説明

フローリング等木質建材のリニューアル工法

【課題】住居や建造物で使用されたフローリング等の木質材をリニューアル処理して“再生”し、特殊なコーティング処理によって機能強化を図る施工方法を提供する。
【解決手段】一般家屋や店舗などで使用された中古木質材をリニューアル処理する方法として、使用状況による傷み具合に応じて、A〜Fの6段階のプロセス工程、つまり、A:養生、B:塗装剥離、C:シミ・カビ抜き、D:キズ補修、E:凹み・穴埋め、F:着色の再生処理を、最適な材料と方法によって選択的に順次経てリニューアル再生し、さらに最終処理工程Gとして、シリコン及びUV照射硬化アクリルを用いたコーティング処理加工を実施することにより、より長期間再使用することを可能とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
建築物の時間経過による劣化は避けられないことであり、木材を多く使用した日本の一戸建て住宅は20〜30年が寿命とされて、20〜30年すると一軒全てを潰して建て直す「建替え」が一般的な方法とされている。
【0002】
しかし、実際には長年住んだ家には愛着があり、できることなら一部の建材でもリニューアルして再利用したいという要望があることは事実で、どのような方法で実施すれば経済的にも資源有効利用の面でも効果的であるのかが問題とされてきたと考えられる。
【0003】
さらに、地球温暖化対策の必要性が社会的に浸透しつつある昨今では、環境問題、エコ、再資源化が社会の重要なキーワードとなって、限りある資源を有効活用し二酸化炭素やメタンガスなどの温暖化ガスの発生を最小限に抑えること、そして恵まれた自然環境をこれからの子孫にいかにして残すか、そのためには、今、人類が何をすべきかが問われている。
【0004】
本発明は、このような社会生活を真剣に見直さなければならない現実を背景として、建築資材の再利用技術に関するもので、一戸建てやマンションなどの一般家屋の他、オフィスやレストラン等の商業目的の建物並びに、保育園から大学までの教育施設及び病院や老人ホーム、フィットネスクラブや体育館等のスポーツ施設のリフォームにおいて、木質のフローリング(床材)をリニューアル再生することのできる工法を提供するものである。
【背景技術】
【0005】
発明者らは、建築資材の再利用技術について真剣に取り組み、より優れた方法の確立を目指して10年以上の試行錯誤の経験を積み重ねてきた。
【0006】
本発明の基本的な概念や施工方法の概要は、これまで日本国内で「レストア工法」として紹介してきた。今あるものを大切に、より長期的に美しく管理できるようにすることで、無駄を省き、地球環境を配慮する観点からの発想に基づき培った技術である。
【0007】
一定期間使用した上記の住宅や施設などの建造物のリフォームとして、使用されていた建築資材を全て廃棄して新しい建築資材を使用するのではなく、再利用が可能な資材のリニューアル処理を実施するための工法に関する。
【0008】
特に、再利用するために必要となる再生処理において、塗膜剥離、アク・シミ・カビ抜き、キズ補修、凹み・穴埋め、着色、表面コーティング処理などの再生・強化のプロセス選定と、各プロセスにおける材料の選定とその作業方法が、本発明の技術的特徴である。
【0009】
また、本発明のリニューアル工法で実施している木材の再生利用のための表面コーティング処理技術は、一般的な住居のフローリング材をはじめ、白木材や高級家具材などの材料にも適用することができる。また、ただ外観を綺麗に再生するだけではなく、防滑性の向上・劣化防止・撥水性の向上など、必要性に応じて機能強化を図るための仕上げを実現できることも大きな特徴となっている。
【特許文献】
【0010】
木質フローリングや家具など関連する特許申請について検索した結果において、これまでに特許として成立している申請の概要を下記に示す。
【0011】
特開2002−120336(特許3476140)の家具用化粧シート及びそれを用いた化粧天板では、下面側にエンボス加工を施したポリオレフィン系樹脂の下地シートの上に、着色処理を施したポリエチレンテレフタレート製の表層シートを積層し、その表面にUVコートを施した化粧シートであって、表層シートの厚みが25〜50μm、UVコートの厚みが6〜20μmであり、表層シートとUVコートの厚みの和が下地シートの厚みの10%以下であることを特徴とし、机やテーブル等の家具における天板に接着して使用するのに特に適した化粧シートであって、鉛筆硬度を確保しつつリサイクル性をも備えた新規な家具用化粧シートを提供している。
【0012】
この特許は、木質系であるが、机、テーブル等の家具の天板に提供する化粧シートについてであり、下地シートに比較して10%以下の表層シートとUVコートに関するもので、用途も提供技術も限定されている。
【0013】
特開2003−143990(特許3895151)のペット対応床材および製造方法では、部分的積層構造を有し、第1層を床下地合板上に接する該床材の基材とし、該基材上面に、断面凹凸形状をなす第2層が接する構造をなし、かつ、該第1層は該第2層より硬い人造繊維よりなり、第2層の凸部には人造繊維を素材とする中空繊維または発泡状体を含み、第2層の全表面を、硬い被覆を構成すべく合成樹脂によりコーティングしてなることを特徴とするもので、毛やダニがつきにくく、メンテナンス性に優れ、柔らかさやすべりにくさを備えた床材を提供する。
【0014】
この特許は、ペット対応床材についてであり、用途としては、本出願特許と一つの用途分野として共通している。しかし、技術的には人造繊維を使用することが特徴であり、本出願特許との共通性はなく異質である。
【0015】
特開2004−156165(特許4098602)滑り防止加工床材では、基材層上と発泡層と表面層(印刷層+透明層)を設けた床材の裏面に非発泡合成樹脂の防滑層を設けたことにより、厚い特殊な層を設けることなく滑りを防止することができ、段差が発生せず、簡単に敷くこと、取り外すことで、だれでも模様替えができ、取り除いた場合にもあとが残らず、再度使用できる。
【0016】
この特許は、床材の裏面に非発泡合成樹脂の防滑層を設けることで床材全体を滑ることなく取り外しを可能とすることを特徴する床材を提供するものであり、滑りを防止するという床材の一つの機能として共通点を持つが、対象とする床自体の取り外しが可能であることがその技術目的であり、床材の表面における人や動物の滑りを防止するという本出願特許との共通性はなく異質である。
【0017】
特開2006−255561(特許4593325)の樹脂成形品及びその製造方法では、樹脂基材の表面に装飾が施されている樹脂成形品を製造するための製造方法及びその製品に関する特許で、前記樹脂基材の上に、紫外線硬化型の塗料を塗装してUV塗装部を形成し、さらにそのUV塗装部の上に、接着層を溶解させて熱転写することにより加飾を施す転写加飾部を形成する。そして、前記UV塗装部の最上層は、紫外線硬化型の塗料にシランカップリング剤が添加されたUVコート層が形成された構成であることを特徴としている。
【0018】
この特許は、紫外線硬化型の塗料の層を有する多層構造の成型物である点については、本工法に関する内容との類似性があるが、基材部分が木質体ではないため、実質的な関連性や類似点が認められる技術ではない。
【0019】
以上の結果から、上記で紹介した特許出願申請技術は、いずれも新しくフローリング材を敷設する場合や家具の製造において実施利用されるための技術であり、既に一定期間使用されたフローリング等の木質材をリニューアル処理して再使用することを目的としている本発明とは基本的に異なる内容であり、リニューアル処理技術としての特許申請を抽出することはできなかった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0020】
住まいという最も身近な居住環境をきれいに管理しながらより長期間居住するためには、一定期間使用されたフローリング等の木質材をリニューアル処理して“再生”し、さらに、特殊なコーティング処理によって機能強化を図ることが必要と考えられる。この「“再生”+コーティング処理による保護強化」という業務分野の命題に対し、より適した材料や方法を研究・開発して、施工後の仕上がりレベルを高めていくことが基本的な課題である。
【0021】
本リニューアル工法によって解決しようとする課題を、フローリングを対象例としてより具体的に説明する。
【0022】
従来、長年の使用によってフローリングが老朽化した場合には、少なくとも部屋毎に貼り替える、場合によってはフロアーや家屋内全体を貼り替えることが多い。
この貼り替え工事は、実施期間が比較的に長くなり、剥がす際には騒音がでる。また場所によっては建物の躯体となる柱にダメージを与えることもある。さらに社会的な環境問題として考えると、多くの廃材が発生するため、悪質業者であれば不法投棄などの廃棄物処理の問題につながっていく。
【0023】
さらに、新規のフローリングであっても、使用する条件によって、改善が要望される事項は多い。一般的に、フローリングについて最も多く指摘される問題点としては、通常のフローリングは滑りやすい点である。特に小さい子供やご年配のいる家庭の住宅では、転倒を防止するための安全対策が問題視されている。
【0024】
ペットを屋内で飼っている場合にも、ペットが滑って脱臼する事例も発生している。滑りやすいことは、ペットにとっても飼い主にとってもストレスの原因であり、“ツヤはあっても滑りにくい”フローリングが求められている。
【0025】
“フローリングの劣化”には様々なケースがある。例えば、従来多く用いられてきたフローリング表面のウレタン塗装は水分に弱いため、結露する窓の周辺やキッチンのシンク周りは注意が必要となる。内部にまで水分や汚れが浸透しカビが発生してしまうと、問題は深刻になる。
【課題を解決するための手段】
【0026】
上記のような一定期間使用された住宅や建物のフローリング等の木質建材の一部を基材として交換せずに“再生”して再利用するための手段である本リニューアル工法によれぱ、これまでの使用によって発生したキズ、剥離、シミ等の傷みを、A:養生、B:塗装剥離、C:シミ・カビ抜き、D:キズ補修、E:凹み・穴埋め、F:着色のA〜Fの6段階のリニューアルプロセスを選択的に順次経て再生処理することで、新品の木質素材と同等の外観を持つ建材として再使用することが可能となる。
【0027】
ここで、本特許のリニューアル工法(レストア工法)についての詳細を明確にするために、木製フローリングのリニューアルを実施した前後の施工実施細部の断面拡大(イメージ)図を図1に示した。
【0028】
通常のフローリングは、図1−(a)に示すように、1:基材の上に2:天板と呼ばれる木面のきれいな化粧板が貼られた二層構造となっている。そして、その上に表面保護のためのウレタン塗装が実施されてきた。しかし、長期間の使用によって、4:キズや5:凹み、穴などがウレタン塗装を通して発生し、さらにそのキズや穴から汚れが浸透して3:シミ、カビなどが基材内部にまで発生した状態となる。
【0029】
本発明のリニューアル工法では、この状態のフローリングを、図1−(b)に示すような状態に「“再生”+コーティング処理による保護強化」する。つまり、“再生”処理として、シミ・カビなどの基材内部にまで発生した汚れは薬品によって除去し、独自の補修材によって6:キズ補修、7:凹み・穴補修を行い、周囲の部分と色合いが調和するように8:着色塗料で着色する。さらに、9:アクリル又はウレタンによるベースコーティング処理及び、10:シリコンを使用してのトップコーティング処理によって保護強化した状態とすることができる。
【0030】
このリニューアル処理のプロセスを図2に示した。実質的な再生処理は、内部にBからFを記入した矢印で表わしており、矢印上部の細部拡大イメージ図で各処理による再生部分の変化を示している。保護強化のためのコーティング処理は、縦方向の矢印であり、図1−(b)の最終的な完成した“製品”としての状態は図2の最下部の段階で実現できる。
【0031】
さらに、本リニューアル工法で実施する各プロセスにおいては、本工法での再生処理の仕上がりの質(レベル)を向上させるために、特別に選定した薬品や材料を使用している。
【0032】
まず、最初のリニューアルのプロセスとして、コーティング施工するフローリング周囲の家屋部材へのコーティング剤の付着を防止するために、A:養生(マスキング)作業を実施する。養生場所としては、i)玄関部(タイル、石材など)、ii)巾木・敷居部、iii)階段部、さらに、iv)その他(白木、石材、ステンレス、アルミ、キッチン廻り、点検口、移動物(キャスター付き引き出し等)、ガス警報器などが該当する。
【0033】
養生方法としては、
i)玄関部:框下石材部分にマスキング後、ロールマスカーにて、玄関全体を養生する。框と巾木の取り合い部もマスキングし、更に室内用ブルーシートを広げて二重に養生すると共に、材料置場を確保する。
ii)巾木・敷居部:コーティング施工の有無(敷居部)・色飛び等を確認しながら、必要に応じて(コーティング付着の目立ちやすい場所は特に注意して)マスキング養生する。
iii)階段部:目線上にある目立ちやすい巾木や手摺り周りをマスキング養生する。
iv)その他:窓を閉め、ステンレス・白木・石材・サッシ周りに対し、マスキング養生する。ロールマスカー使用の際は必ずマスキングの上に貼る。
【0034】
養生作業は、上記の作業現場の全体的な作業による汚れ防止対策の他、これまでの使用で塗布されてワックスやウレタンなど旧コート材の溶解・剥離を実施する際、また新しくコーティング剤を塗布する際にも実施している。
【0035】
本発明のリニューアル工法では、旧コート材のウレタンを溶解・剥離する補修部分の周囲及びフローリングの継ぎ目である実(さね)に対するマスキング材として、特別にアルミテープを使用する。
【0036】
一般的に使用されるマスキングテープは紙製粘着テープであるため、溶剤の浸透を全て防止することはできない。しかし、アルミテープであれば実(さね)部分のような特殊な形状に対しても柔軟に適応して密着させることができ、アルミテープの素材としての溶剤に対する耐性によって、ウレタン剥離用の溶剤がフローリング内部にまで浸透することを確実に防止することができる。
【0037】
第2ステップのB:塗装剥離工程では、本工法で特別に選定した薬品としてジクロロメタン(メチレンクロライド)を含有する中性の剥離剤を使用する。通常では、酸性やアルカリ性の剥離剤が使用されているが、中性の剥離剤を使用することによって、再生する木質部分を傷めずにウレタンを除去することができる。
【0038】
実用上、ジクロロメタンは不燃性で、強力な溶解力と高い安定性を持つ有機溶剤であり、樹脂製造溶剤、塗料剥離剤など、さまざまな用途で幅広く使用されている。特に、金属、ガラス、セラミックの洗浄や接着剤用の溶剤として用いられていることから、塗装に加えてガムテ−プなどの接着剤を容易に除去できることから非常に有効である(薬品管理上、ジクロロメタンの重量比0.1%以下とする)。
【0039】
C:シミ・カビ抜き工程では、3種類の専用の薬品溶液を準備して、天板の下にある基板の内部にまで発生したアクやシミ、カビを完全に除去する。
【0040】
まず、弱アルカリ性の界面活性剤と漂白剤の混合水溶液(製品名:SCウォッシュA−B/界面活性剤−3.5%、漂白助剤−4%、PH調整用のアルカリ助剤−6.5%)及び、過酸化水素水(製品名:SCウォッシュA−A/H−30〜40%)を使用して、木材本来の残留成分であるアクを抜くことができる。
【0041】
次に、フッ化水素(製品名:レブライト/FH−9.5%)を使用して、これまでの使用による汚れによるシミを抜くことができる。さらに、過酸化水素水(製品名:ノーベルA/H−5.5%)及び、亜塩素酸ナトリウム溶液(製品名:ノーベルB/NaClO−23%)を使用することにより、基板の内部に発生したカビについても完全に除去することができる。
