることによっても特徴づけられる。差〔A−B〕は絶対値で1以下であることがより好ましい。1.0未満であることが更に好ましく、0.6未満であることが特に好ましい。従来の水性分散液は、pHを8以上に調整しても、30日間放置すると大幅なpHの低下がみられたが、本発明のフルオロポリマーではpHの変動がほとんど観察されない。
【0061】
本発明のフルオロポリマー水性分散液は、例えば、炭素数が7以下の含フッ素アニオン界面活性剤の存在下にフルオロモノマーを水性媒体中で乳化重合する工程(1)、工程(1)により得られた水性分散液にフッ素非含有界面活性剤を添加して含フッ素アニオン界面活性剤を除去する工程(2)、工程(2)により得られた水性分散液に、ヒドロキシモノカルボン酸、ヒドロキシジカルボン酸、トリカルボン酸及びアミノ酸からなる群より選択される少なくとも1種の有機電解質を添加する工程(3)、及び、水性分散液のpHを8〜10に調整する工程(4)を含むことを特徴とする製造方法により製造することができる。この製造方法も本発明の一つである。上記製造方法は、水性分散液を濃縮する工程を含むものであってもよい。工程(2)は、含フッ素アニオン界面活性剤を除去し、水性分散液を濃縮する工程であることも好ましい。
【0062】
工程(2)により得られた水性分散液のpHが8以上9未満である場合、有機電解質をフルオロポリマー1gに対して7〜100mmolになるように添加することが好ましく、10〜30mmolになるように添加することがより好ましい。
工程(2)により得られた水性分散液のpHが9〜10である場合、有機電解質をフルオロポリマー1gに対して0.2〜1.0mmolになるように添加することが好ましく、0.3〜0.6mmolになるように添加することがより好ましい。
【0063】
含フッ素アニオン界面活性剤の除去及び濃縮は、相分離濃縮法、イオン交換樹脂法、電気濃縮法、限外ろ過法等の公知の方法により実施できる。除去及び濃縮後に水性分散液にフッ素非含有界面活性剤を添加してもよいし、フルオロポリマーの濃度を調整してもよい。水性分散液のpHの調整はアンモニア、水酸化ナトリウム、水酸化カルシウム等のアルカリ化合物を添加することにより行うことができる。
【0064】
本発明のフルオロポリマー水性分散液は、そのまま又は各種添加剤を加えて、コーティング、キャストフィルム、含浸体等に加工することができる。また、必要に応じて希釈したり、他の分散液や化合物と混合したりして用いてもよい。
【0065】
本発明のフルオロポリマー水性分散液の用途としては、例えば、オーブン内張り、製氷トレー等の調理器具、電線、パイプ、船底、高周波プリント基板、搬送用ベルト、アイロン底板における被覆材;繊維基材、織布・不織布、自動車の燃料封鎖弁、軸受けなどの摺動部材等が挙げられる。上記繊維基材としては特に限定されず、例えば、ガラス繊維、カーボン繊維、アラミド繊維(ケブラー(登録商標)繊維等)を被含浸体とする含浸物;等に加工することができる。更に、電池の活性物質のバインダーとしても使用できる。上記フルオロポリマー水性分散液の加工は、従来公知の方法にて行うことができる。
【0066】
上記フルオロポリマー水性分散液からなる塗料も本発明の1つである。
【0067】
上記フルオロポリマー水性分散液からなる電池用結着剤も本発明の1つである。上記フルオロポリマー水性分散液からなる電池用結着剤は、水、活物質、及び、導電助剤と混合して使用することがき、得られた混合物を焼成して電極とすることができる。電池としては1次電池、2次電池ともに用いることができる。
【0068】
上述したような用途では焼成の工程を要する場合が多い。従来の無機電解質を含む水性分散液を、焼成を要する用途に適用すると、焼成後に基材表面又は内部に残渣が生じ、焼成の対象物との意図しない化学反応、着色、匂いなどが発生する問題があった。しかしながら、本発明のフルオロポリマー水性分散液は、有機電解質を含むものであり、有機電解質は焼成によって分解又は蒸発するため、上記のような現象がおこりにくい。
【実施例】
【0069】
つぎに本発明を実施例をあげて説明するが、本発明はかかる実施例のみに限定されるものではない。
【0070】
実施例の各数値は以下の方法により測定した。
【0071】
(1)フルオロポリマー濃度(P)
試料約1g(Xg)を直径5cmのアルミカップにとり、100℃、1時間で乾燥し、更に300℃、1時間乾燥した加熱残分(Zg)に基づき、式:P=Z/X×100(%)にて決定した。
【0072】
(2)含フッ素アニオン界面活性剤の含有量
