説明

フロルフェニコールへの中間体として有用なオキサゾリン保護アミノジオール化合物を調製するための方法

式IVのオキサゾリン保護アミノジオール化合物を調製する方法が開示される。これらの化合物は、フロルフェニコールおよび関連化合物を調製するための方法において有用な中間体である。本発明は、エステルアミドおよびエステルオキサゾリン化合物からオキサゾリン保護アミノジオール化合物を調製するための方法に関する。本発明は、より効率的でコストを削減する方法を可能にする、出発材料としての式Vの化合物から式IVのオキサゾリン保護アミノジオール化合物を形成するための重要な処理上の利点を提供する。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エステルアミドおよびエステルオキサゾリン化合物からオキサゾリン保護アミノジオール化合物を調製するための方法に関する。これらの化合物は、フロルフェニコールおよび関連化合物を調製するための方法において有用な中間体である。
【背景技術】
【0002】
(発明の背景)
フロルフェニコールは、式Iの広域スペクトル抗生物質である。
【0003】
【化1】

【0004】
これは、獣医学において、グラム陽性およびグラム陰性の両方の細菌ならびにリケッチア感染症の治療のための幅広い用途を有する。フロルフェニコールは、2,2−ジクロロ−N−[(1S,2R)−1−(フルオロメチル)−2−ヒドロキシ−2−[4−(メチルスルホニル)フェニル]エチル]−アセトアミドまたは[R−(R,S)]−2,2−ジクロロ−N−[1−(フルオロメチル)−2−ヒドロキシ−2−[4−(メチルスルホニル)フェニル]エチル]アセトアミドとしても知られている。
【0005】
参照によりその開示が本明細書に組み込まれる特許文献1は、式IIのフロルフェニコール中間体[式中、Rはフェニルまたはジクロロメチルである]の合成およびフロルフェニコールを作製するための方法におけるそれらの使用を記載している。
【0006】
【化2】

【0007】
参照によりその開示が本明細書に組み込まれる、特許文献2、非特許文献1および特許文献3は、式IIIの(2R,3S)−エチル−2−アミノ−3−((4−(メチルスルホニル)フェニル)−3−ヒドロキシ−プロピオネートからの、式IIのフロルフェニコール中間体[式中、Rはフェニルである]の調製を記載している。
【0008】
【化3】

【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】米国特許第5,663,361号明細書
【特許文献2】特開昭50−148326号公報
【特許文献3】中国特許出願公開第1326926号明細書
【非特許文献】
【0010】
【非特許文献1】Clarkら、Synthesis、1991年、891〜894頁
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
(発明の概要)
上述の方法の主な欠点は、フロルフェニコールが所望の最終生成物である場合、フロルフェニコールを生成するためにいくつかの追加ステップをとらねばならないことである。第一に、式IIの化合物[式中、Rがフェニルである場合]をフッ素化させなくてはならず、第二に、フェニルオキサゾリン保護基を除去し、得られた等モルの安息香酸廃棄物を処分しなくてはならず、第三に、得られた化合物をアシル化してフロルフェニコールを生成しなくてはならない。この非効率的な方法は、高い生産コストおよび廃棄物処分コストをもたらす。本発明は、これらの欠陥に対処するものである。
【0012】
出願人らは、驚くべきことに、より効率的でコストを削減する方法を可能にする、出発材料としての式Vの化合物から式IVのオキサゾリン保護アミノジオール化合物を形成するための重要な処理上の利点を今や見出した。故に、本発明は、フロルフェニコール、その類似体、エステルアミド、エステルオキサゾリンおよびそれらに関係するオキサゾリン中間体を調製するための効率的かつ経済的な方法であるという利点を有する。本発明は、オキサゾリン保護アミノジオール化合物およびフロルフェニコールの合成に含まれる有用な中間体を調製する代替方法を目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は、式IVのオキサゾリン保護アミノジオール化合物またはその酸付加塩を調製するための方法を提供する:
【0014】
【化4】

【0015】
[式中、
は、水素、メチルチオ、メチルスルホキシ、メチルスルホニル、フルオロメチルチオ、フルオロメチルスルホキシ、フルオロメチルスルホニル、ニトロ、フルオロ、ブロモ、クロロ、アセチル、ベンジル、フェニル、ハロ置換フェニル、C1〜6アルキル、C1〜6ハロアルキル、C3〜8シクロアルキル、C2〜6アルケニル、C2〜6アルキニル、C1〜6アルコキシ、C1〜6アラルキル、C2〜6アラルケニルまたはC2〜6複素環式基であり、
は、水素、C1〜6アルキル、C1〜6ハロアルキル、C1〜6ジハロアルキル、C1〜6トリハロアルキル、CHCl、CHCl、CCl、CHBr、CHBr、CBr、CHF、CHF、CF3、C3〜8シクロアルキル、C3〜8シクロハロアルキル、C3〜8シクロジハロアルキル、C3〜8シクロトリハロアルキル、C2〜6アルケニル、C2〜6アルキニル、C1〜6アルコキシ、C1〜6アラルキル、C2〜6アラルケニル、C2〜6複素環式、ベンジルまたはフェニルアルキルであり、ここで、フェニル環は、1もしくは2個のハロゲン、C1〜6アルキルまたはC1〜6アルコキシによって置換されていてよい]。
【0016】
いくつかの実施形態において、本発明の方法は、ベッセル内の式Vの化合物またはその酸付加塩:
【0017】
【化5】

【0018】
[式中、
は上記で定義された通りであり、
は、水素、C1〜6アルキル、C3〜8シクロアルキル、ベンジル、フェニルまたはC1〜6アルキルフェニルであり、酸付加塩は、HCl、HNO、HSO、HPOまたは酢酸塩である]
を、アミド促進化合物を加えたアミド形成溶媒中のアミド促進試薬と反応させて、式VIのエステルアミド化合物を形成するステップを含む:
【0019】
【化6】

【0020】
[式中、R、RおよびRは上記で定義された通りである]。
【0021】
いくつかの実施形態において、本発明の方法は、ベッセル内の式VIの化合物を、単離してまたは単離せずに(すなわち、インサイチュで)、オキサゾリン促進化合物の存在下、オキサゾリン形成溶媒中のオキサゾリン促進試薬と反応させて、式VIIのエステルオキサゾリンを形成するステップによって続く:
【0022】
【化7】

【0023】
[式中、R、RおよびRは上記で定義された通りであり、式VIの化合物のものと比較して、反転した相対立体化学が不斉ベンジル炭素に存在する]。
【0024】
いくつかの実施形態において、本発明の方法は、ベッセル内の式VIIの化合物を、単離してまたは単離せずに(すなわち、インサイチュで)、キラル中心反転溶媒(chiral center−inverting solvent)中のキラル中心反転塩基と反応させて、式VIIIの化合物を形成するステップによって続く:
【0025】
【化8】

【0026】
[式中、R、RおよびRは上記で定義された通りであり、式VIIの化合物のものと比較して、反転した相対立体化学が不斉α−カルボニル炭素に存在する]。
【0027】
いくつかの実施形態において、本発明の方法は、ベッセル内の式VIIIの化合物を、単離してまたは単離せずに(すなわち、インサイチュで)、還元促進溶媒中の還元剤と反応させて、式IVの化合物を形成するステップによって続く:
【0028】
【化9】

【0029】
[式中、RおよびRは上記で定義された通りである]。
【0030】
いくつかの実施形態において、本発明の方法は、参照によりその開示が本明細書に組み込まれる、米国特許第4,743,700号、同第4,876,352号、同第5,332,835号、同第5,382,673号および同第5,567,844号に記載されている通り、式IVの化合物をフッ素化させるステップに続く。いくつかの実施形態において、該方法は、参照によりその開示が本明細書に組み込まれる、米国特許第5,382,673号およびGuangzhongら、J. Org. Chem、62巻、2996〜98頁(1997年)に記載されている通り、オキサゾリン環を開環させて、フロルフェニコールおよび関連化合物を形成するステップによってさらに続く。
【0031】
本発明は、式Vの化合物またはその酸付加塩も提供する:
【0032】
【化10】

【0033】
[式中、RおよびRは上記で定義された通りであり、但し、Rがメチルスルホニルである場合、RはCHでもCHCHでもなく、式Vの化合物が酸付加塩である場合、酸付加塩は、HCl、HNO、HSO、HPOまたは酢酸塩である]。
【0034】
本発明は、式VIの化合物またはその酸付加塩も提供する:
【0035】
【化11】

【0036】
[式中、Rはメチルスルホニルであり、RはCHまたはCHCHであり、Rは、CHCl、CHCl、CCl、CHBr、CHBr、CBr、CHF、CHFまたはCF3であり、但し、式VIの化合物が酸付加塩である場合、酸付加塩は、HCl、HNO、HSO、HPOまたは酢酸塩である]。
【0037】
本発明は、式VIIの化合物またはその酸付加塩も提供する:
【0038】
【化12】

【0039】
[式中、R、RおよびRは上記で定義された通りであり、但し、Rがメチルスルホニルであり、Rがフェニルである場合、RはCHでもCHCHでもなく、式VIの化合物が酸付加塩である場合、酸付加塩は、HCl、HNO、HSO、HPOまたは酢酸塩である]。
【0040】
本発明は、式VIIIの化合物またはその酸付加塩をさらに提供する:
【0041】
【化13】

【0042】
[式中、R、RおよびRは上記で定義された通りであり、但し、Rがメチルスルホニルであり、Rがフェニルである場合、RはCHでもCHCHでもなく、式VIの化合物が酸付加塩である場合、酸付加塩は、HCl、HNO、HSO、HPOまたは酢酸塩である]。
【発明を実施するための形態】
【0043】
(実施形態の詳細な説明)
本明細書および添付の特許請求の範囲において使用される場合、別段の指示がない限り、以下に列挙されている用語が使用され、真下に示される通りに定義されることを意図されている。他の用語の定義は、本明細書の至るところに出現し得る。使用されているすべての用語は、用語の複数形、能動態および過去時制形を含むことが意図されている。
【0044】
用語「アセチル」は、CHCO−基を意味する。
【0045】
用語「アルコール性溶媒」は、メタノール、エタノールおよびそれらの混合物等のC〜C10モノアルコール、エチレングリコール等のC〜C10ジアルコールならびにグリセリン等のC〜C10トリアルコールを含む。代替として、用語アルコール性溶媒は、任意の適切な共溶媒(すなわち、概して低濃度で元の溶媒に添加され、相乗効果によって溶媒力が大幅に増強された混合物を形成する第2の溶媒)と混合されたそのようなアルコールを含む。そのような共溶媒は、C〜C10アルカン等のアルコール性溶媒、ベンゼン、トルエンおよびキシレン等の芳香族溶媒、クロロベンゼン等のハロベンゼン、ならびにジエチルエーテル、tert−ブチルメチルエーテル、イソプロピルエーテルおよびテトラヒドロフラン等のエーテルと混和可能な他の溶媒、または上記共溶媒のいずれかの混合物を含み得る。
【0046】
用語「アルキル」は、メチル、エチル、プロピルまたはsec−ブチル等の飽和の直鎖または分岐鎖アルキルを意味する。代替として、アルキル中の炭素の数を指定してよい。例えば、「C1〜6アルキル」は、1、2、3、4、5または6個の炭素原子を含有する上記の通りの「アルキル」を意味する。
【0047】
用語「C2〜6アルキル」は、少なくとも1つの二重炭素−炭素(−C=C−)結合を有し、2、3、4、5または6個の炭素原子を含有する不飽和の分岐鎖または非分岐鎖炭化水素基を意味する。アルケニル基の例は、エテニル、1−プロペニル、イソプロペニル、2−ブテニル、1,3−ブタジエニル、3−ペンテニルおよび2−ヘキセニル等を含むがこれらに限定されない。
【0048】
用語「C2〜6アルキニル」は、少なくとも1つの三重炭素−炭素(−C≡C−)結合を有し、2、3、4、5または6個の炭素原子を含有する不飽和の分岐鎖または非分岐鎖炭化水素基を意味する。アルキニル基の例は、エチニル、1−プロピニル、2−プロピニル、2−ブチニル、3−ブチニル、2−ペンテン−4−イニル等を含むがこれらに限定されない。
【0049】
用語「C1〜6アルコキシ」はアルキル−O−基を意味し、ここで、用語「アルキル」は、本明細書において定義されている。アルコキシ基の例は、メトキシ、エトキシ、プロポキシ(例えば、n−プロポキシおよびイソプロポキシ)、t−ブトキシ等を含むがこれらに限定されない。
【0050】
用語「アリール」は、フェニルまたはC〜Cアルキルもしくは「ハロ」によって置換されているフェニルを意味し、ここで、フェニルおよびハロは本明細書で定義されている通りである。
【0051】
用語「C1〜6アラルキル」は、水素原子の除去によって芳香族炭化水素から誘導された任意の基であるアリール基によって置換されている、本明細書で定義されている通りのC1〜6アルキルを意味する。
【0052】
用語「C2〜6アラルケニル」は、水素原子の除去によって芳香族炭化水素から誘導された任意の基であるアリール基によって置換されている、本明細書で定義されている通りのC2〜6アルケニルを意味する。
【0053】
用語「アミド促進化合物」は、アミド促進試薬の遊離アミンとの反応を増強し、増大させ、加速させまたは別様に容易にする酸または塩基を指す。
【0054】
用語「アミド促進試薬」は、遊離アミンと反応させるとアミドを生成するような試薬を指し、ここで、アミドのカルボニルおよびカルボニルに結合している置換基は、アミド促進試薬由来のものである。
【0055】
用語「アミド促進溶媒」は、アミド促進試薬と遊離アミンとの間の反応を増強し、増大させ、加速させまたは別様に容易にする溶媒である。
【0056】
用語「ブロモ」は、化学元素の臭素を意味する。
【0057】
「置換ベンジル」は、C〜Cアルキルまたは「ハロ」によって置換されているベンジルを意味し、ここで、ベンジルは、トルエンから形式上誘導された一価の基CCH(すなわち、メチルベンゼン)である。
【0058】
用語「クロロ」は、化学元素の塩素(chorine)を意味する。
【0059】
用語「C3〜8シクロアルキル」は、3、4、5、6、7または8個の炭素原子を含有する飽和環式炭化水素基(すなわち、環化したアルキル基)を意味する。シクロアルキル基の例は、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル等を含むがこれらに限定されない。
【0060】
用語「C3〜8シクロハロアルキル」は、本明細書で定義されている通りのハロによって置換されている本明細書で定義されている通りのC3〜8シクロアルキルを意味する。
【0061】
用語「C3〜8シクロジハロアルキル」は、本明細書で定義されている通りのハロによって2回置換されている本明細書で定義されている通りのC3〜8シクロアルキルを意味し、ここで、ハロ原子は、同じであっても異なっていてもよい。
【0062】
用語「C3〜8シクロトリハロアルキル」は、本明細書で定義されている通りのハロによって3回置換されている本明細書で定義されている通りのC3〜8シクロアルキルを意味し、ここで、ハロ原子は、同じであっても異なっていてもよい。
【0063】
用語「C〜C10ジアルコール」は、2個のヒドロキシル基および2、3、4、5、6、7、8、9または10個の炭素原子を含有するアルコールを意味する。
【0064】
用語「C1〜6ジハロアルキル」は、本明細書で定義されている通りのハロによって2回置換されている本明細書で定義されている通りのC1〜6アルキルを意味し、ここで、ハロ原子は、同じであっても異なっていてもよい。
【0065】
用語「フルオロ」は、化学元素のフッ素を意味する。
【0066】
用語「フルオロメチルスルホニル」はCHFSO−基を意味する。
【0067】
用語「フルオロメチルスルホキシ」はCHFSO−基を意味する。
【0068】
用語「フルオロメチルチオ」はCHFS−基を意味する。
【0069】
用語「ハロ」または「ハロゲン」は、フルオロ、クロロ、ブロモまたはヨードを意味する。
【0070】
「ハロアルキル」は、1個または複数の水素が本明細書で定義されている通りのハロによって置き換えられている、上述の通りのアルキルを意味する。
【0071】
用語「ハロ置換フェニル」は、本明細書で定義されている通りのハロによって置換されている本明細書で定義されている通りのフェニルを意味する。
【0072】
用語「C2〜6複素環式基」は、環形成炭素原子の1つまたは複数が、酸素、窒素または硫黄原子等のヘテロ原子によって置き換えられている環系基を意味し、単環または多環式(例えば、2つ以上の縮合環を有する)環系およびスピロ環系を含む。環系は、2、3、4、5または6個の炭素原子を含有してよく、芳香族または非芳香族であってよい。
【0073】
「ヨード」は、化学元素のヨウ素を意味する。
【0074】
用語「メチルスルホニル」はCHSO−基を意味する。
【0075】
用語「メチルスルホキシ」はCHSO−基を意味する。
【0076】
用語「メチルチオ」はCHS−基を意味する。
【0077】
用語「C〜C10モノアルコール」は、1個のヒドロキシル基および1、2、3、4、5、6、7、8、9または10個の炭素原子を含有するアルコールを意味する。
【0078】
用語「一置換アミノ」は、その水素の1つが別の原子または基によって置換されている−NH基を意味する。
【0079】
用語「ニトロ」は−NO基を意味する。
【0080】
用語「オキサゾリン促進化合物」は、オキサゾリン促進試薬のα−ヒドロキシβ−アミド基との反応によって形成されるオキサゾリン環の形成および安定性を容易にする塩基を意味する。
【0081】
用語「オキサゾリン促進試薬」は、α−ヒドロキシβ−アミド基と反応させるとオキサゾリン環を生成するような試薬を意味し、ここで、オキサゾリン環中のヒドロキシル官能基の酸素とアミド官能基のアミンとを結合している炭素および炭素の置換基は、「オキサゾリン促進試薬」から誘導される。
【0082】
用語「オキサゾリン形成溶媒」は、オキサゾリン促進試薬とα−ヒドロキシβ−アミド基との間の反応を増強し、増大させ、加速させまたは別様に容易にして、オキサゾリン環を形成する溶媒を意味する。
【0083】
「フェニル」は、芳香族炭化水素Cであるベンゼンの一価の基C−を意味する。
【0084】
用語「フェニルアルキル」は、本明細書で定義されている通りのフェニルによって置換されている本明細書で定義されている通りのアルキルを意味する。
【0085】
用語「C〜C10トリアルコール」は、3個のヒドロキシル基および1、2、3、4、5、6、7、8、9または10個の炭素原子を含有するアルコールを意味する。
【0086】
用語「C1〜6トリハロアルキル」は、本明細書で定義されている通りのハロによって3回置換されている本明細書で定義されている通りのC1〜6アルキルを意味し、ここで、ハロ原子は、同じであっても異なっていてもよい。
【0087】
本明細書および添付の特許請求の範囲の全体を通して、所与の化学式または名称は、すべての立体異性体および光学異性体ならびにそのラセミ体、ならびに、そのような異性体および鏡像異性体が存在する場合、別個の鏡像異性体の異なる割合での混合物、ならびに薬学的に許容されるその塩および例えば水和物等のその溶媒和物を包含するものとする。異性体は、従来の技術、例えばクロマトグラフィーまたは分別結晶を使用して分離できる。鏡像異性体は、ラセミ混合物の分離によって、例えば、分別結晶、分割または高速(または高圧)液体クロマトグラフィー(HPLC)によって単離できる。ジアステレオマーは、異性体混合物の分離によって、例えば、分別結晶、HPLCまたはフラッシュクロマトグラフィーによって単離できる。立体異性体は、ラセミ化もエピマー化も引き起こさない条件下におけるキラル出発材料からのキラル合成によって、またはキラルな試薬を用いる誘導体化によって作製することもできる。これらの出発材料および条件は、当業者の技量の範囲内である。すべての立体異性体が本発明の範囲内に含まれる。
【0088】
一態様において、本発明は、式IVのオキサゾリン保護アミノジオール化合物またはその酸付加塩を調製するための方法を提供する:
【0089】
【化14】

【0090】
[式中、
は、水素、メチルチオ、メチルスルホキシ、メチルスルホニル、フルオロメチルチオ、フルオロメチルスルホキシ、フルオロメチルスルホニル、ニトロ、フルオロ、ブロモ、クロロ、アセチル、ベンジル、フェニル、ハロ置換フェニル、C1〜6アルキル、C1〜6ハロアルキル、C3〜8シクロアルキル、C2〜6アルケニル、C2〜6アルキニル、C1〜6アルコキシ、C1〜6アラルキル、C2〜6アラルケニルまたはC2〜6複素環式基であり、
は、水素、C1〜6アルキル、C1〜6ハロアルキル、C1〜6ジハロアルキル、C1〜6トリハロアルキル、CHCl、CHCl、CCl、CHBr、CHBr、CBr、CHF、CHF、CF、C3〜8シクロアルキル、C3〜8シクロハロアルキル、C3〜8シクロジハロアルキル、C3〜8シクロトリハロアルキル、C2〜6アルケニル、C2〜6アルキニル、C1〜6アルコキシ、C1〜6アラルキル、C2〜6アラルケニル、C2〜6複素環式、ベンジルまたはフェニルアルキルであり、ここで、フェニルアルキルのフェニルは、1もしくは2個のハロゲン、C1〜6アルキルまたはC1〜6アルコキシによって置換されていてよい]。
【0091】
本発明の式IVのオキサゾリン保護アミノジオール化合物は、フロルフェニコールおよび関連化合物の形成において有用な中間体である。
【0092】
いくつかの実施形態において、本発明の方法は、
a)ベッセル内の式Vの化合物またはその酸付加塩:
【0093】
【化15】

