説明

フレームレート変換装置及びその制御方法

【課題】動画像と静止画像が合成された合成動画像に対し、映像の動きを精度良く検出することができ、ひいては画像の劣化が抑制された補間フレームを生成して合成動画像のフレームレートを変換することのできる技術を提供する。
【解決手段】本発明のフレームレート変換装置は、静止画像が合成されていない動画像から、各画素位置での映像の動きを検出して動き情報を生成する検出手段と、動画像の一部のブレンド領域に静止画像を所定の不透明度で合成して合成動画像を生成する合成手段と、合成動画像のフレーム間に挿入する補間フレームの注目画素が、ブレンド領域内の画素であるか否かを判定する判定手段と、判定結果に応じて、補間フレームの注目画素の画素値を決定して、補間フレームを生成する生成手段と、を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フレームレート変換装置及びその制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、動画像と静止画像が合成された映像(合成動画像)のフレーム間に補間フレームを挿入することにより、合成動画像のフレームレートを変換する技術がある。そのような技術では、補間フレームを生成する際に、補間フレームの画像が劣化してしまうという問題がある。そのような問題を解決するための方法として、例えば、合成動画像の動画像部分に対して動きベクトルの検出を伴うフレームレート変換を行い、静止画像部分に対して動きベクトルの検出を伴わないフレームレート変換を行う方法がある(特許文献1,2)。特許文献1,2に開示の技術では、上記方法により、静止画像部分の劣化の抑制を図っている。しかしながら、合成動画像から動きベクトルが検出されるため、動きベクトルを誤検出する虞がある。また、検出された動きベクトルが静止画像部分の画素位置を指し示した場合に、補間フレームの画像が乱れる(劣化する)虞がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−160591号公報
【特許文献2】特開2008−228233号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、動画像と静止画像が合成された合成動画像に対し、映像の動きを精度良く検出することができ、ひいては画像の劣化が抑制された補間フレームを生成して合成動画像のフレームレートを変換することのできる技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の第1の態様は、動画像に静止画像が合成された合成動画像のフレーム間に補間フレームを挿入することにより、合成動画像のフレームレートを変換するフレームレート変換装置であって、静止画像が合成されていない動画像から、各画素位置での映像の動きを検出して動き情報を生成する検出手段と、動画像の一部のブレンド領域に静止画像を所定の不透明度で合成して合成動画像を生成する合成手段と、合成手段により生成された合成動画像のフレーム間に挿入する補間フレームの注目画素が、ブレンド領域内の画素であるか否かを判定する判定手段と、補間フレームの注目画素がブレンド領域内の画素であると判定された場合は、補間フレームの前または後の合成動画像のフレームにおける注目画素と同じ位置の画素値を注目画素の画素値として決定し、補間フレームの注目画素がブレンド領域内の画素でないと判定された場合は、補間フレームの前および後の合成動画像のフレームの少なくとも一方における、注目画素に対応する動き情報により特定される位置の対応画素の画素値に基づいて注目画素の画素値を決定して、補間フレームを生成する生成手段と、を有することを特徴とするフレームレート変換装置である。
【0006】
本発明の第2の態様は、動画像に静止画像が合成された合成動画像のフレーム間に補間フレームを挿入することにより、合成動画像のフレームレートを変換するフレームレート変換装置であって、静止画像が合成されていない動画像から、各画素位置での映像の動きを検出して動き情報を生成する検出手段と、動画像の一部のブレンド領域に静止画像を所定の不透明度で合成して合成動画像を生成する合成手段と、不透明度が所定の閾値より大きいか否かを判定する判定手段と、不透明度が所定の閾値より大きいと判定された場合は
