説明

ブラインド制御方法

【課題】ブラインドの周囲の状況によって、適切にブラインドを制御するブラインド制御方法を提供する。
【解決手段】太陽の位置の情報を含む太陽位置データ、ブラインドの周辺の建築物Bの外形の情報を含む周辺建築物データ、及びブラインドの周囲の日除けの形状及び寸法の情報を含む日除け形状データを記憶するステップと、現在の日時を入力するステップと、現在の日時と太陽位置データから現在の日時の太陽の位置を取得するステップと、太陽の位置からブラインドに対する日射量を取得するステップと、太陽の位置と周辺建築物データからブラインドに対する周辺建築物Bによる影を取得するステップと、太陽の位置と日除け形状データからブラインドに対する日除けによる影を取得するステップと、周辺建築物Bによる影及び日除けによる影を取得することによって求めたブラインドに対する日射に基づき、ブラインド及びスラットを制御するステップと、を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建築物におけるブラインドの制御方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、建築物に設置されるブラインドにおいて、スラットに反射した太陽光が、上部のスラットほど室奥の天井に向かい、下部のスラットほど窓際の天井に向かうように、スラットの傾斜角度を、上部のスラットから下部のスラットにかけて順次変化させたブラインドがある(特許文献1参照)。
【0003】
また、窓等の開口周辺に位置する遮蔽物が太陽光を遮った時に、ブラインド高さやスラット角度を調節することにより、効果的な昼光利用を可能にして、居住者の快適性を向上させるとともに、照明負荷、空調負荷等を低減させるように制御できる電動ブラインドがある(特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平10−317850号公報
【特許文献2】特開2000−54762号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載されたブラインドは、スラット角度を状況に応じて制御することはできなかった。
【0006】
また、特許文献2に記載されたブラインド制御は、単純な形状の庇や壁を考慮して制御するものであった。
【0007】
本発明は上記課題を解決し、制御対象であるブラインドの周囲の状況によって、適切にブラインドを制御するブラインド制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は上記課題を解決する方法であって、日射に応じてブラインドの高さ及びスラットの角度を制御するブラインド制御方法において、太陽の位置の情報を含む太陽位置データ、前記ブラインドの周辺の建築物の外形の情報を含む周辺建築物データ、及び前記ブラインドの周囲の日除けの形状及び寸法の情報を含む日除け形状データを記憶するステップと、現在の日時を入力するステップと、前記現在の日時と前記太陽位置データから前記現在の日時の太陽の位置を取得するステップと、前記太陽の位置から前記ブラインドに対する日射量を取得するステップと、前記太陽の位置と前記周辺建築物データから前記ブラインドに対する前記周辺建築物による影を取得するステップと、前記太陽の位置と前記日除け形状データから前記ブラインドに対する前記日除けによる影を取得するステップと、前記周辺建築物による影及び前記日除けによる影を取得することによって求めた前記ブラインドに対する日射に基づき、ブラインド及びスラットを制御するステップと、を有することを特徴とする。
【0009】
また、空調及び照明の二酸化炭素の排出量を計算するステップと、前記二酸化炭素の排出量に応じてブラインド及びスラットを制御するステップと、を有することを特徴とする。
【0010】
また、前記周辺建築物データは、前記ブラインドのある位置を中心とした前記周辺建築物の方位別の最大仰角の情報を含み、前記ブラインドの前記周辺建築物による影を取得するステップは、前記ブラインドのある位置を中心とした前記周辺建築物の方位別の最大仰角の情報と前記太陽の位置とを比較して前記ブラインドの前記周辺建築物による影を取得することを特徴とする。
【0011】
