説明

ブリスター容器

【課題】幼児等による開封が困難であるにもかかわらず、幼児等以外の者には開封が容易である固形物品用ブリスター容器を提供すること。
【解決手段】ブリスターカバーの一部に浅く形成した切断予定部を形成することにより、し、幼児等には開封が困難でありならが、ハサミ等を用いて切断部を台紙ごと切断すれば、幼児等以外の者は容易に内部の固形物品を取り出し得る。また、収納部に切断予定部に向かって浅く形成された搬送部を設けることにより、開封時に触れることなく、複数個の物品をスムーズに取り出すことも可能となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物品を収納するためのブリスター容器に関する。より詳しくは、幼児等が誤食すると危険性のある洗剤等の家庭用品、要指示薬等を含有する医薬品等の物品を収納するためのブリスター容器に関する。
【背景技術】
【0002】
ブリスター容器とは、透明な合成樹脂シートを膨隆状に成形したブリスターカバーと、このブリスターカバーの開口面側を閉蓋する台紙とで構成され、ブリスターカバー内の膨隆状部に物品を収納した後、台紙をブリスターカバーの開口面に被せ、両者を一体に接着等して使用する容器である。今日では、日用雑貨、玩具、事務用品、機械部品等の物品を包装し、販売する手段として広く利用されている。例えば、表面構成部材と裏面構成部材との不用意な剥離を防止することができるブリスター容器が、特許文献1に開示されている。
【0003】
こうしたブリスター容器は、輸送及び陳列時には破損しにくく、開封が容易であることが好ましい。しかし、誤って服用すると危険である洗剤等の薬剤や、服用量が厳しく制限される医薬品等が収納される容器については、幼児や認知症患者等による内容物の誤飲又は誤食を防止するために、敢えて開封を困難にする必要がある。こうした、幼児等には開封が困難であり、正常な判断能力を有する成人には開封が容易である容器に関する発明が、特許文献2及び特許文献3に開示されている。
【特許文献1】特開2007−210649号公報
【特許文献2】特表平10−503149号公報
【特許文献3】特表2002−528348号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ブリスター容器は、紙容器やプラスチックパック等と比較すると幼児等には開封が困難な容器であるが、開封口や開封手段を設けると、幼児等が偶発的に開封してしまう危険性が高くなる。一方、開封口や開封手段を設けなければ、幼児等以外の者にとっても開封が困難になり、不便さが目立つことになる。
【0005】
また、ブリスター容器に収納する物品には、洗面台、流し等の排水管を洗浄するための塩素系薬剤を主成分とする固形洗浄剤が収納されることがあり、このような物品については、誤って幼児等が食べないための積極的な対策が望まれる。
【0006】
このような住宅用の固形洗浄剤は、使用時に台紙を剥がし、1回使用分に調整されている洗浄剤1個を取り出す形式が多かった。しかし、排水管の上部に十字形の仕切が設けられている場合には、排水管内に洗浄剤を投入することができないという問題があった。
【0007】
このため、1回使用分を複数個の小型の錠剤に分割し、使用時に全部の錠剤を排水管に投入するタイプの固形洗浄剤も開発されているが、錠剤の外観がラムネ菓子や医薬品に酷似しているため、幼児や認知症患者等が菓子又は医薬品と誤認して開封し、誤飲又は誤食する危険性が高くなっている。
【0008】
これ以外にも、浴用入浴剤、入れ歯洗浄剤等もブリスター容器に収納された状態で販売されることが多いが、こうした日用品は一般家庭内で幼児等の手の届く場所に保管される場合もあり、誤飲又は誤食を防止するための対策がブリスター容器自体にも必要となる。もちろん、薬剤に限らず、幼児が飲み込みやすい大きさや形態のねじ、ボルト、ナット等の器具類についても、誤飲又は誤食を効果的に防止しつつ、幼児等以外の者には取り出しやすいブリスター容器が求められる。
【0009】
本発明は、幼児等による開封が困難であるにもかかわらず、幼児等以外の者には開封が容易であるブリスター容器の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者らは、ブリスター容器について鋭意検討した結果、ブリスターカバーに浅く形成した切断予定部を設けることにより、幼児等には開封が困難でありならが、ハサミやカッターを用いて切断予定部を台紙ごと切断すれば、容易に内部の固形物品を取り出し得ることを見出し、本発明を完成させるに至った。
【0011】
具体的に、本発明は、
物品を収納するブリスターカバーと、該ブリスターカバーの開口面側を閉蓋する台紙とからなるブリスター容器であって、
前記ブリスターカバーは、物品を収納するための収納部と、物品よりも浅く形成した切断予定部とを有し、
前記ブリスターカバーは、前記収納部及び前記切断予定部以外の部分で前記台紙と接着されていることを特徴とするブリスター容器に関する。
【0012】
本発明のブリスター容器は、台紙とブリスターカバー外周部とが接着されているため、幼児等が台紙を剥がすことは困難である。しかし、ブリスターカバーの一部に物品よりも浅く形成した切断予定部が形成されているため、ハサミやカッター等を用いて切断予定部を台紙ごと切断することにより、切断面から台紙を剥がすことが可能となる。この切断予定部は、物品が収納されている部分よりも浅く形成されているために、ハサミ等を用いて切断しやすい。
【0013】
収納部には、切断予定部と接続する接続部に向かって浅く形成されている搬送部を設けることが好ましい。
【0014】
収納部と切断部との間に搬送部を設ければ、開封後に容器を上下反転させることにより、物品を搬送部に沿わせて(搬送部の上を滑らせて)取り出すことが可能である。このため、物品が開封後の容器からこぼれ出し、紛失することも防止しうる。
【0015】
搬送部の底辺と高さとの比は、tan10°以上tan90°以下であることが好ましい。
【0016】
搬送部の底辺と高さとの比がこの範囲から外れると、台紙を剥がした後、傾斜部に沿って固形物品をスムーズに取り出すことが困難になるためである。すなわち、比が大きすぎれば(搬送部が平面の場合には傾斜角が90°に近くなる)なれば、傾斜部に沿わせて固形物品を取り出すことは不可能であり、比が小さすぎれば(搬送部が平面の場合には傾斜角が0°に近くなる)、傾斜部が長細くなり、ブリスター容器のデッドスペースが過大となる。
【0017】
収納部又は搬送部の側面下部に、幅方向に向かう開封張り出し部を設けることが好ましい(請求項4)。
【0018】
開封張り出し部を形成することにより、切断予定部を切断した後に台紙を剥がしやすく、ブリスターカバー裏側への台紙残りも少ないため、物品を取り出しやすい。
【0019】
切断予定部の天井面と台紙との距離は、0.3mm以上2mm以下であることが好ましい。
【0020】
0.3mm未満では切断面から台紙を剥がすことが困難であり、2mmを超えるとハサミやカッターを用いて台紙ごと切断することが困難になるためである。
【0021】
なお、切断部の幅は、切断方向に直交する向きについて3mm以上7mm以下とすることが好ましい。3mm未満では幼児等以外の者でもハサミ等で切断部のみ切断することが困難であり、逆に7mmを超えると認知症患者等によってもハサミ等で切断部を切断することが容易となってしまうためである。
【0022】
収納部は、複数個の薬物を複数列に収納するための仕切壁を有してもよい。本発明のブリスター容器は、1個の物品を収納する場合にも上述した効果を発揮するが、比較的小型である複数個の物品を収納する場合に、特にその効果が顕著である。
【0023】
この場合、収納部には、薬物を複数列に並べて収納するための仕切壁があった方が、ブリスター容器内で物品をしっかりと保持することができる。また、開封後に物品を取り出す際にも、複数列に並べるための仕切壁があれば、ブリスターカバーを下側にして傾けたときに、搬送部に沿って物品を順番に取り出しやすくなる。
【0024】
仕切壁は、収納部内を分割するような機能を有していれば足り、分割された区画同士を密閉しなくてもよい。例えば、ブリスターカバーの上面に、内側に向けた凸部を設けたり、V字にする等によって仕切壁としてもよい。
【0025】
なお、仕切壁によって分割された区画には、すべて同じ物品を収納することもできるが、異なる形状又は大きさの物品を収納することも可能である。異なる物品を収納する場合には、各物品の形態に応じて適切な区画となるように、仕切壁の位置や大きさを調整する。
【0026】
本発明のブリスター容器に収納する物品は、特定種類又は特定形態の物品には限定されない。しかし、幼児等の誤飲又は誤食を防止する観点からは、錠剤状、丸剤状(球状)、カプセル状等の薬剤に適している。このような薬剤は、ラムネ菓子や医薬品と形態が酷似しているため、幼児等が誤飲又は誤食する危険性が高いためである。
【0027】
なお、ここでいう薬剤とは、医薬品に限らず、医薬部外品、化粧品、洗剤、漂白剤、消毒剤等の化学品全般を含む概念である。
【0028】
本発明の物品用ブリスター容器は、1枚の台紙上に1個のブリスターカバーが形成されていてもよいが、1枚の台紙上に複数個のブリスターカバーが形成されていてもよい。複数個のブリスターカバーが形成されている場合には、各ブリスターカバーの密封性を損なわないように、ブリスターカバー毎に切り離すことができるようにブリスターカバーと台紙との接着部分に破断線を設けてもよい。
【発明の効果】
【0029】
本発明の物品用ブリスター容器は、幼児等による容器の開封を有効に防止しうる。その一方、ハサミ、カッター等の開封器具を使用すれば、幼児等以外の者であれば特別な操作を行うことがないため、容易に内容物を取り出すことが可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
以下、本発明の実施の形態について、適宜図面を参照しながら説明する。なお、本発明は下記に限定されない。
【0031】
(実施例1)
本発明のブリスター容器の一例を、図1に示す。この容器は、厚紙の台紙1とブリスターカバー2とから構成されており、ブリスターカバー2には、切断予定部3と収納部5が存在する。収納部5の切断予定部3側には、さらに搬送部4が存在し、接続部6において切断予定部3と接続する。そして、収納部5には複数個の錠剤7(固形物品)が収納されている。
【0032】
搬送部4及び収納部5には、天上面にV字上の仕切壁8があり、搬送部4及び収納部5を等分している。ブリスターカバー2は、例えば、符号9で示されるような部分では、台紙1と接着されている。
【0033】
図1のA−A’断面図を、図2に示す。ここでは、搬送部4は平面であり、台紙1に対して傾斜角θを有している。この傾斜角θは、搬送部4が平面の場合には10°以上70°以下とすることが好ましく、20°以上60°以下とすることがより好ましい。錠剤7は収納部5内に収納されているが、開封前は搬送部4に移動することも可能である。もし、錠剤7をしっかりと固定する場合には、図2で収納部5の高さを錠剤7と同程度まで低くして、錠剤7が搬送部4に移動しないようにすればよい。
【0034】
搬送部4は平面に限らず、上部が外側に向かって湾曲し、下部が平面となっていてもよく(図3(a)参照)、全体が外側に向かって湾曲していてもよく(図3(b)参照)、階段状となっていてもよい(図3(c)参照)。
【0035】
搬送部4が図3(a)に示す形態である場合、図4に示す切断方向に直交する方向についての断面図ように、搬送部の底辺aと高さbとの比a/bは、tan10°以上tan90°以下の範囲であることが好ましく、錠剤7(固形物品)の大きさ、形状、数に左右されずに搬送部4を使って取り出しやすいという観点から、tan20°以上tan60°以下の範囲であることがより好ましい。ここで、点Pは接続部6上の1点であり、点Qは搬送部4の上端点である。点Rは、点Pを通る台紙1に対する平行線と、点Qからの垂線が交差する点である。そして、点P−R間の距離aを「搬送部の底辺」、点Q−R間の距離を「搬送部の高さ」と規定している。
【0036】
なお、図4では、図3(a)の場合を例示したが、図3(b)及び図3(c)に示す形態の場合も同様であり、搬送部がこれら以外の形態の場合にも同様である。
【0037】
従来のブリスター包装では、図5(a)に示すように、ブリスターカバー12に破断線(切れ込み)14又はつまみ15を設けるか、図5(b)に示すように、台紙11の裏側に破断線(切れ込み)16を設けることにより、固形物品(錠剤)13の取り出しを容易にしていたが、それでは幼児等による誤飲又は誤食を防止することができない。
【0038】
これに対して、実施例1のブリスター容器には、固形物品が収納されている部分の台紙1及びブリスターカバー2(台紙1とブリスターカバー2とが接着されている符号9の部分を除く)のいずれにも開封のための破断線(切れ込み線)が存在しないため、幼児等が台紙1又はブリスターカバー2を破って、内部の錠剤7を取り出すことはできない。また、破断線から外気が侵入することもないため、密封性にも優れている。
【0039】
錠剤7を取り出す場合、切断予定部3及び台紙1を、図2のX−X’線に沿ってハサミ等を用いて切断する。その後、図6(a)に示すように台紙1が上側になるように保持する。切断予定部3を含むブリスターカバー2の内部は台紙1と接着されていないので、台紙1と切断予定部3との間に生じた開口部10に指を入れれば、ブリスターカバー2から台紙1を剥がすことができる。
【0040】
切断予定部3は、収納部5等ブリスターカバー2の他の部分と同じ厚みでよいが、ハサミやカッター等を用いて台紙ごと切断しなければならないため、なるべく浅く形成することが好ましい。切断予定部の天井面と台紙との距離(図2中Zで示す鉛直方向の長さ)は、0.3mm以上2mm以下にすることが好ましい。
【0041】
台紙1の材質としては、紙、フィルム、不織布等が適しており、容器の気密性を高めるためには、台紙の外側及び/又は内側をラミネート等することが好ましい。
【0042】
ブリスターカバー2の材質としては、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)等のプラスチックが適している。
【0043】
台紙1の厚みは、0.2mm以上1mm以下であることが好ましい。台紙の厚みが0.2mm未満であれば台紙が裏面から破れやすくなり、幼児等でも開封が容易となってしまう。一方、台紙の厚みが1mmを超えると大きすぎると、切断予定部と共にハサミやカッターを用いて切断することが困難になる。
【0044】
ブリスターカバー2の厚みは、0.2mm以上1mm以下であることが好ましい。ブリスター容器の厚みが0.2mm未満では収納物品を保護する強度が不足してしまう。一方、ブリスター容器の厚みが1mmを超えると、切断予定部と共にハサミやカッターを用いて切断することが困難になる。
【0045】
次に、図6(b)に示すように、台紙1は、少なくとも内部の錠剤7を取り出すことができる程度まで捲る必要がある。切断予定部3は、錠剤7を収納している収納部5と比較して薄肉であるため、台紙1と共にハサミ等を用いて切断することは、幼児等以外の者にとっては容易である。また、切断後に裏側の台紙1を捲ることも、幼児等以外の者にとっては容易である。
【0046】
台紙1を捲った後、図7に示すように、収納部5の両脇に当たる部分を指で保持し、開口部10(破断面)を下にして傾斜させれば、指で触れることなく錠剤7を取り出すことができる。
【0047】
ここで、錠剤7を取り出すためには、台紙1をブリスターカバー2から全部に剥がす必要はないが、錠剤7の状態等を確認するため、あるいは使用者の癖で、図7に示すように、台紙1を全部剥がしてしまう場合も考えられる。
【0048】
この場合、従来のブリスター容器では、図8(a)に示すように、容器を傾斜させるだけでは錠剤x1→x2→x3の順に取り出すことは困難であり、傾斜を大きくするとx1よりも先にx2又はx3が落下し、錠剤を紛失しやすい。このため、塩素系漂白剤等の素手で触れることが好ましくない薬剤を含有する錠剤であれば、ビニール手袋等をはめて指でつまみ出す必要が出てくる。
