説明

フロント・プロジェクション表示装置、フロント・プロジェクション系、および表示装置

【課題】プロジェクタおよび/またはスクリーンの種類、あるいはその組合せは、表示される映像の品質に影響することがある。
【解決手段】フロント・プロジェクション表示装置は、映像を生成するように構成された映像生成ソースと、映像を受けるように構成された広角レンズ系と、スクリーンとを備えて提供される。広角レンズ系は、第1ステージで映像の歪みを増大させ、第2ステージで映像の歪みを減少させるように構成され、スクリーンは、第1側の広角レンズ系から映像を受け、第1側の視聴者に映像を反射して戻すように構成されることが可能である。別の実施の形態では、スクリーンは、フロント・プロジェクション系用に提供され、スクリーンは、急角度から光を受け、所望の表示面に沿って視聴者に光を反射して戻すように構成された任意の数の表面形状を備えるように構成されることが可能である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、短い距離で大映像を生成することができる光学系を組み込んだフロント・プロジェクション系、および表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
本願は、2002年8月16日に出願された一部継続出願第10/222,083号(特許弁護士事件整理番号IFC.369(004589.P019))、および2002年8月16日に出願された一部継続出願第10/222,050号(特許弁護士事件整理番号IFC.368(004589.P018))であり、それぞれの内容全体は、すべての目的のためにそれらの全体を参照によってここに援用される。
【0003】
表示面上に映像を投影あるいは表示するには多くの方法がある。大画面表示装置を生成する1つの方法は、プロジェクション・テレビジョンのような投影装置の使用である。2種類のプロジェクション・テレビジョンは、リア・プロジェクション・テレビジョンおよびフロント・プロジェクション・テレビジョンである。典型的には、リア・プロジェクション・テレビジョンの構成部品は、単一ユニットに含まれている。これに対して、フロント・プロジェクション・テレビジョンでは、テレビジョンの構成部品は、互いに分離されることが可能である。たとえば、いくつかのフロント・プロジェクション・テレビジョンジョン方式においては、構成部品のうちのいくつかは、第1の位置に配置されることが可能である一方、別の構成部品は、第2の位置に配置されることが可能である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
プロジェクション・テレビジョンの構成部品は、典型的には、プロジェクタおよびスクリーンを含んでいる。映像は、プロジェクタによって生成され、スクリーン上に表示されることが可能である。プロジェクタおよび/またはスクリーンの種類、あるいはその組合せは、表示される映像の品質に影響することがある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
フロント・プロジェクション表示装置は、映像を生成するように構成された映像生成ソースと、前記映像を受けるように構成された広角レンズ系と、スクリーンとを備えて提供される。前記広角レンズ系は、第1ステージにおいて映像の歪みを増大させ、第2ステージにおいて映像の歪みを減少させるように構成されることが可能である。前記スクリーンは、第1側の広角レンズ系から映像を受け、該映像を前記第1側の視聴者に反射して戻すように構成されることが可能である。別の実施の形態においては、スクリーンは、フロント・プロジェクション系用に提供され、該スクリーンは、急角度から光を受けるように構成されることが可能であり、所望の表示面に沿って前記視聴者に光を反射するように構成された任意の数の表面形状を含むことが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【図1】従来のフロント・プロジェクション表示装置の模式図である。
【図2】本開示の実施の形態にかかる別のフロント・プロジェクション表示装置の別の模式図である。
【図3】本開示の実施の形態にかかる図2のフロント・プロジェクション表示装置において使用可能なレンズ系のブロック図である。
【図4】本開示の実施の形態にかかる図2のフロント・プロジェクション表示装置において使用可能なレンズ系の模式図である。
