フロアマットとその敷設方法
【課題】平坦部の寸法を調整することにより汎用性を向上することができ、しかも、周縁部の立ち上がり部の倒れを防止することができるフロアマットを提供する。
【解決手段】平坦部2と、この平坦部2の周縁部の少なくとも一部が平坦部2から立ち上げって形成された立ち上がり部3とを有するフロアマットにおいて、立ち上がり部3の外側に、下方に向かう縦延長部5を形成し、この縦延長部5の下側に、外側に向かう横延長部21を形成し、縦延長部5と横延長部21との間に切り離し用の溝23を形成する。立ち上がり部3と縦延長部5の組み合わせにより、フロアマット周縁部の立ち上がり部3の倒れが防止され、フロアマット1内に溜まった水、ゴミ、砂などの外部流出を防止でき、しかも、車両サイズの変更に伴い凹部たる溝23から切り離すことにより、サイズ変更できるため、汎用性が高まる。
【解決手段】平坦部2と、この平坦部2の周縁部の少なくとも一部が平坦部2から立ち上げって形成された立ち上がり部3とを有するフロアマットにおいて、立ち上がり部3の外側に、下方に向かう縦延長部5を形成し、この縦延長部5の下側に、外側に向かう横延長部21を形成し、縦延長部5と横延長部21との間に切り離し用の溝23を形成する。立ち上がり部3と縦延長部5の組み合わせにより、フロアマット周縁部の立ち上がり部3の倒れが防止され、フロアマット1内に溜まった水、ゴミ、砂などの外部流出を防止でき、しかも、車両サイズの変更に伴い凹部たる溝23から切り離すことにより、サイズ変更できるため、汎用性が高まる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両に設けるフロアマットとその敷設方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、車両キャビネット内においては、フロアの汚れを予防するため、フロアマットが敷設されている。
【0003】
そのフロアマットには各種タイプのものがあり、例えば周縁部が立ち上がったトレイ状のフロアマットが知られている。
【0004】
しかし、従来のトレイ状フロアマットは、機種毎に合わせて形成されているため、汎用性に乏しいものであった。
【0005】
これに対して、2枚のマット本体の左右両端縁部において、前後方向の一条又は二条以上の切り溝を設け、さらに一端部に係合手段を設け、他端部に前記係合手段に係合する係合手段を設けた自動車用マット(例えば特許文献1)が提案されている。
【0006】
しかし、上記自動車用マットでは、切り溝に沿って端縁部を切り取ることにより、2枚のマット本体の横幅は調整できるが、マット本体の平坦部の寸法を変更することができず、汎用性に劣る面がある。
【0007】
ところで、この種のトレイ状のフロアマットの場合、周縁部の立ち上がり部分が変形し易いという問題があり、このような問題を考慮して、平坦部と、この平坦部の周縁部の少なくとも一部が前記平坦部から立ち上がって形成された立ち上がり部とを有するフロアマットであって、このフロアマットの敷設面側に、前記平坦部から前記立ち上がり部に架かる補強用突起を備え、熱可塑性エラストマーからなるもの(例えば特許文献2)が提案されている。
【0008】
上記特許文献2のものでは、補強用突起によって立ち上がり部の変形を抑制することができるが、周縁部の立ち上がり部を踏むと立ち上がり部が倒れ、この繰り返しや経年変化により周縁部が倒れるように変形し、このようにして周縁部が倒れてしまうと、内部に溜まった水、ゴミ、砂利類がフロアを汚すという問題が発生する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2001−71806号公報
【特許文献2】特開2002−356124号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
そこで、本発明は上記した問題点に鑑み、寸法を調整することにより汎用性を向上することができ、しかも、立ち上がり部の倒れを防止することができるフロアマットとその敷設方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するために、請求項1に係る発明は、平坦部と、この平坦部の周縁部の少なくとも一部が前記平坦部から立ち上げって形成された立ち上がり部とを有するフロアマットにおいて、前記立ち上がり部の外側に、下方に向かう縦延長部を形成し、この縦延長部の下側に、外側に向かう横延長部を形成し、前記縦延長部と前記横延長部との間に切り離し用凹部を形成し、前記縦延長部の外面は前記平坦部に対して略垂直なことを特徴とする。
【0012】
また、請求項2に係る発明は、前記立ち上がり部は前記平坦部に対して上部が外側になるように傾斜し、前記平坦部に対する立ち上がり角度が、鈍角で、前記平坦部に対する前記縦延長部の角度より大きく形成されていることを特徴とする。
【0013】
また、請求項3に係る発明は、前記凹部は部分的に深さを変化させてなることを特徴とする。
【0014】
また、請求項4に係る発明は、請求項1〜3のいずれか1項に記載のフロアマットの敷設方法において、前記凹部に沿って前記横延長部を切り離した後、前記縦延長部を車両の内装品に接するようにして敷設することを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明の請求項1に記載のフロアマットによれば、立ち上がり部と縦延長部の組み合わせにより、フロアマット周縁部の立ち上がり部の倒れが防止され、フロアマット内に溜まった水、ゴミ、砂などの外部流出を防止でき、また、車両サイズの変更に伴い凹部から横延長部を切り離すことにより、サイズの変更ができるため、汎用性が高まる。しかも、平坦部に対して略垂直な縦延長部の外面を基準として凹部から切り離すことができるため、切り離し作業が容易となる。
【0016】
また、本発明の請求項2に記載のフロアマットによれば、乗車時における乗員の足移動がスムーズになると共に、フロアマット周縁部の剛性が向上する。
【0017】
また、本発明の請求項3に記載のフロアマットによれば、切り離し用の凹部の深さに変化を付けることで切り離し部分が明示可能となるため、切り離し作業が容易となる。
【0018】
また、本発明の請求項4に記載のフロアマットの敷設方法によれば、縦延長部を内装品に接して配置することにより、立ち上がり部の倒れを防止することができると共に、コンパクトに車内に装着することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本実施例の実施例1を示すフロアマットの要部の断面図である。
【図2】同上、平面図である。
【図3】同上、斜視図である。
【図4】同上、凹部回りの拡大断面図である。
【図5】同上、横延長部を切り取ったフロアマットにおいて、内装品に縦延長部を接して敷設した状態の断面図である。
【図6】本実施例の実施例2を示す凹部回りの拡大平面図である。
【図7】同上、凹部回りの拡大断面図である。
【図8】本実施例の実施例3を示す横延長部を切り取ったフロアマットにおいて、内装品に縦延長部を接して敷設した状態の断面図である。
【図9】本実施例の実施例4を示すフロアマットの要部の断面図である。
【図10】本実施例の実施例5を示す敷設前の断面図である。
【図11】同上、敷設状態の断面図である。
【図12】本実施例の実施例6を示す敷設状態の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図面を参照して、本発明の実施例1について説明する。
【実施例1】
【0021】
図1〜図5に示すように、フロアマット1は、自動車などの車両のフロア11に敷く平坦部2と、フロア11の形状に適合するように、前記平坦部2の周縁部が立ち上がって形成された立ち上がり部3と、この立ち上がり部3の上端から外側に略水平に形成された上縁部4と、この上縁部4の外側で下方に向かうように形成された縦延長部5とを備え、この縦延長部5の先端である下端5Tは、前記平坦部2の近傍まで延びて形成され、この例では、前記下端5Tは、前記立ち上がり部3に近接する平坦部2の下面と略同一位置まで延びている。また、前記平坦部2の周縁部には薄肉部を形成することなく、前記立ち上がり部3が形成されている。
【0022】
尚、前記平坦部2は略水平状態で使用されるから、使用状態で前記縦延長部5の外面5Gは略鉛直となる。さらに、前記平坦部2の上面には、複数の滑り止め用突部8が設けられている。
【0023】
図2などに示すように、前記平坦部2は、左右方向に長い略長方形形状の方形部2Aと、この方形部2Aの前後の一側縁で左右に間隔をおいて突出した一対の突出部2B,2Bとを一体に有し、その平坦部2の全周に、前記立ち上がり部3,上縁部4及び縦延長部5が設けられている。
【0024】
前記平坦部2の左右縁と、前後方向の他側の縁とに連続して、略平板状の横延長部21が一体成形により設けられ、これら左右の横延長部21,21は平面で略L字型をなしている。また、前記平坦部2と前記横延長部21の下面は略同一平面に位置する。
【0025】
図1に示すように、前記横延長部21は、屈曲部22により前記縦延長部5の下端5Tに連結され、前記屈曲部22の上面には切り離し用凹部たる溝23が形成され、この例では前記溝23は屈曲部22の略全長に形成されている。また、前記横延長部21の上面周囲には、横延長部21の中央部21Sより高い突条部24が形成されており、この突条部24の上面を基準として、前記中央部21Sと比べて前記溝23が深く形成されている。
【0026】
前記縦延長部5は、前記上縁部4の外縁から下方に指向して形成され、その縦延長部5の高さは、平坦部2の上面から立ち上がり部3の上端までの高さの3分の2以上、特に前記縦延長部5の下端5Tが、平坦部2の上面位置と同一かこれより下方が好ましい。すなわち、前記高さが3分の2以上あれば、立ち上がり部3が僅かに倒れても、下端5Tがフロア11に当接して、倒れを防止できる。また、前記上縁部4の幅は、前記立ち上がり部の高さの2分の1以下である。
【0027】
また、前記立ち上がり部3は、平坦部2に対して、上部が外側になるように傾斜し、縦延長部5は、平坦部2に対して、下部が外側になるように傾斜し、縦延長部5の外面5Gの平坦部2に対する角度θtは、鈍角であって、縦延長部5の外面の横延長部21に対する角度θeより大きく、その角度θtは、140〜160度程度、この例では略150度である。
【0028】
前記縦延長部5の外面5Gの平坦部2に対する角度θeは、略垂直であって、92度〜98度、この例では略95度である。そして、カッターなどにより溝23を切断する場合、角度θeが90度より僅かに大きい方が、溝23から屈曲部22を略垂直又は外面Gに連続して切断し易いため、92度以上が好ましく、98度を越えると、垂直の基準となり難くなると共に、踏まれた場合の変形防止効果の面から、98度以下が好ましい。尚、上述したように前記平坦部2と前記横延長部21の下面は略同一平面に位置するから、前記角度θeは、前記縦延長部5の外面5Gと横延長部21とがなす角度と同一である。また、この例では、前記外面5Gが前記溝23の底面まで同一角度で形成されている。
【0029】
前記フロアマット1は、後述する連結部材を除いて、樹脂材料などの同一材料により、平坦部2と、立ち上がり部3と、上縁部4と、縦延長部5と、横延長部21とを一体成形したものである。
【0030】
また、前記フロアマット1の構成材としては、例えば、熱可塑性樹脂(例えば、ポリ塩化ビニル、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリエチレンなど)、熱可塑性エラストマー(例えば、スチレン系熱可塑性エラストマー、ポリオレフィン系熱可塑性エラストマー、ポリ塩化ビニル系エラストマーなど)、熱硬化性樹脂(例えば、フェノール樹脂、ポリウレタン、不飽和ポリエステル樹脂など)、或いは天然又は合成ゴム(例えば、スチレン−ブタジエンゴム、ブタジエンゴム、イソプレンゴム、ニトリル−ブタジエンゴムなど)などを挙げることができる。これらの中でも、軽量かつリサイクルし易い熱可塑性エラストマーからなるのが好まく、さらに、弾力性を備えることが好ましい。また、フロアマット1の構成材の硬度(ショアーA硬度)は、50〜90程度であるのが好ましく、65〜75程度であるのがより好ましい。
【0031】
次に、前記フロアマット1の敷設例について説明する。図1に示すように、フロアマット1を敷設すると、立ち上がり部3の外側に縦延長部5が形成されているため、立ち上がり部3の倒れが防止される。特に、フロアマット1の左右に横延長部21,21が形成されているため、これら左右の横延長部21,21を設けた周縁部における立ち上がり部の倒れを効果的に防止できる。特に、フロアマット1の左右の立ち上がり部3は、乗員の乗り降りの際に踏み易い箇所であるから、それら立ち上がり部3の変形を防止することができる。また、平坦部2は着座姿勢で足の位置にあるから、他の部分を覆う横延長部21を設けても、フロアマット1の汚れ防止効果を損なうことはなく、フロア11の形状に対応する横延長部21を設けることにより、フロア11にフィットしたフロアマット1が得られる。
【0032】
一方、平坦部2の大きさに対応した車両のフロア11に使用する場合は、カッターなどを用いて溝23から横延長部21を切り離す。この場合、縦延長部5の外面5Gが横延長部21に対して略垂直に配置されているから、基準となって切り離し作業を容易に行うことができる。
【0033】
図5では、横延長部21を切り離した後、車両のサイドシェル12の外面に前記縦延長部5の外面5Gを接して、フロアマット1をフロア11に敷設しており、前記サイドシェル12の上部には、開閉ドア13が設けられている。また、溝23の切断部分が残った場合は、その切断部分をサイドシェル12に当接するようにすればよい。尚、前記サイドシェル12は、車両の内装品であって、フロア11から突出して設けられている。
【0034】
このように本実施例では、請求項1に対応して、平坦部2と、この平坦部2の周縁部の少なくとも一部が平坦部2から立ち上げって形成された立ち上がり部3とを有するフロアマットにおいて、立ち上がり部3の外側に、下方に向かう縦延長部5を形成し、この縦延長部5の下側に、外側に向かう横延長部21を形成し、縦延長部5と横延長部21との間に切り離し用凹部たる溝23を形成し、縦延長部5の外面5Gは平坦部2に対して略垂直なものであるから、立ち上がり部3と縦延長部5の組み合わせにより、フロアマット周縁部の立ち上がり部3の倒れが防止され、フロアマット1内に溜まった水、ゴミ、砂などの外部流出を防止でき、また、車両サイズの変更に伴い溝23から横延長部21を切り離すことにより、サイズの変更ができるため、汎用性が高まる。しかも、平坦部2に対して略垂直な縦延長部5の外面5Gを基準として溝23から切り離すことができるため、切り離し作業が容易となる。
【0035】
また、このように本実施例では、請求項2に対応して、立ち上がり部3は平坦部2に対して上部が外側になるように傾斜し、平坦部2に対する立ち上がり部3の角度θtが、鈍角で、平坦部2に対する縦延長部5の角度θeより大きく形成されているから、乗車時における乗員の足移動がスムーズになると共に、フロアマット周縁部の剛性が向上する。
【0036】
また、このように本実施例では、請求項4に対応して、請求項1〜3のいずれか1項に記載のフロアマットの敷設方法において、切り離し用の凹部たる溝23に沿って横延長部21を切り離した後、縦延長部5を車両の内装品たるサイドシェル12に接するようにして敷設するから、立ち上がり部3の倒れを防止することができると共に、フロアマット1を車内にコンパクトに装着することができる。
【0037】
さらに、実施例上の効果として、フロアマット1の敷設状態で、縦延長部5の下端5Tがフロア11に近接又は接しているから、立ち上がり部3を倒す力が加わると、下端5Tがフロア11に接して前記倒す力に対抗することにより、立ち上がり部3の倒れを防止できる。尚、内装品に接する部分は、溝23を切り取った切断端でもよい。
【0038】
また、縦延長部5は平坦部2に対して略垂直であるから、横延長部21を切断した後のフロアマット1のスペース効率が向上し、コンパクトに車内に装着することができる。
【0039】
さらにまた、前記横延長部21の上面周囲には、横延長部21の中央部21Sより高い突条部24が形成されているから、突条部24に中央部21Sの水やゴミ類が外部に漏れにくくなる。
【実施例2】
【0040】
図6〜図7は、本発明の実施例2を示し、上記実施例1と同一部分に同一符号を付し、その詳細な説明を省略して詳述する。
【0041】
この例は、前記溝23の深さを部分的に変化させたものであり、前記溝23に略一定間隔で溝23の深い部分23Aを形成し、この深い部分23Aにおいて、前記屈曲部22は薄く形成されている。
【0042】
したがって、図6に示すように、溝23が破線のように視認されるから、目印となってカッターなどの位置を合わせ易く、また、深い部分23Aの厚さが薄くなっているから、切り取り易いものとなる。
【0043】
以上のように本実施例では、上記実施例と同様な作用・効果を奏する。
【0044】
また、このように本実施例では、請求項3に対応して、凹部たる溝23は部分的に深さを変化させてなるから、切り離し用の溝23に変化を付けることで切り離し部分が明示可能となるため、切り離し作業が容易となる。
【実施例3】
【0045】
図8は、本発明の実施例3を示し、上記実施例1と同一部分に同一符号を付し、その詳細な説明を省略して詳述する。
【0046】
この例は、フロア11に設けたフロアトンネル14の外面に前記縦延長部5が当接するように、フロアマット1をフロア11に敷設している。尚、フロアトンネル14が車両の内装品である。
【0047】
以上のように本実施例では、上記実施例と同様な作用・効果を奏する。
【0048】
また、このように本実施例では、請求項4に対応して、請求項1〜3のいずれか1項に記載のフロアマットの敷設方法において、凹部たる溝23に沿って横延長部21を切り離した後、縦延長部5を車両の内装品たるフロアトンネル14に接するようにして敷設するから、立ち上がり部3の倒れを防止することができると共に、フロアマット1を車内にコンパクトに装着することができる。
【実施例4】
【0049】
図9は、本発明の実施例4を示し、上記実施例と同一部分に同一符号を付し、その詳細な説明を省略して詳述する。
【0050】
この例は、前記立ち上がり部3の内面と前記縦延長部5の内面間に、複数の縦リブ部7が形成されており、これら縦リブ部7は立ち上がり部3の長さ方向に間隔をおいて配置されている。前記縦リブ部7は、前記立ち上がり部3と前記縦延長部5とを連結し、また、その縦リブ部7の上部は前記上縁部4の下面に連結されている。尚、立ち上がり部3に隣接する平坦部2の下面と、下端5Tと、縦リブ部7の下面とは略同一面に設けられている。
【0051】
以上のように本実施例では、上記実施例と同様な作用・効果を奏する。
【0052】
また、実施例上の効果として、立ち上がり部3と縦延長部5との間に、それら立ち上がり部3と縦延長部5とを連結するリブ部たる縦リブ部7を設けたから、立ち上がり部3と縦延長部5との間が開くことが防止され、立ち上がり部3の変形を抑制することができる。
【実施例5】
【0053】
図10及び図11は、本発明の実施例5を示し、上記実施例1と同一部分に同一符号を付し、その詳細な説明を省略して詳述する。
【0054】
この例は、フロアマット1を車両の内装品に連結するものを示し、フロアマット1の平坦部2には、前記立ち上がり部3に近い位置で、第1連結部材たる雌型連結部材31を設け、この雌型連結部材31が連結可能な雄型連結部材32を、他のフロアマット33に設けている。そして、前記雌型連結部材31が第1連結部材であり、前記雄型連結部材32が第2連結部材であり、前記他のフロアマット33が車両の内装品である。
【0055】
前記雌型連結部材31は、平坦部2の下面に連結部31Rを設け、平坦部2の上面側に配置した取付部31Tの下部を、平坦部2に挿通し、その取付部31Tの下部と前記連結部31Rとを加締め固定して取り付けられている。
【0056】
また、前記他のフロアマット33は、下部材たるマット本体34の上面に、上部材たるパイル状の布地35を設けてなり、前記マット本体34の端部34Tは布地35部分より外側に突出して設けられ、その端部34Tには、繊維によりオーバーロック加工が施されたオーバーロック部36が形成されている。尚、前記布地35は前記マット本体34より厚く、且つ柔軟である。さらに、前記端部34Tの下面には、連結材取付部たる連結片37が縫着部38により縫着固定され、前記連結片37は前記オーバーロック部36を越えて外部に突出し、この連結片37の突出部分に前記雄型連結部材32が固定されている。
【0057】
前記雄型連結部材32は、前記連結片37の上面に連結部32Rを設け、前記連結片37の下面側に配置した取付部32Tの上部を、前記連結片37に挿通し、その取付部32Tの上部と前記連結部32Rとを加締め固定して取り付けられている。
【0058】
この例では、前記縦延長部5は、前記立ち上がり部3に近接する平坦部2の下面の下方まで延びている。
【0059】
そして、前記雄型連結部材32に前記雌型連結部材31を連結してフロアマット1をフロア11に敷設した状態で、前記縦延長部5の下部の外面5Gが前記オーバーロック部36の外縁に接するように固定している。この場合、少なくとも縦延長部5に前記オーバーロック部36が部分的に接していればよいが、連結部材31,32により他のフロアマット33に対してフロアマット1が位置決めされているから、オーバーロック部36に、弾力性を有する部材からなる前記縦延長部5を圧接してもよく、この場合、縦延長部5が内側に変形するようにオーバーロック部36に当てることにより、変形した縦延長部5の弾性復元力により、その縦延長部5がオーバーロック部36に圧接する。
【0060】
以上のように本実施例では、上記実施例と同様な作用・効果を奏する。
【0061】
また、実施例上の効果として、平坦部2に第1連結部材たる雌型連結部材31を設け、この雌型連結部材31が車両の内装品たる他のフロアマット33に設けた第2連結部材たる雄型連結部材32と連結可能なものであるから、フロアマット1が車両の内装品に位置決め状態で連結されることにより、立ち上がり部3の倒れ防止効果が向上すると共に、コンパクトな装着性を向上することができる。
【0062】
また、フロアマット1の中央ではなく、周縁部側に雌型連結部材31を設けたから、雌型連結部材31に近接する立ち上がり部3の位置決めを確実に行うことができる。
【実施例6】
【0063】
図12は、本発明の実施例6を示し、上記各実施例と同一部分に同一符号を付し、その詳細な説明を省略して詳述する。
【0064】
この例は、前記縦延長部5と前記立ち上がり部3との間に、第1連結部材たる雌型連結部材31を設けたものである。
【0065】
そして、前記雄型連結部材32に前記雌型連結部材31を連結してフロアマット1をフロア11に敷設した状態で、前記縦延長部5の下部の外面5Gが布地35の外縁に接するように固定している。この場合、少なくとも縦延長部5に前記布地35が部分的に接していればよいが、連結部材31,32により他のフロアマット33に対してフロアマット1が位置決めされているから、布地35に、弾力性を有する部材からなる前記縦延長部5を圧接してもよく、この場合、縦延長部5が内側に変形するように布地35の外縁に当てることにより、変形した縦延長部5の弾性復元力により、その縦延長部5が布地35に確実に接触する。
【0066】
また、前記縦延長部5の下端5Tは前記端部34Tに近接又は接している。さらに、縦リブ部7を備える場合は、縦リブ部7の下面が前記端部34Tに近接又は接するようにすることが好ましい。
【0067】
以上のように本実施例においても、上記実施例と同様な作用・効果を奏する。
【0068】
また、実施例上の効果として、フロアマット1をフロア11に敷設した状態で、前記縦延長部5が布地35の外縁に接するように固定したから、縦延長部5の下に、オーバーロック部36を隠すことができ、場合によっては、オーバーロック加工が不要となる。
【0069】
尚、本発明は、本実施例に限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲内で種々の変形実施が可能である。例えば、上縁部を設けずに、立ち上がり部の上端に縦延長部を設けてもよい。さらに、車両の内装品は実施例のものに限定されず、各種の内装品に対応可能である。また、各実施例において、縦リブ部を設けてもよい。さらに、縦延長部の下部側の外面の一部だけを、平坦部に対して略垂直に形成してもよい。
【符号の説明】
【0070】
1 フロアマット
2 平坦部
3 立ち上がり部
5 縦延長部
5G 外面
11 フロア
12 サイドシェル(内装品)
14 フロアトンネル(内装品)
21 横延長部
22 屈曲部
23 溝(切り離し用凹部)
23A 深い部分
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両に設けるフロアマットとその敷設方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、車両キャビネット内においては、フロアの汚れを予防するため、フロアマットが敷設されている。
【0003】
そのフロアマットには各種タイプのものがあり、例えば周縁部が立ち上がったトレイ状のフロアマットが知られている。
【0004】
しかし、従来のトレイ状フロアマットは、機種毎に合わせて形成されているため、汎用性に乏しいものであった。
【0005】
これに対して、2枚のマット本体の左右両端縁部において、前後方向の一条又は二条以上の切り溝を設け、さらに一端部に係合手段を設け、他端部に前記係合手段に係合する係合手段を設けた自動車用マット(例えば特許文献1)が提案されている。
【0006】
しかし、上記自動車用マットでは、切り溝に沿って端縁部を切り取ることにより、2枚のマット本体の横幅は調整できるが、マット本体の平坦部の寸法を変更することができず、汎用性に劣る面がある。
【0007】
ところで、この種のトレイ状のフロアマットの場合、周縁部の立ち上がり部分が変形し易いという問題があり、このような問題を考慮して、平坦部と、この平坦部の周縁部の少なくとも一部が前記平坦部から立ち上がって形成された立ち上がり部とを有するフロアマットであって、このフロアマットの敷設面側に、前記平坦部から前記立ち上がり部に架かる補強用突起を備え、熱可塑性エラストマーからなるもの(例えば特許文献2)が提案されている。
【0008】
上記特許文献2のものでは、補強用突起によって立ち上がり部の変形を抑制することができるが、周縁部の立ち上がり部を踏むと立ち上がり部が倒れ、この繰り返しや経年変化により周縁部が倒れるように変形し、このようにして周縁部が倒れてしまうと、内部に溜まった水、ゴミ、砂利類がフロアを汚すという問題が発生する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2001−71806号公報
【特許文献2】特開2002−356124号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
そこで、本発明は上記した問題点に鑑み、寸法を調整することにより汎用性を向上することができ、しかも、立ち上がり部の倒れを防止することができるフロアマットとその敷設方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するために、請求項1に係る発明は、平坦部と、この平坦部の周縁部の少なくとも一部が前記平坦部から立ち上げって形成された立ち上がり部とを有するフロアマットにおいて、前記立ち上がり部の外側に、下方に向かう縦延長部を形成し、この縦延長部の下側に、外側に向かう横延長部を形成し、前記縦延長部と前記横延長部との間に切り離し用凹部を形成し、前記縦延長部の外面は前記平坦部に対して略垂直なことを特徴とする。
【0012】
また、請求項2に係る発明は、前記立ち上がり部は前記平坦部に対して上部が外側になるように傾斜し、前記平坦部に対する立ち上がり角度が、鈍角で、前記平坦部に対する前記縦延長部の角度より大きく形成されていることを特徴とする。
【0013】
また、請求項3に係る発明は、前記凹部は部分的に深さを変化させてなることを特徴とする。
【0014】
また、請求項4に係る発明は、請求項1〜3のいずれか1項に記載のフロアマットの敷設方法において、前記凹部に沿って前記横延長部を切り離した後、前記縦延長部を車両の内装品に接するようにして敷設することを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明の請求項1に記載のフロアマットによれば、立ち上がり部と縦延長部の組み合わせにより、フロアマット周縁部の立ち上がり部の倒れが防止され、フロアマット内に溜まった水、ゴミ、砂などの外部流出を防止でき、また、車両サイズの変更に伴い凹部から横延長部を切り離すことにより、サイズの変更ができるため、汎用性が高まる。しかも、平坦部に対して略垂直な縦延長部の外面を基準として凹部から切り離すことができるため、切り離し作業が容易となる。
【0016】
また、本発明の請求項2に記載のフロアマットによれば、乗車時における乗員の足移動がスムーズになると共に、フロアマット周縁部の剛性が向上する。
【0017】
また、本発明の請求項3に記載のフロアマットによれば、切り離し用の凹部の深さに変化を付けることで切り離し部分が明示可能となるため、切り離し作業が容易となる。
【0018】
また、本発明の請求項4に記載のフロアマットの敷設方法によれば、縦延長部を内装品に接して配置することにより、立ち上がり部の倒れを防止することができると共に、コンパクトに車内に装着することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本実施例の実施例1を示すフロアマットの要部の断面図である。
【図2】同上、平面図である。
【図3】同上、斜視図である。
【図4】同上、凹部回りの拡大断面図である。
【図5】同上、横延長部を切り取ったフロアマットにおいて、内装品に縦延長部を接して敷設した状態の断面図である。
【図6】本実施例の実施例2を示す凹部回りの拡大平面図である。
【図7】同上、凹部回りの拡大断面図である。
【図8】本実施例の実施例3を示す横延長部を切り取ったフロアマットにおいて、内装品に縦延長部を接して敷設した状態の断面図である。
【図9】本実施例の実施例4を示すフロアマットの要部の断面図である。
【図10】本実施例の実施例5を示す敷設前の断面図である。
【図11】同上、敷設状態の断面図である。
【図12】本実施例の実施例6を示す敷設状態の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図面を参照して、本発明の実施例1について説明する。
【実施例1】
【0021】
図1〜図5に示すように、フロアマット1は、自動車などの車両のフロア11に敷く平坦部2と、フロア11の形状に適合するように、前記平坦部2の周縁部が立ち上がって形成された立ち上がり部3と、この立ち上がり部3の上端から外側に略水平に形成された上縁部4と、この上縁部4の外側で下方に向かうように形成された縦延長部5とを備え、この縦延長部5の先端である下端5Tは、前記平坦部2の近傍まで延びて形成され、この例では、前記下端5Tは、前記立ち上がり部3に近接する平坦部2の下面と略同一位置まで延びている。また、前記平坦部2の周縁部には薄肉部を形成することなく、前記立ち上がり部3が形成されている。
【0022】
尚、前記平坦部2は略水平状態で使用されるから、使用状態で前記縦延長部5の外面5Gは略鉛直となる。さらに、前記平坦部2の上面には、複数の滑り止め用突部8が設けられている。
【0023】
図2などに示すように、前記平坦部2は、左右方向に長い略長方形形状の方形部2Aと、この方形部2Aの前後の一側縁で左右に間隔をおいて突出した一対の突出部2B,2Bとを一体に有し、その平坦部2の全周に、前記立ち上がり部3,上縁部4及び縦延長部5が設けられている。
【0024】
前記平坦部2の左右縁と、前後方向の他側の縁とに連続して、略平板状の横延長部21が一体成形により設けられ、これら左右の横延長部21,21は平面で略L字型をなしている。また、前記平坦部2と前記横延長部21の下面は略同一平面に位置する。
【0025】
図1に示すように、前記横延長部21は、屈曲部22により前記縦延長部5の下端5Tに連結され、前記屈曲部22の上面には切り離し用凹部たる溝23が形成され、この例では前記溝23は屈曲部22の略全長に形成されている。また、前記横延長部21の上面周囲には、横延長部21の中央部21Sより高い突条部24が形成されており、この突条部24の上面を基準として、前記中央部21Sと比べて前記溝23が深く形成されている。
【0026】
前記縦延長部5は、前記上縁部4の外縁から下方に指向して形成され、その縦延長部5の高さは、平坦部2の上面から立ち上がり部3の上端までの高さの3分の2以上、特に前記縦延長部5の下端5Tが、平坦部2の上面位置と同一かこれより下方が好ましい。すなわち、前記高さが3分の2以上あれば、立ち上がり部3が僅かに倒れても、下端5Tがフロア11に当接して、倒れを防止できる。また、前記上縁部4の幅は、前記立ち上がり部の高さの2分の1以下である。
【0027】
また、前記立ち上がり部3は、平坦部2に対して、上部が外側になるように傾斜し、縦延長部5は、平坦部2に対して、下部が外側になるように傾斜し、縦延長部5の外面5Gの平坦部2に対する角度θtは、鈍角であって、縦延長部5の外面の横延長部21に対する角度θeより大きく、その角度θtは、140〜160度程度、この例では略150度である。
【0028】
前記縦延長部5の外面5Gの平坦部2に対する角度θeは、略垂直であって、92度〜98度、この例では略95度である。そして、カッターなどにより溝23を切断する場合、角度θeが90度より僅かに大きい方が、溝23から屈曲部22を略垂直又は外面Gに連続して切断し易いため、92度以上が好ましく、98度を越えると、垂直の基準となり難くなると共に、踏まれた場合の変形防止効果の面から、98度以下が好ましい。尚、上述したように前記平坦部2と前記横延長部21の下面は略同一平面に位置するから、前記角度θeは、前記縦延長部5の外面5Gと横延長部21とがなす角度と同一である。また、この例では、前記外面5Gが前記溝23の底面まで同一角度で形成されている。
【0029】
前記フロアマット1は、後述する連結部材を除いて、樹脂材料などの同一材料により、平坦部2と、立ち上がり部3と、上縁部4と、縦延長部5と、横延長部21とを一体成形したものである。
【0030】
また、前記フロアマット1の構成材としては、例えば、熱可塑性樹脂(例えば、ポリ塩化ビニル、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリエチレンなど)、熱可塑性エラストマー(例えば、スチレン系熱可塑性エラストマー、ポリオレフィン系熱可塑性エラストマー、ポリ塩化ビニル系エラストマーなど)、熱硬化性樹脂(例えば、フェノール樹脂、ポリウレタン、不飽和ポリエステル樹脂など)、或いは天然又は合成ゴム(例えば、スチレン−ブタジエンゴム、ブタジエンゴム、イソプレンゴム、ニトリル−ブタジエンゴムなど)などを挙げることができる。これらの中でも、軽量かつリサイクルし易い熱可塑性エラストマーからなるのが好まく、さらに、弾力性を備えることが好ましい。また、フロアマット1の構成材の硬度(ショアーA硬度)は、50〜90程度であるのが好ましく、65〜75程度であるのがより好ましい。
【0031】
次に、前記フロアマット1の敷設例について説明する。図1に示すように、フロアマット1を敷設すると、立ち上がり部3の外側に縦延長部5が形成されているため、立ち上がり部3の倒れが防止される。特に、フロアマット1の左右に横延長部21,21が形成されているため、これら左右の横延長部21,21を設けた周縁部における立ち上がり部の倒れを効果的に防止できる。特に、フロアマット1の左右の立ち上がり部3は、乗員の乗り降りの際に踏み易い箇所であるから、それら立ち上がり部3の変形を防止することができる。また、平坦部2は着座姿勢で足の位置にあるから、他の部分を覆う横延長部21を設けても、フロアマット1の汚れ防止効果を損なうことはなく、フロア11の形状に対応する横延長部21を設けることにより、フロア11にフィットしたフロアマット1が得られる。
【0032】
一方、平坦部2の大きさに対応した車両のフロア11に使用する場合は、カッターなどを用いて溝23から横延長部21を切り離す。この場合、縦延長部5の外面5Gが横延長部21に対して略垂直に配置されているから、基準となって切り離し作業を容易に行うことができる。
【0033】
図5では、横延長部21を切り離した後、車両のサイドシェル12の外面に前記縦延長部5の外面5Gを接して、フロアマット1をフロア11に敷設しており、前記サイドシェル12の上部には、開閉ドア13が設けられている。また、溝23の切断部分が残った場合は、その切断部分をサイドシェル12に当接するようにすればよい。尚、前記サイドシェル12は、車両の内装品であって、フロア11から突出して設けられている。
【0034】
このように本実施例では、請求項1に対応して、平坦部2と、この平坦部2の周縁部の少なくとも一部が平坦部2から立ち上げって形成された立ち上がり部3とを有するフロアマットにおいて、立ち上がり部3の外側に、下方に向かう縦延長部5を形成し、この縦延長部5の下側に、外側に向かう横延長部21を形成し、縦延長部5と横延長部21との間に切り離し用凹部たる溝23を形成し、縦延長部5の外面5Gは平坦部2に対して略垂直なものであるから、立ち上がり部3と縦延長部5の組み合わせにより、フロアマット周縁部の立ち上がり部3の倒れが防止され、フロアマット1内に溜まった水、ゴミ、砂などの外部流出を防止でき、また、車両サイズの変更に伴い溝23から横延長部21を切り離すことにより、サイズの変更ができるため、汎用性が高まる。しかも、平坦部2に対して略垂直な縦延長部5の外面5Gを基準として溝23から切り離すことができるため、切り離し作業が容易となる。
【0035】
また、このように本実施例では、請求項2に対応して、立ち上がり部3は平坦部2に対して上部が外側になるように傾斜し、平坦部2に対する立ち上がり部3の角度θtが、鈍角で、平坦部2に対する縦延長部5の角度θeより大きく形成されているから、乗車時における乗員の足移動がスムーズになると共に、フロアマット周縁部の剛性が向上する。
【0036】
また、このように本実施例では、請求項4に対応して、請求項1〜3のいずれか1項に記載のフロアマットの敷設方法において、切り離し用の凹部たる溝23に沿って横延長部21を切り離した後、縦延長部5を車両の内装品たるサイドシェル12に接するようにして敷設するから、立ち上がり部3の倒れを防止することができると共に、フロアマット1を車内にコンパクトに装着することができる。
【0037】
さらに、実施例上の効果として、フロアマット1の敷設状態で、縦延長部5の下端5Tがフロア11に近接又は接しているから、立ち上がり部3を倒す力が加わると、下端5Tがフロア11に接して前記倒す力に対抗することにより、立ち上がり部3の倒れを防止できる。尚、内装品に接する部分は、溝23を切り取った切断端でもよい。
【0038】
また、縦延長部5は平坦部2に対して略垂直であるから、横延長部21を切断した後のフロアマット1のスペース効率が向上し、コンパクトに車内に装着することができる。
【0039】
さらにまた、前記横延長部21の上面周囲には、横延長部21の中央部21Sより高い突条部24が形成されているから、突条部24に中央部21Sの水やゴミ類が外部に漏れにくくなる。
【実施例2】
【0040】
図6〜図7は、本発明の実施例2を示し、上記実施例1と同一部分に同一符号を付し、その詳細な説明を省略して詳述する。
【0041】
この例は、前記溝23の深さを部分的に変化させたものであり、前記溝23に略一定間隔で溝23の深い部分23Aを形成し、この深い部分23Aにおいて、前記屈曲部22は薄く形成されている。
【0042】
したがって、図6に示すように、溝23が破線のように視認されるから、目印となってカッターなどの位置を合わせ易く、また、深い部分23Aの厚さが薄くなっているから、切り取り易いものとなる。
【0043】
以上のように本実施例では、上記実施例と同様な作用・効果を奏する。
【0044】
また、このように本実施例では、請求項3に対応して、凹部たる溝23は部分的に深さを変化させてなるから、切り離し用の溝23に変化を付けることで切り離し部分が明示可能となるため、切り離し作業が容易となる。
【実施例3】
【0045】
図8は、本発明の実施例3を示し、上記実施例1と同一部分に同一符号を付し、その詳細な説明を省略して詳述する。
【0046】
この例は、フロア11に設けたフロアトンネル14の外面に前記縦延長部5が当接するように、フロアマット1をフロア11に敷設している。尚、フロアトンネル14が車両の内装品である。
【0047】
以上のように本実施例では、上記実施例と同様な作用・効果を奏する。
【0048】
また、このように本実施例では、請求項4に対応して、請求項1〜3のいずれか1項に記載のフロアマットの敷設方法において、凹部たる溝23に沿って横延長部21を切り離した後、縦延長部5を車両の内装品たるフロアトンネル14に接するようにして敷設するから、立ち上がり部3の倒れを防止することができると共に、フロアマット1を車内にコンパクトに装着することができる。
【実施例4】
【0049】
図9は、本発明の実施例4を示し、上記実施例と同一部分に同一符号を付し、その詳細な説明を省略して詳述する。
【0050】
この例は、前記立ち上がり部3の内面と前記縦延長部5の内面間に、複数の縦リブ部7が形成されており、これら縦リブ部7は立ち上がり部3の長さ方向に間隔をおいて配置されている。前記縦リブ部7は、前記立ち上がり部3と前記縦延長部5とを連結し、また、その縦リブ部7の上部は前記上縁部4の下面に連結されている。尚、立ち上がり部3に隣接する平坦部2の下面と、下端5Tと、縦リブ部7の下面とは略同一面に設けられている。
【0051】
以上のように本実施例では、上記実施例と同様な作用・効果を奏する。
【0052】
また、実施例上の効果として、立ち上がり部3と縦延長部5との間に、それら立ち上がり部3と縦延長部5とを連結するリブ部たる縦リブ部7を設けたから、立ち上がり部3と縦延長部5との間が開くことが防止され、立ち上がり部3の変形を抑制することができる。
【実施例5】
【0053】
図10及び図11は、本発明の実施例5を示し、上記実施例1と同一部分に同一符号を付し、その詳細な説明を省略して詳述する。
【0054】
この例は、フロアマット1を車両の内装品に連結するものを示し、フロアマット1の平坦部2には、前記立ち上がり部3に近い位置で、第1連結部材たる雌型連結部材31を設け、この雌型連結部材31が連結可能な雄型連結部材32を、他のフロアマット33に設けている。そして、前記雌型連結部材31が第1連結部材であり、前記雄型連結部材32が第2連結部材であり、前記他のフロアマット33が車両の内装品である。
【0055】
前記雌型連結部材31は、平坦部2の下面に連結部31Rを設け、平坦部2の上面側に配置した取付部31Tの下部を、平坦部2に挿通し、その取付部31Tの下部と前記連結部31Rとを加締め固定して取り付けられている。
【0056】
また、前記他のフロアマット33は、下部材たるマット本体34の上面に、上部材たるパイル状の布地35を設けてなり、前記マット本体34の端部34Tは布地35部分より外側に突出して設けられ、その端部34Tには、繊維によりオーバーロック加工が施されたオーバーロック部36が形成されている。尚、前記布地35は前記マット本体34より厚く、且つ柔軟である。さらに、前記端部34Tの下面には、連結材取付部たる連結片37が縫着部38により縫着固定され、前記連結片37は前記オーバーロック部36を越えて外部に突出し、この連結片37の突出部分に前記雄型連結部材32が固定されている。
【0057】
前記雄型連結部材32は、前記連結片37の上面に連結部32Rを設け、前記連結片37の下面側に配置した取付部32Tの上部を、前記連結片37に挿通し、その取付部32Tの上部と前記連結部32Rとを加締め固定して取り付けられている。
【0058】
この例では、前記縦延長部5は、前記立ち上がり部3に近接する平坦部2の下面の下方まで延びている。
【0059】
そして、前記雄型連結部材32に前記雌型連結部材31を連結してフロアマット1をフロア11に敷設した状態で、前記縦延長部5の下部の外面5Gが前記オーバーロック部36の外縁に接するように固定している。この場合、少なくとも縦延長部5に前記オーバーロック部36が部分的に接していればよいが、連結部材31,32により他のフロアマット33に対してフロアマット1が位置決めされているから、オーバーロック部36に、弾力性を有する部材からなる前記縦延長部5を圧接してもよく、この場合、縦延長部5が内側に変形するようにオーバーロック部36に当てることにより、変形した縦延長部5の弾性復元力により、その縦延長部5がオーバーロック部36に圧接する。
