説明

フレキシブルコンテナ

【課題】筒形状のコンテナ本体と、コンテナ本体内に配置されて、コンテナ本体をその形状に保形する保形用ネットとを備えたフレキシブルコンテナにおいて、コンテナ本体への保形用ネットの端部の連結部の一部に応力集中が生じることを防止して、フレキシブルコンテナの寿命を向上させる。
【解決手段】フレキシブルコンテナ1は、軸心3回りに並設される複数枚の平坦状シート材4,4を互いに結合させることにより形成された角筒形状のコンテナ本体2と、コンテナ本体2内に配置され、コンテナ本体2内の角部14を挟む一対のシート材4,4を互いに連結してコンテナ本体2をその形状に保形する保形用ネット15とを備える。軸心3の周方向における保形用ネット15の端部15aを、シート材4と協同して挟む連結シート20が設けられる。保形用ネット15の各網目を通してシート材4と連結シート20とが互いに熱溶着される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、樹脂ペレットなどの粉粒状製品を収容して大量輸送を可能にするためのフレキシブルコンテナに関し、より詳しくは、角筒形状のコンテナ本体と、このコンテナ本体内に配置されて、このコンテナ本体をその形状に保形する保形用ネットとを備えたフレキシブルコンテナに関するものである。
【背景技術】
【0002】
上記フレキシブルコンテナには、従来、下記特許文献1に示されるものがある。この公報のものによれば、フレキシブルコンテナは、軸心回りに並設される複数枚の平坦状シート材を互いに結合させることにより形成された角筒形状のコンテナ本体と、このコンテナ本体内に配置され、このコンテナ本体内の角部を挟む一対のシート材を互いに連結して上記コンテナ本体をその形状に保形する保形用ネットと、上記コンテナ本体の外面に結合されて、何らかの吊り具に掛吊可能とされる掛吊具とを備えている。
【0003】
上記フレキシブルコンテナを用いて粉粒状製品を搬送する場合には、まず、このフレキシブルコンテナを上記掛吊具により何らかの吊り具に掛吊し、この掛吊されたフレキシブルコンテナ内に製品を投入して収容させ、次に、このフレキシブルコンテナを車両や搬送装置を用いて所望位置にまで搬送することとされる。なお、この後は、上記フレキシブルコンテナから製品が排出されて、種々の目的に供される。
【0004】
ここで、上記したようにフレキシブルコンテナ内に製品を収容すると、この製品からの圧力により、上記コンテナ本体は、その平面視の断面が円形に変形しようとする。しかし、このようにコンテナ本体が変形しようとすることは、上記保形用ネットに生じる引張力により抑制される。つまり、上記コンテナ本体は断面角筒形状を保つよう上記保形用ネットにより保形される。そして、このように、コンテナ本体が所定形状に保形されることからフレキシブルコンテナの集積が整然と、かつ、安定してできるなど搬送時におけるフレキシブルコンテナの取り扱いが容易にできることとされる。
【0005】
また、上記したようにフレキシブルコンテナ内に製品を投入し、もしくは、このフレキシブルコンテナ内から製品を排出させるとき、上記角部と保形用ネットとの間の空間と、上記コンテナ本体内の中央部側との間で、上記保形用ネットの各網目を通して上記製品が円滑に流動させられる。このため、上記フレキシブルコンテナへの製品の投入や、このフレキシブルコンテナからの製品の排出は、上記保形用ネットに邪魔されることなく、円滑にできることとされる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】実開平4−48192号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、上記従来の技術では、保形用ネットの端部を構成する網紐が縫合により上記シート材に連結されている。このため、前記したように保形用ネットに生じる引張力により上記コンテナ本体を保形する場合、上記シート材に対する保形用ネットの端部の連結部の一部である縫合部位に、上記引張力に基づく応力集中が生じがちとなる。よって、このフレキシブルコンテナの繰り返し使用により、上記縫合部位が早期に破損するおそれが生じ、つまり、このフレキシブルコンテナに寿命上の問題点が生じるおそれがある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、上記のような事情に注目してなされたもので、本発明の目的は、角筒形状のコンテナ本体と、このコンテナ本体内に配置されて、このコンテナ本体をその形状に保形する保形用ネットとを備えたフレキシブルコンテナにおいて、上記コンテナ本体への保形用ネットの端部の連結部の一部に応力集中が生じることを防止して、フレキシブルコンテナの寿命を向上させるようにすることである。
【0009】
請求項1の発明は、軸心3回りに並設される複数枚の平坦状シート材4,4を互いに結合させることにより形成された角筒形状のコンテナ本体2と、このコンテナ本体2内に配置され、このコンテナ本体2内の角部14を挟む一対のシート材4,4を互いに連結して上記コンテナ本体2をその形状に保形する保形用ネット15とを備えたフレキシブルコンテナにおいて、
上記軸心3の周方向における上記保形用ネット15の端部15aを、上記シート材4と協同して挟む連結シート20が設けられ、上記保形用ネット15の各網目を通して上記シート材4と連結シート20とが互いに熱溶着されていることを特徴とするフレキシブルコンテナである。
【0010】
請求項2の発明は、上記シート材4と保形用ネット15の端部15aとの間に他の連結シート21が介設され、上記シート材4と連結シート20とが上記他の連結シート21を介して互いに熱溶着されていることを特徴とする請求項1に記載のフレキシブルコンテナである。
【0011】
請求項3の発明は、上記軸心3の周方向における上記保形用ネット15の中途部15bの網目よりも上記保形用ネット15の端部15aの網目がより密にされていることを特徴とする請求項1、もしくは2に記載のフレキシブルコンテナである。
【0012】
請求項4の発明は、上記軸心3の周方向における上記保形用ネット15の中途部15bの上、下縁部のうち、少なくともいずれか一方の縁部を形成する横網紐16の一部が切断されていることを特徴とする請求項1から3のうちいずれか1つに記載のフレキシブルコンテナである。
【0013】
なお、この項において、上記各用語に付記した符号や図面番号は、本発明の技術的範囲を後述の「実施例」の項や図面の内容に限定解釈するものではない。
【発明の効果】
【0014】
本発明による効果は、次の如くである。
【0015】
請求項1の発明は、軸心回りに並設される複数枚の平坦状シート材を互いに結合させることにより形成された角筒形状のコンテナ本体と、このコンテナ本体内に配置され、このコンテナ本体内の角部を挟む一対のシート材を互いに連結して上記コンテナ本体をその形状に保形する保形用ネットとを備えたフレキシブルコンテナにおいて、
上記軸心の周方向における上記保形用ネットの端部を、上記シート材と協同して挟む連結シートが設けられ、上記保形用ネットの各網目を通して上記シート材と連結シートとが互いに熱溶着されている。
【0016】
このため、シート材と保形用ネットの端部とを互いに縫合していた従来の技術に比べ、上記シート材と保形用ネットの端部とは上記連結シートとの熱溶着により、より広い面積で、かつ、各部均一の強度で互いに連結される。よって、フレキシブルコンテナ内に製品を収容したとき、コンテナ本体をその形状に保形しようとして上記保形用ネットには引張力が生じるが、上記シート材に対する保形用ネットの端部の連結部の一部に上記引張力によって応力集中が生じることは防止される。この結果、このフレキシブルコンテナの繰り返し使用により上記連結部が早期に破損する、ということは防止されて、フレキシブルコンテナの寿命の向上が達成される。
【0017】
しかも、上記従来の技術では、シート材と保形用ネットの端部との間において、縫合部位以外の部分には隙間が生じがちであるため、フレキシブルコンテナ内に収容された製品の一部が上記隙間に入り込んで、除去し難くなるおそれがある。しかし、上記発明によれば、シート材と保形用ネットの端部とは、上記連結シートとの熱溶着により全体的に面接合させることができるため、上記シート材に対する保形用ネットの端部の連結部に上記のような隙間はほとんど生じる余地が無く、よって、上記した製品の無用な入り込みは未然に防止される。
【0018】
請求項2の発明は、上記シート材と保形用ネットの端部との間に他の連結シートが介設され、上記シート材と連結シートとが上記他の連結シートを介して互いに熱溶着されている。
【0019】
このため、上記熱溶着の際、その熱により軟化した上記シート材に対し上記保形用ネットの網紐が食い込もうとすることは、上記他の連結シートにより防止される。よって、上記熱溶着の際に、上記シート材が無用に傷付くことが防止されて、このシート材に対する上記保形用ネットの端部の連結強度がより確実に向上し、これも、フレキシブルコンテナの寿命上有益である。
【0020】
請求項3の発明は、上記軸心の周方向における上記保形用ネットの中途部の網目よりも上記保形用ネットの端部の網目がより密にされている。
【0021】
このため、上記保形用ネットの中途部における粗い網目を通すことにより、上記角部と保形用ネットとの間の空間と、上記コンテナ本体内の中央部側との間で、上記製品を円滑に流動させることができ、よって、上記フレキシブルコンテナへの製品の投入や、このフレキシブルコンテナからの製品の排出が円滑にできる。そして、その一方、上記した保形用ネットの端部における密な網目によって、上記シート材に対する上記保形用ネットの端部の連結強度が更に確実に向上し、これも、フレキシブルコンテナの寿命上、更に有益である。
【0022】
請求項4の発明は、上記軸心の周方向における上記保形用ネットの中途部の上、下縁部のうち、少なくともいずれか一方の縁部を形成する横網紐の一部が切断されている。
【0023】
ここで、上記フレキシブルコンテナ内への製品の収容により、上記保形用ネットに引張力が生じるとき、シート材への保形用ネットの端部の連結部のうち、上、下端部に上記引張力が集中的に与えられがちとなって、ここに応力集中が生じがちとなる。
【0024】
そこで、上記のように縁部を形成する横網紐の一部を切断したのであり、これによれば、上記連結部の端部に与えられる引張力は分散させられて、上記応力集中の発生が防止される。よって、この点でも、フレキシブルコンテナの寿命の向上が達成される。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】コンテナ本体の平面断面図である。
【図2】フレキシブルコンテナの側面部分破断図である。
【図3】図1のIII−III線矢視拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
本発明のフレキシブルコンテナに関し、筒形状のコンテナ本体と、このコンテナ本体内に配置されて、このコンテナ本体をその形状に保形する保形用ネットとを備えたフレキシブルコンテナにおいて、上記コンテナ本体への保形用ネットの端部の連結部の一部に応力集中が生じることを防止して、フレキシブルコンテナの寿命を向上させるようにする、という目的を実現するため、本発明を実施するための形態は、次の如くである。
【0027】
即ち、フレキシブルコンテナは、軸心回りに並設される複数枚の平坦状シート材を互いに結合させることにより形成された角筒形状のコンテナ本体と、このコンテナ本体内に配置され、このコンテナ本体内の角部を挟む一対のシート材を互いに連結して上記コンテナ本体をその形状に保形する保形用ネットとを備える。上記軸心の周方向における上記保形用ネットの端部を、上記シート材と協同して挟む連結シートが設けられる。上記保形用ネットの各網目を通して上記シート材と連結シートとが互いに熱溶着されている。
【実施例】
【0028】
本発明をより詳細に説明するために、その実施例を添付の図に従って説明する。
【0029】
図において、符号1はフレキシブルコンテナで、このフレキシブルコンテナ1は、その内部に粉粒状製品を収容して大量輸送を可能にするためのものである。
【0030】
上記フレキシブルコンテナ1は、その胴部を構成する角筒形状のコンテナ本体2を備えている。このコンテナ本体2は、その軸心3回りに並設される複数枚(4枚)の平坦矩形状シート材4を互いに結合させることにより形成されている。図例では、上記軸心3は鉛直方向に延びている。また、上記各シート材4は一枚の長尺シート材を角筒形状に屈曲させて、その端縁部同士を熱溶着させることにより形成されている。
【0031】
上記コンテナ本体2の軸方向における一端部開口(上端部開口)を閉じてこのコンテナ本体2に熱溶着により結合される天井部シート7と、上記コンテナ本体2の軸方向における他端部開口(下端部開口)を閉じてこのコンテナ本体2に熱溶着により結合される底部シート8とが設けられている。
【0032】
また、上記軸心3上で、上記天井部シート7から外方に向かって一体的に突出し、その内部が上記コンテナ本体2内への製品の投入口とされる円筒状投入口シート9と、上記軸心3上で、上記底部シート8から外方に向かって一体的に突出し、その内部が上記コンテナ本体2内からの製品の排出口とされる円筒状排出口シート10と、上記コンテナ本体2の外面に不図示の補強シートを介し結合されて、何らかの吊り具に掛吊可能とされるバンド構造の複数(4つ)の掛吊具11とが設けられている。
【0033】
上記コンテナ本体2、天井部シート7、底部シート8、投入口シート9、および排出口シート10は、いずれもポリエステル繊維を芯材としたものであり、かつ、その両面に熱可塑性樹脂であるEVA(エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂)をコーティングしたものである。そして、上記コンテナ本体2等は、いずれも防水シートとされ、厚さが0.3〜1mm程度とされる。
【0034】
上記コンテナ本体2内に配置され、このコンテナ本体2内の各角部14を挟むそれぞれ一対のシート材4,4を互いに連結して上記コンテナ本体2をその角筒形状のままに保形する保形用ネット15が設けられている。この保形用ネット15は、上記軸心3回りに延びる上下方向で多数の横網紐16と、これら横網紐16に交差するよう上記軸心3にほぼ平行に延びる上記軸心3回りで多数の縦網紐17とを備え、これら横網紐16と縦網紐17とは互いに一体的に結合されている。
【0035】
上記軸心3の周方向における上記保形用ネット15の端部15aの網目は、上記軸心3の周方向での上記保形用ネット15の中途部15bの網目よりも密にされている。
【0036】
具体的には、上記保形用ネット15の端部15aにおける横網紐16のピッチP1および縦網紐17のピッチP2は、上記保形用ネット15の中途部15bにおける横網紐16のピッチP3および縦網紐17のピッチP4よりも小さくされている(P1,P2=1.5〜3mm<P3,P4=1.5〜25mm)。
【0037】
上記の場合、保形用ネット15の各端部15aでは、上記横網紐16のうち、断面積の大きい太紐16aが上記ピッチP3で配置され、断面積の小さい細紐16bが隣り合う両太紐16a,16aの間に複数本配置されている。一方、上記保形用ネット15の中途部15bにおける上記横網紐16は、上記太紐16aのみで構成されている。一方、上記保形用ネット15の中途部15bにおける上記縦網紐17は、断面積の大きい太紐17aのみで構成され、上記保形用ネット15の端部15aにおける縦網紐17は、断面積の小さい細紐17bのみで構成されている。
【0038】
上記各横網紐16と縦網紐17とは、いずれもポリエステル繊維を芯材としてその各交差部で互いに強固に結合したものであり、かつ、その外面の全体に上記EVAよりも熱溶融温度が高い熱可塑性樹脂であるPVC(塩化ビニール樹脂)をコーティングしたものである。
【0039】
上記保形用ネット15の端部15aを上記シート材4と協同して全体的に挟む連結シート20が設けられている。また、上記シート材4と連結シート20との間に全体的に他の連結シート21が設けられている。これら各連結シート20,21は、上記コンテナ本体2等のコーティングと同じ材質のEVAであって、厚さが0.05〜0.1mm程度とされる。
【0040】
そして、図1のように上記シート材4、保形用ネット15の端部15a、連結シート20、および他の連結シート21が重ね合わされ、この重ね合わせ体が高周波熱溶着器24の電極25と鉄厚板である強磁性体26との間に挟まれて、熱溶着される。この場合、上記シート材4と連結シート21とが全体的に面として熱溶着される。また、上記両連結シート20,21同士は上記保形用ネット15の端部15aの各網目を通して全体的に熱溶着されると共に、上記保形用ネット15のコーティングとも互いに全体的に熱溶着される。また、上記熱溶着の際の温度を有する熱によって、上記シート材4や保形用ネット15の各芯材が熱溶融したり材質が変化したりすることは防止されている。なお、上記他の連結シート21は設けなくてもよい。
【0041】
上記フレキシブルコンテナ1を用いて粉粒状製品を搬送する場合には、まず、このフレキシブルコンテナ1を上記掛吊具11により何らかの吊り具に掛吊すると共に、上記排出口シート10を閉じる。そして、この掛吊されたフレキシブルコンテナ1内に上記投入口シート9を通し製品を投入して収容させ、次に、このフレキシブルコンテナ1を車両や搬送装置を用いて所望位置にまで搬送することとされる。なお、この後は、上記フレキシブルコンテナ1から上記排出口シート10を通し製品が排出されて、種々の目的に供される。
【0042】
ここで、上記したようにフレキシブルコンテナ1内に製品を収容すると、この製品からの圧力により、上記コンテナ本体2は、その平面視の断面が円形に変形しようとする。しかし、このようにコンテナ本体2が変形しようとすることは、上記保形用ネット15に生じる引張力により抑制される。つまり、上記コンテナ本体2は断面角筒形状を保つよう上記保形用ネット15により保形される。そして、このように、コンテナ本体2が所定形状に保形されることからフレキシブルコンテナ1の集積が整然と、かつ、安定してできるなど搬送時におけるフレキシブルコンテナ1の取り扱いが容易にできることとされる。
【0043】
また、上記したようにフレキシブルコンテナ1内に製品を投入し、もしくは、このフレキシブルコンテナ1内から製品を排出させるとき、上記角部14と保形用ネット15との間の空間と、上記コンテナ本体2内の中央部側との間で、上記保形用ネット15の各網目を通して上記製品が円滑に流動させられる。このため、上記フレキシブルコンテナ1への製品の投入や、このフレキシブルコンテナ1からの製品の排出は、上記保形用ネット15に邪魔されることなく、円滑にできることとされる。
【0044】
また、上記フレキシブルコンテナ1の使用後の洗浄作業においては、上記コンテナ本体2内の中央部側から上記角部14と保形用ネット15との間の各空間に向かって上記保形用ネット15の各網目を通し洗浄水や圧縮空気を円滑に供給することができる。よって、上記洗浄がより適正かつ容易にできる。
【0045】
上記構成によれば、軸心3の周方向における上記保形用ネット15の端部15aを、上記シート材4と協同して挟む連結シート20が設けられ、上記保形用ネット15の各網目を通して上記シート材4と連結シート20とが互いに熱溶着されている。
【0046】
このため、シート材と保形用ネットの端部とを互いに縫合していた従来の技術に比べ、上記シート材4と保形用ネット15の端部15aとは上記連結シート20との熱溶着により、より広い面積で、かつ、各部均一の強度で互いに連結される。よって、フレキシブルコンテナ1内に製品を収容したとき、コンテナ本体2をその形状に保形しようとして上記保形用ネット15には引張力が生じるが、上記シート材4に対する保形用ネット15の端部15aの連結部の一部に上記引張力によって応力集中が生じることは防止される。この結果、このフレキシブルコンテナ1の繰り返し使用により上記連結部が早期に破損する、ということは防止されて、フレキシブルコンテナ1の寿命の向上が達成される。
【0047】
しかも、上記従来の技術では、シート材と保形用ネットの端部との間において、縫合部位以外の部分には隙間が生じがちであるため、フレキシブルコンテナ内に収容された製品の一部が上記隙間に入り込んで、除去し難くなるおそれがある。しかし、上記構成によれば、シート材4と保形用ネット15の端部15aとは上記連結シート20との熱溶着により全体的に面接合させることができるため、上記シート材4に対する保形用ネット15の端部15aの連結部に上記のような隙間はほとんど生じる余地が無く、よって、上記した製品の無用な入り込みは未然に防止される。
【0048】
また、前記したように、シート材4と保形用ネット15の端部15aとの間に他の連結シート21が介設され、上記シート材4と連結シート20とが上記他の連結シート21を介して互いに熱溶着されている。
【0049】
このため、上記熱溶着の際、その熱により軟化した上記シート材4に対し上記保形用ネット15の横網紐16や縦網紐17の網紐が食い込もうとすることは、上記他の連結シート21により防止される。よって、上記熱溶着の際に、上記シート材4が無用に傷付くことが防止されて、このシート材4に対する上記保形用ネット15の端部15aの連結強度がより確実に向上し、これも、フレキシブルコンテナ1の寿命上有益である。
【0050】
また、前記したように、軸心3の周方向における上記保形用ネット15の中途部15bの網目よりも上記保形用ネット15の端部15aの網目がより密にされている。
【0051】
このため、上記保形用ネット15の中途部15bにおける粗い網目を通すことにより、上記角部14と保形用ネット15との間の空間と、上記コンテナ本体2内の中央部側との間で、上記製品を円滑に流動させることができ、よって、上記フレキシブルコンテナ1への製品の投入や、このフレキシブルコンテナ1からの製品の排出が円滑にできる。そして、その一方、上記した保形用ネット15の端部15aにおける密な網目によって、上記シート材4に対する上記保形用ネット15の端部15aの連結強度が更に確実に向上し、これも、フレキシブルコンテナ1の寿命上、更に有益である。
【0052】
また、上記軸心3の周方向における上記保形用ネット15の中途部15bの上、下縁部のうち、少なくともいずれか一方の縁部を形成する横網紐16の一部が符号28で示すように切断されている。図例では。上記保形用ネット15の中途部15bの下縁部における保形用ネット15の中途部15bの中央部が切断28されている。
【0053】
ここで、上記フレキシブルコンテナ1内への製品の収容により、上記保形用ネット15に引張力が生じるとき、シート材4への保形用ネット15の端部15aの連結部のうち、上、下端部(特に下端部)に上記引張力が集中的に与えられがちとなって、ここに応力集中が生じがちとなる。
【0054】
そこで、上記のように縁部を形成する横網紐16の一部を切断28したのであり、これによれば、上記連結部の端部に与えられる引張力は分散させられて、上記応力集中の発生が防止される。よって、この点でも、フレキシブルコンテナ1の寿命の向上が達成される。
【0055】
なお、以上は図示の例によるが、上記シート材4等の各シートや連結シート20,21は、他の種類の樹脂材であってもよい。また、上記保形用ネット15の中途部15bの上、下縁部における横網紐16の切断28は、複数箇所であってもよい。
【符号の説明】
【0056】
1 フレキシブルコンテナ
2 コンテナ本体
3 軸心
4 シート材
14 角部
15 保形用ネット
15a 端部
15b 中途部
16 横網紐
16a 太紐
16b 細紐
17 縦網紐
17a 太紐
17b 細紐
20 連結シート
21 連結シート
28 切断
P1〜P4 ピッチ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸心回りに並設される複数枚の平坦状シート材を互いに結合させることにより形成された角筒形状のコンテナ本体と、このコンテナ本体内に配置され、このコンテナ本体内の角部を挟む一対のシート材を互いに連結して上記コンテナ本体をその形状に保形する保形用ネットとを備えたフレキシブルコンテナにおいて、
上記軸心の周方向における上記保形用ネットの端部を、上記シート材と協同して挟む連結シートが設けられ、上記保形用ネットの各網目を通して上記シート材と連結シートとが互いに熱溶着されていることを特徴とするフレキシブルコンテナ。
【請求項2】
上記シート材と保形用ネットの端部との間に他の連結シートが介設され、上記シート材と連結シートとが上記他の連結シートを介して互いに熱溶着されていることを特徴とする請求項1に記載のフレキシブルコンテナ。
【請求項3】
上記軸心の周方向における上記保形用ネットの中途部の網目よりも上記保形用ネットの端部の網目がより密にされていることを特徴とする請求項1、もしくは2に記載のフレキシブルコンテナ。
【請求項4】
上記軸心の周方向における上記保形用ネットの中途部の上、下縁部のうち、少なくともいずれか一方の縁部を形成する横網紐の一部が切断されていることを特徴とする請求項1から3のうちいずれか1つに記載のフレキシブルコンテナ。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate