説明

ブリスターパック用水性接着組成物およびそれを用いたブリスターパック用包装容器

【課題】ブリスターパック用台紙への塗工適性が良好で、且つブリスターパック用台紙とブリスターパック用台紙を熱接着させる平坦部を有する熱可塑性樹脂からなるブリスター部材との熱接着が良好であり、内包品に対する耐ブロッキング性を有するブリスターパック用水性接着組成物およびそのブリスターパック用水性接着組成物を使用して得られるブリスターパック用包装容器を提供すること。
【解決手段】ガラス転移温度が−10℃以下の水性スチレン−アクリル系樹脂エマルジョン(A)と、ガラス転移温度が−5〜10℃の水性スチレン−アクリル系樹脂エマルジョン(B)と、ガラス転移温度35℃以上の水性スチレン−アクリル系樹脂エマルジョン(C)と、25℃以下の水性スチレン−ブタジエン系樹脂エマルジョン(D)と、平均粒子径2〜8μmのポリエチレンエマルジョンワックス(E)と、水性媒体(F)とを含有し、これらの配合割合を特定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ブリスターパック用水性接着組成物およびそれを用いたブリスターパック用包装容器に関する。より詳細には、ブリスターパック用の台紙に対する塗工適性が良好で、かつ台紙と蓋材との熱接着が良好であり、収納した物品が台紙に接着することのないブリスターパック用水性接着組成物およびそのブリスターパック用水性接着組成物を使用して得られるブリスターパック用包装容器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、文具、玩具、日用品等の物品を包装して陳列するために、ブリスターパック用包装容器が広く使用されている。ブリスターパック用包装容器とは、物品の形状に適合するポケット部を成型加工により設けた透明のプラスチックシート(蓋材)と台紙との間に収納する物品を挟み、蓋材の平坦部を台紙に貼り合せて一体型のパッケージの形態としたもので、外側から容易に物品を確認することが可能な包装容器である。
【0003】
このブリスターパック用包装容器の蓋材と台紙の貼り合せには、主としてヒートシールを用いる方法(以下、ヒートシール方法と称する)が利用されている。
【0004】
そして、実際のヒートシール方法では、加熱により接着性が発現する樹脂層を片方の面に積層した台紙の樹脂積層面に、蓋材を合わせて、台紙の反対側から加熱することにより、台紙と蓋材が熱接着される。
【0005】
この場合、台紙に熱接着性の樹脂層を形成するために、加熱により溶融・軟化して粘着性を示す樹脂を各種溶剤中に溶解あるいは分散させて、台紙へ塗工する方法が利用され、とりわけ、塗工適性や蓋材との接着強度の点から、塩酢ビ系の樹脂を有機溶剤に溶解させたブリスターパック用接着組成物が好んで使用されていた。
【0006】
しかし、有機溶剤を利用したブリスターパック用接着組成物は、塗工後、乾燥の間に有機溶剤が蒸発して環境に悪影響を及ぼすため、近年、環境に配慮した水性のブリスターパック用接着組成物への移行が除々に進んでいる。
【0007】
この様な水性のブリスターパック用接着組成物としては、各種水性樹脂エマルジョン、例えば、水性エチレン−酢酸ビニル系樹脂エマルジョン、水性アクリル系樹脂エマルジョン等を使用したタイプのものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0008】
【特許文献1】特開2001−010665号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかし、水性エチレン−酢酸ビニル系樹脂エマルジョンを使用すると、台紙への塗工適性が低い上に、台紙を棒積みした場合、加熱しなくても熱接着性樹脂層が接触している別の台紙と接着して、棒積み適性が低下するという問題がある。
【0010】
また、水性アクリル系樹脂エマルジョンを使用すると、台紙と蓋材との接着性が良好なもの(ガラス転移温度の低い系)では、収納した物品が台紙に接着しやすく、逆に台紙への接着を防止したもの(ガラス転移温度が高い系)では、台紙と蓋材との接着性が十分に得られないという、台紙と蓋材および収納された物品との接着性の間において相反する問題がある。
【0011】
