説明

ブロー成形または延伸ブロー成形によって熱可塑性樹脂製の容器を製造する成形装置

【課題】金型のキャビティ内で支持されている予備成形品と流体が流通可能に連絡しているブロー位置と上昇位置の間を軸線方向に移動可能なノズルを備えたブロー成形装置を用いて高圧吹き込みを行う際、金型分離面の上部における型離れを防止した成形装置を提供する。
【解決手段】金型1と、ブロー用組立体2とを有する成形装置において、金型の金型半分部3a、3bは、ノズル16に向けて傾斜している壁12によって境界が定められている雄型部材Aを共に形成しているそれぞれの部分を支持している。一方、ブロー用組立体2は、隆起の壁に相補的な内壁を有するクランプ26によって形成されている雌型部材Bを有し、ブロー位置で、該雄型および雌型部材A、Bが協働して、閉じた金型の上部を固定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概して、ブロー用組立体が付属している金型内での高温の予備成形品のブロー成形または延伸ブロー成形によって熱可塑性樹脂製の容器を製造する成形装置に関し、特に、前記した金型は少なくとも2つの金型半分部を有し、2つの金型半分部は、互いに離れている開いた位置と、金型分離面に沿って互いに合わさって内部の成形キャビティを形成する閉じた位置との間を、互いに対して移動可能であり、前記したブロー用組立体はブロー用ノズルを有し、ブロー用ノズルは、ノズルの端部が金型の上方に上昇している上昇位置と、ノズルの端部が、金型のキャビティ内で支持されている予備成形品に流体の流通ができるように連絡している下降位置すなわちブロー位置との間を、前記した金型の上方を軸線方向に移動可能である、ブロー用組立体が付属している金型内での高温の予備成形品のブロー成形または延伸ブロー成形によって熱可塑性樹脂製の容器を製造する成形装置を改良することに関する。
【背景技術】
【0002】
互いに移動可能な2つの金型半分部を有しているブロー金型(この金型は、固定されている金型底部または軸線方向に移動可能な金型底部によって構成された第3の部分を有することも可能である)の構成において、2つの金型半分部は、ブロー中には互いに対してしっかりと固定されている。したがって、本出願人によって販売されている装置に通常使用されている、互いに連結されるタイプ(mutually articulated type)の金型においては、2つの金型半分部は、金型分離面の(後方に位置している)一方の側に対して平行な共通の軸線を中心として回転するように連結されており、金型の閉じた位置では、クランプ手段が2つの金型半分部を金型分離面の(前方に位置している)反対側に沿って一緒に機械的に固定する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、このように構成されている金型によって、閉じた位置でもたらされる非常に高い機械的剛性にもかかわらず、一般に採用されている高いブロー圧力(実際には40×105Pa前後)によって、取り扱われる容器の首部の通路のための開口を有する金型の上面上で、金型分離面の上部において2つの金型半分部が互いに離れる(隙間が生じる)ことが頻繁に起こる(金型の下部においては、舌部と溝部を含む組立手段によって2つの金型半分部に固定されている金型底部が存在するため、この欠点が回避されている)。
【0004】
特に、成形キャビティを満たしている空気が逃げることを可能にするこの隙間によって、この空気が、ブロー中に容器の体積の増加により強制的に押し出されるので、この欠点が有効に利用されているのも事実である。また、金型分離面の上部を構成している金型半分部の上側接触面の縁部が、この手段を介した通気を容易にするように特別に機械加工されているのが一般的である。
【0005】
それでもやはり、金型の上部のこの隙間は、作業者が常に避けたいと望んできた欠点をなすものであることに変わりなく、成形キャビティからの通気は、他の手段(たとえば、金型半分部の壁を貫通する、機械加工された通気用流路)を介して排出可能でなければならない。
【0006】
本発明の目的は、具体的には、この公知の欠点を改善し、技術的な期待に沿うことができる新規な技術的解決策を提案することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