、補間フレームの前または後の合成動画像のフレームの各画素値を補間フレームの各画素値として決定し、不透明度が所定の閾値以下であると判定された場合は、補間フレームの前および後の合成動画像のフレームの少なくとも一方における、補間フレームの注目画素に対応する動き情報により特定される位置の対応画素の画素値に基づいて注目画素の画素値を決定して、補間フレームを生成する生成手段と、を有することを特徴とするフレームレート変換装置である。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、動画像と静止画像が合成された合成動画像に対し、映像の動きを精度良く検出することができ、ひいては画像の劣化が抑制された補間フレームを生成して合成動画像のフレームレートを変換することのできる技術を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本実施例に係るフレームレート変換装置の機能構成を示すブロック図。
【図2】ブレンド領域信号生成処理の一例を示すフローチャート。
【図3】フレームの画像の一例を示す図。
【図4】実施例1の最終補間フレームの生成処理の一例を示すフローチャート。
【図5】動きベクトル検出処理を説明する図。
【図6】合成映像データから補間フレームデータが生成される例を示す図。
【図7】実施例2の最終補間フレームの生成処理の一例を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0009】
<実施例1>
以下、本発明の実施例1に係るフレームレート変換装置及びその制御方法について説明する。本実施例に係るフレームレート変換装置は、動画像に静止画像が合成された合成動画像のフレーム間に補間フレームを挿入することにより、合成動画像のフレームレートを変換する。
【0010】
(構成)
図1は本実施例に係るフレームレート変換装置の機能構成を示すブロック図である。
映像入力部101は、フレームレート変換装置に入力された入力映像データ(静止画像が合成されていない動画像)をフレームメモリ102に書き込む。
動きベクトル検出部108は、入力映像データから、各画素位置での映像の動きを検出して動き情報を生成する。具体的には、入力映像データからフレーム間の動きベクトルを画素位置毎に検出し、検出結果を動きベクトルデータとして出力する。
【0011】
合成部104は、入力映像データ(動画像)の一部の領域(ブレンド領域)にグラフィックデータを所定のブレンド率(不透明度)で合成し、合成映像データ(静止画像が合成された合成動画像)を生成する。グラフィックデータは、例えば、GUIなどに用いられる図形・文字・絵柄などの静止画像であり、グラフィックメモリ105に蓄積されている。また、合成部104で生成された合成映像データはフレームメモリ110へ書き込まれる。
合成映像出力部112は、フレームメモリ110から合成映像データを読み出す。
【0012】
ブレンド領域信号生成部107は、合成映像データの各フレームについて、画素毎に、ブレンド領域内の画素か否かを判定し、判定結果をブレンド領域信号として出力する。ブレンド領域とは、合成動画像において静止画像が合成されている領域のことである。閾値設定部106で予め設定されたブレンド率の閾値を用いて、ブレンド領域内の画素か否かが判定される。
動き補間フレーム生成部111は、動き情報(動きベクトルデータ)に基づいて、合成
映像データから補間フレームデータ(補間フレーム)を生成する。
【0013】
最終補間フレーム出力部113は、フレームレートが変換された合成映像データを出力映像データとして映像出力部114へ出力する。具体的には、最終補間フレーム出力部113は、最終補間フレームの各画素の画素値として、合成映像データと補間フレームデータのいずれか一方の画素値を選択する。なお、本実施例では、最終補間フレーム出力部113は、(後述する)画素判定部109での判定結果を用いて最終的な補間フレームデータ(最終補間フレームデータ)を生成し、出力する(詳細は後述する)。
【0014】