本発明は、ブリスターパック用台紙への塗工適性が良好で、且つブリスターパック用台紙とブリスターパック用台紙を熱接着させる平坦部を有する熱可塑性樹脂からなるブリスター部材との熱接着が良好であり、内包品に対する耐ブロッキング性を有するブリスターパック用水性接着組成物およびそのブリスターパック用水性接着組成物を使用して得られるブリスターパック用包装容器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、ブリスターパック用台紙に塗工するブリスターパック用水性接着組成物として、ガラス転移温度が異なる3種類の水性スチレン−アクリル系樹脂エマルジョンと、水性スチレン−ブタジエン系樹脂エマルジョンと、特定平均粒子径を有する水性ポリエチレンエマルジョンワックスとを特定比率で含有させたものを使用することを特徴とする。
【0013】
すなわち、本発明にかかわるブリスターパック用水性接着組成物は、ガラス転移温度が−10℃以下の水性スチレン−アクリル系樹脂エマルジョン(A)と、
ガラス転移温度が−5〜10℃の水性スチレン−アクリル系樹脂エマルジョン(B)と、
ガラス転移温度35℃以上の水性スチレン−アクリル系樹脂エマルジョン(C)と、
25℃以下の水性スチレン−ブタジエン系樹脂エマルジョン(D)と、
平均粒子径2〜8μmのポリエチレンエマルジョンワックス(E)と、
水性媒体(F)とを含有するブリスターパック用水性接着組成物であって、
前記(A)〜(D)のエマルジョンの含有割合が、下記条件を満足することを特徴とするブリスターパック用水性接着組成物である。
前記(A)〜(D)の樹脂エマルジョンの固形分全体に占める個々の樹脂エマルジョンの固形分の割合が、
(A)の固形分の割合(A1)=5〜25質量%、
(B)の固形分の割合(B1)=30〜60質量%、
(C)の固形分の割合(C1)=20〜40質量%、
(D)の固形分の割合(D1)=5〜20質量%、
前記(A)〜(D)の樹脂エマルジョンのブリスターパック用水性接着組成物全体に占める総固形分の割合が、35〜60質量%。
【0014】
また、本発明にかかわるブリスターパック用包装容器は、一方の面に請求項1記載のブリスターパック用水性接着組成物にて形成された熱接着性樹脂層を有するブリスターパック用の台紙と、周縁に前記熱接着性樹脂層と接着させるための平坦部を有するプラスチックの蓋材とからなる、ブリスターパック包装製品であって、前記蓋材の平坦部と、前記台紙を熱接着性樹脂層とが、熱接着されてなることが好ましい。
【0015】
ここで、ガラス転移温度は、以下の方法により求めることができる。
<ガラス転移温度>
ガラス転移温度は、下記のwoodの式により求めた理論ガラス転移温度である。
Woodの式:1/Tg=W1/Tg1+W2/Tg2+W3/Tg3+・・・・・・・・・+Wx/Tgx
(式中、Tg1〜Tgxは共重合体を構成する単量体1、2、3・・・xのそれぞれの単独重合体のガラス転移温度、W1〜Wxは単量体1、2、3・・・xのそれぞれの重合分率、Tgは理論ガラス転移温度を表す。ただし、Woodの式におけるガラス転移温度は絶対温度である)
【0016】
また、平均粒子径は、電極の間に粒子を通過させてその抵抗値の変化から粒径を測定する方法であるコールター・カウンター法によって測定される値である。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、ブリスターパック用台紙への塗工適性が良好で、且つブリスターパック用台紙とブリスターパック用台紙を熱接着させる平坦部を有する熱可塑性樹脂からなるブリスター部材との熱接着が良好であり、内包品に対する耐ブロッキング性も良好となるブリスターパック用水性接着組成物を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明のブリスターパック用水性接着組成物およびブリスターパック用包装容器について説明する。
【0019】
まず、本発明のブリスターパック用水性接着組成物について説明する。
【0020】
本発明のブリスターパック用水性接着組成物は、ガラス転移温度が−10℃以下の水性スチレン−アクリル系樹脂エマルジョン(A)、ガラス転移温度が−5〜10℃の水性スチレン−アクリル系樹脂エマルジョン(B)、ガラス転移温度35℃以上の水性スチレン−アクリル系樹脂エマルジョン(C)、および25℃以下の水性スチレン−ブタジエン系樹脂エマルジョン(D)、平均粒子径2〜8μmのポリエチレンエマルジョンワックス(E)、水性媒体(F)を含有するものである。
【0021】
本発明のブリスターパック用水性接着組成物を構成する、ガラス転移温度が−10℃以下の水性スチレン−アクリル系樹脂エマルジョン(A)について説明する。
【0022】
ガラス転移温度(Tg)が−10℃以下の水性スチレン−アクリル系樹脂エマルジョン(A)としては、特に限定されるわけではないが、スチレン系単量体(スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエンとそれらの誘導体等)とアクリル系単量体((メタ)アクリル酸アルキルエステル化合物、芳香環を含む(メタ)アクリル酸エステル化合物等)とを共重合して得られるガラス転移温度(Tg)が−10℃以下、好ましくはガラス転移温度(Tg)が−10〜−30℃のスチレン−アクリル系共重合体樹脂を水中に分散させたもの等が例示できる。
【0023】
次に、本発明のブリスターパック用水性接着組成物を構成する、ガラス転移温度が−5〜10℃の水性スチレン−アクリル系樹脂エマルジョン(B)について説明する。
【0024】
ガラス転移温度(Tg)が−5〜10℃の水性スチレン−アクリル系樹脂エマルジョン(B)としては、特に限定されるわけではないが、スチレン系単量体(スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエンとそれらの誘導体等)とアクリル系単量体((メタ)アクリル酸アルキルエステル化合物、芳香環を含む(メタ)アクリル酸エステル化合物等)とを共重合して得られるガラス転移温度(Tg)が−5〜10℃のスチレン−アクリル系共重合体樹脂を水中に分散させたもの等が例示できる。
【0025】
次に、本発明のブリスターパック用水性接着組成物を構成する、ガラス転移温度が35℃以上の水性スチレン−アクリル系樹脂エマルジョン(C)について説明する。
【0026】
ガラス転移温度(Tg)が35℃以上の水性スチレン−アクリル系樹脂エマルジョン(C)としては、特に限定されるわけではないが、スチレン系単量体(スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエンとそれらの誘導体等)とアクリル系単量体((メタ)アクリル酸アルキルエステル化合物、芳香環を含む(メタ)アクリル酸エステル化合物等)を重合して得られるガラス転移温度(Tg)が35℃以上、好ましくはガラス転移温度(Tg)が35〜65℃のスチレン−アクリル系共重合体樹脂を水中に分散させたもの等が例示できる。
【0027】
次に、本発明のブリスターパック用水性接着組成物を構成する、ガラス転移温度(Tg)が25℃以下の水性スチレン−ブタジエン系樹脂エマルジョン(D)について説明する。
【0028】
ガラス転移温度(Tg)が25℃以下の水性スチレン−ブタジエン系樹脂エマルジョン(B)としては、特に限定されるわけではないが、スチレン系単量体(スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエンとそれらの誘導体等)とブタジエン単量体とを共重合して得られるガラス転移温度(Tg)が25℃以下の、好ましくは、好ましくはガラス転移温度(Tg)が25〜−20℃スチレン−ブタジエン系共重合体樹脂を水中に分散させたもの等が例示できる。
【0029】
前記(A)〜(D)の水性樹脂エマルジョンの合成は、公知の方法で行なうことができる。合成方法の具体例としては、ラジカル重合開始剤と各種単量体の混合物を、通常の乳化剤あるいは高分子乳化剤を加えた水中に滴下し、通常40〜120℃で重合する方法等があげられるが、合成方法は特に限定されない。
【0030】
また、本発明のブリスターパック用水性接着組成物には、前記(A)、(B)、(C)、(D)の樹脂エマルジョンの固形分全体に占める個々の樹脂エマルジョンの固形分の割合として、
(A)の固形分の割合(A1)=5〜25質量%、
(B)の固形分の割合(B1)=30〜60質量%、
(C)の固形分の割合(C1)=20〜40質量%、
(D)の固形分の割合(D1)=5〜20質量%の範囲となるよう含有させることが好ましい。
【0031】
また、ブリスターパック用水性接着組成物全体に占める前記(A)、(B)、(C)、(D)の樹脂エマルジョンの総固形分の割合は35〜60質量%である。
【0032】
ここで、(A)の割合が5質量より少ないと接着性が低下する傾向にあり、一方、25質量%より多いと棒積み適性に悪影響を及ぼす。また、(C)の割合が20質量%より少ないときは棒積み適性に悪影響を及ぼし、40質量%より多いときは接着性が低下する。また、(D)の割合が5質量%より少ないときは接着性に悪影響を及ぼし、20質量%より多いときは棒積み適性が低下する。
