説明

フレキシブルコンテナバッグの開封作業補助具

【課題】 フレキシブルコンテナバッグの破断、特に、底面における破断、及び、フレキシブルコンテナバックの上端部と吊り具との接続部の破断を防止できる簡易な構造のフレキシブルコンテナバッグの開封投入作業補助装置を提供する。
【解決手段】 変形可能な素材で袋状又は筒状に形成され、少なくとも底面には内部に収容された粉粒体を排出するための開閉自在な排出口B2を設けてなるフレキシブルコンテナバッグBを、クレーンK等で吊架して所望の位置に移動すると共に、前記所望の位置で前記排出口B2を開封して前記粉粒体を排出するための開封作業補助具Aであって、円板状に形成された基板の中央に、前記排出口B1を貫通可能な排出穴部11が開設された底板部1と、前記底板部1にワイヤー、ベルト等の両端を固定して環状に形成された懸架体21を、前記底板部1の周方向に複数配置してなる吊下部2と、より構成してなる。
〜を特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、変形可能な素材で袋状又は筒状に形成され、少なくとも底面には内部に収容された粉粒体を排出するための開閉自在な排出口を設けてなるフレキシブルコンテナバッグを、クレーン等で吊架して所望の位置に移動すると共に、前記所望の位置で前記排出口を開封して前記粉粒体を排出するためのフレキシブルコンテナバッグの開封作業補助具に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、変形可能な素材で袋状又は筒状に形成されたフレキシブルコンテナバッグは、例えば、砂利や石、或いは樹脂ペレット等の粉粒体を収容し、この粉粒体を収容したフレキシブルコンテナバッグの上部に一体形成された引掛部をクレーン等に掛止して吊架し、所望の位置に移動すると共に、前記所望の位置でフレキシブルコンテナバッグを定置させ、このフレキシブルコンテナバッグの底面に設けた排出口を開放して、収容された粉粒体を所望の位置に排出するために使用される(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
従って、作業者は、非常に重量のある宙づり状態のフレキシブルコンテナバッグの下に潜って排出口の開封作業を行わなければならず、万一、吊下げているフレキシブルコンテナバッグが落下すると大事故に繋がる危険があり、安心して開封投入作業ができない状況であった。
【0004】
そこで、フレキシブルコンテナバッグの開封作業を安全に行うべく、座板の一辺より中心部に向けて通用口を切欠形成すると共に、前記座板の周囲にフレキシブルコンテナバッグの脱落を防ぐ柵を設けてなるフレキシブルコンテナバッグの開封投入作業補助装置が提案されている(例えば、特許文献2参照。)。
【0005】
このフレキシブルコンテナバッグの開封投入作業補助装置は、前記フレキシブルコンテナバッグの排出口を、前記座板の通用口に位置付けて載荷することで、前記通用口を通して作業者の手を差し入れて、前記排出口を封止していた紐等を解いて該排出口を開放することができるものである。
【0006】
しかしながら、このフレキシブルコンテナバッグの開封投入作業補助装置は、座版の周囲に複数の柵が配置されたものであるため、構造が複雑であるうえ、高重量であるという問題があった。
【0007】
そこで、ワイヤー等の紐体を格子状に形成した本体部の上端に、クレーン等に吊架可能な吊掛部を形成し、前記本体部でフレキシブルコンテナバッグを包囲すると共に、該フレキシブルコンテナバッグの引掛部及び前記吊掛部をクレーン等に掛止して吊架し、該フレキシブルコンテナバッグを所望の位置に移動して定置させ、その底面に設けた排出口を開放して、収容された粉粒体を所望の位置に排出させるフレキシブルコンテナバッグの開封投入作業補助装置も提案されている(例えば、特許文献3参照。)。
【0008】
【特許文献1】特開2001−341792
【特許文献2】特開2002−337823号
【特許文献3】特開平10−101180号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