これらの目的のために、本発明は、2つの金型半分部が、金型の閉じた位置で、ブロー用ノズルに向けて傾斜している側壁によって外側の境界が少なくとも部分的に定められている雄型部材を共に形成している2つのそれぞれの部分を、ブロー用ノズルを向いているそれぞれの面の上または近くに有しており、ブロー用組立体は、雄型部材の側壁の傾斜に対して相補的に傾斜している側壁によって内側の境界が少なくとも部分的に定められ、かつブロー用組立体のブロー位置で、閉じた金型の前記雄型部材をしっかりとクランプすることができるように寸法が定められている雌型部材を有していることを特徴とする、本発明に従って構成されている、前述した成形装置を提案する。
【0008】
この構成によって、雌型部材は、金型の閉じた位置において、雄型部材を覆い、それぞれの傾斜した表面が協働して、2つの金型半分部の頂部を強制的に互いに向き合わせ、金型の頂部において、側方に配置されている従来同様のクランプ手段によってもたらされるクランプ動作を補う全く補助的な機械的固定機能を実現する。
【0009】
さらに、本発明の範囲内において実施される特定の手段は、製造も保守もさほど煩雑ではなく、その結果、成形装置の構造および作用の大きな変更を必要としない。
【0010】
有利には、金型の雄型部材の外側の側壁が、実質的に円弧状であって互いにほぼ等距離となるように角度付けされて配置されている少なくとも2つの円錐台部分を有し、ブロー用組立体の雌型部材の内側の側壁は、実質的に円弧状であって、互いにほぼ等距離で、雄型部材の側壁の前記各円錐台部分にぴったり合うように角度付けされて配置されている少なくとも2つの円錐台部分を有するように措置が講じられる。したがって、2つの金型半分部の頂部に作用する、閉じようとする複数の力は、それぞれ同一直線上かつ半径方向の合力(radial and collinear resultants)を有し、それによって2つの金型半分部のクランプの均衡が取れる。
【0011】
実際には、金型の雄型部材の外側の側壁は、実質的に円弧状であって金型の金型分離面に関してほぼ対称となるように実質的に対角位置で対向している2つの円錐台部分を有し、ブロー用組立体の雌型部材の内側の側壁は、実質的に円弧状であって実質的に対角位置で対向しており雄型部材の側壁の前記それぞれの部分にぴったり合う2つの円錐台部分を有することを確実にするような簡単な措置を講じることができる。
【0012】
金型の構造に関して大きな変更のない簡単な実施態様では、雄型部材は金型自体の上部からなり、ブロー用ノズルに向けて傾斜している前記側壁は、単に、閉じた位置にある金型の上部の外壁によって構成されており、雌型部材は、閉じた位置にある金型の上部を少なくとも部分的に覆うように寸法が定められるような措置を講じることができるのは明らかである。原理的にはこのような実施態様が可能であるが、雌型部材は金型の頂部の横方向の寸法よりも大きい寸法を有していなければならない。それによって、ノズルの移動中の変位に伴って、金型の上方に大きな空いた空間が必要となるが、ここで話題にしている種類の装置には、利用可能な空間がほとんどない。
【0013】
これらの条件の下で、実施がより簡単で出願人が現在より好ましいと思っている解決策であり、雄型部材が、金型の閉じた位置で、金型半分部のそれぞれの面上に設けられてブロー用ノズルに向いている2つの凸部によって形成されている隆起からなり、ブロー用ノズルに向かって傾斜している前記側壁が、金型の閉じた位置で前記凸部の2つのそれぞれの側面によって構成されている、他の実施態様を用いることが好ましい場合もある。
【0014】
後者の場合、ベルノズルタイプのノズルを備えている装置において、金型の隆起は概ね台地状の形状(form of a plateau)であって、ブロー位置にあるノズルのベル用の支持プレートを構成していることを確実にするような措置を講じることが有利である。出願人によって製造された成形装置において通常用いられており、各々の金型半分部は、内側のシェル半分部と、シェル半分部を支持する外側の支持体とを有している構成において、凸部は各シェル半分部に固定されるような措置が講じられてもよい。
【0015】