【0033】
また、ブリスターパック用水性接着組成物中の全樹脂エマルジョン固形分が35質量%より少ないときは接着性が低下し、60質量%より多いときは棒積み適性に悪影響を及ぼす。
【0034】
次に、本発明のブリスターパック用水性接着組成物の構成する水性ポリエチレンエマルジョンワックス(E)について説明する。
【0035】
本発明の水性ポリエチレンエマルジョンワックス(E)としては、エチレン重合による製造、あるいは一般成形用のポリエチレンを熱分解により低分子量化して製造する方法等の方法により得られたポリエチレンワックスを酸化してカルボキシル基や水酸基を付加し、さらに界面活性剤を使用し乳化して水性ポリエチレンエマルジョンワックスを得る方法等で得ることができるが、乳化して水性ポリエチレンエマルジョンワックスを得る方法は特に限定されない。
【0036】
水性ポリエチレンエマルジョンワックスのブリスターパック用水性接着組成物中での使用量は、ブリスターパック用水性接着組成物中に水性ポリエチレンエマルジョンワックスを固形分で0.1〜3質量%含有させることが好ましい。水性ポリエチレンエマルジョンワックスが0.1質量%より少ないと内包品に対する耐ブロッキング性が低下し、一方3質量%より多いと接着性が低下する問題が発生する。
【0037】
また、水性ポリエチレンエマルジョンワックスの粒子径は、2〜8μmであることが好ましい。粒子径が2μmより小さいと棒積み適性が悪化し、一方、8μmより大きいと接着性が低下する。
【0038】
次に、本発明のブリスターパック用水性接着組成物の構成する水性媒体(F)について説明する。
【0039】
本発明の水性媒体としては、水、または水と水混和性有機溶剤との混合物が使用できる。水混和性有機溶剤としては、例えばメチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、n−プロピルアルコールなどの低級アルコール類、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、グリセリンなどの多価アルコール類、エチレングリコーモノメチルエーテル、エチレングリコーモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテルなどの(ポリ)アルキレングリコールのものアルキルエーテル類、エチレングリコールモノアセテート、プロピレングリコールモノアセテートなどの(ポリ)アルキレングリコ−ルのモノ脂肪酸エステル類などが挙げられる。これら水混和性有機溶剤は単独でまたは2種以上組み合わせて使用できる。
【0040】
さらに、本発明のブリスターパック用水性接着組成物には、必要に応じて種々の機能性を発現させるため、各種の添加剤を添加することができる。具体的には、顔料や染料等の着色剤、造膜剤、防腐剤、酸化防止剤、消泡剤等が挙げられる。
【0041】
前記構成材料を用いて本発明のブリスターパック用水性接着組成物は、例えば、前記構成材料を通常の撹拌装置(例えば、ディスパー等)を用いて撹拌することにより得ることができる。
【0042】
なお、得られたブリスターパック用水性接着組成物の粘度は、塗工適性の点から、25℃においてザーンカップR#4で5〜60秒であることが好ましい。
【0043】
次に、本発明のブリスターパック用包装容器について説明する。
【0044】
本発明のブリスターパック用包装容器としては、コート紙やアート紙等の一方の面に本発明のブリスターパック用水性接着組成物を1〜5g/m2固形分となるように、ロールコーター、フレキソコーター、グラビアコーター、エアナイフ等の塗工機を用いて塗布後、乾燥させることにより形成された熱接着性樹脂層を有するブリスターパック用台紙上に内包物品を載置し、該内包物品の形状に合わせて成形され、且つその周縁に前記熱接着性樹脂層と接着させるための平坦部を有するPET(ポリエチレンフタレート)やOPP(ポリプロピレン)等のプラスチック容器等を熱接着して得られるもの等が挙げられる。
【0045】
なお、前記平坦部とブリスターパック用台紙の熱可塑性樹脂層との熱接着は、ブリスターパック用台紙の熱可塑性樹脂層を有する反対側から加熱することによる熱接着等が挙げられる。
【0046】
以下、実施例をあげて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。なお、特に断りのない限り、「%」は「質量%」を意味し、「部」は「質量部」を意味する。
