説明

フレキシブルバック

【課題】止水性に優れ、かつ強い応力に対しても崩れないフレキシブルバックを提供することを目的とする。
【解決手段】透水性シートまたは不透水性シートで形成されたフレキシブルバックであって、六角形の立方体の形状を有し、かつ上面部に充填物投入口を設けたフレキシブルバック。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、貯水槽、水路、沈殿池、調整池等を構築するときに用いられるフレキシブルバックに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、貯水槽等はコンクリート構造によって構築されているのが一般的であった。また水路、沈殿池、調整池等の場合は、地面を掘削したり、あるいは貯水槽と同様にコンクリート構造によって構築されていた。
しかしながら、従来のような工法の場合建設に莫大な費用と長い工事期間が必要だあった。近年これらの欠点を解消する目的で、簡単に構築できるバック体が提案されている。例えば透水性シートまたは不透水性シートで形成されたフレキシブルバックに少なくとも比重が1以上の物質を封入してなるバック体であって、該バック体の外周の適宜箇所に、適宜「巾」と適宜「長」であって、適当数の「穴」を備えていて、バック体相互の連接機能を有する連接片を設けたことを特徴とする連接可能なバック体が知られている(特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】特公平7−91821号公報
【0004】
この特許文献1に記載のバック体はその形状が丸型あるいは四角形の立方体の形態をなすものである。しかしながらこのような形状のバック体は、実際に集積した場合隣接するバック体との接触面が直線的なために強い応力がかかった場合崩れてしまう欠点があった。また、隣接するバック体との間に間隙が生ずる欠点があった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明者は、従来のバック体のように強い応力がかかっても集合体としての構造が崩れず、かつ止水性の高いフレキシブルバックについて種々研究を重ねた結果本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、透水性シートまたは不透水性シートで形成されたフレキシブルバックであって、六角形立方体の形状を有し、かつ上面部に充填物投入口を設けたことを特徴とするフレキシブルバックである。
【発明の効果】
【0006】
本発明のフレキシブルバックは、六角形を呈していることから、連接させた場合、隣接面同志が相互に多面接触した状態に咬止されているために強い応力に対しても崩れず強固な構造体となる。またフレキシブルバックが咬合状態で多面接触しているために止水性(漏水防止)にも優れている。
本発明のフレキシブルバックは、貯水槽、水路、沈殿池、工事盛土工事における法面の構築材、軽弱地盤での簡易補強道路の構築、海底養浜、溢流部止水、埋立、堤防構築等の構築に用いることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
本発明のフレキシブルバック1は、図1に示すように六角形をした立方体の形状を有するものである。六角形の形態も六角形であればどのような形態でもよいが、好ましくは正六角形が最適である。すなわち正六角形であれば連接結合するときにいずれの方位でも隣接するフレキシブルバックと連接・連結する事が出来る。
【0008】
フレキシブルバック1には、その側壁面部2の上部隅部に連結用係止部3を設ける。またフレキシブルバック1の上面部4にも連結用係止部3を設けることもでき、両方に設けてもよい。この連結用係止3の取付位置は、側壁面部2の一辺の長さの中間部に設けることが好ましい。
さらにフレキシブルバック1の上部には、内部に充填物を投入するための充填物投入口5が設けられている。この充填物投入口5は例えば切り込み6を入れ、充填物を投入するときは開口できるように設けられている。また充填物投入口5は巾着袋のような形態でもよい。この充填物投入口5の閉口手段としては、巾着袋の口を閉めるように中央部に紐を通す部分を設け、ここに紐を通し、紐を締めることによって閉口する事ができる。また他の手段としては切り込み6を入れた部分を紐で編むようにしたり、マジックバンド、ファスナー、ベルト、鈎等を用いて切り込み6部を結束あるいは係止等して閉口することもできるが、その他種々の方法が採用できる。
【0009】
また、本発明のフレキシブルバック1は、連接して配設させた場合隣接するフレキシブルバック1との間に間隙部が生じないように側壁面部2に襞7を複数条設けることが好ましい。この襞7は図2に示すように縦方向に複数条設けることが好ましい。また側壁面部2に襞7を横方向に設ける場合にはジグザグ状山形・波型にした形状にして複数条設けることが好ましい。このように襞7を設けることによって隣接するフレキシブルバック1の側壁面部2間に間隙部が生じないので止水性が一層向上する。
【0010】
本発明のフレキシブルバック1に用いられる素材としては、天然または合成の糸、紐で編織された織布、網状シート、金網等の透水性シートが用いられ、また編織布の片面、または両面に合成樹脂膜を貼合した、いわゆるターポリン、その他のゴム引き布、不織布等の不透水性シート等が挙げられる。
【0011】
次に本発明のフレキシブルバック1の使用方法について説明する。
図2に示すように例えば砂を充填したフェレキシブルバック1をそれぞれ一辺が接するように設置する。フレキシブルバック1を設置する際に必要により、隣接するフレキシブルバック1に設けられ連結用係止部3同士を紐等で結束する。
