説明

ブロックマット用シート及び該シートを用いたブロックマット

【課題】地表浸食防止用工ブロックマット又は地盤補強用ブロックマットにおいて、コンクリートブロックとシートの接着力を高めてマット敷設時の安全性を向上させること。
【解決手段】透水性及び可撓性を有する土砂粒子不通過性の繊維シートからなるブロックマット用シートであって、該繊維シートのタテ方向及びヨコ方向の両方若しくは片方の一部又は全部にタスラン加工糸を用いたことを特徴とする前記ブロックマット用シート、及びこれにコンクリートブロックが接着・固定された地表浸食防止用工ブロックマット及び地盤補強用ブロックマット。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、地表浸食防止用工ブロックマットや軟弱地盤補強用ブロックマットに使用するために好適なブロックマット用シートに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、護岸又は法面保護工事は、例えば保護すべき土面を整地して突き固めた上にフィルターを敷設し、更に栗石を積み重ねた後、その上面にセメントモルタルを目地に施しながらコンクリートブロックを張り付けていた。
しかしながら、かかる工法は手間を要し工期が長引き、また、コンクリートブロックの張り付けに熟練した専門工を必要とする等の欠点があった。
【0003】
そこで、これらの欠点を解消する為に予め織布等のシート材にコンクリートブロックを接着した地表浸食防止用マットを工場で生産し、保護すべき法面を整地した上にこのマットを敷設する考案が開示された(以下、特許文献1参照)。当該工法は接着剤を用いてコンクリートブロックとシート材とを接着するが、この接着剤としてエポキシ樹脂等を用いた場合、熱処理すれば数時間で接着固定できる。これに反して、以下の特許文献2に記載されるような、未硬化のコンクリートブロックにシートを押し当て、シートの繊維間にコンクリートの一部を浸透せしめ、この状態でコンクリートを固化させる技術では、コンクリートが完全固化するためには約1週間程度の養生が必要である。したがって、特許文献1に記載され地表浸食防止用マットに係る考案は、接着剤が短時間で固化する点で、生産性が優れているといえる。
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載されたような、接着剤工法マットにおいて、シート材とコンクリートブロックとの間の接着力低いと、ブロックマットを現場で敷設する際、マットの両端を把持するのではなく、状況により片吊せざるを得なくなった場合に、コンクリートブロックがシート材から剥離してしまう等の敷設施工時に安全性を脅かす問題が発生してしまう。
【0005】
また、従来、軟弱地盤を安定化させるために、筏工法(軟弱地盤に丸太で筏を組み、載荷重を分散させる)や玉石基礎工法(軟弱地盤に多量の玉石を敷き詰めて、バイブレーター等にて締固めを行ない、載荷重を分散させる)等の地盤拘束で浅層軟弱地盤に適した工法と、パイルネット工法(軟弱地盤に木、コンクリート、鋼などの既成杭を適切な深さに打ち込んだ後、杭頭部同士をロープ等の連結材で連結し、その上部に土木用シートなどを敷設して盛土を行なう)等の深層軟弱地盤に適した工法がある。筏工法や玉石基礎工法は浅層軟弱地盤に適した工法であるが、浅層地盤との支持拘束性が少なく且つ敷設に手間が掛かる問題がある。一方、パイルネット工法は深層軟弱地盤工法に適した工法であるが、深層地盤の支持拘束は高いが浅層地盤の載荷重の分散が弱い問題があり、浅層地盤の支持拘束性と高載荷重分散を同時に兼ね備えた商品がないという問題があった。
【0006】
かかる問題を解決するため、以下の特許文献3には、地盤を補強し、変形を拘束するために、突状に形成された先端部と平らな天面とが形成される複数の補強ブロックと、
前記複数の補強ブロックの前記天面に接着体または固定体により前記複数の補強ブロックが整列して一体的に接着または固定されたシートと、を有することを特徴とする地盤補強用マットが提案されている。
