説明

ブリスターパック

ブリスターパックが、ミシン目(10)により互いに分離することができる複数個のフィルム容器(1)を形成するための下側フィルム及び上側フィルムを有し、各フィルム容器は、充填物、特に有効物質薬剤のための収容チャンバ(2)を有し、収容チャンバ(2)は、ブリスターパック(7)の周囲に配置されている。ブリスターパック(7)の中央部は、ブリスターパックから分離できるフィルム部分(4)によって形成され、このフィルム部分を取り外すと、収容チャンバ(2)を開放するための開放領域(5)が後に残される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ミシン目により互いに分離することができる複数個のフィルム容器を形成するための下側フィルム及び上側フィルムを有するブリスターパックであって、各フィルム容器が充填物、特に有効物質薬剤のための1つの収容チャンバを有し、収容チャンバがブリスターパックの周囲境界部に沿ってぐるりと配置されているようなブリスターパックに関する。
【0002】
本発明は更に、ミシン目により互いに分離することができる複数個のフィルム容器を形成するための下側フィルム及び上側フィルムを有するブリスターパックであって、各フィルム容器が充填物、特に有効物質薬剤のための1つの収容チャンバを有し、四辺形のフィルム容器がマトリックスの状態に配置されているようなブリスターパックに関する。
【背景技術】
【0003】
とりわけ有効物質薬剤を場合によっては有効物質薬剤の薬学的品質に悪影響を及ぼす場合のある環境の影響から保護するためにフィルム容器が用いられており、このようなフィルム容器は、一般に、上側フィルム及び下側フィルムから成り、下側フィルムには充填物のためのキャビティが設けられている。上側フィルム及び下側フィルムは、同種又は異種材料の1つ又は2つ以上の層で構成されている場合がある。上側フィルムは、例えば接着、溶接又は封着によって下側フィルムに密封的に取り付けられる。上側フィルム及び/又は下側フィルムは、一般に、金属及び/又はプラスチック及び/又はペーパーフィルムの形態をしている。これら材料は、複数の層をなして存在する場合がある。典型的な金属フィルムとしては、例えば、アルミニウムフィルムや例えばアルミニウム及びプラスチックで作られた複合アルミニウムフィルムが挙げられるが、プラスチックフィルムに用いられる材料は、ポリ塩化ビニル(PVC)、シクロ‐オレフィン‐コポリマー(COC)、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCFE)、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリカーボネート(PC)、ポリエステル(UP)、ポリアクリレート、ポリアミド(PA)若しくは別のプラスチック又は例えば、特にハネウェル・インターナショナル・インコーポレイテッド(Honeywell International, Inc.)により商標登録されている商標名Aclar(登録商標)で知られているポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)とポリ塩化ビニル(PVC)との組み合わせ又はポリ塩化ビニル(PVC)とポリビニリデンクロリド(PVdC)の組み合わせから成る多層複合フィルムプラスチックであるのが良い。多くの場合、フィルム容器又はブリスタは、薬剤又は有効物質を収容するよう下側フィルムを密封するアルミニウムを備えている。この熱成形下側フィルムは又、薬剤を保持するようになったキャビティに水が入るのを阻止するためにアルミニウム箔から成る場合がある。別の拡散バリヤを作るため又はブリスタの機械的安定性を高めるために、下側フィルム又は上側フィルムのアルミニウム箔は、オプションとして、片面又は両面が追加のプラスチック及び/又はペーパーフィルムで覆われる場合がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
国によっては、特に有毒作用を持ち又は不適切に用いられた場合には健康に対して比較的深刻な危害をもたらす薬剤を子供が手に入れることが困難であるようにするために医薬品の子供にとって安全な、即ちチャイルドプルーフ式の包装に関する規則が制定考慮中であり又は既に存在している。
【0005】
本発明の課題は、充填物の取り出し方がフィルム容器の形状によって決定され、良好なチャイルドプルーフ性を備えている上述した形式のフィルム容器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明によれば、この課題は、ブリスターパックの中央部が取り外し可能なフィルム部分によって形成され、フィルム部分の取り外し後、開放領域が収容チャンバを開放するために利用可能であることによって解決される。
