説明

ブロックコポリマーの精製方法

本発明は、例えば樹枝状コポリマー化合物等のブロックポリマーならびにそのような化合物の製造方法および精製方法に関する。一実施形態において、本発明は、1以上のスチレンポリマーブロックおよび1以上のイソブチレンポリマーブロックを含む樹枝状ポリマー化合物に関する。別の実施形態において、本発明は、少なくとも1つのスチレンポリマーブロックおよび少なくとも1つのイソブチレンポリマーブロックを含む樹枝状ポリマー化合物の精製方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【関連出願のデータ】
【0001】
本願は、「樹枝状ポリイソブチレン−ポリスチレンコポリマーならびにその製造方法および精製方法(Arborescent Polyisobutylene−Polystyrene Copolymers, Method of Producing and Purifying Same)」と題する2006年5月17日に出願された米国仮特許出願第60/801,032号に基づいて優先権を主張する。米国仮特許出願第60/801,032号の開示内容は、この参照によって本願の開示内容として援用する。
【技術分野】
【0002】
[発明の分野]
本発明は、樹枝状コポリマー化合物等のブロックポリマーおよびそのような化合物の製造方法および精製方法に関する。一実施形態において、本発明は、1以上のスチレンポリマーブロックおよび1以上のイソブチレンポリマーブロックを含む樹枝状ポリマー化合物に関する。別の実施形態において、本発明は、少なくとも1つのスチレンポリマーブロックおよび少なくとも1つのイソブチレンポリマーブロックを含む樹枝状ポリマー化合物の精製方法に関する。
【背景技術】
【0003】
[発明の背景]
熱可塑性および弾性を示すポリマー材料は、商業製品として価値がある様々な特有の特性を有する。そのような熱可塑性エラストマーの例としては、ABA(線状トリブロック)、A(BA)(線状交互ブロック)または(AB)−X(放射状ブロック)(式中、Aは高いガラス転移温度を有する熱可塑性ガラス状ブロックであり、Bは弾性ブロックであり、nは正の整数であり、Xは開始剤コアまたは残渣である)で示される一般構造を有するブロックコポリマーが挙げられる。
【0004】
熱可塑性エラストマーは、室温では加硫ゴムのような挙動を示し、より高温では熱可塑性ポリマーのような挙動を示す。そのため、熱可塑性エラストマーは、冷却時にゴム特性または弾性を保持しながらプラスチックのように溶融押出成形することができる。この性能はポリマーの加工時に有利であるだけではなく、再加工も可能となる。また、熱可塑性エラストマーは基本的に弾性を有するだけではなく、補強剤によって補強されたエラストマーと同様な物理的挙動を示す。すなわち、熱可塑性エラストマーは、例えば、接着剤、コーティング、弾性糸、生物学的移植または医療用装置のコーティング剤等の製造される製品の性質から実用的ではない場合が多い加硫を必要とすることなく、加硫ゴムと実質的に同様な挙動を示す。
【0005】
そのような二面性を有するポリマーは公知だが、生物医学分野および医薬分野におけるそれらの使用は、生物医学および医薬用途のためにポリマーを精製することに伴う時間、困難性および/またはコストのために妨げられる場合があった。したがって、熱可塑性エラストマーに関する改良されたポリマーの合成方法および/または精製方法が求められている。
【発明の概要】
【0006】
本発明は、例えば樹枝状コポリマー化合物等のブロックポリマーおよびそのような化合物の製造方法および精製方法に関する。一実施形態において、本発明は、1以上のスチレンポリマーブロックおよび1以上のイソブチレンポリマーブロックを含む樹枝状ポリマー化合物に関する。別の実施形態において、本発明は、少なくとも1つのスチレンポリマーブロックおよび少なくとも1つのイソブチレンポリマーブロックを含む樹枝状ポリマー化合物の精製方法に関する。
【0007】
一実施形態において、本発明は、(a)1種以上の溶媒を含み、ポリイソブチレン系ブロックポリマーを溶解することができる第1の溶媒系に、ポリイソブチレン系ブロックポリマーを溶解して第1の溶液を得る工程と、(b)1種以上の溶媒を含み、前記ブロックポリマーのポリイソブチレン系ブロックよりも前記ブロックポリマーのポリスチレン系末端ブロックを高い溶解度で溶解する第2の溶媒系を前記第1の溶液と混合して、母液内に沈殿したブロックポリマーを得る工程と、(c)前記母液から前記沈殿したブロックポリマーを分離して、精製されたブロックポリマーを得る工程と、を含むブロックポリマーの精製方法に関する。
【0008】
一実施形態において、前記方法は、(d)アセトンを前記精製されたブロックポリマーに添加して、前記精製されたブロックポリマーとアセトンとの混合物を得る工程と、(e)前記精製されたブロックポリマーの少なくとも2種のブロックに対して非溶媒である第3の溶媒系を、前記精製されたブロックポリマーとアセトンとの混合物に添加して、前記精製されたブロックポリマーと前記溶媒の混合物との混合物を得る工程と、(f)前記精製されたブロックポリマーを前記溶媒の混合物から分離して、さらに精製されたブロックポリマーを得る工程と、を含むことができる。
【0009】
別の実施形態において、本発明は、(i)1種以上の溶媒を含み、ポリイソブチレン系ブロックポリマーを溶解することができる第1の溶媒系に、ポリイソブチレン系ブロックポリマーを溶解して第1の溶液を得る工程と、(ii)1種以上の溶媒を含み、前記ブロックポリマーのポリイソブチレン系ブロックよりも前記ブロックポリマーのポリスチレン系末端ブロックを高い溶解度で溶解する第2の溶媒系を前記第1の溶液と混合して、母液内に沈殿したブロックポリマーを得る工程と、(iii)前記母液から前記沈殿したブロックポリマーを分離して、精製されたブロックポリマーを得る工程と、(iv)アセトンを前記精製されたブロックポリマーに添加して、前記精製されたブロックポリマーとアセトンとの混合物を得る工程と、(v)前記精製されたブロックポリマーの少なくとも2種のブロックに対して非溶媒である第3の溶媒系を、前記精製されたブロックポリマーとアセトンとの混合物に添加して、前記精製されたブロックポリマーと前記溶媒の混合物との混合物を得る工程と、(vi)前記精製されたブロックポリマーを前記溶媒の混合物から分離して、さらに精製されたブロックポリマーを得る工程と、を含むブロックポリマーの精製方法に関する。
【0010】
さらに別の実施形態において、本発明は、(A)1種以上の溶媒を含み、ポリイソブチレン系ポリマーを溶解することができる約10〜30重量部の第1の溶媒系に、約1重量部のポリイソブチレン系ブロックポリマーを溶解して第1の溶液を得る工程と、(B)1種以上の溶媒を含み、前記ブロックポリマーのポリスチレン系末端ブロックを前記ブロックポリマーの中間ポリイソブチレン系ブロックよりも高い溶解度で溶解する、前記第1の溶液の容量に対して約5〜約10容量の第2の溶媒系を、前記第1の溶液と混合して、母液内に沈殿したブロックポリマーを得る工程と、(C)前記母液から前記沈殿したブロックポリマーを分離して、精製されたブロックポリマーを得る工程と、(D)前記第1の溶液の容量に対して約5〜約10容量のアセトンを前記精製されたブロックポリマーに添加して、前記精製されたブロックポリマーとアセトンとの混合物を得る工程と、(E)前記第1の溶液の容量に対して約1〜約5容量の2−プロパノールを、前記精製されたブロックポリマーとアセトンとの混合物に添加して、前記精製されたブロックポリマーと前記溶媒の混合物との混合物を得、必要に応じて約1〜約15容量の2−プロパノールをさらに添加する工程と、(F)前記精製されたブロックポリマーを前記溶媒の混合物から分離して、さらに精製されたブロックポリマーを得る工程と、を含むブロックポリマーの精製方法に関する。
【発明を実施するための形態】
【0011】
[発明の詳細な説明]
本発明は、例えば樹枝状コポリマー化合物等のブロックポリマーおよびそのような化合物の製造方法および精製方法に関する。一実施形態において、本発明は、1以上のスチレンポリマーブロックおよび1以上のイソブチレンポリマーブロックを含む樹枝状ポリマー化合物に関する。別の実施形態において、本発明は、少なくとも1つのスチレンポリマーブロックおよび少なくとも1つのイソブチレンポリマーブロックを含む樹枝状ポリマー化合物の精製方法に関する。
【0012】
一実施形態において、本発明は、(a)1種以上の溶媒を含み、ポリイソブチレン系ブロックポリマーを溶解することができる第1の溶媒系に、ポリイソブチレン系ブロックポリマーを溶解して第1の溶液を得ること、(b)1種以上の溶媒を含み、前記ブロックポリマーのポリイソブチレン系ブロックよりも前記ブロックポリマーのポリスチレン系末端ブロックを高い溶解度で溶解する第2の溶媒系を前記第1の溶液と混合して、母液内に沈殿したブロックポリマーを得ること、ならびに、(c)前記母液から前記沈殿したブロックポリマーを分離して、精製されたブロックポリマーを得ることを含む、ブロックポリマーの精製方法に関する。
【0013】
一実施形態において、本発明は、ブロックポリマー(例えば、樹枝状コポリマー化合物)ならびにそのような化合物の製造方法および精製方法に関する。本明細書に記載された転相精製を使用して、ポリイソブチレン系熱可塑性エラストマー等の様々なブロックポリマーを精製することができる。本明細書に記載された転相精製を使用して精製することができる各種ポリマーの例としては、米国特許第4,946,899号、米国特許第5,395,855号、米国特許第5,428,111号、米国特許第5,458,796号、米国特許第5,630,844号、米国特許第5,721,331号、米国特許第6,741,331号、米国特許第6,102,939号、米国特許第6,156,859号、米国特許第6,197,240号、米国特許第6,747,098号、米国再発行特許第34,640号に開示されたブロックポリマーおよび熱可塑性エラストマーが挙げられる。これらの特許文献の開示内容はこの参照によって本願の開示内容として援用する。本発明に係る方法を使用して精製することができるポリマーの別の例としては、国際公開第WO02/32982号に開示されたポリマーおよび/またはエラストマー化合物が挙げられる。国際公開第WO02/32982号の開示内容はこの参照によって本願の開示内容として援用する。また、本発明は、上記特許文献に開示され、生物医学用途に適したポリマーを精製するために使用される。
【0014】
別の実施形態において、「樹枝状ポリマーおよびその製造方法(Arborescent Polymers and Process for Making Same)」と題する2006年9月1日に出願された米国仮特許出願第60/841,757号に詳述されているポリマーを精製するために本発明を使用することができる。米国仮特許出願第60/841,757号の開示内容はこの参照によって本願の開示内容として援用する。
【0015】
米国仮特許出願第60/841,757号に基づき、本発明によって精製することができるその他のポリマーの例としては、少なくとも1種のイニマー(inimer)および少なくとも1種のイソオレフィンから形成され、低いガラス転移温度(T)を有するポリマーまたはコポリマーによって末端が官能化された樹枝状ポリマーが挙げられる。一実施形態において、本発明による精製の対象であるポリマーの例としては、少なくとも1種のイニマーおよび少なくとも1種のイソオレフィンから形成され、高いガラス転移温度(T)を有するポリマーまたはコポリマーに由来する約5重量%未満の末端ブロックによって末端が官能化された樹枝状ポリマーも挙げられる。別の実施形態において、本発明による精製の対象であるポリマーの例としては、少なくとも1種のイニマーおよび少なくとも1種のイソオレフィンから形成され、末端が官能化され、飽和コアと1以上の不飽和末端官能化部分とを有する樹枝状ポリマーも挙げられる。
【0016】
別の実施形態において、本発明による精製の対象であるポリマーの例としては、少なくとも1種のイニマーおよび少なくとも1種のイソオレフィンから形成され、低いガラス転移温度(T)を有するポリマーまたはコポリマーに由来する約0.5〜約50重量%の末端ブロックによって末端が官能化された樹枝状ポリマーも挙げられる。例えば、本実施形態に係るポリマーは、約1〜約40重量%の末端ブロック、または約2〜約30重量%の末端ブロック、または約3〜約20重量%の末端ブロック、または約1〜約25重量%の末端ブロックを有する。なお、明細書および請求項において、各範囲の上限および下限を組み合わせることができる。
【0017】
別の実施形態において、本発明による精製の対象であるポリマーの例としては、少なくとも1種のイニマーおよび少なくとも1種のイソオレフィンから形成され、高いガラス転移温度(T)を有するポリマーまたはコポリマーに由来する約0.5〜約5重量%の末端ブロックによって末端が官能化された樹枝状ポリマーも挙げられる。例えば、本実施形態に係るポリマーは、約1〜約4重量%の末端ブロックまたは約1.5〜約3.5重量%の末端ブロックを有する。例えば、本実施形態に係るポリマーは、スチレンまたは高いガラス転移温度を有するスチレン誘導体によって末端が官能化されている。
【0018】
これらのポリマーに関して、低いガラス転移温度を有するポリマーまたはコポリマーとは、約40℃未満または約35℃未満または約30℃未満または約25℃未満のガラス転移温度を有するポリマーまたはコポリマーを意味する。なお、上述した範囲は、上述した閾値のうち1つ未満のガラス転移温度を有する全てのポリマーおよび/またはコポリマーを含むことを意図するものである。
【0019】
一方、高いガラス転移温度を有するポリマーまたはコポリマーとは、約40℃または約45℃または約50℃または約100℃を超えるガラス転移温度を有するポリマーまたはコポリマーを意味する。なお、上述した範囲は、上述した閾値のうちの1つを超えるガラス転移温度を有する全てのポリマーおよび/またはコポリマーを含むことを意図するものである。
【0020】
別の実施形態において、本発明による精製の対象であるポリマーの例としては、少なくとも1種のイニマーおよび少なくとも1種のイソオレフィンから形成され、低いガラス転移温度(T)を有する、イソプレンまたはその他のカチオン重合性モノマーを含むホモポリマーまたはコポリマーによって末端が官能化された樹枝状ポリマーも挙げられる。さらに別の実施形態において、本発明による精製の対象であるポリマーの例としては、少なくとも1種のイニマーおよび少なくとも1種のイソオレフィンから形成され、末端が官能化され、少なくとも1種のフィラーをさらに含む樹枝状ポリマーも挙げられる。本実施形態に係るポリマーを製造するための代表的な反応スキームを以下に示す。各Fは、優先的に1以上のフィラー粒子と相互作用する1以上の本発明に係る官能性末端ブロックを示す。
【0021】
【化1】

【0022】
別の実施形態において、本発明による精製の対象であるポリマーの例としては、少なくとも1種のイニマーおよび少なくとも1種のイソオレフィンから形成され、ジエンまたはジエン誘導体に由来する約0.5〜約5重量%の末端ブロックまたはポリジエンのブロックおよびポリジエン誘導体のブロックによって末端が官能化された樹枝状ポリマーも挙げられる。
【0023】
米国仮特許出願第60/841,757号に開示されたポリマーのうち、このようなポリマーは少なくとも1種のイニマーおよび少なくとも1種のイソオレフィンから形成することができる。一実施形態において、前記少なくとも1種のイソオレフィンは、上述したようにポリマーまたはコポリマーによって末端が官能化されている。
【0024】
下記式(I)は、米国仮特許出願第60/841,757号に含まれる開示に係るポリマーを形成するために少なくとも1種のイソオレフィンと共に使用することができる好適なイニマー化合物の性質を示す。式(I)において、Aはイニマー化合物の重合性部分を示し、Bはイニマー化合物の開始剤部分を示す。
【0025】
【化2】

【0026】
式(I)において、一実施形態では、R、R、R、R、R、およびRは、それぞれ独立して、水素、直鎖状または分岐状のC〜C10アルキル、C〜Cアリールから選択される。別の実施形態では、R、R、およびRはいずれも水素である。別の実施形態では、R、R、およびRは、それぞれ独立して、水素、ヒドロキシル、臭素、塩素、フッ素、ヨウ素、エステル(−O−C(O)−R)、過酸化物(−OOR)、−O−R(例えば、−OCHまたは−OCH=CH)から選択される。Rは、置換されていない直鎖または分岐状C〜C20アルキル、置換されていない直鎖状または分岐状のC〜C10アルキル、置換された直鎖状または分岐状のC〜C20アルキル、置換された直鎖状または分岐状のC〜C10アルキル、炭素原子数が2〜約20のアリール基、炭素原子数が9〜15のアリール基、炭素原子数が2〜約20の置換アリール基、または炭素原子数が9〜15の置換アリール基である。R、R、およびRのうち1つが塩素またはフッ素である実施形態では、R、R、およびRのうち残りの2つは、それぞれ独立して、置換されていない直鎖状または分岐状のC〜C20アルキル、置換されていない直鎖状または分岐状のC〜C10アルキル、置換された直鎖状または分岐状のC〜C20アルキル、置換された直鎖状または分岐状のC〜C10アルキルから選択される。別の実施形態では、R、R、およびRのうちいずれか2つがエポキシドを形成していてもよい。
【0027】
一実施形態において、イニマー化合物(I)のA部分およびB部分がベンゼン環を介して結合している。例えば、イニマー化合物(I)のA部分がベンゼン環の1位に位置し、B部分がベンゼン環の3または4位に位置する。別の実施形態において、イニマー化合物(I)のA部分およびB部分が下記式(II)に示す結合を介して結合している。
【0028】
【化3】

【0029】
(式中、nは1〜約12または1〜約6または1〜約3の整数を示す。)
別の実施形態では、nは1または2である。
【0030】
別の実施形態では、イソブチレンを重合する場合に、Bは、第3級エーテル、第3級塩化物、第3級メトキシ基または第3級エステルであることができる。例えば、4−(2−ヒドロキシ−イソプロピル)スチレンおよび4−(2−メトキシ−イソプロピル)スチレン等のイニマーを使用して、非常に高分子量の樹枝状PIBを本発明の方法を使用して合成することができる。
【0031】
米国仮特許出願第60/841,757号に係るポリマーを得るために少なくとも1種のイソオレフィンと共に使用されるイニマーの例としては、4−(2−ヒドロキシイソプロピル)スチレン、4−(2−メトキシイソプロピル)スチレン、4−(1−メトキシイソプロピル)スチレン、4−(2−クロロイソプロピル)スチレン、4−(2−アセトキシイソプロピル)スチレン、2,3,5,6−テトラメチル−4−(2−ヒドロキシイソプロピル)スチレン、3−(2−メトキシイソプロピル)スチレン、4−(エポキシイソプロピル)スチレン、4,4,6−トリメチル−6−ヒドロキシル−1−ヘプテン、4,4,6−トリメチル−6−クロロ−1−ヘプテン、4,4,6−トリメチル−6,7−エポキシ−1−ヘプテン、4,4,6,6,8−ペンタメチル−8−ヒドロキシル−1−ノネン、4,4,6,6,8−ペンタメチル−8−クロロ−1−ノネン、4,4,6,6,8−ペンタメチル−8,9−エポキシ−1−ノネン、3,3,5−トリメチル−5−ヒドロキシル−1−ヘキセン、3,3,5−トリメチル−5−クロロ−1−ヘキセン、3,3,5−トリメチル−5,6−エポキシ−1−ヘキセン、3,3,5,5,7−ペンタメチル−7−ヒドロキシル−1−オクテン、3,3,5,5,7−ペンタメチル−7−クロロ−1−オクテン、3,3,5,5,7−ペンタメチル−7,8−エポキシ−1−オクテンが挙げられる。一実施形態において、本発明のイニマーは4−(2−メトキシイソプロピル)スチレンまたは4−(エポキシイソプロピル)スチレンから選択される。
【0032】
別の実施形態において、米国仮特許出願第60/841,757号に係るポリマーを得るために少なくとも1種のイソオレフィンと共に使用される少なくとも1種のイニマーは、下記式のいずれかで示される。
【0033】
【化4】

【0034】
(式中、Xは−CRY(式中、YはOR、Cl、Br、I、CN、NまたはSCNを示し、RはHおよび/またはC〜C20アルキルを示す。)で示される官能性有機基に対応し、ArはCまたはC10を示す。)
【0035】
下記式(III)は、米国仮特許出願第60/841,757号の開示に係るポリマーを形成するために少なくとも1種のイニマーと共に使用することができる好適なイソオレフィン化合物の性質を示す。
【0036】
【化5】

【0037】
(式中、Rはメチル、エチルまたはプロピル等のC〜Cアルキル基である。)
一実施形態において、式(III)で示される化合物は、イソブチレン(イソブテン)または2−メチル−1−ブテンである。
【0038】
一実施形態において、米国仮特許出願第60/841,757号に詳細に記載されているように、4−(2−メトキシイソプロピル)スチレンまたは4−(エポキシイソプロピル)スチレンをイニマーとして使用し、イソブチレンをイソオレフィンとして使用する。
【0039】
米国仮特許出願第60/841,757号に開示されたポリマーにおいて、該ポリマーの末端官能化部分は、適当な低いまたは高いガラス転移点を有するポリマーに由来するものであることができる。本発明に係る末端官能化を達成するために好適なポリマーの例としては、インデンおよびインデン誘導体を含むスチレンまたはスチレン誘導体、ジエンまたはトリエン(共役ジエンまたはその他のジエン、例えば、イソプレン、ブタジエン−1,3、2−メチルブタジエン−1,3、2,4−ジメチルブタジエン−1,3、ピペリレン、3−メチルペンタジエン−1,3、ヘキサジエン−2,4、2−ネオペンチルブタジエン−1,3、2−メチルヘキサジエン−1,5、2,5−ジメチルヘキサジエン−2,4、2−メチルぺンタジエン−1,4、2−メチルヘプタジエン−1,6、シクロペンタジエン、メチルシクロペンタジエン、シクロヘキサジエン、1−ビニル−シクロヘキサジエン、またはこれらの2種以上の混合物)、ノルボルナジエン、およびβ−ピネンのホモポリマーまたはコポリマーが挙げられる。