【図5】本開示の実施の形態にかかる図2のフロント・プロジェクション表示装置において使用可能な別のレンズ系の模式図である。
【図6】図2のフロント・プロジェクション表示装置と共に使用するフレネル・レンズの図である。
【図7】本開示の実施の形態にかかる図6のフレネル・レンズの断面図である。
【図8】本開示の実施の形態にかかる図2のフロント・プロジェクション表示装置と共に使用する反射ミラーを備えたスクリーンの構成の別の断面図である。
【図8a】本開示の実施の形態にかかる図2のフロント・プロジェクション表示装置と共に使用するレンズ状シートを備えたスクリーンの構成の別の断面図である。
【図9】本開示の実施の形態にかかる図2のフロント・プロジェクション表示装置と共に使用するビーズ構造を備えたスクリーンの構成の別の断面図である。
【図10】本開示の実施の形態にかかる図2のフロント・プロジェクション表示装置と共に使用する反射凹凸を備えたスクリーンの構成の別の断面図である。
【図11】本開示の実施の形態にかかる図2のフロント・プロジェクション表示装置において使用可能な別のレンズ系の模式図である。
【図12】本開示の実施の形態にかかる図11において示されるレンズ系を備えたプロジェクタを示している。
【発明を実施するための形態】
【0007】
短い距離で大映像を生成することができる光学系を組み込んだ表示装置が下に記述される。次の記述においては、説明の目的のために、多数の特定の詳細が、本発明についての詳細な理解を提供するために記述されている。しかしながら、当業者にとっては、本発明がこれらの特定の詳細なしに実行されることができることは明白である。他の事例においては、構造および装置は、本発明を不明瞭にしないようにするためにブロック図の形態で示されている。
【0008】
図1は、従来のフロント・プロジェクション表示装置を示している。フロント・プロジェクション表示装置100は、プロジェクタ110およびスクリーン120を備えている。スクリーン120は、任意の適切な表示面であることが可能である。たとえば、或る実施の形態においては、スクリーン120は、フレネル・レンズであることが可能である。典型的には、スクリーン120は、スクリーン面130を備えている。
【0009】
プロジェクタ110は、フロント・プロジェクション表示装置100の運転中に、映像を生成し、該映像をスクリーン120に投影するように構成されることが可能である。スクリーン120は、投影された映像を反射し、それを視聴者(図示せず)の方へ導くことが可能である。或る実施の形態においては、スクリーン面130は、投影された映像が視聴者に見えるように光を散乱させることが可能である。光線140および150は、光がプロジェクタ110からスクリーン120に進むことが可能な典型的な経路を示す一方、光線160および170は、光がスクリーン120を反射した後で進むことが可能な典型的な経路を示している。
【0010】
可変表面形状を備えた様々な種類のスクリーン面が、視聴者の方へ映像を反射するのに使用されることが可能である。たとえば、スクリーン面は、ガラスビーズ製スクリーン面または凹凸スクリーン面であることが可能である。ガラスビーズ製スクリーン面は、典型的には、スクリーン面130上の透明コーティングに埋め込まれた複数の小さなガラスビーズを有している。そのような面は、図2に記述された系のようないくつかの種類の投影系には不適切であることがある。さらに、そのようなガラスを基礎としたスクリーンおよび凹凸面のスクリーンは、クリーニングするのが難しい場合があり、それは、そのようなスクリーンに反射された映像の品質に影響することがある。
【0011】
或る実施の形態においては、光が当たるスクリーン120は、光が適切な角度でこれらのスクリーンに当たるときに、ほぼ後方反射が生じるように、視聴者に拡散されることがある。後方反射は、光がそれが来た方向に近い方向に返される反射である。したがって、そのようなスクリーンに該スクリーン面上にほとんど真っ直ぐに当たる光は、スクリーンの前に位置する視聴者の方向に曲げ戻されることが可能である。そのような後方反射の使用は、図2に記述された系のような系においては可能でない場合がある。
【0012】
図2は、200で、別のフロント・プロジェクション表示装置を模式的に示している。上述したように、フロント・プロジェクション表示装置は、プロジェクタ210およびスクリーン220を備えている。スクリーン220は、スクリーン面230を備えることが可能である。