かかる地盤補強用マットも前記した特許文献1に記載された接着剤工法マットと同様に、地盤補強用マットを敷設する際、シートを把持して吊り下げる場合があるが、この場合には、シートの長さ方向の引張強度を強くして、補強用ブロック載荷時に発生するシートへの張力及び重機による振り回しや風等の外力が作用してマットが破断することを防止し、敷設作業を安全に行なう必要がある。引用文献3には、この引張強度は補強用ブロックの重量の2倍以上が必要であるが、好ましくはマット吊り下げ重機の可動速度や風等のより強い外力を考慮すると4倍以上が必要であることが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】実公昭51−9135号公報
【特許文献2】特開昭54−93018号公報
【特許文献3】特開2009−108660号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明が解決しようとする課題は、前記した地表浸食防止用マット(接着剤工法マット)や地盤補強用マットにおいて、コンクリートブロックがシート材から剥離してしまう等の敷設施工時に安全性を脅かす問題の発生を回避するために、コンクリートブロックとシート材との間の接着力を高めてマット敷設時の安全性を向上させることである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者は、上記課題を解決すべく、鋭意検討し実験を重ねた結果、以下のことを発見した。
タスラン加工糸とは芯糸と鞘糸で構成され、芯糸は真っ直ぐな糸でタスラン加工糸自身の強さを受け持ち、一方、鞘糸は芯糸の外周を巻き付けた絡み糸で、この鞘糸を過剰に絡ませると絡み糸を構成する糸のフィラメントがたるんだ状態になる。かかるタスラン加工糸を、地表浸食防止用マットや地盤補強用マットにおける繊維シートを構成する繊維(糸)として用いると、透水性及び可撓性を有する土砂粒子不通過性の繊維シートにおいてタスラン加工糸の芯糸は補強効果を受け持ち、さらにタスラン加工糸の鞘糸を地表に直接敷設することで、この鞘糸が地表との摩擦を大きくして防滑効果が発揮される。さらに、かかるシートとコンクリートブロックを接着・固定したブロックマットにおいては、該シートにタスラン加工糸を用いたことによって、タスラン加工糸の鞘糸が接着剤と良く絡むようになる結果、コンクリートブロックと該シートとの間の接着力が高まりマット敷設時の安全性が向上される。
【0010】
以上の発見に基づき、本発明者は以下の発明を完成した。
[1]透水性及び可撓性を有する土砂粒子不通過性の繊維シートからなるブロックマット用シートであって、該繊維シートのタテ方向及びヨコ方向の両方若しくは片方の一部又は全部にタスラン加工糸を用いたことを特徴とする前記ブロックマット用シート。
【0011】
[2]前記[1]に記載のブロックマット用シートにコンクリートブロックが接着・固定された地表浸食防止用工ブロックマット。
【0012】
[3]前記[1]に記載のブロックマット用シートに補強コンクリートブロックが接着・固定された地盤補強用ブロックマット。
【発明の効果】
【0013】
本発明により、タスラン加工糸の芯糸は補強効果を受け持ち、さらにタスラン加工糸の鞘糸を地表に直接敷設することで、この鞘糸が地表との摩擦を大きくして防滑効果が発揮され、さらに、かかるシートとコンクリートブロックを接着・固定したブロックマットにおいては、タスラン加工糸の鞘糸が接着剤と良く絡むようになる結果、コンクリートブロックと該シートとの間の接着力が高まりマット敷設時の安全性が向上される。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】法面保護用地表浸食防止用工ブロックマット敷設概略図。
【図2】地表浸食防止用工シート上にコンクリートブロックを接着・固定した地表浸食防止用工ブロックマットの1例の図面に代わる写真。
【図3】地表浸食防止用工シートの1例の図面に代わる写真である。上の写真は、補強糸としてタスラン加工糸を用い、ヨコ糸を乗越える間隔が6本である本発明に係る地表浸食防止用工シートを表す。下の写真は、タスラン加工をしていない糸を用い、ヨコ糸を乗越える間隔が3本である従来技術の地表浸食防止用工シートを表す。
【図4】地表浸食防止用工ブロックマットを敷設の為に重機で吊り下げた時の概略図。