また、前記日除け形状データは、庇、袖壁、又はシェードのうち少なくとも1つの位置と寸法の情報を含み、前記ブラインドの前記日除けによる影を取得するステップは、前記ブラインドのある領域に対する前記太陽の位置と前記日除けの形状とを比較して取得することを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、日射に応じてブラインドの高さ及びスラットの角度を制御するブラインド制御方法において、太陽の位置の情報を含む太陽位置データ、前記ブラインドの周辺の建築物の外形の情報を含む周辺建築物データ、及び前記ブラインドの周囲の日除けの形状及び寸法の情報を含む日除け形状データを記憶するステップと、現在の日時を入力するステップと、前記現在の日時と前記太陽位置データから前記現在の日時の太陽の位置を取得するステップと、前記太陽の位置から前記ブラインドに対する日射量を取得するステップと、前記太陽の位置と前記周辺建築物データから前記ブラインドに対する前記周辺建築物による影を取得するステップと、前記太陽の位置と前記日除け形状データから前記ブラインドに対する前記日除けによる影を取得するステップと、前記周辺建築物による影及び前記日除けによる影を取得することによって求めた前記ブラインドに対する日射に基づき、ブラインド及びスラットを制御するステップと、を有するので、制御対象であるブラインドの周囲の建築物、周囲の日除けの形状、及びブラインドに入射する日射の状況によって、適切にブラインドを制御することが可能となる。
【0013】
また、空調及び照明の二酸化炭素の排出量を計算するステップと、前記二酸化炭素の排出量に応じてブラインド及びスラットを制御するステップと、を有するので、二酸化炭素排出量を少なくするように環境を考慮した制御をすることができる。
【0014】
また、前記周辺建築物データは、前記ブラインドのある位置を中心とした前記周辺建築物の方位別の最大仰角の情報を含み、前記ブラインドの前記周辺建築物による影を取得するステップは、前記ブラインドのある位置を中心とした前記周辺建築物の方位別の最大仰角の情報と前記太陽の位置とを比較して前記ブラインドの前記周辺建築物による影を取得するので、さらに適切にブラインドを制御することが可能となる。
【0015】
また、前記日除け形状データは、庇、袖壁、又はシェードのうち少なくとも1つの位置と寸法の情報を含み、前記ブラインドの前記日除けによる影を取得するステップは、前記ブラインドのある領域に対する前記太陽の位置と前記日除けの形状とを比較して取得するので、さらに適切にブラインドを制御することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本実施形態のブラインドを建築物に設置した状態を示す図である。
【図2】本実施形態のブラインドの一部を拡大した図である。
【図3】本実施形態のブラインド制御のブロック図である。
【図4】周辺建築物データを示す図である。
【図5】窓周辺に日除けが形成された建築物を示す図である。
【図6】庇を有する窓を示す図である。
【図7】袖壁を有する窓を示す図である。
【図8】シェードを有する窓を示す図である。
【図9】開口を備えたシェードを有する窓を示す図である。
【図10】太陽光導入モードを示す図である。
【図11】太陽光導入モードでのブラインドの状態を示す図である。
【図12】全閉モードでのブラインドの状態を示す図である。
【図13】眺望モードの第1実施形態でのブラインドの状態を示す図である。
【図14】眺望モードの第2実施形態でのブラインドの状態を示す図である。
【図15】巻き上げモードでのブラインドの状態を示す図である。
【図16】二酸化炭素排出量算出部を示す図である。
【図17】本実施形態のブラインド制御のフローチャート図である。
【図18】制御対象となるブラインドを有する窓に対する周辺の建築物による影を取得するサブルーチンを示すフローチャート図である。
【図19】周辺建築物データ及び太陽の軌道を示す図である。
【図20】制御対象となるブラインドを有する窓周辺の日除けによる影を取得するサブルーチンを示すフローチャート図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を参照して本発明にかかるブラインド制御の一実施形態を説明する。
【0018】
図1は、本実施形態のブラインド1を建築物に設置した状態を示す図である。本実施形態のブラインド1は、窓2の内側に隣接して、天井2から床3に向かって吊り下げられている。ブラインド1は、手動又は状況に応じて自動的に高さ、すなわち下端部1aの天井からの距離を変更することが可能である。また、使用しない場合には、ブラインド1はすべて天井2の側へ引き上げておくことが可能である。なお、本実施形態のブラインド制御は、一般のブラインド1に適用することが可能である。
【0019】
図2は、本実施形態のブラインドの一部を拡大した図である。ブラインド1は、スラット11を鉛直方向に間隔を持って多数配設したものである。スラット11は、手動又は状況に応じて自動的にスラット角θを調整することが可能である。
【0020】
図3は、本実施形態のブラインド制御のブロック図である。
【0021】
本実施形態のブラインド制御は、日時及び日射量等のパラメータを入力する入力部21と、太陽位置データ、周辺建築物データ、及び日よけ形状データ等を記憶している記憶部22と、入力部21から各種パラメータを入力し、記憶部22から各種データを入力する制御部31と、制御部31から出力された信号によりブラインド全体を駆動してブラインド1の高さを変更するブラインド駆動部41と、制御部31から出力された信号によりスラット11の角度を変更するスタット駆動部42と、を有する。
【0022】
入力部21は、装置に内蔵された時計等から日時を取得したり、日射量センサから制御時の拡散日射量及び直達日射量を取得して、制御部31に送信する。
【0023】
日射量センサとしては、太陽追尾型日射計を用いる方法、又は日射計を複数用いる方法がある。太陽追尾型日射計は、直達光を直接測定し、拡散日射量及び直達日射量を取得する。日射系を複数用いる場合には、直達日射量を鉛直面日射量計測値から計算式により取得し、拡散日射量を水平面日射量と直達日射量の差分により取得する。
【0024】
記憶部22は、制御対象となる建築物のブラインド位置の緯度及び経度データ、日時毎の太陽の方位角や高度を記憶した太陽位置データ、制御対象となるブラインドの周辺の建築物の高さや形状等を記憶した周辺建築物データ、及び制御対象となるブラインドを有する窓周辺に形成された庇、袖壁及びシェード等の日除けの形状を記憶した日除け形状データ等を記憶している。なお、太陽位置データは、日時から演算により求めてもよい。
【0025】
図4は、周辺建築物データを示す図である。図4に示すように、周辺建築物データは、制御対象となるブラインドのある位置を中心とした周辺建築物Bの方位別の最大仰角の情報を入力したものである。例えば、周辺建築物Bのデータは、制御対象となるブラインドの場所毎に建築物の境界が天空に占める部分を仰角と方位角で求めたものである。
【0026】
図5は窓周辺に日除けが形成された建築物を示す図、図6〜図9はそれぞれ図5の一部を拡大した図である。
【0027】
日除け形状データは、建築物の対象となるブラインドを有する窓周辺に形成された日除けの形状と寸法を記憶している。例えば、図5の領域W13は、図6に示すように窓2の上方に庇61を有する。また、図5の領域W32は、図7に示すように窓2の側方に袖壁62を有する。さらに、図5の領域W11は、図8に示すように窓2の前方にシェード63を有する。さらに、図5の領域W23は、図9に示すように窓2の前方に開口64を備えたシェード63を有する。
【0028】
図6は、庇タイプの日除けを示す図である。記憶する寸法は、ブラインド1と窓2の距離、領域Wに対する窓2の位置、高さ、及び幅、並びに、領域Wに対する庇61の位置、突出長さ及び幅である。
【0029】
図7は、袖壁タイプの日除けを示す図である。記憶する寸法は、ブラインド1と窓2の距離、領域Wに対する窓2の位置、高さ、及び幅、並びに、領域Wに対する袖壁62の位置、突出長さ及び高さである。
【0030】
図8は、シェードタイプの日除けを示す図である。記憶する寸法は、ブラインド1と窓2の距離、領域Wに対する窓2の位置、高さ、及び幅、並びに、領域Wに対するシェード63の位置、高さ及び幅である。
【0031】
図9は、開口シェードタイプの日除けを示す図である。記憶する寸法は、ブラインド1と窓2の距離、領域Wに対する窓2の位置、高さ、及び幅、領域Wに対するシェード63の位置、高さ及び幅、並びに、領域Wに対する開口64の位置、高さ及び幅である。
【0032】
なお、前面のシェードを複数有するタイプでもよい。また、庇61、袖62壁、シェード63等をそれぞれ組み合わせたタイプでもよい。
【0033】
これらの寸法は、建築物の設計時に決定するので、制御領域毎にあらかじめ記憶しておく。
【0034】
制御部31は、入力部21から取得した日時に基づいた太陽の位置を記憶部22から取得して、入力部21から取得した制御時の日射と太陽の位置に応じて周辺建築物及び日除け形状によって窓にできる影の状態を算出する。そして、算出した日射と影に基づいて、制御部31は、ブラインド駆動部41及びスラット駆動部42に駆動信号を送信する。ブラインド駆動部41は、制御部31が送信した信号に基づいて、ブラインド1が所定の高さとなるまで駆動する。また、スラット駆動部42は、制御部31が送信した信号に基づいて、スラット11の角度が所定の角度となるまで駆動する。
【0035】
次に、本実施形態のブラインド制御を説明する。
【0036】
まず、フローチャートを説明する前に、フローチャート内の処理のうち、ブラインド1の状態を設定する各制御モードについて説明する。本実施形態のブラインド制御では、ブラインドを、太陽光導入モード、全閉モード、眺望モード、巻き上げモードのいずれかの状態に制御する。
【0037】
図10は太陽光導入モードを示す図、図11は太陽光導入モードでのスラットを示す図である。
【0038】
太陽光導入モードは、図10に示すように、ブラインド1を通して太陽光線Lが室内奥の天井面まで届くようにする。そのために、図11に示すように個々のスラット11の角度を制御する。スラット11の角度は、入力部21からの入力及び記憶部22のデータに基づいて制御部31で算出される。
【0039】
図12は全閉モードでのスラットを示す図である。
【0040】
全閉モードは、太陽光が室内に入らないように、ブラインド1のすべてのスラット11の角度を90°に制御する。
【0041】
図13は第1実施例の眺望モードでのスラットを示す図、図14は第2実施例の眺望モードでのスラットを示す図である。
【0042】
眺望モードは、室内から外の眺望を確保する状態にスラット角を制御する。例えば、図13に示す第1実施例のように、ブラインド1のすべてのスラット11の角度を0°とする。また、図14に示す第2実施例のように、所定の位置に瞳Eがある時に、窓の外の眺望が確保できるように、各スラット11の角度をそれぞれ設定してもよい。
【0043】
また、巻き上げモードは、図15に示すように、ブラインド1を天井側へ巻き上げる制御であり、眺望モードの一つとして設定してもよい。
【0044】
次に、フローチャート内の処理のうち、二酸化炭素排出量の算出について説明する。図16は、二酸化炭素排出量算出部を示す図である。
【0045】
まず、図10〜図15で説明したような各制御モードへ制御した時のブラインド1のスラット11の角度を取得する。また、記憶部22から太陽の方位と高度、入力部21から日射量及び制御部31の算出した窓の日射投影面積をそれぞれ取得する。
【0046】
そして、プレステップ1で、取得した各情報から調光ポイントでの昼光照度を求めて(PST1)、プレステップ2で、使用する照明による消費エネルギーを求める(PST2)。その後、プレステップ3で、照明による消費エネルギーから照明による二酸化炭素排出量を算出する(PST3)。
【0047】
並行して、プレステップ4で、取得した各情報により窓面からの熱取得量を求める(PST4)。また、プレステップ5で、照明による消費エネルギーから照明による発熱量を求める(PST5)。次に、プレステップ6で、窓面からの熱取得量と照明による発熱量から空調によって消費するエネルギーを求める(PST6)。その後、プレステップ7で、空調による二酸化炭素排出量を算出する(PST7)。
【0048】
最後に、プレステップ8で、照明による二酸化炭素排出量と空調による二酸化炭素排出量から全体の二酸化炭素排出量を求める(PST8)。
【0049】
次に、本実施形態のブラインド制御のフローチャートについて説明する。
【0050】
図17は、本実施形態のブラインド制御のフローチャート図である。
【0051】
なお、制御を始める前に、図3で示した記憶部22には、あらかじめ太陽位置データ、周辺建築物データ、及び日除け形状データ等を記憶しておく。
【0052】
まず、ステップ1として、日時を入力する(ST1)。
【0053】
ステップ2で、入力部21から入力された制御時の日時が夜間又は休日か否かを判断する(ST2)。
【0054】
ステップ2において、夜間又は休日である場合、ステップ3で、制御部31は、全閉モードと眺望モードでの二酸化炭素排出量をそれぞれ算出する(ST3)。
【0055】
続いて、ステップ4で、ステップ3において算出した全閉モードの二酸化炭素排出量が眺望モードの二酸化炭素排出量よりも多いか否かを判断する(ST4)。
【0056】
ステップ4において、全閉モードの二酸化炭素排出量が眺望モードの二酸化炭素排出量よりも多い場合、ステップ5で、眺望モード又は巻き上げモードとし、ブラインド駆動部41及びスラット駆動部42を制御して、図13、図14又は図15のようにブラインド1及びスラット11を制御して(ST5)、終了する。
【0057】
ステップ4において、全閉モードの二酸化炭素排出量が眺望モードの二酸化炭素排出量よりも少ない場合、ステップ6で、全閉モードとし、ブラインド駆動部41及びスラット駆動部42を制御して、図12のようにブラインド1及びスラット11を制御して(ST6)、終了する。
【0058】
また、ステップ2において、夜間又は休日でない場合、ステップ7で、記憶部22の太陽位置データ、日時から演算した太陽の位置、又は入力部21の日射量センサの少なくとも1つの情報から日射量を取得する(ST7)。
【0059】
次に、ステップ8で、入力部21と記憶部22の情報に基づき、制御対象となるブラインドを有する窓に対する周辺の建築物による影を取得するサブルーチンを実行する(ST8)。
【0060】
図18は、制御対象となるブラインドを有する窓に対する周辺の建築物による影を取得するサブルーチンを示すフローチャート図である。
【0061】
まず、ステップ81で、入力部21から日時を取得する(ST81)。続いてステップ82で、入力部21から太陽の方位角と高度等の位置を取得する(ST82)。次に、ステップ83で、図4に示した周辺の建築物の最大仰角のデータを記憶部22から取得する(ST83)。
【0062】
次に、ステップ84で、制御対象となるブラインドを有する窓に対する周辺建築物による影を取得する(ST84)。その後、図17に示した通常ルーチンに戻る。
【0063】
図19は、周辺建築物データ及び太陽の軌道を示す図である。図19に示すように、周辺建築物データは、ブラインドのある位置を中心とした周辺建築物Bの方位別の最大仰角の情報を入力したものである。例えば、周辺建築物Bのデータは、制御対象となるブラインドのある位置毎に建築物の境界が天空に占める部分を仰角と方位角で求めたものである。
【0064】
図19中、Sは所定の日の太陽の軌道を示している。そして、太陽の軌道50と建物Bとが重なっている箇所では、建物Bの影が制御対象となるブラインドのある場所に発生していることを示している。例えば、図19では、太陽の軌道50のうち、建物Bの範囲と重なっていない実線52では、影がなく、日射が制御対象となるブラインドのある場所に直接当たり、建物Bの範囲と重なっている点線部分51と点線部分53では、制御対象となるブラインドのある場所に建物Bの影ができることがわかる。
【0065】
次に、ステップ9で、ステップ7における結果、制御対象となるブラインドを有する窓に日射が入るか否かを判断する(ST9)。
【0066】
ステップ9において、制御対象となるブラインドを有する窓に日射が入ると判断した場合、ステップ9で、入力部21と記憶部22の情報に基づき、日除けによる影を取得するサブルーチンを実行する(ST10)。
【0067】
図20は、制御対象となるブラインドを有する窓周辺の日除けによる影を取得するサブルーチンを示すフローチャート図である。
【0068】
日射投影面積及び図10で示した天井から日射最上位置までの距離hは、日時に応じた太陽の方位角及び高度によって変化する。また、図5〜図9で示した日除けによっても、日射投影面積及び図11で示した天井から日射最上位置までの距離hは変化する。このサブルーチンでは、日時に応じた太陽の位置及び日除けの影響によって、制御対象となるブラインドを有する窓に対する日射の投影面積及び日射の最上位置までの天井からの距離hを取得する。そして、ステップ9のサブルーチンで求めた結果を通常ルーチンでのスラットの角度の制御に用いる。