画素判定部109は、動きベクトルデータとブレンド領域信号を用いて、最終補間フレームの各画素に対して割り当てる画素値を動き補間フレーム生成部111と合成映像出力部112のどちらから読み出すべきかを判定する。そして、その判定結果を最終補間フレーム出力部113へ出力する。
映像出力部114は、フレームメモリ110から読み出された合成動画像の各フレームの間に、最終補間フレーム出力部113から出力された最終補間フレームを挿入して、フレームレート変換する。そして、フレームレート変換された映像データを後段の映像処理装置、表示装置、メモリなどの蓄積部に出力する。
なお、図1のフレームメモリ102、グラフィックメモリ105、フレームメモリ110としては、例えば、ハードディスクなどの磁気記録媒体や、揮発性メモリや不揮発性メモリなどの誘電体メモリが適用可能である。
【0015】
(ブレンド領域信号の生成)
図2のフローチャートを用いて、ブレンド領域信号が生成されるまでの処理の流れについて説明する。
まず、合成部104が、合成映像データとブレンド率の情報(ブレンド率情報)をブレンド領域信号生成部107へ出力する(S201)。動画像の画素値をA、静止画像の画素値をB、ブレンド率をα(0≦α≦1)とすると、合成動画像の画素値Cは、例えば、以下の式1で表される。
C=(1−α)×A+α×B (式1)
なお、α=0のときは、静止画像が合成されていないことを意味する。
【0016】
そして、ブレンド領域信号生成部107が、合成映像データの各フレームについて、画素毎に、対応するブレンド率αが閾値設定部106で設定された閾値より大きいか否かを判定する(S202)。ブレンド率αが閾値より大きい場合には(S202:YES)、ブレンド領域信号生成部107は、その画素がブレンド領域内の画素であると判定し、ブレンド領域信号をイネーブルに設定する(S203)。ブレンド率αが閾値以下である場合には(S202:NO)、ブレンド領域信号生成部107は、その画素がブレンド領域外の画素であると判定し、ブレンド領域信号をディセーブルに設定する(S204)。閾値は、例えば、動画像の方が静止画像よりも目立つブレンド率の最大値である。なお、閾値は、固定値であってもよいし、フレーム毎に画像の種類(特徴)に応じて設定されるものであってもよい。ユーザやメーカによって設定されてもよい。
【0017】
図3はブレンド領域とそうでない領域の一例を示す。図3において領域702は、ブレンド率αが閾値以下である領域(ブレンド領域ではない領域)を示している。領域704は、ブレンド率αが閾値よりも大きい領域(ブレンド領域)を示している。
【0018】
(最終補間フレームの生成)
図4のフローチャートを用いて、本実施例に係るフレームレート変換装置の最終補間フレームの生成処理について説明する。
まず、入力映像出力部103と合成部104が、フレームメモリ102から入力映像デ
ータを読み出す(S401)。そして、合成部104は、グラフィックメモリ105からグラフィックデータを読み出す(S402)。次に、合成部104は、読み出した入力映像データとグラフィックデータとを所定のブレンド率αで合成する(S403)。
【0019】
そして、合成部104は、合成映像データを動き補間フレーム生成部111へ出力すると共に、合成映像データとブレンド率情報をブレンド領域信号生成部107へ出力する。また、入力映像出力部103が、それと同期して入力映像データを動きベクトル検出部108へ出力する(S404)。
次に、動きベクトル検出部108が、入力映像データからフレーム間の動きベクトルを検出し、検出結果を動きベクトルデータとして動き補間フレーム生成部111と画素判定部109へ出力する(S405)。本実施例では、合成映像データ(静止画像が合成された後の合成動画像)ではなく、入力映像データ(静止画像が合成される前の動画像)から動きベクトルを検出することにより、動きベクトルの誤検出や検出漏れを抑制することができる。図5を用いて詳しく説明する。なお、以下では或る時刻のフレームの画素に対応する画素を当該フレームの後のフレームから検出する場合について説明する。
【0020】