簡単で実施があまり煩雑ではないさらに他の実施態様では、雄型部材は、金型の閉じた位置で、金型半分部のそれぞれの面上に設けられてブロー用ノズルに向いている2つの溝半分部によって範囲が定められているマウントからなり、ブロー用ノズルに向かって傾斜している前記側壁は、金型の閉じた位置で前記溝半分部の半径方向内側の2つの面によって構成されるような措置を講じることができる。この場合、各金型半分部は、内側のシェル半分部と、シェル半分部を支持する外側の支持体とを有することが、出願人によって製造された多くのブロー装置において一般的であり、溝半分部は各支持体に設けられているのが有利である。
【0016】
実際の例では、ブロー用組立体はノズルの終端部を囲んでいるベースを有していてもよく、雌型部材はベースと一体になっていてもよい。この場合、クランプによって構成されている雌型部材は、実質的に円弧状の2つの前記円錐台部分をそれぞれ有する2つのクランプ片からなり、2つのクランプ片は対角位置で対向するようにベースによって支持されるように対称構造にすることが有利な場合がある。
【0017】
一実施態様では、一方のベースと、他方の、クランプによって、すなわち各クランプ片によって構成されている雌型部材とが、それぞれ異なる材料によって、特にアルミニウムと鋼によって作られており、ベース自体はできる限り中実の部品(solid piece)の形態であることが有利である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
本発明は、純粋に例示としてのみ示されている、ある好ましい実施形態についての以下の詳細な説明を読むことによって、より明確に理解されるであろう。この説明では添付の図面を参照する。
【0019】
まず、容器、特に、高温の予備成形品のブロー成形または延伸ブロー成形によってPETなどの熱可塑性樹脂から作られているボトル、フラスコ、円筒型容器等を製造するための成形装置の、互いに協働する複数の部品のみを示している図1を参照する。これらの部品は本発明を理解するために必要である。
【0020】
図1において、本発明に含まれる部品は、それぞれ、参照数字1によって全体が示されている金型と、参照数字2によって全体が示されているブロー用組立体を含む。金型1とブロー用組立体2は、互いに分離された第1の動作位置において図示されており、ブロー用組立体は金型に対して上昇位置にあり、容易に理解されるように金型1は閉じた位置で図示されている。すなわち、金型1とブロー用組立体2は、ブロー段階の直前または直後の位置で図示されている(金型内に収容されている容器は図示されていない)。
【0021】
第一に、金型1については、本発明に関連しているその上部だけが図示されている。以下に説明する本発明の装置を実現させることは、金型の構造とは無関係であり、そのため、金型は公知のどのようなタイプのものであってもよい。図1は、一例として、出願人が製造した装置において出願人が通常使用しているタイプの金型、すなわち「互いに連結されている」タイプの金型、つまり「ジャックナイフ」金型を示している。このような金型は、一般に、少なくとも2つの金型半分部(half-mould)3a、3bを有しており、金型半分部3a、3bは、内部にそれぞれ掘り型半分部(half-impression)4a、4bを有しており、軸線(図示せず)を中心として回転することによって、2つの金型半分部3a、3bが角度方向に互いに離れるように移動する開いた位置と、2つの金型半分部3a、3bが金型分離面Pに沿って互いにぴったり合い、2つの掘り型半分部4a、4bが1つに合わさって内部の成形キャビティ5を構成する閉じた位置(図1に示す)との間で、互いに対して移動可能である。掘り型半分部は、キャビティ5が容器すなわち予備成形品のフランジを収容するために、開口部8によって外側に開口するように構成されている。
【0022】
さらに他の例として、出願人が現在製造している装置において出願人が用いているほとんどの金型の場合と同様に、図1に示されている金型1において、各金型半分部3a、3bは、ぴったりと組み合わされた2つの部分、すなわち、内側に配置されており、それぞれしかるべき前記掘り型半分部4a、4bを有している(アルミニウム合金などの軽金属で作ることができる)それぞれのシェル半分部(half-shell)6a、6bと、外側に配置されており、たとえば鋼で作られて、金型半分部3a、3bの高剛性で機械的に強い構造を構成するそれぞれのシェルホルダすなわちそれぞれの支持体(ブレース、brace)7a、7bとから構成されている。シェル半分部6a、6bは、組み立て/分解が素早くできるように、素早く結合させる手段(図示せず)によって、各支持体7a、7bに固定されている。