【図5】軟弱地盤補強用ブロックマットの下方からの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明に係るブロックマット用シート、例えば、地表浸食防止用工シートは、シートを通して地表面への水の透水性が良く、且つシートにより地表面の土砂が流出することを防止する浸食防止機能を保有するものであり、フィルター効果を有するシートが用いられる。ここで、フィルター効果とは、透水性を有しつつ、土砂の透過を防ぐ効果であり、このような効果を有するシートとしては、織布、編物等の網目を有するシートが好ましく用いられる。網目のサイズにより、フィルター効果の程度、透水性を制御することができるが、本発明においては、1mm2以下の網目を保有しているものが好ましく用いられる。
【0016】
更に本発明に係るシートが合成繊維で構成されたものであれば、可撓性に優れるため、地表面とよく馴染み、密着性がよく、不等沈下の恐れのある軟弱地盤等にも使用できる。したがって、本発明の地表浸食防止用工シートの素材としては、合成繊維、ポリエチレン繊維、ポリプロピレン繊維等のオレフィン系繊維、ポリアミド繊維、ポリエステル繊維、ポリ塩化ビニリデン繊維、ポリビニルアルコール繊維等の汎用繊維、炭素繊維、芳香族ポリアミド等の機能繊維、天然繊維、再生化学繊維等が挙げられ、これらは単独でも組み合わせて使用されてもよい。また、シートは網目を有するものであれば織布、編物で構わないが、コンクリートブロックを接着・固定したブロックマットの場合は、敷設時に吊る揚げ操作を行うので、シートの伸びによるブロックのずれを少なくするために、伸びの少ない織布であることが望ましい。
【0017】
このコンクリートブロックマットとして使用する場合には、マットを、敷設に際しマット長さ方向の両端を把持して吊り下げるので、コンクリートブロックの荷重でシートが破損しない程度のシート強さが必要であり、また、ブロックずれを少なくするにはシートの耐引張破断伸び率が小さく、伸び難いものが望ましい。
【0018】
また、コンクリートブロックマットとして使用する場合、シート上にコンクリートブロックを配置し、個々のコンクリートブロックとシート間を硬化性接着剤で接着固定するが、マットの敷設時に、ブロックの荷重が接着部に作用するため、敷設の安全性を確保するとともに、敷設後の精度を維持するために、コンクリートブロックとシートの間の接着には、高い接着強度が求められる。
【0019】
このように、コンクリートブロックマットとして使用する際の高強度、低伸度、高接着力の要求を満たすために、本発明においては、繊維シートとして、前記のフィルター機能を有する織布、編物において、補強糸としてタスラン加工糸が織込み又は編込まれた織布又は編物を用いる。
織布又は編物を構成する糸のすべてをタスラン加工糸とすることもできるが、通常は、その一部をタスラン加工糸とすることが行われる。タスラン加工糸は、縦方向、横方向の一方又は両方に使用することができるが、ブロックマット施工時の強度確保のために、縦方向に使用することが好ましい。
【0020】
タスラン加工糸とは、芯糸の周囲に、鞘糸がループやたるみを形成して交絡した構造を有するものであり、通常、2本又はそれ以上のマルチフィラメントを空気及び水の両方又は片方で流体処理して得られるものである。
本発明の具体的なシート製造の一例としては、シート長さ方向に330デシテックス、幅方向に660デシテックスのポリエチレンモノフィラメントを長さ方向に52本/インチ、幅方向に25本/インチで網目状を構成し、更に長さ方向に長さ方向の補強と高接着性に為にタスラン加工糸を6本/インチに織り込んだものである。このタスラン加工糸として、芯糸が1670デシテックス192フィラメントの高強度ポリエステル繊維2本に、鞘糸として1100デシテックス/192フィラメントの高強度ポリエステル繊維を20%オーバーフィードで加工したものを使用した。
【0021】
タスラン加工糸での高接着性や防滑性を高めるには、鞘糸のフィラメント数は多いほどよく、好ましくは65本以上である。タスラン加工糸の引張強さは強いほどよく、好ましくは7cN/dtex以上である。タスラン加工における鞘糸のオーバーフィード率は高いほどよいが、シート製造時の停台を起こさない程度として、該オーバーフィード率は15〜30%程度であることが好ましい。フィラメント数、引張強さ、オーバーフィード率等の組み合わせは、前記したそれぞれの好ましい範囲外であっても、相乗効果が奏される場合には、許容される。
【0022】
