説明

ブタウィルスの遺伝子を発現するアライグマポックスウィルス

本発明は、ベクターが、ヘマグルチニン(ha)および/またはチミジンキナーゼ(tk)遺伝子座で、単独またはブタサーコウィルス2型(PCV―2)のオープンリーディングフレーム、好ましくはORF2と組み合わせた、一つ以上のブタ繁殖・呼吸障害症候群ウィルス株の複数のオープンリーディングフレーム、好ましくはORF5、ORF6および/またはORF3/ORF4/ORF7によりコードされる、一つ以上の抗原タンパク質を発現する、新規の組換えアライグマポックスウィルスベクターワクチンに関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、単独、またはブタサーコウィルス(PCV)と組み合わせて、ブタ繁殖・呼吸障害症候群ウィルス(PRRSV)の遺伝子を発現する、新規の組換えアライグマポックスウィルスベクター、およびPCVおよび/またはPRRSVにより引き起こされる疾患の予防におけるワクチンとしての、その使用に関する。
【背景技術】
【0002】
ブタ繁殖・呼吸障害症候群ウィルス(PRRSV)は、プラス鎖RNAウィルスであり、Arteriviridae科、Arterivirus属に属する。PRRSVはブタに感染し、北米で1987年に最初に検出された「ブタミステリー病」を引き起こした後、1990年に欧州各地へと病気が広がった。1990年以来、PRRSVはブタの群れの生産に深刻な打撃を与え、ブタ産業に対する大きな世界的脅威となっている。
【0003】
現在ではブタ繁殖・呼吸障害症候群(PRRS)として知られる、ブタミステリー病(青耳病、ブタの生殖器・呼吸器症候群(PEARS)または呼吸器症候群(SIRS)とも呼ばれる)は、妊娠後期の異常に高い流産件数、食欲不振、死産、胎児ミイラ化、分娩後呼吸系疾患、出生直後に呼吸器病または二次感染により死ぬ弱い子ブタをもたらす、妊娠した雌ブタの生殖不全を特徴とする。子ブタにおいては、PRRSV感染は、呼吸困難と、70%以上もの子ブタの死亡率に達しうる高い死亡率をもたらしうる。より年齢が高いブタは、軽度の呼吸器病または二次感染の兆候を示しうる。ウィルスはブタ集団に急速に広がり、最初の感染後2〜3ヶ月で群の最高95%のブタが血清陽性となりうる。感染が安定化しても、若い雌ブタにより排泄されるPRRSVが、妊娠した雌ブタに影響し、生殖の問題が再び発生する可能性が高い。ブタ育成群におけるPRRSの経済的打撃は、かなりのものである。
【0004】
ブタミステリー病の原因としてオランダで最初に単離されたPRRSVは、Lelystadウィルス(LV)として同定された(G.Wesvoort等、Vet.Quarterly 3:121―130(1991))。そのすぐ後に、スペインで異なるOlot分離株が見つかった(Plana等、Vet.Microbiol.,33:203.211,1992)。その後、PRRSVの新しい分離株が、いくつかの刊行物に記載されている(例えば、特許文献1、特許文献2および特許文献3を参照)。
【0005】
さらなる刊行物は、全Lelystadウィルス(LV)ゲノム(J.J.M.Meulenberg等、「Lelystad virus,the causative agent of porcine epidemic abortion and respiratory syndrome(PEARS),is related to LDV and EAV,」Virology 192:62―72(1993));Tubingen(Germany)PRRSウィルス分離株(TV)ゲノムのセグメント(K―K.Cozelmann等、「Molecular characterization of porcine reproductive and respiratory syndrome virus,a member of the Arterivirus group,」Virology 193:329―339(1993))および他の分離株等、PRRSウィルス分離株の構造的特性を明らかにし、遺伝子のクローニングおよび配列決定を可能にした。
【0006】
アルテリウィルスビリオンは、一般に直径が50〜70nmであり、ハニカム様表層構造を伴う密着したエンベロープに囲まれた、直径35nmの異性体(大方は二十面体)のヌクレオカプシドを含む。ゲノムは、13〜15kbの大きさの、線形のプラスセンスの単一の分子、ssRNAから成る。PRRSウィルスは、50〜60nmの大きさを有し、約30〜35nmのエンベロープがヌクレオカプシド、および単一のRNA分子に含まれる。PRRSVのゲノムRNAは、約15kb(15000塩基対)である。ゲノムは、RNAレプリカーゼ(ORF1aおよびORF1b)、糖タンパク質GP2〜GP5、膜内在性タンパク質M、およびヌクレオカプシドタンパク質N(ORF2〜7)をコードする。ゲノムRNAは、フルレングスのマイナスセンス複製中間体により合成される。
【0007】
PRRSVゲノムの一本鎖RNA分子は、3’末端にポリAテールを含む。構造は、ウィルスタンパク質をコードする七つのオープンリーディングフレーム(ORF)を含む。ORF1〜ORF7は、それらの間に小さな重複セグメントを示す。ウィルスタンパク質の合成は、長さが異なるが、類似の3’ポリアデニル化末端および非コード5’末端配列から始まる5’リーダー配列の、一群のサブゲノム転写産物(mRNA)から生成される。このウィルスタンパク質発現の形は、ネステッドmRNAと考えられ、過去にコロナウィルスについて記載されている(W.J.M.Spaan等、J.Gen.Virol.69:2939―2952(1988))。Lelystad(LV)およびTubingen(TV)PRRSVウィルス分離株のヌクレオチド配列に基づいて、他のアルテリウィルスで観察されたものとの相同性により、ウィルスゲノムにおいて、ORF1(aおよびb)が、ウィルスポリメラーゼおよびレプリカーゼをコードすることが提唱されている。ORF2〜ORF6は、ウィルスエンベロープタンパク質をコードし、ORF7は、ヌクレオカプシドタンパク質をコードする。ウィルスレプリカーゼおよびポリメラーゼは、それぞれ260および163kDaの大きなサイズのタンパク質であり、いずれも、三つの潜在的グリコシル化部位を含む。3’末端に位置するエンベロープタンパク質(ORF2〜6)は小さく、30および19kDaの間である。それら全てが、二つ以上の潜在的グリコシル化部位を含み、特にORF3は7つの部位を含む。これらのタンパク質は全て、アミノ(N)およびカルボキシ(C)末端に、リーダー配列および膜アンカとして働きうる疎水性配列を含む。一般にそれらは、膜に結合されるそれらの位置と調和する、疎水性タンパク質である。ORF6は、N末端の90アミノ酸残基内に位置する3つの疎水性セグメントを有する。ウィルスヌクレオカプシドに対応する可能性があるORF7によりコードされるタンパク質は、N末端にアルギニン、リシンおよびヒスチジン残基を伴って強塩基性である。LVおよびTVウィルスポリメラーゼ、構造タンパク質およびヌクレオカプシドのアミノ酸配列は、LDVウィルスとの比較において29%および67%の間の同一性を示し、EAVウィルスとの比較において20%および36%の間の同一性を示す。
【0008】
PRRSVにより引き起こされる病気は、ブタ産業への深刻な世界的損失の原因である。このため、PRRSVにより引き起こされる感染を防止できるワクチンを開発する研究が行われている。以前のワクチン開発は、PRRSVが宿主細胞(ブタ)の一次肺胞マクロファージおよびサル腎臓細胞系統において成長するという事実を基礎とする。大部分において、特許文献4、特許文献2、特許文献3および特許文献5に説明されるPRRSVに対する過去のワクチンは、マクロファージで成長させ、その後不活性化させたウィルスから得られる従来のワクチンである。ワクチンは、ブタ繁殖・呼吸障害症候群(PRRS)を回避し、雌ブタの生殖異常を防止できるものとして開示される。
【0009】
ブタの健康にとってやはり重要なのは、離乳後多臓器性発育不良症候群(PMWS)と呼ばれる別の病気の蔓延である。PMWSは、典型的に生後約5〜18週間目の離乳期子ブタを襲うが、子ブタの健康への現在のまたは潜在的な脅威として広がっており、世界のブタ産業の経済的利益に深刻な影響を与える。PMWSの臨床徴候は、進行性の体重減少、呼吸困難、頻呼吸、貧血、下痢および黄疸からなる。離乳期子ブタに多いが、この衰弱性疾患は、ブタ、雄ブタおよび成熟豚を含むブタ科の任意の動物に影響しうる。死亡率は世界中で1%〜2%の範囲であり、一部の複雑なケースでは最高40%に上りうる。ブタサーコウィルス2型(一般にPCV―2と呼ばれる)は、PMWSの主な原因物質として同定されている(G.M.Allan等、「Novel porcine circoviruses from pigs with wasting disease syndromes,」Vet.Rec.,Vol.142,pages467―468,1998;G.M.Allan等、「Isolation of porcine circovirus―like viruses from pigs with a wasting disease in the USA and Europe,」J.Vet.Diagn.Invest.,Vol.10,pages3―10,1998)。したがって、危険にさらされた動物の集団ワクチン接種の標的としてのPMWSの原因微生物PCV2に対する有効なワクチンの開発により、ブタ科におけるPMWSの発生を防ぐことが、ブタ産業内の重要な目標である。
【0010】
特許文献6は、特許文献7に対応し、カナダ、カリフォルニアおよびフランスのPMWSに感染した豚から採取された肺または神経節試料からの、五つの単離されたPCV株と、多価免疫原性組成物における少なくとも一つのブタパルボウィルス抗原と組み合わせたそれらの使用に関する。ORF1〜ORF13からなるPCV2オープンリーディングフレーム(ORF)によりコードされるタンパク質が、特許中に広く説明されているが、免疫原性を有する特定のタンパク質の実例がない。特許は、PCV抗原をコードする核酸分子を含み、in vivoで発現する、DNAプラスミド、線形DNA分子および組換えウィルスからなるベクターを開示する。
【0011】
特許文献8は、離乳後多臓器発育不良症候群(PMWS)に侵された農場から得られた肺または神経節試料から単離された、新規のブタサーコウィルス株に関する。特にこの特許は、これらの株の精製された製剤、従来の弱毒化または不活性化ワクチン、組換え生ワクチン、プラスミドワクチンおよびサブユニットワクチン、ならびに試薬および診断法を記載する。特許は、in vitro発現ベクターにおけるサブユニットの産生に使用でき、またはウィルスまたはプラスミド型in vivo発現ベクターに組み込まれる配列として使用できる単離されたDNA分子配列を含むベクターをさらに開示する。特許は、ブタヘルペスウィルス、ブタアデノウィルスまたはポックスウィルス、特にAujesky病ウィルス、ワクシニアウィルス、トリポックスウィルスまたはブタポックスウィルスであるものとして、そのベクターを広く説明する。
【0012】
過去に、あるブタ繁殖・呼吸障害症候群ウィルス(PRRSV)遺伝子(ORF2、ORF3、ORF4、ORF5、ORF6、ORF7)が、異なるベクトル系に発現されている:バキュロウィルス、仮狂犬病(Psuedorabies)ウィルス、TGEVおよびプラスミドDNA。これらの発現系は全て、一つのウィルスコンストラクトに一つまたは二つのオープンリーディングフレームだけを発現可能であることにより制限される。
【0013】
例えば、特許文献9は、Sf9(Spodoptera frugiperda昆虫細胞)細胞培養を許容宿主として用いたバキュロウィルス発現系において産生された、PRRSV Spanish分離株(PRRS―Olot)のORF2〜ORF7に対応するブタ繁殖・呼吸障害症候群(PRRS)の原因ウィルスの組換えタンパク質に関する。この特許は、家畜のブタをPRRSから保護できるワクチンの製剤、およびブタ生体試料における抗PRRSV抗体ならびにPRRSVの検出のための診断キットの準備に適するものとして、組換えタンパク質を記載する。特に、特許は、組換えバキュロウィルスを含む組換え発現系と、PRRS―Olot分離株のORF2〜ORF7からなる群より選択される少なくとも一つの単離されたヌクレオチド配列から単離されたウィルスサブユニットタンパク質を、バキュロウィルス導入ベクターから発現する方法とに関する。特許は、少なくとも一つの組換えPRRSVタンパク質を含む組換えワクチンも記載する。
【0014】
ブタ抗原の発現およびワクチンとしての使用のための組換えアライグマポックスウィルスの話題に関して、相当量の情報が公開されている。例えば、特許文献10は、アライグマポックスウィルスゲノムのHindIII「U」ゲノム領域、HindIII「M」ゲノム領域またはHindIII「N」ゲノム領域内の非必須領域への、PRRSVのORF2〜7の一つ等の、ブタ繁殖・呼吸障害症候群ウィルス(PRRSV)、ブタインフルエンザウィルスヘマグルチニン(SIV HA)、ブタインフルエンザウィルスノイラミニダーゼ(SIV NA)、およびブタパルボウィルス(PPV)のオープンリーディングフレーム(ORF)の一つまたは二つの外来DNA配列の挿入を提供する、組換えアライグマポックスウィルス(RCNV)ベクターを開示する。アライグマポックスウィルスィルスゲノムは、ウィルスゲノムのアライグマポックスウィルス宿主域遺伝子の欠失を含むものとして、特許中に記載される。特許は、外来DNA配列をアライグマポックスウィルスゲノムに挿入することにより組換えアライグマポックスウィルスを生成するための、相同ベクターを提供する。実施例においては、この特許は、外来性DNAのHindIII「U」ゲノム領域への挿入を行う方法を示すにとどまる。DNA配列分析は、特許権者らにより開示されるHindIII「U」ゲノム領域が、組換えアライグマポックスウィルスゲノムのヘマグルチニン(ha)挿入および/またはチミジンキナーゼ(tk)領域ではないことを示す。
【0015】
特許文献11は、組換えブタアデノウィルスを用いたウィルスベクターおよびワクチンを開示する。特に、この特許は、in vivoで後者が複製され、挿入された異種ヌクレオチド配列を発現することを可能にする条件下でブタアデノウィルスに挿入された異種ヌクレオチド配列を含む、in vivo複製および組換えブタアデノウィルスを記載する。特許は、ブタアデノウィルス(PAV)セロタイプ3または5(PAV―3 PAV―5)からのアデノウィルスゲノムの使用、および、主要後期プロモータ(MLP)の下流に位置するPAV―3またはPAV―5ゲノムのE3領域の非必須ゾーンに少なくとも一つの産物をコードする異種ヌクレオチド配列の挿入を、さらに記載する。特許は、参照ヌクレオチド配列の全部または一部を含むDNAフラグメントにも関する。組換えPAVベクターが、仮性狂犬病ウィルス、ブタインフルエンザウィルス、ブタ繁殖・呼吸障害症候群ウィルス、パルボウィルスィルス、ブタコレラウィルス、ブタサーコウィルス2型、Actinobacillus pleuropneumoniaeおよびMycoplasma hyopneumoniaeからなる群より選択されるブタ病原体を発現することが示される。
【0016】
特許文献12は、ブタサーコウィルス2型からの外来DNAを含むアビポックスウィルス等の組換えポックスウィルスの使用、ならびにブタサーコウィルス2型により引き起こされる病気を治療または防止する方法を扱う。特に、同特許の組換えポックスウィルスは、ブタサーコウィルス2型のORF1〜13からなる単離されたDNA分子を含み、組換えポックスウィルスは、組換えALVACカナリアポックスウィルスである。
【0017】
特許文献13は、PCV―2抗原を含む免疫原性組成物の投与により、PCV―2に対する免疫応答を誘導することにより、ブタにおけるブタサーコウィルス2型(PCV―2)のウィルス負荷を減少させる方法に関する。同特許は、外来性PCV―2ヌクレオチド配列を含むベクターとしての抗原を記載し、PCV―2ヌクレオチド配列が、ORF4、ORF13、またはORF4およびORF13をコードし、発現する。同特許に示されるいくつかの実施形態においては、免疫原性組成物は、一つ以上の追加的ブタ病原体を含む。特許に開示される方法において使用される組成物は、少なくとも一つの追加的ブタ病原体からの少なくとも一つの免疫原、またはこのような免疫原を発現するベクターをさらに含み、追加的ブタ病原体は、PRRS、Mycoplasma hyopneumoniae、Actinobacillus pleuropneumoniae、Escherichia coli、萎縮性鼻炎、仮性狂犬病、ブタコレラ、ブタインフルエンザ、脳心筋炎ウィルス、およびPPVからなる群より選択される。同特許に開示されるベクターには、DNAベクタープラスミド、E.coli等の細菌、バキュロウィルス等のウィルス、ブタヘルペスウィルスまたはオーエスキー病ウィルス(仮性狂犬病)を含むヘルペスウィルス、ブタアデノウィルスを含むアデノウィルス、および、ワクシニアウィルス、アビポックスウィルス、カナリアポックスウィルス、アライグマポックスおよびブタポックスウィルスを含むポックスウィルスが含まれる。
【0018】
チミジンキナーゼ遺伝子またはヘマグルチニン遺伝子に挿入された二つ以上の外来性遺伝子を含む、多価組換えアライグマポックスウィルスを扱う、特許文献14の開示およびそれに継続する特許文献15。後のネコ病原体曝露に対してネコを免疫化するワクチンとしての多価組換えアライグマポックスウィルスの使用が、これら二つの関連特許に開示される。外来性遺伝子が挿入される挿入ベクターの構築と;挿入された遺伝子に隣接するのは、アライグマポックスウィルスチミジンキナーゼ遺伝子またはヘマグルチニン遺伝子に再結合できる配列であり;外来性遺伝子を含む挿入ベクターとアライグマポックスウィルスとの両方を、感受性宿主細胞へ導入するステップと;生じたプラークから組換えアライグマポックスウィルスを選択するステップを伴う、組換えプロセスにより、多価組換えアライグマポックスウィルスを作成する方法も、開示される。特許の多価組換えアライグマポックスウィルスは、ネコ細胞において感染および複製でき、ウィルス複製に必須でないアライグマポックスウィルスゲノムのヘマグルチニン遺伝子またはチミジンキナーゼ遺伝子からなる領域に挿入された二つ以上の外来性遺伝子を含み、特に外来性遺伝子は、発現のためにプロモータに作動可能に連結され;各外来性遺伝子が、ネコ病原体抗原をコードする。特許は、ネコ白血病ウィルス(FeLV Env)、ネコ免疫不全ウィルス(FIV Gag)、ネコ免疫不全ウィルス(FIV Env)、ネコ伝染性腹膜炎ウィルス(FIPV M)、ネコ科の伝染性腹膜炎ウィルス(FIPV N)、ネコカリシウィルス(FCVカプシドタンパク質)、ネコジステンパウィルス(FPV VP2)、および狂犬病―G等の、ネコ病原体抗原をコードする外来性遺伝子を記載する。
【0019】
家畜ワクチンの分野におけるあらゆる努力にもかかわらず、単数または複数のウィルスによる感染からブタを適切に保護する、安全かつ有効な一価または多価PCVおよび/またはPRRSV組換えワクチンの必要が、当分野に依然として存在する。ブタにおいてPMWSおよび/またはPRRSに対する適切な防御免疫応答を与えうる組換えワクチンの投与による、PCVおよび/またはPRRSVにより引き起こされる感染または病気の予防のための、安全かつ有効な方法も必要とされる。ブタに対する投与時の安全性および有効性に加えて、従来の不活性化PRRSVワクチンを上回る他の利益が、遊離ウィルスまたは不活性化ウィルスのその病原状態への復帰による不測の感染のリスクを除去する組換えワクチンにより達成される。安全かつ有効なアライグマポックスウィルスベクター化ブタワクチンの開発が、重篤なブタ疾患を防止し、ワクチン生産の間の従業員の安全を確保し、病原ウィルスが商業生産で用いられる不活性化および除染処理を生き残る一切の可能性を完全に排除するための使用において重要な利点をもたらすことは、明らかである。
【0020】
本明細書にあげられる全ての特許および刊行物は、参照により全体として本明細書に組み込まれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0021】
【特許文献1】欧州特許出願公開第0529584号明細書
【特許文献2】国際公開第93/06211号パンフレット
【特許文献3】国際公開第93/07898号パンフレット
【特許文献4】国際公開第92/21375号パンフレット
【特許文献5】西国特許第9301973号明細書
【特許文献6】米国特許第6,217,883号明細書
【特許文献7】仏国特許第2,781,159号明細書
【特許文献8】米国特許第6,368,601号明細書
【特許文献9】米国特許第5,888,513号明細書
【特許文献10】米国特許第6,294,176号明細書
【特許文献11】米国特許第7,109,025号明細書
【特許文献12】米国特許第6,497,883号明細書
【特許文献13】米国特許第7,211,379号明細書
【特許文献14】米国特許第6,241,989号明細書
【特許文献15】米国特許第7,087,234号明細書
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0022】
本発明は、その最も広い態様においては、ベクターが、haおよび/またはtk遺伝子座で、単独またはブタサーコウィルス2型(PCV―2)の一つ以上のオープンリーディングフレームと組み合わせて、ブタ繁殖・呼吸障害症候群ウィルス(PRRSV)分離株によりコードされる抗原タンパク質の一つ以上、好ましくは一つ以上のブタ繁殖・呼吸障害症候群ウィルス(PRRSV)分離株の複数のオープンリーディングフレームによりコードされる抗原タンパク質を発現する、安全かつ有効な組換えポックスウィルスベクターワクチンを提供する。特定の実施形態では、ベクターは、FeLV P27表現型をもつネコ白血病ウィルスの糖タンパク質をコードする核酸分子をさらに含む。FeLV P27またはPCV―2カプシド遺伝子は、異なる組み合わせにおいてクローンをスクリーニングするためのユニークなマーカとして有用である。本発明は、保護を必要とするブタに強力な新規の組換えワクチンを投与することにより、離乳後多臓器性発育不良症候群および/またはブタ繁殖・呼吸障害症候群からブタを保護する方法も提供する。
【0023】
したがって、本発明の第一の態様は、ブタ繁殖・呼吸障害症候群ウィルス(PRRSV)タンパク質をコードする一つ以上の外来性核酸分子を含む、組換えアライグマポックスウィルスベクター(rRCPV)を提供する。
【0024】
同組換えアライグマポックスウィルスベクターにおいては、
a.)少なくとも一つの核酸分子が、アライグマポックスウィルスゲノムのヘマグルチニン遺伝子座またはチミジンキナーゼ遺伝子座に挿入され;または
b.)少なくとも二つの核酸分子が、アライグマポックスウィルスゲノムのヘマグルチニン遺伝子座またはチミジンキナーゼ遺伝子座に挿入され;または
c.)少なくとも一つの核酸分子が、アライグマポックスウィルスゲノムのヘマグルチニン遺伝子座に挿入され、少なくとも一つの核酸分子が、チミジンキナーゼ遺伝子座に挿入され;または
一実施形態においては、アライグマポックスウィルスベクターは、アライグマポックスウィルスゲノムのヘマグルチニン遺伝子座に挿入される少なくとも二つの核酸分子と、チミジンキナーゼ遺伝子座に挿入される少なくとも二つの核酸分子とを含む。
【0025】
一実施形態においては、組換えアライグマポックスウィルスベクターは、アライグマポックスウィルスゲノムのチミジンキナーゼおよびヘマグルチニン遺伝子座に加えて、アライグマポックスウィルスゲノムの第三の非必須部位に挿入されるブタ繁殖・呼吸障害症候群ウィルス(PRRSV)タンパク質をコードする核酸分子をさらに含む。組換えアライグマポックスウィルスゲノムの任意の非必須部位が、本発明における使用に予定されうる。
【0026】
一実施形態においては、アライグマポックスウィルスゲノムの第三の非必須部位は、セリンプロテアーゼインヒビター部位である。
【0027】
一実施形態においては、一つ以上の外来性核酸分子の各々が、一つ以上のブタ繁殖・呼吸障害症候群ウィルスのオープンリーディングフレームをコードする。オープンリーディングフレームは、ORF1、ORF2、ORF3、ORF4、ORF5、ORF6、ORF7およびその組み合わせからなる群より選択される。
【0028】
一実施形態においては、ポックスウィルスベクターは、同じブタ繁殖・呼吸障害症候群ウィルスタンパク質の少なくとも二つの複製をコードする。同じタンパク質の二つの複製が、二つの異なる核酸分子によりコードされ、または同じ核酸分子によりコードされうる。同じタンパク質の二つの複製が、一つのプロモータに作動可能に連結され、または同じタンパク質の二つの複製が、別々のプロモータに作動可能に連結されうる。同じタンパク質の二つの複製は、ORF1、ORF2、ORF3、ORF4、ORF5、ORF6、ORF7およびその組み合わせからなる群より選択される、ブタ繁殖・呼吸障害症候群ウィルスのオープンリーディングフレームによりコードされる。