【0007】
これらの手段に鑑みて、まず最初に、フィルム部分をブリスターパックの中央領域から取り外して個々のフィルム容器の開放領域への次の接近を可能にすると共に充填物を取り出すために対応の収容チャンバを開放することができるようにすることが必要である。操作ステップの所要数は、追加のチャイルドプルーフ性をブリスターパックにもたらす。というのは、収容チャンバの開放の仕方は、風変わりであり、それゆえ、子供にとっては実施が困難だからである。他方、大人であれば、収容チャンバを開放する仕方を容易に把握してこれを実施することができる。
【0008】
本発明の範囲内において「ミシン目」という用語は、ブリスターパックの材料又はこの材料の複数個の層若しくはプライの実際の穿孔と、材料の薄肉化、曲げ線、折り畳み線、エンボス加工印等の両方を意味している。この種のミシン目は、個々のフィルム容器を引き剥がし又は分離することができるようブリスターパックの製造中に機械によって作られるのが良い。
【0009】
ブリスターパックからのフィルム部分の取り外しを簡単にするために、フィルム部分の周りに円をなして延びるミシン目が好都合には、フィルム部分と関連する。
【0010】
ユーザが自分自身でブリスターパックの一部分を取り去ることができるようにするためには、フィルム容器をセグメントの状態に分離するのが良い。
【0011】
好ましくは、フィルム容器相互間のミシン目は、ブリスターパックの外周まで延びているわけではない。かくして、ミシン目に沿うブリスターパックの縁又は周辺からのフィルム容器の偶発的な裂け又は分離は、効果的に阻止される。その結果、ユーザは、フィルム容器を中央から始まって取り外して収容チャンバに接近し又はフィルム容器をブリスターパックの残部から分離するしかない。
【0012】
一特徴によれば、フィルム容器は、多角形、円又は長円形の外側輪郭をなして互いに対して配置されている。この配置により、複数個のフィルム容器をくっつけてブリスターパックを形成することができ、各フィルム容器は、中央からしか開くことができない。
【0013】
変形例として、上述の課題は、本発明によれば、ミシン目により互いに分離することができる複数個のフィルム容器を形成するための下側フィルム及び上側フィルムを有するブリスターパックであって、各フィルム容器が充填物、例えば有効物質薬剤のための1つの収容チャンバを有し、長方形のフィルム容器がマトリックスを形成するよう配置されている、ブリスターパックにおいて、フィルム容器を螺旋状に分離でき、ミシン目は、隣り合うフィルム容器の対相互間で或る特定の領域に設けられ、充填物を収容チャンバから取り出すための開放領域がミシン目の付近に設けられていることを特徴とするブリスターパックによって解決される。
【0014】
フィルム容器及びそれゆえに更に収容チャンバの螺旋配置は、各々に有効物質薬剤が充填されている個々の収容チャンバを開放し又は分離する順序を定める。フィルム容器は、ユーザが開放領域に達することができるようにするために螺旋を描く特定の順序で分離されなければならない。螺旋の形状は、例えば、フィルム容器相互間の対応の無孔領域によって保証される。明らかなこととして、各フィルム容器に開放領域が1つしか設けられていない。風変わりな操作方法により、チャイルドプルーフ性が得られる。というのは、収容チャンバの開放の仕方は、風変わりであり、それゆえ、子供にとっては実施が困難だからである。他方、大人であれば、収容チャンバを開放する仕方を容易に把握してこれを実施することができる。
【0015】
別の特徴によれば、開放領域は、上側フィルムを引き剥がすための掴みタブとして構成されている。上側フィルムは、開放領域のその領域全体にわたって下側フィルムには連結されておらず又はそれほどしっかりとは密封されていない。かくして、比較的ルーズに下側フィルム上に載り又は下側フィルムから比較的容易に引き剥がすことができるカバーフィルムは、収容チャンバを開放して収容チャンバ内の充填物への接近を可能にするためにユーザによって開放領域のところで下側フィルムから比較的容易に持ち上げられて引き離され又は引き剥がされる。
【0016】
変形例として、開放領域は、下側フィルム及び/又は上側フィルムに設けられた弱め領域としての切欠き又は切れ目を有する。好都合には、切欠き又は切れ目は、フィルム容器の縁領域から収容チャンバに向かって中央に延びる。充填物を取り出すためにフィルム容器を切欠き又は切れ目に沿って収容チャンバまで引き裂いて開放することができる。
【0017】
明らかなこととして、ブリスターパックは、個数や曜日に関する情報等から成る刻印又は印刷を有するのが良い。
