説明

フレキシブルコンテナーバッグ

【課題】
フレキシブルコンテナーバッグの底部排出作業時に、より危険を伴わない作業状況の創設と、確実な排出による残留物を生じない作業性に優れたフレキシブルコンテナーバッグの提供すること。
【解決手段】
3片以上の菊座片を有する筒状のフレキシブルコンテナーバッグの排出部において、菊座片の内側に菊座片と同数の排出口閉止蓋片が、菊座片と交互に設けたものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フレキシブルコンテナーバッグに関し、詳しくは、シュレッダーダストや廃プラ等固形物の他に、圧縮により流動性が低くなる粉体の輸送に好適に使用されるフレキシブルコンテナーバッグに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、固形物や粉体の保存・搬送にフレキシブルコンテナーバッグが使用されている。フレキシブルコンテナーバッグは基本的に筒状胴部と、筒状胴部の上部に封止可能に設けられた投入筒と、筒状胴部の下部に封止可能に設けられた排出口とが合成繊維クロス製シート材料で構成され、筒状胴部の上部から下部に亘る外周には吊りベルトと一体的に構成された縦ベルトが設けられている。筒状下部の排出部封鎖構造は菊座と称し、底面部に十文字等に切れ込みを入れた一片が扇面状や三角形の片、複数片で構成されている。その内側に胴部や菊座部の生地より柔らかい合成樹脂クロス製シート材料で構成された排出口が設けてあり、閉じた菊座により保持され、外形を保つ構造となっている。
【0003】
しかしながら、上記の様なフレキシブルコンテナーバッグの場合は次の様な問題がある。通常の作業で、流動性の低い内容物を排出するとき、まず、フォークリフトやクレーン等重機に吊り下げられたフレキシブルコンテナーバッグ本体排出部の菊座ロープを解き、続いて排出口の結束ロープを開放する。この作業時、フォークリフトやクレーン等重機に吊り下げられたフレキシブルコンテナーバッグ本体の下で菊座ロープを解いた状態においては、排出口の柔らかい合成樹脂クロス製シート生地のみで内容物の荷重を支えるため、排出口の生地に破損の危険性を孕んでいる。この状況で排出口の結束ロープを開放することは、頭上に内容物が落下するという危険性の高い作業を強いられることとなる。また、排出時に内容物が筒状胴部内で凝固してしまい、残留物が生じる原因となる。
【特許文献1】実用新案登録第304963号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、上記実情に鑑みなされたものであり、その目的は、排出作業時に、より危険を伴わない作業環境の創設と、簡便かつ確実な排出が可能で、残留物を生じない作業性に優れたフレキシブルコンテナーバッグを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は上記目標を達成するために、排出部に3片以上の菊座片を有する筒状のフレキシブルコンテナーバッグにおいて、菊座片の内側に菊座片と同数の排出口閉止蓋片を菊座片と交互に設けたものである。
【0006】
また、フレキシブルコンテナーバッグの胴部に設けられた吊りベルトと一体に構成された複数の縦ベルトが、各菊座片に延長されたものである。
【0007】
さらに、排出口閉止蓋片が円形であることを特徴とする上記のフレキシブルコンテナーバッグである。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、フレキシブルコンテナーバッグ排出部の菊座ロープを解いて菊座を開放するだけで、内容物の自重で排出口閉止蓋片が開いて内容物が排出されるので、シュレッダーダストや廃プラ等固形物の他に、圧縮により流動性が低くなる粉体の排出作業時に、より危険を伴わない作業環境の創設と、確実な排出による残留物を生じない作業性に優れたフレキシブルコンテナーバッグが提供され、本発明は固形物及び圧縮により流動性が低くなる粉体の輸送分野に寄与するところが大である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、添付図面に基づき本発明の実施例を説明する。図1は排出部の菊座片を閉塞した状態の従来のフレキシブルコンテナーバッグの斜視図。図2は排出部の菊座片を開放した状態の従来のフレキシブルコンテナーバッグの斜視図。図3は排出部の菊座片を開放し、さらに排出部の排出口をも開放した状態の従来のフレキシブルコンテナーバッグ斜視図。図4は排出部の菊座片を閉塞した状態の実施例のフレキシブルコンテナーバッグの斜視図。図5は排出部の菊座片を開放することによって、排出口閉止蓋片が開いた状態の実施例のフレキシブルコンテナーバッグの斜視図。図6は排出部の菊座片を閉塞した状態の実施例のフレキシブルコンテナーバッグの底面図。図7は排出部の菊座片を開放した状態の実施例のフレキシブルコンテナーバッグの底面図。図8は排出部の菊座片を開放し、さらに排出口閉止蓋片が外側に開いた状態の実施例のフレキシブルコンテナーバッグの底面図である。