フルオロポリマー水性分散液に等量のメタノールを添加し、更に5%炭酸アンモニウム水溶液を凝析するまで加え、ソックスレー抽出を行った後、高速液体クロマトグラフィー〔HPLC〕を以下の条件にて行うことにより求めた。なお、含フッ素アニオン界面活性剤の含有量算出にあたり、含フッ素アニオン界面活性剤の含有量が既知であるフルオロポリマー水性分散液について上記溶出液及び条件にてHPLC測定して得られた検量線を用いた。
(測定条件)
カラム:ODS−120T(4.6φ×250mm、トーソー社製)
展開液:アセトニトリル/0.6%過塩素酸水溶液=1/1(vol/vol%)
サンプル量:20μL
流速:1.0ml/分
検出波長:UV210nm
カラム温度:40℃
【0073】
(3)フッ素非含有ノニオン界面活性剤濃度(N)
試料約1gを直径5cmのアルミカップにとり、100℃にて1時間で加熱した加熱残分(Yg)、更に、得られた加熱残分(Yg)を300℃にて1時間加熱した加熱残分(Zg)より、式:N=[(Y−Z)/Z]×100(%)から算出した。
【0074】
(4)pH
JIS K6893に基づいて25℃で測定した。
【0075】
(5)水相分離度
水性分散液を円柱型の透明ガラス容器中で所定の温度で静置し、フッ素樹脂を実質的に含まない相(上澄相)と濃縮相の2相に分離したところで水性分散液全体の高さ(Xcm)と濃縮相(Ycm)を測定し、水相分離度(Z)を式:Z=[Y/X]×100(%)によって算出した。この数値が100に近ければ水性分散液の分散安定性が良好であることを示す。
【0076】
実施例1
(1)相分離濃縮
テトラフルオロエチレン/ヘキサフルオロプロピレン共重合体〔FEP〕を含む水性分散液1kg(固形分23質量%、炭素数が7以下の含フッ素アニオン界面活性剤の濃度が水分に対して1000ppm)に室温でフッ素非含有ノニオン界面活性剤としてポリオキシエチレンアルキルエーテル(商品名:レオコールTD90、ライオン(株)製)をFEPに対して21質量%に相当する量を加え、65℃にて1晩静置したところ、FEPを実質的に含まない相(上澄相)と濃縮相の2相に分離した。濃縮相のpHは2.0であった。上澄相を除去し、濃縮相を回収した。得られた水性分散液は、FEPの固形分濃度が62質量%、フッ素非含有ノニオン界面活性剤濃度がFEPの6.0質量%であった。
【0077】
(2)調整
(1)で得られた水性分散液に水とレオコールTD90Dを加えFEPの固形分濃度が53.5質量%、フッ素非含有ノニオン界面活性剤濃度がFEPの7.5質量%になるように調整した。炭素数が7以下の含フッ素アニオン界面活性剤の濃度はポリマー固形分に対して800ppmであった。その後、FEP1gあたり100mmolに相当する量のクエン酸を加えて攪拌し、均一な溶液を得た。アンモニア28%水溶液を添加することによりpHを調整して、pHが8.8の水性分散液を得た。
【0078】
(3)保存安定性試験
(2)で得られた水性分散液を表1に記載した温度及び時間で静置し、水性分散液のpHを測定したところ、pHの変化量は+0.1であった。
【0079】
実施例2
クエン酸の添加量をFEP1gあたり10mmolに変更した以外は実施例1と同様にして水性分散液を得た。結果を表1に示す。
【0080】
実施例3
クエン酸の代わりにリンゴ酸を用いたこと以外は、実施例1と同様にして水性分散液を得た。結果を表1に示す。
【0081】
実施例4
リンゴ酸の添加量をFEP1gあたり10mmolに変更した以外は実施例3と同様にして水性分散液を得た。結果を表1に示す。
【0082】
実施例5
クエン酸の代わりにグリシンを用いたこと以外は、実施例1と同様にして水性分散液を得た。結果を表1に示す。
【0083】
実施例6
グリシンの添加量をFEP1gあたり10mmolに変更した以外は実施例5と同様にして水性分散液を得た。結果を表1に示す。
【0084】
比較例1〜2
有機電解質を添加しない、又は、表1に示すように有機電解質の種類及び添加量を変更した以外は実施例1と同様にして水性分散液を得た。結果を表1に示す。
【0085】
実施例7
ポリテトラフルオロエチレン〔PTFE〕を含む水性分散液(固形分:61質量%、ポリオキシエチレンアルキルエーテル(商品名:レオコールTD90、ライオン(株)製)の濃度がPTFEに対して6.0質量%、炭素数が7以下の含フッ素アニオン界面活性剤の濃度がPTFEに対して1ppm)に対して、PTFE1gあたり1.5mmolのクエン酸を添加した以外は実施例1と同様にして、pHが9.8の水性分散液を得た。結果を表2に示す。
【0086】
実施例8〜9
表2に示すようにクエン酸の添加量を変更した以外は実施例7と同様にして水性分散液を得た。結果を表2に示す。