【0047】
<実施例1〜6および比較例1〜6のブリスターパック用水性接着組成物の製造方法>
表1に記載の構成材料を撹拌装置(ディスパー)に撹拌中添加することにより実施例1〜6および比較例1〜6のブリスターパック用水性接着組成物を得た。
【0048】
<フィルム接着性および棒積み適性を評価するためのブリスターパック用水性接着組成物の塗工方法>
板紙(例:北越製紙(株)製 ニューDV 紙厚0.4μm)に実施例1〜6および比較例1〜6のブリスターパック用水性接着組成物を、ハンドプルーファーを用いて、約3g/m2固形分となるように塗布した。その後、ニス塗膜が安定するまで自然乾燥させ、実施例1〜6および比較例1〜6の塗工物を得た。
【0049】
評価方法を以下に示す。
【0050】
印刷評価
<フィルム接着性>
熱傾斜装置を用いて、接着温度・圧力・接着時間を変化させてフィルム(商品名:A−PET、東洋紡(株)製)と前記塗工方法で得られた実施例1〜6および比較例1〜6の塗工物との接着性を評価する。結果を表2に示す。
接着条件
・接着温度:130〜220℃で10℃刻みに評価する
・圧力:3Kgf/cm2
・接着時間:3秒
接着性の評価基準
○:完全に接着する
×:接着しない温度領域を有するもの
【0051】
<棒積み適性>
実機印刷機での印刷直後の平積みや輪転機の巻き取りを想定し、ブリスターパック用水性接着組成物の塗工後、自然乾燥させ、ニス塗膜が安定した一日後に、実施例1〜6および比較例1〜6のブリスターパック用水性接着組成物を塗布した塗工面と塗布していない未塗工面とを重ね合わせ、金属重りで500g/cm2の圧力をかけ40℃、50%で24時間ブロッキング試験を行う。結果を表1に示す。
評価基準
○:容易に剥離可能である
△:剥離可能であるが、抵抗感がある
×:剥離できない
【0052】
<印刷適性>
実機印刷機にて実施例1〜6および比較例1〜6のブリスターパック用水性接着組成物を板紙(北越製紙製 ニューDV 紙厚0.4μm)に印刷し、消泡性などの機上安定性やアニロックスやブランケットの洗浄性を評価する。結果を表1に示す。
評価基準
○:泡立たなく、容易に洗浄できる
△:若干泡立つ、または洗浄できるが時間がかかる
×:泡立つ、または洗浄できない
【0053】
【表1】

【0054】
【表2】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガラス転移温度が−10℃以下の水性スチレン−アクリル系樹脂エマルジョン(A)と、
ガラス転移温度が−5〜10℃の水性スチレン−アクリル系樹脂エマルジョン(B)と、
ガラス転移温度35℃以上の水性スチレン−アクリル系樹脂エマルジョン(C)と、
25℃以下の水性スチレン−ブタジエン系樹脂エマルジョン(D)と、
平均粒子径2〜8μmのポリエチレンエマルジョンワックス(E)と、
水性媒体(F)とを含有するブリスターパック用水性接着組成物であって、
前記(A)〜(D)のエマルジョンの含有割合が、下記条件を満足することを特徴とするブリスターパック用水性接着組成物。
前記(A)〜(D)の樹脂エマルジョンの固形分全体に占める個々の樹脂エマルジョンの固形分の割合が、
(A)の固形分の割合(A1)=5〜25質量%、
(B)の固形分の割合(B1)=30〜60質量%、
(C)の固形分の割合(C1)=20〜40質量%、
(D)の固形分の割合(D1)=5〜20質量%、
前記(A)〜(D)の樹脂エマルジョンのブリスターパック用水性接着組成物全体に占める総固形分の割合が、35〜60質量%。
【請求項2】
一方の面に請求項1記載のブリスターパック用水性接着組成物にて形成された熱接着性樹脂層を有するブリスターパック用の台紙と、周縁に前記熱接着性樹脂層と接着させるための平坦部を有するプラスチックの蓋材とからなる、ブリスターパック包装製品であって、
前記蓋材の平坦部と、前記台紙を熱接着性樹脂層とが、熱接着されてなることを特徴とするブリスターパック用包装容器。

【公開番号】特開2010−18671(P2010−18671A)
【公開日】平成22年1月28日(2010.1.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−179050(P2008−179050)
【出願日】平成20年7月9日(2008.7.9)
【出願人】(000105947)サカタインクス株式会社 (123)
【Fターム(参考)】