【0023】
本発明によれば、2つの金型半分部3a、3bは、金型の閉じた位置で、ブロー用ノズル16に向けて傾斜している側壁11によって外側の境界が少なくとも部分的に定められている雄型部材Aを一緒に形成している2つのそれぞれの部分Aa、Abを、ブロー用ノズル16を向いているそれぞれの面9a、9bの上または近くに有している。さらに、ブロー用組立体2は、前記雄型部材Aの側壁11の傾斜に対して相補的に傾斜している側壁30によって内側の境界が少なくとも部分的に定められており、ブロー用組立体2のブロー位置において、閉じた金型1の前記雄型部材Aをしっかりとクランプできるように寸法が定められている雌型部材Bを有している。
【0024】
この構成によると、雌型部材Bと雄型部材Aとが協働することによって、閉じた位置にある金型1の上部が固定される。
【0025】
本発明によって構成される手段の、考えられるいくつかの実施形態について、より詳細に説明する。
【0026】
図1および2は、出願人が最良の実施形態であると現在考えており、したがって現時点において好ましい実施形態を示している。この構成では、金型の上面9に、金型分離面Pの両側に対称に配置されており側壁11によって外側の境界が定められている隆起10が設けられており、この側壁11は、垂直方向上向きに、すなわちブロー用組立体2に向けて傾斜している少なくとも1つの表面部分12を含む。傾斜角度は比較的小さくてもよく、すなわち20度未満でよく、通常は10度前後でよい。この隆起10が前記雄型部材Aを構成している。
【0027】
隆起10は、任意の所望の形状の輪郭を有していてよいが、隆起10の側壁11の前記表面部分12が、頂点の半分の角度(apex half-angle)αの円錐度(conicity)を有する円錐台状(frustoconical)になるように、この輪郭は円形状であることが好ましい。この円形状の輪郭は連続していてもよいが、そうでなければ、不連続で複数の円弧から構成されているのがより有利である。金型が2つの金型半分部3a、3bの形態に構成されているために、隆起10は、金型半分部3a、3bのそれぞれの上面9a、9bの上に設けられ金型分離面Pに対して奇対称、または好ましくは偶対称でほぼ等距離になるように互いに角度付けされて配置されているいくつかの凸部の組み合わせからなる。
【0028】
図1に示されている具体的な実施形態において、より正確には、隆起10は、2つの金型半分部3a、3bによってそれぞれ支持されている2つの凸部10a、10bの組み合わせによって構成されている。隆起10の側壁11は、金型分離面Pに関して対称に、かつ対角位置において(同一直径線上で)対向するように配置されている2つの円錐台の表面部分12をさらに有しており、金型分離面Pの近くには隆起10が存在しないようにすることさえも可能である。これらの2つの凸部10a、10bが、前記した2つの部分Aa、Abをそれぞれ構成している。
【0029】
例として図1により詳しく示されている金型の構造において、2つの凸部10a、10bは2つのシェル半分部6a、6bのそれぞれの上面13a、13bの上に設けられている。
【0030】
両凸部10a、10bは、それぞれ、金型半分部3a、3bの上部に、特に図1に示されている例ではシェル半分部6a、6bの上部に、確実に一体的に形成されていてもよい。しかし、特にブロー用組立体2がベルノズルタイプのノズルを有している場合には、両凸部10a、10bが、金型半分部のそれぞれの上面に、特に、図1に示されているようにシェル半分部6a、6bのそれぞれの上面に取り付けられている部品の形態を取ることが、より有利であるのがわかるであろう。したがって、金型の閉じた位置で、ブロー中に、隆起10が、図1に示されているとおりベルノズル用の支持プレートとしても同時に作用するよう構成された台地状の形状を取ることができるように、十分な半径方向の寸法を凸部10a、10bに持たせることができる。
【0031】