また他の態様としては図3に示すように、フレキシブルバック1が接する部分に、緩衝材例えばスポンジ状の多孔体や圧縮・反発する素材からなるシートを挟着させることもできる。さらに他の態様としては、連接・連結したフレキシブルバック1の角部に前記した様なスポンジ状の多孔体や圧縮・反発する素材からなる棒状体を挟着させることも出来る。
また別の態様としては図4に示すように、連接・連結したフレキシブルバック1の角部に前記した様なスポンジ状の多孔体や圧縮・反発する素材からなる棒状体のほかに袋体8に砂等を充填させたものを挟着させることも出来る。
【0012】
さらに図5に示すように緩衝材として不透水性シート9を挟着させてもよい。またフレキシブルバックを設置する場合が軟弱な地盤の場合、図5に示すようにタイヤ10を結束・連接して敷設し、その上にフレキシブルバックの構造体を構築すると安定化する。
【0013】
不透水性シート9に用いられる素材としては、天然または合成の糸、紐で編織された織布、網、金網等の編織の片面、または両面に合成樹脂膜を貼合した、いわゆるターポリン、その他のゴム引き布、不織布等のシート等が挙げられる。
【0014】
本発明のフレキシブルバックの配設方法として、平面的(1段)に配列する外、多段に積み重ねて構造体とすることが出来る。
【0015】
図6は水路に溢流防止のために設けられたフレキシブルバック1の構造体を示したものである。
【0016】
図7は他の態様としての水路に溢流防止のために設けられたフレキシブルバック1と不透水性シート9の構造体を示したものである。不透水性シート9の固定方法としては、不透水性シート9をフレキシブルバック1の上面部4に覆い被せ、不透水性シート9と連結用係止部3等を固縛具11等によって固縛することにより、フレキシブルバックとフレキシブルバックとの間に不透水性シート9を挟着させずに、フレキシブルバック1と不透水性シート9の構造体とすることが出来る。
さらに他の態様としては、不透水性シート9の一部に固定用のフラッペ12および/またはループ13を単数または複数設ける。フラッペ12は地盤に固定用として配置し、その上にフレキシブルバック1を挟み込み、ループ13はフレキシブルバック1に回し、不透水性シート9をフレキシブルバック1に固定し、フレキシブルバック1と不透水性シート9の構造体とすることが出来る。
前述の固定用のフラッペ12および/またはループ13を設けた不透水性シート9によって構造体とするフレキシブルバックはその形状が丸型あるいは四角型の立方体の形態をなすバック体であっても、好適に使用することが出来る。
図7に示すように、水路の高さを高くする際は、フラッペ12とフレキシブルバック1との間に、台体14を設けるか、あるいは地盤とフラッペ12との間に、台体14を設けることが好ましい。
【0017】
図8は図6の平面図を示したものであるが、図面からも明らかなように壁面が凹凸構造15となっていることから水流を減速、整流する事ができる。またアトラクター(引き込み領域の効果)などの渦の淀みなどが多面に形成されているので、この部分で濁水中の懸濁粒子を物理的に除濁することができる。
【0018】
本発明のフレキシブルバックの使用例として、フレキシブルバック1を連接して配設させた場合隣接するフレキシブルバック1との間に汚濁防止膜16を設け、水底面から汚濁防止膜を自立させた場合を図9に示したもので、壁面が凹凸構造15となっていることから水底面の汚濁の拡散を抑え、消波機能を有し、フレキシブルバック1により水中の濁質が流出しないような壁面が形成される。さらに海浜で使用する場合、干潮時に汚濁防止膜が海底面に着地し、海底面を擦って汚濁を発生することがない構造になっている。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】充填物を投入したフレキシブルバックの斜視図
【図2】フレキシブルバックを連接した状態を示した斜視図
【図3】緩衝材を挟着した場合のフレキシブルバック構造体の斜視図
【図4】他の態様としての緩衝材を挟着した場合のフレキシブルバック構造体の斜視図
【図5】タイヤを敷設した場合のフレキシブルバック構造体の斜視図
【図6】水路にフレキシブルバック構造体を設置したときの断面図
【図7】他の態様としての水路にフレキシブルバック構造体を設置したときの断面図
【図8】図6の平面図
【図9】水底から汚濁防止膜を自立させた場合のフレキシブルバック構造体の斜視図
【符号の説明】
【0020】
1・・・フレキシブルバック
2・・・側壁面部
3・・・連結用係止部
5・・・充填物投入口
7・・・襞

【特許請求の範囲】
【請求項1】
透水性シートまたは不透水性シートで形成されたフレキシブルバックであって、六角形の立方体の形状を有し、かつ上面部に充填物投入口を設けたことを特徴とするフレキシブルバック。
【請求項2】
さらにフレキシブルバックの側壁面部に襞を設けてなる請求項1記載のフレキシブルバック。
【請求項3】
フレキシブルバックの側壁面部および上面部の少なくとも一面部に連結用係止部を設けてなる請求項1または2記載のフレキシブルバック。
【請求項4】
配設させたフレキブルバックの接合する面に緩衝材を挟装する事を特徴とするフレキシブルバックの配設方法。
【請求項5】
緩衝材が不透水性シートである請求項4記載のフレキシブルバックの配設方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2009−24474(P2009−24474A)
【公開日】平成21年2月5日(2009.2.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−224811(P2007−224811)
【出願日】平成19年8月3日(2007.8.3)
【出願人】(000229162)日本ソリッド株式会社 (39)
【Fターム(参考)】