【0049】
一方、実施例1のブリスター容器では、搬送部4が存在しているため、錠剤は収納部5から搬送部4を経て切断予定部3へとスムーズに移動可能であり、図8(b)に示すように、開封後に容器を傾斜させることにより錠剤y1→y2→y3を順に取り出すことができる。また、錠剤を指でつまむ必要はない。このことは、ブリスター容器の中身が錠剤等の小型かつ複数個の固形物品である場合に、特に便利である。
【0050】
なお、実施例1に関する図1、図2、図6〜図8では、切断予定部3及び搬送部4がブリスター容器5の片側にだけ存在しているが、両側に存在してもよい。その場合、どちらか片側の切断予定部から開封すれば足り、両側の切断予定部を開封する必要はない。
【0051】
また、切断予定部3及び搬送部4の幅は、収納部5と同じであるが、開封時に台紙を捲りやすくするためには、後述する図10のように、切断予定部3及び搬送部4の幅を、搬送部4以外の収納部5よりも大きくすることが好ましい。
【0052】
実施例1のブリスター容器は、図9に示すように、1枚の台紙上に複数個のブリスターカバーを形成することもできる。
【0053】
図9のブリスター容器は、実施例1の変形例であり、切断予定部3の幅が収納部5よりも大きくなっている。また、搬送部4の側面下部に、幅方向に向かう開封張り出し部18が設けられている。ここでは、切断予定部3と開封張り出し部18とは一体化している。切断予定部3を幅広とすることで、開封時に台紙1が捲りやすくなる。さらに、開封張り出し部18を設けることにより、台紙1がより捲りやすくなり、剥がれ残りも防止できる。
【0054】
各ブリスターカバーの周囲に破断線17を設置しておけば、実施例1のブリスター容器を切り離すことにより、図1に示す本発明のブリスター容器を複数個(図9の例では6個)得ることができる。そして、各ブリスター容器が、上述した効果を発揮しうる。
【0055】
台紙1とブリスターカバー2との接着部分9については、図10(a)に示すように、ブリスターカバー2の外側すべての部分としてもよいが、図10(b)に示すように、破断線17で囲まれた領域のうち、ブリスターカバー2周辺部だけとしてもよい(斜線部が接着部分9である)。
【0056】
なお、破断線17は、台紙1及び/又はブリスターカバー2を素手で破くことができるようなものとしてもよく、ハサミ等で切断するための目安となる直線を描画するだけであってもよい。
【0057】
(実施例2)
本発明のブリスター容器の別の一例を、図11に示す。実施例2のブリスター容器の基本的構成は実施例1と同様であるが、収納部5の一角に切断予定部3及び搬送部4が形成されている。
【0058】
開封時には、切断予定部3及び台紙1を、図11のY−Y’線に沿ってハサミ等を用いて切断する。実施例2では、切断予定部3は搬送部4及び収納部5と比較して幅広くなっているため、裏返して開口部10からブリスターカバー2から台紙1を剥がす際、実施例1よりも容易に剥がすことが可能である。
【0059】
また、搬送部4の側面下部には、切断予定部3と一体化した開封張り出し部18が形成されている。開封張り出し部18は、切断予定部3と同様、その外周部以外は台紙1と接着されていないため、開封後にブリスターカバー2から台紙1をより剥がしやすい構造となっている。
【0060】
その後、開口部10を下にして傾斜させれば、搬送部4の存在によって錠剤7をスムーズに取り出すことが可能である。実施例2では、ブリスターカバー2天井面の一部にV字上の仕切壁8が存在するが、連通部19も存在しているため、容器の傾斜を変えることにより、錠剤7が連通部19を通過して搬送部4へと移動することが可能である。このため、実施例1と同様に、収納部5内に小型の錠剤が複数個収納されていても、すべて指で触れることなく取り出すことができる。
【0061】
なお、実施例2のブリスター容器も、実施例1のブリスター容器と同様に、1枚の台紙上に複数個のブリスターカバーを形成することができる。
【産業上の利用可能性】