図5(a)は、合成映像データから動きベクトルを検出する場合の従来例を示す図である。この場合には、動きベクトルの誤検出や検出漏れが生じることがある。例えば、或る時刻のフレーム501の画素511(ブレンド領域外の画素)がその直後のフレーム502の画素512(ブレンド領域内の画素)に対応する場合に誤検出や検出漏れが生じる虞がある。具体的には、画素512は、静止画像がブレンドされていることにより、入力時の画素値(入力映像データの画素値)とは異なる画素値を有する。そのため、動きベクトル検出部108は、画素511に対応する画素として画素512を検出することができないことがある(検出漏れ)。更に、画素511に対応する画素として画素512とは異なる画素(例えば、図5(a)の画素513)を検出してしまう虞がある(誤検出)。
また、或る時刻のフレーム503の画素514(ブレンド領域外の画素)がその直後のフレーム504の画素515(ブレンド領域外の画素)に対応する場合に誤検出が生じる虞がある。具体的には、静止画像がブレンドされることにより、フレーム504のブレンド領域内の画素値が、画素514の画素値と近い値となることがある。そのため、動きベクトル検出部108は、画素514に対応する画素として、画素515ではなく、フレーム504のブレンド領域内の画素(例えば、図5(a)の画素516)を検出してしまうことがある(誤検出)。
或る時刻のフレームの画素がブレンド領域内の画素である場合にも同様の理由から誤検出や検出漏れが生じる虞がある。
このような映像の動きの検出漏れや誤検出は、補間フレームの画像の乱れの原因となる。
一方、図5(b)に示すように、本実施例では、入力映像データ(静止画像が合成される前の動画像)から映像の動きが検出されるため、上述したような誤検出や検出漏れが生じることはない。
【0021】
なお、図4では省略しているが、上述したように、動き補間フレーム生成部111は、動きベクトルデータに基づいて、合成映像データから補間フレームデータを生成する。具体的には、動き情報(動きベクトルデータ)に基づいて位置が特定される対応画素(補間フレームの画素に対応する対応画素)を補間フレームの後のフレーム(合成動画像のフレーム;後フレーム)から検出して補間フレームデータを生成する。
図6(a)〜図6(c)は、動き補間フレーム生成部111によって、動きベクトルデータに基づいて、合成映像データから補間フレームデータが生成される例を示す図である。図6(a)を参照して、補間フレームF(i)の画素602は、合成映像データの前フレームF(i−1)の画素601と、後フレームF(i+1)の画素603とを結ぶ動きベクトルの中間に位置する。画素601の画素値と画素603の画素値の平均値が算出さ
れ、画素602の画素値とされる。画素601〜603の画素位置は全てフレンド領域外であるため、補間フレームF(i)のブレンド領域外の画素602の画素値は、ブレンド領域の静止画像の影響を受けない。
図6(b)を参照して、補間フレームF(i)の画素612は、合成映像データの前フレームF(i−1)の画素611と、後フレームF(i+1)の画素613とを結ぶ動きベクトルの中間に位置する。画素611の画素値と画素613の画素値の平均値が算出され、画素612の画素値とされる。画素611,612の画素位置はフレンド領域外、画素613の画素位置はブレンド領域内である。このため、補間フレームF(i)のブレンド領域外の画素612の画素値に対して、後フレームF(i+1)のブレンド領域内の画素613の画素値が加味されてしまう。
図6(c)を参照して、補間フレームF(i)の画素622は、合成映像データの前フレームF(i−1)の画素621と、後フレームF(i+1)の画素623とを結ぶ動きベクトルの中間に位置する。画素621の画素値と画素623の画素値の平均値が算出され、画素622の画素値とされる。画素621の画素位置はフレンド領域外、画素622,623の画素位置はブレンド領域内である。このため、補間フレームF(i)のブレンド領域内の画素622の画素値に対して、前フレームF(i−1)のブレンド領域外の画素621の画素値が加味されてしまう。
【0022】