【0042】
3〜5wt%の過酸化水素は医療用の外用消毒剤として一般的に利用され、オキシドール(Oxydol)という日本薬局方名、またはオキシフル(Oxyfull)という薬剤名でも呼ばれ、基板内部に発生したカビの除菌や漂泊剤としてとても有効である。
【0043】
フッ化水素は弱酸性ではあるが、金属やガラスを容易に侵すので通常のガラスビンや金属製のカンには保存できないため、ポリエチレン製の保管容器を使用する。また、フッ化水素が皮膚につくとなおりにくい炎症を起こす毒性があることから、作業安全上、取り扱いには十分注意を要する。
【0044】
D:キズ補修工程では、本工法の特殊な材料として、植物性カルナバ蝋(ろう)を主成分とした補修材を使用する。
【0045】
カルナバ椰は、自動車用のワックス剤として広く使用されており、ブラジル北部等の酷暑の地域に生息するカルナバ椰子から採取される。カルナバ椰子は、葉を乾燥から護るために粉末状の蝋を分泌するため、この粉末を採取し精製して製品として販売されている。ただし、カルナバ蝋を採取するために樹木を伐採することはなく葉だけが切り取られる。また、カルナバ蝋は人体に無害であるため、薬品やお菓子のコーティング、化粧品等にも使われている。
【0046】
石油の分留精製によって製造され、一般的に床材のキズ補修のために使用されているパラフィンワックスに比較しても、カルナバ蝋はキズに対しての高い隠ぺい力と密着性を兼ね備えていることが判明している。このような特長からも、カルナバ蝋は環境と安全性を配慮した優れた補修材であると考えている。
【0047】
E:凹み・穴埋め工程では、ポリウレタン樹脂塗料を使用する。ポリウレタンは、一般的な安価なフローリングのコーティング材として使用されており、抗張力や耐摩耗性、耐油性に優れている。しかし、水分による加水分解や空気中の窒素酸化物(NOx)、塩分、紫外線、熱、微生物などの影響で徐々に分解される。
【0048】
本工法では、ポリウレタンで凹みや穴埋め補修した部分についても、シリコンやアクリルによるコーティング処理を実施するため、これらの外的要因による劣化を緩和することができる。
【0049】
F:着色工程では、アルコール系着色剤をメタノールで希釈調合して使用する。アルコール系の着色剤は、混合によって新しい色を簡単に作れ(調色が容易)、即乾性にもすぐれていることから、施工現場での着色作業に適している。
【0050】
さらに、最終処理工程として使用目的にあった表面コーティング処理をすることによってフローリングの耐久性を高め、より長期間再使用することが可能となる。
【0051】
本発明のリニューアル工法で使用しているコーティング材の種類と性能を表1に、各コーティング材の用途別選択のポイントを表2に整理した。本工法では、表面コーティング処理材料として、シリコン、UV照射硬化型のアクリル、アクリルウレタン及び水性ウレタンを選定して使用している。
【0052】
フローリングのリニューアルを考える場合には、どこが、どのように劣化しているのかという「劣化状態に適合したケア」が求められる。
【0053】
例えば、一般的に窓際のフローリングは、雨の吹き込みや日常的な強い日射によってウレタン塗装の場合には劣化し易く、フローリングの表面単板の浮きやひび割れが発生し易い。このような場合には、古いワックスとウレタンを完全に剥離して、シミ・カビ抜きによって木部を再生し、シリコンコートを施工すると、結露や雨の吹き込みによる水分に対して強くなり、再発を防止することができる。
【0054】
ダイニングテーブルの周辺は、家族の利用頻度が高いことから、椅子を引きずりや集中的な荷重によって、浅い凹みやキズが無数に発生した状態がよく見かけられる。このような場合にも、古いワックスとウレタンを完全に剥離して、補修材で凹みやキズを補修し、シリコンコートを塗布すると、食べこぼしなどの汚れに強くなると同時に、日常の水吹きによる掃除も可能になって、衛生的で耐久性の高いフローリングを実現できる。
【0055】
また、フローリング以外の木質建材や家具の劣化に対しても、本特許のリニューアル技術を適用することができる。
【0056】
例えば、鮨屋やショットバーなどの木質のカウンターは、料理や飲み物が日常的にこぼれることが多い状況から、水分や油汚れが木質内部にまで浸み込み、シミやカビが発生している場合も多い。このような場合でも、まず、カウンター全体の表面塗膜を除去し、薬品によって油分やシミ・カビを除去した後に着色し、アクリルUV塗装、シリコン塗装を実施すると、水分や油汚れに非常に強く、キズもつきにくく手入れが非常に簡単なカウンターとして再利用することができる。
【0057】
さらに、温泉施設の外部屋根に白木材が使われている例は多いが、温泉の湯気や雨の浸透によって、通常はカビやシミが発生して変色してしまう。このような無垢材の場合には、まず薬品でシミ・カビを除去して、白木の風合いを生かせるように、木材用の浸透性のコーティングを施工することで、水分は木材内部には浸透しない防汚性の白木としてリニューアルすることができる。
【0058】
【表1】

【0059】
【表2】

【0060】
本発明では、表2で示すように、施工を実施する施設・建物での使用条件によって、最適なコーティング材を選択して表面コーティング処理を実施することにより、使用目的に合わせて床材としての機能を向上させることができる。