【0029】
一実施形態においては、二つ以上の核分子が、アライグマポックスウィルスゲノムのヘマグルチニン遺伝子座および/またはチミジンキナーゼ遺伝子座に挿入される。
【0030】
一実施形態においては、二つ以上の外来性核酸分子が、ORF5―ORF6、ORF5―ORF6―ORF7、ORF3―ORF5―ORF6、ORF3―ORF4―ORF7、ORF3―ORF4―ORF5―ORF7、ORF3―ORF4―ORF6―ORF7、およびORF3―ORF4―ORF5―ORF6―ORF7からなる群より選択される、ブタ繁殖・呼吸障害症候群ウィルスの少なくとも二つのオープンリーディングフレームをコードする。
【0031】
一実施形態においては、ブタ繁殖・呼吸障害症候群ウィルスは、ISU12(Iowa)、Olot/91(Spanish)または両方である。
【0032】
一実施形態においては、組換えアライグマポックスウィルスベクターは、ブタサーコウィルス2型(PCV2)のオープンリーディングフレーム(ORF)をコードする核酸分子をさらに含む。
【0033】
一実施形態においては、ブタサーコウィルス2のオープンリーディングフレームは、ORF2である。
【0034】
一実施形態においては、PCV2 ORF2が、アライグマポックスウィルスゲノムのチミジンキナーゼ遺伝子座に、別に挿入されうる。
【0035】
一実施形態においては、組換えアライグマポックスウィルスベクターは、P27表現型をもつネコ白血病ウィルスの糖タンパク質をコードするヌクレオチド配列をさらに含む。
【0036】
一実施形態においては、アライグマポックスウィルスは、生存しており、複製可能である。
【0037】
本発明の第二の態様は、免疫学的に有効な量の本明細書に記載の任意の組換えアライグマポックスウィルスベクターを一つ以上と、必要に応じて適切な担体、希釈剤またはアジュバントとを含む、組換えブタワクチンを提供する。
【0038】
一実施形態においては、組換えブタワクチンは、免疫学的に有効な量の本明細書に記載の組換えアライグマポックスウィルスベクターを二つ以上と、必要に応じて適切な担体または希釈剤とを含む。
【0039】
一実施形態においては、アライグマポックスウィルスは、生存しており、複製可能である。
【0040】
一実施形態においては、ワクチンは、アジュバントを含まない。
【0041】
一実施形態においては、ワクチンは、単回用量または反復用量として投与される。
【0042】
一実施形態においては、組換えブタワクチンは、少なくとも一つの追加的ブタ抗原をさらに含む。追加的ブタ抗原は、Mycoplasma hyopneumoniae抗原、Haemophilus parasuis抗原、Pasteurella multocida抗原、Streptococcum suis抗原、Actinobacillus pleuropneumoniae抗原、Bordetella bronchiseptica抗原、Salmonella choleraesuis抗原、Erysipelothrix rhusiopathiae抗原、レプトスピラ菌抗原、ブタインフルエンザウィルス抗原、ブタパルボウィルス抗原、Escherichia coli抗原、ブタ呼吸器コロナウィルス抗原、ロタウィルス抗原、Aujesky病、ブタ伝染性胃腸炎抗原の原因となる病原体由来の抗原およびその組み合わせからなる群より選択される。
【0043】
本発明の第三の態様は、ブタ繁殖・呼吸障害症候群ウィルスに対する免疫応答を誘導する方法を提供し、方法は、本明細書に記載の組換えアライグマポックスウィルスベクターを一つ以上含む組換えブタワクチンを、ブタ動物に投与するステップを含む。
【0044】
一実施形態においては、免疫応答は、液性応答または抗体媒介性応答である。一実施形態においては、免疫応答は、細胞媒介性またはT細胞媒介性免疫応答である。
【0045】
一実施形態においては、約4.5Log10TCID50/ml〜約7.5Log10TCID50/mlの範囲のワクチン用量を投与することにより、防御免疫応答が誘導される。
【0046】
一実施形態においては、免疫応答を誘導するために利用される組換えブタワクチンは、生きた複製可能な組換えアライグマポックスウィルスベクター(単数または複数)を一つ以上含む。
【0047】
一実施形態においては、免疫応答を誘導するために利用される組換えブタワクチンは、生きた複製可能な組換えアライグマポックスウィルスベクター(単数または複数)を二つ以上含む。
【0048】
本発明の第四の態様は、ブタ繁殖・呼吸障害症候群および離乳後多臓器性発育不良症候群を防止する方法を提供し、方法は、免疫学的に有効な量の本明細書に記載の組換えアライグマポックスウィルスベクター(単数または複数)を一つ以上と、必要に応じて適切な担体、希釈剤またはアジュバントとを含む、組換えブタワクチンを、保護を必要とするブタ動物に投与するステップを含む。
【0049】
一実施形態においては、組換えアライグマポックスウィルスベクター(単数または複数)は、生存しており、複製可能である。
【0050】
本発明の第五の態様は、哺乳類においてブタウィルスに対する防御免疫応答を誘導するため、または哺乳類のブタ繁殖・呼吸障害症候群および/または離乳後多臓器性発育不良症候群を防止するための薬物の製剤のための、本発明の任意のベクターまたはワクチンの使用を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1−1】pFD2000A―FDAHプラスミドの核酸配列である(配列番号:1)。
【図1−2】pFD2000A―FDAHプラスミドの核酸配列である(配列番号:1)。
【図1−3】pFD2000A―FDAHプラスミドの核酸配列である(配列番号:1)。
【図2−1】pFD2001 TK―FDAHプラスミドの核酸配列である(配列番号:2)。
【図2−2】pFD2001 TK―FDAHプラスミドの核酸配列である(配列番号:2)。
【図3−1】pFD2003SEL―FDAHプラスミドの核酸配列である(配列番号:3)。
【図3−2】pFD2003SEL―FDAHプラスミドの核酸配列である(配列番号:3)。
【図3−3】pFD2003SEL―FDAHプラスミドの核酸配列である(配列番号:3)。
【図4−1】pFD2003SEL―GPV―PV―FDAHプラスミドの核酸配列である(配列番号:4)。
【図4−2】pFD2003SEL―GPV―PV―FDAHプラスミドの核酸配列である(配列番号:4)。
【図4−3】pFD2003SEL―GPV―PV―FDAHプラスミドの核酸配列である(配列番号:4)。
【図5】PCV2A ORF2―FDAHの核酸配列である(配列番号:5)。
【図6】PCV2B ORF2―FDAHの核酸配列である(配列番号:6)。
【図7】PRRSV ISU12―ORF3―FDAHの核酸配列である(配列番号:7)。
【図8】PRRSV ISU12―ORF4―FDAHの核酸配列である(配列番号:8)。
【図9】PRRSV ISU12―ORF5―FDAHの核酸配列である(配列番号:9)。
【図10】PRRSV ISU12―ORF6―FDAHの核酸配列である(配列番号:10)。
【図11】PRRSV ISU12―ORF7―FDAHの核酸配列である(配列番号:11)。
【図12】PRRSV Olot91―ORF5―FDAHの核酸配列である(配列番号:12)。
【発明を実施するための形態】
【0052】
本発明の方法および治療方法論が説明される前に、本発明が、記載される特定の方法および実験条件に限定されず、かかる方法および条件が変動しうることが理解されねばならない。本明細書において用いられる用語が、特定の実施形態を説明するためのものにすぎず、制限を意図するものではなく、本発明の範囲が添付の請求の範囲においてのみ制限されることも理解されなければならない。
【0053】
本明細書および添付の請求の範囲において用いられるところの、単数形「a」、「an」および「the」には、文脈による別段の明示がない限り、複数形も含まれる。したがって、例えば、「方法」への言及には、本明細書に説明される種類の、および/または本開示を読んだ当業者に明らかとなる、一つ以上の方法および/またはステップが含まれる。
【0054】
したがって、本出願においては、従来技術の通常の分子生物学、微生物学、および組換えDNA技術が用いられうる。そのような技術は、文献に十分に説明されている。例えば、Byrd,CM and Hruby,DE,Methods in Molecular Biology,Vol.269:Vaccinia Virus and Poxvirology,Chapter 3,pages 31―40;Sambrook,Fritsch & Maniatis,Molecular Cloning:A Laboratory Manual,Second Edition(1989)Cold Spring Harbor Laboratory Press,Cold Spring Harbor,New York(herein「Sambrook et al.,1989」);DNA Cloning:A Practical Approach,Volumes I and II(D.N.Glover ed.1985);Oligonucleotide Synthesis(M.J.Gait ed.1984);Nucleic Acid Hybridization(B.D.Hames & S.J.Higgins eds.(1985));Transcription And Translation(B.D.Hames & S.J.Higgins,eds.(1984));Animal Cell Culture(R.I.Freshney,ed.(1986));Immobilized Cells And Enzymes(IRL Press,(1986));B.Perbal,A Practical Guide To Molecular Cloning(1984);F.M.Ausubel et al.(eds.),Current Protocols in Molecular Biology,John Wiley & Sons,Inc.(1994)を参照。
【0055】
本明細書に記載されるものと類似または同等の任意の方法および材料が、本発明の実施およびテストに使用されうるが、好ましい方法および材料を以下に記載する。本明細書に記載の全ての刊行物は、参照により全体として本明細書に組み込まれる。
【0056】
定義
本明細書において用いられる用語は、当業者に認識され、知られている意味を有するが、便宜と完全のために、特定の用語とその意味を以下に記載する。
【0057】
「約」という用語は、20%の範囲内、より好ましくは10%の範囲内、より好ましくは5%の範囲内を意味する。
【0058】
「アジュバント」という用語は、抗原に対する免疫応答を増強する化合物または混合物をいう。アジュバントは、抗原をゆっくりと放出する組織デポー剤として、また、免疫応答を非特異的に増強するリンパ系活性化剤としても働きうる(Hood等、Immunology,Second Ed.,1984,Benjamin/Cummings:Menlo Park,California,p.384)。状況によって、アジュバントの非存在下での抗原単独による初回曝露は、液性または細胞性免疫応答の誘発に失敗しうる。アジュバントには、完全フロインドアジュバント、不完全フロイントアジュバント、サポニン、水酸化アルミニウム等のミネラルゲル、リゾレシチン、プルロニックポリオル、ポリアニオン、ペプチド、油または炭化水素エマルション等の界面活性物質、キーホールリンペットヘモシニアン、ジニトロフェノール、およびBCG(bacille Calmette―Guerin)およびCorynebacterium parvum等の潜在的に有用なヒトアジュバントが含まれるがこれに限定されない。アジュバントは、薬理学上許容可能であるのが好ましい。
【0059】
「抗原」という用語は、動物における抗体産生またはT細胞応答を刺激しうる、化合物、組成物または免疫原性物質をさし、動物に注射または吸収される組成物を含む。用語は、個々の巨大分子、または、同種または異種の抗原性巨大分子集団をさすために用いられうる。抗原は、特異的な液性または細胞性免疫の産物と反応する。「抗原」という用語は、タンパク質、ポリペプチド、抗原タンパク質フラグメント、核酸、オリゴ糖、多糖、有機または無機化学物質または組成物等を含む部分を広く含む。さらに、抗原は、任意のウィルス、バクテリア、寄生虫、原生動物、または真菌類から導出または入手でき、全生物でありうる。「抗原」という用語には、全ての関連の抗原エピトープが含まれる。同様に、例えば核酸免疫化の場合等において、抗原を発現するオリゴヌクレオチドまたはポリヌクレオチドも、定義に含まれる。合成抗原、例えばポリエピトープ、フランキングエピトープおよび他の組換または合成的に誘導された抗原も、含まれる(Bergmann等(1993)Eur.J.Immunol.23:2777 2781;Bergmann等(1996)J.Immunol.157:3242 3249;Suhrbier,A.(1997)Immunol.and Cell Biol.75:402 408;Gardner等(1998)12th World AIDS Conference,Geneva,Switzerland,Jun.28 Jul.3,1998)。
【0060】
「によりコードされる」または「コードする」とは、ポリペプチド配列をコードする核酸配列をさし、ポリペプチド配列は、少なくとも3〜5アミノ酸、より好ましくは少なくとも8〜10アミノ酸、さらに好ましくは少なくとも15〜20アミノ酸のアミノ酸配列を含み、ポリペプチドが核酸配列によりコードされる。配列によりコードされるポリペプチドにより免疫学的に同定可能である、ポリペプチド配列も含まれる。したがって、抗原の「ポリペプチド」、「タンパク質」、または「アミノ酸」配列は、抗原のポリペプチドまたはアミノ酸配列に対して、少なくとも70%の類似性、好ましくは少なくとも80%の類似性、より好ましくは約90〜95%の類似性、最も好ましくは約99%の類似性を有しうる。
【0061】
本明細書で用いられるところの「外来性」という用語は、アライグマポックスウィルスゲノムの外部で生成、開始、誘導、または開発されるもの、すなわちポックスウィルスゲノムの外部を起源とするもの、例えば、アライグマポックスウィルスゲノムに対して外来性であると考えられる、PRRSVから入手または単離された遺伝子材料を含むことが意図される。
【0062】
本発明の文脈において用いられるところの「遺伝子」とは、遺伝的機能が伴う、核酸分子(染色体、プラスミド等)におけるヌクレオチドの配列である。遺伝子は、生物のゲノムの中の特定の物理的位置(「遺伝子座位」または「遺伝子座」)を占めるポリヌクレオチド配列(例えば哺乳類のDNA配列)を含む、例えば生物の遺伝性単位である。遺伝子は、ポリペプチドまたはポリヌクレオチド(例えばtRNA)等の発現産物をコードしうる。あるいは、遺伝子は、発現産物をコードせず、タンパク質および/または核酸の結合等の特定のイベント/機能の遺伝子位置(例えばファージ結合部位)を画定しうる。典型的に、遺伝子は、ポリペプチドコード配列等のコード配列、およびプロモータ配列、ポリアデニル化配列、転写調節配列(例えばエンハンサ配列)等の非コード配列を含む。多くの真核生物遺伝子は、「イントロン」(非コード配列)により中断される「エクソン」(コード配列)を有する。あるケースでは、遺伝子が、別の遺伝子(単数または複数)と配列を共有しうる(例えばオーバーラップ遺伝子)。
【0063】
抗原またはワクチン組成物に対する「免疫応答」は、目的の抗原またはワクチン組成物に存在する分子に対する液性および/または細胞媒介性免疫応答の、対象における発現である。本発明の目的を達成する上では、「液性免疫応答」は、抗体により媒介される免疫応答であり、本発明の抗原/ワクチンに対する親和性をもつ抗体の生成を伴うものであり、一方で「細胞性免疫応答」は、Tリンパ球および/または他の白血球により媒介されるものである。「細胞性免疫応答」は、クラスIまたはクラスII主要組織適合遺伝子複合体(MHC)分子に伴う抗原エピトープの提示により誘発される。これが、抗原特異的CD4+Tヘルパー細胞またはCD8+細胞障害性Tリンパ球細胞(「CTL」)を活性化する。CTLは、主要組織適合遺伝子複合体(MHC)によりコードされ、細胞表面に発現されるタンパク質に伴って提示されるペプチド抗原に対する特異性を有する。CTLは、細胞内微生物の細胞内破壊、またはそのような微生物に感染した細胞の細胞溶解を誘導および促進するのを助ける。細胞性免疫の別の態様は、ヘルパーT細胞による抗原特異的応答に関わる。ヘルパーT細胞は、機能を刺激し、その表面上のMHC分子に伴ってペプチド抗原を提示する細胞に対する非特異的エフェクター細胞の活性を集中するのを助ける働きをする。「細胞性免疫応答」は、活性化T細胞および/またはCD4+およびCD8+T細胞から誘導されるものを含む他の白血球により産生される、サイトカイン、ケモカインおよび他のそのような分子の産生をもいう。細胞媒介免疫応答を刺激する特定の抗原または組成物の能力は、リンパ増殖(リンパ球活性化)アッセイ、CTL細胞障害の細胞アッセイ、感作した対象における抗原に特異的なTリンパ球のアッセイ、または抗原による再刺激に応答したT細胞によるサイトカイン産生の測定等、多数のアッセイにより決定されうる。そのようなアッセイは、公知技術である。例えば、Erickson等、J.Immunol.(1993)151:4189―4199;Doe等、Eur.J.Immunol.(1994)24:2369―2376を参照。
【0064】
「免疫原性ORF」または「免疫原性orf」とは、免疫応答を誘発するオープンリーディングフレームをさす。
【0065】
本明細書で使用されるところの「免疫学的に有効な量」とは、当業者に知られる標準的なアッセイで測定されるところにより、免疫応答、細胞性(T細胞)または液性(B細胞または抗体)応答を誘発するのに十分な抗原またはワクチンの量をいう。例えば、本発明に関して、「免疫学的に有効な量」は、≧4.5〜7.5Log10TCID50/mLの最低保護用量(力価)である。免疫原としての抗原の有効性は、増殖アッセイにより、T細胞のその特異的標的細胞を溶解する能力を測定するためのクロミウム放出アッセイ等の細胞溶解アッセイにより、または血清中の抗原に特異的な循環抗体のレベルを測定することでB細胞活性のレベルを測定することにより、測定されうる。さらに、免疫化された宿主を注射された抗原に曝露することにより、免疫応答の保護のレベルが測定されうる。例えば、免疫応答が望まれる抗原がウィルスまたは腫瘍細胞である場合には、「免疫学的に有効な量」の抗原により誘導される保護のレベルが、動物のウィルスまたは腫瘍細胞曝露後の生存率または死亡率を検出することにより測定される。
【0066】
本明細書で定義されるところの、アライグマポックスウィルスゲノムにおける「非必須部位」とは、ウィルス感染または複製に必要でない、ウィルスゲノムにおける領域を意味する。アライグマポックスウィルスゲノムにおける非必須部位の例には、チミジンキナーゼ(TK)部位、ヘマグルチニン(HA)部位およびセリンプロテアーゼインヒビター部位が含まれるがこれに限定されない。アライグマポックスウィルスのTK部位は、C.Lutze―Wallace,M.SidhuおよびA.Kappeler,Virus Genes 10(1995),pp.81―84に記載される。アライグマポックスウィルスのTK遺伝子の配列は、PubMedアクセッション番号DQ066544およびU08228にも見つけられる。アライグマポックスウィルスのHA部位は、Cavallaro KFおよびEsposito,JJ,Virology(1992),190(1):434―9に記載される。アライグマポックスウィルスのHA遺伝子の配列は、PubMedアクセッション番号AF375116にも見つけられる。
【0067】
「核酸分子」または「核酸配列」という用語は、タンパク質合成の方向を指示する、すなわちタンパク質をコードおよび発現する、プリンおよびピリミジン塩基の反復単位等の反復ヌクレオチドの長い鎖をさす、その通常の意味を有する。用語が請求項において使用される場合には、核酸は、ブタ繁殖・呼吸障害症候群ウィルスタンパク質をコードする既知の外来性または外来遺伝子、好ましくはオープンリーディングフレーム遺伝子をさす。
【0068】
本明細書で使用されるところの「オープンリーディングフレーム」または「ORF」、または「orf」という用語は、介在終止コドンを伴わずに特定のウィルスタンパク質をコードするために必要とされる最小限のヌクレオチド配列をさす。
【0069】
「作動可能に連結される」は、そのように記載される成分が、それらの通常の機能を実行するように配置される、要素の配置をさす。したがって、コード配列(例えば抗原または関心をコードする配列)に作動可能に連結された所与のプロモータは、調節タンパク質および適当な酵素が存在するときに、コード配列の発現をもたらしうる。いくつかの場合には、ある調節要素は、その発現を誘導するように機能する限り、コード配列と連続する必要はない。例えば、介在する非翻訳非転写配列が、プロモータとコード配列の間に存在でき、プロモータ配列はなお、コード配列に「作動可能に連結される」とみなされうる。したがって、RNAポリメラーゼがコード配列をmRNAに転写し、これがその後トランスRNAスプライシングされ、コード配列によりコードされるタンパク質に翻訳されるとき、コード配列は、細胞において転写および翻訳制御配列に「作動可能に連結される」。
【0070】
「ブタ(porcine)」および「ブタ(swine)」という用語は、互換可能に使用され、Suidae科に属する任意の動物、例えばブタ(pig)などをさす。
【0071】
「保護」免疫応答は、哺乳類を感染から保護する働きをする、液性または細胞性免疫応答を誘発するワクチンの能力をさす。ブタ哺乳類のコントロール集団、例えばワクチンを投与されない感染動物と比較して統計学的に有意の改善があれば、提供される保護は絶対的である必要はない、すなわち感染が完全に防止または根絶される必要はない。保護は、感染の症状発現の重症度または迅速性を軽減することに限定されうる。
【0072】
単に本明細書で用いられるところの「組換え」という用語は、単に、標準的な遺伝子操作方法により作製されるアライグマポックスウィルスコンストラクトをいう。
【0073】
「複製可能」という用語は、適切な宿主細胞内で複製、複写、または再生することが可能な、微生物、例えばアライグマポックスウィルス等のウィルスをさす。
【0074】
「ワクチン」または「ワクチン組成物」という用語は、本明細書において互換可能に使用され、動物において免疫応答を誘導し、および/または感染による疾患または死亡の可能性から動物を保護する、少なくとも一つの免疫学的に活性の成分を含む医薬組成物をさし、活性成分の免疫学的活性を増強する一つ以上の追加的成分を含んでも、または含まなくてもよい。ワクチンは、医薬組成物に典型的なさらなる成分を、さらに含みうる。
【0075】
「ベクター」は、宿主生物における複製が可能なDNA分子であり、組換えDNA分子を構築するために遺伝子が挿入される。
【0076】
一般的な説明
本発明によれば、ベクターが、ブタ繁殖・呼吸障害症候群ウィルスタンパク質をコードする一つ以上の外来性核酸分子を含む、ユニークな組換えポックスウィルスベクターが提供される。一実施形態においては、ポックスウィルスベクターは、同じブタ繁殖・呼吸障害症候群ウィルスタンパク質の少なくとも二つのコピーをコードしうる。同じタンパク質の二つのコピーが、二つの異なる核酸分子によりコードされ、または、同じタンパク質の二つのコピーが、同じ核酸分子によりコードされうる。同じタンパク質の二つのコピーが、一つのプロモータ、または別々のプロモータに作動可能に連結されうる。
【0077】
タンパク質は、ヘマグルチニン(ha)および/またはチミジンキナーゼ(tk)遺伝子座のそれぞれで、ブタサーコウィルス2型(PCV―2)のORF1〜ORF13、好ましくはORF2等の一つ以上のオープンリーディングフレームを伴って、または伴わずに、一つ以上のブタ繁殖・呼吸障害症候群ウィルス(PRRSV)分離株のORF1aまたはORF1b〜ORF7、好ましくはORF5、ORF6および/またはORF3/ORF4/ORF7等のオープンリーディングフレームによりコードされうる。本明細書に説明される任意の核酸分子の挿入のための、ポックスウィルスゲノムの別の第三非必須部位は、セリンプロテアーゼインヒビター部位である。特定の一実施形態では、二つ以上の外来性核酸分子が、ORF5―ORF6、ORF5―ORF6―ORF7、ORF3―ORF5―ORF6、ORF3―ORF4―ORF7、ORF3―ORF4―ORF5―ORF7、ORF3―ORF4―ORF6―ORF7、およびORF3―ORF4―ORF5―ORF6―ORF7からなる群より選択される、ブタ繁殖・呼吸障害症候群ウィルスの二つ以上のオープンリーディングフレームをコードする。
【0078】
FeLV P27表現型(FeLV P27 ELISAで青色)をもつネコ白血病ウィルス(FeLV)の糖タンパク質を発現する遺伝子も、haおよび/またはtk遺伝子座で挿入される。これらのコンストラクトにおいては、FeLV P27またはPCV―2 ORF2(カプシド遺伝子)が、異なる組み合わせにおいてクローンをスクリーニングするためのユニークなマーカとして使用される。好ましいPRRSV分離株は、ISU12(Iowa)およびOlot/91(Spanish)株を含むが、他の分離株が、以下の実施例において本発明を示す株と容易に置換されうる。
【0079】
したがって、本発明の目的は、一つのウィルスコンストラクトにおいて、アライグマポックスウィルス(RCNV)ゲノムのヘマグルチニン(ha)および/またはチミジンキナーゼ(tk)遺伝子座で、単独またはブタサーコウィルス(PCV2)のORFと組み合わせて、U.S.およびE.U.株のブタ繁殖・呼吸障害症候群ウィルス(PRRSV)の四つ以上のオープンリーディングフレーム(ORF)を発現することで、強力なワクチンを作成することである。
【0080】
別の本発明の目的は、LacZのような従来のスクリーニングマーカではなく、限界希釈およびblue―to―whiteプラークアプローチ、または限界希釈およびウィルスELISAをスクリーニングマーカとして利用する新しいクローンスクリーニングシステムを使用することである。
【0081】
前述の目的は、rRCNVが、ヘマグルチニン(ha)および/またはチミジンキナーゼ(tk)遺伝子座のそれぞれで、PCV―2のオープンリーディングフレーム、好ましくはORF2を伴って、または伴わずに、一つ以上のPRRSV分離株の複数のオープンリーディングフレーム、好ましくはORF5、ORF6および/またはORF3/ORF4/ORF7を発現する、組換えアライグマポックスウィルスベクター(rRCNV)を含む新規なワクチンを提供することにより達成される。
【0082】
過去の発現系は、一つのウィルスコンストラクトにおいて、PRRSV遺伝子の一つまたは二つのオープンリーディングフレーム(ORF)だけを発現する能力において制限されていた。本発明は、単独またはブタサーコウィルス2型(PCV―2)のオープンリーディングフレームと組み合わせた、U.S.およびE.U.株のブタ繁殖・呼吸障害症候群ウィルス(PRRSV)の四つ以上のORFの発現を都合よく可能にする。これまで従来技術では説明されていない、本発明の優れた発現系は、一つのウィルスコンストラクトにおける、アライグマポックスウィルス(RCNV)ゲノムのhaおよび/またはtk遺伝子座および/またはセリンプロテアーゼインヒビター遺伝子座への、PRRSVからの複数のORFの挿入を可能にし、これにより、ブタをPRRSから保護する強力な組換えワクチンをつくる。
【0083】
本発明は、限界希釈およびblue―to―whiteプラークアプローチまたは限界希釈およびELISAをスクリーニングマーカとして利用するスクリーニングシステムを使用する。このスクリーニングシステムは、非常に有益に、一つのウィルスコンストラクトにおいて複数部位の発現を提供する。
【0084】
アライグマポックスウィルス(Herman株)は、Y.F.Hermanにより、Aberdeen,Marylandで1961〜1962年に、臨床症状のないアライグマの気道から最初に単離された(Y.F.Herman,“Isolation and characterization of a naturally occurring pox virus of raccoons,”In:Bacteriol.Proc.,64th Annual Meeting of the American Society for Microbiology,p.117(1964))。本発明のrRCNV―PRRSコンストラクトにおいては、PRRSV遺伝子の一つ以上の株の、例えばORF5、ORF6および/またはORF3/ORF4/ORF7等の複数のオープンリーディングフレームの、アライグマポックスウィルス(RCNV)ゲノムのhaおよび/またはtk遺伝子座への挿入は、非病原性Herman株をさらに弱毒化させる。都合のよいことに、本発明のrRCNVベクター化PRRSVワクチンは、ワクチン産生の間の従業員の安全性も改善し、商業生産の間に使用される不活性化および除染処理を病原性ウィルスが生存する一切の機会を完全に除去する。
【0085】
本発明に記載される科学的進歩および新規な方法は、通常の技術を有する当業者により、ISU12およびOlot/91以外のPRRSV株から得られる複数のオープンリーディングフレームの抗原タンパク質に使用され、アライグマポックスウィルスベクターのtkおよび/またはha遺伝子座で挿入されて、PRRSに対する保護のための免疫原性ワクチンが提供されうると考えられる。たとえば、North American株VR―2332、European株Lelystad Virus等の他の株が、ISU12および/またはOlot/91株に容易に代替されうる。RNAウィルスは突然変異しやすいため、代替的に、新しい野外分離株またはウィルス変異体の所望のORF遺伝子が単離され、本発明の組換えワクチンにおいて利用されうる。それにもかかわらず、現在までに見つけられているPRRSVの多くの変異体と多数の分離株の間に高い相同性があり、したがって、本発明のワクチンコンストラクトにおける、ORF5またはORF6等の一定のオープンリーディングフレームの使用は、PRRSに対して有意に有効であるという利点を有する。40%程度の低い相同性を有する分離株では、本発明のコンストラクトの実際的利点は、複数のウィルスソースから複数のORFの抗原タンパク質を容易に収容して、有効な、より広域スペクトルワクチンを提供できることである。このような子ブタの接種プログラムの成功によるPRRSの防止は、病気の有効な長期的治療がないだけに、ブタ産業にとって非常に重要である。
【0086】
本発明において有用なポックスウィルスベクターは、アライグマポックスウィルス、カナリアポックスウィルス、フォウルポックスウィルス、ブタポックスウィルス、ワクシニアウィルス等を含みうるがこれに限定されないが、アライグマポックスウィルスが用いられるのが好ましいことが、さらに予定される。本発明の方法の実行において、不活性化されたポックスウィルスベクターを用いうるが、生ベクターが好ましい。
【0087】
本発明は、保護を必要とするブタに強力な新規の組換えワクチンを投与することにより、離乳後多臓器性発育不良症候群(PMWS)および/またはブタ繁殖・呼吸障害症候群(PRRS)からブタを保護する、新規の方法も提供する。
【0088】
本発明の方法においては、免疫学的に有効な量の本発明のワクチンが、動物における防御免疫応答を誘導するために、PMWSおよび/またはPRRSからの保護を必要とするブタ、特に若年の子ブタに投与される。ブタに与えられる有効な免疫化量は、PCV―2および/またはPRRSVの有害効果からブタを保護するために、ワクチンに対する十分な免疫応答が達成されるものである。ワクチンが、ワクチン分野の標準値により必要とされる、少なくとも有意な数の予防接種されたブタを保護できるとき、防御免疫応答が得られたと考えられる。動物に予防接種し、良好なワクチン接種効果を誘発する免疫学的に有効な投与量または有効な免疫化量は、例えば標準的滴定研究等のルーチン試験により、容易に決定され、または直ちに滴定されうる。
【0089】
本発明の新規なワクチンコンストラクトは、生後離乳後多臓器性発育不良症候群(PMWS)および/またはブタ繁殖・呼吸障害症候群(PRRS)の防止のために、生後約3ヵ月の健常な子ブタのワクチン接種のために用いられる。ワクチンは、成熟または成体の雌ブタ(すなわち三ヵ月より高齢)にも、交配前に与えられうる。ワクチンは、単回用量で投与され、または抗体価が下落し、ブースター注射が必要とみなされる場合には、反復用量において投与されうる。ワクチンは、健常動物に単回接種において投与されて、疾患からの長期間の保護を提供し、動物を少なくとも一〜三年またはそれ以上保護するのが好ましい。適切な投与量は、標準的な用量滴定研究により決定される。ワクチンは、本明細書に記載の組換えアライグマポックスウィルスベクター化コンストラクトのいずれか一つを、免疫学的に有効な量含みうる。別の実施形態においては、ワクチンは、本明細書に記載の組換えアライグマポックスウィルスベクターコンストラクトの任意の二つ以上を、免疫学的に有効な量含みうる。
【0090】
ワクチンは、任意の投与経路、経口、鼻腔内、経皮(すなわち全身吸収のために皮膚表面上または皮膚表面に適用される)、非経口等により、容易に与えられうるが、いくつかの経路は、具体的な動物および取扱者により、ロジスティック的により困難でありうる。非経口投与経路は、皮下、筋肉内、静脈内、腹腔内、皮内(すなわち注射または他の方法により皮下に配置される)経路等を含むがこれに限定されない。ワクチンは、皮下投与されるのが好ましい。
【0091】
ポックスウィルスベクターは、生存しており、または不活性化ウィルスワクチンを調製する従来の方法により、例えばBEI(バイナリエチレンイミン)、ホルマリン等を用いて、不活性化されればよく、BEIが好ましい不活性化剤であるが、本発明のワクチンには、最適かつ強力な免疫学的効力のために、生アライグマポックスウィルスを用いるのが非常に望ましい。
【0092】
有益に、PCV―2および/またはPRRSVの複数のORFを発現する生組換えRCNVは、単独で、または適切な担体、希釈剤およびアジュバントとの組み合わせにおいて、ワクチンとして有用である。ワクチン産物は、保存剤;安定剤;乳化剤;水酸化アルミニウム;リン酸アルミニウム;水酸化ナトリウム、塩酸等のpH調整剤;Tween(登録商標)80等の界面活性剤(Sigma Chemical Co.,St.Louis,MOから市販のポリソルベート80);リポソーム;iscomアジュバント;ムラミルジペプチド等の合成糖ペプチド;デキストランまたは例えばリン酸アルミニウム、硫酸デキストラン、DEAE―Dextran等とのデキストランの組み合わせ等の増量剤;CARBOPOL(登録商標)等のカルボキシポリメチレン(B.F.GoodrichCompany,Cleveland,Ohioから市販のポリアクリルポリマー);エチレン無水マレイン酸またはエチレン/無水マレイン酸コポリマー(EMA(登録商標)、ほぼ等しい量のエチレンおよび無水マレイン酸を有する線形エチレン/無水マレイン酸コポリマー、約75,000〜100,000の推定平均分子量を有する、Monsanto Co.,St.Louis,MOから市販);NEOCRYL(登録商標)A640のような、アクリル酸およびメタアクリル酸の混合物とのスチレンのコポリマー等のアクリルコポリマーエマルション(例えば米国特許第5,047,238号、Polyvinyl Chemicals,Inc.,Wilmington,MAから市販の、スチレンと混合されたアクリル酸およびメタアクリル酸の非融合水性アクリル酸コポリマー);ミコバクテリウム細胞壁抽出物等の細菌細胞壁;Corynebacterium parvum等のコリネバクテリウム由来アジュバント;Propionibacterium acne等のプロピオニバクテリウム由来アジュバント;Mycobacterium bovis(カルメット―ゲラン菌またはBCG);オルビウィルス等のサブウィルス粒子アジュバント;コレラ毒素;N,N―ジオクタデシル―N’N’―ビス(2―ヒドロキシエチル)―プロパンジアミン(アブリジン);一リン酸化リピドA;ジメチルジオクタデシルアンモニウムブロミド(DDA、Kodak,Rochester,NYから市販);その合成物および混合物を含むがこれに限定されない様々な典型的な無毒性の薬理学上許容可能な添加物、希釈剤およびアジュバントを必要に応じて含みうる。本ワクチンで用いられうるさらなる添加物には、デキストロース、従来の酸化防止剤および従来のキレート剤、例えばエチレンジアミン四酢酸(EDTA)等が含まれるがこれに限定されない。ワクチン処方を必要に応じて補充しうる他の薬理学上許容可能なアジュバントには、ポリアニオン、ポリカチオン、ペプチド、鉱油エマルション、免疫修飾物質、様々な組み合わせ等が含まれるがこれに限定されない。適切なアジュバントのさらなる非限定的な例には、スクアランおよびスクアレン(または他の動物起源の油類);PLURONIC(登録商標)等のポリオキシエチレン―ポリオキシプロピレンブロックコポリマー(L121、例えばBASF Aktiengesellschaft,Ludwigshafen,Germanyから市販);サポニン;Quil A(Quillaja saponariaの精製形態の商品名、Iscotec AB,SwedenおよびSuperfos Biosector a/s,Vedbaek,Denmarkから入手可能);MARCOL(登録商標)等の鉱油(液体飽和炭化水素の精製混合物、Exxon―Mobil,Fairfax,VA.から市販);落花生油等の植物油;インターロイキン2およびインターロイキン12等のインターロイキン;ガンマインターフェロン等のインターフェロン;動物ポックスウィルスタンパク質またはその混合物が含まれる。適切な安定剤の例には、スクロース、ゼラチン、ペプトン、NZ―アミーネまたはNZ―アミーネAS等の消化タンパク質抽出物が含まれるがこれに限定されない。乳化剤の例には、注射可能薬物または鼻腔内ワクチンに有用な、鉱油、植物油、落花生油および他の標準的な代謝性の無毒性油が含まれるがこれに限定されない。水酸化アルミニウムが、サポニンまたはQuil A等の他のアジュバントと混合されて、サポニン―水酸化アルミニウムまたはQuil A―水酸化アルミニウム等の組み合わせが形成されるのが好ましい。
【0093】
好ましいアジュバントは、エチレン/無水マレイン酸コポリマー、アクリル酸およびメタアクリル酸の混合物とのスチレンのコポリマー、鉱油エマルションまたはその組み合わせを含む。本発明のrRCNV―PRRSコンストラクトの能力を大幅に増強する特に好ましいアジュバントシステムには、EMA―31(登録商標)(ほぼ等しい量のエチレンおよび無水マレイン酸を有する線形エチレン/無水マレイン酸コポリマー、約75,000〜100,000の推定平均分子量を有する、Monsanto Co.,St.Louis,MOより市販)等のエチレン/マレイン酸コポリマーの組み合わせ、およびNEOCRYL(登録商標)(スチレンと混合されたアクリル酸およびメタアクリル酸の非融合水性アクリル酸コポリマー(アクリルスチレンエマルション)、Polyvinyl Chemicals,Inc.,Wilmington,MAから市販)等のアクリル酸コポリマーエマルションが含まれる。
【0094】
本発明の組換えワクチン組成物は、例えばMycoplasma hyopneumoniae、Haemophilus parasuis、Pasteurella multocida、Streptococcum suis、Actinobacillus pleuropneumoniae、Bordetella bronchiseptica、Salmonella choleraesuis、Erysipelothrix rhusiopathiae、レプトスピラ菌、ブタインフルエンザウィルス(SIV)、ブタパルボウィルス、Escherichia coli、ブタ呼吸器型コロナウィルス、ロタウィルス、Aujezky病、ブタ伝染性胃腸炎等の原因となる病原体の、一つ以上の追加的なブタ抗原との混合物も必要に応じて含みうる。
【0095】
任意の周知の方法を用いて、本発明の遺伝的コンストラクトを調製しうる。例えば、特定の制限部位を利用して、任意の所望の核酸配列を、標準的な方法を用いてアライグマポックスウィルスベクターへ挿入しうる。あるいは、大きな配列の挿入が望ましいとき、または本明細書に記載のように複数の遺伝子を挿入することが望まれるときには、相同的組み換え技術を利用しうる。この方法では、複数の遺伝子が挿入される挿入部位に隣接するプラスミド配列が、遺伝子組換えを媒介するために、アライグマポックスウィルスゲノムに存在する配列と十分な相同性を有する配列を含む。隣接配列は、ヘマグルチニン遺伝子座またはチミジンキナーゼ遺伝子座、またはセリンプロテアーゼインヒビター遺伝子座等、アライグマポックスウィルスの成長および増殖に必須でないアライグマポックスウィルスの領域に相同でなければならない。一つのプロモータを用いて、再結合される二つの外来性遺伝子の発現を誘導しうるが、各プロモータが個別の遺伝子に作動可能に連結された、挿入ベクターにおける二つのプロモータの使用も、効率的な発現を提供する。
【0096】
一般に、ウィルスrRCNV―PRRSは、blue―to―whiteプラークアプローチにより、例えば五つの主要なステップにしたがって構築されうる:(1)PRRSV ISU12(Iowa)およびOlot/91(Spanish分離株)株のORF5、ORF6、ORF7またはORF3を、プラスミドpFD2000Aおよび/またはpFD2003SELへクローニング;(2)プラスミドpFD2000A PRRS ORF7(P11)―ORF5(Olot)(PSEL)―ORF6(PSEL)―ORF5(PSEL)またはプラスミドpFD2000A PRRS ORF3(P11)―ORF5(Olot)(PSEL)―ORF6(PSEL)―ORF5(PSEL)を構築;(3)スリーウェイの感染/トランスフェクションによりクローンプールを作製:COS7細胞、ステップ2のプラスミドおよびrRCNV―FeLV;(4)限界希釈およびblue―to―whiteプラークアプローチによるクローンスクリーニング;および(5)PCR、ELISAおよびウェスタンブロットにより、rRCNV―PRRSbtwの分子キャラクタリゼーションを決定。あるいは、white―to―blueプラークアプローチを用い、以下の五つの主要なステップが実行されうる:(1)PRRSV ISUI2およびOlot/91株のORF5およびORF6、FeLV P27を、プラスミドpFD2000Aおよび/またはpFD2003SELへクローニング;(2)プラスミドpFD2000A FeLV P27(P11)―PRRS ORF5(Olot)(PSEL)―ORF6(PSEL)―ORF5(PSEL)またはpFD2000A PRRS ORF5(Olot)(PSEL)―ORF6(PSEL)―ORF5//LacZ(P7.5)を構築;(3)スリーウェイの感染/トランスフェクションによりクローンプールを作製:COS7細胞、ステップ2のプラスミドおよびRCNV;(4)限界希釈およびFeLV P27 ELISAまたはLacZによるクローンスクリーニング;および(5)PCR、ELISAおよびウェスタンブロットにより、rRCNV―PRRSwtbの分子キャラクタリゼーションを決定。
【0097】
本発明のrRCNV―PRRS―PCVは、以下の五つの主要なステップにより構築されうる:(1)PRRSV ISU12およびOlot/91株のORF5、ORF6、ORF3およびPCV2 ORF2(カプシド遺伝子)を、プラスミドpFD2000Aおよび/またはpFD2003SELへクローニング;(2)プラスミドpFD2000A PRRS ORF3(P11)―ORF5(Olot)(PSEL)―ORF6(PSEL)―ORF5(PSEL)―PCV2 ORF2(P11またはPSEL)を構築;(3)スリーウェイの感染/トランスフェクションによりクローンプールを作製:COS7細胞、ステップ2のプラスミドおよびRCNV;(4)限界希釈およびPCV2 ELISA(スクリーニングマーカとして)によるクローンスクリーニング;および(5)PCR、ELISAおよびウェスタンブロットにより、rRCNV―PRRSpcvの分子キャラクタリゼーションを決定。あるいは、white―to―blueプラークアプローチを用い、以下の四つの主要なステップが実行されうる:(1)PCV2 ORF2をプラスミドpFD2001TKへまたはpFD2006TKへクローニングして、プラスミドpFD2001TK PCV ORF2を生成;(2)スリーウェイの感染/トランスフェクションにより、クローンプールを作製:COS7細胞、ステップ1のプラスミドおよびrRCNV―PRRS ORF3(P11)―ORF5(Olot)(PSEL)―ORF6(PSEL)―ORF5(PSEL);(3)限界希釈およびPCV2 ELISAまたはLacZによるクローンスクリーニング;および(5)PCR、ELISAおよびウェスタンブロットにより、rRCNV―PRRS//PCVの分子キャラクタリゼーションを決定。
【実施例】
【0098】
以下の実施例は、本発明のある態様を示す。しかし、これらの実施例は例示を目的とするにとどまり、本発明の条件および範囲について完全に限定するものではないと理解されなければならない。当然のことながら、典型的な反応条件(例えば温度、反応時間等)が与えられている場合には、一般にあまり好都合ではないものの、指定の範囲を上回る条件および下回る条件の両方が使用されてもよい。実施例は、室温(約23℃〜約28℃)で、大気圧で行われる。本明細書に引用される全ての部分およびパーセントは重量に基づき、全ての温度は、別段の明示がない限り摂氏で表される。
【0099】
(実施例1)
rRCNV―PRRSの構築(BLUE―TO―WHITEプラークアプローチ)
rRCNV―PRRSbtwが、以下の五つの主要なステップにより構築された:(1)PRRSV ISU12(Iowa)およびOlot/91(Spanish分離株)株のORF5、ORF6、ORF7またはORF3を、プラスミドpFD2000Aおよび/またはpFD2003SELにクローニング;(2)プラスミドpFD2000A PRRS ORF7またはORF3(P11)―ORF5(Olot)(PSEL)―ORF6(PSEL)―ORF5(PSEL)を構築;(3)スリーウェイの感染/トランスフェクションによりクローンプールを作製:COS7細胞、ステップ2のプラスミドおよびrRCNV―FeLV;(4)限界希釈およびblue―to―whiteプラークアプローチによるクローンスクリーニング;および(5)PCR、ELISAおよびウェスタンブロットにより、rRCNV―PRRSbtwの分子キャラクタリゼーションを決定。
【0100】
blue―to―whiteプラークスクリーニングアプローチは、FeLV P27表現型(FeLV P27 ELISAで青色)をもつ親ウィルスrRCNV―FeLVを使用する。rRCNV―FeLVおよびpFD200A PRRS ORF7―ORF5(Olot)―ORF6―ORF5の間のRCNV HA隣接配列の相同的組み換えにより、PRRSV ORFがha遺伝子座で挿入されて親株におけるFeLV gag―env gp85の配列(rRCNV―FeLV青色プラーク)に置き換えられるために、組換えrRCNV―PRRSの表現型が、青色から白色プラークに変化する。
【0101】
(実施例2)
rRCNV―PRRSの構築(WHITE―TO―BLUEプラークアプローチ)
rRCNV―PRRSwtbが、以下の五つの主要なステップにより構築された:(1)PRRSV ISUI2およびOlot/91株のORF5およびORF6、FeLV P27を、プラスミドpFD2000Aおよび/またはpFD2003SELにクローニング;(2)プラスミドpFD2000A FeLV P27(P11)―PRRS ORF5(Olot)(PSEL)―ORF6(PSEL)―ORF5(PSEL)を構築;(3)スリーウェイの感染/トランスフェクションによりクローンプールを作製:COS7細胞、ステップ2のプラスミドおよびRCNV;(4)限界希釈およびFeLV P27 ELISAまたはLacZによるクローンスクリーニング;および(5)PCR、ELISAおよびウェスタンブロットにより、rRCNV―PRRSwtbの分子キャラクタリゼーションを決定。
【0102】
white―to―blueプラークスクリーニングアプローチは、FeLV P27またはLacZ表現型(FeLV P27 ELISAにおいて青色またはLacZ表現型)をもつ組換えウィルスrRCNV―PRRSwtbを使用し、野生型RCNVは、FeLV P27 ELISAまたはLacZ染色において白色を示す。
【0103】
(実施例3)
rRCNV―PRRS―PCVの構築
rRCNV―PRRSpcvは、以下の五つの主要なステップにより構築される:(1)PRRSV ISU12およびOlot/91株のORF5、ORF6、ORF3およびPCV2 ORF2(カプシド遺伝子)を、プラスミドpFD2000Aおよび/またはpFD2003SELへクローニング;(2)プラスミドpFD2000A PRRS ORF3(P11)―ORF5(Olot)(PSEL)―ORF6(PSEL)―ORF5(PSEL)―PCV2 ORF2(P11またはPSEL)を構築;(3)スリーウェイの感染/トランスフェクションによりクローンプールを作製:COS7細胞、ステップ2のプラスミドおよびRCNV;(4)限界希釈およびPCV2 ELISA(スクリーニングマーカとして)によるクローンスクリーニング;および(5)PCR、ELISAおよびウェスタンブロットにより、rRCNV―PRRSpcvの分子キャラクタリゼーションを決定。
【0104】
PCV2アプローチは、PCV―2カプシドELISAを、クローンのスクリーニングのため、および一つのウィルスコンストラクトにおいてrRCNV―PRRS/PCVの新規の組合せワクチンを作製するための、ユニークなマーカとして使用する。