このフレキシブルコンテナバッグの開封投入作業補助装置は、構造が簡易であるうえ、重量を軽くできるという利点がある。
しかしながら、ワイヤー等の紐体を格子状に形成した本体部で、高重量のフレキシブルコンテナバッグを包囲して吊下げると、前記紐体がフレキシブルコンテナバッグに食い込み易く、特に、フレキシブルコンテナバッグの底面には全重量がかかる為、フレキシブルコンテナバッグの底面が破れて、内部の粉粒体が漏出し易いという問題があった。
本発明は、かかる課題を解決することを目的とするものであって、フレキシブルコンテナバッグの破断、特に、底面における破断、及び、フレキシブルコンテナバックの上端部と吊り具との接続部の破断を防止できる簡易な構造のフレキシブルコンテナバッグの開封投入作業補助装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記目的を達成するため、本発明のフレキシブルコンテナバッグの開封作業補助具は、円板状に形成された基板の中央に、前記排出口を貫通可能な排出穴部が開設された底板部と、前記底板部にワイヤー、ベルト等の両端を固定して環状に形成された懸架体を、前記底板部の周方向に複数配置してなる吊下部と、より構成してなることを特徴とするものである。
【0011】
前記底板部は、例えば、金属製板、樹脂製板等の硬質板で形成しても構わないが、フレキシブルな布、シート、ゴム等で形成することもできる。
【0012】
このようなフレキシブルな素材で形成された前記底板部によれば、フレキシブルコンテナバッグの変形に応じて前記底板部も変形されるため、フレキシブルコンテナバッグの底面に密接した状態で前記底板部が確実に支持し、前記底面の破断を防止できるうえ、更に軽量化を図ることができる。
【0013】
また、底板部の周方向には、環状に形成された懸架体を複数配置して吊下部を構成しているが、前記底板部と懸架体の固定構造として、本発明では、前記排出穴部には、この開口縁に沿ってワイヤーリングを設置し、該ワイヤーリングと、前記懸架体の両端が、底板部を介して帯状のベルト片で連結してなる。
【0014】
このような固定構造によれば、底板部の排出穴部近傍に負荷されるフレキシブルコンテナバッグの集中荷重を、前記底面部の全体に分散して負荷させることができ、前述したフレキシブルな素材で形成された底板部であっても、フレキシブルコンテナバッグの底面を安全且つ確実に支持することができる。
【0015】
また、本発明では、隣接された懸架体同士の適所には、両者が一定の間隔を保持するように架設された架設片を設けてなる。
【0016】
ここで架設片は、例えば、金属製板、樹脂製板等の硬質板で形成しても構わないが、フレキシブルな布、シート、ゴム等で形成することもできる。
【0017】
このような架設片を懸架体同士の適所に設けることで、隣接する架設片同士の間隔を略一定に保持することができる。
【0018】
そのため、フレキシブルコンテナバッグの側面を略均一な状態で抱持することができ、宙づり状態にされた前記フレキシブルコンテナバッグに対して、例えば、突風等によって側方に付加が生じても、前記フレキシブルコンテナバッグが側方に倒れる危険を防止して、安全に作業ができる。
【0019】
また本発明によれば、底板部、ベルト片、架設片は、いずれもフレキシブルな布、シート、ゴム等で形成されてなるため、更に軽量化を図ることができるうえ、全体をコンパクトに折畳むことができるため、運搬し易く、収納、保管等も容易にできる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、フレキシブルコンテナバッグの排出口を貫通可能な排出穴部が開設された底板部と、この底板部に固定された環状の懸架体が前記底板部の周方向に複数配置された吊下部と、より構成しているので、全体を簡易な構造にできるうえ、軽量化を図ることができる。
【0021】
また、本発明によれば、底板部を設けているため、高重量のフレキシブルコンテナバッグを吊下部で包囲して吊下げても、前記底板部がフレキシブルコンテナバッグの底面に食い込むことなく密接した状態で確実に支持し、フレキシブルバッグの底面の破断を防止することができる。
