説明

ブタクサ(アンブロシアアルテミシーフォリア)の主要アレルゲンから得られるペプチドおよびこれらの使用

本発明は、ブタクサ花粉アレルゲンAmb a 1から由来する6〜50アミノ酸残基のペプチド、上記ペプチドを含む薬学的調製物、およびこれらの使用に関する。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
本発明は、Amb a 1由来ペプチドに関する。
【0002】
ブタクサ(アンブロシア アルテミシーフォリア)およびヨモギ(アルテミシア ブルガリス)は、アステラカエア科またはコンポジタエ科の植物に属する、重要なアレルゲン性の草本である。ヨモギの花粉は、ヨーロッパにおいて晩夏および秋におけるアレルギー反応の主原因の1つであり、かつ花粉症にかかっている患者の約10〜14%に影響を与える。ブタクサ花粉は、アトピー性27.10の個体において約50%の普及率を有して、米国におけるアレルゲン性タンパク質の主要な発生源である。ヨーロッパにおいて、現在、ブタクサアレルギーは、フランス、イタリア、オーストリア、ハンガリー、クロアチア、およびブルガリアにおけるある特定の地域において、急速に増加している。ブタクサの主要なアレルゲンであるAmb a 1およびヨモギの主要なアレルゲンであるArt v 1のそれぞれは、無関係なタンパク質である。Amb a 1は、38kDaの非糖修飾の酸性タンパク質である。天然のAmb a 1は、精製中にタンパク質分解を受け、かつα鎖およびβ鎖と命名された2つの鎖に切断される。26kDaのα鎖は、12kDaのβ鎖と非供給結合的に会合することが報告されている(King et al. Immunochem 11:83-92, 1974)。Amb a 1の2本鎖の形態は、全長の分子とは免疫学的に識別不能と思われる(King et al. Arch Biochem Biophys 212:127-135, 1981)。
【0003】
ブタクサから得られる天然のAmb a 1(nAmb a 1)は、最初に説明されかつ単離されたアレルゲンであった(King et al. Biochem 3:458-468, 1964)。Amb a 1をコードするcDNAは、Rafnar et alによって1991年にブタクサ花粉から単離された(J. Biol. Chem. 266:1229-1236)。しかしこれまでのところ、正しくフォールディングされかつ活性な組み換えAmb a 1(rAmb a 1)を大量に発現し、かつ精製する方法は、報告されていない。
【0004】
国際公開第96/13589号は、少なくとも1つのT細胞エピトープを備える、Amb a 1から得られた単離されたペプチドに関する。
【0005】
国際公開第90/11293号には、Amb a 1のアミノ酸配列が記載されている。また、これらにおいて、Amb a 1のペプチドが、T細胞エピトープを備え、かつアンブロシア特異的な免疫応答を誘発し得ることについて、確認されている。
【0006】
国際公開第99/34826号は、アレルゲンから得られたペプチドを投与することによって、患者を脱感作する方法および手段に関する。当該ペプチドは、個体におけるT細胞応答を誘発可能である。
【0007】
Michael J.G. et al(J.Br.Soc.Aller.Clin.Immunol. 20(6)(1990):669-674)において、Amb a 1のプロテアーゼ消化によって得られるペプチドのT細胞応答が調べられている。
【0008】
Cardinale E.J. et al(J.Aller.Clin.Immunol. 107(2001):p 19)は、アレルゲンの同定および性質決定にとってのMALDI−TOF質量分析の使用に関する。
【0009】
同様に、米国特許第6,33,5019号は、個体におけるAmb a 1に対するT細胞応答を誘発し得るAmb a 1に関する。
【0010】
Griffith et al.(Int.Arch.Aller.Appl.Immunol. 96(1991):296-304)は、Amb a 1およびAmb a 2ファミリーの一員の配列多形に関する。
【0011】
本発明の目的は、アレルギー(特にブタクサ花粉アレルゲンによって引き起こされるアレルギー)の処置、予防または診断に使用され得る、ブタクサ花粉アレルゲンAmb a 1から得られるペプチドおよび分子を提供することである。
【0012】
したがって、本発明は、Amb a 1、特に配列番号12、配列番号20、配列番号27、配列番号28、配列番号30、配列番号31、配列番号33、配列番号36、配列番号37、配列番号38、配列番号39、配列番号41、配列番号42、配列番号44、配列番号46、配列番号47、配列番号48、配列番号50、配列番号51、配列番号52、配列番号53、配列番号59、配列番号60、配列番号61、配列番号67、配列番号68、配列番号69、配列番号77、配列番号78、配列番号79、配列番号80、配列番号81、配列番号83、配列番号86、配列番号87、配列番号88、配列番号89、配列番号90、配列番号91、配列番号93、配列番号94、配列番号96、配列番号97、配列番号98、配列番号99、配列番号100、配列番号101、配列番号102、配列番号107、配列番号108、配列番号109、配列番号110、配列番号111、配列番号112、配列番号114、配列番号115、配列番号118、配列番号119、配列番号120、配列番号121、配列番号122、配列番号123、配列番号124、配列番号125、配列番号126、配列番号127、配列番号128、配列番号129、配列番号130、配列番号131、配列番号132、配列番号133、配列番号134、配列番号135、配列番号136、配列番号137、配列番号138、配列番号139およびこれらの機能的な等価物からなる群から選択されるアミノ酸配列からなるAmb a 1から得られるペプチドに関する。
【0013】
配列番号12、配列番号20、配列番号27、配列番号28、配列番号30、配列番号31、配列番号33、配列番号36、配列番号37、配列番号38、配列番号39、配列番号41、配列番号42、配列番号44、配列番号46、配列番号47、配列番号48、配列番号50、配列番号51、配列番号52、配列番号53、配列番号59、配列番号60、配列番号61、配列番号67、配列番号68、配列番号69、配列番号77、配列番号78、配列番号79、配列番号80、配列番号81、配列番号83、配列番号86、配列番号87、配列番号88、配列番号89、配列番号90、配列番号91、配列番号93、配列番号94、配列番号96、配列番号97、配列番号98、配列番号99、配列番号100、配列番号101、配列番号102、配列番号107、配列番号108、配列番号109、配列番号110、配列番号111、配列番号112、配列番号114、配列番号115、配列番号118、配列番号119、配列番号120、配列番号121、配列番号122、配列番号123、配列番号124、配列番号125、配列番号126、配列番号127、配列番号128、配列番号129、配列番号130、配列番号131、配列番号132、配列番号133、配列番号134、配列番号135、配列番号136、配列番号137、配列番号138および配列番号139からなる群から選択されるアミノ酸配列を有する本発明のペプチドが、アレルギー性の個体から単離されたT細胞と反応性を示すこと、したがってワクチン(特にブタクサ花粉アレルゲンによって引き起こされるアレルギーおよびブタクサ花粉アレルゲンと交差反応するアレルギーにとってのワクチン)の製造に使用され得ることが明らかになった。特に、配列番号52、配列番号68、配列番号86、配列番号91および配列番号126〜配列番号139を有するペプチドは、ブタクサ花粉アレルギーにかかっている個体から得られたサンプルと高いT細胞反応性を示す。
【0014】
本発明のペプチドのさらなる利点は、それらのすべてがIgE結合活性を欠如していることである。したがって、これらのペプチドを備える分子は、個体に対して投与された場合に、アレルギー反応(例えば、ヒスタミン放出の増加)を誘発しない。
【0015】
治療を目的としたアレルゲンから得られるペプチドは、Amb a 1に特異的なIgEと結合しないか、または対応する未処置の精製Amb a 1もしくは組み替え的に生成されたAmb a 1のβ鎖よりも、実質的に低い程度において当該IgEと結合(少なくとも100倍だけ低い程度、より好ましくは少なくとも1000倍だけ低い程度において結合)する。本発明のペプチドが診断試薬として使用される場合には、ペプチドまたはタンパク質が、未処置のAmb a 1アレルゲンと比べて低下したIgE結合活性を有する必要はない。ペプチドのIgE結合活性は、例えばあらかじめAmb a 1にさらされている個体(すなわち、アレルギーの個体)から得られる血清を用いた、例えば酵素結合免疫吸着検定法(ELISA)によって、測定され得る。簡単に説明すると、試験されるペプチドは、マイクロタイタープレートの壁を覆っている。上記壁を洗浄しかつブロッキングした後に、アレルギーの個体の血清または血漿からなる抗体溶液が、上記壁内においてインキュベートされる。当該アレルギーの個体は、試験されるペプチドまたはペプチドが由来するタンパク質にさらされている。通常、上記血漿は、インキュベーション前にIgGが枯渇させられている。しかし、高い特異性を有する抗IgE抗体が使用される場合には、枯渇は必須ではない。さらに、特定の免疫療法を受けていない個体は、いくつかの場合において、問題のアレルゲンに特異的なIgG抗体をほとんど検出不可能な状態である。標識された2次抗体が、上記壁内に加えられ、かつインキュベートされる。それから、IgEの結合量が、定量化され、かつ未処置の精製Amb a 1タンパク質によって結合されるIgEの量と比較される。代替可能に、ペプチド結合活性は、ウエスタンブロッティング分析によって測定され得る。例えば、試験されるペプチドは、SDS−PAGEを用いたポリアクリルアミドゲルに流される。それから、ペプチドは、ニトロセルロースに転写され、続いてアレルギー患者からの血清とインキュベートされる。それから、標識された2次抗体とのインキュベーションの後に、IgEの結合量が測定され、かつ定量化される。
【0016】
ペプチドのIgE結合活性の測定に使用され得る他のアッセイは、競合ELISAアッセイである。簡単に説明すると、IgE抗体のプールが、ブタクサ花粉アレルギー個体から得られた血漿または血清を組み合わせることによって生成される。当該血漿または血清は、直接的ELISAによって未処置のAmb a 1とIgE反応性を有していることを示されている。このプールは、未処置のAmb a 1に対するIgEの結合を試験されるペプチドと比較するための、ELISA競合アッセイに使用される。未処置のAmb a 1タンパク質および試験されるペプチドについてのIgE結合は、測定され、かつ定量化される。
【0017】
さらに、本発明のペプチドは、マスト細胞または好塩基球からの媒介物質(例えば、ヒスタミン)の放出を生じないことが好ましい。IgEと結合するペプチドが媒介物質の放出を生じるか否かを測定するために、ヒスタミン放出アッセイが、標準的な試薬および手順を用いて実施され得る。簡単に説明すると、試験されるペプチドの緩衝化溶液は、アレルギー患者から得られた、等容積の完全なヘパリン添加血液と混合される。混合およびインキュベーションの後に、細胞がペレット化される。そして、上清が、例えば放出されたヒスタミンの量を測定するための放射免疫測定を用いて、処理されかつ分析される。
【0018】
本発明の分子は、本発明のペプチドの2つ以上をあらゆる組み合わせにおいて備え得る。これらのペプチドは、互いに化学的に接合され得るか、または組み換え技術によって融合され得る。当該分子は、少なくとも2、3、4、5、7、10、15、20のペプチド備え得る。
【0019】
本発明の少なくとも1つのペプチドは、当該ペプチドをコードする配列を有する核酸を用いて形質転換された宿主細胞において、組み換えDNA技術によって、生成され得る。また、本発明の単離されたペプチドは、化学合成によって生成され得る。もちろん、タンパク質アレルゲンの化学的切断または酵素的切断によって、ペプチドを生成することも可能である。
【0020】
ペプチドが組み換え技術によって生成される場合に、本発明の核酸(または上記ペプチド(または当該ペプチドの機能的な等価物)をコードする配列を有する核酸の等価物)を用いて形質転換された宿主細胞は、当該細胞にとって好適な培地において培養される。ペプチドは、当該技術において公知のペプチドおよびタンパク質を精製する技術を用いて、細胞培養培地、宿主細胞またはその両方から精製され得る。当該精製する技術としては、イオン交換クロマトグラフィー、ゲルろ過クロマトグラフィー、限外ろ過、電気泳動または当該ペプチドに特異的な抗体を用いた免疫精製が挙げられる。本発明の単離されたペプチドは、組み換えDNA技術によって生成された場合に、細胞由来の物質または培養培地を実質的に含んでいないか、または化学的に合成された場合に、化学的な前駆体もしくは他の化学物質を実質的に含んでいないか、または化学的切断もしくは酵素的切断によって生成された場合に、他の物質もしくは試薬を含んでいない。
【0021】
また、本発明のペプチドは、アミノ酸置換、アミノ酸欠失またはアミノ酸付加によって改変され得る。したがって、本発明のペプチドは、配列番号1〜139のアミノ酸配列の少なくとも7アミノ酸残基を備えている。また、本発明の範囲には、12アミノ酸残基を超えるペプチドが包含される。ここで、これらの付加的な残基は、未処置のAmb a 1分子から取得され得、かつ未処置のAmb a 1分子、無作為のアミノ酸または他のペプチドもしくはタンパク質において当該ペプチドと隣接して見られ得る。しかし、これらの改変されたペプチド(バリアント)は、未修飾のペプチドと類似の特性を示すか、または同一の特性さえも示す。特に、免疫原性の特性は、実質的に同一であるべきである。これは、これらの改変されたペプチドを対象にする抗体がまた、配列番号1〜139のアミノ酸配列を有するペプチドと結合することを意味する。
【0022】
本発明において使用されるときに、“ペプチド”は、当該ペプチドが得られるタンパク質のアミノ酸配列の全体より少ないアミノ酸残基を有するアミノ酸配列を指す。また、“ペプチド”という用語は、ペプチドの機能的な等価物もしくはバリアント、またはペプチドのあらゆる断片もしくは部分を指す。ペプチドの“機能的な等価物”は、同じかもしくは増強されたMHC結合能を有するペプチド、同じT細胞の亜集団を刺激可能なペプチド、T細胞応答(例えば、刺激(増殖またはサイトカイン分泌))の同じかもしくは増強された誘導能を有するペプチド、少なくとも同程度に低下したIgE結合を有するペプチド、およびAmb a 1から直接に得られたペプチドと少なくとも同じ最小レベルのIgE合成刺激活性を誘導するペプチドを含む。最小のIgE刺激活性は、未処置の精製ブタクサ花粉アレルゲンによって誘発されるIgE産生量よりも少ない、IgE合成刺激活性を指す。本発明のペプチドおよびこれらの機能的な等価物は、6〜50、好ましくは7〜45、より好ましくは8〜40、さらに好ましくは9〜35、特に10〜30のアミノ酸残基からなることが好ましい。本発明のペプチドの“機能的な等価物”は、上記ペプチドのC末端および/またはN末端において少なくとも1つのさらなるアミノ酸残基をさらに備え得る。当該少なくとも1つのさらなるアミノ酸残基は、連結基(例えば、システイン)として機能し得るか、または野生型Amb a 1において当該ペプチドと隣接して見られ得る。
【0023】
本明細書において使用されるときに、“バリアント”という用語は、通常に関連する他のポリペプチドと1つ以上のアミノ酸残基だけ異なっている、アミノ酸配列を指す。バリアントは、“保存的な”変更を有し得る。ここで、置換されたアミノ酸は、類似の構造的特性または類似の化学的特性を有する。保存的なアミノ酸置換の1種は、類似の側鎖を有する残基が交換可能であることを指す。例えば、脂肪族の側鎖を有するアミノ酸の群は、グリシン、アラニン、バリン、ロイシン、およびイソロイシンであり;脂肪族−水酸基の側鎖を有するアミノ酸の群は、セリンおよびスレオニンであり;アミド含有側鎖を有するアミノ酸の群は、アスパラギンおよびグルタミンであり;芳香族の側鎖を有するアミノ酸の群は、フェニルアラニン、チロシン、およびトリプトファンであり;塩基性の側鎖を有するアミノ酸の群は、リジン、アルギニン、およびヒスチジンであり;かつ硫黄含有側鎖を有するアミノ酸の群は、システインおよびメチオニンである。保存的なアミノ酸置換の好ましい群は、バリン−ロイシン−イソロイシン、フェニルアラニン−チロシン、リジン−アルギニン、アラニン−バリン、およびアスパラギン−グルタミンである。保存的な変更よりはまれに、バリアントは“非保存的な”変更を有し得る(例えば、トリプトファンとのグリシンの置換)。また、類似のより少ない変異としては、アミノ酸の欠失もしくは挿入、またはその両方が挙げられる。本発明のペプチドおよび分子の好ましいバリアントは、10%未満、好ましくは5%未満、より好ましくは2%未満の変更(置換、欠失および挿入のいずれか)を有する。
【0024】
本発明の他の局面は、配列番号12、配列番号20、配列番号27、配列番号28、配列番号30、配列番号31、配列番号33、配列番号36、配列番号37、配列番号38、配列番号39、配列番号41、配列番号42、配列番号44、配列番号46、配列番号47、配列番号48、配列番号50、配列番号51、配列番号52、配列番号53、配列番号59、配列番号60、配列番号61、配列番号67、配列番号68、配列番号69、配列番号77、配列番号78、配列番号79、配列番号80、配列番号81、配列番号83、配列番号86、配列番号87、配列番号88、配列番号89、配列番号90、配列番号91、配列番号93、配列番号94、配列番号96、配列番号97、配列番号98、配列番号99、配列番号100、配列番号101、配列番号102、配列番号107、配列番号108、配列番号109、配列番号110、配列番号111、配列番号112、配列番号114、配列番号115、配列番号118、配列番号119、配列番号120、配列番号121、配列番号122、配列番号123、配列番号124、配列番号125、配列番号126、配列番号127、配列番号128、配列番号129、配列番号130、配列番号131、配列番号132、配列番号133、配列番号134、配列番号135、配列番号136、配列番号137、配列番号138および配列番号139からなる群から選択されるアミノ酸配列からなり、かつブタクサ花粉アレルゲンから得られるペプチドに関する。
【0025】
本発明の他の局面は、本発明のペプチドの少なくとも1つ、およびAmb a 1以外の免疫原から得られた第2のペプチドの少なくとも1つを備えるペプチドに関する。
【0026】
本発明の分子は、Amb a 1に由来しない1つ以上の他の分子と、接合され得るか、化学的に結合され得るか、または融合され得る。当該分子は、例えば、本発明のブタクサ花粉アレルゲンペプチドおよび(例えば細菌起源またはウイルス起源の)上記第2の免疫原に対する免疫応答を誘導する、ワクチンとして使用され得る。
【0027】
本発明のペプチドなどの小分子(ハプテン)に対する抗体を誘発するために、これらの小分子は、担体に結合(例えば、接合)され得る。この結合は、免疫原性のハプテンを作り出す。免疫原性は、個体に注入された後に抗体が生成されることを意味する。担体タンパク質に対するハプテンの結合は、しばしば共有結合的であるが、しかし、当該結合は、イオン性であり得るか、またはハプテンおよび担体を架橋する化学的構成要素を介してもたらされ得る。担体は典型的にタンパク質である。しかし、担体はまた、単量体または重合体の形態における糖および脂質を含有し得る。
【0028】
本発明に係る免疫原は、好ましくはアレルゲンである。当該アレルゲンは、Amb a 2、Amb a 3、Amb a 5、Amb a 6、Amb a 7、Amb a 8、Amb a 9、Amb a 10、Amb t 5、Art v 1、Art v 2、Art v 3、Art v 4、Art v 5、Art v 6、Hel a 1、Hel a 2、Hel a 3、Mer a 1、Che a 1、Che a 2、Che a 3、Sal k 1、Cat r 1、Pla l 1、Hum j 1、Par j 1、Par j 2、Par j 3、Par o 1、Cyn d 1、Cyn d 7、Cyn d 12、Cyn d 15、Cyn d 22w、Cyn d 23、Cyn d 24、Dac g 1、Dac g 2、Dac g 3、Dac g 5、Fes p 4w、Hol l 1、Lol p 1、Lol p 2、Lol p 3、Lol p 5、Lol p 11、Pha a 1、Phl p 1、Phl p 2、Phl p 4、Phl p 5、Phl p 6、Phl p 11、Phl p 12、Phl p 13、Poa p 1、Poa p 5、Sor h 1、Pho d 2、Aln g 1、Bet v 1、Bet v 2、Bet v 3、Bet v 4、Bet v 6、Bet v 7、Car b 1、Cas s 1、Cas s 5、Cas s 8、Cor a 1、Cor a 2、Cor a 8、Cor a 9、Cor a 10、Cor a 11、Que a 1、Fra e 1、Lig v 1、Ole e 1、Ole e 2、Ole e 3、Ole e 4、Ole e 5、Ole e 6、Ole e 7、Ole e 8、Ole e 9、Ole e 10、Syr v 1、Cry j 1、Cry j 2、Cup a 1、Cup s 1、Cup s 3w、Jun a 1、Jun a 2、Jun a 3、Jun o 4、Jun s 1、Jun v 1、Pla a 1、Pla a 2、Pla a 3、Aca s 13、Blo t 1、Blo t 3、Blo t 4、Blo t 5、Blo t 6、Blo t 10、Blo t 11、Blo t 12、Blo t 13、Blo t 19、Der f 1、Der f 2、Der f 3、Der f 7、Der f 10、Der f 11、Der f 14、Der f 15、Der f 16、Der f 17、Der f 18w、Der m 1、Der p 1、Der p 2、Der p 3、Der p 4、Der p 5、Der p 6、Der p 7、Der p 8、Der p 9、Der p 10、Der p 11、Der p 14、Der p 20、Der p 21、Eur m 2、Eur m 14、Gly d 2,Lep d 1、Lep d 2、Lep d 5、Lep d 7、Lep d 10、Lep d 13、Tyr p 2、Tyr p 13、Bos d 2、Bos d 3、Bos d 4、Bos d 5、Bos d 6、Bos d 7、Bos d 8、Can f 1、Can f 2、Can f 3、Can f 4、Equ c 1、Equ c 2、Equ c 3、Equ c 4、Equ c 5、Fel d 1、Fel d 2、Fel d 3、Fel d 4、Fel d 5w、Fel d 6w、Fel d 7w、Cav p 1、Cav p 2、Mus m 1、Rat n 1、Alt a 1、Alt a 3、Alt a 4、Alt a 5、Alt a 6、Alt a 7、Alt a 8、Alt a 10、Alt a 12、Alt a 13、Cla h 2、Cla h 5、Cla h 6、Cla h 7、Cla h 8、Cla h 9、Cla h 10、Cla h 12、Asp fl 13、Asp f 1、Asp f 2、Asp f 3、Asp f 4、Asp f 5、Asp f 6、Asp f 7、Asp f 8、Asp f 9、Asp f 10、Asp f 11、Asp f 12、Asp f 13、Asp f 15、Asp f 16、Asp f 17、Asp f 18、Asp f 22w、Asp f 23、Asp f 27、Asp f 28、Asp f 29、Asp n 14、Asp n 18、Asp n 25、Asp o 13、Asp o 21、Pen b 13、Pen b 26、Pen ch 13、Pen ch 18、Pen ch 20、Pen c 3、Pen c 13、Pen c 19、Pen c 22w、Pen c 24、Pen o 18、Fus c 1、Fus c 2、Tri r 2、Tri r 4、Tri t 1、Tri t 4、Cand a 1、Cand a 3、Cand b 2、Psi c 1、Psi c 2、Cop c 1、Cop c 2、Cop c 3、Cop c 5、Cop c 7、Rho m 1、Rho m 2、Mala f 2、Mala f 3、Mala f 4、Mala s 1、Mala s 5、Mala s 6、Mala s 7、Mala s 8、Mala s 9、Mala s 10、Mala s 11、Mala s 12、Mala s 13、Epi p 1、Aed a 1、Aed a 2、Api m 1、Api m 2、Api m 4、Api m 6、Api m 7、Bom p 1,Bom p 4、Bla g 1、Bla g 2、Bla g 4、Bla g 5、Bla g 6、Bla g 7、Bla g 8、Per a 1、Per a 3、Per a 6、Per a 7、Chi k 10、Chi t 1−9、Chi t 1.01、Chi t 1.02、Chi t 2.0101、Chi t 2.0102、Chi t 3、Chi t 4、Chi t 5、Chi t 6.01、Chi t 6.02、Chi t 7、Chi t 8、Chi t 9、Cte f 1、Cte f 2、Cte f 3、Tha p 1、Lep s 1、Dol m 1、Dol m 2、Dol m 5、Dol a 5、Pol a 1、Pol a 2、Pol a 5、Pol d 1、Pol d 4、Pol d 5、Pol e 1、Pol e 5、Pol f 5、Pol g 5、Pol m 5、Vesp c 1、Vesp c 5、Vesp m 1、Vesp m 5、Ves f 5、Ves g 5、Ves m 1、Ves m 2、Ves m 5、Ves p 5、Ves s 5、Ves vi 5、Ves v 1、Ves v 2、Ves v 5、Myr p 1、Myr p 2、Sol g 2、Sol g 4、Sol i 2、Sol i 3、Sol i 4、Sol s 2、Tria p 1、Gad c 1、Sal s 1、Bos d 4、Bos d 5、Bos d 6、Bos d 7、Bos d 8、Gal d 1、Gal d 2、Gal d 3、Gal d 4、Gal d 5、Met e 1、Pen a 1、Pen i 1、Pen m 1、Pen m 2、Tod p 1、Hel as 1、Hal m 1、Ran e 1、Ran e 2、Bra j 1、Bra n 1、Bra o 3、Bra r 1、Bra r 2、Hor v 15、Hor v 16、Hor v 17、Hor v 21、Sec c 20、Tri a 18、Tri a 19、Tri a 25、Tri a 26、Zea m 14、Zea m 25、Ory s 1、Api g 1、Api g 4、Api g 5、Dau c 1、Dau c 4、Cor a 1.04、Cor a 2、Cor a 8、Fra a 3、Fra a 4、Mal d 1、Mal d 2、Mal d 3、Mal d 4、Pyr c 1、Pyr c 4、Pyr c 5、Pers a 1、Pru ar 1、Pru ar 3、Pru av 1、Pru av 2、Pru av 3、Pru av 4、Pru d 3、Pru du 4、Pru p 3、Pru p 4、Aspa o 1、Cro s 1、Cro s 2、Lac s 1、Vit v 1、Mus xp 1、Ana c 1、Ana c 2、Cit l 3、Cit s 1、Cit s 2、Cit s 3、Lit c 1、Sin a 1、Gly m 1、Gly m 2、Gly m 3、Gly m 4、Vig r 1、Ara h 1、Ara h 2、Ara h 3、Ara h 4、Ara h 5、Ara h 6、Ara h 7、Ara h 8、Len c 1、Len c 2、Pis s 1、Pis s 2、Act c 1、Act c 2、Cap a 1w、Cap a 2、Lyc e 1、Lyc e 2、Lyc e 3、Sola t 1、Sola t 2、Sola t 3、Sola t 4、Ber e 1、Ber e 2、Jug n 1、Jug n 2、Jug r 1、Jug r 2、Jug r 3、Ana o 1、Ana o 2、Ana o 3、Ric c 1、Ses i 1、Ses i 2、Ses i 3、Ses i 4、Ses i 5、Ses i 6、Cuc m 1、Cuc m 2、Cuc m 3、Ziz m 1、Ani s 1、Ani s 2、Ani s 3、Ani s 4、Arg r、Asc s 1、Car p 1、Den n 1、Hev b 1、Hev b 2、Hev b 3、Hev b 4、Hev b 5、Hev b 6.01、Hev b 6.02、Hev b 6.03、Hev b 7.01、Hev b 7.02、Hev b 8、Hev b 9、Hev b 10、Hev b 11、Hev b 12、Hev b 13、Hom s 1、Hom s 2、Hom s 3、Hom s 4、Hom s 5およびTrip s 1からなる群から選択されることが好ましい。
【0029】
上記アレルゲンから得られる他のアレルゲンまたはペプチドに対して、ブタクサ花粉アレルゲンAmb a 1から得られる本発明のペプチドを、融合および/または接合することが特に好ましい。そのような融合タンパク質/融合ポリペプチド/融合ペプチドまたはタンパク質接合物/ポリペプチド接合物/ペプチド接合物は、ワクチンまたは診断に使用する場合に有用である。
【0030】
本発明の他の局面は、本発明に係るペプチドまたは分子をコードする核酸分子に関する。
【0031】
本発明の核酸分子は、例えば、当該核酸分子によってコードされるペプチド/ポリペプチド/タンパク質の組み換え生成に使用され得る。さらに、それらはまた、治療的局面(例えば、遺伝子療法、細胞療法)に使用され得る。
【0032】
本発明の他の局面は、本発明に係る核酸分子を備えるベクターに関する。
【0033】
本発明の核酸分子は、ベクターに導入され得る。ベクターは、本発明のペプチドもしくは分子の組み換え生成、または治療的局面に使用され得る。
【0034】
本明細書において使用されるときに、“ベクター”は、プラスミド、コスミドならびにウイルスDNAおよびファージDNAを指す。本発明に係る核酸分子を備えるプラスミドは、当該核酸分子と隣り合って、例えば、複製開始点、選択マーカー(例えば、抗生物質耐性マーカー、栄養要求マーカー)、マルチクローニングサイト、当該核酸分子と作動可能に連結されたプロモータ領域および/または宿主のゲノムにベクターもしくはこれらの一部を相同組み込みする配列伸張鎖を含み得る。
【0035】
本発明のベクターは、上記核酸分子と作動可能に連結されたプロモータをさらに備えて、したがって発現カセットを生じることが好ましい。
【0036】
本発明の発現カセットは、プロモータおよび本発明のペプチドをコードする核酸分子を備える。プロモータは、本発明の核酸分子の5’末端(上流)に配置されていることが好ましい。発現カセットに使用されるプロモータは、当該プロモータがそれぞれの宿主によって制御され得るものであれば、あらゆるプロモータであり得る。
【0037】
本発明のさらなる局面は、本発明に係る少なくとも1つの分子および/または少なくとも1つのペプチドを備えるワクチン調合物に関する。
【0038】
配列番号1〜139からなる群から選択されるアミノ酸配列からなり、かつブタクサ花粉アレルゲンAmb a 1から得られる少なくとも1つのペプチドを備える、本発明のペプチドおよび/または分子は、ワクチン調合物に使用され得る。これらのペプチドが、ブタクサ花粉アレルゲンAmb a 1に対するT細胞応答を誘発可能であるので、ワクチン調合物は、ブタクサ花粉アレルギーおよびブタクサ花粉アレルゲンと交差反応するアレルギー(例えば、ヨモギ花粉)の脱感作、予防または処置に使用され得る。IgE結合活性の欠如に起因して、アレルギー性反応が上記ワクチンによって誘発されないか、または実質的に誘発されないので、ペプチドはワクチンに使用する場合に特に有利である。本発明のワクチン調合物は、少なくとも1つの、好ましくは少なくとも2つの、より好ましくは少なくとも3つの本発明のペプチドを備え得る。
【0039】
脱感作されるべき個体に対する本発明の治療的組成物の投与は、アレルゲンに対する個体の感受性を低下させる(すなわち、アレルギー反応を低下させる)ために有効な用量および期間において、公知の手法を用いて実施され得る。治療的組成物の有効量は、Amb a 1に対する個体の感受性の程度、年齢、性別および個体の体重、ならびにタンパク質またはこれらの断片による個体における抗原反応の誘発能といった要因にしたがって変わる。活性な化合物(すなわち、タンパク質またはこれらの断片)は、好都合な方法において投与される。当該方法は、例えば、注入(皮下、静脈内など)、経口投与、吸入、経皮滴用、または直腸投与である。投与経路に依存して、活性な化合物は、酵素、酸、当該化合物を不活化し得る他の天然の条件(後述を参照すればよい)の作用から当該化合物を保護する物質に被覆され得る。例えば、単回投与ごとに、好ましくは約0.05μg〜1000μg、より好ましくは約0.1μg〜1000μgの活性な化合物(すなわち、タンパク質またはこれらの断片)が、注入によって投与され得る。投与計画は、最適な治療反応を提供するために調節され得る。例えば、治療状況の緊急性によって示されるように、種々の分割量が毎日投与され得るか、または単回の投与量が減らされ得る。
【0040】
もちろん、本発明に係るペプチドまたは分子に対して結合された抗体を提供することも可能であり、かつ当該抗体は本発明の範囲内にある。また、当該抗体は、ワクチン調合物において使用され得る。
【0041】
本発明に係る抗体としては、これらに限定されないが、ポリクローナル抗体、モノクローナル抗体、多重特異性抗体、ヒト化抗体もしくはキメラ抗体、単鎖抗体、Fab断片、F(ab’)断片および上述のあらゆるエピトープ結合断片が挙げられる。さらに、抗体は、免疫グロブリン分子および免疫グロブリン分子の免疫学的に活性な部分(すなわち、抗原と免疫特異的に結合する抗原結合部位を含む分子)であると見做される。本発明の免疫グロブリン分子は、IgG型、IgM型、IgD型、IgA型およびIgY型、免疫グロブリン分子のクラス(例えば、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA1およびIgA2)またはサブクラスに属することが好ましい。
【0042】
ポリクローナル抗体は、好ましくは補佐剤を用いて、ヒト以外の哺乳類に対して本発明のポリペプチドを投与すること、およびこれによって生じた血清を回収することによって調製され得る。長期間にわたって繰り返し注入することによって、高い力価を得ることができる。抗原の誘導に使用され得る哺乳類の種に特に限定はないが、ウサギまたはテンジクネズミを使用することが一般的に好ましいが、ウマ、ネコ、イヌ、ヤギ、ブタ、ラット、ウシ、ヒツジ、ラクダなども使用され得る。抗原の生成において、本発明の免疫原の一定量が、例えば、好適な濃度にまで生理食塩水溶液を用いて希釈され、かつこれによって生じた希釈溶液が、例えば懸濁液を調製するための完全フロインドアジュバント、またはミネラルゲルとともに混合される。ミネラルゲルは、例えば、水酸化アルミニウム、界面活性剤(例えば、リソレクチン、プルロニックポリオール(pluronic polyol))、ポリアニオン、ペプチド、油乳濁液、キーホールリンペットヘモシアニン、ジニトロフェノール、および見込みのある有用なヒト免疫賦活剤(例えば、BCG(ウシ型弱毒結核菌)およびコリネバクテリウム パルヴム)である。懸濁液および混合物は、単回投与ごとに約50μg〜約2500μgの本発明のポリペプチドを用いて哺乳類(例えば、ウサギ)に対して、例えば腹腔内に投与される。懸濁液は、免疫をもたらすために、2〜3ヶ月以下、好ましくは約1ヶ月の期間にわたって約2週間ごとに投与されることが好ましい。抗体は、最後の投与から1〜2週間が経過した後に免疫した動物から血液を採取すること、血液を遠心分離することおよび血液から血清を単離することによって回収される。
【0043】
モノクローナル抗体は、例えば、ヒトまたはマウス起源のものであり得る。マウスモノクローナル抗体は、Kohler and Milsteinの方法(Kohler, G. and Milstein, C., Nature 256 (1975) 495)によって、例えば適切なマウスの骨髄腫細胞株との超免疫化マウスの脾臓細胞の融合によって、調製され得る。
【0044】
キメラ抗体は、抗体の異なる部分が異なる動物種に由来する分子(例えば、マウスモノクローナル抗体に由来する可変領域およびヒト免疫グロブリンの定常領域を有する抗体)である。キメラ抗体の製造方法は、当該技術において公知である。例えば、Morrison, Science 229:1202 (1985);Oi et al., BioTechniques 4:214 (1986);Gillies et al., (1989) J. Immunol. Methods 125:191-202;米国特許第5,807,715号明細書;米国特許第4,816,567号明細書および米国特許第4,816,397号明細書を参照すればよい。
【0045】
ヒト化抗体は、ヒト以外の種の相補性決定領域(CDRs)およびヒト免疫グロブリン分子のフレームワーク領域を有し、所望の抗原と結合するヒト以外の種の抗体から得られる抗体分子である。ヒトのフレームワーク領域におけるフレームワーク残基は、抗原結合性を変更させるために、好ましくは向上させるために、CDRのドナー抗体から得られる対応する残基としばしば置換される。これらのフレームワーク置換は、当該分野において公知の方法によって確認される。当該公知の方法は、例えば、抗原結合性にとって重要なフレームワーク残基を同定するためのCDRおよびフレームワーク残基の相互作用のモデリング、ならびに特定の位置における異常なフレームワーク残基を同定するための配列比較である(例えば、Queen et alの米国特許第5,585,089号明細書;Riechmann et al., Nature 332:323 (1988)を参照すればよい)。抗体は当該技術において知られる種々の技術を用いてヒト化され得る。抗体のヒト化に使用される技術としては、CDRグラフティング(欧州特許第239,400号明細書;国際公開第91/09967号パンフレット;米国特許第5,225,539号明細書;米国特許第5,530,101;および米国特許第5,585,089号明細書)、ベニアリング(veneering)もしくは表面形成(欧州特許第592,106号明細書;欧州特許第519,596号明細書;Padlan, Molecular Immunology 28(4/5):489-498 (1991);Studnicka et al., Protein Engineering 7(6):805-814 (1994);Roguska. et al., PNAS 91:969-913 (1994))、およびチェインシャッフリング(米国特許第5,565,332号明細書)が挙げられる。
【0046】
本発明に係る抗体は、アレルギー、特にイエダニアレルギーにかかっている個体の受動免疫化に有利に使用され得る。受動免疫に関して、抗体は、IgGまたはこれらの誘導体(例えば、キメラ抗体またはヒト化抗体)であることが好ましい。さらに、この抗体はまた、個体の脱感作に使用され得る。
【0047】
本発明のワクチン調合物は、少なくとも1つの薬学的に受容可能な補佐剤、賦形剤および/または担体をさらに備える。
【0048】
好ましく使用される薬学的に受容可能な担体は、生理食塩水、縮物油、鉱油、カルボキシメチルセルロースナトリウム水溶液またはポリビニルピロリドン水溶液である。好適な補佐剤としては、これらに限定されないが、界面活性剤(例えば、ヘキサデシルアミン、オクタデシルアミン、オクタデシルアミノ酸エステル、リソレクチン、ジメチルジオクタデシルアンモニウムブロマイド、メトキシヘキサデシルグリセロール、およびプルロニックポリオール);ポリアミン(例えば、ピラン、硫酸デキストラン、ポリIC、カルボポル);ペプチド(例えば、ムラミルジペプチド、ジメチルグリシン、タフトシン);油乳濁物;ミネラルゲル(例えば、水酸化アルミニウム、リン酸アルミニウム)など、および免疫刺激複合体が挙げられる。補佐剤は、例えば、植物油を含有する組成物もしくはミョウバン、イソマンニドモノオレエート(isomannide monooleate)、およびアルミニウムモノステアレートであり得る。他の好ましい補佐剤としては、生物適合性マトリクス材料の微粒子またはビーズが挙げられる。本発明の分子は、微粒子またはマイクロカプセルに組み込まれて、個体に対する抗原性物質のばくろを延長し得て、したがって長期にわたって個体を感染から保護し得る。また、免疫原は、リポソームに組み込まれ得るか、または多糖類および/またはワクチン調合物に使用する他の重合体と接合され得る。
【0049】
また、本発明の一部は、本発明の分子、特にペプチドおよび担体、好ましくは生物学的に受容可能な担体、より好ましくは薬学的に受容可能な担体を備える組成物である。典型的な担体は、水、緩衝化水溶液および水性のアルコール混合物などといった水性担体である。薬学的な使用、特にヒトにおける使用に向けた担体を備える組成物は、薬理学的に受容可能な担体を備える。当該担体の例は当該技術において公知である。
【0050】
そのようなワクチンは、注射剤として、液体溶液剤または液体懸濁剤のいずれかとして調製される。また、ワクチンは、注射の前に液体が調製され得る、溶液または懸濁液に好適な個体の形態の注射剤として調製され得る。ワクチンは、生理学的に受容可能な希釈剤の存在下において、あらゆる都合の良い経路(例えば、皮下、腹腔内、筋肉内、皮内、静脈内、経口、鼻腔内、乳房内)によって標的の動物に投与され得る。抗原は、単回の用量または複数回の用量において投与され得る。本発明のワクチンは、冷蔵状態、凍結した形態、凍結乾燥した形態において保存され得る。ワクチンは、対照と比べて防御的な免疫応答を誘発するための有効量において、個体に投与され得る。有効量は、例えば、年齢および大きさとともに変わり、当業者によって容易に決定され得る。また、初回投与および追加抗原投与にとって好適な計画は、一定ではないが、初回投与の後に続く接種または他の投与によって代表され得る。
【0051】
本発明のワクチン調合物は、配列番号12、配列番号20、配列番号27、配列番号28、配列番号30、配列番号31、配列番号33、配列番号36、配列番号37、配列番号38、配列番号39、配列番号41、配列番号42、配列番号44、配列番号46、配列番号47、配列番号48、配列番号50、配列番号51、配列番号52、配列番号53、配列番号59、配列番号60、配列番号61、配列番号67、配列番号68、配列番号69、配列番号77、配列番号78、配列番号79、配列番号80、配列番号81、配列番号83、配列番号86、配列番号87、配列番号88、配列番号89、配列番号90、配列番号91、配列番号93、配列番号94、配列番号96、配列番号97、配列番号98、配列番号99、配列番号100、配列番号101、配列番号102、配列番号107、配列番号108、配列番号109、配列番号110、配列番号111、配列番号112、配列番号114、配列番号115、配列番号118、配列番号119、配列番号120、配列番号121、配列番号122、配列番号123、配列番号124、配列番号125、配列番号126、配列番号127、配列番号128、配列番号129、配列番号130、配列番号131、配列番号132、配列番号133、配列番号134、配列番号135、配列番号136、配列番号137、配列番号138および配列番号139からなる群から選択されるペプチドを備える少なくとも1つの分子を含有する。
【0052】
本発明の特に好ましい実施形態において、ワクチン調合物は、配列番号52、配列番号68、配列番号86、配列番号91、および配列番号126〜配列番号139からなる群から選択される少なくとも1つのペプチドを備える。ここで、さらに好ましい調合物の実施形態は、配列番号52および配列番号137〜139からなる群から選択される少なくとも1つのペプチドを備える。これらの分子は、ブタクサアレルギーにかかっている患者において高いT細胞反応性を示す(上記ペプチドは、ブタクサアレルギーに対して感作されたアレルギー性の、90%を超える個体によって認識される)。さらに、これらの分子/ペプチドは、単独に調合され得るか、またはあらゆる組み合わせにおいて単一の調合物に調合され得る。したがって、ワクチン調合物は、配列番号52、配列番号68、配列番号86、配列番号91、および配列番号126〜配列番号139からなる群から選択される、好ましくは配列番号52および配列番号137〜139からなる群から選択される少なくとも2つ、好ましくは少なくとも3つのペプチドを備える。ペプチドの特に好ましい組み合わせは、配列番号52および配列番号137;配列番号52および配列番号138;配列番号52および配列番号139;配列番号137および配列番号138;配列番号137および配列番号139;配列番号52、配列番号137および配列番号138;配列番号52、配列番号138および配列番号139;配列番号52、配列番号137および配列番号139;配列番号137、配列番号138および配列番号139;配列番号52、配列番号137、配列番号138および配列番号139である。
【0053】
本発明のさらに他の局面は、上記において概略を述べたようなワクチン調合物の製造に、本発明に係るペプチドおよび/または分子を使用することに関する。
【0054】
ワクチン調合物は、個体におけるブタクサ花粉アレルギー、特にAmb a 1によって引き起こされるアレルギーまたはブタクサ花粉アレルゲンと交差反応するアレルギーの予防または処置に使用される。
【0055】
本発明の他の局面は、ブタクサ花粉アレルゲン、特にAmb a 1に対する個体の感受性、または個体におけるブタクサアレルギーの診断に、本明細書に開示される分子を使用することに関する。
【0056】
また、本発明の分子、特に本発明のペプチドは診断目的に使用され得る。本発明の分子およびペプチドは、Amb a 1と交差反応するアレルギーまたはブタクサアレルギーの検出および診断に使用され得る。例えば、これらのアレルギーの検出および診断は、(1)血中の構成要素(例えば、抗体、T細胞、B細胞)を(複数の)ペプチドまたはタンパク質と結合させるために適切な条件において、Amb a 1の単離された1つもしくは複数のペプチドまたはAmb a 1の単離されたα鎖もしくはβ鎖と、ブタクサアレルギーに対する感受性を評価される個体から得られる血液または血液からの生成物を組み合わせること、ならびに(2)そのような結合を生じる程度を測定することによってなされ得る。本発明のペプチドが使用され得るアレルギー性疾患にとっての他の診断方法としては、放射性アレルゲン吸着試験(RAST)、酵素結合免疫吸着検定法(ELISA)、表斜免疫測定(RIA)、免疫放射定量測定法(IRMA)、発光免疫アッセイ(LIA)、ヒスタミン放出アッセイおよびIgE免疫ブロットが挙げられる。
【0057】
本発明のさらなる局面は、ブタクサ花粉アレルゲンに対する個体の感受性を診断する方法に関する。当該方法は、以下の工程:
マスト細胞もしくは好塩基球および/または抗体、特にIgE分類の抗体を含有する、個体のサンプルを準備する工程、
本発明に係る分子/ペプチドと当該サンプルを接触させる工程、
上記分子との接触によって上記マスト細胞もしくは好塩基球から放出されたヒスタミンの量を測定する工程、および/または上記サンプルにおけるブタクサ花粉アレルゲン特異的抗体の量を測定する工程、
放出されたヒスタミンの上記量および/または上記サンプル中のブタクサ花粉アレルゲン特異的抗体の上記量が、ブタクサ花粉アレルギーもしくはブタクサ花粉アレルギーと交差反応を示すアレルギーにかかっていない個体から得られたサンプルと比べて増加している場合に、ブタクサ花粉アレルゲン、特にAmb a 1に対する個体の感受性を診断する工程
を包含する。
【0058】
本発明に係る方法に使用されるサンプルは、血液サンプル、涙液サンプル、唾液サンプルまたは鼻汁サンプルであることが好ましい。
【0059】
本発明の更なる局面は、配列番号142または配列番号143のアミノ酸配列からなるAmb a 1の単離されたα鎖、ならびに配列番号144または配列番号145のアミノ酸配列からなるAmb a 1の単離されたβ鎖に関する。ここで、配列番号142のアミノ酸配列は、PILRQASDGD TINVAGSSQI WIDHCSLSKS FDGLVDVTLG STHVTISNCK FTQQSKAILL GADDTHVQDK GMLATVAFNM FTDNVDQRMP RCRFGFFQVV NNNYDRWGTY AIGGSSAPTI LCQGNRFLAP DDQIKKNVLA RTGTGAAESM AWNWRSDKDL LENGAIFVTS GSDPVLTPVQ SAGMIPAEPG EAAIKLTSSA GVLSCRPGAP Cである。また、配列番号143のアミノ酸配列は、VLPGGMIKSN DGPPILRQAS DGDTINVAGS SQIWIDHCSL SKSFDGLVDV TLGSTHVTIS NCKFTQQSKA ILLGADDTHV QDKGMLATVA FNMFTDNVDQ RMPRCRFGFF QVVNNNYDRW GTYAIGGSSA PTILCQGNRF LAPDDQIKKN VLARTGTGAA ESMAWNWRSD KDLLENGAIF VTSGSDPVLT PVQSAGMIPA EPGEAAIKLT SSAGVLSCRP GAPCである。また、配列番号144のアミノ酸配列は、AEGVGEILPS VNETRSLQAC EAYNIIDKCW RGKADWENNR QALADCAQGF AKGTYGGKWG DVYTVTSNLD DDVANPKEGT LRFAAAQNRP LWIIFKNDMV INLNQELVVN SDKTIDGRGV KVEIINGGLT LMNVKNIIIH NINIHDVKVL PGGMIKSNDG Pである。また、配列番号145のアミノ酸配列は、AEGVGEILPS VNETRSLQAC EAYNIIDKCW RGKADWENNR QALADCAQGF AKGTYGGKWG DVYTVTSNLD DDVANPKEGT LRFAAAQNRP LWIIFKNDMV INLNQELVVN SDKTIDGRGV KVEIINGGLT LMNVKNIIIH NINIHDVKである。
【0060】
Amb a 1は、2つの断片、α鎖(配列番号142または配列番号143)およびβ鎖(配列番号144)に実質的に分割され得る。意外にも両方の鎖が異なる免疫学的特性を示すことがわかった。Amb a 1のα鎖が低いIgE反応性を示す一方において、β鎖がAmb a 1のIgEエピトープのほとんどを含有している。
【0061】
本発明のさらに他の局面は、本発明に係るAmb a 1.3の単離されたα鎖およびAmb a 1.3の単離されたβ鎖を備える薬学的調製物に関する。
【0062】
本発明の他の局面は、個体におけるブタクサ花粉アレルギー、特にAmb a 1によって引き起こされるアレルギーまたはブタクサ花粉アレルゲンと交差反応するアレルギーを処置する薬剤の製造に、本発明に係るAmb a 1.3の単離されたα鎖およびAmb a 1.3の単離されたβ鎖を使用することに関する。
【0063】
本発明のさらなる局面は、個体におけるブタクサアレルギーもしくはブタクサ花粉アレルギーと交差反応するアレルギーの診断、またはブタクサ花粉アレルゲン、特にAmb a 1に対する個体の感受性の診断に、本発明に係るAmb a 1.3の単離されたα鎖およびAmb a 1.3の単離されたβ鎖を使用することに関する。
【0064】
本発明は、以下の図面および実施例によって例示されるが、これらに限定れるものではない。
【0065】
図1は、8Mの尿素におけるニッケルキレートクロマトグラフィー(NCC)を用いたrAmb a 1.3の精製を示す。サンプルは、SDS−PAGE/クーマシー染色を用いて分析された。精製画分は大きな凝集を示した。
【0066】
図2は、組み換えAmb a 1.3のIgEドットブロット分析を示す。大腸菌において生成されたrAmb a 1.3は、上述のように精製され、かつニトロセルロース膜上にドット化された。17人のブタクサ花粉アレルギー患者から得られた血清(1〜17)は、試験され、かつrAmb a 1.3との非常に弱いIgE反応性を示したか、もしくはIgE反応性を示さなかった。同じ患者らは、nAmb a 1との強いIgE反応性を示した。
【0067】
図3は、精製された天然のAmb a 1またはAmb a 1.3を用いて、異なる濃度において刺激したTCLを示す。最適濃度の値が示されている。N=13;ピアスン相関係数:0.979**(p<0.01)またはスピアマンのρ:0.912**。
【0068】
図4は、TCL増殖アッセイにおけるアレルゲン力価測定(天然アレルゲンと対比した複数の組み換えアレルゲン(rAmb a 1.3の異なるロット、ロットL1〜L4))の例を示す。STAおよびOPOは、2人の異なるブタクサアレルギー患者のそれぞれから得られたTCLである。
【0069】
図5は、ブタクサ抽出物およびrAmb a 1.3によってTCLにおいて誘導される類似のサイトカイン産生を示す。
【0070】
図6は、天然のAmb a 1およびrAmb a 1.3によってTCLおよびTCCにおいて誘導される同等のサイトカイン産生を示す。
【0071】
図7は、天然のAmb a 1またはrAmb a 1.3を用いて誘導されたTCLが類似のT細胞エピトープを認識することを示す。
【0072】
図8は、Amb a 1.3の関連するT細胞活性化領域を示す。それぞれのエピトープを認識する患者の百分率が、3を超える刺激指標(SI>3)および5を超える刺激指標(SI>5)のそれぞれについて個別に分析された。
【0073】
図9は、精製nAmb a 1のIgE免疫ブロットを示す。nAmb a 1が、SDS−PAGEによって分析され、かつPVDF膜上に電気ブロットされた。膜片は、ブタクサ花粉アレルギー患者から得られた血清を用いて(レーン1〜29)か、または非アレルギーの提供者から得られた血清を用いて(レーンC)インキュベートされた。結合したIgEは、125I−標識化ヤギ抗ヒトIgEを用いて検出された。ブタクサ花粉感作患者は、オーストリア(レーン1〜13)またはイタリア(レーン14〜29)において募られた。
【0074】
図10は、SDS−PAGEおよびPVDF膜上への電気ブロットの後における、精製された天然のAmb a 1のクーマシー染色を示す。プロセシングを受けていないnAmb a 1、α鎖およびβ鎖に対応するバンドは、N末端配列を得るためにエドマン分解にかけられた。
【0075】
図11は、プロセシングを受けていない天然のAmb a 1(nAmb a 1、図10を参照すればよい)のN末端配列およびAmb a 1アイソフォームの推測されるアミノ酸配列との整合を示す。
【0076】
図12は、天然のAmb a 1(nAmb a 1、図10を参照すればよい)のα鎖のN末端配列およびAmb a 1アイソフォームの推測されるアミノ酸配列との整合を示す。
【0077】
図13は、天然のAmb a 1(nAmb a 1、図10を参照すればよい)のβ鎖のN末端配列およびAmb a 1アイソフォームの推測されるアミノ酸配列との整合を示す。
【0078】
図14は、Amb a 1アイソフォームならびにそれらのα鎖およびβ鎖の推定されるアミノ酸配列を示す。アイソフォームのAmb a 1.1、Amb a 1.Amb a 1.2、Amb a 1.3、Amb a 1.4およびAmb a 2が、公開され(Rafnar et al., J. Biol. Chem. 266: 1229-1236, 1991)かつ特許された(米国特許第5,776,761号)。R2クローンが、抗Amb a 1の親和性精製ウサギ抗体を用いたブタクサ花粉cDNAの花粉の免疫スクリーニングによって、研究室において単離された。そして、R2クローンは、タンパク質レベルにおいてAmb a 1.3と同一である。下線が付された文字は、演算手順SignalP( HYPERLINK "http://www.cbs.dtu.dk/services/SignalP/"http://www.cbs.dtu.dk/services/SignalP/)を用いて予測されたシグナルペプチドを表す。斜字体において表されているのは、N末端配列決定および天然のAmb a 1の質量分析に基づく推定のβ鎖の配列である。斜字体および下線付きの文字は、N末端配列決定および天然のAmb a 1の質量分析に基づく推定のα鎖の配列である(図10〜13;表4)。N末端配列分析によって、太字の配列が精製された天然のAmb a 1調製においてタンパク質分解的に除かれた。
【0079】
図15は、Amb a 1アイソフォームの配列整合を示す。Amb a 1.1、、Amb a 1.2、Amb a 1.3およびAmb a 2のそれぞれがクローン化され、配列決定され、かつ公開された(Rafnar et al., J. Biol. Chem. 266: 1229-1236, 1991)。配列整合は、ソフトウェアClustaw(http://npsa-pbil.ibcp.fr/cgi-bin/npsa automat.pl?page=npsa clustawl.html)を用いて生成された。図14に示される推定される完全なアミノ酸配列は、整合に使用された。
【0080】
図16は、Amb a 1.3(R2クローン)の推定されるアミノ酸配列を示す。(a)N末端配列決定および精製された天然のAmb a 1の質量分析(図1〜13;表4を参照すればよい)からの情報に基づく推定のα鎖およびβ鎖。(b)Amb a 1.3の組み換えのα鎖およびβ鎖を生成するために研究所において作製された第1のコンストラクト。(c)2つの鎖の発現は、全長のAmb a 1.3よりも良好であったが、得られた収量は低かった。さらに、α鎖からT細胞反応性のドメイン(四角の囲み、178〜189位のアミノ酸)を排除した。178〜189位のアミノ酸と対応するT細胞エピトープをα鎖に含めるために設計された、Amb a 1.3の改変したα鎖およびβ鎖(バージョン1)。(d)178〜189位のアミノ酸と対応するT細胞エピトープをα鎖に含めるために、かつ天然のAmb a 1においてタンパク質分解的に除去されることが示されているN末端における最初の20アミノ酸をβ鎖において排除するために設計された、Amb a 1.3の改変したα鎖およびβ鎖(バージョン2)。
【0081】
図17は、大腸菌株BL21およびRosetta−gami B(DE3) pLysSにおける、Amb a 1の改変したα鎖およびβ鎖(バージョン1)の発現を示す。
【0082】
図18は、ニッケルカラム上における親和性精製後における、Amb a 1.3の改変したα鎖およびβ鎖(バージョン1)のSDS−PAGEおよびクーマシー染色を示す。α鎖およびβ鎖は、大腸菌株Rosetta−gami B(DE3) pLysS(Novagen)を用いて高収率に得られた。精製された2つの鎖は、可溶性であり、かつ全長のAmb a 1.3アレルゲンにともなう大きな問題であった凝集するあらゆる傾向を示さなかった。
【0083】
図19は、天然のAmb a 1ならびにAmb a 1.3の改変したα鎖およびβ鎖(バージョン1)のヒトIgEを用いたELISAを示す。
【0084】
図20は、Amb a 1.3の改変したα鎖およびβ鎖(バージョン1)を用いたAmb a 1特異的TCLの増殖を示す。天然のAmb a 1、異なる濃度の全長rAmb a 1.3、rα鎖およびβ鎖が、刺激剤として使用された。TCLは、rAmb a 1.3(Amb)を用いて惹起された。
【0085】
図21は、全長のrAmb a 1.3、Amb a 1の改変したα鎖およびβ鎖(バージョン1)を用いた、2つのAmb a 1特異的TCLの増殖応答を示す。TCLは、rAmb a 1.3(Amb)またはブタクサ花粉抽出物(RW)を用いて惹起された。
【0086】
図22は、Amb a 1.3における同定された関連するT細胞活性化領域を示す。17/26のエピトープは、Amb a 1のC末端領域に配置されている。したがって、上記α鎖およびβ鎖は、これらの関連するT細胞エピトープを含むように設計された。
【0087】
〔実施例〕
(実施例1:Amb a 1をコードするcDNAの単離)
実施例1.1:ウサギ抗Amb a 1抗体の親和性精製
天然のAmb a 1を用いて免疫したウサギからの血清は、当該技術において公知の通常の方法によって取得され得る。ブタクサ花粉cDNAライブラリのスクリーニングのために、Amb a 1特異的抗体は、親和性クロマトグラフィーによって精製された。ブタクサ花粉から精製された5mgの天然のAmb a 1は、CNBr活性化セファロース(GE Healthcare Life Science)に対して結合させられた。ウサギ血清の結合後に、樹脂が洗浄され、かつ非常に特異性の高いAmb a 1特異的抗体が、0.2Mのグリシン pH2.8を用いて溶出された。抗体は、直ちに中和され、かつpH7.4の1×PBS(8gのNaCl、0.2gのKCl、1.44gのNa2HPO4、0.24gのKH2PO4、HClを用いてpH7.4に調節)に対して透析された。それから、精製された抗体は、免疫ブロッティングおよびライブラリスクリーニング実験に使用された。
【0088】
実施例1.2:ブタクサ花粉cDNAライブラリの構築および免疫スクリーニング
ブタクサ花粉cDNAライブラリは、λ ZAP IIベクター(Stratagene)において構築された。精製されたウサギ抗Amb a 1抗体は、ブタクサ花粉cDNAライブラリの400,000のプラーク(plaque)をスクリーニングするために使用された。4つの陽性Amb a 1クローンが単離され、かつUni−ZAP XRベクターからのpBluescrpt ファージミドのインビボにおける切り出しに使用された。R1、R2、R3およびR4と名付けられたクローンは、DNA配列決定に関して選抜された。DNA配列決定は、フランキングプライマーT7およびT3を含む4つおよび5つのプライマーを用いた“プライマーウォーキング”技術によって実施された。R1およびR4のそれぞれは、5’末端において短く切断され、したがって本実験においてさらには使用されなかった。R2およびR3の両方の鎖は2回配列決定された。
【0089】
実施例1.3:発現ベクターpHis−parallel−2へのクローニング
R2(Amb a 1.3)cDNAは、発現ベクターpHis−parallel−2に連結された。クローニング手順に関して、2つの隣接するクローニングプライマーが構築された。完全なcDNA配列は、推定されるシグナルペプチドをコードする75ヌクレオチドだけ5’末端において切断された。以下のプライマー:Rag−Nco−forward:5'−GAGAGAGACCATGGCCGAAGGGGTCGG−AGAAATCTTACCTTCAG−3'(配列番号140)およびRag−Xho−reverse:5’−GAGAGAGACTCGAGTTAGCAAGGTGCTCCAGGACGGCATGAG−3’(配列番号141)が使用された。Nco IおよびXho Iの制限酵素部位が、5’末端および3’末端に導入された。ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)の産物は、制限酵素のNco IおよびXho I(New England Biolabs)を用いて消化され、かつベクターpHis−parallel−2のそれぞれの部位に対して連結された。生じたpHis−parallel−2/R2コンストラクトは、Dye Terminator Cycle配列決定の手順(Applied Biosystems)にしたがって配列決定された。
【0090】
実施例1.4:大腸菌における組み換え R2(Amb a 1)の発現
組み換えタンパク質発現は、コンストラクトpHis−parallel−2/R2を受容れている形質転換受容性の大腸菌株BL21 DE3(Stratagene)を用いて実施された。形質転換体は、100mg/Lのアンピシリンを含有するLBプレート上において選択され、単一の形質転換体コロニーが拾い上げられた。いくつかの小規模発現実験が実施され、かつ大規模タンパク質生成を試みる前に最適化された。培養培地(10g/Lのペプトン、5g/Lの酵母抽出物、10g/Lのグリセロール、5g/LのNaCl、2.5g/Lの(NH42SO4、0.5g/LのMgSO4・7H2Oおよび1.5g/LのNa2HPO4・2H2O、pH7.4に調節された)は、3%のオーバーナイト培養の条件において接種され、150μg/mLのペニシリン (Biochemie)を有する培養培地において増殖させられた。醗酵は、10LのBioflow 3000 Fermenter(New Brunswick Scientific Co.)、37℃、7%の飽和率の200〜400rpmの攪拌、および1.0のOD600における0.4mMのIPTGを用いた誘導の条件において実施された。細菌細胞(10Lの培養液から60〜80gの湿重量の細胞)が、誘導から3時間後に遠心分離によって回収され、かつ100mLのTris塩基、1mMのEDTA、0.1%のTriton X−100(pH未調節、100mL/1gの細胞)に懸濁された。新たに溶解されたライソザイム(100μg/1gの細胞)の添加および1時間にわたる室温におけるインキュベーションの後に、細胞は3回の凍結融解サイクルによって溶解された。可溶画分の分離が遠心分離によってなされ、かつ未処理の封入体が、1%のTriton X−100、20mMのTris−HCl pH8.0、1mMのEDTAを用いて2〜3回洗浄され、その後に50%のエタノール、20mMのTris−HCl pH8.0を用いて2回洗浄された。精製された封入体は、500mLの8Mの尿素、0.5MのNaCl、20mMのTris−HCl pH8.0に溶解された。
【0091】
実施例1.5:組み換えR2(Amb a 1.3)アレルゲンの精製
溶液は、製造者の手引書にしたがってNiCl2を用いて帯電させた後に、直前の工程において説明された緩衝液を用いてあらかじめ平衡化した150mLのChelationg Cellufine Column(Millipore)上に乗せられた。クロマトグラフィーのすべての段階は、Biopilot FPLC system(GE Healthcare Life Science)において実施された。結合したタンパク質は、0〜300mMの範囲のイミダゾール直線勾配を用いて溶出された。画分の精製は、従来のSDS−PAGEによって分析された。ほぼ純粋なAmb a 1.3を含有する画分は、2mMのEDTAを用いて安定化され、続いてVivaflow 50 ultrafiltration(Vivascience)におけるゲルろ過段階によって、50mLの容積まで濃縮されて調製された。ゲルろ過は、Sephacryl S−200 HR(GE Healthcare Life Science)カラム上において、8Mの尿素、0.5MのNaCl、20mMのTris−HCl pH8.0、2mMのEDTAにおいて実施された。純粋なAmb a 1画分は、限外ろ過によって約3mg/mLのタンパク質濃度にまでふたたび濃縮された。凍結乾燥の前にリフォールディング手順が実施された。リフォールディング手順において、ジスルフィド結合が、10mMのメルカプトエタノールの添加によって還元され、続いて1000〜2000倍の容積を有する5mMのNH4HCO3に対する4℃における透析の間にふたたび酸化された。
【0092】
実施例1.6:精製組み換えAmb a 1のSDS−PAGE分析および免疫ブロット分析
タンパク質は、15%のアクリルアミドゲルを用いたSDS−PAGE、および分子量基準RPN 756(GE Healthcare Life Science)を用いたクーマシー染色分析された。アレルギー患者から得られた血清は、陽性のIgE反応性に関して試験された。rAmb a 1およびrArt v 6は、15%(重量/重量)のポリアクリルアミドゲルにおいて分離され、かつPVDF膜上に電気ブロッティング
された。ブロッキング緩衝液(それぞれ1Lに対して、7.5gのNaH2PO4、5gのBSAおよび5mLのTween 20)を用いて非特異的タンパク質結合部位をブロッキングした後に、膜は、室温において6時間以上にわたって患者の血清(ブロッキング緩衝液に1:10において希釈された)とともにインキュベートされた。膜は、少なくとも30分間にわたってブロッキング緩衝液を用いて洗浄された後に、ブロッキング緩衝液に希釈された(1:40)放射線標識[125I]抗ヒトIgE(RAST、5□Ci、MedPro)とともに、オーバーナイトで室温においてインキュベートされた。第2の30分間の洗浄の後に、膜は画像化プレート上に配置された。スクリーンは、少なくとも24時間にわたって露光され、かつ検出用のPhotoImager Bas 1800 IIスキャナーおよび機器の指示ソフトウェア(Fujifilm)を用いて現像された。
【0093】
実施例1.7:Amb a 1アイソフォームをコードするcDNAクローン
ブタクサ花粉ライブラリから単離されたR2クローンおよびR3クローンは、完全であり、かつAmb a 1アイソフォームにコードされた。推測されたR3のアミノ酸配列は、成熟Amb a 1.1アイソフォームと1つのアミノ酸において異なっていた。成熟Amb a 1.1の50位におけるグリシンが、R3においてアラニンに交換されている。推測されたR2のアミノ酸配列は、Amb a 1.3アイソフォームと同一である。R2クローンは、ここに記載されているすべての実験に使用された。以下においてR2クローンをAmb a 1.3と呼ぶ。
【0094】
実施例1.8:Amb a 1.3の組み換え生成およびIgE結合活性
IgE結合活性に関して、大腸菌において全長のrAmb a 1.3を生成する最初の試みは、希望を与えるものではなかった。何よりも、タンパク質分解性の切断が、大腸菌において生成されたrAmb a 1.3の精製の間に生じた。rAmb a 1.3の収量は、10Lの発酵培養液から約15mgのrAmb a 1.3であった。rAmb a 1.3は、まったく封入体のみに見られ、したがってリフォールディング手順の使用が必要であった。しかし、全長のrAmb a 1.3の正確なリフォールディングは、困難であることが分かった。リフォールディングに関する異なる標準的な手法を用いた後に、最良の調製物は、ほとんどが不溶性の凝集体を構成した(図1を参照すればよい)。
【0095】
精製手順の種々の変更および異なる安定化剤の種々の添加は、正しくフォールディングされた可溶性のタンパク質を生じなかった。非変性アッセイ(例えば、ドットブロット、ELISA)において、rAmb a 1.3は、ヒトIgEと結合できなかった(図2)。還元および熱処理(SDS−PAGE/免疫ブロッティングにとっての標準的な手法)の後にのみ、rAmb a 1.3は、患者のIgEと反応した。これらの結果は、上述のように生成されたrAmb a 1.3が、アレルギーの診断および治療に好適な試薬ではないことを明らかに証明した。したがって、完全なIgE結合活性を有する組み換え試薬を生成する他の方法が、実施例4に記載の通りに実施された。その低いIgE結合活性にもかかわらず、rAmb a 1.3は、T細胞エピトープマッピングおよび増殖アッセイに首尾よく使用されたので、正しいフォールディングは、T細胞の認識に必須ではない。
【0096】
(実施例2:Amb a 1のT細胞認識)
実施例2.1:患者
Amb a 1に対するT細胞応答は、確立されたインビトロにおける培養系(Jahn-Schmid et al., J. Immunol. 169: 6005-11, 2002; Jahn-Schmid et al., J. Allergy Clin. Immunol., 115: 399-404, 2005)を用いて、詳細に性質決定された。典型的な病歴、陽性の皮膚プリック試験およびブタクサ抽出物に関するCAP/RAST試験を有する、臨床的に十分に規定される合計85人の患者(ウィーンから75人およびミラノから10人)が含められた。
【0097】
実施例2.2PBMC、Amb a 1特異的T細胞株(TCL)およびT細胞クローン(TCC)
末梢血単核球(PBMC)が、フィコール密度勾配遠心分離によって、アレルギー患者の末梢血から単離された。アレルゲン特異的なT細胞株(TCL)およびT細胞クローン(TCC)を生成するために、1.5×106のPBMCが、24ウェルの平底培養プレート(コスター、USA)において、最適量(4μg/ml)のブタクサ抽出物またはヨモギ抽出物、またはrAmb a 1.3(10μg/ml)を用いて刺激された。5日後にヒトrIL−2(10U/ml、ボーリンガー、マンハイム、ドイツ)が加えられ、かつ培養は、さらに7日間にわたって続けられた。それから、T細胞芽球が密度遠心分離によって単離された。T細胞芽球のほとんどは、IL−2および放射線照射を受けたPBMCを用いて増やされた。小数のT細胞芽球は、限界希釈によって単クローン性のT細胞株を確立するために使用された。放射線照射を受けた(60Gy)2×105のPBMC、0.25%(容積/容積)のPHA(Gibco、USA)およびrIL−2(4U/ウェル)の存在下における上述の培地を入れた、96ウェルの丸底プレート(Nunclone)に、0.3のT細胞/ウェルが播かれた。14〜21日後に、成長している微量培養物は、わずかな間隔を置いて、rIL−2および放射線照射を受けたPBMCを用いて増やされた。TCCの特異性は、放射線照射を受けた異質遺伝子型PBMC、HLA適合PBMCまたは放射線照射を受けたEBV癌化の異質遺伝子型B細胞、ならびに5μg/mlのAmb a 1.3を用いた、増殖アッセイにおいて評価された。48時間後に、トリチウムを含む(3H)−チミジンの細胞への取り込みが、1分ごとのカウント(cpm)における増殖の測定に利用された。刺激指標(SI;TCC+自己のAPC+抗原を含有する培養において得られたcpmと、TCCおよびAPC単独を含有する培養において得られたcpmとの間の比率)が>10であった場合に、応答は陽性と見做された。アレルゲン特異的TCCは、放射線照射を受けた自己のAPCおよびアレルゲン、または異質遺伝子型の支持細胞およびrIL−2を用いた刺激の交互の転換によって増やされた。自己反応性に起因して異なる程度のバックグラウンド増殖を示したPBMCおよびTCLに関して、>3のSIまたはそれぞれ10,000dpmは、抗原特異性に関するカットオフ値(cut−off)と見做された。
【0098】
Amb a 1特異的なTCLおよびTCCは、Amb a 1.3のT細胞エピトープを同定するために使用された。T細胞株は、Amb a 1.3のC末端ペプチドを代表する121の合成ペプチド(120の12merペプチドおよび1つの13merのペプチド)の一群(Pepset、Biotrend、ドイツ)を用いて刺激された。ペプチドは、Amb a 1.3のアミノ酸配列にしたがって合成されており、かつ隣りあうペプチドと9アミノ酸残基だけ重複している(表1)。ペプチドは、刺激のために5μg/mlの濃度において使用され、かつT細胞株の増殖は、48時間後の3H−チミジンの取り込みによって測定された。TCLにおける自己反応性によって引き起こされるしばしば観察された高いバックグラウンドのために、少なくとも10の刺激ペプチドを用いて(ペプチドは無毒である)観察されたcpmの平均が、SIの算出における陰性対照として使用された。本明細書を通して、刺激指標が少なくとも3.0であった場合に、ペプチドが1つのT細胞エピトープを備えていた。また、SI≧5.0を有する強い刺激ペプチドは、表2および3に示されている。
【0099】
【表1】

【0100】
【表2】

【0101】
実施例2.3:サイトカインの測定
T細胞は、洗浄され、かつ刺激物(5μg/ml)の存在下において48時間にわたって放射線照射を受けた自己のAPCとともにインキュベートされた。生じた上清におけるサイトカインレベルは、適合抗体対(Endogen、USA)を用いたELISA(感度の限界: IL−4:9pg/ml、IFN−γ:9pg/ml)において測定された。TCCおよびAPC単独を含有する株が、陰性対照の役割を果たした。>10のIFN−γ/IL−4の割合を有するTCCは、Th1と分類され、当該割合が0.1〜10のTCCはTh0と分類され、かつ当該割合が<0.1のTCCはTh2と分類された。
【0102】
実施例2.4:フローサイトメトリー
TCCの表現型は、FACScanならびにFITC標識モノクローナル抗体である、抗Leu/CD3、抗Leu 2a/CD8、抗TCR αβ WT 31、抗TCR γδおよびCRTH2+ヤギ抗ラットPE(すべての抗体は、BD Bioscience、USAから入手された)を用いた、フローサイトメトリーによって分析された。
【0103】
実施例2.5:天然Amb a 1とのrAmb a 1の比較
組み換えAmb a 1.3アイソフォームが天然のAmb a 1(アイソフォームの混合物)と比べてT細胞を刺激したかを確認するために、PBMCおよびAmb a 1特異的TCLおよびAmb a 1特異的TCCは、異なる濃度の天然のAmb a 1またはrAmb a 1.3を用いて刺激された。増殖およびサイトカイン応答が測定された。両方のアレルゲンの刺激能は、濃度の範囲の全体に渡って安定であり、天然のAmb a 1およびrAmb a 1.3は、同等のT細胞増殖(図3および4)およびサイトカイン産生(図5および6)を一般的に誘導した。クローンレベルにおいて、rAmb a 1.3の異なるエピトープを認識するAmb a 1特異的TCCが試験されたうちの1/6は、天然Amb a 1に対して反応しなかった(エピトープ:265〜276アミノ酸)。ブタクサ抽出物または組み換えAmb a 1.3を用いて誘導されたTCLは、類似のT細胞エピトープパターンを示した(図7)。
【0104】
実施例2.6:Amb a 1のT細胞エピトープ
Amb a 1.3のT細胞エピトープマッピングが実施されて、異なる患者(ウィーンから37人およびイタリアから9人)から得られた48のTCLを評価した(表2)。当該TCLは、ブタクサ抽出物(天然のアレルゲンを含有している)またはrAmb a 1.3を用いて惹起されている。ブタクサ抽出物またはrAmb a 1.3のいずれかを用いて誘導された、同じ個体からのTCLは、類似のT細胞エピトープを認識した(表2、図7)。オーストリア人およびイタリア人の患者は、類似のエピトープ認識プロファイルを示した。したがって、これらのデータは、さらなる分析と組み合わせられた(表3)。多くの吸入アレルゲンにとって典型的な、多数のT細胞活性化領域がAmb a 1.3において検出された。単一の個体からのT細胞によって認識されたペプチドの数は、平均して17.8のペプチドであり、2から最大で60のペプチドの範囲であった(SI>3に関して中央値=16;それぞれ0〜36/11.9/SI>5に関して12)(表3を参照すればよい)。合計して26の関連する、12〜18位のアミノ酸を備えるT細胞活性化領域(すなわち、≧10%の試験された患者によって認識された)が同定された。これらのエピトープ含有領域は、普及の等級に分けられた(SI>5を参照すればよい)。
【0105】
11の領域が10〜20%の患者において陽性であった:
ペプチド20(82〜93位のアミノ酸)、GKWGDVYTVTSN(配列番号20)、14.6%によって認識された;
ペプチド42(148〜159位のアミノ酸)、ペプチドEIINGGLTLMNV(配列番号42)、10.4%によって認識された;
ペプチド44(154〜165位のアミノ酸)、LTLMNVKNIIIH(配列番号44)、18.8%によって認識された;
ペプチド78(256〜267位のアミノ酸)、KGMLATVAFNMF(配列番号78)、12.5%によって認識された;
ペプチド80〜81(262〜276位のアミノ酸)、VAFNMFTDNVDQRMP(配列番号122)、12.5%によって認識された;
ペプチド83(271〜282位のアミノ酸)、VDQRMPRCRFGF(配列番号83)、16.7%によって認識された;
ペプチド88〜89(286〜300位のアミノ酸)、VNNNYDRWGTYAIGG(配列番号123)、12.5%によって認識された;
ペプチド94(304〜315位のアミノ酸)、PTILCQGNRFLA(配列番号94)、18.8%によって認識された;
ペプチド98〜99(316〜330位のアミノ酸)、PDDQIKKNVLARTGT(配列番号124)、16.7%によって認識された;
ペプチド100(322〜333位のアミノ酸)、KNVLARTGTGAA(配列番号100)、10.4%によって認識された;
ペプチド101/102(325〜339位のアミノ酸)、LARTGTGAAESMAWN(配列番号125)、14.6%によって認識された。
【0106】
9の領域が21〜30%の患者において陽性であった:
ペプチド27〜28(103〜117位のアミノ酸)、EGTLRFAAAQNRPLW(配列番号126)、22.9%によって認識された;
ペプチド30〜31(112〜126位のアミノ酸)、QNRPLWIIFKNDMVI(配列番号127)、20.8%によって認識された;
ペプチド33〜34(121〜135位のアミノ酸)、KNDMVINLNQELVVN(配列番号128)、27.1%によって認識された;
ペプチド36〜37(130〜144位のアミノ酸)、QELVVNSDKTIDGRG(配列番号129)、25.0%によって認識された;
ペプチド46〜48(160〜177位のアミノ酸)、KNIIIHNINIHDVKVLPG(配列番号130)、20.8%によって認識された;
ペプチド86(280〜291位のアミノ酸)、FGFFQVVNNNYD(配列番号86)、20.6%によって認識された;
ペプチド91(295〜306位のアミノ酸)、TYAIGGSSAPTI(配列番号91)、22.9%によって認識された;
ペプチド109〜111(349〜366位のアミノ酸)、NGAIFVTSGSDPVLTPVQ(配列番号131)、22.9%によって認識された;
ペプチド118〜120(376〜393位のアミノ酸)393、GEAAIKLTSSAGVLSCRP(配列番号132)、20.8%によって認識された。
【0107】
3つの領域が31〜49%の患者において陽性であった:
ペプチド38〜40(136〜153位のアミノ酸)、SDKTIDGRGVKVEIINGG(配列番号133)、33.3%によって認識された;
ペプチド68(226〜237位のアミノ酸)、GSTHVTISNCKF(配列番号68)、33.3%によって認識された;
ペプチド114〜115(364〜378位のアミノ酸)、PVQSAGMIPAEPGEA(配列番号134)、35.4%によって認識された。
【0108】
3つの領域が>50%の患者において陽性であった:
ペプチド52(178〜189位のアミノ酸)、GMIKSNDGPPIL(配列番号52)、56.3%によって認識された;
ペプチド59〜61(199〜216位のアミノ酸)、NVAGSSQIWIDHCSLSKS(配列番号135)、58.3%によって認識された;
ペプチド107〜108(343〜357位のアミノ酸)、DKDLLENGAIFVTSG(配列番号136)、56.3%によって認識された。
【0109】
50%を超えるアレルギー患者において増殖性応答を誘導する3つのT細胞活性化領域は、免疫優性エピトープであると決定した(図8、表3)。
【0110】
あるペプチドのT細胞活性化能は、認識の頻度と一般的に相関しない。したがって、“陽性指標(PI;陽性患者の百分率×SIの平均)”が他の重要なエピトープを明らかにするために算出された。PIは、98〜2300までの範囲内であり、かつ上述の3つの免疫優性領域および4つのさらなる領域(PI>700;27%の最高値)を、Amb a 1.3における強い免疫原性領域として決定した:
46〜48:160〜177位のアミノ酸:KNIIIHNINIHDVKVLPG(配列番号130)
109〜111:349〜366位のアミノ酸:NGAIFVTSGSDPVLTPVQ(配列番号131)
114〜115:364〜378位のアミノ酸:PVQSAGMIPAEPGEA(配列番号134)
118〜120:376〜393位のアミノ酸:GEAAIKLTSSAGVLSCRP(配列番号132)。
【0111】
TCLに加えて、10人の異なるブタクサ花粉アレルギー患者から100を超えるAmb a 1特異的TCCが確立された。1つのCD8+TCCを除いて、これらのTCCは、CD4+TCR αβ+T細胞であることが示された。108のAmb a 1特異的TCC(n=10の患者)におけるサイトカイン産生の調査によって、これらのTCCの大部分(50%)においてTh2様サイトカインプロファイルが明らかになった(Th1:11%;Th0 39%)。さらに、調査された68のTCC(患者 n=8)のうちの74%がCRTh2を発現した。CRTh2は、Th2T細胞の表面マーカーであり、またわれわれの株におけるAmb a 1特異的T細胞が関連するアレルゲン性T細胞を代表することを示している。Amb a 1特異的TCCを用いたAmb a 1.3のT細胞エピトープマッピングは、TCLから得られたデータを反映していた。その結果から、Amb a 1の提示が多様である(制限要素としてHLA−DR、−DPまたは−DQを含む)ことが示された。
【0112】
米国特許第6,335,020号明細書(ブタクサ花粉由来のアレルゲン性ペプチド)において、T細胞反応性の主要な4つの領域:57〜101位、182〜215位、280〜322位および342〜377位のアミノ酸が報告されている(図6)。このエピトープ分布は、本発明のエピトープといくつかの内容物に関して異なる。例えば、57〜101位のアミノ酸の領域に対比して、101〜180位のアミノ酸内のエピトープがはるかに頻度よく認識されることが見出された。関連する木本花粉アレルゲンCha o 1(ヒノキ)、Cry j 1(スギ)に由来するT細胞エピトープは、他者によって説明されている(Sone et al., Clin Exp Allergy, 35: 664-71, 2005)。これらのアレルゲンの主要なエピトープは、Amb a 1における副次的なT細胞エピトープと相同な領域に配置されている。
【0113】
【表3】

【0114】
【表4】

【0115】
【表5】

【0116】
【表6】

【0117】
【表7】

【0118】
【表8】

【0119】
【表9】

【0120】
(実施例3:Amb a 1のα鎖およびβ鎖の性質決定)
nAmb a 1は、精製の間に自然発生的にタンパク質分解を受け、かつnAmb a 1は、2つの鎖(α鎖およびβ鎖)のそれぞれに切断される。種々の国(イタリア、カナダおよびオーストリア)における患者から回収された血清を用いたデータによって、ほとんど(90%)の患者が12kDaのβ鎖を認識したことが示された。これに対して、α鎖は、試験された患者の65%のみのIgE抗体と弱く結合した(図9)。
【0121】
T細胞エピトープの同定を目的とした実験(実施例2に記載した)において、これらのT細胞活性化領域が45%を超えるアレルギー患者において増殖性応答を誘導し、したがって免疫優性エピトープとして明らかになったこと(表3、図8)が見出された。興味深いことに、これらおよび他のT細胞活性化領域は、α鎖に対応するAmb a 1のC末端領域に集まっている。したがって、これまでに公開された研究(King et al. Arch. Biochem. Biophys. 212: 127-135, 1981)とは反対に、今回、集められたデータは、Amb a 1の2つの鎖の免疫学的特性が異なることを示している。これらの発見が、大腸菌においてこれらの鎖を別々に生成させることの可能性、ならびにアレルギーの診断および免疫療法にとっての候補ワクチンとして利用する可能性を調査することに導いた。弱いIgE結合能を有するが、高い免疫原性(T細胞活性化)を有するα鎖は、特異的な免疫療法にとっての最適のツールである。一方において、高いIgE反応性のβ鎖は、ブタクサ花粉アレルギーを診断するための候補物である。
【0122】
このために、α鎖およびβ鎖の生成に使用する正確な切断部位を決定するための実験が実施された。当該実験は、ブタクサ花粉からのAmb a 1の抽出および精製の間におけるAmb a 1に関して説明されている(King et al. Immunochem. 11: 83-92, 1974)。SDS−PAGEによる分子量の推定の他には、構造的なデータがAmb a 1鎖に関して公開されていない。精製された天然Amb a 1(King et al. Immunochem. 11: 83-92, 1974を参照すればよい)は、Maldi−TOF質量分析によって分析され、かつAmb a 1の未処理のα鎖およびβ鎖に対応するバンドは、SDS−PAGE/電気ブロッティング/クーマシー染色の後にエドマン分解にかけられた。このようにして、プロセシングを受けた天然Amb a 1およびプロセシングを受けていない天然のAmb a 1の正確な質量およびN末端配列を決定することが可能になった(図10〜13、表4)。
【0123】
実施例3.1:N末端配列分析
天然Amb a 1は、15%のSDS−PAGEによって分離され、かつポリビニル ジフルオライド(PVDF)膜(Millipore)上に電気ブロットされた。Amb a 1およびその断片に対応するバンドが切り出され、かつ室温において1時間にわたって40%(容積/容積)のアセトニトリルおよび30%(容積/容積)のトリフルオロ酢酸の水溶液においてインキュベートすることによって、タンパク質が溶出された。サンプルは、真空乾燥され、水に再懸濁され、かつHP G1005Aシークエンシングシステム(Agilent Technologies)を用いて配列決定された。
【0124】
実施例3.2:マトリックス支援レーザイオン化−飛行時間型(MALDI−TOF)質量分析
シナピン酸およびウシ膵臓トリプシンの分子ピークが、カリブレーションに使用された。100mMのDTTを含む0.5μl(〜0.7μl)の天然Amb a 1タンパク質溶液、および0.5μlのシナピン酸マトリクスが、50%(容積/容積)のアセトニトリルおよび0.1%(容積/容積)のトリフルオロ酢酸(TFA)の飽和溶液に溶解され、混合され、かつ標的スライド塗布された。サンプルは、Kompact MALDI−TOF IV質量分析器(Shimazu)を用いて直線飛行モードにおいて分析された。
【0125】
実施例3.3:結果
まとめると、データ(図10〜13、表4)によって、Amb a 1の予測されるアミノ酸配列内のα鎖およびβ鎖の正確な位置づけを可能になりし、かついくつかのタンパク質分解段階がこれらの生成に関わることが示された。
(i)プロセシングを受けていないAmb a 1のN末端配列は、17〜20アミノ酸がタンパク質のN末端配列から除かれていることを示した。
(ii)β鎖は、138アミノ酸長であり、かつAmb a 1のN末端部分に対応する(成熟タンパク質(Amb a 1.1アイソフォームをテンプレートとして採用している)の18〜155位のアミノ酸)。
(iii)α鎖は、207アミノ酸長であり、かつAmb a 1のC末端部分に対応する(成熟タンパク質(Amb a 1.1アイソフォームをテンプレートとして採用している)の165〜371位のアミノ酸)。
(iv)9つのアミノ酸が、β鎖のC末端とα鎖のN末端との間から除去されている。
【0126】
図14は、Amb a 1の予測されるアミノ酸配列を、それらの配列上に位置づけられた推定のα鎖およびβ鎖とともに示す。
【0127】
【表10】

【0128】
(実施例4:Amb a 1.3のα鎖およびβ鎖の組み換え生成)
実施例4.1:天然のプロセシングに従って設計された、Amb a 1.3のα鎖およびβ鎖の発現ベクターの構築および精製
プラスミドの構築および鎖の精製が実施例4.2に記載の通りに実施された。2つの鎖における差異は、図16に示されている。表5は、α鎖およびβ鎖の組み換え生成用の種々の構築物をまとめたものである。
【0129】
実施例4.2:Amb a 1.3の改変したα鎖およびβ鎖(バージョン1)の組み換え生成
本実験によって、改変された鎖の個別の生成が、全長のAmb a 1.3分子の生成よりもはるかに有効であることが証明された。α鎖の生成収量は、1Lの発酵培養物につき約100mgであった。さらに、α鎖およびβ鎖の両方に関して大きな凝集体の形成は認められなかった(図18)。
【0130】
実施例4.2.1:プラスミド構築
改変した鎖にしたがって設計されたプライマーを用いた、もとのR2クローンからの100μlの標準的なPCRが実施された。PCR産物は、Wizard Gene clean up(Promega)を用いてアガロースゲルから溶出された。両方のプライマーセット(β用およびα用)は、5’末端にNco I部位ならびに3’末端にストップコドンおよびXho Iを含んでいた。これらの酵素を用いてPCR断片およびベクターpHisparallel−2は、オーバーナイト、37℃において消化された。アガロースゲルからの溶出(Wizard Gene clean up、Promega)の後に、PCR断片は、T4 DNAリガーゼ(Invitrogen)を用いて、標準的なライゲーション手順にしたがってベクターに連結された。連結反応は、電気穿孔法によって細菌株TG1(K12、D(lac−pro)、supE、thi、hsdD5/F’[traD36、proA+B+、lacIq、lacZDM15])を形質転換するために使用された。100μlの形質転換体をプレートに播いた後に、LBamp寒天プレートは、オーバーナイト、37℃においてインキュベートされた。PCRコロニースクリーニングが使用されて、陽性のクローンを選択した(コロニーの少量がクローニングプライマーを用いた標準的なPCR用の鋳型として使用される)。選択されたクローンは、50mlのSB培養およびプラスミド精製に使用された。挿入物は、ABIシークエンシングキットを用いて配列決定された。正しい配列を有するプラスミドが使用されて、細菌株BL21およびRosetta−gami B(DE3)pLysS(Novagen)を形質転換した。予備的な実験によって、大腸菌株Rosetta−gami B(DE3)pLysSを用いればより高い発現レベルが実現されることが示された(図17)。
【0131】
実施例4.2.2:Amb a 1.3の改変したα鎖およびβ鎖(バージョン2)の発現および精製
新たに形質転換された細菌から得られた10〜20のクローンは、0.5〜0.7のOD600までSBにおいて増殖され、それから0.4mMのIPTGを用いて誘導された。発現は、4〜5時間にわたって実施され、それから培養物が遠心分離(5,000g)によってペレット化された。細菌のペレットが開始緩衝液(25mMのリン酸ナトリウム pH8.0、1MのNaCl)に再懸濁された。細胞は、3回の凍結融解(液体窒素における凍結および25℃における融解)によって溶解された。懸濁物は、ライソザイム(5mg/ml)、Dnase(0.5μg/ml)を用いて処理され、かつ5分間にわたって超音波処理された。遠心分離(15,000g)の後に、ペレットは、尿素開始緩衝液(開始緩衝液+6Mの尿素+10mMのイミダゾール)に再懸濁された。遠心分離(15,000g)の後に、上清は、HisTrap Ni2+カラム(Amersham)にかけられた。溶出は、溶出緩衝液(尿素開始緩衝液+400mMのイミダゾール)を有する勾配によって実施された。画分がプールされ、かつ500mMのL−Arg pH8.5に対して3回透析された。その後に、タンパク質は、PBSに対して透析された。Amb a 1の精製されたα鎖およびβ鎖(図18)は、IgE結合アッセイおよびT細胞増殖アッセイに使用された。
【0132】
実施例4.2.3:Amb a 1.3の改変したα鎖およびβ鎖(バージョン1)に対するT細胞応答
表3におけるT細胞エピトープの結果と比較した場合に、45/46(98%)の患者は、Amb a 1α鎖における1つ以上のエピトープを認識するだろう。したがって、Amb a 1の改変したα鎖およびβ鎖(バージョン1)に対するT細胞応答は、利用可能なAmb a 1反応性のTCL(n=6)およびTCC(n=2)を用いて、実施例2に記載のように増殖アッセイにおいて試験された。
【0133】
実施例4.3:組み換え生成
天然にプロセシングを受けたAmb a 1にしたがって設計されたα鎖およびβ鎖の生成は、非常に低い収量のためにあまり希望を与えるものではなかった。しかし、T細胞エピトープマッピング実験から得られたデータによって、1つの重要なエピトープが、ほとんどのT細胞反応性ドメイン(図16、アミノ酸178〜189)を有するα鎖に含まれていないことが示された。したがって、新たな鎖はこのT細胞エピトープ(表5、図16)を含むように設計された。
【0134】
実施例4.4:IgE結合
実施例3において示された通り、Amb a 1の天然にプロセシングを受けたα鎖およびβ鎖は、異なる免疫学的特性を有している。α鎖が低いIgE反応性を示す一方において、β鎖はAmb a 1のIgEエピトープのほとんどを含有している。したがって、精製されたα鎖のIgE結合活性を試験するために、ブタクサアレルギー患者から得られた血清を用いてELISAが実施された。12人の患者からの結果によって、α鎖が、インビトロにおいて低いIgE結合活性を示すこと/IgE結合活性を示さないことが確かめられた(図19)。実験は、β鎖の生成および性質決定のために実施されている。
【0135】
実施例4.5:T細胞反応性
試験された6つのTCLのうちAmb a 1に対する強い反応性を有する2つのTCLが図20に示されている。α鎖は、増殖の刺激に関してβ鎖よりもはるかに有効であった(Amb a 1の応答の、82%および84%に対して38%および19%)。この知見は、これらの2つのTCLのエピトープ認識パターンによって説明され得る(図2を参照すればよい)。また、他の2つのTCLは、それらのエピトーププロファイルにしたがってα鎖および/またはβ鎖と反応した(図21)。
【0136】
Amb a 1−α内のエピトープに対して特異的な2つのTCCは、Amb a 1.3ほどには強くない程度にα鎖と反応するが、β鎖とは反応しない。
【0137】
【表11】

【0138】
(まとめ)
要約すると、Amb a 1の関連する26のT細胞活性化領域が、確実性に関する閾値としてSI>5を選んで、同定された(図8および22)。
【0139】
48人の異なる患者から得られたT細胞株によって認識されたT細胞エピトープの分析において、17/26のエピトープが、Amb a 1.3のC末端領域(α鎖)に配置されている一方において、β鎖が、患者の10〜30%のみによって主に認識される少数のT細胞エピトープを含有することが見出された(図8、表3)。
【0140】
しかし、50%を超える患者によって認識される、関連する/免疫優勢なT細胞エピトープ配列は、天然に生じる鎖(α鎖においてほんの部分的に代表される)に切断される。この重要なT細胞活性化領域を網羅するために、本発明は、β鎖のC末端からα鎖のN末端までの16アミノ酸残基を加えることによる、α鎖の改変(改変したバージョン1;図16、表5)を含む。したがって、Amb a 1.3α鎖の改変(バーsジョン1)した構築物は、Amb a 1の最も頻繁に認識される3つのT細胞エピトープを含む(図22)。
【0141】
ブタクサ花粉アレルギー用のワクチンとしての、Amb a 1.3のα鎖の全体(改変したバージョン1)の使用は、試験された患者(n=48)の100%を保護するだろう。
【0142】
ブタクサ花粉アレルギー患者のペプチド免疫療法に対する、本明細書において同定された3つの免疫優勢T細胞エピトープの組み合わせの使用は、患者の93%を保護するだろう。
GMIKSNDGPPIL(ペプチド52;配列番号52)
GSSQIWIDHCSLSKS(ペプチド60〜61;配列番号137)
DKDLLENGAIFVTSGSDPVLTPVQ(ペプチド107〜111;配列番号138)。
【0143】
以下の4つのペプチドの混合物は、患者の95.8%を保護するだろう。
GMIKSNDGPPIL(ペプチド52;配列番号52)
GSSQIWIDHCSLSKS(ペプチド60〜61;配列番号137)
DKDLLENGAIFVTSGSDPVLTPVQ(ペプチド107〜111;配列番号138)
AIKLTSSAGVLSCRP(ペプチド119〜120;配列番号139)。
【0144】
また、この最適なペプチドの組み合わせに対して、以下の頻繁に認識されるペプチドの追加が考えられ得る。
KNIIIHNINIHDVKVLPG(ペプチド46〜48;配列番号130)
GSTHVTISNCKF(ペプチド68;配列番号68)
SAGMIPAEPGEA(ペプチド115;配列番号115)。
【図面の簡単な説明】
【0145】
【図1】8Mの尿素におけるニッケルキレートクロマトグラフィー(NCC)を用いたrAmb a 1.3の精製を示す。
【図2】組み換えAmb a 1.3のIgEドットブロット分析を示す。
【図3】精製された天然のAmb a 1またはAmb a 1.3を用いて、異なる濃度において刺激したTCLを示す。
【図4】TCL増殖アッセイにおけるアレルゲン力価測定(天然アレルゲンと対比した複数の組み換えアレルゲン(rAmb a 1.3の異なるロット、ロットL1〜L4))の例を示す。
【図5】ブタクサ抽出物およびrAmb a 1.3によってTCLにおいて誘導される類似のサイトカイン産生を示す。
【図6】天然のAmb a 1およびrAmb a 1.3によってTCLおよびTCCにおいて誘導される同等のサイトカイン産生を示す。
【図7】天然のAmb a 1またはrAmb a 1.3を用いて誘導されたTCLが類似のT細胞エピトープを認識することを示す。
【図8】Amb a 1.3の関連するT細胞活性化領域を示す。
【図9】精製nAmb a 1のIgE免疫ブロットを示す。
【図10】SDS−PAGEおよびPVDF膜上への電気ブロットの後における、精製された天然のAmb a 1のクーマシー染色を示す。
【図11】プロセシングを受けていない天然のAmb a 1(nAmb a 1、図10を参照すればよい)のN末端配列およびAmb a 1アイソフォームの推測されるアミノ酸配列との整合を示す。
【図12】天然のAmb a 1(nAmb a 1、図10を参照すればよい)のα鎖のN末端配列およびAmb a 1アイソフォームの推測されるアミノ酸配列との整合を示す。
【図13】天然のAmb a 1(nAmb a 1、図10を参照すればよい)のβ鎖のN末端配列およびAmb a 1アイソフォームの推測されるアミノ酸配列との整合を示す。
【図14】Amb a 1アイソフォームならびにそれらのα鎖およびβ鎖の推定されるアミノ酸配列を示す。
【図15】Amb a 1アイソフォームの配列整合を示す。
【図16】Amb a 1.3(R2クローン)の推定されるアミノ酸配列を示す。
【図17】大腸菌株BL21およびRosetta−gami B(DE3) pLysSにおける、Amb a 1の改変したα鎖およびβ鎖(バージョン1)の発現を示す。
【図18】ニッケルカラム上における親和性精製後における、Amb a 1.3の改変したα鎖およびβ鎖(バージョン1)のSDS−PAGEおよびクーマシー染色を示す。
【図19】天然のAmb a 1ならびにAmb a 1.3の改変したα鎖およびβ鎖(バージョン1)のヒトIgEを用いたELISAを示す。
【図20】mb a 1.3の改変したα鎖およびβ鎖(バージョン1)を用いたAmb a 1特異的TCLの増殖を示す。
【図21】全長のrAmb a 1.3、Amb a 1の改変したα鎖およびβ鎖(バージョン1)を用いた、2つのAmb a 1特異的TCLの増殖応答を示す。
【図22】Amb a 1.3における同定された関連するT細胞活性化領域を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
配列番号52、配列番号137、配列番号138および配列番号139からなる群から選択されるアミノ酸配列からなる少なくとも1つのペプチドを備える、ワクチン調合物。
【請求項2】
少なくとも1つの薬学的に受容可能な補佐剤、賦形剤および/または担体をさらに備えることを特徴とする請求項1に記載のワクチン調合物。
【請求項3】
配列番号12、配列番号20、配列番号27、配列番号28、配列番号30、配列番号31、配列番号33、配列番号36、配列番号37、配列番号38、配列番号39、配列番号41、配列番号42、配列番号44、配列番号46、配列番号47、配列番号48、配列番号50、配列番号51、配列番号52、配列番号53、配列番号59、配列番号60、配列番号61、配列番号67、配列番号68、配列番号69、配列番号77、配列番号78、配列番号79、配列番号80、配列番号81、配列番号83、配列番号86、配列番号87、配列番号88、配列番号89、配列番号90、配列番号91、配列番号93、配列番号94、配列番号96、配列番号97、配列番号98、配列番号99、配列番号100、配列番号101、配列番号102、配列番号107、配列番号108、配列番号109、配列番号110、配列番号111、配列番号112、配列番号114、配列番号115、配列番号118、配列番号119、配列番号120、配列番号121、配列番号122、配列番号123、配列番号124、配列番号125、配列番号126、配列番号127、配列番号128、配列番号129、配列番号130、配列番号131、配列番号132、配列番号133、配列番号134、配列番号135、配列番号136、配列番号137、配列番号138、配列番号139およびこれらの機能的な等価物からなる群から選択されるアミノ酸配列からなり、かつブタクサ花粉アレルゲンAmb a 1から得られる、ペプチド。