半径方向の複数の力が正しく受け取られるのを確実にするために、金型半分部3a、3bと凸部10a、10bとが、それぞれの半径方向に向いており協働するショルダを備えていることが望ましい。従って、図1の実施形態に示されているように、金型半分部3a、3bと、この例では特にシェル半分部6a、6bとが、それぞれの上縁部に、金型分離面Pにほぼ垂直な方向に沿って対角位置で対向している、それぞれの外向きのショルダ14a、14bを有している。それと相補的に、2つの凸部10a、10bは、それらの外縁部で、下向きに突出して各ショルダ14a、14bに係合しているそれぞれのスカート15a、15bにおいて終端している。
【0032】
さらに、アルミニウム合金などの軽金属製のシェル半分部6a、6bが金型に組み込まれている場合には、凸部10a、10bは、取り付けられた独立した部品の形態であるため、鋼などの機械的に非常に強い材料から作ることができ、それによって凸部10a、10bをそれらの1つまたは複数の機能を効果的に発揮するのに適したものにすることができ、特に有利である。
【0033】
ブロー用組立体2が、一例として、出願人によって製造された装置の多くが現在備えているベルノズルタイプのノズル構造で、図1に示されている。しかし、本発明の構成は、容器の首部または口部に関連する(圧接する)ノズルなどの他のタイプのノズルを備えているブロー用組立体2を有するように実施してもよいことが理解されるべきである。
【0034】
(参照数字16によって全体が示されている)ノズルの端部片は、駆動手段(図示せず)によってほぼ軸線方向に移動可能な筒状ステム18の端部に支持されているベル17の形態に構成されている。ステム18の内側19は、ブロー流体を供給するためのダクトを構成しており、一般に、軸線方向に移動可能な伸縮ロッド(図示せず)を収容している。ブロー用組立体2のその他の部分の構成は、本発明の限定範囲に含まれていなくてもよく、したがって任意の形態にすることができる。
【0035】
ベース20は、機械的に固定されているノズル16の下部を囲んでおり、また、ベース20は、ブロー用組立体の垂直方向に移動可能な装置の一部分を構成しているコラム21と一体に作られている。図1に示されている実施形態では、ベース20は、コラム21と一体となるように作られ、コラム21の端部を構成しており、ベース20はコラム21の軸線の範囲に概ねほぼ垂直に延びており、ベース20は、ほぼ中央に配置された貫通孔22を有しており、ノズル16の端部と特にベル17とがその貫通孔22を介して係合している。
【0036】
一例として、ノズル16の下側端部は、以下に記載するようにベース20に固定されていてもよい。ノズル16の下側端部には、半径方向外向きに突出しかつベース20のすぐ上に配置されている平坦なリング25を収容する環状の溝24が設けられている外側の環状のケーシング23が設けられている。
【0037】
ベース20の下面には、非常に有利かつ好ましくはクランプ26の形態である雌型部材Bが固定されており、前記クランプ26は環状であって、ベース20の開口22と同心で寸法が一致している中央の貫通開口27を有している。
【0038】
リング25、ベース20、およびクランプ26には、これらの部品の周囲にわたって分散している、相互に揃えられているそれぞれの穴が設けられており、これらの揃えられている穴に係合しているねじ部材28が、リング25(およびノズル16)をベース20に機械的に組み付ける一方でクランプ26をベース20に固定するのを確実にしている。
【0039】
クランプ26は、クランプ26の周囲の少なくとも一部にわたって延びている下向きのスカート29を有している。スカート29は、隆起10の側壁11の表面部分と同じ角度αで垂直方向から離れるように傾斜している内側向きの側面30を有している。したがって、スカート29は、ノズル16の端部に、隆起10の寸法および形状と相補的な寸法および形状を有する中空部分31を形成している。
【0040】
実際には、クランプ26は一般的には1つの部品からなる。クランプ26は、隆起10のように、ほぼ等距離で、金型分離面Pに関して奇対称、または好ましくは偶対称になるように互いに角度付けされて配置されたいくつかの部品からなっていてもよい。したがって、図1に関連してより詳細に説明された実施形態においては、クランプ26は、対角位置で対向し、隆起10を構成している2つの凸部10a、10bのそれぞれに面するように、ベース20によって支持されている2つのクランプ片26a、26bの形態を取っている。2つのクランプ片26a、26bは、実質的に円弧状の2つのそれぞれの円錐台状の側壁部分30を有している。
