説明

フレキシブルコンテナバッグの傷部補修方法

【課題】フレキシブルコンテナバッグの一部に傷部が生じた場合に、傷部の補修作業により、傷部における繊維材の露出部分から発生する糸屑がバッグの内部に入り込まないようようにする。
【解決手段】フレキシブルコンテナバッグの傷部補修方法が、バッグ1の一部である複合シート部分9aに生じた傷部14を除去するよう複合シート部分9aに開口27を形成する一方、熱溶着機16の下部盤24を上記フレキシブルコンテナバッグ1の内部に位置させる第1工程と、複合シート部分9aの上方から開口27に補修シート28を挿入し、補修シート28により開口27を塞ぐ第2工程と、複合シート部分9aの上方から上記開口27を塞ぐよう複合シート部分9aの上面に他の補修シート30を重ね合わせる第3工程と、複合シート部分9a、補修シート28、および他の補修シート30を上、下部盤23,24の間に挟み付けて互いに熱溶着Dさせる第4工程とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、互いに対面する一対のシート材と、これら両シート材の間に挟まれて互いに熱溶着された繊維材との複合シートによりフレキシブルコンテナバッグが形成されており、このバッグの繰り返し使用などにより、このバッグの一部に傷部が生じた場合に、この傷部を補修するためのフレキシブルコンテナバッグの傷部補修方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
上記フレキシブルコンテナバッグには、従来、下記特許文献1に示されたものがある。このバッグは、種々の粉粒状製品を収容して大量輸送を可能にするためのもので、繰り返し使用が可能とされている。
【0003】
ここで、上記バッグを繰り返し使用すると、このバッグの一部に、何らかの理由により傷部が生じることがある。この場合、従来では、バッグの外方から傷部を塞ぐようこのバッグの一部の外面に補修シートを面接触させて熱溶着することが行われている。そして、このように補修されたバッグは、再び繰り返し使用が可能とされる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−143583号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上記フレキシブルコンテナバッグは、一般に、互いに対面する一対のシート材と、これら両シート材の間に挟まれて互いに熱溶着された繊維材との複合シートを加工することにより形成される。このため、バッグの一部である複合シート部分に傷部が生じた場合には、この傷部における上記繊維材の露出部分が、時間の経過と共にほつれて糸屑が発生しがちとなる。
【0006】
ここで、前記従来の技術では、バッグの一部に生じた傷部を補修する場合、上記バッグの一部の外面に補修シートを熱溶着する、というものであるが、このままでは、上記傷部はバッグの内部に露出したままに残される。このため、上記複合シートにより形成されたバッグの場合には、傷部における繊維材の露出部分から発生する糸屑がバッグの内部に入り込むおそれがあり、これは、このバッグに収容された粉粒状製品を汚損させる原因となるものであって、好ましくない。
【0007】
そこで、上記バッグの開口部を通しその内部に補修シートを挿入し、上記傷部を塞ぐよう上記補修シートを上記複合シート部分の内面の所望位置に位置決めし、かつ、この複合シート部分に熱溶着させることが考えられる。しかし、通常、断面積の小さい上記開口部を通し、上記バッグの外部から上記複合シート部分の内面を見ることは容易でない。このため、上記傷部を塞ぐよう上記複合シート部分の内面の所望位置に上記補修シートを精度よく位置決めし、かつ、この状態で上記複合シート部分に対し上記補修シートを熱溶着させる、ということは極めて困難である。よって、上記した傷部の補修作業は煩雑になるおそれがある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、上記のような事情に注目してなされたもので、本発明の目的は、フレキシブルコンテナバッグの繰り返し使用などにより、その一部に傷部が生じた場合に、この傷部の補修作業により、この傷部における繊維材の露出部分から発生する糸屑が上記バッグの内部に入り込まないようにし、かつ、この補修作業が、より容易に、かつ、精度よくできるようにすることである。
【0009】
請求項1の発明は、互いに対面する一対のシート材10,10と、これら両シート材10,10の間に挟まれて互いに熱溶着された繊維材11との複合シート9により形成されたフレキシブルコンテナバッグ1の傷部補修方法であって、
上記フレキシブルコンテナバッグ1の一部である複合シート部分9aに生じた傷部14を除去するよう、この傷部14の周りを切断して上記複合シート部分9aに開口27を形成する一方、熱溶着機16を構成する上、下部盤23,24のうち、下部盤24を上記フレキシブルコンテナバッグ1の内部に位置させて、上記下部盤24の上面に上記複合シート部分9aを載置する第1工程と、
上記複合シート部分9aの上方から上記開口27に補修シート28を挿入し、この補修シート28により上記開口27を塞ぐ第2工程と、
上記複合シート部分9aの上方から上記開口27を塞ぐよう上記複合シート部分9aの上面に他の補修シート30を重ね合わせる第3工程と、
上記複合シート部分9a、補修シート28、および他の補修シート30を上記上、下部盤23,24の間に挟み付けて互いに熱溶着Dさせる第4工程とを備えることを特徴とするフレキシブルコンテナバッグの傷部補修方法である。
【0010】
請求項2の発明は、上記請求項1の第2工程において、上記複合シート部分9aの上方から上記開口27を通過するようこの開口27に補修シート28を挿入し、上記複合シート部分9aにおける開口27の開口縁部下面に上記補修シート28の外縁部上面を面接触させて、この補修シート28により上記開口27を塞ぐようにしたことを特徴とするフレキシブルコンテナバッグの傷部補修方法である。
【0011】
請求項3の発明は、上記請求項2の第2工程において、上記補修シート28の上面に予め位置決め用の目印29を付しておき、上記開口27を通過させた後の上記補修シート28上面の上記目印29を上記開口27の所望位置に位置させることにより、上記複合シート部分9a下面の面方向での所望位置に上記補修シート28を位置決めCするようにしたことを特徴とするフレキシブルコンテナバッグの傷部補修方法である。
【0012】
請求項4の発明は、上記請求項1の第2工程において、上記補修シート28を上記開口27に嵌入するようこの開口27に挿入することを特徴とするフレキシブルコンテナバッグの傷部補修方法である。
【0013】
なお、この項において、上記各用語に付記した符号や図面番号は、本発明の技術的範囲を後述の「実施例」の項や図面の内容に限定解釈するものではない。
【発明の効果】
【0014】
本発明による効果は、次の如くである。
【0015】
請求項1の発明は、互いに対面する一対のシート材と、これら両シート材の間に挟まれて互いに熱溶着された繊維材との複合シートにより形成されたフレキシブルコンテナバッグの傷部補修方法であって、
上記フレキシブルコンテナバッグの一部である複合シート部分に生じた傷部を除去するよう、この傷部の周りを切断して上記複合シート部分に開口を形成する一方、熱溶着機を構成する上、下部盤のうち、下部盤を上記フレキシブルコンテナバッグの内部に位置させて、上記下部盤の上面に上記複合シート部分を載置する第1工程と、
上記複合シート部分の上方から上記開口に補修シートを挿入し、この補修シートにより上記開口を塞ぐ第2工程と、
上記複合シート部分の上方から上記開口を塞ぐよう上記複合シート部分の上面に他の補修シートを重ね合わせる第3工程と、
上記複合シート部分、補修シート、および他の補修シートを上記上、下部盤の間に挟み付けて互いに熱溶着させる第4工程とを備えている。
【0016】
このため、上記方法によれば、上記複合シート部分に生じた傷部は、上記開口の形成によりバッグから除去され、かつ、上記開口の開口縁部は上記補修シートによって塞がれる。よって、上記開口の開口縁部における繊維材の露出部分から発生した糸屑がバッグの内部に入り込むことは、上記補修シートによって防止され、上記糸屑が上記バッグに収容された粉粒状製品を汚損する、ということは防止される。
【0017】
また、上記開口はバッグの外部側から上記他の補修シートによって全体的に塞がれる。よって、上記開口の開口縁部における繊維材の露出部分から発生した糸屑がバッグの外部に無用に排出されることも、上記補修シートによって防止される。
【0018】
更に、上記方法の第2工程では、上記したように複合シート部分の上方から開口に補修シートを挿入し、この補修シートにより開口を塞ぐようにしている。
【0019】
このため、上記複合シート部分の面方向での上記開口に対する上記補修シートの位置決めは、上記バッグの外部からできる。よって、バッグの開口部を通しその内部に補修シートを挿入し、上記傷部を塞ぐよう上記補修シートを上記複合シート部分の内面の所望位置に位置決めする、という煩雑な作業に比べ、上記方法の第2工程によれば、上記傷部の補修作業は、より容易に、かつ、精度よくできる。
【0020】
請求項2の発明は、上記請求項1の第2工程において、上記複合シート部分の上方から上記開口を通過するようこの開口に補修シートを挿入し、上記複合シート部分における開口の開口縁部下面に上記補修シートの外縁部上面を面接触させて、この補修シートにより上記開口を塞ぐようにしている。
【0021】
このため、上記複合シート部分と補修シートとは面接触状態で熱溶着されることから、これらの互いの接着強度がより向上すると共に、上記開口の全体がバッグの内部側から上記補修シートによって塞がれる。よって、上記開口の開口縁部における繊維材の露出部分から発生した糸屑がバッグの内部に入り込むことは、上記補修シートによって、より確実に防止され、かつ、バッグにおける傷部の補修部分にも、より十分の強度が確保される。
【0022】
請求項3の発明は、上記請求項2の第2工程において、上記補修シートの上面に予め位置決め用の目印を付しておき、上記開口を通過させた後の上記補修シート上面の上記目印を上記開口の所望位置に位置させることにより、上記複合シート部分下面の面方向での所望位置に上記補修シートを位置決めするようにしている。
【0023】
このため、上記第2工程における目印によれば、上記補修シート下面の面方向での所望位置への補修シートの位置決めが、より迅速かつ精度よくできる。よって、その分、傷部の補修作業が、更に容易に、かつ、精度よくできる。
【0024】
請求項4の発明は、上記請求項1の第2工程において、上記補修シートを上記開口に嵌入するようこの開口に挿入している。
【0025】
このため、上記方法の第2工程、および第3工程を経て、第4工程として複合シート部分、補修シート、および他の補修シートを互いに熱溶着させることにより、傷部の補修を終了した場合、上記バッグにおける傷部の補修部分の内面では、バッグ内面の一般面に相当する上記複合シート部分の外縁部内面と補修シートの内面とはほぼ面一となって、上記傷部の補修部分の内面が平坦に形成される。よって、上記バッグ内に製品を投入したり、バッグから製品を排出したりするとき、これら投入や排出が円滑になされる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】傷部補修方法の第1〜第3工程を説明する側面図である。
【図2】フレキシブルコンテナバッグの部分断面側面図である。
【図3】傷部補修方法の第3、第4工程を説明する側面図である。
【図4】図1で示したものの平面図である。
【図5】図5(a)は、図3の部分拡大側面図、図5(b)は、フレキシブルコンテナバッグの傷部補修後の部分側面断面図、図5(c)は、図5(b)に相当する図で、他の実施例の図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
本発明のフレキシブルコンテナバッグの傷部補修方法に関し、フレキシブルコンテナバッグの繰り返し使用などにより、その一部に傷部が生じた場合に、この傷部の補修作業により、この傷部における繊維材の露出部分から発生する糸屑が上記バッグの内部に入り込まないようにし、かつ、この補修作業が、より容易に、かつ、精度よくできるようにする、という目的を実現するため、本発明を実施するための形態は、次の如くである。
【0028】
即ち、フレキシブルコンテナバッグの傷部補修方法は、互いに対面する一対のシート材と、これら両シート材の間に挟まれて互いに熱溶着された繊維材との複合シートにより形成されたバッグについてのものである。
【0029】
上記方法は、上記フレキシブルコンテナバッグの一部である複合シート部分に生じた傷部を除去するよう、この傷部の周りを切断して上記複合シート部分に開口を形成する一方、熱溶着機を構成する上、下部盤のうち、下部盤を上記フレキシブルコンテナバッグの内部に位置させて、上記下部盤の上面に上記複合シート部分を載置する第1工程と、
上記複合シート部分の上方から上記開口に補修シートを挿入し、この補修シートにより上記開口を塞ぐ第2工程と、
上記複合シート部分の上方から上記開口を塞ぐよう上記複合シート部分の上面に他の補修シートを重ね合わせる第3工程と、
上記複合シート部分、補修シート、および他の補修シートを上記上、下部盤の間に挟み付けて互いに熱溶着させる第4工程とを備えている。
【実施例】
【0030】
本発明をより詳細に説明するために、その実施例を添付の図に従って説明する。
【0031】
図2において、符号1はフレキシブルコンテナバッグで、このバッグ1は、その内部に樹脂、肥料等、種々の粉粒状製品を収容して大量輸送を可能にするためのもので、繰り返し使用が可能とされている。
【0032】
上記バッグ1は、その胴部を構成する角筒や円筒など筒形状のバッグ本体2と、このバッグ本体2の軸心3に沿った方向での各端部開口をそれぞれ閉じる蓋材4,4と、上記軸心3上で、上記各蓋材4からそれぞれ外方に向かって突設され、上記バッグ本体2よりも断面積が小さい円筒や角筒などの筒状体5,5とを備えている。
【0033】
上記筒状体5の各内部は、上記バッグ本体2の内外を連通させる開口部6,6とされ、これら開口部6,6のうち、一方の開口部6は、バッグ本体2への製品の投入用とされ、他方の開口部6は、バッグ本体2からの製品の排出用とされる。また、図示しないが、上記バッグ本体2の外側面には、このバッグ本体2を掛吊するための掛吊具が取り付けられている。
【0034】
上記バッグ1は全体的に複合シート9を加工することにより形成されている。この複合シート9は、互いに対面する熱可塑性の一対のシート材10,10と、これら両シート材10,10の間に挟まれてこれら各シート材10と互いに熱溶着された繊維材11とにより構成される。上記シート材10は、PVC(塩化ビニル樹脂)やEVA(エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂)などのフィルムであり、上記繊維材11はポリエステル布などである。また、上記複合シート9の厚さは0.5〜1.0mm程度である。
【0035】
ここで、上記バッグ1を繰り返し使用すると、このバッグ1を形成する複合シート9の一部分である複合シート部分9aに傷部14が生じることがある。図例では、この傷部14は、上記複合シート部分9aを貫通している。以下、上記傷部14を補修するための傷部補修方法につき説明する。
【0036】
図1,3〜5において、まず、上記方法に用いられる両樹脂シートの熱溶着用熱溶着機16につき、説明する。この熱溶着機16は、作業面17上に支持される基台18と、この基台18に立設されるポスト19と、このポスト19から水平方向の外方に向かって突設される上、下アーム20,21と、この上アーム20に対し油圧シリンダ22により昇降可能に支持される上部盤23と、上記下アーム21に固定されて支持される下部盤24と、この下部盤24を被覆する不図示の絶縁シートとを備えている。
【0037】
上記熱溶着機16は高周波式のもので、上記上部盤23は上部電極、下部盤24は下部電極とされ、これら上、下部盤23,24は高周波発振器で電気的に接続されている。そして、上記油圧シリンダ22の作動により上記上部盤23を下降させれば、上、下部盤23,24の間に被溶着体である両樹脂シートが面接触するよう挟まれる。そして、この状態で、上記熱溶着機16を電気的にオンさせれば、上記両樹脂シートが互いに熱溶着される。
【0038】
上記方法の第1工程として、図1,4において、上記複合シート部分9aに生じた傷部14を除去するよう、この傷部14の周りを切断して上記複合シート部分9aに円形の開口27を形成し、上記切断したもの9a´を廃棄Aする。
【0039】
一方、図1,3,4において、上記熱溶着機16を構成する上、下部盤23,24のうち、下部盤24を上記バッグ1の内部に位置させるよう、上記下アーム21と下部盤24とに対し、上記バッグ1を一つの開口部6を通し外嵌させる。
【0040】
次に、上記方法の第2工程として、図1,4において、上記複合シート部分9aの上方から上記開口27に熱可塑性の補修シート28を挿入Bし、この補修シート28により上記開口27を塞ぐ。この場合、上記補修シート28は、上記開口27よりも径寸法が大きいPVCやEVAなどの円板形フィルムとされ、厚さは0.4〜0.7mm程度とされる。
【0041】
そして、上記補修シート28を上記開口27に挿入Bする際には、図1,4中、一点鎖線で示すように、上記補修シート28の各側部を屈曲させるなどして外形を収縮させ、この状態で、上記補修シート28が上記開口27を通過するようこの開口27に挿入する。また、このように開口27を通過した上記補修シート28を展開させ、かつ、上記複合シート部分9aの下方において、上記下部盤24の上面に載置させる。
【0042】
次に、図1,4において、上記補修シート28の上面には、その中心部に予め位置決め用の小円形の目印29が付されている。そして、上記したように開口27を通過した後の補修シート28を上記下部盤24の上面に沿って摺動させ、上記補修シート28上面の上記目印29を上記開口27の所望位置である中心部に目視により位置させる。すると、上記複合シート部分9a下面の面方向での所望位置に上記補修シート28が位置決めCされる。また、この際、上記複合シート部分9aにおける開口27の開口縁部下面と補修シート28の外縁部上面とを面接触させて、上記開口27を、上記のように位置決めCした補修シート28により、その下方から塞ぐ。
【0043】
次に、上記方法の第3工程として、図1,4において、上記複合シート部分9aの上方から上記開口27を塞ぐよう上記複合シート部分9aの上面に熱可塑性の他の補修シート30を重ね合わせる。この他の補修シート30は、平面視(図4)で、矩形をなし、その材質、構成、厚さは上記複合シート9と同様である。
【0044】
次に、上記方法の第4工程として、図3、図5(a)において、互いに重ね合わせた上記複合シート部分9a、補修シート28、および他の補修シート30を、上記上部盤23を下降させることにより上、下部盤23,24の間に挟み付けて、上記熱溶着機16の電気的なオンにより互いに熱溶着Dさせる。
【0045】
次に、上記方法の第5工程として、上記上部盤23を上昇させ、上、下部盤23,24を互いに離間させる。これにより、これら上、下部盤23,24による上記複合シート部分9a等の挟み付けを解除し、次に、上記下アーム21と下部盤24とから上記バッグ1を離脱させる。すると、上記傷部14の補修作業が終了する。
【0046】
図5(b)は、上記第5工程の終了後において、複合シート部分9a、補修シート28、および他の補修シート30が互いに熱溶着Dされた部分の断面を示している。なお、上記複合シート部分9a等による2枚重ねや3枚重ね部分の厚さは、上記複合シート部分9a等の各厚さを単純加算したように図示しているが、実際には、上記上、下部盤23,24によりはさみ付けられて加圧されたことにより、上記複合シート9単体の厚さに近似する厚さとされる。
【0047】
上記方法によれば、上記複合シート部分9aに生じた傷部14は、上記開口27の形成によりバッグ1から除去され、かつ、上記開口27の開口縁部はバッグ1の内部側から上記補修シート28によって塞がれる。よって、上記開口27の開口縁部における繊維材11の露出部分から発生した糸屑がバッグ1の内部に入り込むことは、上記補修シート28によって防止され、上記糸屑が上記バッグ1に収容された粉粒状製品を汚損する、ということは防止される。
【0048】
また、上記開口27はバッグ1の外部側から上記他の補修シート30によって全体的に塞がれる。よって、上記開口27の開口縁部における繊維材11の露出部分から発生した糸屑がバッグ1の外部に無用に排出されることも、上記補修シート28によって防止される。