【0094】
[式中、
は上記で定義された通りであり、
は、水素、C1〜6アルキル、C3〜8シクロアルキル、ベンジル、フェニルまたはC1〜6アルキルフェニルであり、但し、式Vの化合物が酸付加塩である場合、酸付加塩は、HCl、HNO、HSO、HPOまたは酢酸塩である]を、アミド促進化合物を加えたアミド形成溶媒中のアミド促進試薬と反応させて、式VIのエステルアミド化合物:
【0095】
【化16】

【0096】
[式中、R、RおよびRは上記で定義された通りである]
を形成するステップと、
b)ベッセル内の式VIの化合物を、単離してまたは単離せずに(すなわち、インサイチュで)、オキサゾリン促進化合物の存在下、オキサゾリン形成溶媒中のオキサゾリン促進試薬と反応させて、式VIIのエステルオキサゾリン化合物:
【0097】
【化17】

【0098】
[式中、R、RおよびRは上記で定義された通りであり、式VIの化合物のものと比較して、反転した相対立体化学が不斉ベンジル炭素に存在する]
を形成するステップと、
c)ベッセル内の式VIIの化合物を、単離してまたは単離せずに(すなわち、インサイチュで)、キラル中心反転溶媒中のキラル中心反転塩基と反応させて、式VIIIの化合物:
【0099】
【化18】

【0100】
[式中、R、RおよびRは上記で定義された通りであり、ここで、式VIIの化合物のものと比較して、反転した相対立体化学が不斉α−カルボニル炭素に存在する]
を形成するステップと、
d)ベッセル内の式VIIIの化合物を、単離してまたは単離せずに(すなわち、インサイチュで)、還元促進溶媒中の還元剤と反応させて、式IVの化合物:
【0101】
【化19】

【0102】
[式中、RおよびRは上記で定義された通りである]
を形成するステップと
を含む。
【0103】
いくつかの実施形態において、Rは、メチルチオ、メチルスルホキシまたはメチルスルホニルである。いくつかの実施形態において、Rはメチルスルホニルである。
【0104】
いくつかの実施形態において、Rは、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソ−ブチルまたはペンチルである。いくつかの実施形態において、Rはメチルまたはエチルである。いくつかの実施形態において、Rはエチルである。
【0105】
いくつかの実施形態において、Rは、CHCl、CHCl、CCl、CHBr、CHBr、CBr、CHF、CHFまたはCFである。いくつかの実施形態において、Rは、CHCl、CHClまたはCClである。いくつかの実施形態において、RはCHClである。
【0106】
いくつかの実施形態において、式Vの化合物(出発材料)は、式Vaの化合物またはその酸付加塩である:
【0107】
【化20】

【0108】
[式中、Rは上記で定義された通りである]。いくつかの実施形態において、式Vaの化合物は酸付加塩である。いくつかのそのような実施形態において、酸付加塩はHClである。
【0109】
いくつかの実施形態において、式Vの化合物は、式Vbの化合物またはその酸付加塩である:
【0110】
【化21】

【0111】
いくつかの実施形態において、式Vbの化合物は酸付加塩である。いくつかのそのような実施形態において、酸付加塩はHClである。
【0112】
いくつかの実施形態において、フロルフェニコールが所望の最終生成物である場合、式Vの化合物は、式Vcの化合物またはその酸付加塩である:
【0113】
【化22】

【0114】
いくつかの実施形態において、式Vcの化合物は酸付加塩である。いくつかのそのような実施形態において、酸付加塩はHClである。
【0115】
上述の通り、いくつかの実施形態において、本発明の方法の最初の部分は、ベッセル内の式Vの化合物を、アミド促進化合物を加えたアミド形成溶媒中のアミド促進試薬と反応させて、式VIの化合物を形成するステップを必要とする:
【0116】
【化23】

【0117】
[式中、R、RおよびRは上記で定義された通りである]。
【0118】
本明細書において使用される場合、用語「ベッセル」または「反応ベッセル」は、反応ステップを完了まで進める間、反応物質を収容することができる、当業者に既知の容器を意味する。ベッセルのサイズおよび種類は、例えば、バッチのサイズおよび選択された特定の反応物質によって決まる。
【0119】
式RCORの広範囲の適切なアミド促進試薬[式中、Rは上記で定義された通りであり、RはハロまたはC1〜6アルコキシである]が、本発明の方法を行う際に使用され得る。いくつかの実施形態において、RはClまたはCHOであり、Rは、CHCl、CHCl、CCl、CHBr、CHBr、CBr、CHF、CHFまたはCFである。いくつかの実施形態において、Rは、CHCl、CHClまたはCClである。いくつかの実施形態において、RはCHClである。フロルフェニコールが所望の最終生成物である場合等のいくつかの実施形態において、アミド促進試薬はCHOCOCHClまたはClCOCHClである。いくつかの実施形態において、アミド促進試薬はClCOCHClである。
【0120】
本発明の方法において有用なアミド形成溶媒は、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、アセトン、塩化メチレン、酢酸エチル、テトラヒドロフラン、エーテル、トルエンまたはそれらの混合物であるがこれらに限定されない当該技術分野において認められている多くの溶媒の1つであってよい。いくつかの実施形態において、アミド形成溶媒は、メタノール、エタノール、塩化メチレンまたはそれらの混合物を含む。
【0121】
本発明の方法において有用なアミド促進化合物は、例えば、炭酸カリウム、重炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、重炭酸ナトリウム、トリメチルアミン、トリエチルアミン、p−トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、酢酸、塩酸、硫酸、硝酸、リン酸またはそれらの混合物であるがこれらに限定されない当該技術分野において認められている多くの化合物の1つであってよい。いくつかの実施形態において、アミド促進化合物はトリエチルアミンを含む。
【0122】
いくつかの実施形態において、アミド促進試薬および式Vの化合物は、約1:1〜約3:1の間のモル比を有する。いくつかの実施形態において、アミド促進試薬がClCOCHClである場合、ClCOCHCl対式Vの化合物のモル比は、約1.2〜約1.5の間対約1である。いくつかの実施形態において、アミド促進化合物がトリエチルアミンである場合、トリエチルアミン対式Vの化合物のモル比は、約1.2〜約1.5の間対約1である。いくつかの実施形態において、アミド促進化合物がトリエチルアミンである場合、トリエチルアミン対式Vの化合物の酸付加塩のモル比は、約2:1〜約5:1の間である。いくつかの実施形態において、反応ステップa)は、約マイナス25℃〜約25℃の間の温度を有する。いくつかの実施形態において、反応温度は、約0℃〜約10℃の間である。
【0123】
いくつかの実施形態において、式VIの化合物は、式VIaの化合物である:
【0124】
【化24】

【0125】
[式中、RおよびRは上記で定義された通りである]。
【0126】
いくつかの実施形態において、式VIの化合物は、式VIbの化合物である:
【0127】
【化25】

【0128】
[式中、RおよびRは、上記で定義された通りである]。
【0129】
いくつかの実施形態において、式VIの化合物は、式VIcの化合物である:
【0130】
【化26】

【0131】
[式中、RおよびRは上記で定義された通りである]。
【0132】
いくつかの実施形態において、式VIの化合物は、式VIdの化合物である:
【0133】
【化27】

【0134】
[式中、Rは上記で定義された通りである]。
【0135】
いくつかの実施形態において、式VIの化合物は、式VIeの化合物である:
【0136】
【化28】

【0137】
[式中、Rは上記で定義された通りである]。
【0138】
いくつかの実施形態において、式VIの化合物は、式VIfの化合物である:
【0139】
【化29】

【0140】
[式中、Rは上記で定義された通りである]。
【0141】
フロルフェニコールが所望の最終生成物である場合等のいくつかの実施形態において、式VIの化合物は、式VIgの化合物である:
【0142】
【化30】

【0143】
式VIのアミドエステル化合物を作製したら、これを、単離してまたは単離せずに(すなわち、インサイチュで)、塩化チオニル(thiony chloride)、三塩化リン、五塩化リン、三臭化リン、三ヨウ化リン、オキシ塩化リン、塩化p−トルエンスルホニル、塩化p−ブロモスルホニル、塩化p−ニトロベンゼンスルホニル、塩化メタンスルホニル、塩化トリフルオロメタンスルホニル、塩化ノナフルオロブタンスルホニル、塩化2,2,2−トリフルオロエタンスルホニルまたはそれらの混合物等であるがこれらに限定されないオキサゾリン促進試薬と反応させて、式VIIの化合物を形成する:
【0144】
【化31】

【0145】
[式中、R、RおよびRは上記で定義された通りであり、式VIの化合物のものと比較して、反転した相対立体化学が不斉ベンジル炭素に存在する]。フロルフェニコールが所望の最終生成物である場合等のいくつかの実施形態において、オキサゾリン促進試薬は塩化チオニル(thiony chloride)を含む。
【0146】
本発明の方法において有用なオキサゾリン形成溶媒は、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、アセトン、1,2−ジクロロエタン、塩化メチレン、クロロホルム、酢酸エチル、テトラヒドロフラン、エーテル、トルエンまたはそれらの混合物であるがこれらに限定されない当該技術分野において認められている多くの溶媒の1つであってよい。いくつかの実施形態において、オキサゾリン形成溶媒は、塩化メチレン、クロロホルムまたはそれらの混合物を含む。
【0147】
本発明の方法において有用なオキサゾリン促進化合物は、例えば、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、重炭酸ナトリウム、重炭酸カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン、ピリジン、トリメチルアミン、トリエチルアミンまたはそれらの混合物であるがこれらに限定されない当該技術分野において認められている多くの化合物の1つであってよい。いくつかの実施形態において、オキサゾリン促進試薬および式VIの化合物は、約1:1〜約6:1の間のモル比を有する。いくつかの実施形態において、モル比は約2:1である。いくつかの実施形態において、オキサゾリン促進化合物はトリエチルアミンを含み、トリエチルアミン対オキサゾリン促進試薬のモル比は、約1:1〜約3:1の間である。いくつかの実施形態において、モル比は約2:1である。
【0148】
いくつかの実施形態において、本発明の方法の反応させるステップb)は、約マイナス25℃〜約25℃の間の温度を有する。いくつかの実施形態において、反応温度は、約0℃〜約10℃の間である。
【0149】
いくつかの実施形態において、式VIIの化合物は、式VIIaの化合物である:
【0150】
【化32】