【0041】
図2には、ブロー中に占める位置である第2の動作位置の金型1とブロー用組立体2が示されている。ノズル16のベル17の前側縁部が金型1の上面9に対して密閉状態(ベル17の前側縁部上にシール32が存在する)になるように押し付けられるよう、ブロー用組立体2が下降している。
【0042】
ブロー用組立体2の移動中に、ベル17が密閉状態になるように金型1に接触するよう下降するのと同時に、クランプ26によって構成されている雌型部材Bは、ここでは隆起10から構成されている雄型部材Aの上に移動し、雌型部材Bは、傾斜している側面30および12のそれぞれと密着してぴったり合うようにそれらを覆う。
【0043】
このような状態において、ブロー流体が高圧(通常は40×105Pa前後)で、成形キャビティ5内に配置されている容器内に導入されるときに、2つの金型半分部3a、3bの分離が、分離防止の目的のために通常設けられている手段によって防止される(回転スピンドルに連結され特定のクランプ部材によって対向させられている支持体7a、7bによって両側方で防止され、かつ、金型底部によって下向きに防止される)だけでなく、さらに、クランプ26が隆起10の上にぴったりと合わされることによって上向きにも防止される。このような状態において、2つの金型半分部3a、3bは金型分離面P全体にわたって完全に合わさったままであり、その結果、金型分離面Pの跡がより目立たない、仕上がりのよりよい容器となる。
【0044】
図3は、雄型部材Aが、金型1の閉じた位置において、金型半分部3a、3bのそれぞれの面9a、9bを切り欠いて形成されブロー用ノズル16に向いている2つの溝半分部(half-groove)34a、34bによって範囲が定められているマウント33からなる、他の実施形態を示している。ブロー用ノズル16に向かって傾斜している側壁11は、金型1の閉じた位置における前記溝半分部34a、34bの半径方向内側の2つの面35a、35bによって構成されている。
【0045】
図3に示されている実施形態は、図1および2に示されている実施形態と類似した変形例を構成していることが理解されるであろう。隆起10のように金型の面9から突出する代わりに、マウント33は、その上面が金型の面9と同じ高さになるように金型1内にぴったり合わされている。各溝半分部34a、34bは、クランプ26が壁11の上にぴったり合うように必要な隙間を生じさせている。
【0046】
この場合、各金型半分部3a、3bが内側のシェル半分部6a、6bとシェル半分部6a、6bを支持している外側の支持体7a、7bとを有している、出願人によって製造されている多くのブロー装置において一般的であるのと同様に、溝半分部34a、34bは、図3に示されているようにそれぞれの支持体7a、7b内に設けられていてもよい。
【0047】
図4は、雄型部材Aが金型1自体の上部からなり、ブロー用ノズル16に向けて傾斜している側壁11が、単に、閉じた位置にある金型1の上部の外壁によって構成されている、考えられるさらに他の実施形態を示している。クランプ26によって構成されている雌型部材Bは、ここでは、閉じた位置にある金型の上部を少なくとも部分的に覆うように寸法が定められていることを除いて、図1と2に関連して前述したものと同じである。
【0048】
関連しているこの構成は、金型の最小限の修正(円錐状の支持表面12の機械加工)だけが必要なので、完全に実現可能であって有利なものである。しかし、実際には、クランプ26によって構成されている雌型部材Bが大き過ぎるために、実施が比較的困難であることを認識しなければならない。この部材が、金型の上部を覆うことができるようにするために金型1の上部の横方向の寸法よりも寸法が大きくなければならないので、その寸法のためにかさばるだけではなく、さらに、垂直方向の移動時に部材Bがノズル16を伴って移動するために、金型の上方に大きな空いた空間を設ける必要がある。本発明が目標とする種類の装置は、多数の構成部材を有し、特に金型の上方には空いた空間がほんの僅かしかない。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】互いに協働することが必要な、本発明によって構成された金型とブローノズルのそれぞれの部分の好ましい実施形態を第1の動作位置において示す、本発明の成形装置の一部の断面図である。
