説明

フレーム玩具

【課題】乳幼児や愛玩動物に対する危険性が非常に小さく、且つ、乳幼児や愛玩動物の習性や本能を刺激するフレーム玩具を提供する。
【解決手段】本発明の写真立ては、前面の開口2に透光板5が嵌め込まれた額縁3を有する。額縁3は前枠4及び後枠6から構成されている。前枠4と後枠6との間、及び、透光板5と背面板15との間のにはそれぞれ空間が形成される。前枠4と後枠6との間の空間には、透光板5と背面板15との間の空間の周縁部に沿って移動する移動体22の駆動機構が配置されている。移動体22は、駆動機構22によって写真立ての前方から見え隠れしながら移動する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、乳幼児や愛玩動物を対象とするフレーム玩具に関する。
【背景技術】
【0002】
乳幼児や猫等の愛玩動物は、動くものに興味を示し、触ったり、捕まえたりしようとする習性や本能を有することから、このような乳幼児や愛玩動物の習性等を利用した種々の玩具が提供されている(例えば特許文献1参照)。特許文献1に記載されている玩具は、乳幼児や猫等が玩具本体に触れると、当該玩具本体が転動すると共に玩具本体内の運動体が動くようになっている。
【特許文献1】特開2000-279651号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところが、乳幼児や猫等には、手に触れたものを掴んで口に入れ、その感触を楽しむという習性がある。このため、乳幼児や猫等の愛玩動物を対象とする玩具は、特に安全性に配慮した材料を用いる必要があった。また、玩具に用いられているネジや金具といった部品が万一外れてしまったときに、その部品を乳幼児や猫等が誤って飲み込んでしまうおそれもある。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、その目的は乳幼児や愛玩動物に対する危険性が非常に小さく、且つ、乳幼児や愛玩動物の習性や本能を刺激するフレーム玩具を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明者は、物体が動いたり見え隠れしたりすれば、実際に触れることができなくてもその物体に乳幼児や猫等は興味を示すこと、鑑賞用や装飾用として写真や絵画等を入れた額縁を室内に設置することが広く行われていることに着目し、額縁を利用して乳幼児や愛玩動物用の玩具を完成した。
即ち、本発明のフレーム玩具は、
a) 開口を有する枠状部材と、
b) 前記開口に嵌め込まれた透光板と、
c) 前記枠状部材と前記透光板との間に空間が形成されるように前記枠状部材の後部に着脱可能に取り付けられる背面板と、
d) 前記空間の周縁部に沿って移動し、その移動状態が前記透光板を通して視認可能な移動体と、
e) 前記移動体を移動させる移動手段と、
を備えることを特徴とする。
【0005】
この場合、前記移動体は、見え隠れしながら移動するように構成することが好ましい。
【発明の効果】
【0006】
本発明のフレーム玩具は、床面に載置したり壁面の比較的低い位置に取付けるか、或いは床面に載置した状態で使用される。フレーム玩具に近づいた乳幼児や猫等は、当該フレーム玩具内の空間をその周縁部に沿って移動する移動体に興味を示し、触ったり捕まえたりしようとする。
このとき、移動体が見え隠れしながら移動すれば、その様子に乳幼児や猫等の本能が刺激されるため、乳幼児等を一層楽しませることができる。
この場合、前記移動体は、枠状部材内の空間を移動するため、乳幼児等が触ったり口に入れたりすることがない。従って、乳幼児等は安全に遊び続けることができる。
しかも、背面板に写真や絵画を装着したり背面板の前面を鏡面にしたりすれば、観賞用品や装飾用品としての機能も併せ持つことになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下、本発明の一実施形態である写真立てについて図面を参照しながら説明する。図1〜図4に示すように、本実施形態の写真立て1は、前面に矩形状の開口2を有する矩形状の額縁3を有している。前記額縁3は、前記開口2を有する前枠4及び前記開口2を塞ぐ例えばPET製の透光板5並びに前記前枠4の後部に固定されている後枠6を有している。前記前枠4は、階段状に傾斜する前面部7、この前面部7の外周縁部から後方に向かってほぼ垂直に延びる外側面部8、前記前面部の内周縁部からわずかに後方に突出する突出辺部9から構成されている。前記透光板5は前記突出辺部9の後端に固定されている。
後枠6は、外側面部8の内周に嵌め込まれている。前枠4内の四隅部にねじボス10が形成されている。一方、後枠6の四隅部にはねじ穴11が形成されている。各ねじ穴11をねじボス10に合わせてねじ12を螺挿することにより、前枠4と後枠6とが結合される。このとき、6後枠の後面と前枠4の外側面部8の後端部とは、ほぼ同一面上に位置するようになっている。
【0008】
前記後枠6の中央部は前方に膨出する矩形状の凹部13となっている。後枠6を前枠4に嵌め込んだとき前記凹部13の前面は透光板5から離間するようになっている。凹部13と透光板5との間に空間Sが形成される。
また、凹部13には例えば4個の窓部14が形成されており、これら窓部14を通して前方から見えるように当該凹部13内に写真Pが装着されるようになっている。前記凹部13内には前記写真Pを押さえるための背面板15が嵌め込まれている。前記凹部13の各側面にはそれぞれ窪み16が形成されており、前記凹部13内に嵌め込まれた背面板15は前記窪み16内に設けられた留め具17によって押さえられる。尚、各窓部14の周縁部には写真サイズに対応する大きさの矩形状の位置決め凸部18が設けられている。前記位置決め凸部18により、写真Pを凹部13内の適切な位置に容易に装着できるようになっている。
【0009】
上記構成により、前枠4と後枠6の周囲部との間、透光板5と後枠6の凹部13との間には、それぞれ空間S1及びS2が形成される。前記空間S1のうち、前記前枠4の突出辺部内側の四隅部には、それぞれプーリ20が取り付けられている。これら4個のプーリ20には断面円形状の無端環ベルトであるゴムベルト21が掛け渡されている。前記ゴムベルト21には、羽毛やモール等の柔軟な部材からなる縦長の移動体22が取り付けられている。移動体22はゴムベルト21に対してほぼ垂直に取り付けられている。前記移動体22がゴムベルト21から開口2に向かって起立した状態にあるとき、前記移動体22の先端側の半分は空間S2内に突出し、透光板5を通して額縁3の前方から見えるようになっている(図5に示す状態)。
【0010】
また、前記空間S1のうち例えば右下のプーリ20の近傍には、当該プーリ20を回転させる駆動機構23が配設されている。前記駆動機構23は、前記プーリ20と同軸上に取り付けられ当該プーリ20と一体的に回転するギア24と、モータ25と、このモータ25の出力軸に固定され前記ギア24と噛み合うウォームギア26、前記モータ25の駆動を制御する制御基板27、前記モータ25及び制御基板27に電源を供給する電池28とから構成されている。
【0011】
尚、後枠6の上部中央には、壁掛け用の孔30が形成されている。また、後枠6の左右部の下部には支持棒31が挿入される孔32が形成される。写真立て1を机の上や床面等に立てて使用するときは、支持棒31を前記孔32に挿入する。このとき、額縁3の前面はやや傾斜した状態となる(図4参照)。
【0012】
次に、上記写真立て1の使用方法について説明する。尚、4枚の写真Pが装着された写真立て1は例えば床面に載置されているものとする。
スイッチ(図示せず)が操作されて電源が投入されると、電池28からモータ25及び制御基板27に電力が供給される。これにより、予め設定された制御プログラムに従ってモータ25が正逆方向に回転駆動される。この結果、モータ25の回転力がウォームギヤ26、ギヤ24を介してプーリ20に伝達され、ゴムベルト21が回転する。
【0013】
ゴムベルト21が回転すると、このゴムベルト21と共に移動体22が回転する。移動体のうち矩形枠の開口内に突出する先端部分が開口周縁に沿って移動する。このとき、ゴムベルト21が断面円形状に構成されているため、回転に伴いゴムベルト21が捩れたり元に戻ったりする。すると、ゴムベルト21に取り付けられている移動体22もゴムベルト21の動きに合わせて様々な方向を向く。
【0014】
即ち、移動体22は、開口2に向かって起立した状態(図5に示す状態)や、前方、後方に倒れた状態になったり、ときにはゴムベルト21の周りを一回転しながらゴムベルト21と共に移動する。開口2に向かって起立した状態で移動体22が移動するときは、移動体22の先端部分が空間S2内に位置するため、移動体22は空間S2の周縁部に沿って移動するように見える。一方、前方や後方に倒れた移動体22は、ゴムベルト21と前枠4或るいは後枠6との間の隙間を通って空間S1内に完全に入り込むため、写真立て1の前方から見えなくなる。また、前方や後方に傾く角度によって、写真立て1の前方から見える移動体22の量が変化する。更に、移動体22がプーリ20を通過する際は、プーリ20とゴムベルト21との間に移動体22が巻き込まれる。このため、プーリ20を通過する際はもちろん、通過した後も、移動体22が見えなくなる場合がある。
【0015】
つまり、移動体22は空間S2の周縁に沿って移動するものの、その姿が透光板5を通して前方から見える状態と見えない状態とがランダムに切り替わる。このように、移動体22は見え隠れしながら移動するため、開口2の周縁に沿って一定の速度で移動する構成であっても、移動体22の動きは複雑なものとなる。このため、写真立て1に近づいてきた乳幼児や猫等はその本能等によって移動体22に興味を示し、飽きることなく移動体を捕えたり触ろうとしたりする。
【0016】
ところが、移動体22は額縁3内に収容されており、乳幼児や猫等が移動体22に触ることはない。従って、乳幼児や猫等が移動体22を口に入れることはなく、安全に遊ばせておくことができる。
また、乳幼児や猫等が移動体22を口に入れることがないため、移動体22の材料選択の幅が広がると共に、種々の形状にすることができる。
【0017】
更に、写真立て1は、観賞用、装飾用にも利用できるため、乳幼児や猫等が写真立て1で遊んでいない場合でもそのまま床面に載置しておくことができる。この場合、比較的厚み寸法が小さいため、床面に載置された写真立て1が邪魔になることはない。
本実施例では、羽毛やモールといった比較的柔らかいものから移動体22を構成すると共にゴムベルト21の断面形状を円形状にしたことから、移動体22の予期せぬ動きを得ることができた。このような簡単な構成で実現したことにより、写真立て1に乳幼児や愛玩動物を対象とする玩具機能を付加したことによる、製造コストの上昇を抑えることができる。
【0018】
尚、ここでは、写真立て1を床面に載置した場合を例に挙げて説明したが、壁面の低い位置に取り付けた場合でも同様の作用、効果が得られる。
また、写真立て1ではあるが、写真以外の例えばポストカードや絵画などを飾ることも可能である。
【0019】
本発明は、上記した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような変形が可能である。
プーリ20に回転力を付与する装置はモータ25に限らない。例えばゼンマイ仕掛けでプーリ20を回転させるようにしても良い。
額縁3の形状は、矩形状の他、円形状、三角形状等、種々の形状とすることができる。
【0020】
ゴムベルト21の近傍の一箇所或いは数カ所に、移動体22を倒し足り元に戻したりする部材を配置しても良い。このような構成によれば、所定部位で必ず移動体22を見えなくしたり、見えるようにしたりすることができる。ゴムベルトの経路の一部が矩形枠内に通るように構成することによっても、所定部位で必ず移動体を見えなくすることができる。これらの構成を採用した場合は、無端環ベルトを平ベルトにすることができる。
空間S2の大きさは移動体の大きさや形状に合わせて適宜変更可能である。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の一実施形態を示す写真立ての正面図(a)、右側面図(b)
【図2】写真立ての後面図
【図3】背面板を取り外して示す写真立ての後面図
【図4】支持棒を装着した状態で示す写真立ての右側面図
【図5】写真立ての内部構造を説明するための正面図(a)、縦断側面図(b)
【図6】駆動機構周辺部分の拡大正面図(a)、拡大縦断側面図(b)
【符号の説明】
【0022】
1…写真立て(フレーム玩具)
2…開口
3…額縁(枠状部材)
4…前枠
5…透光板
6…後枠
15…背面板
20…プーリ
21…ゴムベルト(無端環ベルト)
22…移動体
23…駆動機構(移動手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
a) 開口を有する枠状部材と、
b) 前記開口に嵌め込まれた透光板と、
c) 前記枠状部材と前記透光板との間に空間が形成されるように前記枠状部材の後部に着脱可能に取り付けられる背面板と、
d) 前記空間の周縁部に沿って移動し、その移動状態が前記透光板を通して視認可能な移動体と、
e) 前記移動体を移動させる移動手段と、
を備えることを特徴とするフレーム玩具。
【請求項2】
前記移動体は、見え隠れしながら移動することを特徴とする請求項1に記載のフレーム玩具。
【請求項3】
前記枠状部材は、矩形枠状に構成され、
前記移動手段は、前記枠状部材の4個の角部に取り付けられたプーリ、前記プーリに掛け渡された無端環ベルト、前記プーリのうちの一つを回転させる駆動機構から構成され、
前記移動体は、前記プーリを通過する際に弾性変形可能に前記無端環ベルトに取り付けられていることを特徴とする請求項1に記載のフレーム玩具。
【請求項4】
前記無端環ベルトは、断面円形状のゴムベルトから構成され、
前記移動体は、毛糸、レース、羽毛等の柔軟な部材から構成されていることを特徴とする請求項3に記載のフレーム玩具。
【請求項5】
前記背面板の前面には、写真や絵画が装着されることを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載のフレーム玩具。
【請求項6】
前記背面板の前面が鏡面であることを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載のフレーム玩具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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