【0013】
プロジェクタ210は、スクリーン220に水平に対して急角度で光を投影するように構成されることが可能である。たとえば、プロジェクタ210は、水平から約30°〜80°の間の角度でスクリーン220上に光が投影されるようにスクリーン220からオフセットされることが可能である。反射角は、スクリーンに沿って変化させることが可能である。光線240および250は、光がプロジェクタ210からスクリーン220に進むことが可能な典型的な経路を示している。典型的な目的だけのために、光線240は、角度245でスクリーンを反射され、拡散するものとして示されている。角度245は、角度80°のような任意の適切な角度であることが可能である。同様に、光線250は、角度255でスクリーンを反射するものとして示されている。角度255は、任意の適切な角度であることが可能である。角度255の例は、角度30°であることが可能である。図1で、光線160および170は、光がスクリーン220を反射した後で進むことが可能な経路を示している。そのような系においては、後方反射は、視聴者に映像を表示するのに不適当である場合がある。
【0014】
本開示の1つの実施の形態においては、プロジェクタ210は、広角プロジェクタであることが可能である。フロント・プロジェクション系で実施されることが可能である1つの典型的な広角系は、2002年8月16日に出願され、「歪曲された中間映像を有する広角レンズ系」とタイトルを付けられた米国特許出願第10/222,050号に記述されており、それは参照によってここに援用される。
【0015】
図3において模式的に示された1つの典型的な広角系においては、本系300は、中継レンズ・ステージ310および広角レンズ・ステージ320を備えることが可能である。中継レンズ・ステージ310は、中間映像330を生成し、広角レンズ・ステージ320に投影するように構成されることが可能である。広角レンズ・ステージ320は、スクリーン350上での表示用に矯正された映像340を生成し、投影するように構成されることが可能である。
【0016】
中間映像330は、広角レンズ・ステージが、予備歪曲映像を受けるように、歪曲された映像(I(D))であると考えられる場合がある。広角レンズ・ステージによってもたらされる歪みは、中間映像330の歪みの実質的にすべてが映像(I(-D))を生成するために広角レンズ・ステージ320によって補正される(取り消される)ようなものである。その参照(I(-D))は、中間映像の歪みのない映像を示すように意図されている。当然のことながら、歪みは、映像形状および/または焦点面に存在する場合もある。
【0017】
本記述の目的のために、用語「歪み」は、予備歪曲系に入力される第1ステージ映像からの任意の変更を意味するように意図されている。たとえば、或る実施の形態においては、映像における歪みは、映像の少なくとも一部の形状の変更を含んでいる。用語「予備歪曲」は、広角投影系によって生成された歪みを補正する(つまり、その歪みと実質的に等しく且つ反転させる)光学映像の意図的な歪みを意味するように意図されている。当然のことながら、予備歪曲映像は、該予備歪曲映像が補正されるように意図されている下流の歪みの種類に依存して様々な異なる構成で提示されることも可能である。
【0018】
図3に記述された系は、付加的な光学素子(図示せず)を含むことが可能である。たとえば、この系は、所望の光経路に沿って映像を導くために一又は複数のプリズムなどを備えることが可能である。さらに、中間映像または矯正された映像の変更を提供するように構成された一又は複数のレンズが存在することも可能である。
【0019】
図4は、上述した広角系の1つの典型的な実施の形態を示している。図示されるように、この系は、レンズ系に映像を提供するように構成されたDMD410を備えることが可能である。映像は、本技術分野において公知の任意の方法でDMD410に提供されることができる。DMD410は、選択的に、任意の適切な発光源(図示せず)からレンズ系まで光を反射するように構成されることが可能である。他の種類の装置(たとえば、微小電気機械系(MEMS)、回折格子ライトバルブ(GLV)、液晶表示装置(LCD)、シリコン液晶(LCOS))が、レンズ系に映像を提供するのに使用されることも可能である。
【0020】