【0151】
[式中、RおよびRは上記で定義された通りである]。
【0152】
いくつかの実施形態において、式VIIの化合物は、式VIIbの化合物である:
【0153】
【化33】

【0154】
[式中、RおよびRは上記で定義された通りである]。
【0155】
いくつかの実施形態において、式VIIの化合物は、式VIIcの化合物である:
【0156】
【化34】

【0157】
[式中、RおよびRは上記で定義された通りである]。
【0158】
いくつかの実施形態において、式VIIの化合物は、式VIIdの化合物である:
【0159】
【化35】

【0160】
[式中、Rは上記で定義された通りである]。
【0161】
いくつかの実施形態において、式VIIの化合物は、式VIIeの化合物である:
【0162】
【化36】

【0163】
[式中、Rは上記で定義された通りである]。
【0164】
いくつかの実施形態において、式VIIの化合物は、式VIIfの化合物である:
【0165】
【化37】

【0166】
[式中、Rは上記で定義された通りである]。
【0167】
フロルフェニコールが所望の最終生成物である場合等のいくつかの実施形態において、式VIIの化合物は、式VIIgの化合物である:
【0168】
【化38】

【0169】
式VIIのエステルオキサゾリン化合物を作製したら、これを、単離してまたは単離せずに(すなわち、インサイチュで)、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、カリウムメトキシド、カリウムエトキシド、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムまたはそれらの混合物等であるがこれらに限定されないキラル中心反転塩基と反応させて、式VIIIの化合物を形成する:
【0170】
【化39】

【0171】
[式中、R、RおよびRは上記で定義された通りであり、式VIIの化合物のものと比較して、反転した相対立体化学が不斉α−カルボニル炭素に存在する]。本明細書において使用される場合、用語「キラル中心反転塩基」は、キラルα−カルボニル炭素から水素を抜き出し、α−カルボニル炭素の相対立体化学配置を反転させ、またはその元の立体化学配置のものと逆にする塩基を指す。
【0172】
用語「キラル中心反転溶媒」は、本明細書において使用される場合、α−カルボニル炭素におけるキラル中心反転塩基による相対立体化学の反転を増強し、増大させ、加速させまたは別様に容易にする溶媒を指す。本発明の方法において有用なキラル中心反転溶媒は、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、アセトン、塩化メチレン、酢酸エチル、テトラヒドロフラン、エーテル、トルエンまたはそれらの混合物等であるがこれらに限定されない当該技術分野において認められている多くの溶媒の1つであってよい。いくつかの実施形態において、キラル中心反転溶媒は、メタノール、エタノール、塩化メチレンまたはそれらの混合物を含む。
【0173】
いくつかの実施形態において、式VIIIの化合物は、式VIIIaの化合物である:
【0174】
【化40】

【0175】
[式中、RおよびRは上記で定義された通りである]。
【0176】
いくつかの実施形態において、式VIIIの化合物は、式VIIIbの化合物である:
【0177】
【化41】

【0178】
[式中、RおよびRは上記で定義された通りである]。
【0179】
いくつかの実施形態において、式VIIIの化合物は、式VIIIcの化合物である:
【0180】
【化42】

【0181】
[式中、RおよびRは上記で定義された通りである]。
【0182】
いくつかの実施形態において、式VIIIの化合物は、式VIIIdの化合物である:
【0183】
【化43】

【0184】
[式中、Rは上記で定義された通りである]。
【0185】
いくつかの実施形態において、式VIIIの化合物は、式VIIIeの化合物である:
【0186】
【化44】

【0187】
[式中、Rは上記で定義された通りである]。
【0188】
いくつかの実施形態において、式VIIIの化合物は、式VIIIfの化合物である:
【0189】
【化45】

【0190】
[式中、Rは上記で定義された通りである]。
【0191】
フロルフェニコールが所望の最終生成物である場合等のいくつかの実施形態において、式VIIIの化合物は、式VIIIgの化合物である:
【0192】
【化46】

【0193】
式VIIIの化合物を作製したら、これを、単離してまたは単離せずに(すなわち、インサイチュで)、還元促進溶媒中の還元剤と反応させて、式IVの化合物を形成する:
【0194】
【化47】

【0195】
[式中、RおよびRは上記で定義された通りである]。
【0196】
本明細書において使用される場合、用語「還元剤」は、化合物による電子の獲得に伴う化合物からの酸素原子の損失または化合物の酸化数(酸化状態)の減少を容易にする試薬を指す。広範囲の適切な還元剤が、本発明の方法を行う際に用いられ得る。適切な還元剤の非限定的なリストは、NaBH、KBH、Ca(BH、LiBHおよびそれらの混合物を含む。いくつかの実施形態において、還元剤は、KBH、NaBHまたはそれらの混合物を含む。いくつかの実施形態において、還元剤はKBHを含む。
【0197】
本明細書において使用される場合、用語「還元促進溶媒」は、化合物による電子の獲得に伴う化合物からの酸素原子の損失または化合物の酸化数(酸化状態)の減少を容易にする溶媒を指す。本発明の方法の還元促進溶媒は、例えば、水、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、ペンタノールおよびそれらの混合物であるがこれらに限定されない当該技術分野において認められている多くの溶媒の1つであってよい。いくつかの実施形態において、還元促進溶媒は、水、メタノール、エタノールまたはそれらの混合物を含む。いくつかの実施形態において、還元促進溶媒はメタノールを含む。
【0198】
いくつかの実施形態において、還元剤および式VIIIの化合物は、約1:1〜約2:1の間のモル比を有する。いくつかの実施形態において、還元剤がKBHである場合、KBH対式VIIIの化合物のモル比は、約1.5:1である。いくつかのそのような実施形態において、還元促進溶媒はメタノールを含む。
【0199】
いくつかの実施形態において、反応させるステップd)は、約30℃〜約80℃の温度で、約8時間で行われ得る。いくつかの実施形態において、温度は約60℃未満であり、反応させるステップは約6時間未満で実質的に完了する。
【0200】
無水条件が望ましい場合等のいくつかの実施形態において、還元剤は、例えば、LiAlH、NaAlHまたはそれらの混合物を含む。そのような実施形態において、還元促進溶媒は、例えば、エーテル、テトラヒドロフランまたはそれらの混合物を含む。
【0201】
いくつかの実施形態において、式IVの化合物は、式IVaの化合物である:
【0202】
【化48】

【0203】
[式中、Rは上記で定義された通りである]。
【0204】
いくつかの実施形態において、式IVの化合物は、式IVbの化合物である:
【0205】
【化49】

【0206】
[式中、Rは上記で定義された通りである]。
【0207】
フロルフェニコールが所望の最終生成物である場合等のいくつかの実施形態において、式IVの化合物は、式IVcの化合物である:
【0208】
【化50】

【0209】
式IVの化合物が調製されたら、この化合物を、フロルフェニコールおよび関連化合物を調製するための中間体として使用することができる。したがって、いくつかの実施形態において、本発明の方法は、その後、式IVの化合物を、単離してまたは単離せずに(すなわち、インサイチュで)、有機溶媒の存在下、フッ素化剤でフッ素化させて、式IXの化合物を得るステップに続く:
【0210】
【化51】

【0211】
[式中、RおよびRは上記で定義された通りである]。
【0212】
本発明の方法に適したフッ素化剤は、フッ化ナトリウム、フッ化カリウム、フッ化セシウム、フッ化テトラブチルアンモニウム、1,1,2,2,3,3,4,4,4−ノナフルオロ−1−ブタンスルホニルフルオリド、クロロメチル−4−フルオロ−1,4−ジアゾニアビシクロ[2.2.2]オクタンビス−(テトラフルオロボレート)、N−(2−クロロ−1,1,2−トリフルオロエチル)ジエチルアミン、N−(2−クロロ−1,1,2−トリフルオロエチル)ジメチルアミン、N−(2−クロロ−1,1,2−トリフルオロエチル)ジプロピルアミン、N−(2−クロロ−1,1,2−トリフルオロエチル)ピロリジン、N−(2−クロロ−1,1,2−トリフルオロエチル)−2−メチルピロリジン、N−(2−クロロ−1,1,2−トリフルオロエチル)−4−メチルピペラジン、N−(2−クロロ−1,1,2−トリフルオロエチル)−モルホリン、N−(2−クロロ−1,1,2−トリフルオロエチル)ピペリジン、1,1,2,2−テトラフルオロエチル−N,N−ジメチルアミン、(ジエチルアミノ)サルファートリフルオリド、ビス−(2−メトキシエチル)アミノサルファートリフルオリド、N,N−ジエチル−1,1,2,3,3,3−ヘキサフルオロ−1−プロパンアミン(石川試薬)およびそれらの混合物を含むがこれらに限定されない。
【0213】
いくつかの実施形態において、フッ素化剤はN,N−ジエチル−1,1,2,3,3,3−ヘキサフルオロ−1−プロパンアミンを含む。いくつかの実施形態において、N,N−ジエチル−1,1,2,3,3,3−ヘキサフルオロ−1−プロパンアミン等のフッ素化剤および式IVの化合物は、約1:1〜約2:1の間のモル比を有する。いくつかの実施形態において、N,N−ジエチル−1,1,2,3,3,3−ヘキサフルオロ−1−プロパンアミン対式IVの化合物のモル比は、約1.5:1である。
【0214】
いくつかの実施形態において、フッ素化させるステップは、約80℃〜約110℃の温度および約60psiの圧力で行われる。
【0215】
いくつかの実施形態において、フッ素化させるステップ中に使用される有機溶媒は、1,2−ジクロロエタン、塩化メチレン、クロロホルム、クロロベンゼン、塩素化炭化水素またはそれらの混合物を含む。いくつかの実施形態において、有機溶媒は塩化メチレンを含む。
【0216】
いくつかの実施形態において、式IXの化合物は、式IXaの化合物に相当する:
【0217】
【化52】

【0218】
[式中、Rは上記で定義された通りである]。
【0219】
いくつかの実施形態において、式IXの化合物は、式IXbの化合物に相当する:
【0220】
【化53】

【0221】
[式中、Rは上記で定義された通りである]。
【0222】
フロルフェニコールが所望の最終生成物である場合等のいくつかの実施形態において、式IXの化合物は、式IXcの化合物に相当する:
【0223】
【化54】