【0061】
例えば幼稚園や保育園の場合では、幼児の動きは激しい上に、その動きに安定性を欠くことから、床材の機能としては、キズが付きにくくかつ滑りにくいことが要求される。
【0062】
福祉施設や養護施設の場合についても、老齢者には身体に不自由な部分がある方が多いことから、床が滑りやすいことによって態勢を崩して転倒することを予防するための“ノンスリップ(滑り防止)対策”が必須とされる。また、これらの施設は、多くの人々による使用によって汚れが激しくなるので、その汚れを簡単に落とすことができるような“防汚対策”も必要とされる。
【0063】
つまり、このような利用状況による要望から、幼稚園・保育園・福祉施設の場合には、キズの発生を抑制するための表面強度強化とノンスリップ・防汚対策のどちらも実現できるコーティング技術が必要であることが判明している。本発明では、このような要望に対する対策として、表2のシリコンコートとアクリルコートを重ねて実施する二層構造のハイブリッド〔シリコン+アクリル(UV照射硬化型)〕タイプのコーティング処理を用いる。
【0064】
また、レストランの場合には、一般的には外履き靴で出入りすることが多いため、コンポジションビニル床タイル(Vinyl Composition Tile:Pタイル)やクッションフロアシート(CFシート)がフローリング材として使用されている。
【0065】
CFシートは、ビニール系シート床材の一種で、着色塩ビシートの中間層に発泡層がついている。耐磨耗性・耐薬品性・メンテナンス・施工性に優れ、色・柄が豊富で安価で、汚れを水で容易にふき取れることが特徴である。
【0066】
このようなレストランの床材の機能強化のためのコーティング剤の選択は、表面の強度を強化してキズや凹みの発生を抑制したい場合にはUV照射硬化型アクリルコーティング処理を選択し、耐油性や耐水性、衛生管理など汚れに対する耐久性を向上させたい場合にはシリコンによるコーティング処理を実施する。
【0067】
さらに、学校や公共施設の体育館ではバレーボールやバスケットボール、ハンドボール、バトミントンなどの競技が、フィットネスクラブではエアロビクスやジャズダンスなどのエクササイズが木製フローリング上で実施されている。
【0068】
このようなスポーツ施設においては、トレーニングを安全に行うために適度なノンスリップ対策と、定期的なメンテナンスによってキズの補修やツヤを回復して美観を保持できるような対策が望まれる。そのため、本工法では、アクリルウレタンによるコーティング処理を実施し、定期的なメンテナンスには復元剤(スクラブ&シャイン)を使用して、上塗りせずに既にコーティングされているコート剤のバフィング処理でツヤを回復して木製フローリングの耐久性を向上させている。
【発明の効果】
【0069】
本発明のリニューアル工法によれば、一定期間使用された住宅や建物のフローリング等の木質建材の一部を基材として交換せずに“再生”して、新品の木質素材と同等の外観を持つ建材として再使用することが可能となる。
【0070】
また、リニューアル工法の最終処理工程として、“再生”したフローリング材の表面に、使用目的に合わせた機能強化のためのコーティング処理を実施することによって、フローリングの耐久性を高め、より長期間再使用することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0071】
【図1】リニューアル前後の木製フローリング細部の断面拡大図の変化 図1−(a) リニューアル実施前の断面拡大図 図1−(b) リニューアル実施後の断面拡大図
【図2】リニューアル工法プロセス図
【図3】実施例1のリニューアル施工の作業写真 図3−(a)(1)養生から(8)サンディング1までのプロセスの作業写真 図3−(b)(9)サンディング2から(14)仕上げまでのプロセスの作業写真
【図4】実施例2のリニューアル施工の作業写真 図4−(a)(1)養生から(8)カビ抜きまでのプロセスの作業写真 図4−(b)(9)アク・シミ・カビ抜き後から(14)仕上げまでのプロセスの作業写真
【0072】
図1は、本特許のリニューアル工法(レストア工法)によって、木製フローリングのリニューアルを実施した前後の施工実施細部の断面拡大(イメージ)図である。図2は、本特許のリニューアル工法のプロセス図である。図3は、幼稚園のフローリングのリニューアル施工で、穴埋め処理がある場合の作業の様子を工程毎に示している。図4は、幼稚園のフローリングのリニューアル施工で、アク・シミ・カビ抜き処理がある場合の作業の様子を工程毎に示している。
【発明を実施するための形態】
【0073】
本発明は上記のような特徴・効果を持つものであるが、その実施するための形態の事例を以下に示す。
【実施例】
【実施例1】
【0074】
本発明の実施例として、まず、幼稚園のフローリングに実施したリニューアル施工例を示す。このケースでは、これまでの使用により凹凸が多く発生しているため、穴埋め処理を実施した。実際の施工作業の様子の写真を、プロセス工程の順に図3として示した。
【0075】
(1)養生:リニューアル処理する木質床材の旧ワックスを剥離するための前処理として、巾木や金具などのマスキングによる保護が必要な箇所を、マスキングテープやロールマスカー(塗装作業の養生用のロールマスカーは、粘着テープとポリエチレンシートが一体化)を使用して養生を行う。