(S405の)次に、ブレンド領域信号生成部107が、合成映像データの各フレームについて、画素毎に、ブレンド領域内の画素か否かを判定し、判定結果をブレンド領域信号として画素判定部109へ出力する(S406)。なお、合成画像データのフレーム内の各画素の画素位置と補間フレームの内の各画素の画素位置はズレがなく、同じであるものとする。つまり、ブレンド領域信号生成部107による合成映像データの各フレーム内の各画素についての判定結果は、補間フレーム(最終補間フレーム)内の各画素についての判定結果に置き換えられる。そして、画素判定部109が、動きベクトルデータとブレンド領域信号を用いて、最終補間フレームの画素値を動き補間フレーム生成部111と合成映像出力部112のどちらから読み出すべきかを判定し、その判定結果を最終補間フレーム出力部113へ出力する。
【0023】
具体的には、S407で、画素判定部109が、最終補間フレームの注目画素(処理対象の画素)がブレンド領域内の画素か否かを判定する。図6(c)に示すように、ブレンド領域内の画素に対し動きベクトルデータに基づいて決定した画素値を割り当てると、ブレンド領域内の画像(静止画像)が乱れる虞がある。そのため、最終補間フレームの処理対象の注目画素がブレンド領域内の画素である場合には(S407:YES)、画素判定部109は、その画素に対して割り当てる画素値は合成映像出力部112から読み出すべきであると判定し、S409へ進む。処理対象の注目画素がブレンド領域内の画素でない場合には(S407:NO)、S408へ進む。
【0024】
S408では、画素判定部109が、最終補間フレームの処理対象の注目画素に対応する対応画素がブレンド領域内の画素か否かを判定する。具体的には、最終補間フレームの処理対象の注目画素に対応する動きベクトルが指す画素(最終補間フレームの後のフレームの画素)がブレンド領域内の画素であるか否かを判定する。図6(b)に示すように、対応画素がブレンド領域内の画素である注目画素に対し動きベクトルデータに基づいて決定した画素値を割り当てると、ブレンド領域ではない位置に動画像と静止画像がブレンドされた画素が存在することとなるため、画像が乱れる虞がある。そのため、最終補間フレームの処理対象の注目画素の対応画素がブレンド領域内の画素である場合には(S408:YES)、画素判定部109は、その画素に対して割り当てる画素値は合成映像出力部112から読み出すべきであると判定し、S409へ進む。最終補間フレームの処理対象の注目画素の対応画素がブレンド領域内の画素でない場合には(S408:NO)、画素判定部109は、その画素に対して割り当てる画素値は動き補間フレーム生成部111か
ら読み出すべきであると判定し、S410へ進む。なお、画素判定部109は、前フレームF(i−1)の画素611と後フレームF(i+1)の画素613とを結ぶ動きベクトルを、補間フレームF(i)の画素612に対応付けられた動きベクトルと判別するものとする。
【0025】
S409では、最終補間フレーム出力部113が、最終補間フレームの処理対象の注目画素に対して、最終補間フレームの前のフレーム(合成動画像のフレーム;前フレーム)における同じ位置(処理対象の画素と同じ位置)の画素値を割り当てる。
S410では、最終補間フレーム出力部113が、最終補間フレームの処理対象の注目画素の画素位置に対して、動き補間フレーム生成部111で生成された補間フレームにおける同じ位置の画素値を割り当てる。
上記処理を最終補間フレームの画素毎に行うことにより、最終補間フレームが生成される。
【0026】
図3を用いて、最終補間フレームの画像について説明する。図3において、領域704は、ブレンド領域であり、前フレームの画素値が割り当てられた領域である。領域702は、ブレンド領域ではない領域であり、動き補間フレーム生成部111で生成された補間フレームの画素値が割り当てられた領域である。画素701は、対応する動きベクトル703が後フレームのブレンド領域内の画素を指す画素であり、前フレームの画素値が割り当てられた画素である。
【0027】
このように、本実施例によれば、静止画像が合成される前の動画像から映像の動きが検出されるため、動きの誤検出や検出漏れを低減することができる。
また、本実施例によれば、ブレンド領域内の画素、及び、対応画素がブレンド領域内の画素である画素に対して前フレームにおける同じ位置の画素値が割り当てられる。そして、その他の画素に対しては、動き情報に基づいた画素値が割り当てられる。それにより、(最終)補間フレームの画像の劣化を抑制することができる。
