説明

フレキシブル管用継手

【課題】 流体漏れが生じにくいフレキシブル管用継手を提供する。
【解決手段】 フレキシブル管用継手10の継手本体20は、挿入口40と、第1収容部42と、シール材縮径案内部48と、第2収容部44とを有する。シール材22は、胴部60aと、単一環状部60cとを有する。胴部60aは、継手本体20内に収容されたフレキシブル管300の先端部により第2収容部44の奥へ押し込まれる。単一環状部60cは、胴部60aの第2収容部44の奥への押し込みによって第2収容部44の中へ引き込まれる。単一環状部60cは、第2収容部44の中へ引き込まれる際、シール材縮径案内部48によりフレキシブル管300の谷部312にかみ合い、第2収容部44の中へ引き込まれた後、第2収容部44の内周とフレキシブル管300の外周との間をシールする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、流体漏れが生じにくく、かつ、不測の事態によって使用不能となる可能性が低いフレキシブル管用継手に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、図8に示すようなフレキシブル管用継手を開示する。このフレキシブル管用継手は、継手本体200と、スリーブ202と、リングスプリング204と、Oリング206と、パッキン208と、押輪210と、を具備する。
【0003】
継手本体200には、大径孔200aと中径孔200bと小径孔200cとが入口側より順に形成されている。スリーブ202は、継手本体200の中径孔200bに摺動自在に装着され、フレキシブル管300の先端部分と係合する。スリーブ202の入口側は継手本体200の大径孔200aにまで延びている。リングスプリング204は、環状に形成され、弾性変形によって拡縮し、荷重がかかっていない状態においてフレキシブル管300の谷部312外周に嵌入され、拡径した状態においててスリーブ202の入口側外面に装着される。押輪210は、継手本体200の入口側に螺着されている。押輪210と継手本体200との間には、Oリング206が嵌め込まれている。押輪210の内周面にはパッキン208が装着されている。押輪210の内奥端付近の内径は、谷部312外周にリングスプリング204が嵌入したときのそのリングスプリング204の外径よりも小さい。
【0004】
特許文献2は、図9(A)、(B)に示すようなフレキシブル管用継手を開示する。このフレキシブル管用継手は、継手本体250と、リテーナ部材252と、押輪254と、防水パッキン256とを備える。
【0005】
継手本体250は、管挿入孔270を有する。管挿入孔270には、フレキシブル管300が挿入される。
【0006】
リテーナ部材252は、管挿入孔270の中に配置される。リテーナ部材252は、後方突起252aを有する。後方突起252aは、フレキシブル管300の外面の谷部312に差し込まれる。
【0007】
押輪254は、リテーナ部材252の後方突起252aをフレキシブル管300の外面の谷部312に差し込んだ状態で固定する。また、押輪254は、継手本体250の管挿入孔270内で軸方向にスライドする。したがって、押輪254は、リテーナ部材252の後方突起252aがフレキシブル管300の谷部312へ嵌まり込まない位置と、リテーナ部材252の後方突起252aがフレキシブル管300の谷部312へ嵌まり込んだ状態を保持する位置との間で変位可能である。
【0008】
防水パッキン256は、フレキシブル管300と継手本体250との間をシールする。
【0009】
さらに、図9(A)、(B)に示すフレキシブル管用継手には、ロック機構が設けられている。このロック機構は、次に述べる状態で押輪254をロックする。その状態とは、後方突起252aが谷部312へ嵌まり込んだ状態である。このロック機構は、ストップリング部材258と、第1溝260と、第2溝262と、第3溝264とによって構成される。
【0010】
ストップリング部材258は、C字状の部材である。第1溝260は、継手本体250に形成されている。第1溝260には、ストップリング部材258の外周部が係合する。第2溝262も、継手本体250に形成されている。第2溝262にも、ストップリング部材258の外周部が係合する。第3溝264は、押輪254の外周面に形成されている。第3溝264には、ストップリング部材258の内周部が係合する。ストップリング部材258は、第3溝264に内周部が係合したまま、押輪254のスライドに応じて第1溝260から第2溝262へスライドする。
【0011】
ストップリング部材258の外周部が第1溝260に係合しているとき、押輪254は、継手本体250に半挿入状態に仮止めされている。このときの押輪254の位置は、後方突起252aが谷部312へ嵌まり込まない位置である。ストップリング部材258の外周部が第2溝262に係合するとき、押輪254はロックされる。このとき、後方突起252aは、谷部312へ嵌まり込んだ状態に保持される。押輪254の押し込み量は、上述した第1溝260と第2溝262との間の距離にほぼ等しくなるように設定されている。
【0012】
このフレキシブル管用継手によれば、押輪254を押込むと、良好なシール性を維持した状態でフレキシブル管300の接続を行うことができる。
【0013】
【特許文献1】特開平6−185680号公報
【特許文献2】特開2003−176888号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
しかしながら、特許文献1および2に開示されたフレキシブル管用継手では、流体漏れが生じやすいという問題があった。
【0015】
本発明は、このような問題点を解消するためになされたものであり、その目的とするところは、流体漏れが生じにくいフレキシブル管用継手を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上記目的を達成するために、本発明のある局面に従うと、フレキシブル管用継手10,12は、継手本体20,21と、弾性変形可能なシール材22,23とを備える。シール材22,23は、継手本体20,21内に収容される。継手本体20,21内にはフレキシブル管300が挿入される。フレキシブル管300の外周部には、円周方向全周に延びる山部310と谷部312とが管軸方向へ交互に並設されている。シール材22,23には、中央に管挿入孔60hが形成されている。管挿入孔60hにフレキシブル管300が挿入される。シール材22,23は、管挿入孔60hに挿入されたフレキシブル管300の外周面と継手本体20,21の内周面との間でシールする。継手本体20,21は、挿入口40,41と、第1収容部42と、シール材縮径案内部48と、第2収容部44とを有する。挿入口40,41にはフレキシブル管300が挿入される。第1収容部42は挿入口40,41の奥に形成されその挿入口40,41に連通される。シール材縮径案内部48は、第1収容部42の挿入口とは反対側に形成され、第1収容部42から離れるにつれ窄まる。第2収容部44は、シール材縮径案内部48の奥に形成され、フレキシブル管300の先端部とこのフレキシブル管300の先端部の外周のシール材22,23とを収容する。シール材22,23は、胴部60a,61aと、シール作用部60c,61c,61gとを有する。胴部60a,61aは、継手本体20,21内に収容されたフレキシブル管300の先端部により第2収容部44の奥へ押し込まれる。シール作用部60c,61c,61gは、胴部60a,61aの第2収容部44の奥への押し込みによって第2収容部44の中へ引き込まれる。シール作用部60c,61c,61gは、第2収容部44の中へ引き込まれる際、シール材縮径案内部48によりフレキシブル管300の谷部312にかみ合い、第2収容部44の中へ引き込まれた後、第2収容部44の内周とフレキシブル管300の外周との間をシールする。
【0017】
シール作用部60c,61c,61gは、第2収容部44の内周とそのフレキシブル管300の外周との間をシールする。そのシールの際、シール作用部60c,61c,61gをフレキシブル管300の谷部312にかみ合わせるので、シール性の高さとフレキシブル管300の谷部312にシール作用部60c,61c,61gを深くかみ合わせることとを両立できる。これらの両立が可能なので、流体漏れは生じにくくなる。
【0018】
また、上述したシール作用部は、複数の環状部61c,61gを有してもよい。これらの環状部61c,61gは、シール材縮径案内部48および第1収容部42の中心軸方向に並ぶよう配置される。併せて、隣接する環状部61c,61g同士が互いに接続されていてもよい。
【0019】
シール作用部が有する複数の環状部61c,61gは互いに接続されている。それらの環状部61c,61gは、シール材縮径案内部48および第1収容部42の中心軸方向に並ぶよう配置される。これにより、胴部60a,61aが第2収容部44の奥へ引き込まれると、それらの環状部61c,61gは第2収容部44の中へ順次引き込まれる。それらの環状部61c,61gは、フレキシブル管300の複数の谷部312にそれぞれかみ合うことになる。複数の環状部61c,61gが複数の谷部312にそれぞれかみ合うので、流体漏れは生じにくくなる。
【0020】
また、上述したシール作用部は、フレキシブル管の円周方向全周に延びる1つの環状部60cを有してもよい。併せて、環状部60cは、フレキシブル管300の谷部312にかみ合ってもよい。
【0021】
また、上述したフレキシブル管継手は、押輪24をさらに備えることが望ましい。押輪24は、シール材22,23よりも継手本体20,21の挿入口40,41側に配置されて継手本体20,21に接続される。押輪24は、フレキシブル管300が貫通する筒部76aを有する。筒部76aのうち挿入口40,41の中に配置される側の端に、押輪テーパ面82bが設けられている。押輪テーパ面82bは、挿入口40,41の奥に向かって広がる。併せて、シール材22,23は、抜止部60eをさらに有することが望ましい。抜止部60eは、シール作用部60c,61c,61gよりも挿入口40,41に近い位置に配置されている。抜止部60eの外周に、外周テーパ面62が設けられている。外周テーパ面62は、挿入口40,41の方向に向かって窄まる。外周テーパ面62は押輪テーパ面82bと対向している。フレキシブル管300に対して継手本体20,21から引き抜く方向に引抜力がかかったとき、押輪テーパ面82bに接触した外周テーパ面62が押輪テーパ面82bから反力を受けると、抜止部60eのうち外周テーパ面62の背面側に配置された部分63は、フレキシブル管300にその反力を伝達してフレキシブル管300の抜け出しを阻止する。
【0022】
もしくは、上述したフレキシブル管用継手10,12が、弾性変形によって外径が変化するスナップリング106をさらに備えることが望ましい。併せて、筒部76aのうち継手本体20,21の内周に対向する面にスナップリング収容保持溝84が設けられていることが望ましい。併せて、スナップリング106の内周が、スナップリング収容保持溝84に嵌め込まれていることが望ましい。併せて、継手本体20,21の内周に、第1のスナップリング係合溝90と、第2のスナップリング係合溝92とが設けられていることが望ましい。第2のスナップリング係合溝92は、第1のスナップリング係合溝90よりも挿入口40,41から遠い位置に設けられている。スナップリング106の外周が第1のスナップリング係合溝90に嵌め込まれているとき押輪24が挿入口40,41の中に押し込まれると、スナップリング106は、第1のスナップリング係合溝90から滑り出し、第2のスナップリング係合溝92に嵌まる。
【0023】
もしくは、上述したフレキシブル管用継手10,12が樹脂層110をさらに備えることが望ましい。樹脂層110は、押輪24の筒部76aのうち、嵌入予定部77に接している。嵌入予定部77は、スナップリングの外周が第1のスナップリング係合溝に嵌め込まれているときには継手本体から露出し、かつ、スナップリングの外周が第2のスナップリング係合溝に嵌め込まれているときには挿入口の中に配置される部分である。併せて、押輪24は、筒部76aに加え、筒部76aの外周に鍔部76bを有していることが望ましい。鍔部76bは、嵌入予定部77を挟んで継手本体20,21に対向する。
【0024】
また、上述したフレキシブル管用継手10,12が耐火パッキン104をさらに備えることが望ましい。耐火パッキン104は、第1収容部42の内周においてシール材22,23の外周に配置される。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、流体漏れを生じにくくできる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施の形態について説明する。以下の説明では、同一の部品には同一の符号を付してある。それらの名称および機能も同一である。したがって、それらについての詳細な説明は繰返さない。
【0027】
<第1の実施形態>
以下、本発明の第1の実施形態を図面に基づき説明する。図1は、本発明の第1の実施形態にかかるフレキシブル管用継手10を、シール材22押し込み前の状態で示す半欠截断面図である。図2は、シール材22押し込み途中の状態で示す同フレキシブル管用継手10の半欠截断面図である。図3は、フレキシブル管300の差込み完了後の状態で示す同フレキシブル管用継手10の半欠截断面図である。図4の(a)はシール材22の半欠截断面図である。図4の(b)はシール材22の背面図である。図4の(c)はシール材22の側面図である。
【0028】
図1に示すように、本実施例に係るフレキシブル管用継手10は、継手本体20と、シール材22と、押輪24などとを備える。継手本体20の一端部には、受口部30が形成されている。継手本体20の他端部の外周には、接続用雄ねじ32が形成されている。受口部30は、金属製のフレキシブル管300の先端部を受け入れる部分である。シール材22は、この継手本体20の受口部30の内部に収容される。押輪24は、この継手本体20に、押込み代を残す半挿入状態で接続される。押輪24は、シール材22よりも後述する挿入口40側に配置される。
【0029】
フレキシブル管300は、図1に示すように、外周部に円周方向全周に延びる山部310と谷部312とを管軸方向へ交互に並設し、その外周を塩化ビニールなどの合成樹脂層314で被覆したものである。
【0030】
図1に示すように、継手本体20の受口部30内には、挿入口40、第1収容部42、第2収容部44が設けられている。これらの中で最も入口側にあるのは挿入口40である。これらの中で最も内奥側にあるのは第2収容部44である。挿入口40には、フレキシブル管300が挿入される。第1収容部42は挿入口40の奥に形成される。第1収容部42は挿入口40に連通される。なお、本発明の説明において、「連通」とは、通路を介して二つの空間を連続状態にすることを意味する。ここでいう「通路」には管状のものだけでなく単なる孔も含まれる。第2収容部44は、フレキシブル管300の先端部と上述したシール材22とを収容する。第2収容部44の内奥端にはストッパー部46がある。ストッパー部46は、第2収容部44に比べ、継手本体20の中心軸方向へ突出している。第1収容部42と第2収容部44との間にはシール材縮径案内部48がある。シール材縮径案内部48は、第1収容部42の、挿入口40とは反対側に設けられている。シール材縮径案内部48は、第1収容部42から離れるにつれ窄まる形状である。第1収容部42と挿入口40との間には抜止縮径案内部50がある。抜止縮径案内部50は、挿入口40から離れるにつれ窄まる形状である。
【0031】
図4の(a)〜(c)に示すように、本実施形態にかかるシール材22は、胴部60aと、管端受け部60bと、単一環状部60cと、連結部60dと、抜止部60eとを有する。シール材22の中央には管挿入孔60hが形成されている。管挿入孔60hにはフレキシブル管300が挿入される。胴部60aと、管端受け部60bと、単一環状部60cと、連結部60dと、抜止部60eとは、一体となっている。胴部60aは筒状である。胴部60aの内径はフレキシブル管300の山部310の外径とほぼ同一である。管端受け部60bは、この胴部60aの前端部に内向きに張り出している。単一環状部60cがフレキシブル管300の谷部312にかみ合うことにより、継手本体20の内周面とフレキシブル管300の外周面とがシールされる。単一環状部60cは、胴部60aの後端部に外向きに張り出している。連結部60dは、この単一環状部60cの後方に設けられ、単一環状部60cと抜止部60eとを連結する。連結部60dの内径は、胴部60aの内径より大きい。抜止部60eは、この連結部60dの後端部すなわち単一環状部60cよりも挿入口40に近い位置に配置される。継手本体20の中にシール材22が収容されたとき、抜止部60eの内径は、連結部60dの内径より小さく、フレキシブル管300の山部310の外径より大きい。継手本体20の中にシール材22が収容されたとき、抜止部60eの外径は、連結部60dの外径より大きい。
【0032】
胴部60a、単一環状部60c、および連結部60dはゴム製である。これらの素材として用いられるゴムの例には、NBR(Acrylonitrile-Butadiene Rubber)、SBR(Styrene-butadiene rubber)、EPDM(ethylene propylene rubber)などがある。
【0033】
管端受け部60bには、黄銅製座金などの補強芯金60fが埋込まれている。管端受け部60bの材質は、胴部60a、単一環状部60cおよび連結部60dと同一材料で形成されていてもよいし、異なる材料で形成されていてもよい。
【0034】
抜止部60eは、胴部60a、単一環状部60cおよび連結部60dよりも硬い材料で形成される。そのような材料の例として、黄銅などの金属材料や硬質樹脂がある。抜止部60eの一部は、円弧状である。複数の抜止部60eが連結部60dの後端部に接続される。これらの抜止部60eは、円周方向に並ぶように配置される。抜止部60e同士は、所定間隔をおいて離れている。抜止部60eの後端の外周には外周テーパ面62が設けられている。この外周テーパ面62は、挿入口40の方向すなわち後端に向かって窄まっている。
【0035】
このシール材22は、フレキシブル管300の差込み前(初期状態)において、図1に示すように配置される。すなわち、初期状態において、管端受け部60bおよび胴部60aが第2収容部44内に位置し、単一環状部60cが第1収容部42内に位置し、かつ抜止部60eが挿入口40内に位置するように、シール材22は配置される。
【0036】
図1に示すように、継手本体20内のストッパー部46には先端掛止め部材70が配置されている。先端掛止め部材70は、金属や硬質樹脂などで形成されている。先端掛止め部材70は、拡縮径自在なC形のリング部72aと、弾性変形自在な複数の逆止爪72bとを有する。リング部72aの外径部は、ストッパー部46の外径側に設けた円周溝74a内に係合している。逆止爪72bは、リング部72aの内径部の数箇所から第2収容部44内に向けて突出している。
【0037】
図1に示すように、押輪24は、筒部76aと鍔部76bとを有する。筒部76aと鍔部76bとは一体となっている。筒部76aは、継手本体20の挿入口40側に配置され、継手本体20に接続される。挿入口40の中において筒部76aは軸方向に移動可能である。筒部76aの中を、フレキシブル管300が挿通可能である。鍔部76bは、この筒部76aの入口側後端部の外周に設けられている。鍔部76bは、後述する嵌入予定部77を挟んで継手本体20に対向している。鍔部76bの外径は、挿入口40の孔径より大きい。
【0038】
筒部76aは、パッキン溝78を有する。パッキン溝78は、筒部76aの入口側後端の内周に設けられている。パッキン溝78は、円周方向に形成されている。パッキン溝78には、防水パッキン80が嵌め込まれている。防水パッキン80は、EPDMなどで作られている。防水パッキン80の断面はT形状である。防水パッキン80の円周方向数箇所には、ピン形状の選択透過性部材100が埋設されている。選択透過性部材100は、気体を透過するが固体や液体は透過しない。これにより、ガス漏れ検査が可能である。選択透過性部材100は、例えば、連続多孔質膜を含むシート材、あるいは連続気孔を有する多孔質体である。前者の連続多孔質膜は、四フッ化エチレン樹脂粉体を成形することによって得られる。後者の多孔質体は、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルアクリレートなどの熱可塑性樹脂粉体から成形することによって得られる。
【0039】
筒部76aのうち挿入口40の中に配置される側の端の外周には、案内テーパ面82aが設けられている。案内テーパ面82aの形状は先細状である。案内テーパ面82aの勾配は、継手本体20に設けられた抜止縮径案内部50とほぼ同一である。筒部76aのうち挿入口40の中に配置される側の端の内周には、押輪テーパ面82bが設けられている。押輪テーパ面82bは、挿入口40の奥に向かって広がる先拡がり状である。
【0040】
図1に示すように、筒部76aのうち継手本体20の内周に対向する面にはスナップリング収容保持溝84が設けられている。スナップリング収容保持溝84は、円周方向に設けられている。一方、継手本体20の挿入口40の内周には、第1のスナップリング係合溝90と第2のスナップリング係合溝92とが設けられている。これらはそれぞれ円周方向に延びている。第2のスナップリング係合溝92が、第1のスナップリング係合溝90よりも挿入口40から遠い位置に設けられている。第1のスナップリング係合溝90内の前側溝壁には溝テーパ面90aが形成されている。溝テーパ面90aは、第1収容部42の方向へ向かって窄まっている。
【0041】
スナップリング収容保持溝84より後側には防水パッキン溝86が設けられている。この防水パッキン溝86には防水パッキン102が嵌め込まれている。継手本体20の第1収容部42の内周には、シール材22の外周を取り囲むように耐火パッキン溝94が設けられている。この耐火パッキン溝94には、熱膨張性黒鉛入りゴムなどからなる耐火パッキン104が嵌め込まれている。
【0042】
本実施例に係るフレキシブル管用継手10は、第1の位置決め保持機構と、第2の位置決め保持機構とを備えている。第1の位置決め保持機構は、押輪24の先端部を初期位置に位置決め保持する。図1は、押輪24が初期位置に位置決め保持されている状態(半挿入状態)を示している。図1から明らかなように、ここで言う初期位置とは、フレキシブル管300の差込み前における、シール材22の抜止部60eの後を意味する。第2の位置決め保持機構は、押輪24の先端部を完全な押込み位置に位置決め保持する。図3は、押輪24の先端部が完全な押込み位置に位置決め保持されている状態を示している。図3から明らかなように、ここで言う完全な押込み位置とは、フレキシブル管300の差込みに伴い第2収容部44内にまでシール材22が押込まれた後における、シール材22の抜止部60eとの間に僅かな隙間を置いた位置を意味する。
【0043】
図1に示すように、第1の位置決め保持機構は、押輪24のスナップリング収容保持溝84と、スナップリング106と、継手本体20の第1のスナップリング係合溝90と、被覆樹脂層110とによって構成されている。スナップリング106は、欠縁部を有しており、弾性変形によって外形が変化する。スナップリング収容保持溝84には、スナップリング106の内周部が嵌め込まれて収容されている。第1のスナップリング係合溝90には、スナップリング106の外周部が係合されている。被覆樹脂層110は、半挿入状態の押輪24のうち継手本体20から露出した部分の外面と受口部30の外面の一部とに密着するように被せられている。それらに密着するのは、押輪24に被せられた後に加熱されることで、被覆樹脂層110が収縮するためである。これにより、被覆樹脂層110は、嵌入予定部77に接していることになる。嵌入予定部77とは、押輪24の筒部76aのうち、スナップリング106の外周が第1のスナップリング係合溝90に嵌め込まれているときには継手本体20から露出し、かつ、スナップリング106の外周が第2のスナップリング係合溝92に嵌め込まれているときには挿入口40の中に配置される部分のことである。その結果、鍔部76bは、嵌入予定部77を挟んで継手本体20に対向していることになる。被覆樹脂層110は、挿入口40の内周面と押輪24の筒部76aとの間の隙間よりも大きい厚みを有し、かつ、熱収縮性のプラスチック製のフィルムからできている。熱収縮性のプラスチック製のフィルムに代え、熱収縮性のプラスチック製のシート、あるいはそのようなプラスチックでできたチューブでできていてもよい。被覆樹脂層110の素材としては、ポリスチレン収縮フィルム、ポリオレフィン収縮フィルム、ポリエステル収縮フィルム、ポリプレン収縮フィルムなど、環境に配慮した非塩ビ系素材が好ましい。
【0044】
第1の位置決め保持機構により、押輪24は、上述した初期位置に位置決め保持される。これにより、半挿入状態の押輪24に不測の力が作用しても、継手本体20の中に押し込まれにくくなる。
【0045】
第2の位置決め保持機構は、押輪24のスナップリング収容保持溝84と、スナップリング106と、継手本体20の第2のスナップリング係合溝92とによって構成されている。上述したように、第2のスナップリング係合溝92は、受口部30の内周において、第2のスナップリング係合溝92は、第1のスナップリング係合溝90よりも挿入口40から遠い位置に、これに並べて設けられている。被覆樹脂層110が外された後、半挿入状態の押輪24が挿入口40の中に押込まれると、スナップリング106が第1のスナップリング係合溝90の溝テーパ面90aから滑り出す。その後さらに押輪24が押込まれると、スナップリング106が第2のスナップリング係合溝92に嵌まる。これにより、押輪24の先端部は、完全な押込み位置に位置決め保持される。上述したように、図3は、スナップリング106が第2のスナップリング係合溝92に嵌った状態を示す。
【0046】
なお、押輪24の押込み代であるストローク長さS(図2参照)は、第1のスナップリング係合溝90と第2のスナップリング係合溝92との間の距離にほぼ等しくなるように設定されている。
【0047】
次に、上述したフレキシブル管用継手10にフレキシブル管300を接続する要領について図1〜図3を参照しつつ説明する。
【0048】
図1のようにフレキシブル管300の接続前におけるフレキシブル管用継手10の在庫・保管時や搬送時などにおいては、第1の位置決め保持機構が、半挿入状態の押輪24が不用意に押込まれる事態を生じにくくする。すなわち、スナップリング106の外周部と第1のスナップリング係合溝90との係合作用や、嵌入予定部77に設けられた被覆樹脂層110の支持作用により、上述した事態の発生は防止される。
【0049】
フレキシブル管300の接続に際しては、先ず、フレキシブル管300(このフレキシブル管300の先端部分の合成樹脂層314は予め剥離されている。その結果、このフレキシブル管300の山部310が露出している。)を、押輪24の入口側から継手本体20の挿入口40内に差し込む。フレキシブル管300は、シール材22の中を、抜止部60e、連結部60d、単一環状部60c、胴部60aの順に通過する。その後、フレキシブル管300の先端部は、シール材22の管端受け部60bに当接する。その際、シール材22の単一環状部60cは外向きに張り出す形に形成されているので、フレキシブル管300の差込み時にその単一環状部60cが障害になるようなことない。フレキシブル管300の先端部はシール材22内にスムーズに挿入できる。
【0050】
シール材22の管端受け部60bに当接するまでフレキシブル管300が差込まれると、シール材22の胴部60aは第2収容部44の奥へ押込まれる。この押込みに伴い、シール材22の単一環状部60cはシール材縮径案内部48の窄まり側に移動する。単一環状部60cは、シール材縮径案内部48に押されて内向きに縮径変形する。単一環状部60cは、シール材縮径案内部48を通過して第2収容部44内に引き込まれるや否やフレキシブル管300の谷部312にかみ合う。その際、単一環状部60cは、谷部312の斜面312aに密着する。これと同時にシール材22の抜止部60eが抜止縮径案内部50の窄まり側に移動する。抜止部60eは、抜止縮径案内部50によって縮径方向に押されながら第1収容部42に引き込まれる。これにより、図2に示すように、フレキシブル管300の先端部の外周面と継手本体20の第2収容部44の内周面との間がシール材22によって確実に密封シールされる。そこが密封シールされることで、フレキシブル管300内を流れる流体がフレキシブル管300の先端部からフレキシブル管300の先端部外周と継手本体20の第2収容部44内周との間を経て漏れ出るのを防止できる。フレキシブル管300が少々変形していたとしても、その効果はほとんど低下しない。なお、フレキシブル管300の先端部とシール材22の管端受け部60bとの間でもシール機能を期することができる。
【0051】
続いて、シール材22の管端受け部60bに当接するまでフレキシブル管300が差込まれると、シール材22の管端受け部60bの内径部およびフレキシブル管300の先端部の内面が先端掛止め部材70の逆止爪72bに係合する。シール材22の管端受け部60bの内径部およびフレキシブル管300の先端部の内面が逆止爪72bに係合するのは、シール材22の管端受け部60bの内径部およびフレキシブル管300の先端部の内面が、逆止爪72bと第2収容部44の内周面との間を通過した後である。逆止爪72bは、シール材22の管端受け部60bの内径部およびフレキシブル管300の先端部の内面が通過している間、弾性変形している。この管端受け部60bが逆止爪72bを通過する時、施工者は手応えを感じる。これにより、フレキシブル管300が所定深さまで差込まれたことを施工者は実感できる。
【0052】
さらに、そのようにフレキシブル管300の先端部が先端掛止め部材70の逆止爪72bに係合し、かつ、抜止部60eが谷部312に入り込むことで、フレキシブル管300が振れるのを抑制できる。図2は、シール材22の管端受け部60bの内径部およびフレキシブル管300の先端部の内面が、逆止爪72bと第2収容部44の内周面との間を通過し、フレキシブル管300の先端がストッパー部46に突き当たった状況を示す。
【0053】