【0010】
本発明の実施例のフレキシブルコンテナーバッグは、基本的には、筒状胴部1と、筒状胴部の上部に縫合し封止可能に設けられた投入口2と、筒状胴部の下部に封止可能に設けられた排出部3とが合成繊維クロス製シート材料で構成され、筒状胴部1の上部から下部に亘る外周には吊りベルト4と一体的に構成された縦ベルト5が設けられている。筒状下部の排出部3の封鎖構造は中心部を菊座6と称し、底面部に十文字等に切れ込みを入れた一片が扇面状や三角形の片、複数片の菊座片7で構成されている。筒状胴部と菊座切り込みの接する部分を中心に本体胴部と同じ生地の合成樹脂クロス製シート材料で構成された排出口閉止蓋片8が設けられた構造となっている。
【0011】
排出部3には、筒状胴部1と一体的に構成された4分割の菊座片7が設けられ、内容物充填時には結束されてフレキシブルコンテナーバッグの底面を構成する。すなわち、排出部3には、菊座ロープ9が取り付けられており、これを締め上げて、筒状の締紐調整具10に結束することにより、内面に排出口閉止蓋片8を内包して複数の菊座片7が底面を構成する。
【0012】
排出口閉止蓋片8は本体と同質生地を円状に加工されたもので、菊座片7と同数となる。排出口閉止蓋片を円状にすることで、排出口閉止蓋片の重なりが大きくなり、菊座片同士の隙間を効率的に塞ぐことができる。排出口閉止蓋片8は菊座片7同士の中間を中心として筒状胴部1の下端部に菊座片7と交互に縫合により構成する。また、筒状胴部1の下部より略四分の一の位置に菊座ロープ9の端を結束する固定紐11を設置する。
【0013】
因みに、本発明の実施例のフレキシブルコンテナーバッグの内容物充填時寸法の一例は、筒状胴部1の高さ1000mm、直径1000mm、投入口2の高さ800mm、直径1000mm、排出部直径1000mm、排出口閉止蓋片8の直径700mmが4片、充填容量785リットルである。なお、吊りベルト4及び縦ベルト5の幅は70mmである。
【0014】
また、別の一例は、筒状胴部1の高さ1100mm、直径1100mm、投入口2の高さ850mm、直径1100mm、排出部直径1100mm、排出口閉止蓋片8の直径800mmが4片、充填容量1000リットルである。なお、吊りベルト4及び縦ベルト5の幅は100mmである。
【0015】
閉鎖時は、従来のフレキシブルコンテナーバッグと外観は何ら変わらないが、4片からなる排出口閉止蓋片8が菊座の切れ込み部分を内側から覆うので、内容物がフレキシブルコンテナーバッグ底部より漏洩することがない。
【0016】
内容物を排出するときは、締紐調整具10に結束している菊座ロープ9の端を引くことにより、内容物の自重により排出口閉止蓋8と菊座片7が下方に開き、残留物を生じることなく、速やかに内容物の排出を完了出来る。
【0017】
また、菊座ロープ9を長くすることによって、菊座ロープの端を筒状胴部1の側面の固定紐11に固定されており、吊り下げられたフレキシブルコンテナーバッグの下部に作業者が入ることなく安全に排出作業を行うことが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】排出部の菊座片を閉塞した状態の従来のフレキシブルコンテナーバッグの斜視図
【図2】排出部の菊座片を開放した状態の従来のフレキシブルコンテナーバッグの斜視図
【図3】排出部の菊座片を開放し、さらに排出部の排出口をも開放した状態の従来のフレキシブルコンテナーバッグの斜視図
【図4】排出部の菊座片を閉塞した状態の実施例のフレキシブルコンテナーバッグの斜視図
【図5】排出部の菊座片を開放することによって、排出口閉止蓋片が開いた状態の実施例のフレキシブルコンテナーバッグの斜視図
【図6】排出部の菊座片を閉塞した状態の実施例のフレキシブルコンテナーバッグの底面図
【図7】排出部の菊座片を開放した状態の実施例のフレキシブルコンテナーバッグの底面図
【図8】排出部の菊座片を開放し、さらに排出口閉止蓋片が外側に開いた状態の実施例のフレキシブルコンテナーバッグの底面図
【符号の説明】
【0019】
1 筒状胴部
2 投入口
3 排出部
4 吊りベルト
5 縦ベルト
6 菊座
7 菊座片
8 排出口閉止蓋片
9 菊座ロープ
10 締紐調整具
11 固定紐


【特許請求の範囲】
【請求項1】
排出部に3片以上の菊座片を有する筒状のフレキシブルコンテナーバッグにおいて、菊座片の内側に菊座片と同数の排出口閉止蓋片が、菊座片と交互に設けられていることを特徴とするフレキシブルコンテナーバッグ。
【請求項2】
フレキシブルコンテナーバッグの胴部に設けられた吊りベルトと一体に構成された複数の縦ベルトが、各菊座片に延長されたことを特徴とする請求項1に記載のフレキシブルコンテナーバッグ。
【請求項3】
排出口閉止蓋片が円形であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のフレキシブルコンテナーバッグ。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate