説明

ブラシ毛とそのブラシ毛からなるブラシ

【課題】 食品製造工程において、ブラシからブラシ毛が脱落して食品の中へ紛れ込んでしまっても、製造された食品の安全性が損なわれることがなく、ブラシ毛の脱落に伴う食品の回収や焼却が不要となるようなブラシ毛とそのブラシ毛からなるブラシを提供する。
【解決手段】 食品製造工程に使用されるブラシ毛は、胃溶性高分子、腸溶性高分子、人体内の胃や腸で消化されて溶ける動物の骨や植物の中のいずれかの少なくとも1つの素材で形成されているように構成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、食品製造工程において、パン、まんじゅう等の製造食品の表面に付着する粉茶、海苔、ゴマ、砂糖、塩、粉等の粒体食品や粉体食品を払い落としたり、製造食品の近傍の清掃を行うために使用されるブラシ毛とそのブラシ毛からなるブラシに関するものである。
【背景技術】
【0002】
図10(a),(b)に示すように、食品製造工程においては、製造食品(例えばパン生地)112をベルトコンベアで運びながら、粉末の除去が行われている。網からなるベルトコンベア111は、図示されていない装置によって移動している。ベルトコンベア111に載置された製造食品、例えば、パン生地112には、図示されていない粉末が振りかけられている。パン生地112は、ロールブラシ113、113′によって、上面または下面に付着した余分な粉末が除去される。ロールブラシ113、113′は、粉末を除去するための粉払いシャフト114、114′が設けられており、常に余計な粉末が付かないようになっている。また、パン生地112は、ベルトコンベア111によって搬送され、余分な粉末は真空吸引装置115によって除去されている。この真空吸引装置115は、食品製造工程に必要に応じて設けられているもので、必ずしも必要ではない。
【0003】
前述の食品製造工程に関する技術としては、例えば、複数の前記食品を配列して一方向に搬送する搬送手段と、前記搬送手段の搬送経路に沿ってその両側に列状に配列されるとともに前記搬送経路に向かって多数の線状体が植設された複数のブラシと、前記ブラシを前記搬送経路に沿って移動させる移動手段と、前記搬送経路とその両側の前記ブラシの列との間に配設されるとともに前記線条体に接触する位置に固定された複数の固定部材と、前記ブラシに粉体を供給する供給手段とを備えたことを特徴とする食品粉付装置が提案されている。(特許文献1参照)
【特許文献1】特開2004−49158
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の食品粉付装置に使用されているブラシは、所定長さのナイロン繊維の線条体によりブラシ毛が多数本、ベースに埴設されて構成されており、ブラシの製造においてブラシ毛の固着ミスがあると、食品製造工程において、初期の使用でブラシからブラシ毛が脱落することがある。また、ブラシを長期使用した場合には、経年変化による劣化からブラシ毛が切れたり、抜けたりしてブラシ毛が脱落することがある。
【0005】
このように食品製造工程において、ブラシ毛の脱落が発生した場合には脱落したブラシ毛が食品の中へ紛れ込んでしまうため、工程内の徹底した清掃が行われ、脱落したブラシ毛を見つけ出すようにしている。そして、ブラシ毛を見つけ出しても、工程内にブラシ毛が落ちていないように徹底した検査をしなければならず、しかも、同時に製造したパン、まんじゅう等の食品の全てを回収して焼却しているのが実情であり、食品製造工程に使用されるブラシ毛とそのブラシ毛からなるブラシの改善が望まれていた。
【0006】
本発明は、前記課題を解決するもので、食品製造工程において、ブラシからブラシ毛が脱落して食品の中へ紛れ込んでしまっても、製造された食品の安全性が損なわれることがなく、ブラシ毛の脱落に伴う食品の回収や焼却が不要となるようなブラシ毛とそのブラシ毛からなるブラシを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するために請求項1記載の発明は、食品製造工程において、製造食品の表面に付着する粒体食品や粉体食品を払い落したり、当該製造食品の近傍の清掃を行うためのブラシとなるブラシ毛であって、胃溶性高分子、腸溶性高分子、人体内の胃や腸で消化されて溶ける動物の骨や植物の中のいずれかの少なくとも1つの素材で形成されていることを特徴とするブラシ毛である。
【0008】
また、請求項2記載の発明は、前記ブラシ毛は柔軟性を有する線状体で構成されていることを特徴とする請求項1記載のブラシ毛である。
【0009】
また、請求項3記載の発明は、前記ブラシ毛はブラシ毛素材を網組みして筒状体に形成されていることを特徴とする請求項1または2に記載のブラシ毛である。
【0010】
また、請求項4記載の発明は、前記ブラシ毛は複数本のブラシ毛素材を撚り合せて形成されていることを特徴とする請求項1または2に記載のブラシ毛である。
【0011】
また、請求項5記載の発明は、前記ブラシ毛は1本のブラシ毛素材の周りに、または複数本のブラシ毛素材が把ねられその周りに、別のブラシ毛素材が巻付けられて形成されていることを特徴とする請求項1または2に記載のブラシ毛である。
【0012】
また、請求項6記載の発明は、前記ブラシ毛は筒状のブラシ毛素材の筒内、またはブラシ毛素材により筒状体を形成したその筒内に他のブラシ毛素材が入れられて形成されていることを特徴とする請求項1または2に記載のブラシ毛である。
【0013】
また、請求項7記載の発明は、前記ブラシ毛は一端又は両端が他の部分より径の大きな形状の頭部を有することを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載のブラシ毛である。
【0014】
また、請求項8記載の発明は、食品製造工程において、製造食品の表面に付着する粒体食品や粉体食品を払い落したり、当該製造食品の近傍の清掃を行うため、ブラシ毛が、胃溶性高分子、腸溶性高分子、人体内の胃や腸で消化されて溶ける動物の骨や植物の中のいずれかの少なくとも1つの素材からなり、柔軟性を有する線状体で構成されているブラシであって、前記ブラシ毛はブラシ毛素材を網組みして筒状体に形成されていること、または、前記ブラシ毛は複数本のブラシ毛素材を撚り合せて形成されていること、または、前記ブラシ毛は1本のブラシ毛素材の周りに、または複数本のブラシ毛素材が把ねられその周りに、別のブラシ毛素材が巻付けられて形成されていること、または、前記ブラシ毛は筒状のブラシ毛素材の筒内またはブラシ毛素材により筒状体を形成したその筒内に他のブラシ毛素材が入れられて形成されていること、または、前記ブラシ毛は一端又は両端が他の部分より径の大きな形状の頭部を有することの中のいずれかの少なくとも1つのブラシ毛で形成されていることを特徴とするブラシである。
【0015】
前記ブラシは多数本のブラシ毛が長尺なチャンネル状基部の上面に直交配列されていることを特徴とする請求項8に記載のブラシである。
【0016】
また、請求項10記載の発明は、前記ブラシは多数本のブラシ毛が長尺なチャンネル状基部の上面に直交配列された状態に前記チャンネル状基部と前記多数本のブラシ毛が同一の素材で一体に成形されていることを特徴とする請求項8に記載のブラシである。
【0017】
また、請求項11記載の発明は、前記ブラシはブラシの基部に複数の孔が設けられ、前記各孔内に複数本のブラシ毛が植設されていることを特徴とする請求項8に記載のブラシである。
【0018】
また、請求項12記載の発明は、前記ブラシはブラシの基部が金属カップで形成され、前記金属カップの他端から突出して多数のブラシ毛が取付られていることを特徴とする請求項8に記載のブラシである。
【0019】
また、請求項13記載の発明は、前記ブラシはブラシの基部がディスク状に形成され、前記ディスク状の基部の周面または平面上に突出して多数本のブラシ毛が固定されていることを特徴とする請求項8に記載のブラシである。
【0020】
また、請求項14記載の発明は、前記ブラシはブラシの基部が軸部を有し、この軸部の周面に多数本の前記ブラシ毛がロール状に固定されていることを特徴とする請求項8に記載のブラシである。
【発明の効果】
【0021】
本発明のブラシ毛とそのブラシ毛からなるブラシは、食品製造工程に使用されるが、ブラシ毛は人体内の胃や腸で消化されて溶ける素材(例えば、薬品用のカプセルに使用されている素材)で形成されているので、人体内に入っても消化されるので害がない。そのため、ブラシの製造においてブラシ毛の固着ミスにより、食品製造工程において、初期の使用でブラシからブラシ毛が脱落したり、ブラシの長期使用で経年変化によるブラシ毛の劣化からブラシ毛が脱落して食品の中へ紛れ込んでしまっても、製造された食品の安全性を損なわないので、ブラシ毛の脱落に伴う食品の回収や焼却が不要となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
人の消化管内の物理的・生理的環境については、胃内のpHは健常人で通常1.8〜4.5、腸内のpHは6.5〜7.5とされており、人体内におけるカプセル製剤の胃内滞留時間は0.5〜10時間である。本発明のブラシ毛では、人体内の胃や腸で消化されて溶ける薬品用のカプセルに使用されている素材の中から、pH1〜5の酸性領域において溶解するが、これよりpHの高い中性〜アルカリ性域では溶解しない高分子、すなわち、通常この分野で胃溶性高分子として用いられる物質を採用している。このような高分子としては、例えば、ポリビニルアセタールジエチルアミノアセテート、メタアクリル酸メチル・メタアクリル酸ブチル・メタアクリル酸ジメチルアミノエチル共重合体(例えば、商品名:オイドラギットE100、ローム・ファーマ社製)及びポリビニルアミノアセタールから選ばれる1種又は2種以上があげられる。このうち、ポリビニルアセタールジエチルアミノアセテート、メタアクリル酸メチル・メタアクリル酸ブチル・メタアクリル酸ジメチルアミノエチル共重合体が適用できる。
【0023】
また、本発明のブラシ毛には、pH5以上の水溶液には溶解するが、これよりpHの低い酸性水溶液には溶解しない腸溶性高分子として用いられる物質を使用することもできる。このような腸溶性高分子としては、例えばセルロース誘導体、アクリル酸系共重合体、マレイン酸系共重合体、ポリビニル誘導体、シェラック等があげられる。
【0024】
このようなセルロース誘導体の具体例としては、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、ヒドロキシメチルエチルセルロースフタレート、セルロースアセテートフタレート、セルロースアセテートサクシネート、セルロースアセテートマレエート、セルロースベンゾエートフタレート、セルロースプロピオネートフタレート、メチルセルロースフタレート、カルボキシメチルエチルセルロース、エチルヒドロキシエチルセルロースフタレート等があげられる。これらの内、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、カルボキシメチルエチルセルロースが好ましく、とりわけ、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネートが適用できる。
【0025】
また、アクリル酸系共重合体としては、スチレン・アクリル酸共重合体、メチルアクリレート・アクリル酸共重合体、メチルアクリレート・メタアクリル酸共重合体、ブチルアクリレート・スチレン・アクリル酸共重合体、メタアクリル酸・メタアクリル酸メチル共重合体(例えば、商品名:オイドラギットL100、オイドラギットS、いずれもローム・ファーマ社製)、メタアクリル酸・アクリル酸エチル共重合体(例えば、商品名:オイドラギットL100−55、ローム・ファーマ社製)、メチルアクリレート・メタアクリル酸・オクチルアクリレート共重合体等があげられる。これらの内、メタアクリル酸・メタアクリル酸メチル共重合体が適用できる。
【0026】
また、マレイン酸系共重合体としては、ビニルアセテート・マレイン酸無水物共重合体、スチレン・マレイン酸無水物共重合体、スチレン・マレイン酸モノエステル共重合体、ビニルメチルエーテル・マレイン酸無水物共重合体、エチレン・マレイン酸無水物共重合体、ビニルブチルエーテル・マレイン酸無水物共重合体、アクリロニトリル・メチルアクリレート・マレイン酸無水物共重合体、ブチルアクリレート・スチレン・マレイン酸無水物共重合体等が適用できる。
【0027】
また、ポリビニル誘導体としては、ポリビニルアルコールフタレート、ポリビニルアセタールフタレート、ポリビニルブチレートフタレート、ポリビニルアセトアセタールフタレート等があげられる。
【0028】
また、本発明のブラシ毛には、人体内の胃や腸で消化されて溶ける薬品用のカプセルに使用されている牛や魚等の動物の骨、或いは、トウモロコシのような植物の素材を使用することもできる。
【0029】
以下、実施の形態を示す図面に基づいて本発明を詳細に説明する。また、図に示す同符号は同じものを示している。本発明のブラシ毛は、食品製造工程において、製造食品の表面に付着する粒体食品や粉体食品を払い落したり、当該製造食品の近傍の清掃を行うため、ブラシ毛が、胃溶性高分子、腸溶性高分子、人体内の胃や腸で消化されて溶ける動物の骨や植物の中のいずれかの少なくとも1つの素材からなり、柔軟性を有する線状体で構成されており、基本の形状は単一の線状体である。
【0030】
図1は、単一の線状体のブラシ毛素材で形成されているブラシ毛の断面図であって、(a)は断面がドーナツ形10をした筒状のブラシ毛であるが、この他にも断面が、(b)丸形11、(c)三角形12、(d)四角形13、(e)六角形14、(f)八角形15等の多角形、(g)楕円形16、(h)十字形17、(i)瓢箪のようなメガネ形18、(j)四葉のクローバ形19(又は図示しない三つ葉のクローバ形)がある。
【0031】
図2の(a)〜(f)は第1〜第6例のブラシ毛の斜視図である。(a)のブラシ毛21は、単一の線状体のブラシ毛素材1で形成されている基本の形状のブラシ毛である。(b)のブラシ毛22は、ブラシ毛素材1より径の細いブラシ毛素材2を網組みして筒状体2aに形成されているブラシ毛である。(c)のブラシ毛23は、ブラシ毛素材1と2の中間位の径のブラシ毛素材3の複数本が撚り合されて太い線状体に形成されているブラシ毛である。(d)のブラシ毛24は、1本の線状体のブラシ毛素材1、または複数本の線状体のブラシ毛素材1が把ねられその周りに、別のブラシ毛素材1が巻付けられて形成されているブラシ毛である。(e)のブラシ毛25は、ブラシ毛素材2を網組みして筒状体2aに形成し、その筒内に1本の線状体のブラシ毛素材1、または複数本の線状体のブラシ毛素材1が入れられて形成されているブラシ毛である。(f)のブラシ毛26は、筒状のブラシ毛素材4の筒内に他のブラシ毛素材3が入れられて形成されているブラシ毛であり、図示の例の他に多重筒状であってもよい。
【0032】
図3の(a),(b)は第7,8例のブラシ毛の斜視図である。前記の各ブラシ毛21〜26は、図3(a)に示すように一端だけが他の部分より径の大きな形状(図では球状)の頭部31を有するブラシ毛32であったり、又は図3(b)に示すように両端が他の部分より径の大きな形状(図では球状)の頭部31,31を有するブラシ毛33であっても良い。
【0033】
次に、本発明の各種のブラシ毛で形成されているブラシについて説明する。図4〜図9は本発明の各種ブラシの例を示す斜視図である。なお、以下のブラシの説明では各種のブラシに取付けられるブラシ毛は、説明を簡略にするため前記ブラシ毛21に統一して説明するが、前記した他のブラシ毛22〜26でも良いことはもちろんである。
【0034】
図4に示した第1例のチャンネル状ブラシ40は、カプセル素材で形成された多数本のブラシ毛21が木、樹脂、金属等で長溝41を有して形成された長尺なチャンネル状基部42の長溝41内に多数本のブラシ毛21の根元21aが挟み込まれて、チャンネル状基部42の上面に直交配列されて固定されているブラシである。
【0035】
図5に示した第2例のチャンネル状ブラシ50は、多数本のブラシ毛21が長尺なチャンネル状基部52の上面に直交配列された状態にチャンネル状基部52と多数本のブラシ毛21が同一のカプセル素材で一体に成形されているブラシである。
【0036】
図6の植設ブラシ60は、筒状のブラシの基部62に複数の孔63が設けられ、各孔63内にカプセル素材で形成された複数本のブラシ毛21が植設されているブラシである。なお、植設ブラシ60は、筒状のブラシの基部62の両端に所定長さ突出する軸部64が設けられている。
【0037】
図7のカップブラシ70は、ブラシの基部72が金属カップ72aで形成され、金属カップ72aの他端から突出してカプセル素材で形成された多数のブラシ毛21が取付られているブラシである。なお、カップブラシ70は、金属カップ72aの背面に所定長さ突出するシャンク73が設けられている。
【0038】
図8(a)の第1例のディスクブラシ80aは、ブラシの基部82がディスク状に形成されている。そして、ブラシの基部82の周面に所定の角度間隔でカプセル素材で形成された複数本のブラシ毛21が植設されて、ブラシ毛21がブラシの基部82の周面に放射状に突出して固定されているブラシである。