フレキシブル管300の差込み完了後には、被覆樹脂層110を押輪24から外す。被覆樹脂層110が外れると、押輪24を押込み代(図2に示すストローク長さSのこと)分だけ完全に押込む。この押し込みに伴い、スナップリング106は、スナップリング収容保持溝84内に内周部が嵌め込まれた状態で、継手本体20の第1のスナップリング係合溝90の溝テーパ面90aに沿って第1のスナップリング係合溝90から滑り出す。溝テーパ面90aに沿って移動するため、スナップリング106は縮径するよう弾性変形する。そして、押輪24が完全に押し込まれた時点で、スナップリング106の外周部が第2のスナップリング係合溝92に嵌まる。スナップリング106の外周部が第2のスナップリング係合溝92に嵌まる時、それまで縮径していたスナップリング106は拡径する。これにより、シール材22が受口部30の入口側方向へ戻り移動するのを防止できる。図3は、押輪24が完全に押し込まれた状態を示す。押輪24の先端部は、シール材22の抜止部60eの後側に位置する完全な押込み位置に保持される。このとき、図3から明らかなように、シール材22によるシール状態は確保される。
【0054】
また、押輪24の完全な押込みに伴い、押輪24の先端部の押輪テーパ面82bがシール材22の抜止部60eの外周テーパ面62に近接し、かつ、対向する。この後、フレキシブル管300に対して継手本体20から引き抜く方向に引抜力がかかると、外周テーパ面62は、挿入口40の方向に少し移動して、押輪テーパ面82bに接触する。外周テーパ面62は、押輪テーパ面82bに接触すると、押輪テーパ面82bから反力を受ける。外周テーパ面62が押輪テーパ面82bから反力を受けると、抜止部60eの一部として外周テーパ面62の背面側に配置された嵌入部分63は、フレキシブル管300の谷部312に嵌まり込む。外周テーパ面62が押輪テーパ面82bから反力を受け、かつ、嵌入部分63がフレキシブル管300の谷部312にその反力を伝達することで、フレキシブル管300の抜け出しは阻止される。
【0055】
<第2の実施形態>
以下、本発明の第2の実施形態を図面に基づき説明する。図5は、本発明の第2の実施形態にかかるフレキシブル管用継手を、シール材23押し込み前の状態で示す半欠截断面図である。図6は、シール材23押し込み完了途中の状態で示す同フレキシブル管用継手の半欠截断面図である。図7は、フレキシブル管の差込み完了後の状態で示す同フレキシブル管用継手の半欠截断面図である。
【0056】
図5に示すように、本実施例に係るフレキシブル管用継手12は、継手本体21と、シール材23と、押輪24などとを備える。継手本体21の一端部には、受口部31が形成されている。継手本体21の他端部の外周には、接続用雄ねじ32が形成されている。受口部31は、金属製のフレキシブル管300の先端部を受け入れる部分である。シール材23は、この継手本体21の受口部31の内部に収容される。押輪24は、受口部31内に押込み代を残す半挿入状態に挿入される。
【0057】
図5に示すように、継手本体21の受口部31内には、挿入口41、第1収容部42、第2収容部44が設けられている。
【0058】
図5に示すように、シール材23は、胴部61aと、管端受け部60bと、第1環状部61cと、第2環状部61gと、連結部60dと、抜止部60eとを有する。胴部61aと、管端受け部60bと、第1環状部61cと、第2環状部61gと、連結部60dと、抜止部60eとは、一体となっている。胴部61aは筒状である。胴部61aの長さは、第1の実施形態における胴部60aよりも短い。第1環状部61cおよび第2環状部61gは環状である。第1環状部61cは、胴部61aの後端部に外向きに張り出している。第2環状部61gは、第1環状部61cの後端部に接続されている。第1環状部61cと第2環状部61gとの間隔は、フレキシブル管300の谷部312の間隔とほぼ同一である。第1環状部61cと第2環状部61gとは、第1の実施形態にかかる単一環状部60cとほぼ同様の役割を果たす。連結部60dは、第2環状部61gの後方に設けられ、第2環状部61gと抜止部60eとを連結する。
【0059】
胴部61a、第1環状部61c、第2環状部61g、および連結部60dは、ゴム製である。これらの素材となるゴムの例は第1の実施形態と同様である。
【0060】
このシール材23は、フレキシブル管300の差込み前(初期状態)において、図5に示すように配置される。すなわち、初期状態において、管端受け部60bおよび胴部61aが第2収容部44内に位置し、第1環状部61cおよび第2環状部61gが第1収容部42内に位置し、かつ抜止部60eが挿入口41内に位置するように、シール材23は配置される。
【0061】
その他の部分については前述の第1の実施形態と同じである。それらについての機能も同じである。したがって、それらについての詳細な説明はここでは繰返さない。
【0062】
次に、上述したフレキシブル管用継手12にフレキシブル管300を接続する要領について図5〜図7を参照しつつ説明する。
【0063】
図5のようにフレキシブル管300の接続前におけるフレキシブル管用継手12の在庫・保管時や搬送時などにおいては、第1の位置決め保持機構が、半挿入状態の押輪24が不用意に押込まれる事態を生じにくくする。
【0064】
フレキシブル管300の接続に際しては、先ず、フレキシブル管300を、押輪24の入口側から継手本体21の挿入口41内に差し込む。フレキシブル管300は、シール材23の中を、抜止部60e、連結部60d、第2環状部61g、第1環状部61c、胴部60aの順に通過する。その後、フレキシブル管300の先端部は、シール材23の管端受け部60bに当接する。その際、第1環状部61cと第2環状部61gとは外向きに張り出す形に形成されているので、フレキシブル管300の差込み時にそれらが障害になるようなことない。フレキシブル管300の先端部はシール材23内にスムーズに挿入できる。
【0065】