【0049】
しかも、上記補修シート28と他の補修シート30とは、特に上記開口27を通して互いに熱溶着Dされる。このため、形状が一定しない傷部14を通して上記補修シート28と他の補修シート30とを互いに溶着させることに比べて、これら両シート28,30の互いに接着強度をより確実に向上させることができる。よって、バッグ1における傷部14の補修部分に十分な強度の確保が可能とされ、これは、その後のバッグ1の繰り返し使用にとって好ましい。
【0050】
更に、上記方法の第2工程では、前記したように複合シート部分9aの上方から開口27に補修シート28を挿入し、この補修シート28により開口27を塞ぐようにしている。
【0051】
このため、上記複合シート部分9aの面方向での上記開口27に対する上記補修シート28の位置決めCは、上記バッグ1の外部からできる。よって、バッグ1の開口部6を通しその内部に補修シート28を挿入し、上記傷部14を塞ぐよう上記補修シート28を上記複合シート部分9aの内面の所望位置に位置決めする、という煩雑な作業に比べ、上記方法の第2工程によれば、上記傷部14の補修作業は、より容易に、かつ、精度よくできる。
【0052】
また、前記したように、第2工程において、上記複合シート部分9aの上方から上記開口27を通過するようこの開口27に補修シート28を挿入し、上記複合シート部分9aにおける開口27の開口縁部下面に上記補修シート28の外縁部上面を面接触させてこの補修シート28により上記開口27を塞ぐようにしている。
【0053】
このため、上記複合シート部分9aと補修シート28とは面接触状態で熱溶着Dされることから、これら9a,28の互いの接着強度がより向上すると共に、上記開口27の全体がバッグ1の内部側から上記補修シート28によって塞がれる。よって、上記開口27の開口縁部における繊維材11の露出部分から発生した糸屑がバッグ1の内部に入り込むことは、上記補修シート28によって、より確実に防止され、かつ、バッグ1における傷部14の補修部分にも、より十分の強度が確保される。
【0054】
また、前記したように、第2工程において、上記補修シート28の上面に予め位置決め用の目印29を付しておき、上記開口27を通過させた後の上記補修シート28上面の上記目印29を上記開口27の所望位置に位置させることにより、上記複合シート部分9a下面の面方向での所望位置に上記補修シート28を位置決めCするようにしている。
【0055】
このため、上記第2工程における目印29によれば、上記補修シート28下面の面方向での所望位置への補修シート28の位置決めが、より迅速かつ精度よくできる。よって、その分、傷部14の補修作業が、更に容易に、かつ、精度よくできる。
【0056】
なお、上記方法の第2工程において、上記補修シート28を、上記開口27に嵌入するようこの開口27に挿入させてもよい。このようにした場合において、上記第3工程を経て、第4工程として上記したように複合シート部分9a、補修シート28、および他の補修シート30を互いに熱溶着Dさせると上記傷部14の補修が終了し、これら9a,28,30が互いに熱溶着Dされた部分の断面は図5(c)で示すようになる。
【0057】
つまり、上記方法の第2工程、および第3工程を経て、第4工程として複合シート部分9a、補修シート28、および他の補修シート30を互いに熱溶着Dさせることにより、傷部14の補修を終了した場合、上記バッグ1における傷部14の補修部分の内面では、バッグ1内面の一般面に相当する上記複合シート部分9aの外縁部内面と補修シート28の内面とはほぼ面一となって、上記傷部14の補修部分の内面が平坦に形成される。よって、上記バッグ1内に製品を投入したり、バッグ1から製品を排出したりするとき、これら投入や排出が円滑になされる。
【0058】
なお、以上は図示の例によるが、バッグ1の開口部6は単一であってもよい。また、熱溶着機16は、超音波を用いたものでもよく、熱風や熱盤を用いたものであってもよい。また、開口27、補修シート28、および他の補修シート30の形状は、円形、矩形、多角形など選択自由である。また、上記目印29は円形線や×印であってもよい。
【0059】
また、上記開口27の形状は、長孔やスリット形状であってもよい。なお、このようにすると、この開口27への補修シート28の嵌入は困難になり、かつ、上記開口27を通しての上記補修シート28と他の補修シート30との互いの熱溶着Dも困難になると考えられる。そこで、この場合には、上記開口27を通過するようこの開口27に補修シート28を挿入した後、この補修シート28を上記複合シート部分9aの下面に広い面積で面接触させて熱溶着Dさせればよい。
【0060】
上記構成によれば、開口27における繊維材11の露出部分から発生した糸屑がバッグ1の内部に入り込むことは、上記補修シート28によって、より確実に防止される。また、上記複合シート部分9aの下面と補修シート28とを広い面積で互いに熱溶着Dさせたことにより、バッグ1における傷部14の補修部分に、十分な強度の確保が可能となる。
【0061】
また、上記開口27の開口縁部を、一旦、バッグ1の外方に向かって折り返すことにより2枚重ね構造とし、この状態で、上記したように複合シート部分9aに対し補修シート28と他の補修シート30とを熱溶着Dさせるようにしてもよい。
【0062】
上記構成によれば、開口27の開口縁部における繊維材11の露出部分のほとんどが上記他の補修シート30で塞がれるため、上記補修シート28の作用とも相俟って、上記開口27のの開口縁部における繊維材11の露出部分からの糸屑の発生が効果的に抑制される。よって、上記糸屑がバッグ1の内部に入り込むことは、更に確実に防止される。
【符号の説明】
【0063】
1 バッグ
2 バッグ本体
6 開口部
9 複合シート
9a 複合シート部分
10 シート材
11 繊維材
14 傷部
16 熱溶着機
23 上部盤
24 下部盤
27 開口
28 補修シート
29 目印
30 他の補修シート
A 廃棄
B 挿入
C 位置決め
D 熱溶着

【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに対面する一対のシート材と、これら両シート材の間に挟まれて互いに熱溶着された繊維材との複合シートにより形成されたフレキシブルコンテナバッグの傷部補修方法であって、
上記フレキシブルコンテナバッグの一部である複合シート部分に生じた傷部を除去するよう、この傷部の周りを切断して上記複合シート部分に開口を形成する一方、熱溶着機を構成する上、下部盤のうち、下部盤を上記フレキシブルコンテナバッグの内部に位置させて、上記下部盤の上面に上記複合シート部分を載置する第1工程と、
上記複合シート部分の上方から上記開口に補修シートを挿入し、この補修シートにより上記開口を塞ぐ第2工程と、
上記複合シート部分の上方から上記開口を塞ぐよう上記複合シート部分の上面に他の補修シートを重ね合わせる第3工程と、
上記複合シート部分、補修シート、および他の補修シートを上記上、下部盤の間に挟み付けて互いに熱溶着させる第4工程とを備えることを特徴とするフレキシブルコンテナバッグの傷部補修方法。
【請求項2】
上記請求項1の第2工程において、上記複合シート部分の上方から上記開口を通過するようこの開口に補修シートを挿入し、上記複合シート部分における開口の開口縁部下面に上記補修シートの外縁部上面を面接触させて、この補修シートにより上記開口を塞ぐようにしたことを特徴とするフレキシブルコンテナバッグの傷部補修方法。
【請求項3】
上記請求項2の第2工程において、上記補修シートの上面に予め位置決め用の目印を付しておき、上記開口を通過させた後の上記補修シート上面の上記目印を上記開口の所望位置に位置させることにより、上記複合シート部分下面の面方向での所望位置に上記補修シートを位置決めするようにしたことを特徴とするフレキシブルコンテナバッグの傷部補修方法。
【請求項4】
上記請求項1の第2工程において、上記補修シートを上記開口に嵌入するようこの開口に挿入することを特徴とするフレキシブルコンテナバッグの傷部補修方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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