【0062】
本発明のブリスター容器は、医薬品、化学品、日用品等の分野における収納容器として有用である。
【図面の簡単な説明】
【0063】
【図1】実施例1のブリスター容器の構造を表す外観図である。
【図2】図1のA−A’断面図である。
【図3】搬送部の例を示す断面図であり、(a)は上部が曲線で下部が直線である例、(b)は全体が曲線である例、(c)は階段状の例である。
【図4】搬送部の底辺と高さとの比について説明する図である。
【図5】従来のブリスター容器の別の一例を表す外観図であり、(a)はブリスターカバーに破断線があるタイプ、(b)は台紙裏側に破断線があるタイプである。
【図6】実施例1のブリスター容器について、開封時の状況を表す図であり、(a)は切断部及び台紙を切断して裏返しにした状態、(b)は開口部から台紙を捲った状態である。
【図7】台紙を取り外した実施例1のブリスター容器について、固形物品を取り出す状態を説明する図である。
【図8】台紙を取り外したブリスター容器を傾斜させた場合における固形物品の移動を説明する図であり、(a)は従来品、(b)は実施例1である。
【図9】1枚の台紙上に複数個のブリスターカバーを形成した実施例1の変形例である。
【図10】実施例1の変形例について、台紙とブリスターカバーとの接着部分を説明する図であり、(a)はブリスターカバーの外側すべての部分が接着されている例、(b)はブリスターカバー周辺部だけが接着されている例である。
【図11】実施例2のブリスター容器の構造を表す外観図である。
【符号の説明】
【0064】
1,11:台紙
2,12:ブリスターカバー
3:切断予定部
4:搬送部
5:収納部
6:接続部
7,13:固形物品(錠剤)
8:仕切壁
9:台紙とブリスターカバーとが接着されている部分
10:開口部
14:ブリスターカバーの破断線
15:つまみ
16:台紙の破断線
17:破断線
18:開封張り出し部
19:連通部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
物品を収納するブリスターカバーと、該ブリスターカバーの開口面側を閉蓋する台紙とからなるブリスター容器であって、
前記ブリスターカバーは、物品を収納するための収納部と、物品よりも浅く形成した切断予定部とを有し、
前記ブリスターカバーは、前記収納部及び前記切断予定部以外の部分で前記台紙と接着されていることを特徴とするブリスター容器。
【請求項2】
前記収納部には、前記切断予定部と接続する接続部に向かって浅く形成されている搬送部を設けている請求項1に記載のブリスター容器。
【請求項3】
前記搬送部の底面と高さとの比がtan10°以上tan90°以下である請求項2に記載のブリスター容器。
【請求項4】
前記収納部又は前記搬送部の側面下部に、幅方向に向かう開封張り出し部を設けている請求項1乃至3のいずれか1項に記載のブリスター容器
【請求項5】
前記切断予定部の天井面と前記台紙との距離が、0.3mm以上2mm以下である請求項1乃至4のいずれか1項に記載のブリスター容器。
【請求項6】
前記収納部が、複数個の物品を複数列に収納するための仕切壁を有する請求項1乃至5のいずれか1項に記載のブリスター容器。
【請求項7】
1枚の台紙上に複数個のブリスターカバーが形成されている請求項1乃至6のいずれか1項に記載のブリスター容器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2009−241945(P2009−241945A)
【公開日】平成21年10月22日(2009.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−89698(P2008−89698)
【出願日】平成20年3月31日(2008.3.31)
【出願人】(000186588)小林製薬株式会社 (518)
【出願人】(591016345)梅田真空包装株式会社 (6)
【出願人】(592239534)吉比化成株式会社 (2)
【Fターム(参考)】