【0039】
図8(b)の第2例のディスブラシ80bは、図8(a)のブラシ80aと同様にディスク状のブラシの基部82の周面にチャンネル状ブラシ40(または50)が略一周巻かれた状態でチャンネル状基部42(または52)が取付けられて、ブラシ毛21がブラシの基部82の周面に放射状に突出して固定されているブラシである。
【0040】
図8(c)のブラシ80cは、ディスク状のブラシの基部82aの円形な平面上にチャンネル状ブラシ40(または50)が略一周巻かれた状態でチャンネル状基部42(または52)が取付けられて、ブラシ毛21がブラシの基部82の平面上に突出して周面に放射状に突出して環状に固定されているブラシであったり、ブラシの基部82aの厚みを厚くして、ブラシの基部82aの円形な平面上に突出してブラシ毛21が植設されているブラシであったりする。なお、ブラシ80cは、ブラシの基部82aの背面に所定長さ突出するシャンク83が設けられている。
【0041】
図9のロールブラシ90は、軸部(または軸を挿通させる孔が形成された筒状の基部)92を有している。そして、軸部(または筒状の基部)92の周面にチャンネル状ブラシ40(または50)が幾重にも連続して巻かれた状態でチャンネル状基部42(または52)が取付けられて、ブラシ毛21が、軸部(または筒状の基部)92の周面に放射状に突出して固定されてブラシ毛21がロール状に固定されているブラシである。
【0042】
または、ブラシ90は、軸部(または筒状の基部)92の周面に複数本単位のブラシ毛21が点在しているように植設されているブラシであっても良い。
【0043】
または、ブラシの軸部(または筒状の基部)92にディスク状に形成されている複数枚のディスクブラシ80a(または80b)を挿通させてロール状に固定されているブラシであっても良い。
【0044】
このように、本発明は、食品製造工程において、製造食品に粒体食品または粉体食品を付着、払い落し、或いは当該製造食品の近傍の清掃を行うためのブラシとそのブラシ毛であって、ブラシ毛が人体内の胃や腸で消化されて溶ける素材(例えば、薬品用のカプセルに使用されている素材)で形成されているので、人体内に入っても消化されるので害がない。したがって、食品製造工程において、ブラシからブラシ毛が脱落しても、脱落したブラシ毛が製造された食品の安全性を損なわないので、ブラシ毛の脱落に伴う食品の回収や焼却が不要となる。
【産業上の利用可能性】
【0045】
本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載の構成を変更しない限りどのようにでも実施することができる。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】本発明に係る単一の線状体で構成されているブラシ毛の断面図である。
【図2】(a)〜(f)は第1〜第6例のブラシ毛の斜視図である。
【図3】(a),(b)は第7,8例のブラシ毛の斜視図である。
【図4】本発明に係るチャンネル状ブラシの第1例の斜視図である。
【図5】本発明に係るチャンネル状ブラシの第2例の斜視図である。
【図6】本発明に係る植設ブラシの斜視図である。
【図7】本発明に係るカップブラシの斜視図である。
【図8】(a)は、本発明に係る第1例のディスクブラシの斜視図である。 (b)は、本発明に係る第2例のディスクブラシの斜視図である。 (c)は、本発明に係るディスク状のブラシの基部を有するブラシの斜視図である。
【図9】本発明に係るロールブラシの斜視図である。
【図10】(a),(b)は、従来の食品製造工程におけるブラシの使用例の概略説明図である。
【符号の説明】
【0047】
1,2,3,4 ブラシ毛素材
10〜19,21〜26,33 ブラシ毛
31,32 ブラシ毛の頭部
40,50 チャンネル状ブラシ
41 長溝
42,52 チャンネル状基部
60 植設ブラシ
62,72,82,82a ブラシの基部
63 孔
64,92 軸部(または筒状の基部)
70 カップブラシ
72a 金属カップ
73,83 シャンク
80a,80b ディスクブラシ
90,113,113′ ロールブラシ
111 ベルトコンベア
112 パン生地
114、114′ シャフト
115 真空吸引装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
食品製造工程において、製造食品の表面に付着する粒体食品や粉体食品を払い落したり、当該製造食品の近傍の清掃を行うためのブラシとなるブラシ毛であって、
胃溶性高分子、腸溶性高分子、人体内の胃や腸で消化されて溶ける動物の骨や植物の中のいずれかの少なくとも1つの素材で形成されていることを特徴とするブラシ毛。
【請求項2】
前記ブラシ毛は柔軟性を有する線状体で構成されていることを特徴とする請求項1記載のブラシ毛。
【請求項3】
前記ブラシ毛はブラシ毛素材を網組みして筒状体に形成されていることを特徴とする請求項1または2に記載のブラシ毛。
【請求項4】
前記ブラシ毛は複数本のブラシ毛素材が撚り合されて形成されていることを特徴とする請求項1または2に記載のブラシ毛。
【請求項5】
前記ブラシ毛は1本のブラシ毛素材の周りに、または複数本のブラシ毛素材が把ねられその周りに、別のブラシ毛素材が巻付けられて形成されていることを特徴とする請求項1または2に記載のブラシ毛。
【請求項6】
前記ブラシ毛は筒状のブラシ毛素材の筒内、またはブラシ毛素材により筒状体を形成したその筒内に他のブラシ毛素材が入れられて形成されていることを特徴とする請求項1または2に記載のブラシ毛。
【請求項7】
前記ブラシ毛は一端又は両端が他の部分より径の大きな形状の頭部を有することを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載のブラシ毛。
【請求項8】
食品製造工程において、製造食品の表面に付着する粒体食品や粉体食品を払い落したり、当該製造食品の近傍の清掃を行うため、ブラシ毛が、胃溶性高分子、腸溶性高分子、人体内の胃や腸で消化されて溶ける動物の骨や植物の中のいずれかの少なくとも1つの素材からなり、柔軟性を有する線状体で構成されているブラシであって、
前記ブラシ毛は複数本のブラシ毛素材を網組みして筒状体に形成されていること、
または、前記ブラシ毛は複数本のブラシ毛素材が撚り合されて形成されていること、
または、前記ブラシ毛は1本のブラシ毛素材の周りに、または複数本のブラシ毛素材が把ねられその周りに、別のブラシ毛素材が巻付けられて形成されていること、
または、前記ブラシ毛は筒状のブラシ毛素材の筒内またはブラシ毛素材により筒状体を形成したその筒内に他のブラシ毛素材が入れられて形成されていること、
または、前記ブラシ毛は一端又は両端が他の部分より径の大きな形状の頭部を有することの中のいずれかの少なくとも1つのブラシ毛で形成されていることを特徴とするブラシ。
【請求項9】
前記ブラシは多数本のブラシ毛が長尺なチャンネル状基部の上面に直交配列されていることを特徴とする請求項8に記載のブラシ。
【請求項10】
前記ブラシは多数本のブラシ毛が長尺なチャンネル状基部の上面に直交配列された状態に前記チャンネル状基部と前記多数本のブラシ毛が同一の素材で一体に成形されていることを特徴とする請求項8に記載のブラシ。
【請求項11】
前記ブラシはブラシの基部に複数の孔が設けられ、前記各孔内に複数本のブラシ毛が植設されていることを特徴とする請求項8に記載のブラシ。
【請求項12】
前記ブラシはブラシの基部が金属カップで形成され、前記金属カップの他端から突出して多数のブラシ毛が取付られていることを特徴とする請求項8に記載のブラシ。
【請求項13】
前記ブラシはブラシの基部がディスク状に形成され、前記ディスク状の基部の周面または平面上に突出して多数本のブラシ毛が固定されていることを特徴とする請求項8に記載のブラシ。
【請求項14】
前記ブラシはブラシの基部が軸部を有し、この軸部の周面に多数本の前記ブラシ毛がロール状に固定されていることを特徴とする請求項8に記載のブラシ。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate


【公開番号】特開2006−180988(P2006−180988A)
【公開日】平成18年7月13日(2006.7.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−375728(P2004−375728)
【出願日】平成16年12月27日(2004.12.27)
【出願人】(398029234)
【出願人】(300038675)
【Fターム(参考)】