【0022】
また、本発明によれば、排出穴部には、この開口縁に沿ってワイヤーリングを設置し、該ワイヤーリングと、前記懸架体の両端が、底板部を介して帯状のベルト片で連結してなるため、このような固定構造によれば、底板部の排出穴部近傍に負荷されるフレキシブルコンテナバッグの集中荷重を、前記底面部の全体に分散して負荷させることができ、フレキシブルコンテナバッグの底面を安全且つ確実に支持することができる。
【0023】
更に、本発明によれば、隣接された懸架体同士の適所には、両者が一定の間隔を保持するように架設された架設片を設けてなるため、フレキシブルコンテナバッグの側面を略均一な状態で抱持することができ、宙づり状態にされたフレキシブルコンテナバッグに対して、例えば、突風等によって側方に付加が生じても、フレキシブルコンテナバッグが側方に倒れる危険を防止して、安全に作業ができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下、本発明を実施するための最良の形態は、次の実施例により一層明確に且つ具体的に開示されている。
【実施例1】
【0025】
図1は、本発明に係るフレキシブルコンテナバッグの開封作業補助具Aの一実施例を示した展開状態の平面図、図2は、図1で示したフレキシブルコンテナバッグの開封作業補助具Aの使用状態図、図3(a)、(b)は、フレキシブルコンテナバッグの排出口から粉粒体が排出される状態を示した概略動作図である。
【0026】
以下、本発明に係るフレキシブルコンテナバッグの開封作業補助具Aを図1〜図3に基づき説明する。
【0027】
一般に、フレキシブルコンテナバッグBは、変形可能な素材を円筒状に形成し、一端の開口を紐等の止具B1で閉口して排出口B2とし、他端の開口から砂利や石等の粉粒体を充填したうえで、前記開口を封止して袋状に形成され、このような粉粒体を封入したフレキシブルコンテナバッグBが、作業現場の近傍に複数配置されている。
【0028】
そして、これら複数のフレキシブルコンテナバッグBを、個別にクレーンK等で吊架して所望の位置に移動して定置すると共に、止具B1を外して排出口B2を開封することで、内部の粉粒体を所望の位置に排出するのであるが、本発明は、このようなフレキシブルコンテナバッグBの搬送ないし開封作業を安全且つ確実に行うために使用されるフレキシブルコンテナバッグBの開封作業補助具Aである。
【0029】
すなわち、本発明のフレキシブルコンテナバッグBの開封作業補助具Aは、円板状に形成された基板の中央に、排出口B2を貫通可能な排出穴部11が開設された底板部1と、この底板部1にワイヤー、ベルト等の両端を固定して環状に形成された懸架体21が底板部1の周方向に複数配置してなる吊下部2と、より構成してなる。
【0030】
底板部1は、破断し難いフレキシブルなシート材で形成され、その排出穴部11には、この開口縁に沿ってワイヤーリング3が設置され、このワイヤーリング3と、懸架体21の両端が、底板1を介して帯状のベルト片4で連結されてなる。
【0031】
また、隣接された懸架体21同士の適所には、両者が一定の間隔を保持するように架設された架設片5を設けてなる。
【0032】
この架設片5の架設位置は、袋状に形成されたフレキシブルコンテナバッグBの高さと略同じ位置に設けるのが良く、フレキシブルコンテナバッグBの高さに応じて適宜設定される。
【0033】
本実施例では、架設片5の両端を隣接された懸架体21同士に固着して、その架設位置が固定されたものを例示しているが、例えば、架設片5として、懸架体21の長手方向に移動自在であって位置決め可能な構造のものを用いても良く、このような架設片5によれば、高さの異なるフレキシブルコンテナバッグBに対しても、架設片5の位置を調節して位置固定するだけで、1つの開封作業補助具Aを兼用して使用することができる。
【0034】
このように構成された本発明のフレキシブルコンテナバッグBの開封作業補助具Aは、例えば、以下の要領で使用する。
【0035】
先ず、図1で示したように、本発明の開封作業補助具Aを展開した状態にして地面等に敷設する。
【0036】