また、タスラン加工糸の織り込み本数は、本実施例においては、6本/インチであるが、織り込み本数を増やしたほうがシートの強度が高くなり、3本/インチ以上とするのが好ましい。
コンクリートブロックマットとして使用する場合には、マットを、敷設に際しマット長さ方向の両端を把持して吊り下げるので、ブロック荷重でシートは破損しないだけのシート強さが必要であり、更に敷設時のマット回転移動等を考慮すると約5倍程度以上の安全率を見込む必要である。例えば、当該シートに20cm四角の5kgコンクリートブロックを8m接着・固定する場合には、シートの耐引張破断強さは約49kN/m以上とすることが好ましい。
【0023】
前記したように、コンクリートブロックマットとして用いる場合、シートの耐引張破断伸び率は、低い方が好ましい。シートの耐引張破断伸び率を低下させる方法としては、補強糸であるタスラン加工糸のクリンプ率を低くすることが挙げられる。すなわち、縦方向に補強糸を入れる場合、幅方向の糸を乗越える間隔(本数)を多くすることによりクリンプ率を下げ、引張破断伸び率を下げることができる。例えば、具体的には、乗越える間隔が3本ではクリンプ率は5.9%、引張破断伸び率は22%であるが、乗越える間隔が6本ではクリンプ率は4.5%、引張破断伸び率は18%となる。
【0024】
コンクリートブロックマットとして用いる場合、ブロックずれを小さくするためにシートの耐引張破断伸び率は25%以下とするのが好ましく、クリンプ率としては7%以下、乗越える間隔としては3本以上とするのが好ましい。
【0025】
シートに接着固定した、コンクリートブロックの長手方向及び幅方向の間隔には特に制約はないが、通常、間隔が約30mm以下で、ほぼ連続的に配置するのが好ましい。
接着固定には、通常、無機又は有機の接着剤、あるいはこれらが混合された接着剤が用いられる。無機接着剤としては、例えば、モルタル、コンクリート等の水硬性セメント組成物を用いることができる。有機接着剤としては、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、アクリル樹脂、シリコン樹脂、エポキシアクリレート樹脂、フェノール樹脂等の熱硬化性樹脂を用いたもの、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂、エチレンビニルアルコール樹脂等の熱可塑性樹脂を用いたものや、スチレンブタジエンゴム、クロロプレンゴム、ブチルゴム等合成ゴムを用いたもの等を用いることができ、強度、硬化性の優れたエポキシ樹脂が好ましく用いられる。
【0026】
一方、図5に示すように、本実施形態の地盤補強用マットは、複数の補強用ブロックと、補強用ブロックを一体的に接着固定するためのシートとから構成される。補強用ブロックは、シートに対して整列して配置され、接着体又は固定体により一体的に固定されている。
補強用ブロックは、地盤に接する下方が円錐状に形成され、上方が円柱状に形成される。補強用ブロックの材質は、下方の先端部は通常上方部分と同材質、もしくは軟弱地盤に硬い石等があり上方部分が欠ける恐れが懸念される時は、先端部以外の上方部分とで材質が異なる。具体的には、上方部分は圧縮力に強いコンクリートが用いられ、下方の先端部は引張力が強く弾性のある金属又は樹脂にて構成する。
かかる地盤補強用ブロックマットにも、地表浸食防止用工シートに関して前記したブロックマット用シートを使用することができる。
【実施例】
【0027】
引張破断強さ及び伸び率の測定は、JIS L1096のラベルドストリップ法により、そしてクリンプ率は、シート上に1m間隔で印しを付け、シートより測定糸を解き、初荷重下の印し間隔を読み、1mで除して求めた。
【0028】
タスラン加工糸使用シートの180°剥離接着強さを、引張試験機で測定した。
【0029】
タスラン加工糸使用シートの真砂土に対する静的摩擦係数を、5kg/20km四角荷重下の摩擦試験において測定した。
【0030】
地表浸食防止用工シートの製造
シート長さ方向に330デシテックス、幅方向に660デシテックスのポリエチレンモノフィラメントを長さ方向に52本/インチ、幅方向に25本/インチで網目状を構成し、更に長さ方向に長さ方向の補強と高接着性に為にタスラン加工糸を6本/インチに織り込んだ。タスラン加工糸として、芯糸が1670デシテックス192フィラメントの高強度ポリエステル繊維2本に、鞘糸として1100デシテックス/192フィラメントの高強度ポリエステル繊維を20%オーバーフィードで加工したものを使用した。