【0087】
実施例10〜12
クエン酸に代えて乳酸を使用した以外は実施例7〜9と同様にして水性分散液を得た。結果を表2に示す。
【0088】
比較例3
有機電解質を添加しなかったこと以外は実施例7と同様にして水性分散液を得た。結果を表2に示す。
【0089】
比較例4
クエン酸に代えて硫酸アンモニウムを使用した以外は実施例9と同様にして水性分散液を得た。結果を表2に示す。
【0090】
【表1】

【0091】
【表2】

【産業上の利用可能性】
【0092】
本発明の水性分散液は、塗料、含浸用の材料、電池の材料等として好適に利用可能である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
フルオロポリマー、
フッ素非含有界面活性剤、並びに、
ヒドロキシモノカルボン酸、ヒドロキシジカルボン酸、トリカルボン酸及びアミノ酸からなる群より選択される少なくとも1種の有機電解質、並びに
炭素数が7以下の含フッ素アニオン界面活性剤
を含むことを特徴とするフルオロポリマー水性分散液。
【請求項2】
有機電解質は、クエン酸、イソクエン酸及び乳酸からなる群より選択される少なくとも1種である請求項1記載のフルオロポリマー水性分散液。
【請求項3】
有機電解質がフルオロポリマー1gに対して0.1〜100mmolである請求項1又は2記載のフルオロポリマー水性分散液。
【請求項4】
有機電解質がフルオロポリマー1gに対して0.1〜10mmolである請求項1、2又は3記載のフルオロポリマー水性分散液。
【請求項5】
含フッ素アニオン界面活性剤がフルオロポリマーの固形分の質量を基準にして0.001〜2000ppmである請求項1、2、3又は4記載のフルオロポリマー水性分散液。
【請求項6】
含フッ素アニオン界面活性剤がフルオロポリマーの固形分の質量を基準にして0.001〜50ppmである請求項1、2、3、4又は5記載のフルオロポリマー水性分散液。
【請求項7】
フルオロポリマーの固形分濃度が35〜75質量%である請求項1、2、3、4、5又は6記載のフルオロポリマー水性分散液。
【請求項8】
フルオロポリマーは、ポリテトラフルオロエチレン及びテトラフルオロエチレン/ヘキサフルオロプロピレン共重合体からなる群より選択される少なくとも1種である請求項1、2、3、4、5、6又は7記載のフルオロポリマー水性分散液。
【請求項9】
フッ素非含有界面活性剤は、フッ素非含有ノニオン界面活性剤である請求項1、2、3、4、5、6、7又は8記載のフルオロポリマー水性分散液。
【請求項10】
フッ素非含有界面活性剤の濃度がフルオロポリマーの固形分の質量を基準にして0.1〜30質量%である請求項1、2、3、4、5、6、7、8又は9記載のフルオロポリマー水性分散液。
【請求項11】
pHを調整した後のpHをA(但し、Aは8以上とする)とし、30℃に30日間保存した後のpHをBとしたとき、AとBとの差〔A−B〕が絶対値で1.5以下である請求項1、2、3、4、5、6、7、8、9又は10記載のフルオロポリマー水性分散液。
【請求項12】
請求項1、2、3、4、5、6、7、8、9、10又は11記載のフルオロポリマー水性分散液からなることを特徴とする塗料。
【請求項13】
請求項1、2、3、4、5、6、7、8、9、10又は11記載のフルオロポリマー水性分散液からなることを特徴とする電池用結着剤。
【請求項14】
炭素数が7以下の含フッ素アニオン界面活性剤の存在下にフルオロモノマーを水性媒体中で乳化重合する工程(1)、
工程(1)により得られた水性分散液にフッ素非含有界面活性剤を添加して含フッ素アニオン界面活性剤を除去する工程(2)、
工程(2)により得られた水性分散液に、ヒドロキシモノカルボン酸、ヒドロキシジカルボン酸、トリカルボン酸及びアミノ酸からなる群より選択される少なくとも1種の有機電解質を添加する工程(3)、及び、
水性分散液のpHを8〜10に調整する工程(4)
を含むことを特徴とするフルオロポリマー水性分散液の製造方法。
【請求項15】
工程(4)において水性分散液のpHを9〜10に調整する請求項14記載の製造方法。

【公開番号】特開2012−214766(P2012−214766A)
【公開日】平成24年11月8日(2012.11.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−75880(P2012−75880)
【出願日】平成24年3月29日(2012.3.29)
【出願人】(000002853)ダイキン工業株式会社 (7,604)
【Fターム(参考)】