なお、図4のS408の処理は本発明に必須ではなく、S408の処理は省略してもよい。つまり、最終補間フレームの処理対象の注目画素がブレンド領域内の画素でない場合には(S407:NO)、S410に進むようにしてもよい。
また、本実施例では、図4のS408でYESの場合(最終補間フレームの処理対象の注目画素がブレンド領域外の画素であり、かつ処理対象の注目画素に対応する動きベクトルが指す後フレームの画素がブレンド領域内の画素である場合)に、409に進むものとして説明したが、その他の例外処理を行ってもよい。具体的には、図6(b)を参照して、補間フレームF(i)の画素612の画素値を、合成映像データの前フレームF(i−1)の画素611の画素値と同じ値にしてもよい。つまり、最終補間フレームの処理対象の注目画素の画素値として、その処理対象の注目画素に対応する動きベクトルにより特定される前フレームの対応画素の画素値を割り当てる。このようにすれば、補間フレームF(i)のブレンド領域外の画素612の画素値は、後フレームF(i+1)のブレンド領域内の対応画素613の画素値の影響を受けずにすむ。
また、同様に、最終補間フレームの処理対象の注目画素がブレンド領域外の画素であり、かつ処理対象の注目画素に対応する動きベクトルにより特定される前フレームの画素がブレンド領域内の画素である場合も、例外処理を行ってもよい。具体的には、最終補間フレームの処理対象の注目画素の画素値として、その処理対象の注目画素に対応する動きベクトルにより特定される後フレームの対応画素の画素値を割り当てる。このようにすれば、最終補間フレームの前フレームにおけるブレンド領域内の対応画素の画素値の影響を受けずにすむ。
【0028】
なお、本実施例では、ブレンド領域内の画素、及び、対応画素がブレンド領域内の画素である画素に対して前フレームにおける同じ位置の画素値を割り当てるものとしたが、そ
のような画素に対して後フレームにおける同じ位置の画素値を割り当ててもよい。
また、動き補間フレーム生成部111で生成された補間フレームを最終補間フレームとしてもよい。本実施例では、動きベクトルの誤検出や検出漏れが低減されるため、動き補間フレーム生成部111では、そのような誤検出や検出漏れによる画像の劣化が抑制された補間フレームを生成することができる。なお、本実施例では、後フレームから対応画素を検出するとしたが、前フレームから対応画素を検出してもよいし、前フレームと後フレームの両方から対応画素を検出してもよい。
【0029】
なお、閾値設定部106で設定される閾値は0であってもよい。即ち、ブレンド率αが0より大きい領域をブレンド領域としてもよい。但し、ブレンド率が小さい場合には動画像の方が静止画像より目立つ。そのため、そのようなブレンド率で静止画像が動画像に合成されている場合には、静止画像が合成されている領域内の画素に対して、動き情報に基づいた画素値を割り当てることが好ましい。動画像の方が静止画像よりも目立つブレンド率の最大値を閾値とすれば、静止画像が合成されている領域内の画素に対して、適切な画素値を割り当てることができる。
【0030】
<実施例2>
以下、本発明の実施例2に係るフレームレート変換装置及びその制御方法について説明する。本実施例では、合成動画像がブレンド領域を含む場合に、前フレームを最終補間フレームとする。なお、本実施例に係るフレームレート変換装置の構成及びブレンド領域信号の生成処理は、実施例1(図1,2)と同様のため説明は省略する。
【0031】
(最終補間フレームの生成)
図7のフローチャートを用いて、本実施例に係るフレームレート変換装置の最終補間フレームの生成処理について説明する。
S1101〜S1106の処理は実施例1(図4のS401〜S406の処理)と同様のため、説明は省略する。
(S1106の)次に、画素判定部109が、ブレンド領域信号から、合成映像データがブレンド領域を含むか否かを判定する(S1107)。なお、実施例1で説明したように、ブレンド領域信号生成部107は、閾値設定106で予め設定されたブレンド率の閾値を用いて、合成映像データの各フレームについて、画素毎にブレンド領域内の画素か否かを判定する。そして、ブレンド領域信号生成部107は、その判定結果をブレンド領域信号として出力する。合成映像データがブレンド領域を含む場合には(S1107:YES)、最終補間フレーム出力部113が、最終補間フレームの各画素に対して、それぞれ、前フレームにおける同じ位置の画素値を割り当てる(S1108)。即ち、前フレームが最終補間フレームとされる(最終補間フレームの各画素値が、前フレームの各画素値と同じ値にされる)。合成映像データがブレンド領域を含まない場合には(S1107:NO)、最終補間フレーム出力部113が、動き補間フレーム生成部111で生成された補間フレームを最終補間フレームとする(S1109)。
【0032】
このように、本実施例によれば、合成動画像がブレンド領域を含む場合(補間フレームの画像が乱れる虞がある場合)には、前フレームが最終補間フレームとされる。それにより、補間フレームの画像の劣化を抑制することができる。また、合成動画像がブレンド領域を含まない場合(補間フレームの画像が乱れる虞がない場合)には、動き情報に基づいて生成された補間フレームが最終補間フレームとされ、動きを滑らかに表現することができる。
なお、本実施例では、合成動画像がブレンド領域を含む場合に、前フレームを最終補間フレームとしたが、後フレームを最終補間フレームとしてもよい。
また、画素判定部109が、画素毎にブレンド領域内の画素か否かの判定結果を出力するのではなく、合成映像データがブレンド領域を含むか否かの判定結果を出力してもよい
。画素判定部109は、合成映像データがブレンド領域を含む場合に、補間フレームの各画素が全てブレンド領域内の画素であると判定し、該判定結果を出力してもよい。画素判定部109は、合成映像データがブレンド領域を含まない場合に、補間フレームの各画素が全てブレンド領域内の画素でないと判定し、該判定結果を出力してもよい。
【0033】
以上述べたように、上記実施例1,2によれば、動画像と静止画像が合成された合成動画像に対し、映像の動きを精度良く検出することができる。その結果、画像の劣化が抑制された補間フレームを生成して合成動画像のフレームレートを変換することが可能となる。
【符号の説明】
【0034】
104…合成部,108…動きベクトル検出部,109…画素判定部,111…動き補間フレーム生成部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
動画像に静止画像が合成された合成動画像のフレーム間に補間フレームを挿入することにより、前記合成動画像のフレームレートを変換するフレームレート変換装置であって、
前記静止画像が合成されていない前記動画像から、各画素位置での映像の動きを検出して動き情報を生成する検出手段と、
前記動画像の一部のブレンド領域に前記静止画像を所定の不透明度で合成して合成動画像を生成する合成手段と、
前記合成手段により生成された前記合成動画像のフレーム間に挿入する補間フレームの注目画素が、前記ブレンド領域内の画素であるか否かを判定する判定手段と、
前記補間フレームの注目画素が前記ブレンド領域内の画素であると判定された場合は、前記補間フレームの前または後の合成動画像のフレームにおける前記注目画素と同じ位置の画素値を前記注目画素の画素値として決定し、前記補間フレームの注目画素が前記ブレンド領域内の画素でないと判定された場合は、前記補間フレームの前および後の合成動画像のフレームの少なくとも一方における、前記注目画素に対応する動き情報により特定される位置の対応画素の画素値に基づいて前記注目画素の画素値を決定して、前記補間フレームを生成する生成手段と、
を有することを特徴とするフレームレート変換装置。
【請求項2】
前記判定手段は、前記不透明度が所定の閾値以下である場合は、前記補間フレームの各画素が全て前記ブレンド領域内の画素でないと判定する
ことを特徴とする請求項1に記載のフレームレート変換装置。
【請求項3】
前記判定手段は、前記注目画素に対応する動き情報に基づいて、前記補間フレームの前または後の前記合成動画像のフレームにおける前記対応画素の位置を特定して、前記対応画素が前記ブレンド領域内の画素であるか否かを判定し、
前記判定手段により、前記補間フレームの注目画素が前記ブレンド領域内の画素でないと判定され、かつ前記対応画素が前記ブレンド領域内の画素であると判定された場合は、前記注目画素に対応する動き情報を用いずに、前記補間フレームの前または後の前記合成動画像のフレームにおける前記注目画素と同じ位置の画素値を前記注目画素の画素値として決定する