【0224】
式IXの化合物が調製された後、これを、単離してまたは単離せずに(すなわち、インサイチュで)、水および酸触媒または塩基性触媒で加水分解して、式Xの化合物を形成することができる:
【0225】
【化55】

【0226】
[式中、RおよびRは上記で定義された通りである]。
【0227】
広範囲の酸触媒が、本発明の方法を行う際に用いられ得る。適切な酸触媒の非限定的なリストは、希釈した水性の塩酸、硫酸、硝酸、リン酸およびそれらの混合物等の無機酸、ならびに酢酸、トリフルオロ酢酸、メタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸およびそれらの混合物等の有機酸を含む。いくつかの実施形態において、酸触媒は、少なくとも1種の無機酸および少なくとも1種の有機酸の混合物である。いくつかの実施形態において、酸触媒はp−トルエンスルホン酸を含む。
【0228】
広範囲の塩基性触媒が、本発明の方法を行う際に用いられ得る。適切な塩基性触媒の非限定的なリストは、LiOH、NaOH、KOH、LiCO、NaCO、KCO、NHOHおよびそれらの混合物等の無機塩基、ならびにナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、カリウムメトキシド、カリウムエトキシドおよびそれらの混合物等の有機塩基を含む。いくつかの実施形態において、塩基性触媒は、少なくとも1種の無機酸および少なくとも1種の有機酸の混合物である。いくつかの実施形態において、塩基性触媒はNHOHを含む。
【0229】
いくつかの実施形態において、加水分解するステップは、有機溶媒、水または有機溶媒および水の混合物中、式IXの化合物および酸触媒または塩基性触媒を用いて行われる。加水分解するステップにおいて有用な有機溶媒の非限定的なリストは、アセトン、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、塩化メチレン、酢酸エチル、テトラヒドロフランおよびそれらの混合物を含む。いくつかの実施形態において、有機溶媒は、イソプロパノール、塩化メチレンまたはそれらの混合物を含む。いくつかの実施形態において、有機溶媒および水の混合物は、塩化メチレンを含む。いくつかの実施形態において、式IXの化合物の各モルにつき、約0.5〜約3モル当量の水が使用される。いくつかの実施形態において、式IXの化合物の各モルにつき、約1〜約2モル当量の水が使用される。
【0230】
本発明の方法の加水分解するステップは、最高約100℃の温度で行うことができる。すなわち、加水分解は、約100℃以下の温度で実施される。いくつかの実施形態において、温度は約30℃未満である。
【0231】
本発明の方法のいくつかの実施形態において、加水分解するステップは、式IXの化合物を、有機溶媒および水の混合物中、酸触媒または塩基性触媒とともに、約100℃未満の温度で加熱するステップをさらに含む。
【0232】
他の適切な加水分解するステップは、当業者に明らかである。
【0233】
いくつかの実施形態において、式Xの化合物は、式Xaの化合物に相当する:
【0234】
【化56】

【0235】
[式中、Rは上述の通りである]。
【0236】
いくつかの実施形態において、式Xの化合物は、式Xbの化合物に相当する:
【0237】
【化57】

【0238】
[式中、Rは上述の通りである]。
【0239】
フロルフェニコールが所望の最終生成物である場合等のいくつかの実施形態において、式Xの化合物は、式Iのフロルフェニコールに相当する:
【0240】
【化58】

【0241】
本発明の方法のいくつかの実施形態において、式VIの得られたアミドエステル化合物、式VIIの得られたエステルオキサゾリン化合物、式VIIIの得られた化合物、式IVの得られた化合物、式IXの得られたフッ素化化合物、式Xの得られた加水分解化合物またはそれらの任意の組合せが単離される。いくつかの実施形態において、得られた化合物またはそれらの任意の組合せは単離されない(すなわち、インサイチュにある)。
【0242】
式Xの化合物が調製された後、式Xの化合物を、C1〜10アルキルモノアルコール、C1〜10アルキルジアルコールまたはC1〜10アルキルトリアルコールおよび水の混合物で場合によって精製して、式Xの純粋化合物を形成することができる。C1〜10モノアルコールの非限定的なリストは、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、sec−ブタノール、t−ブタノール、ペンタノールおよびそれらの混合物を含む。C1〜10ジアルコールの非限定的なリストは、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコールおよびそれらの混合物を含む。C1〜10トリアルコールの非限定的な例は、グリセリンである。
【0243】
本発明の方法のいくつかの実施形態において、精製するステップのためのC1〜10モノアルコールは、イソプロパノールを含む。本発明の方法のいくつかの実施形態において、精製するステップのC1〜10ジアルコールは、プロピレングリコールを含む。本発明の方法のいくつかの実施形態において、精製するステップのC1〜10トリアルコールは、グリセリンを含む。いくつかの実施形態において、フロルフェニコール(Florfeniocl)が所望の最終生成物である場合、アルコールおよび水の混合物は、少なくとも1種のC1〜10モノアルコールを含む。いくつかのそのような実施形態において、少なくとも1種のC1〜10モノアルコールはイソプロパノールである。
【0244】
いくつかの実施形態において、アルコール(イソプロパノール等)および水は、約1:5〜約5:1の間の比率で存在する。いくつかの実施形態において、アルコール対水の比率は約1:1である。いくつかの実施形態において、アルコールはイソプロパノールを含み、イソプロパノール対水の混合物の比率は約1:1である。いくつかの実施形態において、式Xの化合物と約1:1のイソプロパノールおよび水の混合物とは、約1:1〜約10:1の間の重量体積比を有する。いくつかの実施形態において、式Xの化合物対約1:1のイソプロパノールおよび水の混合物との重量体積比は、約1:4.6である。
【0245】
本発明の方法の精製するステップのいくつかの実施形態において、式Xの化合物を約1:1のイソプロパノールおよび水の混合物に溶解し、ここで、式Xの化合物と約1:1のイソプロパノールおよび水の混合物とは約1:4.6の重量体積比を有し、混合物の還流点まで加熱する。得られた溶液を、活性炭およびろ過助剤を用いるろ過によって浄化し、その後、約10℃〜約30℃まで冷却し、純粋な式Xの結晶化化合物を得る。本明細書において使用される場合、用語「純粋」または「精製」は、未精製化合物と比較して低下した不純物レベルおよび改善された色を意味する。いくつかの実施形態において、溶液を約20℃〜約25℃まで冷却し、溶液から式Xの精製化合物を結晶化する。いくつかの実施形態において、溶液から結晶化される式Xの精製化合物は、フロルフェニコールである。
【0246】
別の態様において、本発明は、式Vの化合物またはその酸付加塩を提供する:
【0247】
【化59】

【0248】
[式中、RおよびRは上記で定義された通りであり、但し、Rがメチルスルホニルである場合、RはCHでもCHCHでもなく、式Vの化合物が酸付加塩である場合、酸付加塩は、HCl、HNO、HSO、HPOまたは酢酸塩である]。
【0249】
別の態様において、本発明は、式VIの化合物またはその酸付加塩を提供する:
【0250】
【化60】

【0251】
[式中、Rはメチルスルホニルであり、RはCHまたはCHCHであり、Rは、CHCl、CHCl、CCl、CHBr、CHBr、CBr、CHF、CHFまたはCFであり、但し、式VIの化合物が酸付加塩である場合、酸付加塩は、HCl、HNO、HSO、HPOまたは酢酸塩である]。いくつかのそのような実施形態において、RはCHClである。
【0252】
別の態様において、本発明は、式VIIの化合物またはその酸付加塩を提供する:
【0253】
【化61】

【0254】
[式中、R、RおよびRは上記で定義された通りであり、但し、Rがメチルスルホニルであり、Rがフェニルである場合、RはCHでもCHCHでもなく、式VIの化合物が酸付加塩である場合、酸付加塩は、HCl、HNO、HSO、HPOまたは酢酸塩である]。いくつかのそのような実施形態において、Rはメチルスルホニルであり、RはCHまたはCHCHであり、RはCHClである。
【0255】
別の態様において、本発明は、式VIIIの化合物またはその酸付加塩を提供する:
【0256】
【化62】

【0257】
[式中、R、RおよびRは上記で定義された通りであり、但し、Rがメチルスルホニルであり、Rがフェニルである場合、RはCHでもCHCHでもなく、式VIの化合物が酸付加塩である場合、酸付加塩は、HCl、HNO、HSO、HPOまたは酢酸塩である]。いくつかのそのような実施形態において、式中、Rはメチルスルホニルであり、RはCHまたはCHCHであり、RはCHClである。
【実施例】
【0258】
下記の仮想調製例は、本発明の方法および化合物の代表例である。本発明のある特定の実施形態に従って本発明を具体的に記載したが、下記の実施例は本発明を例示し説明する役割をさらに果たすに過ぎず、本発明の有効範囲を限定しまたは制限することを意図するものではない。
【0259】
(実施例1)
(2R,3S)エチル2−(ジクロロアセトアミド)−3−[4−(メチルスルホニル)フェニル]−3−ヒドロキシ−プロパノエート(化合物VIg)の調製
トリエチルアミン(約2.1g、0.0210モル)を含有するメタノール(約75mL)中の(2R,3S)エチル2−アミノ−3−[4−(メチルスルホニル)フェニル]−3−ヒドロキシ−プロパノエート(化合物II)(5g、0.01740モル)は、約0℃〜約10℃で塩化ジクロロアセチル(約3.1g、0.0210モル)と反応することができる。塩化メチレンおよび水の添加、有機層の分離、水による有機層の洗浄、その後、溶媒の蒸発ならびに乾燥により、(2R,3S)エチル2−(ジクロロアセトアミド)−3−[4−(メチルスルホニル)フェニル]−3−ヒドロキシ−プロパノエート(化合物VIg)を得ることができる。
【0260】
(実施例2)
エチル2−(ジクロロメチル)−4,5−ジヒドロ−5(R)−[4−(メチルスルホニル)フェニル]−4(R)−オキサゾールカルボキシレート(化合物VIIg)の調製
クロロホルム(約50mL)中の(2R,3S)エチル2−(ジクロロアセトアミド)−3−[4−(メチルスルホニル)フェニル]−3−ヒドロキシ−プロパノエート(化合物VIg)(約5g、0.0126モル)は、約0℃〜約10℃で塩化チオニル(約3.0g、0.0252モル)と反応することができる。トリエチルアミン(約5.1g、0.0504モル)および水(約100mL)の添加、層の分離、追加の水による有機層の洗浄、溶媒の蒸発、その後、乾燥により、エチル2−(ジクロロメチル)−4,5−ジヒドロ−5(R)−[4−(メチルスルホニル)フェニル]−4(R)−オキサゾールカルボキシレート(化合物VIIg)を得ることができる。
【0261】
(実施例3)
エチル2−(ジクロロメチル)−4,5−ジヒドロ−5(R)−[4−(メチルスルホニル)フェニル]−4(S)−オキサゾールカルボキシレート(化合物VIIIg)の調製
ナトリウムメトキシド(約0.7g、0.0131モル)を含有するメタノール(約50mL)中のエチル2−(ジクロロメチル)−4,5−ジヒドロ−5(R)−[4−(メチルスルホニル)フェニル]−4(R)−オキサゾールカルボキシレート(化合物VIIg)(約5g、0.0131モル)は、エピマー化することができる。その後、塩酸による中和、塩化メチレン(約200mL)の添加、水による有機層の抽出、溶媒の蒸発、得られた固体のろ過および乾燥により、エチル2−(ジクロロメチル)−4,5−ジヒドロ−5(R)−[4−(メチルスルホニル)フェニル]−4(S)−オキサゾールカルボキシレート(化合物VIIIg)を得ることができる。
【0262】
(実施例4)
(4R,5R)−2−(ジクロロメチル)−4,5−ジヒドロ−5−[4−(メチルスルホニル)フェニル]−4−オキサゾールメタノール(化合物IVc)の調製
メタノール(約50mL)中のエチル2−(ジクロロメチル)−4,5−ジヒドロ−5(R)−[4−(メチルスルホニル)フェニル]−4(S)−オキサゾールカルボキシレート(化合物VIIIg)(約5g、0.0131モル)は、約60℃を下回る温度を維持しながら、約6時間かけて水素化ホウ素カリウム(約1.1g、0.0204モル)と反応することができる。約1NのHClおよび水の添加、得られた固体のろ過、水による洗浄ならびに乾燥により、(4R,5R)−2−(ジクロロメチル)−4,5−ジヒドロ−5−[4−(メチルスルホニル)フェニル]−4−オキサゾールメタノール(化合物IVc)を得ることができる。
【0263】
(実施例5)
(4R,5R)−2−(ジクロロメチル)−4,5−ジヒドロ−5−[4−(メチルスルホニル)フェニル]−4−オキサゾールメタノール(化合物IVc)の調製
ステップ1:トリエチルアミン(約2.1g、0.0210モル)を含有するメタノール(約75mL)中の(2R,3S)エチル2−アミノ−3−[4−(メチルスルホニル)フェニル]−3−ヒドロキシ−プロパノエート(化合物II)(約5g、0.01740モル)は、約0℃〜約10℃で塩化ジクロロアセチル(約3.1g、0.0210モル)と反応して、(2R,3S)エチル2−(ジクロロアセトアミド)−3−[4−(メチルスルホニル)フェニル]−3−ヒドロキシ−プロパノエート(化合物VIg)を形成することができ、これを単離することなく次のステップにおいて使用する。
【0264】
ステップ2:メタノールの蒸発および塩化メチレンによる置き換え、約0℃〜約10℃までの冷却、約2時間撹拌しながらの塩化チオニル(約4.1g、0.0348モル)の添加、それに続く氷および水の混合物の添加、有機層の分離、飽和NaHCOおよび水による洗浄により、エチル2−(ジクロロメチル)−4,5−ジヒドロ−5(R)−[4−(メチルスルホニル)フェニル]−4(R)−オキサゾールカルボキシレート(化合物VIIg)を得ることができ、これを単離することなく次のステップにおいて使用する。
【0265】
ステップ3:塩化メチレンの蒸発およびメタノールによる置き換え、ナトリウムメトキシド(約0.9g、0.0174モル)の添加ならびに塩酸による中和により、エチル2−(ジクロロメチル)−4,5−ジヒドロ−5(R)−[4−(メチルスルホニル)フェニル]−4(S)−オキサゾールカルボキシレート(化合物VIIIg)をインサイチュで得ることができる。
【0266】
ステップ4:インサイチュの化合物VIIIgに、約60℃を下回る温度を維持しつつ、約6時間かけて撹拌しながら、水素化ホウ素カリウム(約1.4g、0.0261モル)を添加することができる。その後、約1NのHClおよび水の添加、得られた固体のろ過、水による洗浄ならびに乾燥により、(4R,5R)−2−(ジクロロメチル)−4,5−ジヒドロ−5−[4−(メチルスルホニル)フェニル]−4−オキサゾールメタノール(化合物IVc)を得ることができる。
【0267】
(実施例6)
フロルフェニコール(化合物I)の調製
N,N−ジエチル−1,1,2,3,3,3−ヘキサフルオロ−1−プロパンアミン(約5g、0.0224モル)を含有する塩化メチレン中の(4R,5R)−2−(ジクロロメチル)−4,5−ジヒドロ−5−[4−(メチルスルホニル)フェニル]−4−オキサゾールメタノール(化合物IVc)(約5g、0.0148モル)は、約95℃〜約100℃で反応して、(4S,5R)−2−(ジクロロメチル)−4−(フルオロメチル)−4,5−ジヒドロ−5−[4−(メチルスルホニル)フェニル]−オキサゾール(化合物IXc)をインサイチュで生成することができる。約25℃を下回るまでの冷却、水(約0.4g、0.0222モル)および水酸化アンモニウム(約0.0237モル)の添加、得られた固体のろ過、イソプロパノールおよび水による洗浄、その後、乾燥により、フロルフェニコール(化合物I)を得ることができる。
【0268】
(実施例7)
フロルフェニコールの精製
実施例6のフロルフェニコール(化合物I)(約25g、0.0700モル)を、水(約60mL)およびイソプロパノール(約60mL)に還流状態で溶解し、混合物を得ることができる。木炭の添加、ろ過による浄化、約20℃〜約25℃までの冷却、固体のろ過、約1:1の水/イソプロパノール(約20ml)による洗浄、その後、乾燥の後、混合物は純粋なフロルフェニコール(化合物I)を生じさせることができる。
【0269】
本明細書および添付の特許請求の範囲において使用される場合、単数形「a」、「an」および「the」は、文脈上明らかに他の意味に解すべき場合を除き、複数の参照物を含むことに留意せねばならない。本特許文書において言及される、特許、特許出願、技術論文および報告書、政府、商業および業界刊行物、書籍および前述の刊行物のいずれかを含む印刷された刊行物のそれぞれは、参照によりその全体が本明細書に組み込まれることが意図されている。
【0270】
当業者であれば理解するように、本発明の趣旨から逸脱することなく、本発明の実施形態に多数の変更および修正を為すことができる。そのような変形形態はすべて、本発明の範囲内にあることが意図されている。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式IVのオキサゾリン保護アミノジオール化合物またはその酸付加塩:
【化63】


[式中、
は、水素、メチルチオ、メチルスルホキシ、メチルスルホニル、フルオロメチルチオ、フルオロメチルスルホキシ、フルオロメチルスルホニル、ニトロ、フルオロ、ブロモ、クロロ、アセチル、ベンジル、フェニル、ハロ置換フェニル、C1〜6アルキル、C1〜6ハロアルキル、C3〜8シクロアルキル、C2〜6アルケニル、C2〜6アルキニル、C1〜6アルコキシ、C1〜6アラルキル、C2〜6アラルケニルまたはC2〜6複素環式基であり、
は、水素、C1〜6アルキル、C1〜6ハロアルキル、C1〜6ジハロアルキル、C1〜6トリハロアルキル、CHCl、CHCl、CCl、CHBr、CHBr、CBr、CHF、CHF、CF、C3〜8シクロアルキル、C3〜8シクロハロアルキル、C3〜8シクロジハロアルキル、C3〜8シクロトリハロアルキル、C2〜6アルケニル、C2〜6アルキニル、C1〜6アルコキシ、C1〜6アラルキル、C2〜6アラルケニル、C2〜6複素環式、ベンジルまたはフェニルアルキルであり、ここで、該フェニルアルキルのフェニルは、1もしくは2個のハロゲン、C1〜6アルキルまたはC1〜6アルコキシによって置換されていてよい]
を調製するための方法であって、
a)式Vの化合物またはその酸付加塩:
【化64】


[式中、
は上記で定義された通りであり、
は、水素、C1〜6アルキル、C3〜8シクロアルキル、ベンジル、フェニルまたはC1〜6アルキルフェニルであり、
但し、該式Vの化合物が該酸付加塩である場合、該酸付加塩は、HCl、HNO、HSO、HPOまたは酢酸塩である]
を、アミド促進化合物を加えたアミド形成溶媒中のアミド促進試薬と反応させて、式VIのエステルアミド化合物:
【化65】


[式中、R、RおよびRは上記で定義された通りである]
を形成するステップと、
b)該式VIの化合物を、オキサゾリン促進化合物の存在下、オキサゾリン形成溶媒中のオキサゾリン促進試薬と反応させて、式VIIのエステルオキサゾリン化合物:
【化66】


[式中、R、RおよびRは上記で定義された通りであり、該式VIの化合物のものと比較して、反転した相対立体化学が不斉ベンジル炭素に存在する]
を形成するステップと、
c)該式VIIの化合物を、キラル中心反転溶媒中のキラル中心反転塩基と反応させて、式VIIIの化合物:
【化67】


[式中、R、RおよびRは上記で定義された通りであり、該式VIIの化合物のものと比較して、反転した相対立体化学が不斉α−カルボニル炭素に存在する]
を形成するステップと、
d)該式VIIIの化合物を、還元促進溶媒中の還元剤と反応させて、式IVの化合物:
【化68】


[式中、RおよびRは上記で定義された通りである]
を形成するステップと
を含む方法。
【請求項2】
が、メチルチオ、メチルスルホキシまたはメチルスルホニルである、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
がメチルスルホニルである、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
が、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソ−ブチルまたはペンチルである、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
がメチルまたはエチルである、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
がエチルである、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
が、CHCl、CHCl、CCl、CHBr、CHBr、CBr、CHF、CHFまたはCFである、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
が、CHCl、CHClまたはCClである、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
がCHClである、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記式Vの化合物が、式Vaの化合物またはその酸付加塩:
【化69】


[式中、Rは上記で定義された通りである]
である、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記式Vaの化合物が前記酸付加塩である、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記酸付加塩がHCl塩である、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記式Vの化合物が、式Vbの化合物またはその酸付加塩:
【化70】


である、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
前記式Vbの化合物が前記酸付加塩である、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記酸付加塩がHCl塩である、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記式Vの化合物が、式Vcの化合物またはその酸付加塩:
【化71】


である、請求項1に記載の方法。
【請求項17】
前記式Vcの化合物が前記酸付加塩である、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記酸付加塩がHCl塩である、請求項14に記載の方法。
【請求項19】
前記ステップa)のアミド促進試薬が、RCORの式[式中、Rは上記で定義された通りであり、RはハロまたはC1〜6アルコキシである]を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項20】
が、CHCl、CHCl、CCl、CHBr、CHBr、CBr、CHF、CHFまたはCFであり、RがClまたはCHOである、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
が、CHCl、CHClまたはCClである、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
がCHClである、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記アミド促進試薬がCHOCOCHClまたはClCOCHClである、請求項19に記載の方法。
【請求項24】
前記アミド促進試薬がClCOCHClである、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
フロルフェニコールが最終生成物である、請求項23または請求項24に記載の方法。
【請求項26】
ステップa)のアミド形成溶媒が、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、アセトン、塩化メチレン、酢酸エチル、テトラヒドロフラン、エーテル、トルエンまたはそれらの混合物を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項27】
前記アミド形成溶媒が、メタノール、エタノール、塩化メチレンまたはそれらの混合物を含む、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
ステップa)のアミド促進化合物が、炭酸カリウム、重炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、重炭酸ナトリウム、トリメチルアミン、トリエチルアミン、p−トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、酢酸、塩酸、硫酸、硝酸、リン酸またはそれらの混合物を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項29】
前記アミド促進化合物がトリエチルアミンを含む、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
前記ステップa)のアミド促進試薬および前記式Vの化合物が、約1:1〜約3:1の間のモル比を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項31】
前記アミド促進試薬がClCOCHClであり、ClCOCHCl対前記式Vの化合物のモル比が、約1.2〜約1.5の間対約1である、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
前記アミド促進化合物がトリエチルアミンであり、トリエチルアミン対前記式Vの化合物のモル比が、約1.2〜約1.5の間対約1である、請求項30に記載の方法。
【請求項33】
前記アミド促進化合物がトリエチルアミンであり、トリエチルアミン対前記式Vの化合物の酸付加塩のモル比が、約2:1〜約5:1の間である、請求項30に記載の方法。
【請求項34】
ステップa)が、約マイナス25℃〜約25℃の間の温度を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項35】
ステップa)が、約0℃〜約10℃の間の温度を有する、請求項30に記載の方法。
【請求項36】
前記式VIの化合物が、式VIaの化合物:
【化72】


[式中、RおよびRは上記で定義された通りである]
である、請求項1に記載の方法。
【請求項37】
前記式VIの化合物が、式VIbの化合物:
【化73】


[式中、RおよびRは、上記で定義された通りである]
である、請求項1に記載の方法。
【請求項38】
前記式VIの化合物が、式VIcの化合物:
【化74】


[式中、RおよびRは上記で定義された通りである]
である、請求項1に記載の方法。
【請求項39】
前記式VIの化合物が、式VIdの化合物:
【化75】


[式中、Rは上記で定義された通りである]
である、請求項1に記載の方法。
【請求項40】
前記式VIの化合物が、式VIeの化合物:
【化76】


[式中、Rは上記で定義された通りである]
である、請求項1に記載の方法。
【請求項41】
前記式VIの化合物が、式VIfの化合物:
【化77】


[式中、Rは上記で定義された通りである]
である、請求項1に記載の方法。
【請求項42】
前記式VIの化合物が、式VIgの化合物:
【化78】


である、請求項1に記載の方法。
【請求項43】
フロルフェニコールが最終生成物である、請求項42に記載の方法。
【請求項44】
前記ステップb)のオキサゾリン促進試薬が、塩化チオニル、三塩化リン、五塩化リン、三臭化リン、三ヨウ化リン、オキシ塩化リン、塩化p−トルエンスルホニル、塩化p−ブロモスルホニル、塩化p−ニトロベンゼンスルホニル、塩化メタンスルホニル、塩化トリフルオロメタンスルホニル、塩化ノナフルオロブタンスルホニル、塩化2,2,2−トリフルオロエタンスルホニルまたはそれらの混合物を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項45】
前記式VIの化合物および前記ステップb)のオキサゾリン促進試薬が、式VIIの化合物:
【化79】


[式中、R、RおよびRは上記で定義された通りであり、該式VIの化合物のものと比較して、反転した相対立体化学が不斉ベンジル炭素に存在する]
を形成する、請求項44に記載の方法。
【請求項46】
前記オキサゾリン促進試薬が塩化チオニルを含む、請求項45に記載の方法。
【請求項47】
フロルフェニコールが最終生成物である、請求項45に記載の方法。
【請求項48】
前記ステップb)のオキサゾリン形成溶媒が、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、アセトン、1,2−ジクロロエタン、塩化メチレン、クロロホルム、酢酸エチル、テトラヒドロフラン、エーテル、トルエンまたはそれらの混合物を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項49】
前記オキサゾリン形成溶媒が、塩化メチレン、クロロホルムまたはそれらの混合物を含む、請求項48に記載の方法。
【請求項50】
前記ステップb)のオキサゾリン促進化合物が、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、重炭酸ナトリウム、重炭酸カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン、ピリジン、トリメチルアミン、トリエチルアミンまたはそれらの混合物を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項51】
前記ステップb)のオキサゾリン促進試薬および前記式VIの化合物が、約1:1〜約6:1の間のモル比を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項52】
前記モル比が約2:1である、請求項51に記載の方法。
【請求項53】
前記オキサゾリン促進化合物がトリエチルアミンを含み、該トリエチルアミン対前記オキサゾリン促進試薬のモル比が、約1:1〜3:1の間である、請求項51に記載の方法。
【請求項54】
前記モル比が約2:1である、請求項53に記載の方法。
【請求項55】
ステップb)が、約マイナス25℃〜約25℃の間の温度を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項56】
前記温度が、約0℃〜約10℃の間である、請求項54に記載の方法。
【請求項57】
前記式VIIの化合物が、式VIIaの化合物:
【化80】


[式中、RおよびRは上記で定義された通りである]
である、請求項1に記載の方法。
【請求項58】
前記式VIIの化合物が、式VIIbの化合物:
【化81】


[式中、RおよびRは上記で定義された通りである]
である、請求項1に記載の方法。
【請求項59】
前記式VIIの化合物が、式VIIcの化合物:
【化82】


[式中、RおよびRは上記で定義された通りである]
である、請求項1に記載の方法。
【請求項60】
前記式VIIの化合物が、式VIIdの化合物:
【化83】


[式中、Rは上記で定義された通りである]
である、請求項1に記載の方法。
【請求項61】
前記式VIIの化合物が、式VIIeの化合物:
【化84】


[式中、Rは上記で定義された通りである]
である、請求項1に記載の方法。
【請求項62】
前記式VIIの化合物が、式VIIfの化合物:
【化85】


[式中、Rは上記で定義された通りである]
である、請求項1に記載の方法。
【請求項63】
前記式VIIの化合物が、式VIIgの化合物:
【化86】


である、請求項1に記載の方法。
【請求項64】
フロルフェニコールが最終生成物である、請求項63に記載の方法。
【請求項65】
前記ステップc)のキラル中心反転塩基が、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、カリウムメトキシド、カリウムエトキシド、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムまたはそれらの混合物を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項66】
前記式VIIの化合物および前記ステップc)のキラル中心反転塩基が、式VIIIの化合物:
【化87】


[式中、R、RおよびRは上記で定義された通りであり、該式VIIの化合物のものと比較して、反転した相対立体化学が不斉α−カルボニル炭素に存在する]
を形成する、請求項1に記載の方法。
【請求項67】
前記ステップc)のキラル中心反転溶媒が、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、アセトン、塩化メチレン、酢酸エチル、テトラヒドロフラン、エーテル、トルエンまたはそれらの混合物を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項68】
前記キラル中心反転溶媒が、メタノール、エタノール、塩化メチレンまたはそれらの混合物を含む、請求項66に記載の方法。
【請求項69】
前記式VIIIの化合物が、式VIIIaの化合物:
【化88】


[式中、RおよびRは上記で定義された通りである]
である、請求項1に記載の方法。
【請求項70】
前記式VIIIの化合物が、式VIIIbの化合物:
【化89】


[式中、RおよびRは上記で定義された通りである]
である、請求項1に記載の方法。
【請求項71】
前記式VIIIの化合物が、式VIIIcの化合物:
【化90】


[式中、RおよびRは上記で定義された通りである]
である、請求項1に記載の方法。
【請求項72】
前記式VIIIの化合物が、式VIIIdの化合物:
【化91】


[式中、Rは上記で定義された通りである]
である、請求項1に記載の方法。
【請求項73】
前記式VIIIの化合物が、式VIIIeの化合物:
【化92】


[式中、Rは上記で定義された通りである]
である、請求項1に記載の方法。
【請求項74】
前記式VIIIの化合物が、式VIIIfの化合物:
【化93】


[式中、Rは上記で定義された通りである]
である、請求項1に記載の方法。
【請求項75】
前記式VIIIの化合物が、式VIIIgの化合物:
【化94】


である、請求項1に記載の方法。
【請求項76】
フロルフェニコールが最終生成物である、請求項75に記載の方法。
【請求項77】
前記式VIIIの化合物および還元促進溶媒中の前記ステップd)の還元剤が、式IVの化合物:
【化95】


[式中、RおよびRは上記で定義された通りである]
を形成する、請求項1に記載の方法。
【請求項78】
前記還元剤が、NaBH、KBH、Ca(BH、LiBHまたはそれらの混合物を含む、請求項77に記載の方法。
【請求項79】
前記還元剤が、KBH、NaBHまたはそれらの混合物を含む、請求項78に記載の方法。
【請求項80】
前記還元剤がKBHを含む、請求項79に記載の方法。
【請求項81】
前記還元促進溶媒が、水、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、ペンタノールおよびそれらの混合物を含む、請求項77に記載の方法。
【請求項82】
前記還元促進溶媒が、水、メタノール、エタノールまたはそれらの混合物を含む、請求項81に記載の方法。
【請求項83】
前記還元促進溶媒がメタノールを含む、請求項82に記載の方法。
【請求項84】
前記ステップd)の還元剤および前記式VIIIの化合物が、約1:1〜約2:1の間のモル比を有する、請求項77に記載の方法。
【請求項85】
前記還元剤がKBHであり、該KBH対前記式VIIIの化合物のモル比が約1.5:1である、請求項84に記載の方法。
【請求項86】
前記還元促進溶媒がメタノールを含む、請求項77に記載の方法。
【請求項87】
前記反応させるステップd)が、約30℃〜約80℃の温度で、約8時間で行われる、請求項77に記載の方法。
【請求項88】
前記温度が約60℃未満であり、前記ステップb)が約6時間未満で実質的に完了する、請求項87に記載の方法。
【請求項89】
前記還元剤が、LiAlH、NaAlHまたはそれらの混合物を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項90】
前記還元促進溶媒が、エーテル、テトラヒドロフランまたはそれらの混合物を含む、請求項89に記載の方法。
【請求項91】
前記式IVの化合物が、式IVaの化合物:
【化96】