【0040】
したがって、一実施形態において、本発明は、(a)1種以上の溶媒を含み、ポリイソブチレン系ブロックポリマーを溶解することができる第1の溶媒系に、ポリイソブチレン系ブロックポリマーを溶解して第1の溶液を得ること、ならびに、(b)1種以上の溶媒を含み、前記ブロックポリマーのポリイソブチレン系ブロックよりも前記ブロックポリマーのポリスチレン系末端ブロックを高い溶解度で溶解する第2の溶媒系を前記第1の溶液と混合して、母液内に沈殿したブロックポリマーを得ることを含む、ブロックポリマーの精製方法に関する。
【0041】
本発明のいくつかの実施形態において、第1の溶液を第2の溶媒系と混合することは、第1の溶液を大過剰の第2の溶媒系に滴下することを含む。一実施形態では、第1の溶液の溶媒はテトラヒドロフランである。別の実施形態において、本発明の方法は、母液から沈殿したブロックポリマーを分離して、精製されたブロックポリマーを得ることを含むことができる。本発明の方法が、母液から沈殿したブロックポリマーを分離して、精製されたブロックポリマーを得る工程を含む場合には、一実施形態では、当該工程は濾過または単純濾過を含むことができる。
【0042】
別の実施形態において、本発明の方法は、第2の溶媒系を精製されたブロックポリマーにさらに添加することをさらに含むことができる。これは、母液を傾瀉または別の方法で沈殿したポリマーから分離する前または後に行うことができる。上記実施形態では、第2の溶媒系はアセトンである。別の実施形態では、第2の溶媒はメチルエチルケトン、メチルビニルケトン等であってもよい。アセトンまたは別のケトンを添加することにより、精製されたブロックポリマーとアセトンとの混合物が得られる。
【0043】
別の実施形態において、本発明の方法は、精製されたブロックポリマーの少なくとも2種のブロックに対して非溶媒である第3の溶媒系を、精製されたブロックポリマーとアセトンとの混合物に添加して、精製されたブロックポリマーと溶媒の混合物との混合物を得ること、ならびに、精製されたブロックポリマーを溶媒の混合物から分離して、さらに精製されたブロックポリマーを得ることをさらに含むことができる。
【0044】
さらに別の実施形態において、本発明は、(i)1種以上の溶媒を含み、ポリイソブチレン系ブロックポリマーを溶解することができる第1の溶媒系に、ポリイソブチレン系ブロックポリマーを溶解して第1の溶液を得ること、(ii)1種以上の溶媒を含み、前記ブロックポリマーのポリイソブチレン系ブロックよりも前記ブロックポリマーのポリスチレン系末端ブロックを高い溶解度で溶解する第2の溶媒系を前記第1の溶液と混合して、母液内に沈殿したブロックポリマーを得ること、(iii)前記母液から前記沈殿したブロックポリマーを分離して、精製されたブロックポリマーを得ること、(iv)アセトンを前記精製されたブロックポリマーに添加して、前記精製されたブロックポリマーとアセトンとの混合物を得ること、(v)前記精製されたブロックポリマーの少なくとも2種のブロックに対して非溶媒である第3の溶媒系を、前記精製されたブロックポリマーとアセトンとの混合物に添加して、前記精製されたブロックポリマーと前記溶媒の混合物との混合物を得ること、(vi)前記精製されたブロックポリマーを前記溶媒の混合物から分離して、さらに精製されたブロックポリマーを得ることを含む、ブロックポリマーの精製方法に関する。
【0045】
一実施形態において、前記第3の溶媒系は2−プロパノールを含むことができる。あるいは、前記第3の溶媒系は2−プロパノールのみであることができる。2−プロパノールは、溶液から熱可塑性エラストマーに「衝撃」を与える優れた非溶媒である。
【0046】
さらに別の実施形態において、本発明は、(A)1種以上の溶媒を含み、ポリイソブチレン系ポリマーを溶解することができる約10〜30重量部の第1の溶媒系に、約1重量部のポリイソブチレン系ブロックポリマーを溶解して第1の溶液を得ること、(B)1種以上の溶媒を含み、前記ブロックポリマーのポリスチレン系末端ブロックを前記ブロックポリマーの中間ポリイソブチレン系ブロックよりも高い溶解度で溶解する、前記第1の溶液の容量に対して約5〜約10容量の第2の溶媒系を、前記第1の溶液と混合して、母液内に沈殿したブロックポリマーを得ること、(C)前記母液から前記沈殿したブロックポリマーを分離して、精製されたブロックポリマーを得ること、(D)前記第1の溶液の容量に対して約5〜約10容量のアセトンを前記精製されたブロックポリマーに添加して、前記精製されたブロックポリマーとアセトンとの混合物を得ること、(E)前記第1の溶液の容量に対して約1〜約5容量の2−プロパノールを、前記精製されたブロックポリマーとアセトンとの混合物に添加して、前記精製されたブロックポリマーと前記溶媒の混合物との混合物を得、必要に応じて約1〜約15容量の2−プロパノールをさらに添加すること、ならびに、(F)前記精製されたブロックポリマーを前記溶媒の混合物から分離して、さらに精製されたブロックポリマーを得ることを含む、ブロックポリマーの精製方法に関する。
【0047】
本発明のいくつかの実施形態において、第2の溶媒系は、ブロックポリマーのポリイソブチレン系ブロックをほとんどまたは全く溶解せず、例えば、ポリイソブチレン系ブロックは通常の実験室条件下、例えばほぼ室温において母液内に沈殿する。
【0048】
本発明の方法は、本明細書に記載される様々な精製工程(任意の方法の最終段階またはブロックポリマーが溶媒から沈殿する任意の時点)によって得られる精製されたブロックポリマーを乾燥することを含むことができる。乾燥は、精製されたポリマーを減圧または約25℃を超える温度、あるいはそれらの両方に暴露することを含むことができる。別の実施形態において、温度は、約30℃を超えて約70℃未満であってもよく、または約30℃を超えて約60℃未満であってもよい。
【0049】
一実施形態において、本発明によって精製されるポリマーは、熱可塑性エラストマー(例えば、ポリイソブチレン系熱可塑性エラストマー)であるブロックポリマーであってもよい。一実施形態において、本発明によって精製されるポリマーは、ポリイソブチレン系熱可塑性エラストマー、または、生物医学用途に適したポリイソブチレン系熱可塑性エラストマーであってもよい。
【0050】
別の実施形態において、本発明によって精製するポリマーはポリスチレン系末端ブロックを含むことができる。一実施形態において、ブロックポリマーのポリスチレン系末端ブロックは、例えば、ポリスチレン、スチレンサブユニットのベンゼン環部位が個別に任意に1〜5個の置換基で置換されたポリ(スチレン)またはそれらの組み合わせであってもよい。スチレンサブユニットの任意に置換されたベンゼン環部位は、1以上のポリスチレンブロック、ポリ(4−メチルスチレン)ブロック、ポリ(4−メトキシスチレン)ブロック、ポリ(4−tert−ブチルスチレン)ブロック、ポリ(4−(2−ヒドロキシイソプロピル)スチレン)ブロック、ポリ(4−(2−メトキシイソプロピル)スチレン)ブロック、ポリ(3−(2−メトキシイソプロピル)スチレン)ブロック、ポリ(4−(2−クロロイソプロピル)スチレン)ブロック、ポリ(4−(2−アセチルイソプロピル)スチレン)ブロック、ポリ(4−(2−アセトキシイソプロピル)スチレン)ブロック、ポリ(4−クロロスチレン)ブロック、ポリ(4−(エポキシイソプロピル)スチレン)ブロックまたはそれらの組み合わせであってもよい。
【0051】
一実施形態において、本発明の方法の第1の溶媒系は、テトラヒドロフラン、メチルシクロヘキサン、トルエン、ベンゼンの1以上を含むことができる。例えば、最初に約15〜約25容量の第1の溶媒系を使用して、本発明の方法によって精製されたポリマーを溶解させることができる。例えば、ポリマーは、任意に置換されたスチレンモノマーに由来する1以上のブロックと、イソブチレンモノマーに由来する1以上のブロックとを含むブロックコポリマーであってもよい。一実施形態において、本発明の方法の第2の溶媒系は、(C〜C10)ケトン、それらの誘導体、あるいはそれらの2種以上の組み合わせであってもよい。別の実施形態では、本発明の第2の溶媒系は、アセトン、メチルエチルケトン、メチルビニルケトン、またはそれらの組み合わせを含むことができる。
【0052】
一実施形態において、第1の溶液および第2の溶媒系は、第1の溶液を第2の溶媒系に滴下することによって混合することができる。一実施形態において、第3の溶媒系はアルコールを含むことができる。いくつかの実施形態において、第3の溶媒系は、ブロックポリマーのポリイソブチレン中間ブロックまたは末端ブロックを溶解しない。アルコールの例としては、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、Cアルコール(例えば、tert−ブタノールまたは1−ブタノール)が挙げられる。
【0053】
一実施形態において、本明細書に記載された方法によって得られた精製されたポリマーは、単離および乾燥後に、約20ppm未満、約10ppm未満、約5ppm未満、約2ppm未満、約1ppm未満、約0.5ppm未満の残留モノマーを含むことができる。精製されたポリマーは、例えば、約5ppm未満のスチレンモノマー、p−メチルスチレンモノマー、p−メトキシスチレンモノマー、またはそれらの組み合わせ等を含むことができる。
【0054】
一実施形態において、第1の溶液には酸化防止剤を使用することができる。酸化防止剤は、ビタミンまたは生物医学移植に適した酸化防止剤であってもよい。ビタミンの具体例としては、ビタミンA、ビタミンC、ビタミンEが挙げられる。
【0055】
一実施形態において、工程(iii)または(C)における分離または上述した分離工程は、デカンテーション、脱水または濾過を含むことができる。一実施形態において、ブロックポリマーは、1以上のスチレンポリマーブロックおよび1以上のイソブチレンポリマーブロックを含む樹枝状コポリマーであってもよい。別の実施形態において、ブロックポリマーは、ポリイソオレフィンブロックおよびポリモノビニリデンアレーンブロックを含む高度に分岐したブロックコポリマーであってもよい。さらに別の実施形態において、ブロックポリマーは熱可塑弾性(thermoplastic elastomeric properties)を有することができる。別の実施形態において、本明細書に記載された方法は、精製されたポリマーを医療装置に塗布するか、または、ポリマーを移植において使用することを含むことができる。
【0056】
したがって、一実施形態では、本発明は、1以上のスチレンポリマーブロックおよび1以上のイソブチレンポリマーブロックを含む、分岐状または樹枝状ポリマー化合物に関する。別の実施形態において、本発明は、少なくとも1つのスチレンポリマーブロックおよび少なくとも1つのイソブチレンポリマーブロックを含む分岐状ブロックまたは樹枝状ポリマー化合物の精製方法に関する。