【0018】
好ましくは、下側フィルムは、プラスチック、アルミニウム又はこれら材料の組み合わせで作られる。下側フィルムの収容チャンバの種々のキャビティの形状寸法及び個数は、この中に配置されるべき充填物、例えば錠剤等に合わされる。当然のことながら、単一のブリスターパックは、複数個のフィルム容器を有するのが良く、フィルム容器は、対応の数の収容チャンバを有する。下側フィルムは、例えば、充填物に向いた側又は面が厚さ約60μmのポリ塩化ビニル(PVC)の層、次に厚さ約45μmのアルミニウムフィルムで作られるのが良く、このアルミニウムフィルムは、厚さ約25μmの配向ポリアミド(oPA)のフィルムに取り付けられる。
【0019】
有利には、上側フィルムは、複合アルミニウムフィルムであり、これは、例えば、充填物に向いた側又は面が厚さ約20μmのアルミニウムフィルム及びこれに取り付けられたポリエチレンテレフタレート(PET)の厚さ約23μmのフィルムから成る。明らかなこととして、下側フィルムと上側フィルムは、同一であっても良く又は他の材料で作られても良い。
【0020】
上述した特徴及び以下に説明しようとする特徴は、指定された特定の組み合わせだけでなく、他の組み合わせで利用できることは理解されよう。本発明の範囲は、特許請求の範囲の記載にのみ基づいて定められる。
【0021】
以下において、関連の図面を参照して本発明を例示としての多くの実施形態により詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明のブリスターパックの平面図である。
【図2】図1のブリスターパックの別のフィルム容器の平面図である。
【図3】ブリスターパックの変形実施形態の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
複数個のフィルム容器1を備えたブリスターパック7は、キャビティ8を備えた下側フィルムと上側フィルムとを有し、この上側フィルムは、各々が少なくとも1つの充填物、特に有効物質薬剤を収容するための閉鎖状態の収容チャンバ4をキャビティ8の付近に形成するよう好ましくはヒートシールラッカを用いて適当な仕方で下側フィルムに取り付けられている。
【0024】
図1を参照すると、個々のフィルム容器1は、ブリスターパック7内において、多角形の形をなして互いに対して配置されており、個々の収容チャンバ2は、ブリスターパック7の周囲境界部に配置されている。ブリスターパック7の中央にはフィルム部分4が配置され、このフィルム部分には収容チャンバ2が設けられておらず、フィルム部分4を、実質的に円を描いているミシン目3によってブリスターパックから取り外すことができる。フィルム部分4に隣接して、セグメント状フィルム容器1の収容チャンバ2を開放するための開放領域5が設けられている。個々のフィルム容器1をミシン目3から始まっているミシン目10によって互いに分離することができ、他方、外側からのフィルム容器1の取り外しが困難であり、フィルム部分4を取り去った後ではこのような取り外しが中央方向から容易に実施されるようにするために、フィルム容器1相互間のミシン目10は、ブリスターパック7の周囲まで延びてはいない。
【0025】
フィルム容器1の収容チャンバ2を開放するため、最初に、ブリスターパック7の中央のフィルム部分4をその周囲に沿って連続して設けられているミシン目3に沿って取り外さなければならない。次に、ブリスターパック7のユーザは、星形に配置された状態で延びているミシン目10を分離することによりフィルム容器1を互いに分離することができ、収容チャンバ2を開放するのがかなり楽になる。開放領域5は、上側フィルムを下側フィルムから引き剥がすための掴みタブ9として構成され、上側フィルムは、開放領域5内のその領域全体にわたり下側フィルムに取り付けられておらず又はそれ程しっかりとは密封されていない。
【0026】
図2に示されているようなフィルム容器1の変形実施形態では、切れ目6が下側フィルム及び上側フィルムの弱め領域として開放領域5に設けられており、この切れ目は、収容チャンバ2の方向でブリスターパック7の中央に向いたフィルム容器1の縁領域から中央に延びる引き裂き補助手段を構成する。充填物を取り出すため、ユーザは、フィルム容器1を収容チャンバ2まで引き裂いて開放する。
【0027】