【0060】
以上のように本実施例では、上記実施例と同様な作用・効果を奏する。
【0061】
また、実施例上の効果として、平坦部2に第1連結部材たる雌型連結部材31を設け、この雌型連結部材31が車両の内装品たる他のフロアマット33に設けた第2連結部材たる雄型連結部材32と連結可能なものであるから、フロアマット1が車両の内装品に位置決め状態で連結されることにより、立ち上がり部3の倒れ防止効果が向上すると共に、コンパクトな装着性を向上することができる。
【0062】
また、フロアマット1の中央ではなく、周縁部側に雌型連結部材31を設けたから、雌型連結部材31に近接する立ち上がり部3の位置決めを確実に行うことができる。
【実施例6】
【0063】
図12は、本発明の実施例6を示し、上記各実施例と同一部分に同一符号を付し、その詳細な説明を省略して詳述する。
【0064】
この例は、前記縦延長部5と前記立ち上がり部3との間に、第1連結部材たる雌型連結部材31を設けたものである。
【0065】
そして、前記雄型連結部材32に前記雌型連結部材31を連結してフロアマット1をフロア11に敷設した状態で、前記縦延長部5の下部の外面5Gが布地35の外縁に接するように固定している。この場合、少なくとも縦延長部5に前記布地35が部分的に接していればよいが、連結部材31,32により他のフロアマット33に対してフロアマット1が位置決めされているから、布地35に、弾力性を有する部材からなる前記縦延長部5を圧接してもよく、この場合、縦延長部5が内側に変形するように布地35の外縁に当てることにより、変形した縦延長部5の弾性復元力により、その縦延長部5が布地35に確実に接触する。
【0066】
また、前記縦延長部5の下端5Tは前記端部34Tに近接又は接している。さらに、縦リブ部7を備える場合は、縦リブ部7の下面が前記端部34Tに近接又は接するようにすることが好ましい。
【0067】
以上のように本実施例においても、上記実施例と同様な作用・効果を奏する。
【0068】
また、実施例上の効果として、フロアマット1をフロア11に敷設した状態で、前記縦延長部5が布地35の外縁に接するように固定したから、縦延長部5の下に、オーバーロック部36を隠すことができ、場合によっては、オーバーロック加工が不要となる。
【0069】
尚、本発明は、本実施例に限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲内で種々の変形実施が可能である。例えば、上縁部を設けずに、立ち上がり部の上端に縦延長部を設けてもよい。さらに、車両の内装品は実施例のものに限定されず、各種の内装品に対応可能である。また、各実施例において、縦リブ部を設けてもよい。さらに、縦延長部の下部側の外面の一部だけを、平坦部に対して略垂直に形成してもよい。
【符号の説明】
【0070】
1 フロアマット
2 平坦部
3 立ち上がり部
5 縦延長部
5G 外面
11 フロア
12 サイドシェル(内装品)
14 フロアトンネル(内装品)
21 横延長部
22 屈曲部
23 溝(切り離し用凹部)
23A 深い部分
【特許請求の範囲】
【請求項1】
平坦部と、この平坦部の周縁部の少なくとも一部が前記平坦部から立ち上げって形成された立ち上がり部とを有するフロアマットにおいて、前記立ち上がり部の外側に、下方に向かう縦延長部を形成し、この縦延長部の下側に、外側に向かう横延長部を形成し、前記縦延長部と前記横延長部との間に切り離し用凹部を形成し、前記縦延長部の外面は前記平坦部に対して略垂直なことを特徴とするフロアマット。
【請求項2】
前記立ち上がり部は前記平坦部に対して上部が外側になるように傾斜し、前記平坦部に対する立ち上がり角度が、鈍角で、前記平坦部に対する前記縦延長部の角度より大きく形成されていることを特徴とする請求項1記載のフロアマット。
【請求項3】
前記凹部は部分的に深さを変化させてなることを特徴とする請求項1又は2記載のフロアマット。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項に記載のフロアマットの敷設方法において、前記凹部に沿って前記横延長部を切り離した後、前記縦延長部を車両の内装品に接するようにして敷設することを特徴とするフロアマットの敷設方法。
【請求項1】
平坦部と、この平坦部の周縁部の少なくとも一部が前記平坦部から立ち上げって形成された立ち上がり部とを有するフロアマットにおいて、前記立ち上がり部の外側に、下方に向かう縦延長部を形成し、この縦延長部の下側に、外側に向かう横延長部を形成し、前記縦延長部と前記横延長部との間に切り離し用凹部を形成し、前記縦延長部の外面は前記平坦部に対して略垂直なことを特徴とするフロアマット。
【請求項2】
前記立ち上がり部は前記平坦部に対して上部が外側になるように傾斜し、前記平坦部に対する立ち上がり角度が、鈍角で、前記平坦部に対する前記縦延長部の角度より大きく形成されていることを特徴とする請求項1記載のフロアマット。
【請求項3】
前記凹部は部分的に深さを変化させてなることを特徴とする請求項1又は2記載のフロアマット。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項に記載のフロアマットの敷設方法において、前記凹部に沿って前記横延長部を切り離した後、前記縦延長部を車両の内装品に接するようにして敷設することを特徴とするフロアマットの敷設方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2011−73626(P2011−73626A)
【公開日】平成23年4月14日(2011.4.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−228514(P2009−228514)
【出願日】平成21年9月30日(2009.9.30)
【出願人】(390005430)株式会社ホンダアクセス (205)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年4月14日(2011.4.14)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年9月30日(2009.9.30)
【出願人】(390005430)株式会社ホンダアクセス (205)
【Fターム(参考)】
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