【0076】
(2)ワックス剥離1:ジクロロメタンを含有する中性タイプの特殊なワックス剥離剤を木質床材に塗布する。床材内部に水分が浸入すると反りや浮きの原因となるため、水分の染み込みを抑える方法をとる。
(3)ワックス剥離2:剥離剤によって溶解し汚れを多く含んで黒っぽく変色した旧ワックスをスクレイパーで剥離して回収する。
(4)ワックス剥離後:ワックス剥離によって、旧ワックスと共に汚れも除去されるので、フロアー全体の色が明るくなる。
【0077】
(5)穴埋め処理1:木質床材(フロアー)表面についた大きな打痕に対して穴埋め作業を行う。まず、比較的深い穴については、植物性のカルナバ蝋を主成分としたワックスを専用の補修剤として電気ゴテを使用して穴埋めを行う。
(6)穴埋め処理2:木材の色合いを配慮した複数色のカルナバ蝋ブロックがセットとして準備されていることから、穴埋め部分が周囲の木目と違和感のないように仕上げることができる。
(7)穴埋め剤塗布:浅い打痕と補修剤で埋めきれない穴を埋めるため、ポリウレタン樹脂塗料を特殊な穴埋め剤としてフロアー全体に塗布する。乾燥のため、約1時間程度の養生時間を取る。
【0078】
(8)サンディング1:ポリッシャーを使用してサンディング(表面研磨)することで、フロアー表面を全体的にフラットにする。
(9)サンディング2:サンダーによってさらに表面を整え、最終的には手作業によって表面を調整する。
【0079】
(10)UVコート剤塗布:フローリングのウレタン塗装面を保護するためのベースコートとして、UVコート剤(アクリル)を丁寧に塗布する。乾燥(溶剤の気化)のため、塗布後約1時間の養生時間が必要となる。
(11)UV照射:UVコート剤を塗布した木質床材の表面に、専用のUV照射機(ハンディーグローIII:HDC03−60/50)によって紫外線を照射することにより、コート剤は瞬時に硬化するが、作業時間は、50mで約1時間程度を目安とする。
(12)UVコート後:UVコートの成分はアクリルで、高い光沢と硬度が特長とされている。
【0080】
(13)シリコン塗布:シリコンコート剤を丁寧に塗布する。プライマーとトップコートの2層仕上げを実施する。プライマー塗布後には約1時間、トップコート塗布後には約4〜5時間の養生時間が必要となる。
(14)仕上げ:最終仕上げとして、シリコントップコートの状況確認と部分調整を行なう。シリコンコートは、高いノンスリップ効果と防水・防汚性能が特長とされる。
【実施例2】
【0081】
本発明の第2の実施例についても、幼稚園のフローリングに実施したリニューアル施工例を示す。このケースでは、これまでの使用によりアク、シミ、カビが多く発生しているため、アク、シミ、カビ抜き処理を実施した。実際の施工作業の様子の写真を、プロセス工程の順に図4として示した。
【0082】
(1)養生:リニューアル処理する木質床材の旧ウレタン塗装を剥離するための前処理として、アルミテープを使用して補修部分の周囲をマスキングすることで、補修部分以外への影響を防止する。
【0083】
(2)ウレタン剥離剤塗布:ジクロロメタンを含有する中性タイプの専用のウレタン剥離剤を補修部分の木質床材表面に塗布する。
(3)ウレタン溶解:剥離剤の反応によってウレタンが溶解し、剥離できる状態となる。(4)ウレタン除去:ケレンを使用して手作業で溶解したウレタンを除去する。上記の作業を繰り返し行ない、丁寧にウレタンを剥離する。
(5)ウレタン除去後:ウレタン塗装を除去すると、木質床材の天板が現れる。
【0084】
(6)養生:アク・シミ・カビ抜き工程を実施するために、養生をやり直す。
(7)アク・シミ抜き:弱アルカリ性の界面活性剤溶液(SCウォッシュA−B)及び過酸化水素溶液(SCウォッシュA−A)を使用して木質床材の内部のアクを抜き、フッ化水素溶液(レブライト)を使用して木質床材の内部のシミを抜く。
(8)カビ抜き:過酸化水素水(ノーベルA)及び亜塩素酸ナトリウム(ノーベルB)を使用して木質床材の内部のカビを抜く。
(9)アク・シミ・カビ抜き後:床材内部のアク・シミやカビが抜けると、床材の本来の色調(色味)が再生される。
(10)着色:リニューアル施工の現場で、アルコール系着色剤をメタノールで希釈混合・調整した着色剤を使用して、アク・シミ・カビ抜き部分と他の部分との色合いの調和を図りながら着色する。
【0085】
(11)UV塗装:フローリング表面(木部分)を保護するための塗装膜として、UVコート剤(アクリル)を塗布する。
(12)UV照射:専用のUV照射機(ハンディーグローIII:HDC03−60/50)によってコート表面に紫外線を照射し、コート剤を硬化させる。
【0086】
(13)レストア後:ここまでの工程で、当初の劣化したフローリングを再生する作業が完了する。このままの仕上げでは性能の向上がないので、同じ劣化を繰り返すこととなる。そのため、さらに強いコートで表面を保護する必要がある。
(14)仕上げ(トップコーティング):最終的な仕上げとして、さらにフローリングの耐久性を向上させるために、他のフローリング部分と共にフローリング全体にシリコンコートを塗布して仕上げる(このシリコンコート処理によって、水分や油汚れに強く、水拭きによって手入れができる)。
【実施例3】
【0087】
本発明の実施例3として、PタイルやCFシートを使用しているレストランの場合の実施例を示す。
【0088】
(1)掃除機がけ(1回目):フローリング上に残存するゴミを掃除機で除去する。最初はフローリングの端・隅から、Pタイル毎にずらしながら抜けのないようにする。
(2)養生:ステンレス製の物や敷居などには溶剤が付かないようにマスキングテープで養生をする。
【0089】
(3)汚れの拭きとり:イソプロピルアルコール(IPA)で接着剤等の汚れを除去する。PタイルやCFシートの場合は、長時間シンナーを使用して拭き掃除をしていると基材の表面を傷めるため、本工法ではシンナーより基材に対する影響の少ないイソプロピルアルコール(IPA)を使用して確実に汚れをおとすようにする。
【0090】
(4)掃除機がけ(2回目):コーティング処理の前に再度掃除機かけを行う。1回目と同様、この時も付着物等には注意を払い、フローリング上に残存する埃などの異物を全てなくすことを心掛ける。
(5)専用プライマー塗布:専用プライマー(シリコン系)をハンディーコーターで巾木廻り(壁際)を塗り、その後モップで塗り伸ばしていく。PタイルやCFシートは、フローリングのような板目が無いものが多いので、塗り伸ばす時には、上下左右とモップを動かして塗り伸ばし、最終的には同一方向にモップを動かして仕上げる。PタイルやCFシートは、塗り忘れが分かりにくいので細心の注意を払う。
(6)乾燥:プライマー塗布後は、1.5〜2時間を乾燥時間の目途とする。
【0091】
(7)シャインコート塗布:1層目のプライマーと同じ要領で、シャインコート剤(オリジナル商品:Shine−COAT、シリコン系)を塗り伸ばしていく。乾燥を十分に行っていても、Shine−COATでプライマーを溶かす恐れがあるため、少量で塗り伸ばしていくのではなく、たっぷりとコーターに含ませて(1層目よりさらに材料の量に注意し、均一に)塗り伸ばしていく。
(8)乾燥:シャインコート塗布後は、4〜5時間を乾燥時間の目途とする。
(9)最終確認:塗り忘れやムラがないか、髪の毛等が入っていないか十分にチェックする。
【実施例4】
【0092】
本発明の実施例4として、体育館の場合の実施例を示す。体育館の木質フローリングの耐久性強化のために、スポーツ施設専用のコーティング処理(アクリルウレタン)を実施した。
【0093】
(1)掃除機がけ(1回目):フローリング上に残存するゴミを掃除機で取り除く。フローリングの端・隅から始め、フローリングの板目に沿ってかける。
(2)養生:ステンレス製の物や白木・石材等はマスキングテープで養生する。
(3)サンディング:フローリングの表面に軽くキズを入れる。フローリングの種類によって耐水ペーパー「#600」「#320」を使い分ける。この時、接着剤などの異物の付着がないかチェックを行う。
【0094】
(4)掃除機がけ(2回目):サンディングによって発生した余分な粉を吸い上げるために、掃除機かけを行う。1回目と同様、この時も付着物等には注意を払う。
(5)クリーナー拭き:ニュートラルクリーナー(64:1もしくは128:1)を使用して、ホコリ、油分の拭き掃除を行う。次の工程に移行する際には、クリーナーが乾いてから行う。
(6)シンナー拭き:シンナーで接着剤等を除去する。接着剤の取り忘れに注意する。
【0095】
(7)掃除機がけ(3回目):部屋の四隅、巾木廻りは掃除機の先をはずしてかける。掃除機をかけた部屋にはできるだけ入らないようにする。この時から、帽子やズボンの裾などは止める。
(8)スポーツコート1層目:ハンディーコーター担当者とモップ担当者の2名が協力して、施工スペースの作りを考えて奥の方から体育館専用のコート材(アクリルウレタン)を塗布していく。ハンディーコーター担当者が壁際の巾木(はばき)廻りを塗り、モップ担当者がモップで板目方向に伸ばしていく要領で行う。コーターやモップを巾木や壁に付けないよう注意する。定期的にモップでの塗り伸ばし作業を中断できる時に、気泡が出来ていないか、塗り忘れがないか仕上がりを確認する。気泡があれば、コーターでなじませる。途中で薄くなったりしないように、材料の量に十分注意する。多すぎたら、気泡ができ、少なすぎるとカスレができる。モップ担当者は、塗り忘れがないようフローリングの板目毎に塗る要領でコート材を伸ばしていく。
(9)乾燥:1〜1.5時間を乾燥時間の目途とする。窓を開けられる状態なら、20〜30分後窓を開ける。部屋の中に湿気がこもらないようする。
【0096】
(10)掃除機がけ(4回目):(7)の3回目の掃除機がけと同じ要領で行う。
(11)スポーツコート2層目:1層目と同じ要領で、コート材(アクリルウレタン)を塗り伸ばしていく。乾燥を十分に行っていても、1層目のコート材を溶かす恐れがあるため、少量で塗り伸ばしていくのではなく、たっぷりとコーターに含ませて(1層目よりさらに材料の量に注意し、均一に)塗り伸ばしていく。
(12)乾燥:1〜1.5時間を乾燥時間の目途とする。(9)と同じ手順で行う。
【0097】
(13)最終確認:塗り忘れやカスレがないか、気泡が出来ていないか、髪の毛等が入っていないか十分にチェックする。乾燥が不十分な時に手直しを行うと、1層目と2層目のコートを溶かす恐れがあるので注意する。
【産業上の利用可能性】
【0098】