得られたシートは、補強糸であるタスラン加工糸が幅方向の糸に対して6本毎乗り越えたシートであり、引張破断強さは84kN/m、引張破断伸びは18%、クリンプ率は4.5%であった。このシートの網目は、シート幅方向で0.1〜0.4mm、シート長さ方向で0.4〜0.8mmでああった。
【0031】
地表浸食防止用工ブロックマットの製造
上記シート上に任意数のコンクリートブロックを配置し、個々のコンクリートブロックと当該シート間を硬化性接着剤で接着固定して、1.5m幅で長さ8.8mの地表浸食防止用工ブロックマットを製造した。1.5m幅で長さ8.8mの当該シート上に、セメント、細骨材、粗骨材、水の配合コンクリートを幅20cm、長さ20cm、高さ10cmの四角台形の形状、に重量5kgの即時脱型・乾燥されたコンクリートブロックを、シート幅方向に6個、長さ方向に40列配置し、個々のコンクリートブロックと当該シートの間にエポキシ樹脂(主剤:硬化剤=2:1混合)5gを、コンクリートブロック面に4ヶ所圧着して、接着硬化して固定した。
【0032】
上記接着で当該タスラン加工糸使用シートの180°剥離接着強さを、引張試験機で測定した結果、接着剤幅1cm当たり160Nであり、一方、タスラン加工糸代わりに1670デシテックス192フィラメントの高強度ポリエステル繊維2本で製織したタスラン加工糸無使用シートでの、同一接着処方での180°剥離接着強さは、接着剤幅1cm当たり98Nであった。すなわち、タスラン加工糸使用シートは、タスラン加工糸無使用シートより接着強度が1.6倍高くなり、法面敷設作業でもマット吊り下げ操作は安心して施工することができた。
【0033】
また、タスラン加工糸使用シートの真砂土に対する静的摩擦係数は、5kg/20km四角荷重下の摩擦試験において測定した場合、0.57であり、一方、タスラン加工糸無使用シートの静的摩擦係数は0.45であった。すなわち、タスラン加工糸を使用したシートは、防滑性に優れ、法面でのマット安定性が向上した。
【産業上の利用可能性】
【0034】
本発明に係るブロックマット用シートは、地表浸食防止用工ブロックマットにおいて、防滑効果が発揮され、かつ、コンクリートブロックとシートの接着力を高めてマット敷設時の安全性を向上させたことにより、簡便に護岸、法面保護等を成し得る地表浸食防止用工シート及びこれを用いた地表浸食防止用工ブロックマットに好適に利用可能である。また、本発明には、地表浸食防止用工ブロックマットにおいても、コンクリートブロックとシートの接着力を高めてマット敷設時の安全性を向上させることにより、これに好適に利用可能である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
透水性及び可撓性を有する土砂粒子不通過性の繊維シートからなるブロックマット用シートであって、該繊維シートのタテ方向及びヨコ方向の両方若しくは片方の一部又は全部にタスラン加工糸を用いたことを特徴とする前記ブロックマット用シート。
【請求項2】
請求項1に記載のブロックマット用シートにコンクリートブロックが接着・固定された地表浸食防止用工ブロックマット。
【請求項3】
請求項1に記載のブロックマット用シートに補強コンクリートブロックが接着・固定された地盤補強用ブロックマット。

【図1】
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【図4】
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【図5】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2011−26947(P2011−26947A)
【公開日】平成23年2月10日(2011.2.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−143660(P2010−143660)
【出願日】平成22年6月24日(2010.6.24)
【出願人】(591041196)旭化成ジオテック株式会社 (25)
【Fターム(参考)】