【0105】
あるいは、rRCNV―PRRSpcvは、以下の四つの主要なステップにより構築される:(1)PCV2 ORF2(カプシド遺伝子)をプラスミドpFD2001TKまたはpFD2006TKへクローニングして、プラスミドpFD2001TK PCV2 ORF2(P11またはPSEL)を生成;(2)スリーウェイの感染/トランスフェクションにより、クローンプールを作製:COS7細胞、ステップ1のプラスミドおよびrRCNV―PRRS;(3)限界希釈およびPCV2 ELISA(スクリーニングマーカとして)によるクローンスクリーニング;および(5)PCR、ELISAおよびウェスタンブロットにより、rRCNV―PRRS//PCVの分子キャラクタリゼーションを決定。
【0106】
(実施例4)
ブタにおけるrRCNV―PRRSワクチン候補の効力研究
上述のコンストラクト(rRCNV―PRRSbtw、rRCNV―PRRSwtbおよびrRCNV―PRRSpcv)が、免疫増強アジュバントを伴って、または伴わずに調製され、ブタにおけるワクチン効力が評価される。曝露研究の成功結果が、ブタにおける組換えPRRS、PCVまたは組み合わせワクチンの効力を示す。
【0107】
(実施例5)
rRCNV―PRRSVの構築
簡潔にいうと、ブタ生殖器呼吸器症候群ウィルス(PRRSV)ISU12(US株)のエンベロープ糖タンパク質(orf5)遺伝子および基質タンパク質(orf6)遺伝子、およびPRRSV Olot91(EU株)のエンベロープ糖タンパク質(orf5)遺伝子の、RCNVゲノム、非病原性Herman株の血球凝集(ha)遺伝子座への挿入により、ウィルスrRCNV―PRRSVが構築された。
【0108】
rRCNV―PRRSVの構築プロセスは、二つの主なステップにより提供された。第一に、PRRSV ISU12株のPCR増幅された603bp orf5および525bp orf6と、PRRSV Olot91株の606bp orf5が、プラスミドpFD2003SELベクター(プロモータP11の制御下のlacZリポーター遺伝子を含む)にサブクローニングされて、プラスミドpFD2003SEL―PRRSV Olot91 orf5―(SEL)―ISU12 orf6(SEL)―ISU12 orf5(SEL)が生成された。PRRSV ISU12 orf5およびorf6と、PRRSV Olo91 orf5遺伝子の両方が、プロモータPSELの制御下で同時発現される。第二に、COS―7細胞におけるrRCNV―FCV(2280―DD1)およびプラスミドpFD2003SEL―PRRSV Olot91 orf5―(SEL)―ISU12 orf6(SEL)―ISU12 orf5(SEL)のスリーウェイの共感染/トランスフェクションが行われて、ha遺伝子座での対立遺伝子交換によりrRCNV―PRRSVが生成された。青色プラーク(Lac)が、ベロ細胞におけるプラーク精製の五つの連続ラウンドによりクローニングされた。クローン候補は、0.05%ラクトアルブミン水解物(LAH)、30μg/mL硫酸ゲンタマイシンおよび5%ウシ胎児血清を補充したMinimum Essential Medium(MEM)を使用して、ベロ細胞においてさらに二回拡張され、その後、遺伝子特異的PCRにより確認された。七代継代を用いて、プレマスターシードが調製された。マスターシードが、プレマスターシードの1:20,000希釈により確立され、rRCNV―PRRSVと指定され、これにおいて、生ベクターとしてのアライグマポックスウィルスが、ha遺伝子座でそれぞれPRRSV ISU12およびOlot91株のPRRSVエンベロープ糖タンパク質(orf5)および基質タンパク質(M)を発現できる。PRRSVワクチンのマスターシードウィルス、生アライグマポックスウィルスベクター(rRCNV―PRRSV)は、PRRSV orf5またはorf6遺伝子(単数または複数)―特異的PCR法により同定された。ブタ生殖器呼吸器症候群ウィルスワクチン、単独またはSuvaxyn PCV2 One DoseおよびまたはSuvaxyn MH―oneと組み合わせた生/不活性化アライグマポックスウィルスベクター、または生キメラcPCV1―2およびまたは改変生Mycoplasma hyopenumoniae(例えばJ株)の免疫原性研究が、子ブタおよび成熟雌ブタにおいて行われている。
【0109】
(実施例6)
子ブタにおける、単独またはSuvaxyn PCV2 One Doseと組み合わせたブタ繁殖・呼吸障害症候群ウィルスワクチン、生アライグマポックスウィルスベクターの免疫原性研究
PRRSV画分の効力を示すために、ブタに、rRCNV―PRRSVワクチン(凍結乾燥ケーキ)およびアジュバントを含む滅菌水またはSuvaxyn PCV2 One Doseを希釈剤としたものが、2〜3週間隔の二用量レジメンにおいて投与された後、第二ワクチン接種の2〜3週後に毒性PRRSV曝露またはPRRSV/PCV2同時曝露が行われる。rRCNV―PRRSV画分の効力が、PRRSVウィルス血症の減少およびPRRSVにより引き起こされる肺損傷の減少に基づいて評価される。Suvaxyn(登録商標)PCV2 Oneは、FDAHの専売アジュバントで調製された不活性化Porcine Circovirus Type1―Type2 Chimera(cPCV1―2)を含む。
【0110】
材料および方法
試験動物
少なくとも40匹の(予防接種20匹およびコントロール20匹)、生後3週目以上の通常の混血雄および雌ブタが、この研究に使用される。研究用のブタは、商業農場から購入され、耳札を使用して識別される。ブタは、単一のソース群から得られる。第一ワクチン接種時に、ブタは、IDEXX HerdCheck ELISAキット(S/P比<0.4)による決定により、PRRSVに対して血清陰性である。
【0111】
テストワクチン
テストワクチンの組成
凍結乾燥画分:ワクチンは、生rRCNV―PRRSVからなる。ワクチンのウィルス力価は、研究において投与される用量を確立するために、五つの反復アッセイにおいて滴定される。液体画分:希釈剤は、Suvaxyn PCV2 One Doseまたは20%SL―CDアジュバントである。rRCNV―PRRSVの凍結乾燥画分が、ワクチン接種時に液体画分により再水和される。
【0112】
研究デザイン
提唱される研究は、ランダム化完全ブロックデザイン(優越性試験)である。同腹子が、各研究組に配分される。そして、各研究における同腹子中の子ブタが、以下のように二つの群に分割される:
【0113】
【表1】

ワクチン接種
ワクチン接種経路は、頸部右側の筋注である。
【0114】
研究1のブタ:群V1は、2.0mL用量のrRCNV―PRRSV+Suvaxyn PCV2 One Doseが二度与えられ;コントロール群C1のブタは、2.0mL用量のSuvaxyn PCV2 One Doseが二度与えられる。
【0115】
研究2のブタ:群V2は、2.0mL用量のrRCNV―PRRSV+水/SL―CDが二度与えられ;コントロール群C2のブタは、2.0mL用量の水―SL―CDアジュバントが二度与えられる。
【0116】
一回目のワクチン接種が、生後3週間目で行われ、反復ワクチン接種が2〜3週後に行われる。
【0117】
曝露
全ての動物が、二回目のワクチン接種の二〜三週後に毒性曝露される。
【0118】
群V1およびC1のブタは、少なくとも2×104.8FAID50の野生型病原性PCV2(株40895)、および少なくとも2×104.0TCID50のPRRSV(ISU―12または等価物)に曝露される。これら二つの曝露材料は、曝露の前に少なくとも30分間混合される。曝露用量は、鼻腔内4mLである(鼻孔あたり2mL)。
【0119】
群V2およびC2のブタは、少なくとも2×104.0TCID50のPRRSV(ISU―12または等価物)に曝露される。曝露用量は、鼻腔内2mLである(鼻孔あたり1mL)。添付2の曝露記録を参照。
【0120】
曝露ウィルスは、曝露の日に、PCV2特異的およびPRRSV特異的間接免疫蛍光アッセイ(IFA)により滴定される。
【0121】
観察
全てのブタは、曝露後(DPC)−2から10日まで毎日臨床徴候および温度が観察される。任意の異常観察は、研究ディレクターまたはプラント獣医師に報告される。
【0122】
モニタされる臨床徴候には、食欲不振、嗜眠、抑うつ、下痢、くしゃみ、咳、鼻汁、眼漏、呼吸困難および死亡が含まれるがこれに限定されない。任意のブタが曝露後観察期間中に死亡した場合には、剖検が行われ、最終的報告に剖検報告が付される。
【0123】
試料収集およびテスト
試料収集
鼻スワブ
鼻スワブが、ワクチン接種一の後(DPV1)0日目に集められ、PRRSVおよびPCV2が単離されて、ワクチン接種前にテスト動物にPRRSVまたはPCV2感染がないことが確認される。
【0124】
鼻腔スワブ試料は、3mLのMEMとラクトアルブミン水解物(LAH)およびゲンタマイシン(60μg/mL)、ペニシリン(100U/mL)およびストレプトマイシン(100μg/mL)を含む個別の滅菌チューブに配置され、テストされるまで−50℃より低温で貯蔵される。
【0125】
血清試料
ブタは、ELISAテストでは、0DPV1、0DPV2、7DPV2、14DPV2、−1、6、および9日目に;PCR法では−1、3、6、および9日目に、血清試料(10mL以下)のために採血される。
【0126】
剖検
全ての動物が、DPC10〜11日目で剖検される。肺損傷採点のために肺が集められる。
【0127】
試料テスト
酵素結合抗体免疫吸着アッセイ(ELISA)
PRRSVに対する血清抗体が、IDEXX(登録商標)HerdCheck ELISAキット(Westbrook,ME)により検出される。簡潔にいうと、血清試料が、Sample Diluent中に1:40に希釈され、各試料100μLが、抗原コートされた96穴プレートにデュプリケートで加えられる(一つのウェルはPRRSV抗原用、一つのウェルは正常宿主細胞(NHC)抗原用)。室温での30分のインキュベーション時間後、液体がデカントされ、約300μLのリン酸緩衝洗浄溶液で、プレートが3〜5回洗浄される。そして、100μLの抗―ブタ―HRPO結合体が全てのウェルに加えられる。プレートが、室温で30分間インキュベートされる。インキュベーション時間後、プレートは、再び上記のように洗浄される。そして、100μLのTMB基質溶液が、各ウェルに加えられる。プレートが15分間室温でインキュベートされた後、100μLのストップ溶液が全てのウェルに加えられて反応が止められる。そして、光学濃度(OD)が、マイクロプレートリーダーにより650nmで測定される。任意の血清力価が、試料/陽性(S/P)比として報告され、試料OD―PRRSVマイナス試料OD―NHCの量を平均陽性コントロール―PRRSVマイナス平均陽性コントロール―NHCの量で割ることにより、決定される。
【0128】
PCR法
PRRSV特異的RT―PCRテストを用いて、血清中のPRRSVの存在が検出される。RNA―抽出が、QlAamp(登録商標)Viral RNA Mini Kit(Valencia,CA)を用いて、血清試料に実行される。
【0129】
肺損傷採点
個々のブタの肺が、損傷により影響される肺実質の量に基づく肉眼による総損傷につき、二人の独立したスコアラにより検査される。損傷のスコアラは、各ブタへの治療の内容に対して遮蔽される。簡潔にいうと、PRRSVのような損傷(色および構造に基づいて)が見られる肺葉の割合を推定することにより、各肺葉における肺損傷のスコアが決定され、その肺葉に可能なポイント数と掛け合わせられる。各肺葉の最大スコアが、肺葉が占める全肺容量の相対的割合により決定される。そして、全ての肺葉の背面および腹側面からのスコアが足し合わされて、各ブタの合計スコアが得られる。各動物の可能な最大合計スコアは、100である。
【0130】
一時的結果
肺損傷の減少を主張するために、肺に存在する損傷の合計スコアが評価される。
【0131】
二時的結果
二次的結果は、PRRSVウィルス血症の発生である。
【0132】
統計的分析
推定量
肺損傷の重症度減少の評価では、推定量は、緩和画分(MF)統計量である。緩和画分は、以下のように計算される:
【0133】
【化1】

式中、
=ウィルコクソン順位和統計量
=コントロール群における対象数
=各ワクチン接種群における対象数
である。
注:各研究組につきMF統計量が推定される。
【0134】
区間推定を計算する方法の説明
各研究組の緩和画分の95%信頼区間が、計算される。
【0135】
仮説
肺損傷の重症度減少の主張のため:
:M=M
:M≠M
=ワクチン接種群における肺損傷スコアランクの中央値
=コントロール群における肺損傷スコアランクの中央値
これらの研究は、各研究組において、ワクチン接種群とプラセボコントロール群との間で肺損傷の重症度(ランク)に差がないという帰無仮説をテストする。
【0136】
他の統計的考慮事項
ブタ同腹子の分布は、同腹子間で無作為に割付けされる。
【0137】
統計的分析
統計的方法
一次的結果
動物中のスコアのテスト再現性が、クラス内相関により評価される。テスト再現性が十分であると考えられる場合には、各ブタの平均肺スコアが、各スコアラからの肺スコアを平均することにより計算される。計算された肺スコアは、Wilcoxon Rank Sumにより、計算された肺スコアを独立変数とし、含まれる治療を従属変数として、研究組ごとに二つの投与群の間で比較される。十分完全なブロックがある場合には、分析が同腹子ごとに階層化される。HLシフトが推定される。MFが、Wilcoxon統計から推定される。
【0138】
二次的結果
二次的結果は、ウィルス血症の発生につき評価される。単一のウィルス血症の発生により、ブタがウィルス血症陽性に分類される(YesまたはNo)。ウィルス血症は、一般化線型混合モデルにおいて、ウィルス血症の発生(YesまたはNo)を二項独立変数とし、含まれる治療を従属変数として、投与群間で比較される。十分完全なブロックがある場合には、同腹子はモデルにおいてランダム効果共変量として含まれる。
【0139】
全ての統計的分析は、SASシステム(SAS Institute,Inc.)を用いて実行される。有意水準は、p<0.05に設定される。
【0140】
以上において、本発明の特定の実施形態の詳細な記載が、制限ではなく例示の目的で提供された。本開示に基づいて当業者に明らかな他の全ての変形、派生物および等価物が、請求される本発明の範囲内に含まれるものと理解されねばならない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ブタ繁殖・呼吸障害症候群ウィルス(PRRSV)タンパク質をコードする一つ以上の外来性核酸分子を含む、組換えアライグマポックスウィルスベクター(rRCPV)であって、
(a)少なくとも一つの核酸分子が、前記アライグマポックスウィルスゲノムのヘマグルチニン遺伝子座またはチミジンキナーゼ遺伝子座に挿入され;または、
(b)少なくとも二つの核酸分子が、前記アライグマポックスウィルスゲノムのヘマグルチニン遺伝子座またはチミジンキナーゼ遺伝子座に挿入され;または、
(c)少なくとも一つの核酸分子が、前記アライグマポックスウィルスゲノムのヘマグルチニン遺伝子座に挿入され、少なくとも一つの核酸分子が、前記アライグマポックスウィルスゲノムのチミジンキナーゼ遺伝子座に挿入される、
組換えアライグマポックスウィルスベクター。
【請求項2】
少なくとも二つの核酸分子が、前記アライグマポックスウィルスゲノムのヘマグルチニン遺伝子座に挿入され、少なくとも二つの核酸分子が、前記アライグマポックスウィルスゲノムのチミジンキナーゼ遺伝子座に挿入される、請求項1に記載の組換えアライグマポックスウィルスベクター。
【請求項3】
前記アライグマポックスウィルスゲノムのチミジンキナーゼおよびヘマグルチニン遺伝子座に加えて、前記アライグマポックスウィルスゲノムの第三の非必須部位に挿入されるブタ繁殖・呼吸障害症候群ウィルス(PRRSV)タンパク質をコードする核酸分子をさらに含む、請求項1または2に記載の組換えアライグマポックスウィルスベクター。
【請求項4】
前記アライグマポックスウィルスゲノムの第三の非必須部位が、セリンプロテアーゼインヒビター部位である、請求項3に記載の組換えアライグマポックスウィルスベクター。
【請求項5】
前記ポックスウィルスベクターが、同じブタ繁殖・呼吸障害症候群ウィルスタンパク質の少なくとも二つのコピーをコードする、請求項1〜4のいずれかに記載の組換えアライグマポックスウィルスベクター。
【請求項6】
前記同じタンパク質の前記二つのコピーが、二つの異なる核酸分子によりコードされる、請求項5に記載の組換えアライグマポックスウィルスベクター。
【請求項7】
前記同じタンパク質の前記二つのコピーが、同じ核酸分子によりコードされる、請求項5に記載の組換えアライグマポックスウィルスベクター。
【請求項8】
前記同じタンパク質の前記二つのコピーが、一つのプロモータに作動可能に連結される、請求項7に記載の組換えアライグマポックスウィルスベクター。
【請求項9】
前記同じタンパク質の前記二つのコピーが、別々のプロモータに作動可能に連結される、請求項6または7のいずれかに記載の組換えアライグマポックスウィルスベクター。
【請求項10】
前記同じタンパク質の前記二つのコピーが、ORF1、ORF2、ORF3、ORF4、ORF5、ORF6、ORF7およびその組み合わせからなる群より選択される、ブタ繁殖・呼吸障害症候群ウィルス(PRRSV)オープンリーディングフレーム(ORF)によりコードされる、請求項6、7、8または9のいずれかに記載の組換えアライグマポックスウィルスベクター。
【請求項11】
前記外来性核酸分子の各々が、PRRSV ORFをコードする、請求項1または2のいずれか一つに記載の組換えアライグマポックスウィルスベクター。
【請求項12】
前記ORFは、ORF1、ORF2、ORF3、ORF4、ORF5、ORF6、ORF7およびその組み合わせからなる群より選択される一つ以上である、請求項11に記載の組換えアライグマポックスウィルスベクター。
【請求項13】
前記二つ以上の外来性核酸分子が、ORF5―ORF6、ORF5―ORF6―ORF7、ORF3―ORF5―ORF6、ORF3―ORF4―ORF7、ORF3―ORF4―ORF5―ORF7、ORF3―ORF4―ORF6―ORF7、およびORF3―ORF4―ORF5―ORF6―ORF7からなる群より選択される二つ以上のPRRSV ORFをコードする、請求項2に記載の組換えアライグマポックスウィルスベクター。
【請求項14】
前記ブタ繁殖・呼吸障害症候群ウィルスが、ISU12(Iowa)、Olot/91(Spanish)または両者である、請求項1〜13のいずれか一つに記載の組換えアライグマポックスウィルスベクター。
【請求項15】
二つ以上の核分子が、前記アライグマポックスウィルスゲノムのヘマグルチニン遺伝子座に挿入される、請求項1〜14のいずれか一つに記載の組換えアライグマポックスウィルスベクター。
【請求項16】
ブタサーコウィルス2型(PCV2)のオープンリーディングフレームをコードする核酸分子をさらに含む、請求項15に記載の組換えアライグマポックスウィルスベクター。
【請求項17】
前記PCV2オープンリーディングフレームが、ORF2である、請求項16に記載の組換えアライグマポックスウィルスベクター。
【請求項18】
前記PCV2 ORF2が、前記アライグマポックスウィルスゲノムのチミジンキナーゼ遺伝子座に、別々に挿入される、請求項17に記載の組換えアライグマポックスウィルスベクター。
【請求項19】
ネコ白血病ウィルスP27表現型の糖タンパク質をコードするヌクレオチド配列をさらに含む、請求項15〜18のいずれか一つに記載の組換えアライグマポックスウィルスベクター。
【請求項20】
前記アライグマポックスウィルスが、生存しており、かつ複製可能である、請求項1〜19のいずれか一つに記載の組換えアライグマポックスウィルスベクター。
【請求項21】
免疫学的に有効な量の、請求項1〜20のいずれか一つに記載の組換えアライグマポックスウィルスベクターと、必要に応じて適切な担体、希釈剤またはアジュバントとを含む、組換えブタワクチン。
【請求項22】
免疫学的に有効な量の、二つ以上の請求項1〜20のいずれか一つに記載の組換えアライグマポックスウィルスベクターと、必要に応じて適切な担体または希釈剤とを含む、組換えブタワクチン。
【請求項23】
前記アライグマポックスウィルスが、生存しており、かつ複製可能である、請求項21または22のいずれか一つに記載の組換えブタワクチン。
【請求項24】
少なくとも一つの追加的なブタ抗原をさらに含む、請求項21または22に記載の組換えブタワクチン。
【請求項25】
前記追加的なブタ抗原が、Mycoplasma hyopneumoniae抗原、Haemophilus parasuis抗原、Pasteurella multocida抗原、Streptococcum suis抗原、Actinobacillus pleuropneumoniae抗原、Bordetella bronchiseptica抗原、Salmonella choleraesuis抗原、Erysipelothrix rhusiopathiae抗原、レプトスピラ菌抗原、ブタインフルエンザウィルス抗原、ブタパルボウィルス抗原、Escherichia coli抗原、ブタ呼吸器コロナウィルス抗原、ロタウィルス抗原、Aujesky病、ブタ伝染性胃腸炎抗原の原因となる病原体由来の抗原およびその組み合わせからなる群より選択される、請求項24に記載の組換えブタワクチン。
【請求項26】
ブタ繁殖・呼吸障害症候群ウィルスに対する免疫応答を誘導する方法であって、免疫学的に有効な量の、請求項21〜25のいずれか一つに記載の組換えブタワクチンを、ブタ動物に投与するステップを含む、方法。
【請求項27】
前記組換えブタワクチンが、生存しており、かつ複製可能な組換えアライグマポックスウィルスベクターを含む、請求項24に記載の方法。
【請求項28】
ブタ繁殖・呼吸障害症候群および離乳後多臓器性発育不良症候群を防止する方法であって、免疫学的に有効な量の、請求項16〜19のいずれか一つに記載の組換えアライグマポックスウィルスベクターと、必要に応じて、適切な担体、希釈剤またはアジュバントとを含む、組換えブタワクチンを、保護を必要とするブタ動物に投与するステップを含む、方法。
【請求項29】
前記組換えアライグマポックスウィルスベクターが、生存しており、かつ複製可能である、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
前記ワクチンの前記免疫学的に有効な量が、約4.5Log10TCID50/ml〜約7.5Log10TCID50/mlの範囲である、請求項26に記載の方法。
【請求項31】
前記ワクチンが、単回用量または反復用量として投与される、請求項26に記載の方法。
【請求項32】
前記ワクチンが、アジュバントを含まない、請求項21〜25のいずれかに記載の組換えブタワクチン。

【図1−1】
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【図1−2】
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【図1−3】
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【図2−1】
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【図2−2】
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【図3−1】
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【図3−2】
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【図3−3】
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【図4−1】
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【図4−2】
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【図4−3】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公表番号】特表2010−528604(P2010−528604A)
【公表日】平成22年8月26日(2010.8.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−510317(P2010−510317)
【出願日】平成20年5月28日(2008.5.28)
【国際出願番号】PCT/US2008/006735
【国際公開番号】WO2009/029130
【国際公開日】平成21年3月5日(2009.3.5)
【出願人】(309040701)ワイス・エルエルシー (181)
【Fターム(参考)】