本発明が提供するリニューアル工法については、新築住宅の建築や中古住宅のリフォームを実施する住宅建設会社、又は幼稚園や老人ホーム、介護施設並びにレストランや体育館などを建築又はリフォームする建築会社が実際の使用者となる。
【0099】
発明者が帰属するサービングでは、本発明のリニューアル工法は“レストア工法”として、その概要を紹介し、一般住宅の他、幼稚園や体育館などフローリングが使用されている施設の施工工事において実施している。また、リフォーム部門を持つ住宅建設メーカーの施工工事においても、提携契約によって本発明技術が必要とされる場合にはサービングが請負工事を実施しており、レストランや旅館などの改装の需要も増える傾向がある。さらに、サービングでは、中古の高級家具のリニューアルについても事業を拡大していく計画である。
【符号の説明】
【0100】
1:基材
2:天板
3:シミ、カビ
4:キズ
5:凹み、穴
6:キズ補修
7:凹み・穴補修
8:着色塗料
9:ウレタンコート(又はアクリルコート)
10:シリコンコート
11:旧ウレタンコート
12:ロールマスカー
13:電気ゴテ
14:ポリシャー
15:サンダー
16:UV照射機
17:アルミテープ
18:スクレイパー
19:マスキングテープ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般家屋や店舗などの建物のフローリング(床)及びドア等の木質建材並びにテーブル及び椅子等の木質家具材で使用された中古木質材のリニューアル(再生)処理において、これまでの使用状況による傷み具合に応じて、A:養生、B:塗装剥離、C:シミ・カビ抜き、D:キズ補修、E:凹み・穴埋め、F:着色のA〜Fの6段階のプロセス工程を最適な材料と方法によって選択的に順次経て実施することにより、中古木質材を基材として交換せずに再生処理し、さらに最終処理工程Gとして使用目的にあった表面コーティング処理をすることによって、より長期間再使用することを可能とするリニューアル工法(レストア工法)。
【請求項2】
一般家屋や店舗などの建物で使用された中古フローリング材の再生処理におけるA工程の養生方法として、アルミテープを使用して、補修部分の周囲及びフローリングの継ぎ目である実(さね)にマスキング(養生)することで、補修部分以外及びフローリング内部に対する塗装剥離剤の浸み込み等の再生処理の悪影響を防止することを特徴とするリニューアル工法。
【請求項3】
請求項1又は請求項2の工程で実現できるリニューアル工法において、ジクロロメタンを含有する中性タイプの剥離剤を使用して、フローリング表面のウレタン塗装を除去するB工程の剥離技術を特徴とするリニューアル工法。
【請求項4】
請求項1又は請求項2の工程で実現できるリニューアル工法において、弱アルカリ性界面活性剤、フッ化水素及び過酸化水素を主成分とする3種類の専用薬剤溶液を使用して、塗装の下層にある木部のアク・シミやカビを除去するC工程の脱汚技術を特徴とするリニューアル工法。
【請求項5】
請求項1又は請求項2の工程で実現できるリニューアル工法において、植物性のカルナバ蝋を主成分とした補修剤を使用してキズを補修し木目を再現するD工程の補修技術を特徴とするリニューアル工法。
【請求項6】
請求項1又は請求項2の工程で実現できるリニューアル工法において、無数にある凹みはポリウレタン樹脂塗料を穴埋め剤として処理するE工程の補修技術を特徴とするリニューアル工法。
【請求項7】
請求項1又は請求項2の工程で実現できるリニューアル工法において、調合したアルコール系着色剤をメタノールで希釈調合した着色剤で木部に着色するF工程の着色技術を特徴とする補修技術を特徴とするリニューアル工法。
【請求項8】
請求項1又は請求項2の工程で実現できるリニューアル工法の最終処理工程Gの表面コーティング処理において、使用目的に合わせてシリコン及び/又はUV照射硬化アクリル及び/又はアクリルウレタン及び/又は水性ウレタン樹脂をコーティング剤とした処理を選択して実施することにより、長期間再使用することを可能とするリニューアル工法。

【図1】
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【図2】
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【図3a】
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【図3b】
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【図4a】
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【図4b】
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【公開番号】特開2013−53500(P2013−53500A)
【公開日】平成25年3月21日(2013.3.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−202353(P2011−202353)
【出願日】平成23年8月31日(2011.8.31)
【出願人】(510295217)株式会社サービング (2)
【出願人】(511226465)
【Fターム(参考)】