【0057】
本発明の各種実施形態において、本明細書に記載された精製方法は、ブロックポリマーの乾燥時間を減少させる。いくつかの実施形態において、所定のブロックコポリマーの乾燥時間は、約1〜約2カ月から、24時間(場合によっては24時間未満)に減少する。乾燥速度の減少は、ブロックポリマーを母液から(例えば、沈殿、濾過等によって)分離した際に、ポリイソブチレン系ブロックがポリマーマトリックスの外側に配向しているとポリマーを乾燥することが難しいという事実によるものであると考えることができる。
【0058】
そのため、一実施形態では、本明細書に記載された転相方法によって、ブロックポリマーを母液から分離した際に、ポリイソブチレン系ブロックがポリマーマトリックスの内側に配向している精製されたポリマーを得ることができる。これは、第2の溶媒系を溶解したポリマーと混合してブロックポリマーの沈殿および精製(例えば、スチレンまたはスチレン誘導体等の残留モノマーの除去)を生じさせ、精製されたブロックポリマーにより迅速な乾燥特性を与える上述した工程(b)、(ii)または(B)によるものである。
【0059】
上述したように、本発明によって精製されたポリマーは、スチレンおよびイソブチレンポリマーブロック/単位を含む熱可塑性エラストマーであってもよい。1以上のエラストマーポリイソブチレン系ブロックを含む熱可塑性エラストマーは、一部は中間ブロックセグメントが飽和しているという性質に起因して非常に有用な材料である。1以上のエラストマーポリイソブチレン系ブロックを含む熱可塑性エラストマーは、高い耐水性または気体透過性ならびに高い熱安定性および酸化安定性を有する特有の特性の組み合わせを示す。また、1以上のエラストマーポリイソブチレン系ブロックを含む熱可塑性エラストマーは、ガラス状ブロックおよび弾性ブロックが相分離を生じるという事実によって自己補強特性を示す。
【0060】
[ポリマー調製例]
本発明に係る方法による精製に適したポリマーを調製するためのポリマー調製方法の例を以下に記載する。ただし、本発明は以下のポリマーに限定されるものではない。本発明に係る方法によって上述したいずれのポリマーも精製することができる。また、本発明に係る方法による精製のためのポリマー化合物を製造するために任意の調製方法を使用することができる。
【0061】
熱可塑性エラストマーを調製する場合には、通常は連鎖移動およびポリマー鎖の成長終了を回避する条件下において重合反応を行う。一実施形態では、無水条件を使用し、当業者に公知の方法を使用して活性水素原子含有成分(水、アルコール等)等の反応性不純物をモノマーおよび溶媒から除去する。一実施形態において、重合反応を行う温度は、約−10℃〜約−100℃または約−30℃〜約−90℃または約−40℃〜約−80℃であり、必要に応じてより低い温度とすることもできる。水分の凝結を回避するために、必要に応じて、窒素ガスやアルゴン等の乾燥した不活性ガス雰囲気下で反応を行うことができる。
【0062】
一実施形態において、本発明は、1ポリマー鎖あたり2以上の分岐点を有するポリイソオレフィンおよび熱可塑弾性を有するポリモノビニリデンアレーンの分岐状ブロックコポリマーを提供する。分岐状ブロックコポリマーは、分岐状ポリイソオレフィンブロックを含むことができる。ポリイソオレフィンブロックの分岐鎖の一部は、ポリモノビニリデンアレーン末端ブロックで終端していてもよい。「高度に分岐した」という用語に加えて、「樹枝状」および「ハイパーブランチ」という用語も、本明細書に開示された各種ポリマーの構造を説明するために使用される。例えば、高度に分岐したポリマーまたは樹枝状ポリマーは、不規則な樹状構造を有することができる。
【0063】
一実施形態において、熱可塑弾性を示す高度に分岐したブロックコポリマーは、オレフィンと共重合させた、イニマー(重合開始剤およびモノマーの機能を有する化合物(IM))を使用する方法によって合成された高度に分岐したポリイソオレフィン中間ブロックを含む。イニマーは、重合を開始させると共にエラストマー中間ブロックにランダムな分岐点を導入するために使用することができる。イニマーは一般式A−B(Aはビニル性二重結合等の重合性機能であり、Bは開始基である。)で表すことができる。一実施形態において、イソブチレンを重合する場合、Bは、第3級エーテル、第3級塩化物、第3級メトキシ基、第3級エステル、エポキシドまたはイソブチレンの重合に適したその他の重合開始剤であることができる。この方法を使用して、非常に高い分子量の樹枝状ポリイソブチレンを合成することができる。
【0064】
一実施形態において、IMとして使用することができる化合物は、例えば、4−(2−ヒドロキシイソプロピル)スチレンおよび4−(2−メトキシイソプロピル)スチレンである。反応例を以下のスキーム1に示す。スキーム1では、4−(2−メトキシイソプロピル)スチレンをIMとして使用している。
【0065】
【化6】

【0066】
なお、スキーム1と同様の反応においてその他のイニマーを使用することができる。いくつかの実施形態では、4−(2−ヒドロキシイソプロピル)スチレン、4−(2−メトキシイソプロピル)スチレン、4−(2−クロロイソプロピル)スチレン、4−(2−アセトキシイソプロピル)スチレン、2,3,5,6−テトラメチル−4−(2−ヒドロキシイソプロピル)スチレン、3−(2−メトキシイソプロピル)スチレン、4−(エポキシイソプロピル)スチレン、4,4,6−トリメチル−6−ヒドロキシル−1−ヘプテン、4,4,6−トリメチル−6−クロロ−1−ヘプテン、4,4,6−トリメチル−6,7−エポキシ−1−ヘプテン、4,4,6,6,8−ペンタメチル−8−ヒドロキシル−1−ノネン、4,4,6,6,8−ペンタメチル−8−クロロ−1−ノネン、4,4,6,6,8−ペンタメチル−8,9−エポキシ−1−ノネン、3,3,5−トリメチル−5−ヒドロキシル−1−ヘキセン、3,3,5−トリメチル−5−クロロ−1−ヘキセン、3,3,5−トリメチル−5,6−エポキシ−1−ヘキセン、3,3,5,5,7−ペンタメチル−7−ヒドロキシル−1−オクテン、3,3,5,5,7−ペンタメチル−7−クロロ−1−オクテン、3,3,5,5,7−ペンタメチル−7,8−エポキシ−1−オクテンまたはそれらの組み合わせをスキーム1の変形においてIMとして使用することができる。
【0067】
本実施形態では、高度に分岐したポリイソオレフィンの合成に使用されるイソオレフィンの例としては、一般式CH=C(CH)−R(式中、Rは、直鎖状または分岐状のC〜C20アルキル基、または直鎖状または分岐状のC〜C10アルキル基、またはメチル、エチル、プロピル等の直鎖状または分岐状のC〜Cアルキル基を示す。)で示されるイソオレフィンが挙げられる。別の実施形態において、ポリイソオレフィンはイソブチレンまたは2−メチル−1−ブテンである。さらに別の実施形態においては、ポリイソブチレンが使用される。
【0068】
高度に分岐したポリイソオレフィンの分岐鎖の一部に末端ブロックを形成するポリビニリデンブロックの製造に適したモノビニリデンアレーンの例としては、1〜5個のC〜C12アルキル基またはアルコキシ基、または1〜5個のフッ素、塩素、臭素またはヨウ素原子、あるいはそれらの組み合わせによって芳香環が置換されていてもよいC〜C12モノビニリデンアレーンが挙げられる。一実施形態において、モノビニリデンアレーンは、スチレン、p−メチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、p−クロロスチレン、インデン、またはそれらの混合物であってもよい。別の実施形態においては、スチレンが使用される。
【0069】
高度に分岐したブロックコポリマーを製造するために使用される高度に分岐したポリイソオレフィンは、約2〜約60または約8〜約35の分枝度(branching frequency)を有する。一実施形態では、分枝度は1を超える。高度に分岐したブロックコポリマーが熱可塑弾性を示すためには、一実施形態では、ブロックコポリマーにおけるポリモノビニリデンアレーン末端ブロックは約0.5〜約50重量%であることが好ましい。
【0070】
高度に分岐したポリイソオレフィンの数平均分子量(M)は約10,000〜約2,000,000または約500,000〜1,000,000であってもよい。高度に分岐したポリイソオレフィンの分子量分布は約1〜約20または約1.2〜2.8であってもよい。
【0071】
一実施形態において、高度に分岐したポリイソオレフィンおよび得られるブロックコポリマーが溶液内に残り、かつ、ある程度の極性のために重合が妥当な速度で進行するように、本発明に係る方法は不活性有機溶媒または溶媒系(2種以上の溶媒の混合溶媒または溶液)内において行うことができる。これらの要件を満たすためには、塩化n−ブチル等の単一溶媒または非極性溶媒と極性溶媒との混合物を使用することができる。好適な非極性溶媒の例としては、メチルシクロヘキサンとシクロヘキサンが挙げられ、好適な極性溶媒の例としては、塩化エチル、塩化メチル、および塩化メチレンが挙げられる。一実施形態において、溶媒はメチルシクロヘキサンと塩化メチルとの混合物であってもよい。好適な溶解性および極性を達成するために、非極性溶媒と極性溶媒との重量比は約80:20〜約40:60または約80:20〜約60:40である。
【0072】
上述したように、反応を行う温度範囲は、約−10℃〜約−100℃または約−30℃〜約−90℃または約−40℃〜約−80℃であり、必要に応じてより低い温度とすることもできる。例えば、1〜約30重量%(w/w)または約5〜約10重量%のポリイソオレフィン溶液を使用して反応を行うことが好ましい。
【0073】
高度に分岐したブロックコポリマーを製造するために、ルイス酸ハロゲン化物等の共開始剤を使用することが必要な場合が多い。好適なルイス酸ハロゲン化物の例としては、三塩化ホウ素、三塩化アルミニウム、四塩化チタンが挙げられる。共開始剤とモノビニリデンアレーンのモル比は、約1:1〜約1:30または約1:10〜約1:20またはそれらの間の範囲とすることができる。
【0074】
また、分岐状ブロックコポリマーは、約−20℃〜約−100℃の温度の溶液内において共開始剤を使用してイソオレフィンを開始剤モノマーと共重合させる一段階プロセスで製造することもできる。次に、電子供与体およびプロトン捕捉剤を導入し、予め冷却したモノビニリデンアレーンの溶液を溶媒に添加し、重合を継続させ、予め冷却したメタノール等の求核剤を添加して重合を終了させる。重合反応は、各種実施形態に係る樹枝状ブロックコポリマーを製造するために予め選択した時間にわたって継続させることができる。
【0075】
あるいは、2以上の樹枝状構造を結合させるために、米国特許第5,721,331号に詳細に開示されているように、全てのスチレンが消費された後に重合プロセスを継続させることができる。米国特許第5,721,331号の開示内容は、この参照によって本願の開示内容として援用する。米国特許第5,721,331号では、スチレンモノマーが消費された後に重合プロセスを継続させると、活性を有するリビング鎖末端が別の分子鎖のスチレンブロックを攻撃し、各ブロックが樹枝状ブロックからなるマルチブロックを形成する。分岐した各樹枝状ブロックコポリマーは互いに結合する。この場合、1つの樹枝状ブロックコポリマーの少なくとも1つのポリモノビニリデンアレーン可塑性末端ブロックが、別の樹枝状ブロックコポリマーの1つのポリモノビニリデンアレーン可塑性末端ブロックに化学的に結合する。そのため、マルチブロックが所望の最終生成物である場合には、好適な求核剤を添加して重合反応を終了させる前に、重合反応をより長い時間にわたって進行させる。
【0076】
高度に分岐したブロックコポリマーの製造では、ブロック効率を向上させるために電子対供与体等の添加剤を使用し、単独重合を最小限に抑えるためにプロトン捕捉剤等の添加剤を使用することが必要である。好適な電子対供与体の例としては、Viktor Gutmann,「分子相互作用に対する供与体・受容体アプローチ(The Donor Acceptor Approach to Molecular Interactions)」,Plenum Press(1978)に記載された15以上50未満の電子供与体数を有する求核剤が挙げられ、具体例としては、例えば、酢酸エチル、ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシドが挙げられる。好適なプロトン捕捉剤の例としては、2、6−ジ−tert−ブチルピリジン、4−メチル−2、6−ジ−tert−ブチルピリジン、ジイソプロビルエチルアミンが挙げられる。
【0077】
ポリイソオレフィンの分枝度、ポリイソオレフィンの分子量分布、共開始剤とポリイソオレフィンの重量比、共開始剤とモノビニリデンアレーンのモル比、反応温度、および反応時間は、ポリイソオレフィン分岐鎖の末端ブロックが生じる程度に影響を与える場合がある。したがって、上述したパラメータの一部を変更することにより、異なる熱可塑弾性を有する分岐状ブロックコポリマーを製造することができる。
【0078】
[精製]
本発明は、コポリマー生成物の精製方法を提供する。例えば、精製されるコポリマー生成物はポリイソブチレン−ポリスチレンコポリマーである。ただし、精製方法は、少なくとも1つのポリイソブチレンポリマー機能性および少なくとも1つのポリスチレン機能性を含む分岐状コポリマー生成物に限定されるものではない。一実施形態において、精製方法は、ポリイソブチレン、ポリスチレンまたはポリスチレン誘導体のコポリマーに使用することができる。これらのポリマーは、線状、分岐状、星状等であることができる。本明細書に記載された方法によって精製することができるブロックおよびブロックポリマーの種類は、本明細書に記載された特許文献に開示されている。
【0079】
別の実施形態において、本発明の精製方法は、上述したポリマー、コポリマーまたはブロックコポリマーに使用することができる。
【0080】
ブロックポリマー調製分野の当業者には、ポリイソブチレン系ポリマーは精製および乾燥が非常に難しいことがよく知られている。その理由の1つは、ポリイソブチレン系ブロックは非常に浸透性の低い形態のゴムであるためである。従来、高いポリイソブチレン系ブロック含有量を有するポリマーは、アルコールまたは水中で沈殿する。得られる固体は、完全に乾燥するために2週間または3週間、場合によっては1カ月または2カ月を要するゴム片を形成する。この場合、ポリイソブチレンはブロックにおける連続相である。一方、本明細書に記載された方法を採用することにより、沈殿/デカンテーション/濾過によってプラスチック状のフレークが得られる。これは、開示された手順によって、末端ブロックが連続相となるようにブロックが配向するためである。
【0081】
特に、本発明の精製方法は、重合反応の終了後にポリマーマトリックスに残る未反応モノマー、開始剤、および共開始剤残渣の濃度を減少させることができる。また、本発明の精製方法により、単離したポリマーを単離後に完全に乾燥するために必要な時間または生物医学用途に使用することができるようにポリマーを十分に乾燥するために必要な時間が大きく減少する。そのため、本発明の精製方法により、生物医学および/または医薬用途に有用な程度に精製することができるコポリマー生成物を製造することができる。また、本発明の精製方法により、生物医学および/または医薬用途に使用されるポリマーを加工および乾燥するために必要な時間が減少する。
【0082】
反応スキームの例および反応生成物の精製方法を以下の実施例に記載する。以下の精製方法により、生物医学および/または医薬用途に適した生成物を得ることができる。
【実施例】
【0083】
[実施例1−ポリマーの調製]
調製用反応では、ポリ(スチレン)(PS)含有量が30重量%、Mが215,000g/mol、PIB鎖あたりの平均分岐点数(BR)が10のポリ(イソブチレン)−ポリ(スチレン)(PIB−PS)コポリマー約400gを調製する。以下のスキーム1に示す反応を各種調製方法の例として使用する。
【0084】
【化7】

【0085】
(材料)
イソブチレン(IB):99.9%;塩化メチル(MeCl):99.9%;開始剤(IM):アクロン大学(University of Akron)で合成された4−(2−メトキシ−イソプロピル)スチレン(MeOIM)または4−(1,2−オキシラン−イソプロピル)スチレン(EPOIM);メチルシクロヘキサン(MeCH);2,6−ジ−tert−ブチルピリジン(DtBP)(乾燥);ジメチルアセトアミド(DMA);四塩化チタン(TiCl);スチレン:重合グレード
【0086】
(第1の工程(IB単独重合))
【表A】

【0087】
(第2の工程(スチレン添加))
【表B】

【0088】
重合温度:−90℃、熱電対によって反応を監視
【0089】
(手順)
1)1.4gのイニマー(MeOIMまたはEPOIM)を5Lの三つ口フラスコに添加。
【0090】
2)1800mLのMeCHxを添加。
【0091】
3)1200mLの濃縮MeClを添加。
【0092】
4)4mLの2,6−ジ−tert−ブチルピリジンを添加。
【0093】
5)120mlのIBを添加。
【0094】
6)17mLのTiCl(50mLのMeCHxに溶解、添加前に反応温度に冷却)を添加して重合を開始。
【0095】
7)温度を監視し、温度が−90℃で一定になるまで待つ(約25分)。
【0096】
8)120mlのIBを添加。
【0097】
9)温度が−90℃で一定になるまで待つ(約25分)。
【0098】
10)120mlのIBを添加。
【0099】
11)温度が−90℃で一定になるまで待つ(約25分)。
【0100】
12)120mlのIBを添加。
【0101】
13)1.0mLのジ−tert−ブチルピリジンを添加。
【0102】
14)1.7mlの無水ジメチルアセトアミドを添加。
【0103】
15)IB添加後40分間が経過した時点で、250mLのMeCH、350mLのSt、MeClの150mL、および1mLの2,6−ジ−tert−ブチルピリジンの予め冷却した混合物を添加。最初にStをMeCHに添加し、溶液を冷却し、MeClを添加。混合物の凍結を防ぐために激しく撹拌。
【0104】
16)45分間にわたって重合を継続。
【0105】
17)NaOHのイソプロパノール溶液を添加して反応を停止(15mLのTiClに対して250mLのi−PrOH+22gのNaOH)。
【0106】
18)MeClが沸騰する前に、反応器の内容物を12Lのフラスコに移す。
【0107】
19)THFを使用して反応器からスカー(scar)を除去し、有機相を混合。その後、中性になるまで溶液を水で洗浄。
【0108】
20)濾過/遠心分離によってTiClを除去。
【0109】
(回収)
21)へらの先端一杯のIrganox1076酸化防止剤を4000mLのビーカーに添加。
【0110】
22)2000mLのアセトンをビーカーに投入。
【0111】
23)激しく撹拌しながら300mLのポリマー溶液(約5重量%、溶媒:THF)を添加。
【0112】
24)2分間激しく撹拌。
【0113】
25)溶液を5分間放置し、母液を廃物容器に移す。
【0114】
26)撹拌下で2000mLのアセトンを添加。2分間撹拌。
【0115】
27)500mLのイソプロパノールを添加。5分間放置。
【0116】
28)ビーカーをイソプロパノールで迅速に満たす(混合物に「ショック」を与える)。
【0117】
29)母液を廃物容器に移す。
【0118】
30)放置して綿毛状の白色固体(透明な溶液)を得る。
【0119】
31)濾過によって液体を除去(吸込)。
【0120】
32)綿毛状の固体を乾燥トレーに広げ、真空下で1〜2日間乾燥。
【0121】
[実施例2−ポリマーの精製]
生物医学用途のためのポリマーは、慎重に精製して残留モノマーおよび溶媒を除去する必要がある。本実施例では、PIB系スチレンブロックコポリマー内の残留スチレンモノマー含有量を5未満ppmに減少させ、材料の迅速な乾燥を可能とする、転相を使用した手順について説明する。
【0122】
(材料)
塩化メチル(MeCl)およびイソブチレン(IB)(Lanxess製)を、重合温度において凝縮する前に、BaOおよびCaClを充填したカラムにガスを通過させることによって乾燥させる。メチルシクロヘキサン(MeCHx)およびヘキサン(Hx)は使用前にCaHを使用して蒸留する。四塩化チタン(TiCl)、2、6−ジ−tert−ブチルピリジン(DtBP)、およびN,N−ジメチルアセトアミド(DMA)(Aldrich製)は購入した状態で使用する。p−メチルスチレン(p−MeSt)(Aldrich製)はクロマトグラフィーによって精製される。4−(2−メトキシイソプロピル)スチレン(MeOIM)および4−(1,2−エポキシイソプロピル)スチレン(EPOIM)は公知の方法で合成する。
【0123】
(重合)
重合反応は、乾燥窒素雰囲気下、ドライボックス(Mbraun LabMaster 130)内において、オーバーヘッドスターラーを備えた丸底フラスコ内にて−95℃で行う。水分含有率(1ppm未満)および酸素含有率(5ppm未満)を連続的に監視する。
【0124】
(精製方法)
最終生成物は、3000mLのアセトンに約300mLの最終溶液を沈殿させ、生成物に対してデカンテーションを行い、2〜3Lのメタノールを添加し、生成物に対してデカンテーションと濾過を行うことによって精製する。すなわち、へらの先端一杯のIrganox1076(酸化防止剤)を4000mLのビーカーに投入し、2000mLのアセトンを添加する。撹拌下で300mLのポリマー溶液(約5重量%、溶媒:THF)を滴下する。スラリーを2分間撹拌後、5分間放置し、母液を廃物容器に移す。次に、撹拌下で2000mLのアセトンを固体に添加し、2分間撹拌する。次に、500mLのイソプロパノールを添加し、スラリーを5分間放置する。次に、迅速にビーカーをイソプロパノールで満たす(混合物に「ショック」を与える)。母液を廃物容器に移し、綿毛状の白色固体を濾過し、乾燥トレーに広げ、真空下で1〜2日間乾燥させる。
【0125】
(残留スチレンモノマー含有量の測定)
残留スチレン(St)レべルおよび残留p−メチルスチレン(pMeSt)レべルは、以下の手順を使用して測定する。ブロックコポリマー試料を既知量のヘキサンに投入する(内部標準:ノナン)。一晩にわたってシェーカー上に保持すると、試料は膨潤(樹枝状ブロック)または溶解(線状トリブロック)する。次に、試料をメタノールで凝固させ、自動インジェクタ、水素炎イオン化検出器(FID)、Restek RTX−1カラム(30m×0.32mm×1μm)を備えたHP6890 GCを使用して上澄み液を分析する。流量は一定(2.5mL/分)に維持し、スプリットレス注入量は2分間で75mLとする。40℃で7分間の保持時間でオーブンプログラムを開始し、20℃/分で250℃の最終温度に上昇させ、5分間保持する。
【0126】
(特性分析)
試料をサイズ排除クロマトグラフィー(SEC)によって分析する。装置は、Waters 515HPLCポンプ、Waters 2487デュアル吸光度検出器、Wyatt OPTILAB DSP干渉屈折率測定器、Wyatt DAWN EOSマルチアングル光散乱検出器、Wyatt ViscoStar粘度計、Wyatt QELS準弾性光散乱機器、Waters 717−plus自動サンプラー、6本のStyragel(登録商標)カラム(HR0.5、HR1、HR3、HR4. HR5、H6)を備えている。
【0127】
RI検出器およびカラムは35℃に温度調節する。CaHで蒸留したTHFを、1mL/分の流量で移動相として使用する。結果は、arbPIBに屈折率増分dn/dc=0.108を使用し、ASTRAソフトウェア(Wyatt Technology)を使用して分析する。ブロックコポリマーのdn/dc値は、H NMRで測定されたコポリマー組成を使用して算出する。p−MeStのdn/dc値は文献に記載されていないため、ポリスチレンのdn/dc(=0.183)を計算に使用する。SEC装置をチェックするために、30,000g/molの標準ポリスチレン(PS30)を使用する。
【0128】
H NMRは、Bruker Avance 500またはVarian Mercury 300を使用し、重水素化されたTHF、C、CDCl等の各種溶媒を使用して行う。コポリマー組成は、対応する芳香族および脂肪族のピークの相対積分値から決定する。
【0129】
(arbPIB−b−PS(05DNX120))
反応は−90℃で溶媒混合物(Hx/MeCl:60/40(v/v))内において行う。全容量は3000mLとする。共重合は、溶媒混合物(Hx/MeCl:60/40(v/v))内にIB(85.5g、4.8×10−1mol/L)、MeOIM(1.2×10−3mol/L)、およびDtBP(5.6×10−3mol/L)(プロトン捕捉剤)を含む反応器にTiCl(6.1×10−2mol/L)を投入することで開始させる。重合開始後25分間が経過した時に試料を取り出し、IBの追加分を添加する。この工程をさらに2回繰り返した。最後に、4回目のIB追加分の添加後35分間が経過した時に試料を取り出す。
【0130】
各IB添加直前に重量測定法で測定した転化率は100%である。反応器内のIBの最終的な総濃度は2mol/Lである。全てのIBが反応した後に、1.7mLのDMAおよび2mLのDtBPを含む150mLのMeClおよび250mLのHx中の350mLのスチレンの予め冷却した溶液を添加する。スチレンの添加後45分間が経過した時に、NaOHのメタノール溶液を添加して重合を停止させる。反応器をドライボックスから取り出してヒュームフードに入れ、溶媒を蒸発させる。次に、本発明に係る方法を使用してポリマーを精製する。最終的に得られた試料は、M=220,300g/mol、のM=412,000g/mol、MWD=1.87であり、29.4重量%のPSを含む。
【0131】
(arbPIB−b−PS(05DNX130))
MeOIMの濃度は2倍にしたこと以外は、試料05DNX120と同様にして試料05DNX130を合成する。反応は−90℃で溶媒混合物(Hx/MeCl:60/40(v/v))内において行う。全容量は3000mLとする。共重合は、溶媒混合物(Hx/MeCl:60/40(v/v))内にIB(85.5g、4.8×10−1mol/L)、IM(2.51×10−3mol/L)、およびDtBP(5.6×10−3mol/L)(プロトン捕捉剤)を含む反応器にTiCl(4.9×10−2mol/L)を投入することで開始させる。重合開始後25分間が経過した時に試料を取り出し、IB追加分を添加する。この工程をさらに2回繰り返す。最後に、4回目のIB追加分の添加後35分間が経過した時に試料を取り出す。
【0132】
各IB添加直前に重量測定法で測定した転化率は100%である。反応器内のIBの最終的な総濃度は2mol/Lである。全てのIBが反応した後に、1.7mLのDMAおよび2mLのDtBPを含む150mLのMeClおよび250mLのHx中の350mLのスチレンの予め冷却した溶液を添加する。スチレンの添加後45分間が経過した時に、NaOHのメタノール溶液を添加して重合を停止させる。反応器をドライボックスから取り出してヒュームフードに入れ、溶媒を蒸発させる。次に、本発明に係る方法を使用してポリマーを精製する。最終的に得られた試料は、M=163,200g/mol、M=395,500g/mol、MWD=2.54であり、34.3重量%のPSを含む。
【0133】
(arbPIB−b−P(pMeSt)(06DNX040))
共重合は、溶媒混合物(MeCHx/MeCl:60/40(v/v))内にIB(85.5g、4.77×10−1mol/L)、IM(1.24×10−3mol/L)、およびDtBP(5.57×10−3mol/L)(プロトン捕捉剤)を含む反応器にTiCl(5.99×10−2mol/L)を投入することで開始させる。IB(各85.5g)を3回順次添加し、分岐が形成された後にIB鎖を成長させる。各添加前にIBが完全に転化する。
【0134】
IBの総濃度は2mol/Lである。全てのIBが反応した後に、350mLの予め冷却したp−MeSt(50%、溶媒:MeCH/MeCl(60/40)(v/v))、DtBP(2.09×10−3mol/L)、およびDMA(4.28×10−3mol/L)を反応系に添加する。NaOHのメタノール溶液を添加して反応を停止させる。反応器をドライボックスから取り出してヒュームフードに入れ、溶媒を蒸発させる。次に、本発明に係る方法を使用してポリマーを精製する。最終的に得られた試料は、31重量%のP(p−MeSt)を含み、M=302,600g/mol、MWD=2.56である。
【0135】
(arbPIB−b−P(pMeSt)(06DNX120))
反応は−90℃で溶媒混合物(Hx/MeCl:60/40(v/v))内において行う。全容量は1500mLとする。共重合は、溶媒混合物(Hx/MeCl:60/40(v/v))内にIB(240mL、1.74mol/L)、IM(2.28×10−3mol/L)、およびDtBP(5.1×10−3mol/L)(プロトン捕捉剤)を含む反応器にTiCl(3.13×10−2mol/L)を投入することで開始させる。
【0136】
全てのIBが反応した後に、1.0mLのDMAおよび1mLのDtBPを含む150mLのMeClおよび250mLのHx中の70mLのp−メチルスチレンの予め冷却した溶液を添加する。スチレンの添加後45分間が経過した時に、NaOHのメタノール溶液を添加して重合を停止させる。反応器をドライボックスから取り出してヒュームフードに入れ、溶媒を蒸発させる。次に、本発明に係る方法を使用してポリマーを精製する。最終的に得られた試料は、M=137,600g/mol、MWD=1.52であり、16.5重量%のPpMeStを含む。
【0137】
本明細書に記載された手順を使用してブロックコポリマーをアセトンから沈殿させると、綿毛状の白色のポリスチレン様フレークが得られ、1日以内に完全に乾燥させる。GC分析によれば、残留するStまたはpMeStは5ppm未満であり、多くの場合には残留スチレンモノマーは全く検出されない(表1)。一方、メタノールから沈殿させ、プレス上にて100℃で乾燥させたポリマーは、約400ppmの残留スチレンモノマーを含む。プレスを180℃に加熱すると、残留スチレンモノマーが約200ppmに減少する。スチレンモノマーは合成プロセスで使用される成分のうちで最も高い沸点を有するため、これらの結果は本発明の精製方法の有効性を示すものである。
【0138】
表1は、市販の直鎖状ポリスチレン−ポリイソブチレン−ポリスチレントリブロックコポリマー(SIBS、株式会社カネカから市販されている)およびポリスチレンおよびポリ(p−メチルスチレン)末端ブロックを有するarbPIBブロックコポリマーの精製の詳細を示す。
【0139】
【表1】

【0140】
(本発明の方法によって精製された試料06DNX120のソックスレー抽出)
(1)メチルエチルケトン(MEK)(PSを除去)
試料(約10g)を細かく切断し、ソックスレーシンブルに入れる。次に、200mLのメチルエチルケトン(Fluka製、99.5%以上(GC)、K3520−16/4/201−puriss.p.a.)を丸底フラスコに投入する。抽出を行い、溶媒を試料に10回通過させる。抽出試料をペトリ皿に置き、真空オーブン内において50℃で重量が一定となるまで乾燥させる。3種類の試料を抽出する。
【0141】
(2)ヘキサン(Hx)(PIBを除去)
試料(約10g)を細かく切断し、ソックスレーシンブルに入れる。次に、200mLのHx(Polskie odczynniki chemiczne S.A製、シリアル番号:0178/07/04、カタログ番号:466400426)を丸底フラスコに投入する。溶媒を試料に10回通過させる。抽出試料をペトリ皿に置き、真空オーブン内において50℃で重量が一定となるまで乾燥させる。3種類の試料を抽出する。
【0142】
(3)エタノール(EtOH)(極性化合物を除去)
試料(約10g)を細かく切断し、ソックスレーシンブルに入れる。次に、200mLのEtOH(POCH製−エチルアルコール、純度:96%、カタログ番号:396420113)を丸底フラスコに投入する。溶媒を試料に12回通過させる。抽出試料をペトリ皿に置き、真空オーブン内において50℃で重量が一定となるまで乾燥させる。3種類の試料を抽出する。
【0143】
抽出後、実験誤差の範囲内で抽出可能物は見られない(<0.3%の重量損失)。抽出の前後で試料の分子量および分子量分布は変化しない(M=203,100g/mol(抽出前:204,300g/mol)、MWD=1.45(抽出前:1.41))。
【0144】
以上、実施形態を参照して本発明について説明したが、その他の実施形態も同様の結果を達成することができる。本発明の変形および変更は当業者には明らかであり、本発明は、あらゆる変形および均等物を網羅することを意図するものである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)1種以上の溶媒を含み、ポリイソブチレン系ブロックポリマーを溶解することができる第1の溶媒系に、ポリイソブチレン系ブロックポリマーを溶解して第1の溶液を得る工程と、