ことを特徴とする請求項1に記載のフレームレート変換装置。
【請求項4】
動画像に静止画像が合成された合成動画像のフレーム間に補間フレームを挿入することにより、前記合成動画像のフレームレートを変換するフレームレート変換装置であって、
前記静止画像が合成されていない前記動画像から、各画素位置での映像の動きを検出して動き情報を生成する検出手段と、
前記動画像の一部のブレンド領域に前記静止画像を所定の不透明度で合成して合成動画像を生成する合成手段と、
前記不透明度が所定の閾値より大きいか否かを判定する判定手段と、
前記不透明度が所定の閾値より大きいと判定された場合は、前記補間フレームの前または後の合成動画像のフレームの各画素値を前記補間フレームの各画素値として決定し、前記不透明度が所定の閾値以下であると判定された場合は、前記補間フレームの前および後の合成動画像のフレームの少なくとも一方における、前記補間フレームの注目画素に対応する動き情報により特定される位置の対応画素の画素値に基づいて前記注目画素の画素値を決定して、前記補間フレームを生成する生成手段と、
を有することを特徴とするフレームレート変換装置。
【請求項5】
動画像に静止画像が合成された合成動画像のフレーム間に補間フレームを挿入することにより、前記合成動画像のフレームレートを変換するフレームレート変換装置の制御方法
であって、
前記静止画像が合成されていない前記動画像から、各画素位置での映像の動きを検出して動き情報を生成する検出ステップと、
前記動画像の一部のブレンド領域に前記静止画像を所定の不透明度で合成して合成動画像を生成する合成ステップと、
前記合成ステップにより生成された前記合成動画像のフレーム間に挿入する補間フレームの注目画素が、前記ブレンド領域内の画素であるか否かを判定する判定ステップと、
前記補間フレームの注目画素が前記ブレンド領域内の画素であると判定された場合は、前記補間フレームの前または後の合成動画像のフレームにおける前記注目画素と同じ位置の画素値を前記注目画素の画素値として決定し、前記補間フレームの注目画素が前記ブレンド領域内の画素でないと判定された場合は、前記補間フレームの前および後の合成動画像のフレームの少なくとも一方における、前記注目画素に対応する動き情報により特定される位置の対応画素の画素値に基づいて前記注目画素の画素値を決定して、前記補間フレームを生成する生成ステップと、
を有することを特徴とするフレームレート変換装置の制御方法。
【請求項6】
動画像に静止画像が合成された合成動画像のフレーム間に補間フレームを挿入することにより、前記合成動画像のフレームレートを変換するフレームレート変換装置の制御方法であって、
前記静止画像が合成されていない前記動画像から、各画素位置での映像の動きを検出して動き情報を生成する検出ステップと、
前記動画像の一部のブレンド領域に前記静止画像を所定の不透明度で合成して合成動画像を生成する合成ステップと、
前記不透明度が所定の閾値より大きいか否かを判定する判定ステップと、
前記不透明度が所定の閾値より大きいと判定された場合は、前記補間フレームの前または後の合成動画像のフレームの各画素値を前記補間フレームの各画素値として決定し、前記不透明度が所定の閾値以下であると判定された場合は、前記補間フレームの前および後の合成動画像のフレームの少なくとも一方における、前記補間フレームの注目画素に対応する動き情報により特定される位置の対応画素の画素値に基づいて前記注目画素の画素値を決定して、前記補間フレームを生成する生成ステップと、
を有することを特徴とするフレームレート変換装置の制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−19207(P2011−19207A)
【公開日】平成23年1月27日(2011.1.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−53641(P2010−53641)
【出願日】平成22年3月10日(2010.3.10)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】