図3によれば、螺旋の形態をなして取り外すことができる長方形のフィルム容器1がマトリックス(行列配列体)を形成するよう変形例としてのブリスターパック7内に配置されている。隣り合うフィルム容器1の対相互間には、ミシン目11がところどころに設けられると共に且つ充填物を収容チャンバ2から取り出すための開放領域5がミシン目11の付近に設けられており、開放領域5は、上述したように構成されているのが良い。ブリスターパック7の幾つかの領域では、螺旋分離を保証するようフィルム容器1相互間にはミシン目11が設けられていない。ミシン目11が設けられていない領域では、フィルム容器1を開けるのを困難にするが、それにもかかわらず、フィルム容器1を開けることができるようにするために下側フィルム及び上側フィルムの材料の弱め部が設けられるのが良い。個々のフィルム容器1の取り外し順序を説明するため、ブリスターパック7にはそれに従って番号1〜30が印刷されている。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ミシン目(10)により互いに分離することができる複数個のフィルム容器を形成するための下側フィルム及び上側フィルムを有するブリスターパックであって、各フィルム容器が充填物、特に有効物質薬剤のための1つの収容チャンバ(2)を有し、前記収容チャンバ(2)が前記ブリスターパックの周囲境界部に沿ってぐるりと配置されているブリスターパックにおいて、
前記ブリスターパック(7)の中央部は、取り外し可能なフィルム部分(4)によって形成され、前記フィルム部分の取り外し後、開放領域(5)が前記収容チャンバ(2)を開放するために利用可能である、
ことを特徴とするブリスターパック。
【請求項2】
前記フィルム部分(4)の周りに円をなして延びるミシン目(3)が前記フィルム部分(4)と関連している、
請求項1記載のブリスターパック。
【請求項3】
前記フィルム容器(1)をセグメントの状態に分離することができる、
請求項1記載のブリスターパック。
【請求項4】
前記フィルム容器(1)相互間の前記ミシン目(10)は、前記ブリスターパック(7)の外周部まで真っ直ぐに延びていない、
請求項1ないし3のいずれか1項に記載のブリスターパック。
【請求項5】
前記フィルム容器(1)は、多角形、円、又は長円形の外側輪郭をなして互いに対して配置されている、
請求項1ないし4のいずれか1項に記載のブリスターパック。
【請求項6】
ミシン目(10)により互いに分離することができる複数個のフィルム容器を形成するための下側フィルム及び上側フィルムを有するブリスターパック(7)であって、各フィルム容器が充填物、例えば有効物質薬剤のための1つの収容チャンバ(2)を有し、四辺形の前記フィルム容器(1)がマトリックスを形成するよう配置されているブリスターパックにおいて、
前記フィルム容器(1)を螺旋状に分離でき、前記ミシン目(11)は、隣り合うフィルム容器(1)の対相互間で或る特定の領域に設けられ、前記充填物を前記収容チャンバ(2)から取り出すための開放領域(5)が前記ミシン目(11)の付近に設けられている、
ことを特徴とするブリスターパック。
【請求項7】
前記開放領域(5)は、前記上側フィルムを引き剥がすための掴みタブ(9)として構成されている、
請求項1ないし6のいずれか1項に記載のブリスターパック。
【請求項8】
前記開放領域(5)は、前記下側フィルム及び/又は前記上側フィルムに設けられた弱め領域としての切欠き又は切れ目(6)を有する、
請求項1ないし6のいずれか1項に記載のブリスターパック。
【請求項9】
前記切欠き又は前記切れ目(6)は、前記フィルム容器(1)の縁領域から前記収容チャンバ(2)に向かって中央に延びている、請求項8記載のブリスターパック。
【請求項10】
個数や曜日に関する情報等から成る刻印又は印刷を有する、
請求項1ないし9のいずれか1項に記載のブリスターパック。
【請求項11】
前記下側フィルムは、プラスチック、アルミニウム、又はこれら材料の複合材から成る、
請求項1ないし10のいずれか1項に記載のブリスターパック。
【請求項12】
前記上側フィルムは、複合アルミニウムフィルムである、
請求項1ないし10のいずれか1項に記載のブリスターパック。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2011−530460(P2011−530460A)
【公表日】平成23年12月22日(2011.12.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−522473(P2011−522473)
【出願日】平成21年7月30日(2009.7.30)
【国際出願番号】PCT/EP2009/059906
【国際公開番号】WO2010/018077
【国際公開日】平成22年2月18日(2010.2.18)
【出願人】(503385923)ベーリンガー インゲルハイム インターナショナル ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (976)
【Fターム(参考)】