(b)1種以上の溶媒を含み、前記ブロックポリマーのポリイソブチレン系ブロックよりも前記ブロックポリマーのポリスチレン系末端ブロックを高い溶解度で溶解する第2の溶媒系を前記第1の溶液と混合して、母液内に沈殿したブロックポリマーを得る工程と、
(c)前記母液から前記沈殿したブロックポリマーを分離して、精製されたブロックポリマーを得る工程と、
を含む、ブロックポリマーの精製方法。
【請求項2】
請求項1において、
(d)アセトンを前記精製されたブロックポリマーに添加して、前記精製されたブロックポリマーとアセトンとの混合物を得る工程と、
(e)前記精製されたブロックポリマーの少なくとも2種のブロックに対して非溶媒である第3の溶媒系を、前記精製されたブロックポリマーとアセトンとの混合物に添加して、前記精製されたブロックポリマーと前記溶媒の混合物との混合物を得る工程と、
(f)前記精製されたブロックポリマーを前記溶媒の混合物から分離して、さらに精製されたブロックポリマーを得る工程と、
をさらに含む、方法。
【請求項3】
請求項2において、
前記第3の溶媒系は、2−プロパノールを含む、方法。
【請求項4】
請求項1において、
前記第2の溶媒系は、前記ブロックポリマーの前記ポリイソブチレン系ブロックを溶解せず、前記ポリイソブチレン系ブロックは約23℃において前記母液内で沈殿する、方法。
【請求項5】
請求項1において、
前記工程(c)で得られた前記精製されたブロックポリマーを乾燥することをさらに含み、前記乾燥は、前記精製されたポリマーを減圧または約25℃を超える温度あるいはそれらの両方に曝す工程を含む、方法。
【請求項6】
請求項5において、
前記温度は、約30℃〜約60℃である、方法。
【請求項7】
請求項2において、
前記工程(f)で得られた前記さらに精製されたブロックポリマーを乾燥することをさらに含み、前記乾燥は、前記精製されたポリマーを減圧または約25℃を超える温度、あるいはそれらの両方に暴露する工程を含む、方法。
【請求項8】
請求項7において、
前記温度は、約30℃〜約60℃である、方法。
【請求項9】
請求項1において、
前記ブロックポリマーは、ポリイソブチレン系熱可塑性エラストマーである、方法。
【請求項10】
請求項9において、
前記ポリイソブチレン系熱可塑性エラストマーは生物医学用途に適する、方法。
【請求項11】
請求項1において、
前記ブロックポリマーのポリスチレン系末端ブロックは、ポリスチレン、スチレンサブユニットのベンゼン環部位が個別に任意に置換されたポリ(スチレン)、またはそれらの組み合わせである、方法。
【請求項12】
請求項11において、
前記スチレンサブユニットの任意に置換されたベンゼン環部位は、1以上のポリスチレンブロック、ポリ(4−メチルスチレン)ブロック、ポリ(4−メトキシスチレン)ブロック、ポリ(4−tert−ブチルスチレン)ブロック、ポリ(4−(2−ヒドロキシイソプロピル)スチレン)ブロック、ポリ(4−(2−メトキシイソプロピル)スチレン)ブロック、ポリ(3−(2−メトキシイソプロピル)スチレン)ブロック、ポリ(4−(2−クロロイソプロピル)スチレン)ブロック、ポリ(4−(2−アセチルイソプロピル)スチレン)ブロック、ポリ(4−(2−アセトキシイソプロピル)スチレン)ブロック、ポリ(4−クロロスチレン)ブロック、ポリ(4−(エポキシイソプロピル)スチレン)ブロック、またはそれらの組み合わせを含む、方法。
【請求項13】
請求項1において、
前記第1の溶媒系は、テトラヒドロフラン、メチルシクロヘキサン、トルエン、ベンゼン、またはそれらの組み合わせを含む、方法。
【請求項14】
請求項2において、
前記第1の溶媒系は、テトラヒドロフラン、メチルシクロヘキサン、トルエン、ベンゼン、またはそれらの組み合わせを含む、方法。
【請求項15】
請求項1において、
前記工程(a)で、約15〜約25容量の前記第1の溶媒系を使用する、方法。
【請求項16】
請求項1において、
前記ブロックポリマーは、任意に置換されたスチレンモノマーに由来する1以上のブロックと、イソブチレンモノマーに由来する1以上のブロックとを含むコポリマーである、方法。
【請求項17】
請求項1において、
前記第2の溶媒系は、(C〜C10)ケトンを含む、方法。
【請求項18】
請求項17において、
前記第2の溶媒系は、アセトン、メチルエチルケトン、メチルビニルケトン、またはそれらの組み合わせを含む、方法。
【請求項19】
請求項2において、
前記第2の溶媒系は、(C〜C10)ケトンを含む、方法。
【請求項20】
請求項19において、
前記第2の溶媒系は、アセトン、メチルエチルケトン、メチルビニルケトンまたはそれらの組み合わせを含む、方法。
【請求項21】
請求項1において、
前記第1の溶液を前記第2の溶媒系に滴下することによって、前記第1の溶液と前記第2の溶媒系とを混合する、方法。
【請求項22】
請求項2において、
前記第1の溶液を前記第2の溶媒系に滴下することによって、前記第1の溶液と前記第2の溶媒系とを混合する、方法。
【請求項23】
請求項2において、
前記第3の溶媒系はアルコールを含み、前記ブロックポリマーのポリイソブチレン系中間ブロックまたは末端ブロックを溶解しない、方法。
【請求項24】
請求項23において、
前記アルコールは、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、またはCアルコールを含む、方法。
【請求項25】
請求項1において、
前記精製されたポリマーは、約5ppm未満の残留モノマーを含む、方法。
【請求項26】
請求項24において、
前記精製されたポリマーは、約1ppm未満の残留モノマーを含む、方法。
【請求項27】
請求項1において、
前記精製されたポリマーは、約5ppm未満のスチレンモノマー、p−メチルスチレンモノマー、p−メトキシスチレンモノマー、またはそれらの組み合わせを含む、方法。
【請求項28】
請求項2において、
前記精製されたポリマーは、約5ppm未満の残留モノマーを含む、方法。
【請求項29】
請求項28において、
前記精製されたポリマーは、約1ppm未満の残留モノマーを含む、方法。
【請求項30】
請求項2において、
前記精製されたポリマーは、約5ppm未満のスチレンモノマー、p−メチルスチレンモノマー、p−メトキシスチレンモノマー、またはそれらの組み合わせを含む、方法。
【請求項31】
請求項1において、
酸化防止剤を前記第1の溶液に使用する、方法。
【請求項32】
請求項31において、
前記酸化防止剤は、ビタミン、または生物医学移植に適した酸化防止剤である、方法。
【請求項33】
請求項32において、
前記ビタミンは、ビタミンA、ビタミンCまたはビタミンEである、方法。
【請求項34】
請求項2において、
酸化防止剤を前記第1の溶液に使用する、方法。
【請求項35】
請求項34において、
前記酸化防止剤は、ビタミン、または生物医学移植に適した酸化防止剤である、方法。
【請求項36】
請求項35において、
前記ビタミンは、ビタミンA、ビタミンCまたはビタミンEである、方法。
【請求項37】
請求項1において、
前記工程(c)における前記分離は、デカンテーション、脱水、または濾過を含む、方法。
【請求項38】
請求項1において、
前記ブロックポリマーは、1以上のスチレンポリマーブロックおよび1以上のイソブチレンポリマーブロックを含む樹枝状コポリマーである、方法。
【請求項39】
請求項1において、
前記ブロックポリマーは、ポリイソオレフィンブロックおよびポリモノビニリデンアレーンブロックを含む高度に分岐したブロックコポリマーである、方法。
【請求項40】
請求項1において、
前記ブロックポリマーは、熱可塑弾性を有する、方法。
【請求項41】
請求項2において、
前記ブロックポリマーは、1以上のスチレンポリマーブロックおよび1以上のイソブチレンポリマーブロックを含む樹枝状コポリマーである、方法。
【請求項42】
請求項2において、
前記ブロックポリマーは、ポリイソオレフィンブロックおよびポリモノビニリデンアレーンブロックを含む高度に分岐したブロックコポリマーである、方法。
【請求項43】
請求項2において、
前記ブロックポリマーは、熱可塑弾性を有する、方法。
【請求項44】
請求項1において、
前記精製されたポリマーを医療装置に塗布する工程をさらに含む、方法。
【請求項45】
請求項2において、
前記精製されたポリマーを医療装置に塗布する工程をさらに含む、方法。
【請求項46】
(i)1種以上の溶媒を含み、ポリイソブチレン系ブロックポリマーを溶解することができる第1の溶媒系に、ポリイソブチレン系ブロックポリマーを溶解して第1の溶液を得る工程と、
(ii)1種以上の溶媒を含み、前記ブロックポリマーのポリイソブチレン系ブロックよりも前記ブロックポリマーのポリスチレン系末端ブロックを高い溶解度で溶解する第2の溶媒系を前記第1の溶液と混合して、母液内に沈殿したブロックポリマーを得る工程と、
(iii)前記母液から前記沈殿したブロックポリマーを分離して、精製されたブロックポリマーを得る工程と、
(iv)アセトンを前記精製されたブロックポリマーに添加して、前記精製されたブロックポリマーとアセトンとの混合物を得る工程と、
(v)前記精製されたブロックポリマーの少なくとも2種のブロックに対して非溶媒である第3の溶媒系を、前記精製されたブロックポリマーとアセトンとの混合物に添加して、前記精製されたブロックポリマーと前記溶媒の混合物との混合物を得る工程と、
(vi)前記精製されたブロックポリマーを前記溶媒の混合物から分離して、さらに精製されたブロックポリマーを得る工程と、
を含む、ブロックポリマーの精製方法。
【請求項47】
請求項46において、
前記第3の溶媒系は、2−プロパノールを含む、方法。
【請求項48】
請求項46において、
前記第2の溶媒系は、前記ブロックポリマーの前記ポリイソブチレン系ブロックを溶解せず、前記ポリイソブチレン系ブロックは約23℃において前記母液内で沈殿する、方法。
【請求項49】
請求項46において、
前記工程(iii)で得られた前記精製されたブロックポリマーを乾燥することをさらに含み、前記乾燥は、前記精製されたポリマーを減圧または約25℃を超える温度、あるいはそれらの両方に曝す工程を含む、方法。
【請求項50】
請求項49において、
前記温度は、約30℃〜約60℃である、方法。
【請求項51】
請求項46において、
前記ブロックポリマーは、ポリイソブチレン系熱可塑性エラストマーである、方法。
【請求項52】
請求項51において、
前記ポリイソブチレン系熱可塑性エラストマーは生物医学用途に適する、方法。
【請求項53】
請求項46において、
前記ブロックポリマーのポリスチレン系末端ブロックは、ポリスチレン、スチレンサブユニットのベンゼン環部位が個別に任意に置換されたポリ(スチレン)、またはそれらの組み合わせである、方法。
【請求項54】