【請求項4】
請求項3に記載のペプチドの少なくとも1つ、および免疫原から得られる第2のペプチドの少なくとも1つを備える、分子。
【請求項5】
上記免疫原が、好ましくはAmb a 2、Amb a 3、Amb a 5、Amb a 6、Amb a 7、Amb a 8、Amb a 9、Amb a 10、Amb t 5、Art v 1、Art v 2、Art v 3、Art v 4、Art v 5、Art v 6、Hel a 1、Hel a 2、Hel a 3、Mer a 1、Che a 1、Che a 2、Che a 3、Sal k 1、Cat r 1、Pla l 1、Hum j 1、Par j 1、Par j 2、Par j 3、Par o 1、Cyn d 1、Cyn d 7、Cyn d 12、Cyn d 15、Cyn d 22w、Cyn d 23、Cyn d 24、Dac g 1、Dac g 2、Dac g 3、Dac g 5、Fes p 4w、Hol l 1、Lol p 1、Lol p 2、Lol p 3、Lol p 5、Lol p 11、Pha a 1、Phl p 1、Phl p 2、Phl p 4、Phl p 5、Phl p 6、Phl p 11、Phl p 12、Phl p 13、Poa p 1、Poa p 5、Sor h 1、Pho d 2、Aln g 1、Bet v 1、Bet v 2、Bet v 3、Bet v 4、Bet v 6、Bet v 7、Car b 1、Cas s 1、Cas s 5、Cas s 8、Cor a 1、Cor a 2、Cor a 8、Cor a 9、Cor a 10、Cor a 11、Que a 1、Fra e 1、Lig v 1、Ole e 1、Ole e 2、Ole e 3、Ole e 4、Ole e 5、Ole e 6、Ole e 7、Ole e 8、Ole e 9、Ole e 10、Syr v 1、Cry j 1、Cry j 2、Cup a 1、Cup s 1、Cup s 3w、Jun a 1、Jun a 2、Jun a 3、Jun o 4、Jun s 1、Jun v 1、Pla a 1、Pla a 2、Pla a 3、Aca s 13、Blo t 1、Blo t 3、Blo t 4、Blo t 5、Blo t 6、Blo t 10、Blo t 11、Blo t 12、Blo t 13、Blo t 19、Der f 1、Der f 2、Der f 3、Der f 7、Der f 10、Der f 11、Der f 14、Der f 15、Der f 16、Der f 17、Der f 18w、Der m 1、Der p 1、Der p 2、Der p 3、Der p 4、Der p 5、Der p 6、Der p 7、Der p 8、Der p 9、Der p 10、Der p 11、Der p 14、Der p 20、Der p 21、Eur m 2、Eur m 14、Gly d 2,Lep d 1、Lep d 2、Lep d 5、Lep d 7、Lep d 10、Lep d 13、Tyr p 2、Tyr p 13、Bos d 2、Bos d 3、Bos d 4、Bos d 5、Bos d 6、Bos d 7、Bos d 8、Can f 1、Can f 2、Can f 3、Can f 4、Equ c 1、Equ c 2、Equ c 3、Equ c 4、Equ c 5、Fel d 1、Fel d 2、Fel d 3、Fel d 4、Fel d 5w、Fel d 6w、Fel d 7w、Cav p 1、Cav p 2、Mus m 1、Rat n 1、Alt a 1、Alt a 3、Alt a 4、Alt a 5、Alt a 6、Alt a 7、Alt a 8、Alt a 10、Alt a 12、Alt a 13、Cla h 2、Cla h 5、Cla h 6、Cla h 7、Cla h 8、Cla h 9、Cla h 10、Cla h 12、Asp fl 13、Asp f 1、Asp f 2、Asp f 3、Asp f 4、Asp f 5、Asp f 6、Asp f 7、Asp f 8、Asp f 9、Asp f 10、Asp f 11、Asp f 12、Asp f 13、Asp f 15、Asp f 16、Asp f 17、Asp f 18、Asp f 22w、Asp f 23、Asp f 27、Asp f 28、Asp f 29、Asp n 14、Asp n 18、Asp n 25、Asp o 13、Asp o 21、Pen b 13、Pen b 26、Pen ch 13、Pen ch 18、Pen ch 20、Pen c 3、Pen c 13、Pen c 19、Pen c 22w、Pen c 24、Pen o 18、Fus c 1、Fus c 2、Tri r 2、Tri r 4、Tri t 1、Tri t 4、Cand a 1、Cand a 3、Cand b 2、Psi c 1、Psi c 2、Cop c 1、Cop c 2、Cop c 3、Cop c 5、Cop c 7、Rho m 1、Rho m 2、Mala f 2、Mala f 3、Mala f 4、Mala s 1、Mala s 5、Mala s 6、Mala s 7、Mala s 8、Mala s 9、Mala s 10、Mala s 11、Mala s 12、Mala s 13、Epi p 1、Aed a 1、Aed a 2、Api m 1、Api m 2、Api m 4、Api m 6、Api m 7、Bom p 1,Bom p 4、Bla g 1、Bla g 2、Bla g 4、Bla g 5、Bla g 6、Bla g 7、Bla g 8、Per a 1、Per a 3、Per a 6、Per a 7、Chi k 10、Chi t 1−9、Chi t 1.01、Chi t 1.02、Chi t 2.0101、Chi t 2.0102、Chi t 3、Chi t 4、Chi t 5、Chi t 6.01、Chi t 6.02、Chi t 7、Chi t 8、Chi t 9、Cte f 1、Cte f 2、Cte f 3、Tha p 1、Lep s 1、Dol m 1、Dol m 2、Dol m 5、Dol a 5、Pol a 1、Pol a 2、Pol a 5、Pol d 1、Pol d 4、Pol d 5、Pol e 1、Pol e 5、Pol f 5、Pol g 5、Pol m 5、Vesp c 1、Vesp c 5、Vesp m 1、Vesp m 5、Ves f 5、Ves g 5、Ves m 1、Ves m 2、Ves m 5、Ves p 5、Ves s 5、Ves vi 5、Ves v 1、Ves v 2、Ves v 5、Myr p 1、Myr p 2、Sol g 2、Sol g 4、Sol i 2、Sol i 3、Sol i 4、Sol s 2、Tria p 1、Gad c 1、Sal s 1、Bos d 4、Bos d 5、Bos d 6、Bos d 7、Bos d 8、Gal d 1、Gal d 2、Gal d 3、Gal d 4、Gal d 5、Met e 1、Pen a 1、Pen i 1、Pen m 1、Pen m 2、Tod p 1、Hel as 1、Hal m 1、Ran e 1、Ran e 2、Bra j 1、Bra n 1、Bra o 3、Bra r 1、Bra r 2、Hor v 15、Hor v 16、Hor v 17、Hor v 21、Sec c 20、Tri a 18、Tri a 19、Tri a 25、Tri a 26、Zea m 14、Zea m 25、Ory s 1、Api g 1、Api g 4、Api g 5、Dau c 1、Dau c 4、Cor a 1.04、Cor a 2、Cor a 8、Fra a 3、Fra a 4、Mal d 1、Mal d 2、Mal d 3、Mal d 4、Pyr c 1、Pyr c 4、Pyr c 5、Pers a 1、Pru ar 1、Pru ar 3、Pru av 1、Pru av 2、Pru av 3、Pru av 4、Pru d 3、Pru du 4、Pru p 3、Pru p 4、Aspa o 1、Cro s 1、Cro s 2、Lac s 1、Vit v 1、Mus xp 1、Ana c 1、Ana c 2、Cit l 3、Cit s 1、Cit s 2、Cit s 3、Lit c 1、Sin a 1、Gly m 1、Gly m 2、Gly m 3、Gly m 4、Vig r 1、Ara h 1、Ara h 2、Ara h 3、Ara h 4、Ara h 5、Ara h 6、Ara h 7、Ara h 8、Len c 1、Len c 2、Pis s 1、Pis s 2、Act c 1、Act c 2、Cap a 1w、Cap a 2、Lyc e 1、Lyc e 2、Lyc e 3、Sola t 1、Sola t 2、Sola t 3、Sola t 4、Ber e 1、Ber e 2、Jug n 1、Jug n 2、Jug r 1、Jug r 2、Jug r 3、Ana o 1、Ana o 2、Ana o 3、Ric c 1、Ses i 1、Ses i 2、Ses i 3、Ses i 4、Ses i 5、Ses i 6、Cuc m 1、Cuc m 2、Cuc m 3、Ziz m 1、Ani s 1、Ani s 2、Ani s 3、Ani s 4、Arg r、Asc s 1、Car p 1、Den n 1、Hev b 1、Hev b 2、Hev b 3、Hev b 4、Hev b 5、Hev b 6.01、Hev b 6.02、Hev b 6.03、Hev b 7.01、Hev b 7.02、Hev b 8、Hev b 9、Hev b 10、Hev b 11、Hev b 12、Hev b 13、Hom s 1、Hom s 2、Hom s 3、Hom s 4、Hom s 5およびTrip s 1からなる群から選択される、アレルゲンであることを特徴とする請求項4に記載の分子。
【請求項6】
請求項3に記載のペプチドまたは請求項4もしくは5に記載の分子をコードする、核酸分子。
【請求項7】
請求項6に記載の核酸分子を備える、ベクター。
【請求項8】
上記核酸分子に対して作動可能に連結されたプロモータをさらに備えることを特徴とする請求項7に記載のベクター。
【請求項9】
請求項3に記載のペプチドの少なくとも1つ、および/または請求項4もしくは5に記載の分子の少なくとも1つを備える、ワクチン調合物。
【請求項10】
少なくとも1つの薬学的に受容可能な補佐剤、賦形剤および/または担体をさらに備えることを特徴とする請求項9に記載のワクチン調合物。
【請求項11】
配列番号52、配列番号69、配列番号86、配列番号91および/または配列番号126〜139、好ましくは配列番号52および/または配列番号137〜139からなるアミノ酸を有する少なくとも1つのペプチドおよび/または分子を備えることを特徴とする請求項9または10に記載のワクチン調合物。
【請求項12】
ワクチン調合物の製造に関する、請求項3に記載のペプチドの少なくとも1つ、および/または請求項4もしくは5に記載の分子の使用。
【請求項13】
上記ワクチン調合物が、個体におけるブタクサ花粉アレルギー、特にAmb a 1によって引き起こされるアレルギー、またはブタクサ花粉アレルギーと交差反応するアレルギーを処置または予防するためのものであることを特徴とする請求項12に記載の使用。
【請求項14】
個体におけるブタクサアレルギーもしくはブタクサ花粉アレルギーと交差反応するアレルギーの診断、またはブタクサ花粉アレルゲン、特にAmb a 1に対する個体の感受性の分析に関する、請求項3に記載のペプチドの少なくとも1つおよび/または請求項4もしくは5に記載の分子の使用。
【請求項15】
以下の工程:
マスト細胞および/または抗体、特にIgEクラスの抗体を含有する、個体のサンプルを準備する工程、
請求項3に記載のペプチドの少なくとも1つおよび/または請求項4もしくは5に記載の分子の少なくとも1つと、上記サンプルを接触させる工程、
上記分子との接触によって上記マスト細胞から放出されたヒスタミンの量を測定する工程、および/または上記サンプルにおけるブタクサ花粉アレルゲン特異的抗体の量を測定する工程、
放出されたヒスタミンの上記量および/またはサンプルにおけるブタクサ花粉アレルゲン特異的抗体の上記量が、ブタクサ花粉アレルギーと交差反応を示すアレルギーまたはブタクサ花粉アレルギーにかかっていない個体から得られたサンプルと比べて増加している場合に、ブタクサ花粉アレルゲン、特にAmb a 1に対する個体の感受性を診断する工程
を包含するブタクサ花粉アレルゲン、特にAmb a 1に対する個体の感受性を診断する、方法。
【請求項16】
上記サンプルが、血液サンプル、涙液サンプル、唾液サンプルまたは鼻汁サンプルであることを特徴とする請求項15に記載の方法。
【請求項17】
配列番号142または配列番号143のアミノ酸配列からなる単離されたAmb a 1.3のα鎖。
【請求項18】
配列番号144または配列番号145のアミノ酸配列からなる単離されたAmb a 1.3のβ鎖。
【請求項19】
請求項17に記載の単離されたAmb a 1.3のα鎖および/または請求項18に記載の単離されたAmb a 1.3のβ鎖を備える、薬学的調製物。
【請求項20】
個体におけるブタクサ花粉アレルギー、特にAmb a 1によって引き起こされるアレルギー、またはブタクサ花粉アレルギーと交差反応するアレルギーを処置する薬物の製造に関する、請求項17に記載の単離されたAmb a 1.3のα鎖および/または請求項18に記載の単離されたAmb a 1.3のβ鎖の使用。
【請求項21】
個体におけるブタクサアレルギーもしくはブタクサ花粉アレルギーと交差反応するアレルギーの診断、またはブタクサ花粉アレルゲン、特にAmb a 1に対する個体の感受性の診断に関する、請求項17に記載の単離されたAmb a 1.3のα鎖および/または請求項18に記載の単離されたAmb a 1.3のβ鎖の使用。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【公表番号】特表2010−518813(P2010−518813A)
【公表日】平成22年6月3日(2010.6.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−549373(P2009−549373)
【出願日】平成20年2月13日(2008.2.13)
【国際出願番号】PCT/EP2008/001092
【国際公開番号】WO2008/098749
【国際公開日】平成20年8月21日(2008.8.21)
【出願人】(507180423)ビオマイ アクチエンゲゼルシャフト (12)
【Fターム(参考)】