【0069】
まず、ステップ101で、入力部21から日時を取得する(ST101)。続いてステップ102で、入力部21から太陽の方位角と高度を取得する(ST102)。次に、ステップ103で、図5〜図9に示した日除け形状データを記憶部22から取得する(ST103)。
【0070】
次に、ステップ104で、制御対象となるブラインドを有する窓に対する日除けによる影を取得する(ST104)。続いて、ステップ95で、制御対象となるブラインドを有する窓に対する日射投影面積及び図10に示した天井から日射最上位置までの距離hを取得する(ST105)。その後、図17に示した通常ルーチンに戻る。
【0071】
次に、ステップ11で、制御対象となるブラインドを有する窓に対する日射量が所定の閾値よりも多いか否かを判断する(ST11)。
【0072】
ステップ11において、制御対象となるブラインドを有する窓に対する日射量が所定の閾値よりも多いと判断した場合、ステップ12で、制御部31が太陽光導入モードでのブラインド1の各スラット11の角度をそれぞれ算出する(ST12)。
【0073】
次に、ステップ13で、制御部21は、太陽光導入モードと全閉モードでのそれぞれの二酸化炭素排出量を図16で示した二酸化炭素排出量算出部で算出する(ST13)。
【0074】
続いて、ステップ14で、ステップ12において算出した全閉モードの二酸化炭素排出量が太陽光導入モードモードの二酸化炭素排出量よりも多いか否かを判断する(ST14)。
【0075】
ステップ14において、全閉モードの二酸化炭素排出量が太陽光導入モードの二酸化炭素排出量よりも多い場合、ステップ15で、太陽光導入モードとし、ブラインド駆動部41及びスラット駆動部42を制御して、図10及び図11のようにステップ10で算出した角度にブラインド1及びスラット11を制御して(ST15)、終了する。
【0076】
ステップ14において、全閉モードの二酸化炭素排出量が太陽光導入モードの二酸化炭素排出量よりも少ない場合、ステップ16で、全閉モードとし、ブラインド駆動部41及びスラット駆動部42を制御して、図12のようにブラインド1及びスラット11を制御して(ST16)、終了する。
【0077】
ステップ9において、制御対象となるブラインドを有する窓に日射が入らないと判断した場合、及び、ステップ10において、制御対象となるブラインドを有する窓に対する日射量が所定の閾値よりも少ないと判断した場合、ステップ17で、制御部31は、図16で示したように、全閉モードと眺望モードでの二酸化炭素排出量をそれぞれ算出する(ST17)。
【0078】
続いて、ステップ18で、ステップ17において算出した全閉モードの二酸化炭素排出量が眺望モードの二酸化炭素排出量よりも多いか否かを判断する(ST18)。
【0079】
ステップ18において、全閉モードの二酸化炭素排出量が眺望モードの二酸化炭素排出量よりも多い場合、ステップ19で、眺望モード又は巻き上げモードとし、ブラインド駆動部41及びスラット駆動部42を制御して、図13、図14又は図15のようにブラインド1及びスラット11を制御して(ST19)、終了する。
【0080】
ステップ18において、全閉モードの二酸化炭素排出量が眺望モードの二酸化炭素排出量よりも少ない場合、ステップ20で、全閉モードとし、ブラインド駆動部41及びスラット駆動部42を制御して、図12のようにブラインド1及びスラット11を制御して(ST20)、終了する。
【0081】
このように、本実施形態によれば、日射に応じてブラインド1の高さ及びスラット11の角度を制御するブラインド制御方法において、太陽の位置の情報を含む太陽位置データ、ブラインド1の周辺の建築物Bの外形の情報を含む周辺建築物データ、及びブラインド1の周囲の日除けの形状及び寸法の情報を含む日除け形状データを記憶するステップと、現在の日時を入力するステップと、現在の日時と太陽位置データから現在の日時の太陽の位置を取得するステップと、太陽の位置からブラインド1に対する日射量を取得するステップと、太陽の位置と周辺建築物データからブラインドに対する周辺建築物Bによる影を取得するステップと、太陽の位置と日除け形状データからブラインド1に対する日除けによる影を取得するステップと、周辺建築物Bによる影及び日除けによる影を取得することによって求めたブラインド1に対する日射に基づき、ブラインド1及びスラット11を制御するステップと、を有するので、制御対象であるブラインド1の周囲の建築物B、周囲の日除けの形状、及びブラインド1に入射する日射の状況によって、適切にブラインド1を制御することが可能となる。
【0082】
また、空調及び照明の二酸化炭素の排出量を計算するステップと、二酸化炭素の排出量に応じてブラインド1及びスラット11を制御するステップと、を有するので、二酸化炭素排出量を少なくするように環境を考慮した制御をすることができる。
【0083】
また、周辺建築物データは、ブラインド1のある位置を中心とした周辺建築物Bの方位別の最大仰角の情報を含み、ブラインド1の周辺建築物Bによる影を取得するステップは、ブラインド1のある位置を中心とした周辺建築物Bの方位別の最大仰角の情報と太陽の位置とを比較してブラインド1の周辺建築物Bによる影を取得するので、さらに適切にブラインド1を制御することが可能となる。
【0084】
また、日除け形状データは、庇61、袖壁62、又はシェード63のうち少なくとも1つの位置と寸法の情報を含み、ブラインド1の日除けによる影を取得するステップは、ブラインド1のある領域に対する太陽の位置と日除けの形状とを比較して取得するので、さらに適切にブラインド1を制御することが可能となる。
【符号の説明】
【0085】
1…ブラインド、2…窓、3…天井、4…床、11…スラット、21…入力部、22…記憶部、31…制御部、41…ブラインド駆動部、42…スラット駆動部、61…庇、62…袖壁、63…シェード、64…開口

【特許請求の範囲】
【請求項1】
日射に応じてブラインドの高さ及びスラットの角度を制御するブラインド制御方法において、
太陽の位置の情報を含む太陽位置データ、前記ブラインドの周辺の建築物の外形の情報を含む周辺建築物データ、及び前記ブラインドの周囲の日除けの形状及び寸法の情報を含む日除け形状データを記憶するステップと、
現在の日時を入力するステップと、
前記現在の日時と前記太陽位置データから前記現在の日時の太陽の位置を取得するステップと、
前記太陽の位置から前記ブラインドに対する日射量を取得するステップと、
前記太陽の位置と前記周辺建築物データから前記ブラインドに対する前記周辺建築物による影を取得するステップと、
前記太陽の位置と前記日除け形状データから前記ブラインドに対する前記日除けによる影を取得するステップと、
前記周辺建築物による影及び前記日除けによる影を取得することによって求めた前記ブラインドに対する日射に基づき、ブラインド及びスラットを制御するステップと、
を有することを特徴とするブラインド制御方法。
【請求項2】
空調及び照明の二酸化炭素の排出量を計算するステップと、
前記二酸化炭素の排出量に応じてブラインド及びスラットを制御するステップと、
を有することを特徴とする請求項1に記載のブラインド制御方法。
【請求項3】
前記周辺建築物データは、前記ブラインドのある位置を中心とした前記周辺建築物の方位別の最大仰角の情報を含み、
前記ブラインドの前記周辺建築物による影を取得するステップは、
前記ブラインドのある位置を中心とした前記周辺建築物の方位別の最大仰角の情報と前記太陽の位置とを比較して前記ブラインドの前記周辺建築物による影を取得する
ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のブラインド制御方法。
【請求項4】
前記日除け形状データは、庇、袖壁、又はシェードのうち少なくとも1つの位置と寸法の情報を含み、
前記ブラインドの前記日除けによる影を取得するステップは、
前記ブラインドのある領域に対する前記太陽の位置と前記日除けの形状とを比較して取得する
ことを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載のブラインド制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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