請求項53において、
前記スチレンサブユニットの任意に置換されたベンゼン環部位は、1以上のポリスチレンブロック、ポリ(4−メチルスチレン)ブロック、ポリ(4−メトキシスチレン)ブロック、ポリ(4−tert−ブチルスチレン)ブロック、ポリ(4−(2−ヒドロキシイソプロピル)スチレン)ブロック、ポリ(4−(2−メトキシイソプロピル)スチレン)ブロック、ポリ(3−(2−メトキシイソプロピル)スチレン)ブロック、ポリ(4−(2−クロロイソプロピル)スチレン)ブロック、ポリ(4−(2−アセチルイソプロピル)スチレン)ブロック、ポリ(4−(2−アセトキシイソプロピル)スチレン)ブロック、ポリ(4−クロロスチレン)ブロック、ポリ(4−(エポキシイソプロピル)スチレン)ブロック、またはそれらの組み合わせを含む、方法。
【請求項55】
請求項46において、
前記第1の溶媒系は、テトラヒドロフラン、メチルシクロヘキサン、トルエン、ベンゼン、またはそれらの組み合わせを含む、方法。
【請求項56】
請求項46において、
前記工程(i)で、約15〜約25容量の前記第1の溶媒系を使用する、方法。
【請求項57】
請求項46において、
前記ブロックポリマーは、任意に置換されたスチレンモノマーに由来する1以上のブロックと、イソブチレンモノマーに由来する1以上のブロックとを含むコポリマーである、方法。
【請求項58】
請求項46において、
前記第2の溶媒系は、(C〜C10)ケトンを含む、方法。
【請求項59】
請求項58において、
前記第2の溶媒系は、アセトン、メチルエチルケトン、メチルビニルケトン、またはそれらの組み合わせを含む、方法。
【請求項60】
請求項46において、
前記第1の溶液を前記第2の溶媒系に滴下することによって、前記第1の溶液と前記第2の溶媒系とを混合する、方法。
【請求項61】
請求項46において、
前記第3の溶媒系はアルコールを含み、前記ブロックポリマーのポリイソブチレン系中間ブロックまたは末端ブロックを溶解しない、方法。
【請求項62】
請求項61において、
前記アルコールは、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、またはCアルコールを含む、方法。
【請求項63】
請求項46において、
前記精製されたポリマーは、約5ppm未満の残留モノマーを含む、方法。
【請求項64】
請求項63において、
前記精製されたポリマーは、約1ppm未満の残留モノマーを含む、方法。
【請求項65】
請求項46において、
前記精製されたポリマーは、約5ppm未満のスチレンモノマー、p−メチルスチレンモノマー、p−メトキシスチレンモノマー、またはそれらの組み合わせを含む、方法。
【請求項66】
請求項46において、
酸化防止剤を前記第1の溶液に使用する、方法。
【請求項67】
請求項66において、
前記酸化防止剤は、ビタミン、または生物医学移植に適した酸化防止剤である、方法。
【請求項68】
請求項67において、
前記ビタミンはビタミンA、ビタミンCまたはビタミンEである、方法。
【請求項69】
請求項46において、
前記工程(iii)における前記分離がデカンテーション、脱水、または濾過を含む、方法。
【請求項70】
請求項46において、
前記ブロックポリマーは、1以上のスチレンポリマーブロックおよび1以上のイソブチレンポリマーブロックを含む樹枝状コポリマーである、方法。
【請求項71】
請求項46において、
前記ブロックポリマーは、ポリイソオレフィンブロックおよびポリモノビニリデンアレーンブロックを含む高度に分岐したブロックコポリマーである、方法。
【請求項72】
請求項46において、
前記ブロックポリマーは熱可塑弾性を有する、方法。
【請求項73】
請求項46において、
(vii)前記精製されたポリマーを医療装置に塗布する工程をさらに含む、方法。
【請求項74】
(A)1種以上の溶媒を含み、ポリイソブチレン系ポリマーを溶解することができる約10〜30重量部の第1の溶媒系に、約1重量部のポリイソブチレン系ブロックポリマーを溶解して第1の溶液を得る工程と、
(B)1種以上の溶媒を含み、前記ブロックポリマーのポリスチレン系末端ブロックを前記ブロックポリマーの中間ポリイソブチレン系ブロックよりも高い溶解度で溶解する、前記第1の溶液の容量に対して約5〜約10容量の第2の溶媒系を、前記第1の溶液と混合して、母液内に沈殿したブロックポリマーを得る工程と、
(C)前記母液から前記沈殿したブロックポリマーを分離して、精製されたブロックポリマーを得る工程と、
(D)前記第1の溶液の容量に対して約5〜約10容量のアセトンを前記精製されたブロックポリマーに添加して、前記精製されたブロックポリマーとアセトンとの混合物を得る工程と、
(E)前記第1の溶液の容量に対して約1〜約5容量の2−プロパノールを、前記精製されたブロックポリマーとアセトンとの混合物に添加して、前記精製されたブロックポリマーと前記溶媒の混合物との混合物を得、必要に応じて約1〜約15容量の2−プロパノールをさらに添加する工程と、
(F)前記精製されたブロックポリマーを前記溶媒の混合物から分離して、さらに精製されたブロックポリマーを得る工程と、
を含む、ブロックポリマーの精製方法。
【請求項75】
請求項74において、
前記第3の溶媒系は、2−プロパノールを含む、方法。
【請求項76】
請求項74において、
前記第2の溶媒系は、前記ブロックポリマーの前記ポリイソブチレン系ブロックを溶解せず、前記ポリイソブチレン系ブロックは約23℃において前記母液内で沈殿する、方法。
【請求項77】
請求項74において、
前記工程(C)によって得られた前記精製されたブロックポリマーを乾燥することをさらに含み、前記乾燥が前記精製されたポリマーを減圧または約25℃を超える温度、あるいはそれらの両方に暴露する工程を含む、方法。
【請求項78】
請求項77において、
前記温度は、約30℃〜約60℃である、方法。
【請求項79】
請求項74において、
前記ブロックポリマーは、ポリイソブチレン系熱可塑性エラストマーである、方法。
【請求項80】
請求項79において、
前記ポリイソブチレン系熱可塑性エラストマーは生物医学用途に適する、方法。
【請求項81】
請求項74において、
前記ブロックポリマーのポリスチレン系末端ブロックは、ポリスチレン、スチレンサブユニットのベンゼン環部位が個別に任意に置換されたポリ(スチレン)、またはそれらの組み合わせである、方法。
【請求項82】
請求項81において、
前記スチレンサブユニットの任意に置換されたベンゼン環部位は、1以上のポリスチレンブロック、ポリ(4−メチルスチレン)ブロック、ポリ(4−メトキシスチレン)ブロック、ポリ(4−tert−ブチルスチレン)ブロック、ポリ(4−(2−ヒドロキシイソプロピル)スチレン)ブロック、ポリ(4−(2−メトキシイソプロピル)スチレン)ブロック、ポリ(3−(2−メトキシイソプロピル)スチレン)ブロック、ポリ(4−(2−クロロイソプロピル)スチレン)ブロック、ポリ(4−(2−アセチルイソプロピル)スチレン)ブロック、ポリ(4−(2−アセトキシイソプロピル)スチレン)ブロック、ポリ(4−クロロスチレン)ブロック、ポリ(4−(エポキシイソプロピル)スチレン)ブロック、またはそれらの組み合わせを含む、方法。
【請求項83】
請求項74において、
前記第1の溶媒系は、テトラヒドロフラン、メチルシクロヘキサン、トルエン、ベンゼン、またはそれらの組み合わせを含む、方法。
【請求項84】
請求項74において、
前記工程(A)で、約15〜約25容量の前記第1の溶媒系を使用する、方法。
【請求項85】
請求項74において、
前記ブロックポリマーは、任意に置換されたスチレンモノマーに由来する1以上のブロックと、イソブチレンモノマーに由来する1以上のブロックとを含むコポリマーである、方法。
【請求項86】
請求項74において、
前記第2の溶媒系は、(C〜C10)ケトンを含む、方法。
【請求項87】
請求項86において、
前記第2の溶媒系は、アセトン、メチルエチルケトン、メチルビニルケトン、またはそれらの組み合わせを含む、方法。
【請求項88】
請求項74において、
前記第1の溶液を前記第2の溶媒系に滴下することによって、前記第1の溶液と前記第2の溶媒系とを混合する、方法。
【請求項89】
請求項74において、
前記第3の溶媒系はアルコールを含み、前記ブロックポリマーのポリイソブチレン系中間ブロックまたは末端ブロックを溶解しない、方法。
【請求項90】
請求項89において、
前記アルコールは、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、またはCアルコールを含む、方法。
【請求項91】
請求項74において、
前記精製されたポリマーは、約5ppm未満の残留モノマーを含む、方法。
【請求項92】
請求項91において、
前記精製されたポリマーは、約1ppm未満の残留モノマーを含む、方法。
【請求項93】
請求項74において、
前記精製されたポリマーは、約5ppm未満のスチレンモノマー、p−メチルスチレンモノマー、p−メトキシスチレンモノマー、またはそれらの組み合わせを含む、方法。
【請求項94】
請求項74において、
酸化防止剤を前記第1の溶液に使用する、方法。
【請求項95】
請求項94において、
前記酸化防止剤は、ビタミン、または生物医学移植に適した酸化防止剤である、方法。
【請求項96】
請求項95において、
前記ビタミンは、ビタミンA、ビタミンCまたはビタミンEである、方法。
【請求項97】
請求項74において、
前記工程(C)における前記分離は、デカンテーション、脱水、または濾過を含む、方法。
【請求項98】
請求項74において、
前記ブロックポリマーは、1以上のスチレンポリマーブロックおよび1以上のイソブチレンポリマーブロックを含む樹枝状コポリマーである、方法。
【請求項99】
請求項74において、
前記ブロックポリマーは、ポリイソオレフィンブロックおよびポリモノビニリデンアレーンブロックを含む高度に分岐したブロックコポリマーである、方法。
【請求項100】
請求項74において、
前記ブロックポリマーは、熱可塑弾性を有する、方法。
【請求項101】
請求項74において、
(G)前記精製されたポリマーを医療装置に塗布する工程をさらに含む、方法。

【公表番号】特表2009−537664(P2009−537664A)
【公表日】平成21年10月29日(2009.10.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−511066(P2009−511066)
【出願日】平成19年5月17日(2007.5.17)
【国際出願番号】PCT/US2007/011831
【国際公開番号】WO2007/136700
【国際公開日】平成19年11月29日(2007.11.29)
【出願人】(508341980)ザ ユニバーシティ オブ アクロン (2)
【氏名又は名称原語表記】THE UNIVERSITY OF AKRON
【住所又は居所原語表記】Buchtel Hall,Akron,OH 44325,U.S.A.
【Fターム(参考)】