【図2】図1の成形装置の複数の部分を第2の動作位置において示している断面図である。
【図3】本発明の、考えられる他の実施態様を示している、図1と同様な断面図である。
【図4】本発明の、考えられる他の実施態様を示している、図1と同様な断面図である。
【符号の説明】
【0050】
1 金型
2 ブロー用組立体
3a、3b 金型半分部
4a、4b 掘り型半分部
5 成形キャビティ
6a、6b シェル半分部
7a、7b 支持体
8 開口部
9a、9b 面
10 隆起
10a、10b 凸部
11 側壁
12 表面部分
13a、13b 上面
14a、14b ショルダ
15a、15b スカート
16 ブロー用ノズル
17 ベル
18 ステム
19 内側
20 ベース
21 コラム
22 貫通孔
23 ケーシング
24 溝
25 リング
26 クランプ
26a、26b クランプ片
27 貫通開口
28 ねじ部材
29 スカート
30 側壁
31 中空部分
32 シール
33 マウント
34a、34b 溝半分部
35a、35b 面
A 雄型部材
Aa、Ab 部分
B 雌型部材
P 金型分離面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ブロー用組立体(2)が付属している金型(1)内での高温の予備成形品のブロー成形または延伸ブロー成形によって、熱可塑性樹脂製の容器を製造する成形装置であって、前記金型(1)は少なくとも2つの金型半分部(3a、3b)を有し、該2つの金型半分部(3a、3b)は、互いに離れている開いた位置と、金型分離面(P)に沿って互いに合わさって内部の成形キャビティ(5)を形成する閉じた位置との間を、互いに対して移動可能であり、前記ブロー用組立体(2)はブロー用ノズル(16)を有し、該ブロー用組立体(2)は、前記ノズル(16)の端部が前記金型(1)の上方に上昇している上昇位置と、前記ノズル(16)の前記端部が、前記金型の前記キャビティ(5)内で支持されている予備成形品に流体の流通ができるように連絡している下降位置すなわちブロー位置との間を、前記金型(1)の上方を軸線方向に移動可能である、成形装置において、
前記2つの金型半分部(3a、3b)は、前記金型(1)の前記閉じた位置で、前記ブロー用ノズル(16)に向けて傾斜している側壁(11)によって外側の境界が少なくとも部分的に定められている雄型部材(A)を共に形成している2つのそれぞれの部分(Aa、Ab)を、前記ブロー用ノズル(16)を向いているそれぞれの面(9a、9b)の上または近くに有しており、前記ブロー用組立体(2)は、前記雄型部材(A)の前記側壁(11)の前記傾斜に対して相補的に傾斜している側壁(30)によって内側の境界が少なくとも部分的に定められ、かつ前記ブロー用組立体(2)の前記ブロー位置で、閉じた前記金型(1)の前記雄型部材(A)をしっかりとクランプすることができるように寸法が定められている、雌型部材(B)を有しており、
それによって、前記雌型部材(B)と前記雄型部材(A)とが協働して、前記閉じた位置にある前記金型(1)の上部を固定することを特徴とする成形装置。
【請求項2】
前記金型(1)の前記雄型部材(A)の前記外側の側壁(11)は、実質的に円弧状であって互いにほぼ等距離となるように角度付けされて配置されている少なくとも2つの円錐台部分(12)を有しており、前記ブロー用組立体(2)の前記雌型部材(B)の前記内側の側壁(30)は、実質的に円弧状であって、互いにほぼ等距離で、前記雄型部材(A)の前記側壁(11)の前記各部分(12)にぴったり合うように角度付けされて配置されている少なくとも2つの円錐台部分を有していることを特徴とする、請求項1に記載の成形装置。
【請求項3】
前記金型(1)の前記雄型部材(A)の前記外側の側壁(11)は、実質的に円弧状であって前記金型(1)の前記金型分離面(P)に関してほぼ対称となるように実質的に対角位置で対向している2つの円錐台部分(12)を有し、前記ブロー用組立体(2)の前記雌型部材(B)の前記内側の側壁(30)は、実質的に円弧状であって実質的に対角位置で対向しており前記雄型部材(A)の前記側壁(11)の前記各円錐台部分(12)にぴったり合う2つの円錐台部分を有することを特徴とする、請求項2に記載の成形装置。