次に、作業現場の近傍に複数配置されたフレキシブルコンテナバッグBの任意の1つを、その上部に一体形成された引掛部B3にクレーンK等を掛止したうえで吊架して移動し、フレキシブルコンテナバッグBの排出部B2が、敷設された底板部1の排出穴部11に位置するようにして、このフレキシブルコンテナバッグBを底板部1上に一旦着地させる。
【0037】
そして、環状に形成された複数の懸架体21を、引掛部B3と同様にクレーンK等に掛止したうえで、再度クレーンK等を上昇すれば、図2で示すように、本発明の開封作業補助具AがフレキシブルコンテナバッグBを包囲した状態で吊架できる。
【0038】
この吊架した状態でフレキシブルコンテナバッグBを所望の位置に移動したうえで定置させる。
【0039】
最後に、図3(a)で示すように、底板部1の排出穴部11から貫通された排出口B2の止具B1を外して排出口B2を開封すれば、図3(b)に示すように、フレキシブルコンテナバッグB内の粉粒体が、排出口B2から図中矢印で示すように自然落下し、前記粉粒体を所望の位置に排出できる。
【0040】
このように本発明のフレキシブルコンテナバッグBの開封作業補助具Aによれば、フレキシブルコンテナバッグBの排出口B2を貫通可能な排出穴部11を開設した底板部1と、この底板部1に固定された吊下部2と、より構成しているので、全体を簡易な構造にできるうえ、軽量化を図ることができる。
【0041】
しかも、底板部1を設けているため、高重量のフレキシブルコンテナバッグBを吊下部2で包囲して吊下げても、底板部1がフレキシブルコンテナバッグBの底面に食い込むことなく密接した状態で確実に支持し、フレキシブルバッグBの底面の破断を防止することができるのである。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】図1は、本発明に係るフレキシブルコンテナバッグの開封作業補助具の一実施例を示す展開状態の平面図である。
【図2】図2は、図1で示すフレキシブルコンテナバッグの開封作業補助具の使用状態を示す斜視図である。
【図3】図3(a)・(b)は、フレキシブルコンテナバッグの排出口から粉粒体が排出される状態を示す概略動作図であり、図3(a)は排出口が封止された動作状態を示す要部断面図であり、図3(b)は排出口が開放され、内容物が排出される動作状態を示す要部断面図である。
【符号の説明】
【0043】
A 開封作業補助具
B フレキシブルコンテナバッグ
B2 排出口
1 底板部
11 排出穴部
2 吊下部
21 懸架体
3 ワイヤーリング
4 ベルト片
5 架設片

【特許請求の範囲】
【請求項1】
変形可能な素材で袋状又は筒状に形成され、少なくとも底面には内部に収容された粉粒体を排出するための開閉自在な排出口を設けてなるフレキシブルコンテナバッグを、クレーン等で吊架して所望の位置に移動すると共に、前記所望の位置で前記排出口を開封して前記粉粒体を排出するための開封作業補助具であって、
円板状に形成された基板の中央に、前記排出口を貫通可能な排出穴部が開設された底板部と、
前記底板部にワイヤー、ベルト等の両端を固定して環状に形成された懸架体を、前記底板部の周方向に複数配置してなる吊下部と、より構成してなることを特徴とするフレキシブルコンテナバッグの開封作業補助具。
【請求項2】
排出穴部には、この開口縁に沿ってワイヤーリングが設置され、該ワイヤーリングと、懸架体の両端が、底板部を介して帯状のベルト片で連結されてなる請求項1に記載のフレキシブルコンテナバッグの開封作業補助具。
【請求項3】
隣接された懸架体同士の適所には、両者が一定の間隔を保持するように架設された架設片を設けてなる請求項1または2のいずれかに記載のフレキシブルコンテナバッグの開封作業補助具。
【請求項4】
底板部、ベルト片、架設片は、いずれもフレキシブルな布、シート、ゴム又はワイヤーで形成されてなる請求項1ないし3のいずれかに記載のフレキシブルコンテナバッグの開封作業補助具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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