[式中、Rは上記で定義された通りである]
である、請求項1に記載の方法。
【請求項92】
前記式IVの化合物が、式IVbの化合物:
【化97】


[式中、Rは上記で定義された通りである]
である、請求項1に記載の方法。
【請求項93】
前記式IVの化合物が、式IVcの化合物:
【化98】


である、請求項1に記載の方法。
【請求項94】
フロルフェニコールが最終生成物である、請求項93に記載の方法。
【請求項95】
前記式IVの化合物を、有機溶媒の存在下、フッ素化剤でフッ素化させて、式IXの化合物:
【化99】


[式中、RおよびRは上記で定義された通りである]
を得るステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項96】
前記フッ素化剤が、フッ化ナトリウム、フッ化カリウム、フッ化セシウム、フッ化テトラブチルアンモニウム、1,1,2,2,3,3,4,4,4−ノナフルオロ−1−ブタンスルホニルフルオリド、クロロメチル−4−フルオロ−1,4−ジアゾニアビシクロ[2.2.2]オクタンビス−(テトラフルオロボレート)、N−(2−クロロ−1,1,2−トリフルオロエチル)ジエチルアミン、N−(2−クロロ−1,1,2−トリフルオロエチル)ジメチルアミン、N−(2−クロロ−1,1,2−トリフルオロエチル)ジプロピルアミン、N−(2−クロロ−1,1,2−トリフルオロエチル)ピロリジン、N−(2−クロロ−1,1,2−トリフルオロエチル)−2−メチルピロリジン、N−(2−クロロ−1,1,2−トリフルオロエチル)−4−メチルピペラジン、N−(2−クロロ−1,1,2−トリフルオロエチル)−モルホリン、N−(2−クロロ−1,1,2−トリフルオロエチル)ピペリジン、1,1,2,2−テトラフルオロエチル−N,N−ジメチルアミン、(ジエチルアミノ)サルファートリフルオリド、ビス−(2−メトキシエチル)アミノサルファートリフルオリド、N,N−ジエチル−1,1,2,3,3,3−ヘキサフルオロ−1−プロパンアミンまたはそれらの混合物を含む、請求項95に記載の方法。
【請求項97】
前記フッ素化剤がN,N−ジエチル−1,1,2,3,3,3−ヘキサフルオロ−1−プロパンアミンである、請求項96に記載の方法。
【請求項98】
前記フッ素化剤および前記式IVの化合物が、約1:1〜約2:1の間のモル比を有する、請求項96に記載の方法。
【請求項99】
前記フッ素化剤がN,N−ジエチル−1,1,2,3,3,3−ヘキサフルオロ−1−プロパンアミンである、請求項98に記載の方法。
【請求項100】
前記N,N−ジエチル−1,1,2,3,3,3−ヘキサフルオロ−1−プロパンアミン対前記式IVの化合物のモル比が約1.5:1である、請求項99に記載の方法。
【請求項101】
前記フッ素化させるステップが、約80℃〜約110℃の温度および約60psiの圧力で行われる、請求項95に記載の方法。
【請求項102】
前記フッ素化させるステップの前記有機溶媒が、1,2−ジクロロエタン、塩化メチレン、クロロホルム、クロロベンゼン、塩素化炭化水素またはそれらの混合物を含む、請求項95に記載の方法。
【請求項103】
前記有機溶媒が塩化メチレンを含む、請求項95に記載の方法。
【請求項104】
前記式IXの化合物が、式IXaの化合物:
【化100】


[式中、Rは上記で定義された通りである]
に相当する、請求項95に記載の方法。
【請求項105】
前記式IXの化合物が、式IXbの化合物:
【化101】


[式中、Rは上記で定義された通りである]
に相当する、請求項95に記載の方法。
【請求項106】
前記式IXの化合物が、式IXcの化合物:
【化102】


に相当する、請求項95に記載の方法。
【請求項107】
前記式IXの化合物を酸触媒または塩基性触媒および水で加水分解して、式Xの化合物:
【化103】


[式中、RおよびRは上記で定義された通りである]
を形成するステップをさらに含む、請求項95に記載の方法。
【請求項108】
前記式Xの化合物がフロルフェニコールである、請求項107に記載の方法。
【請求項109】
前記酸触媒が、少なくとも1種の無機酸、少なくとも1種の有機酸またはそれらの混合物を含む、請求項107に記載の方法。
【請求項110】
前記酸触媒が、希釈した水性の塩酸、硫酸、硝酸、リン酸、酢酸、トリフルオロ酢酸、メタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸またはそれらの混合物を含む、請求項108に記載の方法。
【請求項111】
前記酸触媒がp−トルエンスルホン酸を含む、請求項110に記載の方法。
【請求項112】
前記塩基性触媒が、少なくとも1種の無機塩基、少なくとも1種の有機塩基またはそれらの混合物を含む、請求項107に記載の方法。
【請求項113】
前記塩基性触媒が、LiOH、NaOH、KOH、LiCO、NaCO、KCO、NHOH、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、カリウムメトキシド、カリウムエトキシドまたはそれらの混合物を含む、請求項112に記載の方法。
【請求項114】
前記塩基性触媒がNHOHを含む、請求項112に記載の方法。
【請求項115】
前記加水分解するステップが約100℃以下の温度で行われる、請求項107に記載の方法。
【請求項116】
前記温度が約30℃未満である、請求項115に記載の方法。
【請求項117】
前記加水分解するステップが、前記式IXの化合物を、前記酸触媒または前記塩基性触媒および水とともに、約100℃未満の温度で加熱するステップをさらに含む、請求項107に記載の方法。
【請求項118】
前記式IXの化合物の各モルにつき、約0.5〜約3モル当量の水が使用される、請求項107に記載の方法。
【請求項119】
前記式IXの化合物の各モルにつき、約1〜約2モル当量の水が使用される、請求項107に記載の方法。
【請求項120】
前記式Xの化合物が、式Xaの化合物:
【化104】


[式中、Rは上記の通りである]
に相当する、請求項1に記載の方法。
【請求項121】
前記式Xの化合物が、式Xbの化合物:
【化105】


[式中、Rは上記の通りである]
に相当する、請求項1に記載の方法。
【請求項122】
前記式Xの化合物がフロルフェニコールである、請求項120に記載の方法。
【請求項123】
前記式Xの化合物を精製して、式Xの精製化合物を得るステップをさらに含む、請求項120に記載の方法。
【請求項124】
前記精製するステップが、C1〜10アルキルモノアルコール、C1〜10アルキルジアルコールまたはC1〜10アルキルトリアルコールおよび水の混合物を使用するステップを含む、請求項123に記載の方法。
【請求項125】
前記混合物が、メタノール、エタノール、プロパノール、イソ−プロパノール、ブタノール、sec−ブタノール、t−ブタノール、ペンタノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、グリセリンまたはそれらの混合物および水を含む、請求項124に記載の方法。
【請求項126】
前記混合物がイソプロパノールおよび水を含む、請求項125に記載の方法。
【請求項127】
前記イソプロパノールおよび水の混合物が、約1:5〜約5:1の間の比率を有する、請求項126に記載の方法。
【請求項128】
前記イソプロパノール対水の比率が約1:1である、請求項127に記載の方法。
【請求項129】
前記式Xの化合物と前記約1:1のイソプロパノールおよび水の混合物とが、約1:1〜約10:1の間の重量体積比を有する、請求項128に記載の方法。
【請求項130】
前記式IXの化合物対前記約1:1のイソプロパノールおよび水の混合物の重量体積比が約1:4.6である、請求項129に記載の方法。
【請求項131】
前記精製するステップが、前記1:1のイソプロパノールおよび水の混合物の還流点である溶解温度を有する、請求項130に記載の方法。
【請求項132】
前記精製するステップが、約10℃〜約30℃の冷却温度を使用して、式Xの結晶化化合物を得るステップを含む、請求項123に記載の方法。
【請求項133】
前記冷却温度が約20℃〜約25℃である、請求項132に記載の方法。
【請求項134】
前記式Xの化合物がフロルフェニコールである、請求項132に記載の方法。
【請求項135】
式Vの化合物またはその酸付加塩:
【化106】


[式中、RおよびRは上記で定義された通りであり、但し、
がメチルスルホニルである場合、RはCHでもCHCHでもなく、
該式Vの化合物が該酸付加塩である場合、該酸付加塩は、HCl、HNO、HSO、HPOまたは酢酸塩である]。
【請求項136】
式VIの化合物またはその酸付加塩:
【化107】


[式中、Rはメチルスルホニルであり、RはCHまたはCHCHであり、Rは、CHCl、CHCl、CCl、CHBr、CHBr、CBr、CHF、CHFまたはCFであり、但し、該式VIの化合物が該酸付加塩である場合、該酸付加塩は、HCl、HNO、HSO、HPOまたは酢酸塩である]。
【請求項137】
がCHまたはCHCHであり、RがCHClである、請求項136に記載の化合物。
【請求項138】
式VIIの化合物またはその酸付加塩;
【化108】


[式中、R、RおよびRは上記で定義された通りであり、但し、
がメチルスルホニルであり、Rがフェニルである場合、RはCHでもCHCHでもなく、
該式VIの化合物が該酸付加塩である場合、該酸付加塩は、HCl、HNO、HSO、HPOまたは酢酸塩である]。
【請求項139】
がメチルスルホニルであり、RがCHまたはCHCHであり、RがCHClである、請求項138に記載の化合物。
【請求項140】
式VIIIの化合物またはその酸付加塩:
【化109】


[式中、R、RおよびRは上記で定義された通りであり、但し、
がメチルスルホニルであり、Rがフェニルである場合、RはCHでもCHCHでもなく、
該式VIの化合物が該酸付加塩である場合、該酸付加塩は、HCl、HNO、HSO、HPOまたは酢酸塩である]。
【請求項141】
がメチルスルホニルであり、RがCHまたはCHCHであり、RがCHClである、請求項140に記載の化合物。

【公表番号】特表2010−529016(P2010−529016A)
【公表日】平成22年8月26日(2010.8.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−510320(P2010−510320)
【出願日】平成20年5月28日(2008.5.28)
【国際出願番号】PCT/US2008/006742
【国際公開番号】WO2008/150406
【国際公開日】平成20年12月11日(2008.12.11)
【出願人】(505361750)シェーリング−プラウ リミテッド (7)
【Fターム(参考)】