他の装置がレンズ系に映像を提供するのに使用されることが可能であるが、図示された実施の形態においては、プリズム420は、映像を中継レンズ群430に導く。中継レンズ群430は、映像をプリズム420からプリズム440に投影し、中間プリズム440が意図的に歪曲された中間映像を受けるように映像を歪める。
【0021】
1つの実施の形態においては、中継レンズ群430は、9枚のレンズを含んでいる。しかしながら、任意の数のレンズが、たとえば、中間映像の所望の歪み、またはレンズ系の全体寸法に基づいて使用されることができる。中継レンズ群430によってもたらされる歪みは、広角レンズ群450によって生じさせられた歪みと等しく且つ逆であることが可能である。1つの実施の形態においては、中間映像は、歪曲映像面においてほぼ半円の映像である。代替の実施の形態においては、他の種類の歪みが使用されることも可能である。たとえば、完全なレンズ場が使用されるならば、歪曲された中間映像は、ほぼ円形の映像になるであろう。映像面は、歪曲されたり、歪曲されなかったりすることが可能である。
【0022】
中間プリズム440は、映像経路の90°屈曲を提供することが可能である。図5に関して下に述べられるように、屈曲が必要なわけではない。これに代えて、他の屈曲角(たとえば、45°、30°、135°、180°など)を使用することもできる。さらに、図11〜図13において示され、より詳細に下に議論されるように、複数の屈曲が使用されることも可能である。広角レンズ群450は、表示用にスクリーンに歪曲された中間映像を投影する。広角レンズ群450が、投影される映像に歪みを生じさせ、中間映像が、中継レンズ群430によって予備歪曲されるので、レンズ系によって投影された結果映像は、歪みをほとんど有していない。1つの実施の形態においては、中継レンズ群430、広角レンズ群450、および任意の関連するプリズムによって生じさせられた全体の歪みは、3%未満であることが可能である。
【0023】
1つの実施の形態においては、中継レンズ群430のレンズの光軸は、一直線に整列されることが可能である。同様に、広角レンズ群450のレンズの光軸も一直線に整列されることが可能である。典型的には、広角レンズ群は、100°を越える画角を提供する。1つの実施の形態においては、画角は、153°である。しかしながら、任意の他の角度が提供されることもできる。或る実施の形態においては、広角レンズ群450の光軸は、キーストーン形状または台形状の歪みがないようにスクリーンに垂直である。
【0024】
図5は、歪曲された中間映像を有する広角レンズ系の別の実施の形態を示している。図5のレンズ系が屈曲されないという点を除いては、図5のレンズ系は、図4のレンズ系と同様である。すなわち、広角レンズ系450は、中継レンズ系430と同軸である。図5のレンズ系は、中間プリズムを含んでいない。もし望まれれば、中間プリズムを含むことができる。
【0025】
上述したように、映像は、スクリーンに投影されることが可能である。或る実施の形態においては、スクリーンは、フレネル・レンズの一部であることが可能である。図6は、スクリーンとして使用されることが可能な、610で示された断面のような、典型的な断面外形を備えたフレネル・レンズ600を示しているが、他の断面が使用されることも可能である。使用されるレンズ部分のサイズおよび形状は、表示装置のスクリーンのサイズおよび形状に対応している。
【0026】
1つの実施の形態においては、フレネル・レンズ600は、一又は複数の所定の溝角度を有する多数の同心溝を有することができる。異なる溝角度を備えた領域または区画が存在することが可能である。溝角度を有するフレネル・レンズを製造および使用するための手法は、本技術分野においては公知である。
【0027】
図7は、フロント・プロジェクション系で使用されるスクリーンの断面プロファイルを示している。模式的に図示されるように、スクリーン700は、スクリーン面上に複数の溝(ピーク)を備えたフレネル・レンズであることが可能である。各溝は、当たる光(入力光)720を730で示されるような視聴者の方へ反射するように構成された反射小平面710を備えている。そのような構成は、図2に示された系のように急角度から受けた光に適応することが可能である。溝角度および反射角が、入力光の角度に適応するために変化することが可能であることを注記しておく。さらに、その溝が対向する上向きの面は、迷光が視聴者の方へ反射されるのを防ぐように構成されることが可能である。
【0028】
当然のことながら、溝は、スクリーン面を破損することなく小平面のクリーニングを可能にするために実質的に大きいことが可能である。或る実施の形態においては、スクリーン面は、埃および他のゴミがスクリーン面に集まることを回避するために帯電されることが可能である。たとえば、ユーザが選択可能な装置は、スクリーン面からいずれの埃も回避して、スクリーン面を通じてそれに電荷を送ることが可能なように提供されることが可能である。他の方法は、スクリーン700をクリーニングするために提供されることが可能である。たとえば、エア・キャニスタまたはエア・カーテンの使用を含む強制的な空気は、スクリーンをクリーニングするのに使用されることが可能である。
【0029】
他の種類のスクリーン面およびスクリーンは、図2に示されるような急角度のプロジェクタに適応するのに使用されることが可能である。たとえば、スクリーンは、レンズ状スクリーンであることが可能である。レンズ状スクリーンは、緊密間隔で配置された多数の非常に小さな半円柱レンズ(微小凸レンズ)を含むことが可能である。或る実施の形態においては、レンズ状スクリーンは、フレネル・スクリーンのための図7に示される構成と同様に、片面反射スクリーンであることが可能である。したがって、図7は、フレネル・レンズの使用に関して記述されているが、当然のことながら、レンズは、レンズ状スクリーンであることが可能である。光は、レンズ状スクリーン面に急角度で当たることが可能であり、視聴者に対して水平な、あるいは他の所望の平面に沿って反射される。
【0030】
図8は、800で、フロント・プロジェクション系用のスクリーンのための別の実施の形態を示している。スクリーンは、片面フレネル・レンズまたはリニア・プリズム・シートであることが可能であり、ミラー810またはスクリーンの裏側の同様の反射面を含むことが可能である。入力光820は、レンズ面830を通過することが可能であり、わずかに屈折される840ことが可能である。その後、屈折光840は、反射面(たとえば、ミラー)810で反射され、スクリーンを通じて方向を変えて戻されることが可能である。反射光850は、870で示されるように、視聴者の方へレンズの裏側860を通過することが可能である。
【0031】
図8aに示される同様の実施の形態においては、スクリーンは、860で示されるように、レンズ状シートであることが可能である。光870は、微小凸レンズの面を通過し、わずかに屈折し、後壁で反射され、別の微小凸レンズによって方向を変えて戻されることが可能である。
【0032】
さらに他の実施の形態においては、レンズ状スクリーンは、両面であることが可能である。たとえば、レンズ状スクリーンの前側は、光の垂直方向の向きを変更するように構成された水平方向の微小凸レンズを備えることが可能である。スクリーンの裏側は、光の水平方向分布を変更するように構成された垂直方向の微小凸レンズを備えることが可能である。
【0033】
図9は、900で、スクリーン面が複数のガラスビーズ式の構造を備えている別の実施の形態をさらに示している。ガラスビーズは、入力光の入射角に依存して光の向きを変えるように構成されることが可能である。したがって、ビーズの形状は、受けた入力光の角度に従うビーズの位置に依存して変化することが可能である。たとえば、図9においては、入力光910および920は、スクリーン900の方へ導かれる。入力光910および920は、それぞれ、ビーズ930および940に当たる。ビーズ930および940は、水平面(それぞれ950および960によって示されるように)上の視聴者の方へ光を外方に向きを変えるように構成されることが可能である。当然のことながら、ビーズ内への光の入射角は、スクリーンの垂直軸に沿って変化することが可能である。ビーズの屈折および反射特性は、様々な入射角に相互に関連することが可能である。
【0034】
図10は、別のスクリーン面1000をさらに示している。図示されるように、スクリーンは、複数の反射凹凸または他の適切な表面形状を有していることが可能である。凹凸は、実質的に急角度から入力光線1010および1020を受け、光を、光線1030および1040によってそれぞれ示されるような水平面に沿って視聴者の方へ導き戻すように構成されることが可能である。
【0035】
上記のスクリーンは、上述した広角レンズ系からのように、急角度から光を受けるように構成されることが可能である。各スクリーンは、水平面または他の適切な表示面に沿って視聴者に光を反射するように構成された表面形状を備えるようにさらに構成されることが可能である。
【0036】
当然のことながら、上述したスクリーン面のそれぞれは、映像の焦点への任意の顕著な障害を防止するようなサイズであることが可能である。さらに、スクリーンがユーザによる取り扱いおよび接触に適応することができるように、上述した表面は、実質的に耐久性のあるように構成されることが可能であることを注記しておく。これに加えて、スクリーン面は、容易にクリーニングされるように構成されることが可能である。たとえば、コーティングおよび他の表面処理は、静電気、埃などを低減する、および/または表面を保護するスクリーン面に適用されることが可能である。さらに、溝および他の表面形状は、実質的に、表面の容易なクリーニングを可能にするようなサイズとされることが可能である。或る実施の形態においては、スクリーン面は、スクリーンの映像品質および耐久性を向上させるために静電気防止コーティングおよび他の表面処理を備えることが可能である。
【0037】
図11は、1100で概して示される、別の典型的なレンズ系をさらに示している。典型的なレンズ系においては、映像経路は、多数の屈曲を含んでいる。具体的には、映像経路は、第1の中継レンズ群1110を通じて、方向変更光学素子1120および1130を通じて、広角レンズ系1140に導かれる。図示された構成においては、光(映像経路)は180°を越えて方向を変えられる。任意の適切な光学的配置が、光の方向を変えるのに使用されることが可能である。典型的な実施の形態においては、二重ミラーまたはプリズム1120,1130が、光の方向を約180°変えるように使用されることが可能である。他の光学的装置および多数の映像経路の屈折は、本発明の範疇を逸脱せずに使用されることが可能である。たとえば、プリズムおよび/またはミラーの他の組合せは、映像方向を180°以上変えるのに使用されることが可能である。多屈折配置は、出力光が、入力光と同じか、あるいは実質的に同じ方向に方向を変えられるように、光の方向を変えられる(異なるとはいえ水平面)。
【0038】
上述したレンズ系のように、図11におけるレンズ系は、歪曲された中間映像を生成するように構成されることが可能である。中間映像の歪みは、中間映像の歪みと実質的に等しく且つ反転した歪みを生成する広角レンズ・ステージを使用して矯正されることが可能である。或る実施の形態においては、上述したように、中間映像の歪みは、中継レンズ・ステージの使用によって生成されることが可能である。
【0039】
これらのレンズ系のそれぞれは、元の映像から予備歪曲映像(あるいは中間映像)を生成するように構成された中継レンズ・ステージのような、予備歪曲系を有すると考えられることがある。レンズ系は、予備歪曲映像を受け、予備歪曲映像の予備歪曲を実質的に相殺し、且つ、元の映像に対応する実質的に非歪曲映像を投影するために映像を歪めるように構成された広角レンズ系のような受入れ投影系を有するとさらに考えられることがある。
【0040】
レンズ系は、映像1150を広角レンズ・ステージからスクリーンに導くように構成されることが可能である。或る実施の形態においては、レンズ系は、映像をスクリーンに急角度で導くように構成されることが可能である。たとえば、レンズ系は、スクリーンの方へ30°〜80°の角度で光を導くように構成されることが可能である。光は、第1側のスクリーンに当たり、スクリーンの同じ側(第1側)の視聴者の方へ方向を変えて戻されることが可能である。上述したもののような任意の適切なスクリーンは、レンズ系から映像を受けるのに使用されることが可能である。
【0041】
図12は、さらに1200で、プロジェクタ1210を備えたレンズ系(図11において示されるもののような)の使用を示している。図示されるように、レンズ系1220は、プロジェクタに結合されることが可能である。たとえば、レンズ系は、プロジェクタに分離可能に結合されることが可能である。これに代えて、レンズ系は、プロジェクタ内に一体とされることも可能である。複数の屈折系の使用によって、レンズの長さは、よりコンパクトな系を生成して、低減されることが可能である。プロジェクタ上のレンズの向きによって、該プロジェクタの本体は、壁に近接して位置することが可能である。そのような構成は、運転時にプロジェクタに必要な棚スペースを低減する一方、レンズ系によって要求される最小の投影距離を依然として提供することが可能である。たとえば、図12のプロジェクタは、壁から2〜10インチ以内に配置されることが可能である一方、非常に大きな、50インチから100インチの映像を生成する。
【0042】
図12の系は、表示装置をさらにオフセットする。いくつかの前の表示系とは対照的に、表示装置は下にオフセットされ、表示された映像はプロジェクタの平面上で上にオフセットされている場合、本系は、表示装置が映像を上にオフセットさせるために上にオフセットされるように設定される。たとえば、本系における或る実施の形態においては、本レンズ系によって生成された中間映像は、オフセットを要求することがある。たとえば、図12においては、レンズを組み合わせて光の方向を反転させることは、表示装置を所望の位置にオフセットさせるために機能することが可能である。
【0043】
上述した開示は、独立した有用性を備えた多数の別個の発明を包含すると考えられる。これらの発明のそれぞれは、その好ましい形態で開示されているが、ここに開示および図示されたその特定の実施の形態は、多数の変形が可能なものとして、限定した意味で考慮されるべきではない。本発明の主題は、ここに開示された種々の要素、特徴、機能、および/または特性の新規且つ非明白なコンビネーションおよびサブコンビネーションをすべて含んでいる。請求項は、「1つの」もしくは「第1の」要素、またはその均等物を記述しているが、そのような請求項は、一又は複数のそのような要素の援用を、複数のそのような要素を除外することも要求することもなく含むと解釈されるべきである。
【0044】
明細書における「1つの実施の形態」または「実施の形態」への参照は、当該実施の形態に関して記述された特定の特徴、構造、または特性が本発明の少なくとも1つの実施の形態に含まれることを意味する。明細書における様々な位置の「1つの実施の形態において」の表現の状況は、必ずしもすべてが同じ実施の形態を参照しているわけではない。
【0045】
先の明細書においては、本発明は、その特定の実施の形態に関して記述されている。しかしながら、それは、様々な修正および変更が本発明のより広い精神および範疇から逸脱せずに、それに加えられることができることは明白であろう。従って、明細書および図面は、限定的な意味ではなく例示と見做されるべきである。
【符号の説明】
【0046】
200 フロント・プロジェクション表示装置、210 プロジェクタ、220 スクリーン、230 スクリーン面、300 フロント・プロジェクション系、310 中継レンズ・ステージ、320 広角レンズ・ステージ、330 中間映像、340 矯正された映像、350 スクリーン、430 中継レンズ群、440 プリズム、450 広角レンズ群、600 フレネル・レンズ、700,800,900,1000 スクリーン、860 レンズ状シート、930,940 ビーズ、1100 レンズ系 1110 第1の中継レンズ群 1120,1130 方向変更光学素子 1140 広角レンズ系、1200 レンズ系、1210 プロジェクタ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
フロント・プロジェクション表示装置であって、
スクリーンと、
歪曲した中間映像を生成する第1ステージと、前記中間映像の歪みを実質的に相殺させ、前記スクリーン上に前記中間映像に対応する実質的に非歪曲映像を投影させる第2の広角レンズ・ステージとを具備した広角レンズ系と
を備えるフロント・プロジェクション表示装置。
【請求項2】
前記第1ステージの光軸および前記第2ステージの光軸は、90°の角度を形成している請求項1記載のフロント・プロジェクション表示装置。
【請求項3】
前記第1ステージの光軸および前記第2ステージの光軸は、180°の角度を形成している請求項1記載のフロント・プロジェクション表示装置。
【請求項4】
前記投影系は、前記スクリーンの方へ30°〜80°の間の角度で光を投影するように構成されている請求項1記載のフロント・プロジェクション表示装置。
【請求項5】
前記スクリーンは、実質的に急角度で前記映像を受け、実質的に水平面に沿って前記光を反射して戻すように構成されている請求項1記載のフロント・プロジェクション表示装置。
【請求項6】
前記スクリーンは、フレネル・レンズである請求項1記載のフロント・プロジェクション表示装置。
【請求項7】
前記スクリーンは、片面レンズ状スクリーンである請求項1記載のフロント・プロジェクション表示装置。
【請求項8】
前記スクリーンは、ガラスビーズのスクリーンである請求項1記載のフロント・プロジェクション表示装置。
【請求項9】
前記スクリーンは、複数の反射凹凸を備えている請求項1記載のフロント・プロジェクション表示装置。
【請求項10】
フロント・プロジェクション系であって、
歪曲された中間映像を生成する第1ステージと、
前記中間映像の歪みを実質的に相殺する歪みを生じ、前記中間映像に対応する実質的に非歪曲映像を投影する第2の広角レンズ・ステージと
を備え、
前記第1ステージおよび前記広角レンズ・ステージは、前記映像が前記第1ステージから前記第2ステージに進む方向とは映像経路が逆転するように配置されているフロント・プロジェクション系。
【請求項11】
前記広角レンズ・ステージは、スクリーンに急角度で前記非歪曲映像を投影するように構成されている請求項10記載のフロント・プロジェクション系。
【請求項12】
前記急角度は、30°〜80°の間の角度である請求項11記載のフロント・プロジェクション系。
【請求項13】
表示装置であって、
スクリーンと、
元の映像から予備歪曲映像を生成する予備歪曲系と、
前記予備歪曲映像の予備歪曲を実質的に相殺するように歪ませ、前記スクリーンに前記元の映像に対応する実質的に非歪曲映像を投影させる投影系と
を備える表示装置。
【請求項14】
前記表示装置は、フロント・プロジェクション表示装置である請求項13記載の表示装置。
【請求項15】
前記投影系は、広角レンズを備えている請求項14記載の表示装置。
【請求項16】
前記予備歪曲系は、中継レンズ群を備えている請求項14記載の表示装置。
【請求項17】
前記予備歪曲系の光軸および前記投影系の光軸は、180°の角度を形成している請求項14記載の表示装置。
【請求項18】
前記投影系は、前記スクリーンの方に30°〜80°の間の角度で光を投影するように構成されている請求項14記載の表示装置。
【請求項19】
前記スクリーンは、前記映像を実質的に急角度で受け、前記光を実質的に水平面に沿って反射して戻すように構成されている請求項14記載の表示装置。
【請求項20】
前記スクリーンは、片面レンズ状スクリーンである請求項14記載の表示装置。
【請求項21】
前記スクリーンは、ガラスビーズ製のスクリーンである請求項14記載の表示装置。
【請求項22】
前記スクリーンは、複数の反射凹凸を備えている請求項14記載の表示装置。
【請求項23】
前記スクリーンは、前記視聴者に映像を反射して戻すような反射面形状を備えている請求項14記載の表示装置。
【請求項24】
前記スクリーンは、前記映像が視聴者に出力されるのと同じ側で前記映像を受ける請求項14記載の表示装置。
【請求項25】
前記スクリーンは、前記映像を視聴者に方向を変えて戻す反射面を含んでいる請求項14記載の表示装置。
【請求項26】
フロント・プロジェクション表示装置であって、
映像を生成するように構成された映像生成ソースと、
第1ステージにおいて前記映像の歪みを増大させ、第2ステージにおいて前記映像の歪みを減少させるように構成された、前記映像を受けるように構成された広角レンズ系と、
第1側の前記広角レンズ系から前記映像を受け、前記第1側の視聴者に前記映像を反射して戻すように構成されたスクリーンと
を備えるフロント・プロジェクション表示装置。
【請求項27】
前記スクリーンは、急角度から光を受けるように構成されている請求項26記載のフロント・プロジェクション表示装置。
【請求項28】
前記スクリーンは、反射面形状を備えている請求項16記載のフロント・プロジェクション表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図8a】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2013−61685(P2013−61685A)
【公開日】平成25年4月4日(2013.4.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−279272(P2012−279272)
【出願日】平成24年12月21日(2012.12.21)
【分割の表示】特願2006−549400(P2006−549400)の分割
【原出願日】平成17年1月5日(2005.1.5)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】