【請求項4】
前記雌型部材(B)はクランプ(26)であることを特徴とする、請求項1から3のいずれか1項に記載の成形装置。
【請求項5】
前記雄型部材(A)は前記金型(1)の前記上部からなり、前記ブロー用ノズル(16)に向けて傾斜している前記側壁(11)は、前記閉じた位置にある前記金型(1)の前記上部の外壁によって構成されており、前記雌型部材(B)は、前記閉じた位置にある前記金型(1)の前記上部を少なくとも部分的に覆うように寸法が定められていることを特徴とする、請求項1から4のいずれか1項に記載の成形装置。
【請求項6】
前記雄型部材(A)は、前記金型(1)の前記閉じた位置で、前記金型半分部(3a、3b)の前記それぞれの面(9a、9b)上に設けられて前記ブロー用ノズル(16)に向いている2つの凸部(10a、10b)によって形成されている隆起(10)からなり、前記ブロー用ノズル(16)に向かって傾斜している前記側壁(11)は、前記金型(1)の前記閉じた位置で前記凸部(10a、10b)の2つのそれぞれの側面によって構成されていることを特徴とする、請求項1から4のいずれか1項に記載の成形装置。
【請求項7】
前記ノズル(16)はベルノズルタイプのものであって、前記金型(1)の前記隆起(10)は概ね台地状の形状であって、前記ブロー位置にある前記ノズル(16)のベル(17)用の支持プレートを構成していることを特徴とする、請求項6に記載の成形装置。
【請求項8】
各々の前記金型半分部(3a、3b)は、内側のシェル半分部(6a、6b)と、前記シェル半分部(6a、6b)を支持する外側の支持体(7a、7b)とを有し、前記凸部(10a、10b)は前記各シェル半分部(6a、6b)に固定されていることを特徴とする、請求項6または7に記載の成形装置。
【請求項9】
前記雄型部材(A)は、前記金型(1)の前記閉じた位置で、前記金型半分部(3a、3b)の前記各面(9a、9b)上に設けられて前記ブロー用ノズル(16)に向いている2つの溝半分部(34a、34b)によって範囲が定められているマウント(33)からなり、前記ブロー用ノズル(16)に向かって傾斜している前記側壁(11)は、前記金型(1)の前記閉じた位置で前記溝半分部(34a、34b)の半径方向内側の2つの面(35a、35b)によって構成されていることを特徴とする、請求項1から4のいずれか1項に記載の成形装置。
【請求項10】
前記各金型半分部(3a、3b)は、内側のシェル半分部(6a、6b)と、前記シェル半分部(6a、6b)を支持する外側の支持体(7a、7b)とを有し、前記両溝半分部(34a、34b)は前記各支持体(7a、7b)に設けられている、請求項9に記載の成形装置。
【請求項11】
前記ブロー用組立体(2)は前記ノズル(16)の終端部を囲んでいるベース(20)を有し、前記雌型部材(B)は前記ベース(20)に固定されていることを特徴とする、請求項1から10のいずれか1項に記載の成形装置。
【請求項12】
前記クランプ(26)によって構成されている前記雌型部材(B)は、実質的に円弧状の2つの前記円錐台部分をそれぞれ有する2つのクランプ片(26a、26b)からなり、前記2つのクランプ片(26a、26b)は対角位置で対向するように前記ベース(20)によって支持されている、請求項3、4、11に記載の成形装置。
【請求項13】
一方の前記ベース(20)と、他方の、前記クランプ(26)によって、すなわち前記各クランプ片(26a、26b)によって構成されている前記雌型部材(B)とが、それぞれ異なる材料によって、特にアルミニウムと鋼によって作られている、請求項11または12に記載の成形装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2008−260293(P2008−260293A)
【公開日】平成20年10月30日(2008.10.30)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2008−104799(P2008−104799)
【出願日】平成20年4月14日(2008.4.14)
【出願人】(504102770)シデル パルティシパション (46)
【氏名又は名称原語表記】SIDEL PARTICIPATIONS
【Fターム(参考)】