シール材23の管端受け部60bに当接するまでフレキシブル管300が差込まれると、シール材23は、フレキシブル管300により第2収容部44の奥へ押し込まれる。この押込みに伴い、シール材23の第1環状部61cはシール材縮径案内部48の窄まり側に移動する。第1環状部61cは、シール材縮径案内部48に押されて内向きに縮径変形する。第1環状部61cは、シール材縮径案内部48を通過して第2収容部44内に引き込まれるや否やフレキシブル管300の谷部312にかみ合う。
【0066】
第1環状部61cがシール材縮径案内部48に沿って移動している間、第2環状部61gは、第1収容部42の内周面に沿って第2収容部44の方へ移動している。第1環状部61cがフレキシブル管300の谷部312にかみ合うと、第2環状部61gは、第1環状部61cがかみ合った谷部312に隣接する谷部312にかみ合い始める。その後、第1収容部42を通過した第2環状部61gがシール材縮径案内部48に沿って移動するようになると、第2環状部61gは、シール材縮径案内部48に押されて内向きに縮径変形する。その後、第2環状部61gは、シール材縮径案内部48を通過して第2収容部44内に引き込まれるや否やフレキシブル管300の谷部312にかみ合う。これにより、図6に示すように、フレキシブル管300の先端部の外周面と継手本体21の第2収容部44の内周面との間がシール材23によって確実に密封シールされる。その際、第1環状部61cは、谷部312の斜面312aに密着する。第2環状部61gも、谷部312の斜面312aに密着する。それらが密着することで、フレキシブル管300内を流れる流体が漏れ出る可能性は、第1の実施形態にかかるフレキシブル管用継手10よりも低くなる。
【0067】
第1環状部61cや第2環状部61gが移動している間、シール材23の抜止部60eが抜止縮径案内部50の窄まり側に移動する。抜止部60eは、抜止縮径案内部50によって縮径方向に押されながら第1収容部42に移動する。
【0068】
また、図6に示すように、シール材23の管端受け部60bに当接するまでフレキシブル管300が差込まれると、シール材23の管端受け部60bの内径部およびフレキシブル管300の先端部の内面が先端掛止め部材70の逆止爪72bに係合する。
【0069】
フレキシブル管300の差込み完了後には、被覆樹脂層110を押輪24から外す。被覆樹脂層110が外れると、押輪24を押込み代分だけ完全に押込む。これにより、シール材23が受口部31の入口側方向へ戻り移動するのを防止できる。図7は、押輪24が完全に押し込まれた状態を示す。押輪24の先端部は、シール材23の抜止部60eの後側に保持される。したがって、シール材23によるシール状態は確保される。
【0070】
また、押輪24の完全な押込みに伴い、フレキシブル管300を引き抜く方向の外力がその後に加わったとしてもフレキシブル管300の抜け出しが確実に阻止されるようになる。その原理は第1の実施形態と同様である。
【0071】
今回開示された実施形態はすべての点で例示である。本発明の範囲は上述した実施形態に基づいて制限されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の設計変更をしてもよいのはもちろんである。
【0072】
たとえば、本発明は、継手本体20あるいは継手本体21の一端に受口部30あるいは受口部31が形成され、継手本体20あるいは継手本体21の他端の外周に接続用雄ねじ32が形成された雄ねじフレキシブル管用継手に限られない。本発明は、他の構造、例えば、両端に受口部を有する左右対称のソケット形のフレキシブル管用継手や、エルボ型のフレキシブル管用継手などにも適用できることは勿論である。
【0073】
また、本発明は、フレキシブル管300の谷部312のうち1箇所または2箇所をシール材がシールするものに限定されない。シール材のうち、フレキシブル管300の谷部312に密着する部分は、3箇所以上あってもよい。
【0074】
また、本発明において、胴部60aの内径がフレキシブル管300の外径以下ならば、管端受け部60bおよび補強芯金60fは必ずしも必要なものではない。胴部60aとフレキシブル管300との間に作用する摩擦力によって、シール材は、継手本体の第2収容部の中に引き込まれていくためである。管端受け部60bおよび補強芯金60fがない場合、先端掛止め部材70は不要である。
【0075】
また、第2の実施形態において、第1環状部61cと第2環状部61gとの間隔は、フレキシブル管300の谷部312の間隔より小さくても良い。第1環状部61cと第2環状部61gとの間隔は、フレキシブル管300の谷部312にかみ合う際、弾性変形によって広がるためである。
【図面の簡単な説明】
【0076】
【図1】本発明の第1の実施形態にかかるフレキシブル管用継手を、シール材押し込み前の状態で示す半欠截断面図である。
【図2】シール材押し込み完了の状態で示す同フレキシブル管用継手の半欠截断面図である。
【図3】フレキシブル管の差込み完了後の状態で示す同フレキシブル管用継手の半欠截断面図である。
【図4】(a)はシール材の半欠截断面図、(b)はシール材の背面図、(c)はシール材の側面図である。
【図5】本発明の第2の実施形態にかかるフレキシブル管用継手を、シール材押し込み前の状態で示す半欠截断面図である。
【図6】シール材押し込み完了の状態で示す同フレキシブル管用継手の半欠截断面図である。
【図7】フレキシブル管の差込み完了後の状態で示す同フレキシブル管用継手の半欠截断面図である。
【図8】第1の従来例のフレキシブル管用継手の半欠截断面図である。
【図9】(A)は第2の従来例のフレキシブル管用継手を、フレキシブル管差込み途中の状態で示す断面図、(B)は同フレキシブル管用継手を、フレキシブル管差込み完了後の状態で示す断面図である。
【符号の説明】
【0077】
10,12 フレキシブル管用継手
20,21 継手本体
22,23 シール材
24,210,254 押輪
30,31 受口部
32 接続用雄ねじ
40,41 挿入口
42 第1収容部
44 第2収容部
46 ストッパー部
48 シール材縮径案内部
50 抜止縮径案内部
60a,61a 胴部
60b 管端受け部
60c 単一環状部
60d 連結部
60e 抜止部
60f 補強芯金
60h 管挿入孔
61c 第1環状部
