説明

フロアパネルシステム

【課題】電気機器のレイアウト自由度を向上させることのできるフロアパネルシステムを得る。
【解決手段】フロアパネル4の表面層4Sの下側に伝送媒体6を配置する。表面層4Sを弾性絶縁材で形成し、表面層4Sの伝送媒体6に対応する任意の位置に取付部10を形成できるようにする。そして、伝送媒体6からアウトレット9に電力や情報信号を取り出す取付部10を形成し、その取付部10にアウトレット9の接続部11を接触させる。これにより、伝送媒体6が配設されている部分であれば、電力や情報信号をアウトレット9に簡単に取り出すことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基礎床上にフロアパネルを敷設することで二重床を構築するフロアパネルシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、フロアパネルシステムとして、一端部にコンセントを接続するとともに他端部にプラグを接続した配線をフロアパネルの内部に設け、当該フロアパネルを順次敷設し、隣接するフロアパネル同士のコンセントとプラグを電気的に接続させるとともに、フロアパネルの上面に上方に向かって開口するアウトレット用コンセントを埋設し、当該アウトレット用コンセントを分岐配線を介して上記配線に電気的に接続させたものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】実開平4−134127号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、従来のフロアパネルシステムでは、アウトレットの取出し位置がフロアパネルの上面に設けたコンセントの配設位置のみに限定されるため、電気機器の設置がアウトレット用コンセントの配設位置近傍に限定されてしまい、電気機器のレイアウト自由度が制限されるという問題があった。
【0004】
そこで、本発明は、電気機器のレイアウト自由度を向上させることのできるフロアパネルシステムを得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1の発明にあっては、基礎床上に敷設されて二重床を構築する複数のフロアパネルと、当該フロアパネルの表面下に配置される伝送媒体と、当該伝送媒体に接触可能な接続部を有し、当該接続部を介して前記伝送媒体に接続されるアウトレットとを備えるフロアパネルシステムであって、前記フロアパネルは、前記アウトレットの接続部が取り付けられる取付部を複数形成することが可能であり、前記フロアパネルに形成された前記取付部に前記アウトレットの接続部を取り付け、当該接続部を前記伝送媒体に接触させることを特徴とする。
【0006】
請求項2の発明にあっては、請求項1に記載のフロアパネルシステムにおいて、前記フロアパネルは、弾性絶縁材で形成された表面層を備え、当該表面層の前記伝送媒体に対応した任意の位置に前記取付部を形成できるようにしたことを特徴とする。
【0007】
請求項3の発明にあっては、請求項1に記載のフロアパネルシステムにおいて、前記フロアパネルの表面に表面層を形成し、当該表面層に、前記伝送媒体に沿って任意の部分に分割した蓋体を設け、任意の蓋体を取り外して前記アウトレットの接続部を前記伝送媒体に接触させるようにしたことを特徴とする。
【0008】
請求項4の発明にあっては、請求項1に記載のフロアパネルシステムにおいて、前記フロアパネルの表面に着脱可能な表面層を形成し、当該表面層と前記伝送媒体との間に前記取付部を設けたことを特徴とする。
【0009】
請求項5の発明にあっては、請求項1〜4のうちいずれか1項に記載のフロアパネルシステムにおいて、前記フロアパネルが略長方形状をしており、当該フロアパネルの長手方向に沿って前記伝送媒体が配設されていることを特徴とする。
【0010】
請求項6の発明にあっては、請求項5に記載のフロアパネルシステムにおいて、前記基礎床上に空間を設けてフロアパネルを支持する支柱を備えるとともに、複数の支柱に亘って横桟を架設し、当該横桟に略長方形状の前記フロアパネルを載置することを特徴とする。
【0011】
請求項7の発明にあっては、請求項1〜4のうちいずれか1項に記載のフロアパネルシステムにおいて、前記伝送媒体は、前記フロアパネルの内部に形成した中空部に充填した導電性部材であることを特徴とする。
【0012】
請求項8の発明にあっては、請求項7に記載のフロアパネルシステムにおいて、前記導電性部材は、導電性フィラーが含有された部材であることを特徴とする。
【0013】
請求項9の発明にあっては、請求項1に記載のフロアパネルシステムにおいて、前記フロアパネルに、当該フロアパネルを貫通する多数の貫通孔を形成することで前記取付部を形成するとともに、前記アウトレットの接続部を任意の貫通孔に挿入できるように形成し、貫通孔を貫通させた前記接続部の先端部を前記フロアパネルの下方に配置される伝送媒体に接触させたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
請求項1の発明によれば、取付部を複数形成することが可能なフロアパネルに形成した取付部にアウトレットの接続部を取り付け、当該接続部を伝送媒体に接触させるようにしたため、フロアパネルの取付部を形成することができる部位であれば、自由にアウトレットの接続部を取り付けて伝送物である電力や情報信号を取り出すことができるようになり、電気機器のレイアウト自由度を向上させることができる。
【0015】
請求項2の発明によれば、加工が容易な弾性絶縁材で表面層を形成したため、フロアパネルを敷設した後に取出口の事後形成が可能となり、取出口の形成位置を自由に変更することができる。
【0016】
請求項3の発明によれば、表面層の任意の部分に設けた任意の蓋体を取り外してアウトレットの接続部を伝送媒体に接続できるため、蓋体を設けたいかなる場所でも伝送物である電力や情報信号を簡単に取り出すことができる。
【0017】
請求項4の発明によれば、表面層を着脱可能に設け、当該表面層と伝送媒体との間に取付部を設けたため、表面層を取り外すことによりアウトレットの接続部を容易に取付部に取り付けることができるようになる。
【0018】
請求項5の発明によれば、フロアパネルが略長方形状に形成されているため、フロアパネルの敷設作業の能率化を図ることができる。
【0019】
請求項6の発明によれば、複数の支柱に亘って架設した横桟に略長方形状のフロアパネルを載置したため、フロアパネルの敷設作業のさらなる能率化を図ることができる。
【0020】
請求項7の発明によれば、伝送媒体を、フロアパネルの内部に形成した中空部に充填した導電性部材としたため、伝送媒体の配設作業が不要になる上、各フロアパネルに対する伝送媒体の占有面積を増大でき、アウトレットの接続位置の選択範囲を広げることができる。
【0021】
請求項8の発明によれば、導電性部材を、導電フィラーが含有された部材で形成したため、フロアパネルの軽量化を図ることができる。
【0022】
請求項9の発明によれば、フロアパネルを貫通する多数の貫通孔を形成することで取付部を形成するとともに、アウトレットの接続部を任意の貫通孔に挿入できるように形成し、接続部の先端部を伝送媒体に接触させたため、多数の貫通孔から任意の位置にある貫通孔を選択して接続部を挿入することができ、貫通孔が形成されている部分であれば、いかなる場所でも伝送物である電力や情報信号を簡単に取り出すことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
[第1の実施形態]
本発明の第1の実施形態について図面を参照しながら説明する。図1は、本実施形態にかかるフロアパネルシステムを概略的に示す斜視図、図2は取出口を形成したフロアパネルの斜視図、図3はフロアパネルの断面図、図4は取出口を形成しない状態のフロアパネルの斜視図である。
【0024】
まず、フロアパネルシステム1の概要を説明する。図1に示すように、フロアパネルシステム1は、基礎床2上に配置される複数の支柱3と、これらの支柱3を介して基礎床2上に碁盤の目状に敷設される矩形の複数のフロアパネル4と、を備えている。フロアパネル4は、その4隅が支柱3によって支持されるようになっており、隣合うフロアパネル4の隣合う隅同士は、同一の支柱3によって支持される。このフロアパネルシステム1と基礎床2とによって、フロアパネル4と基礎床2との間に空間5を有する二重床が形成される。
【0025】
フロアパネル4には、伝送物を伝送する伝送媒体としての伝送板6が設けられている。伝送板6は銅板によって形成されており、フロアパネル4の表面層4Sの下側の全面に亘って配設している。そして、伝送板6の外周端は表面層4Sの周囲に露出している。また、フロアパネル4の本体部分4Mは、上面に伝送板6を添着した天板4cと、この天板4cの下面に結合される皿状の底板4bと、によって中空状に形成されている。また、本体部分4Mの中空部内にはコンクリートが充填されており、フロアパネル4の骨格部材となっている。
【0026】
そして、図1に示すように、フロアパネル4の外周辺を互いに突き合わせて敷設した際に、隣接するフロアパネル4同士で伝送板6の外周端が相互に接触し、敷設されたフロアパネル4の全体で伝送板6がそれぞれ導通され、導通された伝送板6によってフロアパネルシステム1内に伝送路7が形成される。この伝送路7には、伝送物管理装置8やアウトレット9が接続可能となっており、アウトレット9に接続された電気機器(図示せず)と伝送物管理装置8とが伝送路7を介して接続されるようになっている。
【0027】
フロアパネルシステム1が伝送路7によって伝送する伝送物は、電力と情報信号との少なくとも一方である。つまり、伝送物は、電力のみ、情報信号のみ、又は、電力と情報信号との両方である。フロアパネルシステム1は、電力を伝送する場合には、電力供給システムとして機能し、情報信号を伝送する場合には、情報伝送システムとして機能し、電力と情報信号との両方を伝送する場合には、電力・情報複合システムとして機能する。
【0028】
電力は、交流又は直流であり、情報信号は、アナログ信号やデジタル信号である。情報信号は、具体的には、LAN用信号、xDSL用信号、テレビジョン受像機用信号、電話機用信号、電気機器用制御信号等であり、これらの信号は電気信号又は光信号によって構成される。情報信号は、電力と別体又は一体に伝送され、情報信号が電力と一体に伝送される場合には、情報信号が重畳された交流や直流が用いられる。
【0029】
伝送物管理装置8は、電力を供給可能な電源装置、情報を送受信可能なサーバ、又は、それら電源装置及びサーバの両方の機能を有する複合装置等である。なお、図1には、伝送物管理装置8として電源装置を例示してある。
【0030】
伝送線6は、伝送物が電力である場合には、電力を伝送可能な電源線が用いられ、伝送物が情報信号である場合には、情報信号を伝送可能なメタル線や光通信線等の情報通信線が用いられる。また、伝送物が電力と情報信号との両方である場合には、伝送線6は、電源線と情報通信線との2系統で構成されるか、又は、電源線だけの1系統で構成される。伝送線6が電源線だけの1系統で構成される場合には、この電源線によって、情報信号が重畳された交流や直流が伝送される。
【0031】
アウトレット9は、伝送物が電力である場合には、交流用コンセントや、直流用コンセント、特定の電気機器用の専用端子等の電力用アウトレットが用いられる。なお、図1には、アウトレット9として交流用コンセントを例示してある。交流用コンセントや直流用コンセントには、電源用フロアコンセントやテーブルタップ、各種電気機器が接続可能である。電源用フロアコンセント及びテーブルタップは、伝送される電力に応じて、交流用、直流用又は交流・直流両用のいずれかが用いられる。
【0032】
また、アウトレット9は、伝送物が情報信号である場合には、情報コンセントや、特定の電気機器用の専用端子等の情報用アウトレットが用いられる。情報コンセントは、具体的には、LAN用コンセントや、テレビジョン受像機用コンセント、電話機用コンセント、光コネクタ、複合コンセント等である。複合コンセントは、LAN用コンセントや、テレビジョン受像機用コンセント、電話機用コンセント、光コネクタ等の種類が異なる2つ以上のコネクタを一体に備えるコンセントである。情報用アウトレットには、情報用フロアコンセントやテーブルタップ、無線通信端末、LAN機器、コンピュータ、テレビジョン受像機、電話機等の各種電気機器が接続可能である。
【0033】
また、アウトレット9は、伝送物が電力と情報信号との両方の場合には、伝送線6の種類に応じて、上述した電力用アウトレット及び情報用アウトレットの両方や、電力用アウトレット及び情報用アウトレットを一体化した複合アウトレット、特定の電気機器用の専用端子が用いられる。複合アウトレットには、電源・情報複合フロアコンセントやテーブルタップ、無線通信端末、LAN機器、コンピュータ、テレビジョン受像機、電話機等の各種電気機器が接続可能である。
【0034】
ここで、本実施形態のフロアパネル4は、アウトレット9の接続部11が取り付けられる取付部を複数形成することが可能となっている。
【0035】
具体的には、フロアパネル4は、フロアパネル4の表面層4Sの伝送板6に対応した任意の位置に、伝送板6からアウトレット9に伝送物である電力や情報信号を取り出す取出口(取付部)10を設定することができるようになっている。そして、設定した取出口10にアウトレット9の接続部11を差し込むことで、接続部11が取出口10に取り付けられるとともに、接続部11の図示せぬ導体が伝送板6に接触するようになっている。
【0036】
本実施形態では、表面層4Sをゴムなどの柔軟な弾性絶縁材で形成することで、図2に示すように、表面層4Sの任意の位置を円形刃先などで切除することが可能となり、当該切除部分を取出口10として用いることができるようにしている。なお、表面層4Sから取り除かれた部材を蓋12として用い、表面層4Sに蓋12を予め形成しておき、接続部11を差し込む際に蓋12を取り除くようにしてもよい。この場合、蓋12を表面層4Sの複数箇所に設けるのが好適である。
【0037】
ところで、本実施形態では、フロアパネル4が基礎床2に支柱3を介して敷設された状態では、各フロアパネル4は、図4に示すように、取出口10が設けられていない状態となっている。
【0038】
以上の本実施形態によれば、取出口(取付部)10を複数形成することが可能なフロアパネル4に形成した取出口(取付部)10にアウトレット9の接続部11を取り付け、当該接続部11を伝送板(伝送媒体)6に接触させるようにしたため、フロアパネル4の取出口(取付部)10を形成することができる部位(本実施形態では、表面層4Sの全域)であれば、自由にアウトレット9の接続部11を取り付けて伝送物である電力や情報信号を取り出すことができるようになり、電気機器のレイアウト自由度を向上させることができる。
【0039】
また、表面層4Sを弾性絶縁材で形成することで、表面層4Sの加工が容易となり、フロアパネル4を敷設した後に取出口10の事後形成が可能となるため、取出口10の形成位置を自由に変更することができる。
【0040】
さらに、本実施形態では、フロアパネル4の表面層4Sの下側に伝送板6を設けることによって、フロアパネル4と基礎床2との間の空間5に配設する伝送媒体である伝送線を少なくしたり無くすことができる。したがって、フロアパネル4の表面層4Sの下側に伝送板6を設けずにフロアパネル4と基礎床2との間の空間5にのみ伝送媒体を配索する場合に比べて、フロアパネル4と基礎床2との間の空間5の高さを低くすることができ、フロアパネルシステム1の床面(上面)を低くすることができる。よって、室内空間の高さを高くして室内を広くすることができる。
【0041】
また、フロアパネル4に伝送板6を一体に設けることによって、フロアパネル4に電気機器99を内蔵してその電気機器99を伝送板6に接続したり、フロアパネル4外の電気機器(図示せず)を伝送板6に接続(以下、外部接続ともいう)することができ、これにより、そのフロアパネル4内外の電気機器99の遠隔制御や使用をすることができる。このような構成の例を以下に説明する。
【0042】
例えば、フロアパネル4に内蔵又は外部接続する電気機器99として位置検出センサを採用することで、人の位置を検出することが可能となる。
【0043】
また、フロアパネル4に内蔵又は外部接続する電気機器99として空調機器を採用することで、温度や湿度などの室内空気環境を個別制御することが可能となる。
【0044】
また、フロアパネル4に内蔵又は外部接続する電気機器99として照明器具を採用することで、室内照明を制御することが可能となる。
【0045】
また、フロアパネル4に内蔵又は外部接続する電気機器99として電力量センサを採用することで、フロアパネルシステム1内の電力量や電力分配を制御することが可能となる。
【0046】
また、フロアパネル4に内蔵又は外部接続する電気機器99として物体の有無を検出可能な荷重センサを採用することで、有形資産の位置を検出して管理することが可能となる。
【0047】
また、フロアパネル4に内蔵又は外部接続する電気機器99として、人を検出可能な人感センサを採用することで、不審者の存在(危険)を労働者に通知することが可能となる。この場合、例えば、フロアパネルシステム1を廊下に適用して、残業中の労働者に不審者が廊下にいるなどの危険を通知することが可能となる。
【0048】
また、フロアパネル4に内蔵又は外部接続する電気機器99として圧電素子を採用することで、電力を生み出してその電力を他の電気機器に供給することが可能となる。
【0049】
[第2の実施形態]
本発明の第2の実施形態について図面を参照して説明する。図5は、本実施形態にかかるフロアパネルシステムを概略的に示す斜視図、図6はアウトレットを接続した状態を示すフロアパネルの平面図、図7は図6中A−A線に沿った拡大断面図である。
【0050】
本実施形態のフロアパネルシステム101の基本的な構造は、第1の実施形態のフロアパネルシステム1と同じであり、基礎床2上に配置される複数の支柱3と、これらの支柱3を介して基礎床2上に碁盤の目状に敷設される矩形の複数のフロアパネル104と、を備えている。そして、本実施形態のフロアパネルシステム101は、フロアパネル104及び伝送路107が、第1の実施形態のフロアパネルシステム1に対して異なる。
【0051】
フロアパネル104には、伝送物を伝送する伝送媒体である伝送線106が設けられている。ここで、便宜上、図面において伝送線106は単に線で示してある。伝送線106は、フロアパネル104の中心部を挟んで相互に対向するフロアパネル104の隅同士を結ぶように配置されており、全体でX字状を成している。隣合うフロアパネル104の伝送線106同士は、支柱3の導体部を介して接続され、これらの伝送線106及び導体部等によって、フロアパネルシステム101内に伝送路107が形成される。この伝送路107には、伝送物管理装置8やアウトレット109が接続可能となっており、アウトレット109に接続された電気機器(図示せず)と伝送物管理装置8とが伝送路107を介して接続されるようになっている。
【0052】
ここで、本実施形態のフロアパネル104は矩形板状に形成されて、図7に示すように、天板104cと底板104bとによって内部空間を有するパネル本体104Mを骨格部材として備えており、表面層104Sの下側に伝送媒体としての伝送線106が配設される。伝送線106は、図7に示すように、天板104cを内部空間方向に凹設した溝116内に配置され、その溝116の上方開放部が表面層104Sによって覆われる。このとき、表面層104Sは、上記第1実施形態と同様にゴムなどの弾性絶縁材によって形成されている。
【0053】
そして、溝116内に配置された伝送線106は、図6に示すように、フロアパネル104の中心部を挟んで相互に対向するフロアパネル104の隅同士を結ぶように配置されており、各フロアパネル104において全体的にX字状を成している。
【0054】
また、本実施形態のアウトレット109は、図7に示すように、側面にコンセント109Cを設けた直方体状に形成され、その下側から接続部としての接続端子111が垂設されている。接続端子111は本実施形態では3本設けており、その接続端子111の先端は鋸歯状に形成されている。また、接続端子111の長さは、表面層104Sの上面から伝送線106に達する長さとなっている。
【0055】
そして、本実施形態にあっても第1の実施形態と同様に、アウトレット109を設置するにあたって、弾性絶縁材で形成した表面層104Sの伝送板6に対応した任意の位置に取出口110を形成することが可能になっている。すなわち、図7に示すように、アウトレット109を設置する位置で、接続端子111を表面層104Sに強く差し込むことにより、接続端子111が弾性絶縁材で形成された表面層104Sを切り裂きつつ侵入し、その接続端子111の先端部が伝送線106に接触し、伝送線106からアウトレット109に電力や情報信号を取り出すことができるようになっている。
【0056】
本実施形態では、接続端子111が表面層104Sを切り裂くことで、取出口(取付部)110が形成されることとなる。また、接続端子111を複数設けることで、それら接続端子111の少なくとも1つが確実に伝送線106と接触できるようにしている。また、アウトレット109は、図6に示すように、設置状態でフランジ部109Fがビス112によって天板104cにねじ止めされている。
【0057】
以上の本実施形態によっても、上記第1の実施形態と同様に伝送線106が配設されている部分であれば、いかなる場所でも伝送物である電力や情報信号をアウトレット109に簡単に取り出すことができる。
【0058】
また、表面層104Sを弾性絶縁材で形成することで、その表面層104Sの加工が容易となり、フロアパネル104を敷設した後に取出口110の事後形成が可能となるため、取出口の形成位置を自由に変更することができる。特に、本実施形態ではアウトレット109の接続端子111を表面層104Sに差し込めば良く、アウトレット109の取付け作業がより簡単になる。
【0059】
また、フロアパネル104のパネル本体104M内に伝送線106を設けることによって、第1の実施形態と同様に、フロアパネル104と基礎床2との間の空間5に配索する伝送線を少なくしたり無くすことができる。したがって、フロアパネル104のパネル本体104M内に伝送線106を設けずにフロアパネル104と基礎床2との間の空間5にだけ伝送線を配索する場合に比べて、フロアパネル104と基礎床2との間の空間5の高さを低くすることができ、フロアパネルシステム101の床面(上面)を低くすることができる。よって、室内空間の高さを高くして室内を広くすることができる。
【0060】
また、フロアパネル104に伝送線106を一体に設けることによって、第1の実施形態と同様に、フロアパネル104に電気機器99を内蔵してその電気機器99を伝送線106に接続したり、フロアパネル104外の電気機器(図示せず)を伝送線106に接続することができ、これにより、そのフロアパネル104に内外の電気機器99の遠隔制御や使用をすることができる。このような構成の例は、第1の実施形態と同じであるため、説明は省略する。
【0061】
ここで、フロアパネル104の変形例を説明する。以下の各変形例は、フロアパネル104に対して、伝送線106の配置が異なり、その他の構成は同じである。
【0062】
図8は、本実施形態にかかるフロアパネルの第1変形例を概略的に示す平面図である。図8に示す第1変形例のフロアパネル104Aでは、その外周の4辺の各縁部に、それらの辺に沿って伝送線106が設けられており、これらの伝送線106は全体で略矩形を成している。
【0063】
図9は、本実施形態にかかるフロアパネルの第2変形例を概略的に示す平面図である。図9に示す第2変形例のフロアパネル104Bでは、その外周の隣合う2辺の各縁部に、それらの辺に沿って伝送線106が設けられており、これらの伝送線106が全体で略L字状を成している。
【0064】
図10は、本実施形態にかかるフロアパネルの第3変形例を概略的に示す平面図である。図10に示す第3変形例のフロアパネル104Cでは、その外周の一つの辺の縁部に、その辺に沿って伝送線106が設けられており、伝送線106は直線状となっている。
【0065】
これらの各種のフロアパネル104、104A、104B、104Cを組み合わせることにより、フロアパネルシステム101の伝送路107の経路を多種多様に構築することができる。
【0066】
[第3の実施形態]
本発明の第3の実施形態について図面を参照して説明する。図11は、本実施形態にかかるフロアパネルシステムを概略的に示す斜視図、図12はフロアパネルの分解斜視図である。
【0067】
本実施形態のフロアパネルシステム201の基本的な構造は、第2の実施形態のフロアパネルシステム101と同様である。よって、第2の実施形態との相違点を中心に説明し、第2の実施形態と同じ部分には同一符号を付し重複する説明は省略する。
【0068】
図11に示すように、本実施形態のフロアパネルシステム201は、フロアパネル204及び伝送路207が、第2の実施形態のフロアパネルシステム101に対して異なる。
【0069】
具体的には、本実施形態では、隣合うフロアパネル204の伝送線206同士が、支柱3を介さずにフロアパネル204のコネクタを介して接続され、これらの伝送線206及びコネクタ等によって、フロアパネルシステム201内に伝送路207が形成される。伝送線206は、フロアパネル204の対辺の中央部同士を結ぶようにフロアパネル204に設けられており、全体で十字状を成している。伝送路207には、第1の実施形態と同様に、伝送物管理装置8やアウトレット9が接続可能となっており、アウトレット9に接続された電気機器(図示せず)と伝送物管理装置8とが伝送路207を介して接続されるようになっている。
【0070】
フロアパネル204は、図12に示すように、上記各実施形態と同様に表面層204Sを備えており、この表面層204Sには平板状となった伝送線206が十字状に配設されるとともに、その伝送線206は表面層204Sの内部にサンドイッチ状に挟み込まれている。また、フロアパネル204は、第1の実施形態と同様に底板204bを備えるが、本実施形態では表面層204Sが天板となっている。
【0071】
ここで、本実施形態では、表面層204Sに、平板状の伝送線206に沿って任意の部分に分割した蓋体215を設け、任意の蓋体215を取り外した状態でアウトレット209の接続部211を伝送線206に接続するようになっている。
【0072】
蓋体215は、十字状に配設された伝送線206に沿ってフロアパネル204の中央部に位置した正方形状となる1つの中央蓋体215aと、その中央蓋体215aの周縁部に位置して長方形状となる4つの周縁蓋体215bと、によって構成される。したがって、フロアパネル204の表面層204Sには、中央蓋体215aおよび周縁蓋体215bに沿って十字状の溝部216が形成され、この溝部216に中央蓋体215aおよび周縁蓋体215bが嵌め込まれる。勿論、溝部216に中央蓋体215aおよび周縁蓋体215bが嵌め込まれた状態では、フロアパネル204の表面は平坦となる。
【0073】
また、中央蓋体215aの外周面に露出する伝送線206の端面には、僅かに突出する接触突部206cが形成されており、溝部216に中央蓋体215aおよび周縁蓋体215bが嵌め込まれた際に、接触突部206cが周縁蓋体215bの伝送線206の端面に接触して、中央蓋体215aと周縁蓋体215bの伝送線206が互いに導通される。また、隣接されるフロアパネル204同士では、周縁蓋体215bの伝送線206の外側端面同士が互いに接触して導通され、フロアパネルシステム201の全体に亘って連続した伝送路207が形成される。
【0074】
上述したアウトレット209の接続部211は、中央蓋体215aと周縁蓋体215bとに対応した2種類が設けられ、中央蓋体215aに対応した中央接続部211aは、中央蓋体215aと同様の形状をもって伝送線206がサンドイッチ状に挟まれ、伝送線106の外周端面に接触突部206cが形成されている。また、周縁接続部211bは、周縁蓋体215bと同様の形状をもって伝送線206がサンドイッチ状に挟まれ、伝送線206の外周端面が露出されている。これにより、中央蓋体215aや周縁蓋体215bに代えて中央接続部211aや周縁接続部211bを溝部216に嵌め込んだ際にも、隣接する伝送線206同士が相互に接触して伝送路207を確保できる。
【0075】
したがって、図12中一点鎖線の矢印に示すように、アウトレット209の接続部211をフロアパネル204の中央部に取り付ける場合は、中央蓋体215aを取り外して、そこに中央接続部211aを嵌め込むことになる。また、アウトレット209の接続部211をフロアパネル204の主演部に取り付ける場合は、周縁蓋体215bを取り外して、そこに周縁接続部211bを嵌め込むことになる。このように、本実施形態では、溝部216の一部が取付部210に相当している。
【0076】
以上の本実施形態によれば、上記各実施形態と同様に伝送線206が配設されている部分であれば、いかなる場所でも伝送物である電力や情報信号をアウトレット209に簡単に取り出すことができる。
【0077】
また、表面層204Sの任意の部分に設けた任意の蓋体215である中央蓋体215aや周縁蓋体215bを取り外してアウトレット209の接続部211である中央接続部211aや周縁接続部211bを伝送線206に接続できるので、蓋体215を設けたいかなる場所でも伝送物である電力や情報信号をアウトレット209に簡単に取り出すことができる。
【0078】
さらに、本実施形態では、フロアパネル204の表面層204Sに伝送線206を設けることによって、第1の実施形態と同様に、フロアパネル204と基礎床2との間の空間5に配索する伝送線を少なくしたり無くすことができる。したがって、フロアパネル204のパネル本体204M内に伝送線206を設けずにフロアパネル204と基礎床2との間の空間5にだけ伝送線を配索する場合に比べて、フロアパネル204と基礎床2との間の空間5の高さを低くすることができ、フロアパネルシステム201の床面(上面)を低くすることができる。よって、室内空間の高さを高くして室内を広くすることができる。
【0079】
また、フロアパネル204の表面層204Sに伝送線206を一体に設けることによって、第1の実施形態と同様に、フロアパネル204に電気機器99を内蔵してその電気機器99を伝送線206に接続したり、フロアパネル204外の電気機器(図示せず)を伝送線206に接続することができ、これにより、そのフロアパネル204に内外の電気機器99の遠隔制御や使用をすることができる。このような構成の例は、第1の実施形態と同じであるため、説明は省略する。
【0080】
図13は第3の実施形態のフロアパネルシステムの変形例を概略的に示す斜視図である。なお、本変形例は第3の実施形態と同一構成部分に同一符号を付して重複する説明を省略して述べるものとする。
【0081】
本変形例では、第3の実施形態と同様にフロアパネル204Aには、表面層204Sに十字状の溝部216を形成してあり、その溝部216の底面に十字状に形成した平板状の伝送線206を配設してある。また、溝部216には中央蓋体215Aaおよび周縁蓋体215Abに分割された蓋体215Aが嵌め込まれるようになっている。
【0082】
一方、アウトレット209の接続部211Aは、上述の中央蓋体215Aaおよび周縁蓋体215Abと同様の形状となる中央接続部211Aaおよび図示省略した周縁接続部となり、それらの接続部211Aの下面からはアウトレット209に電気的に接続される接続歯212を突設してある。接続歯212は、中央接続部211Aaでは2本が設けられ、周縁接続部では6本が設けられることになる。
【0083】
他方、伝送線206には、接続歯212が差し込まれる差込孔213が伝送線206の長さ方向に沿って複数形成されている。そして、中央蓋体215Aaや周縁蓋体215Abを取り外した取出口(取付部)210Aに中央接続部211Aaや周縁接続部を嵌め込むことにより、それぞれの接続歯212が差込孔213に挿入されて、伝送線206とアウトレット209とが導通される。これにより蓋体215Aを設けたいかなる場所でも伝送物である電力や情報信号をアウトレット209に簡単に取り出すことができる。
【0084】
図14は、図13に示すフロアパネルの第1変形例を示す要部断面図であり、本変形例のフロアパネル204は、底板204bと表面層204Sとの間に形成される中空部に、金属や導電性プラスチックなどの導電性部材206aを充填し、この導電性部材206aを伝送媒体として用いている。
【0085】
したがって、本変形例によれば、伝送媒体を、フロアパネル204Bの内部に形成した中空部に充填した導電性部材206aとしたため、伝送媒体の配設作業が不要となる上、各フロアパネル204Bに対する伝送媒体の占有面積を増大でき、アウトレット209の接続位置の選択範囲を広げることができる。
【0086】
図15は、図13に示すフロアパネルの第2変形例を示す要部断面図で、導電性部材として、カーボンブラックなどの導電フィラー206bが含有された部材を用いている。すなわち、フロアパネル204Cの中空部内に導電フィラー206bを配置し、導電フィラー206bの周に無機物を充填したものを用いている。
【0087】
したがって、本変形例によれば、導電性部材を導電フィラー206bが含有された部材で形成したので、フロアパネル204Cの軽量化を図ることができる。
【0088】
なお、図14および図15に示す各変形例では、フロアパネル204B、204Cの導電性部材206aや導電フィラー206bを、隣接するフロアパネル204B、204Cに電気的に接続するために、一端部が導電性部材206aおよび導電フィラー206bに埋設され、他端部が表面層204Sの周縁部204Saに露出する接続板214が設けられている。
【0089】
ここで、第3の実施形態およびその変形例であるフロアパネル204、204Aの変形例を説明する。以下の各変形例は、フロアパネル204、204Aに対して、伝送線206の配置が異なり、その他の構成は同じである。
【0090】
図16は、本実施形態にかかる図12、図13に示すフロアパネル204、204Aの第1変形例を概略的に示す斜視図である。図16に示す第1変形例のフロアパネル204Dでは、フロアパネル204Dの一組の対辺の中央部同士を結ぶように伝送線206が設けられており、伝送線206は直線状を成している。
【0091】
図17は、本実施形態にかかる図12、図13に示すフロアパネル204、204Aの第2変形例を概略的に示す斜視図である。図17に示す第2変形例のフロアパネル204Eでは、フロアパネル204Eの連続する3辺の中間部分を接続するように伝送線206が設けられており、伝送線206が全体で略V字状を成している。
【0092】
図18は、本実施形態にかかる図12、図13に示すフロアパネル204、204Aの第3変形例を概略的に示す斜視図である。図18に示す第3変形例のフロアパネル204Fでは、フロアパネル204Fの一組の対辺同士を結ぶように一対の伝送線206が相互に平行に設けられている。
【0093】
図19は、本実施形態にかかる図12、図13に示すフロアパネル204、204Aの第4変形例を概略的に示す斜視図である。図19に示す第4変形例のフロアパネル204Gでは、フロアパネル204Gの隣合う辺同士を接続するように伝送線206が設けられており、これらの伝送線206は相互に離間して配置されている。
【0094】
これらの各種のフロアパネル204、204A、104D、104E、104F、204Gおよび204B、204Cを組み合わせることにより、フロアパネルシステム201の伝送路207の経路を多種多様に構築することができる。
【0095】
[第4の実施形態]
本発明の第4の実施形態について図面を参照して説明する。図20は、本実施形態にかかるフロアパネルシステムを概略的に示す斜視図、図21は、フロアパネルシステムの要部拡大斜視図である。
【0096】
図20に示すように、本実施形態のフロアパネルシステム301は、前記各実施形態と同様に基礎床2(図1参照)上に配置される複数の支柱3と、これらの支柱3を介して基礎床2上にフロアパネル304と、を備えて、フロアパネル304と基礎床2との間に空間5を有する二重床が形成されている。
【0097】
ここで、本実施形態が前記各実施形態と主に異なる点は、フロアパネル304が略長方形状かつシート状をしており、当該フロアパネル304の長手方向に沿って伝送媒体としての伝送線306が配設されていることにある。
【0098】
また、本実施形態では、略長方形状かつシート状に形成したフロアパネル304の長手方向に整列される複数の支柱3に亘って横桟31を架設し、その横桟31にフロアパネル304を載置している。
【0099】
さらに、本実施形態では、図21に示すように、表面層304Sを複数に分割してそれぞれを矩形状に形成して着脱可能に配置している。このとき、フロアパネル304の本体部分と表面層304Sとの間に伝送線306を配設しており、それら表面層304Sと伝送線306との間に、アウトレット309の接続部311を取り付ける取出口(取付部)310が設けられている。勿論、取出口310は、伝送線306に対応した位置に形成される。
【0100】
以上の本実施形態によれば、フロアパネル304が略長方形状をしているため、フロアパネル304の敷設作業の能率化を図ることができる。特に、フロアパネル304をシート状とすることで当該フロアパネル304を長手方向に巻回させることが可能となり、このフロアパネル304を巻回しておくことにより、運搬作業が容易になるとともに、敷設作業が容易になる。
【0101】
また、複数の支柱3に亘って架設した横桟31にフロアパネル304を載置したので、フロアパネル304の敷設作業のさらなる能率化を図ることができる。
【0102】
さらに、表面層304Sを着脱可能に設けるとともに、表面層304Sと伝送線306との間に、アウトレット309の接続部311を取り付ける取出口(取付部)310を設けたので、表面層304Sを取り外すことによりアウトレット309の接続部311を容易に取出口310に接続できる。
【0103】
図22は、第4の実施形態の第1変形例を示すフロアパネルの分解斜視図で、本変形例にあっても第4の実施形態と同様にフロアパネル304Aは略長方形状かつシート状に形成され、長手方向に沿って伝送媒体としての伝送線306Aが配設されている。
【0104】
また、複数に分割した表面層304Sをフロアパネル304Aの本体部分に着脱可能に配置しており、それら表面層304Sと伝送線306Aとの間に、アウトレット309の接続部311を取り付ける取出口(取付部)310Aが設けられている。
【0105】
取出口310Aは、伝送線306A上に間隔をもって複数設けられており、その取出口310Aは扁平な四角筒状に形成されている。そして、それぞれの取出口310Aは、フロアパネル304Aの幅方向に配置することでフロアパネル304Aの本体部分の上面に固定される。また、表面層304Sは、取出口310Aの上面に着脱可能に設けられており、その表面層304Sの角部近傍にはアウトレット309のハーネスを引き出すための切欠部304Saが形成されている。
【0106】
したがって、第4の実施形態の第1変形例によれば、第4の実施形態と同様に、フロアパネル304Aが略長方形状をしているため、フロアパネル304Aの敷設作業の能率化を図ることができる。また、表面層304Sを着脱可能に形成するとともに、表面層304Sと伝送線306Aとの間に、アウトレット309の接続部311Aを取り付ける取出口310Aを設けたので、表面層304Sを取り外すことによりアウトレット309の接続部311Aを容易に取出口310Aに接続できる。
【0107】
また、本変形例にあっても、シート状のフロアパネル304Aを長手方向に巻回可能とすることが好ましく、さらに、複数の支柱3に亘って横桟を架設し、その横桟にフロアパネル304Aを載置することが好ましい。
【0108】
図23は、第4の実施形態の第2変形例を示すフロアパネルの分解斜視図で、本変形例にあっても第4の実施形態と同様にフロアパネル304Bは略長方形状かつシート状に形成されており、長手方向に沿って伝送媒体としての伝送線306Bが配設されている。
【0109】
本変形例のフロアパネル304Bは、本体部分の上面に幅を有する溝部316を形成することで矩形状の隆起部317が格子状に形成されている。そして、フロアパネル304Bの長手方向に整列した複数の隆起部317に連続して伝送線306Bが埋設されている。このとき、伝送線306は溝部316で露出され、この伝送線306が露出される溝部316の部分が取出口(取付部)310Bとなる。また、各隆起部317に対応して分割された表面層304Sは、隆起部317の上面に着脱できるようになっている。
【0110】
一方、アウトレット309の接続部311Bは、溝部316に嵌め込まれる直方体状に形成され、接続部311Bを取出口310Bに嵌め込むことにより、露出した伝送線306Bとアウトレット309とが導通されることになる。
【0111】
したがって、第4の実施形態の第2変形例によれば、第4の実施形態と同様に、フロアパネル304Bが略長方形状をしているため、フロアパネル304Bの敷設作業の能率化を図ることができる。また、表面層304Sを着脱可能に設けるとともに、表面層304Sと伝送線306Bとの間に、アウトレット309の接続部311Bを取り付ける取出口310Bを設けたので、表面層304Sを取り外すことによりアウトレット309の接続部311Bを容易に取出口310Bに接続できる。
【0112】
また、本変形例にあっても、シート状のフロアパネル304Bを長手方向に巻回可能とすることが好ましく、さらに、複数の支柱3に亘って横桟を架設し、その横桟にフロアパネル304Bを載置することが好ましい。
【0113】
図24は、前記第2変形例(図23参照)のさらなる変形例を示し、(a)は、フロアパネルの要部拡大断面図、(b)は、発熱装置部の斜視図である。本変形例では、フロアパネル304Bの本体部分に設けた格子状の隆起部317を覆うようにアウトレットとしての発熱装置部312を設置し、その発熱装置部312の上面に表面層304Sを敷設している。そして、表面層304Sを発熱装置部312のカバーとして用いている。
【0114】
発熱装置部312は平坦な板状に形成され、その発熱装置部312の下面から接続部となる脚部311Cが突設している。脚部311Cは、フロアパネル304Bの隆起部317を格子状に区画する溝部316(図23参照)に沿った形状を成している。そして、脚部311Cを取付部となる溝部316に嵌め込むことにより、その脚部311Cが伝送線306Bに接触して発熱装置部312に通電され、その発熱装置部312を床暖房として用いることができる。
【0115】
したがって、本変形例によれば、第4の実施形態の第2変形例と同様に、フロアパネル304Bが略長方形状をしているため、フロアパネル304Bの敷設作業の能率化を図ることができる。また、発熱装置部312の脚部311Cをフロアパネル304Bの溝部316に嵌め込むことにより通電が可能となるので、発熱装置部312の設置作業が容易となる。
【0116】
[第5の実施形態]
本発明の第5の実施形態について図面を参照して説明する。図25は、本実施形態にかかるフロアパネルシステムに用いるフロアパネルの平面図、図26はアウトレットを取り付ける状態を示すフロアパネルの断面図である。
【0117】
図25に示すように、本実施形態のフロアパネル404は、前記各実施形態と同様に矩形状に形成され、図26に示すように、天板404cと底板404bとを結合して形成される。
【0118】
ここで、本実施形態が前記各実施形態と異なる点は、フロアパネル404に、フロアパネル404を貫通する多数の貫通孔(取付部)404hを形成する一方、アウトレット409に任意の貫通孔404hに挿入される接続部としての接続端子411を設け、貫通孔404hを貫通させた接続端子411の先端部をフロアパネル404の裏面の任意の位置に配置可能な取出口410に挿入して、伝送媒体としての伝送線406に接触させたことにある。
【0119】
貫通孔404hは、フロアパネル404の表面層を兼ねた天板404cと底板404bとを上下方向に貫通して形成されており、接続端子411の長さは、フロアパネル404の厚さ、すなわち、天板404cの上面から底板404bの下面までの距離よりも長く形成される。なお、本実施形態では3本の接続端子411を設けている。
【0120】
取出口410は、底板404bの下面に着脱可能な受け部410aの上面に上述の接続端子411に対応して形成され、この受け部410aの内部には各取出口410に対応して接続端子411の接触子が設けられる。そして、取出口410から挿入された接続端子411が接触子に接触することにより、伝送線406から電力や情報信号などの伝送物がアウトレット409に取り出される。受け部410aは、その上面に永久磁石が設けられており底板404bに着脱することができるようになっている。
【0121】
アウトレット409は、第2の実施形態のアウトレット109(図7参照)と同様に、側面にコンセント409aを設けた円盤状に形成されており、その下側から接続端子411が垂設されている。また、本実施形態ではアウトレット409の側面にパイロットランプ409bが設けられている。
【0122】
以上の本実施形態によれば、フロアパネル404を貫通する多数の貫通孔404hを形成することで取付部を形成するとともに、アウトレット409の接続端子(接続部)411を任意の貫通孔404hに挿入できるように形成し、接続端子(接続部)411の先端部を伝送線406に接触させたため、アウトレット409の接続端子411をフロアパネル404に形成した任意の貫通孔404hに挿入することにより、接続端子411の先端部をフロアパネル404の裏面に配置した取出口410に挿入して伝送線406に導通できる。したがって、多数の貫通孔404hから任意の位置にある貫通孔404hを選択して接続端子411を挿入することができ、貫通孔404hが形成されている部分であれば、いかなる場所であっても伝送物である電力や情報信号を簡単に取り出すことができるようになる。また、貫通孔404hの間隔を狭くしておくことにより、アウトレット409の接続位置を精度良く調整できる。
【0123】
[第6の実施形態]
本発明の第6の実施形態について図面を参照して説明する。図27は、本実施形態にかかるフロアパネルシステムを概略的に示す斜視図、図28は、フロアパネルを概略的に示す斜視図である。なお、第1及び第3の実施形態と同じ部分には同一符号を付して重複する説明は省略する。
【0124】
図27に示すように、本実施形態のフロアパネルシステム501は、置き敷きタイプの矩形のフロアパネル504を複数備えており、これらのフロアパネル504が基礎床2上に碁盤の目状に直接敷設される。このフロアパネルシステム501と基礎床2とによって、二重床が形成される。なお、図27では、フロアパネル504同士の境界部分を太線で示してある。
【0125】
図27及び図28に示すように、フロアパネル504は、矩形板状のパネル本体504Mを骨格部材として備えている。このパネル本体504Mには、上面開口の配線用溝511が十字状に形成されており、この配線用溝511の上面は、着脱可能な表面層としての蓋512で閉塞される。隣合うフロアパネル504同士の配線用溝511は、相互に連通されており、かかる複数の配線用溝511によって、フロアパネルシステム501に格子状の溝513が形成される。この溝513には伝送線506が配設可能となっている。
【0126】
蓋512には、伝送線206が配線用溝511の形状に合わせて十字状をなすように設けられている。そして、隣合うフロアパネル504における蓋512の伝送線206同士は、相互に接続され、これらの蓋512内の伝送線206等によって、フロアパネルシステム501内に格子状の伝送路507が形成される。
【0127】
この伝送路507には、第1の実施形態と同様に、伝送物管理装置8やアウトレット509が接続可能となっており、アウトレット509に接続された電気機器(図示せず)と伝送物管理装置8とが伝送路507を介して接続されるようになっている。フロアパネルシステム501が伝送路507によって伝送する伝送物は、第1の実施形態と同じである。
【0128】
ここで、本実施形態では、フロアパネル504は、表面層とした蓋512の任意の位置にアウトレット509の接続部が取り付けられる取付部を複数形成することが可能となっている。このとき、取付部は、予め蓋512に形成しておいてもよく、また、蓋512を弾性絶縁材料で形成して、取付部を事後形成することもできる。
【0129】
以上の本実施形態によれば、前記各実施形態と同様に伝送線506が配設されている部分(本実施形態では蓋512の配置部分)であれば、いかなる場所でも伝送物である電力や情報信号をアウトレット509に簡単に取り出すことができる。
【0130】
また、本実施形態では、フロアパネル504の蓋512内に伝送線506が設けられていることにより、フロアパネル504を基礎床2に直接敷設しても、フロアパネルシステム501内に伝送路507が形成されるので、フロアパネル504の下面と基礎床2との間に配線用の空間を形成する必要がなく、その分、フロアパネルシステム501の床面(上面)を低くすることができる。よって、室内空間の高さを高くして室内を広くすることができる。なお、このような効果は、例えば、第3の実施形態のフロアパネル204を支柱3を介さずに直接基礎床2に敷設することでも得ることができる。また、第1の実施形態のフロアパネル4を支柱3を介さずに直接基礎床2に敷設して、隣合うフロアパネル4の伝送線6同士を接続部材によって接続することによっても、上記と同じ効果を得ることができる。
【0131】
また、このようにフロアパネル504に伝送線506を一体に設けることによって、第1の実施形態と同様に、フロアパネル504に電気機器99を内蔵してその電気機器99を伝送線506に接続したり、フロアパネル504外の電気機器(図示せず)を伝送線506に接続することができ、これにより、そのフロアパネル504内外の電気機器99の遠隔制御や使用をすることができる。このような構成の例は、第1の実施形態と同じであるため、説明は省略する。
【0132】
なお、本発明は、上記実施形態に限ることなく本発明の要旨を逸脱しない範囲で他の実施形態を各種採用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0133】
【図1】本発明の第1の実施形態にかかるフロアパネルシステムを概略的に示す斜視図である。
【図2】本発明の第1の実施形態にかかる取出口を形成したフロアパネルの斜視図である。
【図3】本発明の第1の実施形態にかかるフロアパネルの断面図である。
【図4】本発明の第1の実施形態にかかる取出口を形成しない状態のフロアパネルの斜視図である。
【図5】本発明の第2の実施形態にかかるフロアパネルシステムを概略的に示す斜視図である。
【図6】本発明の第2の実施形態にかかるアウトレットを接続した状態を示すフロアパネルの平面図である。
【図7】図6中A−A線に沿った拡大断面図である。
【図8】本発明にかかるフロアパネルの変形例を概略的に示す平面図である。
【図9】本発明にかかるフロアパネルの変形例を概略的に示す平面図である。
【図10】本発明にかかるフロアパネルの変形例を概略的に示す平面図である。
【図11】本発明の第3の実施形態にかかるフロアパネルシステムを概略的に示す斜視図である。
【図12】本発明の第3の実施形態にかかるフロアパネルの分解斜視図である。
【図13】本発明の第3の実施形態にかかるフロアパネルシステムの変形例を概略的に示す斜視図である。
【図14】本発明の第3の実施形態にかかるフロアパネルの変形例を示す要部断面図である。
【図15】本発明の第3の実施形態にかかるフロアパネルの変形例を示す要部断面図である。
【図16】本発明の第3の実施形態にかかるフロアパネルの変形例を概略的に示す斜視図である。
【図17】本発明の第3の実施形態にかかるフロアパネルの変形例を概略的に示す斜視図である。
【図18】本発明の第3の実施形態にかかるフロアパネルの変形例を概略的に示す斜視図である。
【図19】本発明の第3の実施形態にかかるフロアパネルの変形例を概略的に示す斜視図である。
【図20】本発明の第4の実施形態にかかるフロアパネルシステムを概略的に示す斜視図である。
【図21】本発明の第4の実施形態にかかるフロアパネルシステムの要部拡大斜視図である。
【図22】本発明の第4の実施形態の変形例を示すフロアパネルの分解斜視図である。
【図23】本発明の第4の実施形態の変形例を示すフロアパネルの分解斜視図である。
【図24】本発明の第4の実施形態の変形例を示し、(a)はフロアパネルの要部拡大断面図、(b)は発熱装置部の斜視図である。
【図25】本発明の第5の実施形態にかかるフロアパネルシステムに用いるフロアパネルの平面図である。
【図26】本発明の第5の実施形態にかかるアウトレットを取り付ける状態を示すフロアパネルの断面図である。
【図27】本発明の第6の実施形態にかかるフロアパネルシステムを概略的に示す斜視図である。
【図28】本発明の第6の実施形態にかかるフロアパネルを概略的に示す斜視図である。
【符号の説明】
【0134】
1、101、201、301、401、501 フロアパネルシステム
2 基礎床
3 支柱
4、104、204、304、404、504 フロアパネル
5 空間
6 伝送板(伝送媒体)
106、206、306、406、506 伝送線(伝送媒体)
9、109、209、309、409、509 アウトレット
10、110、210、310、410 取出口(取付部)
11、211、311 接続部
111、411 接続端子(接続部)
4S、104S、204S、304S 表面層
206a 導電性部材
206b 導電フィラー
215 蓋体
31 横桟
404c 天板(表面層)
404h 貫通孔
512 蓋(表面層)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基礎床上に敷設されて二重床を構築する複数のフロアパネルと、当該フロアパネルの表面下に配置される伝送媒体と、当該伝送媒体に接触可能な接続部を有し、当該接続部を介して前記伝送媒体に接続されるアウトレットとを備えるフロアパネルシステムであって、
前記フロアパネルは、前記アウトレットの接続部が取り付けられる取付部を複数形成することが可能であり、
前記フロアパネルに形成された前記取付部に前記アウトレットの接続部を取り付け、当該接続部を前記伝送媒体に接触させることを特徴とするフロアパネルシステム。
【請求項2】
前記フロアパネルは、弾性絶縁材で形成された表面層を備え、当該表面層の前記伝送媒体に対応した任意の位置に前記取付部を形成できるようにしたことを特徴とする請求項1に記載のフロアパネルシステム。
【請求項3】
前記フロアパネルの表面に表面層を形成し、当該表面層に、前記伝送媒体に沿って任意の部分に分割した蓋体を設け、
任意の蓋体を取り外して前記アウトレットの接続部を前記伝送媒体に接触させるようにしたことを特徴とする請求項1に記載のフロアパネルシステム。
【請求項4】
前記フロアパネルの表面に着脱可能な表面層を形成し、当該表面層と前記伝送媒体との間に前記取付部を設けたことを特徴とする請求項1に記載のフロアパネルシステム。
【請求項5】
前記フロアパネルが略長方形状をしており、当該フロアパネルの長手方向に沿って前記伝送媒体が配設されていることを特徴とする請求項1〜4のうちいずれか1項に記載のフロアパネルシステム。
【請求項6】
前記基礎床上に空間を設けてフロアパネルを支持する支柱を備えるとともに、複数の支柱に亘って横桟を架設し、当該横桟に略長方形状の前記フロアパネルを載置することを特徴とする請求項5に記載のフロアパネルシステム。
【請求項7】
前記伝送媒体は、前記フロアパネルの内部に形成した中空部に充填した導電性部材であることを特徴とする請求項1〜4のうちいずれか1項に記載のフロアパネルシステム。
【請求項8】
前記導電性部材は、導電性フィラーが含有された部材であることを特徴とする請求項7に記載のフロアパネルシステム。
【請求項9】
前記フロアパネルに、当該フロアパネルを貫通する多数の貫通孔を形成することで前記取付部を形成するとともに、前記アウトレットの接続部を任意の貫通孔に挿入できるように形成し、貫通孔を貫通させた前記接続部の先端部を前記フロアパネルの下方に配置される伝送媒体に接触させたことを特徴とする請求項1に記載のフロアパネルシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【公開番号】特開2010−106470(P2010−106470A)
【公開日】平成22年5月13日(2010.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−277278(P2008−277278)
【出願日】平成20年10月28日(2008.10.28)
【出願人】(000005832)パナソニック電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】