61g 第2環状部
62 外周テーパ面
63 嵌入部分
70 先端掛止め部材
72a リング部
72b 逆止爪
74a 円周溝
76a 筒部
76b 鍔部
77 嵌入予定部
78 パッキン溝
80,102 防水パッキン
82a 案内テーパ面
82b 押輪テーパ面
84 スナップリング収容保持溝
86 防水パッキン溝
90 第1スナップリング係合溝
90a 溝テーパ面
92 第2スナップリング係合溝
94 耐火パッキン溝
100 選択透過性部材
104 耐火パッキン
106 スナップリング
110 被覆樹脂層
200,250 継手本体
200a 大径孔
200b 中径孔
200c 小径孔
202 スリーブ
204 リングスプリング
206 リング
208 パッキン
252 リテーナ部材
252a 後方突起
256 防水パッキン
258 ストップリング部材
260 第1溝
262 第2溝
264 第3溝
270 管挿入孔
300 フレキシブル管
310 山部
312 谷部
312a 斜面
314 合成樹脂層
S ストローク長さ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
継手本体と、
前記継手本体内に収容される弾性変形可能なシール材とを備え、
フレキシブル管が前記継手本体内に挿入され、
前記フレキシブル管の外周部には、円周方向全周に延びる山部と谷部とが管軸方向へ交互に並設されており、
前記シール材には、中央に管挿入孔が形成されていて前記フレキシブル管が挿入され、
前記シール材は、前記管挿入孔に挿入されたフレキシブル管の外周面と前記継手本体の内周面との間でシールするフレキシブル管用継手であって、
前記継手本体が、
前記フレキシブル管が挿入される挿入口と、
前記挿入口の奥に形成され該挿入口に連通される第1収容部と、
前記第1収容部の前記挿入口とは反対側に形成され、前記第1収容部から離れるにつれ窄まるシール材縮径案内部と、
前記シール材縮径案内部の奥に形成され、前記フレキシブル管の先端部とこのフレキシブル管の先端部の外周のシール材とを収容する第2収容部とを有し、
前記シール材は、
前記継手本体内に収容されたフレキシブル管の先端部により前記第2収容部の奥へ押し込まれる胴部と、
前記胴部の前記第2収容部の奥への押し込みによって前記第2収容部の中へ引き込まれるシール作用部とを有し、
前記シール作用部が、前記第2収容部の中へ引き込まれる際、前記シール材縮径案内部により前記フレキシブル管の谷部にかみ合い、前記第2収容部の中へ引き込まれた後、前記第2収容部の内周と前記フレキシブル管の外周との間をシールすることを特徴とする、フレキシブル管用継手。
【請求項2】
前記シール作用部が、前記シール材縮径案内部および前記第1収容部の中心軸方向に並ぶよう配置される複数の環状部を有し、
隣接する前記環状部同士が互いに接続されていることを特徴とする、請求項1に記載のフレキシブル管用継手。
【請求項3】
前記シール作用部が、前記フレキシブル管の円周方向全周に延びる1つの環状部を有しており、
前記環状部が、前記フレキシブル管の谷部にかみ合うことを特徴とする、請求項1に記載のフレキシブル管用継手。
【請求項4】
前記フレキシブル管用継手が、前記シール材よりも前記継手本体の挿入口側に配置されて前記継手本体に接続される押輪をさらに備え、
前記押輪が、前記フレキシブル管が貫通する筒部を有し、
前記筒部のうち前記挿入口の中に配置される側の端に、前記挿入口の奥に向かって広がる押輪テーパ面が設けられており、
前記シール材が、抜止部をさらに有し、
前記抜止部は、前記シール作用部よりも前記挿入口に近い位置に配置されており、
前記抜止部の外周に、前記挿入口の方向に向かって窄まる外周テーパ面が設けられており、
前記外周テーパ面が前記押輪テーパ面と対向しており、
前記フレキシブル管に対して前記継手本体から引き抜く方向に引抜力がかかったとき、前記押輪テーパ面に接触した前記外周テーパ面が前記押輪テーパ面から反力を受けると、前記抜止部のうち前記外周テーパ面の背面側に配置された部分が、前記フレキシブル管に前記反力を伝達して前記フレキシブル管の抜け出しを阻止することを特徴とする、請求項1に記載のフレキシブル管用継手。
【請求項5】
前記フレキシブル管用継手が、弾性変形によって外径が変化するスナップリングをさらに備え、
前記筒部のうち前記継手本体の内周に対向する面にスナップリング収容保持溝が設けられており、
前記スナップリングの内周が、前記スナップリング収容保持溝に嵌め込まれており、
前記継手本体の内周に、
第1のスナップリング係合溝と、
第2のスナップリング係合溝とが設けられており、
前記第2のスナップリング係合溝が、前記第1のスナップリング係合溝よりも前記挿入口から遠い位置に設けられており、
前記スナップリングの外周が第1のスナップリング係合溝に嵌め込まれているとき前記押輪が前記挿入口の中に押し込まれると、前記スナップリングが、前記第1のスナップリング係合溝から滑り出し、前記第2のスナップリング係合溝に嵌まることを特徴とする、請求項4に記載のフレキシブル管用継手。
【請求項6】
前記フレキシブル管用継手が樹脂層をさらに備え、
前記樹脂層が、前記押輪の筒部のうち、前記スナップリングの外周が第1のスナップリング係合溝に嵌め込まれているときには前記継手本体から露出し、かつ、前記スナップリングの外周が第2のスナップリング係合溝に嵌め込まれているときには前記挿入口の中に配置される嵌入予定部に接しており、
前記押輪が、前記筒部に加え、前記筒部の外周に鍔部を有しており、
前記鍔部が、前記嵌入予定部を挟んで前記継手本体に対向していることを特徴とする、請求項5に記載のフレキシブル管用継手。
【請求項7】
前記フレキシブル管用継手が耐火パッキンをさらに備え、
前記耐火パッキンが、前記第1収容部の内周において前記シール材の外周に配置されることを特徴とする、請求項1に記載のフレキシブル管用継手。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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