ブロー成形機
【課題】故障等によって機械を緊急停止させる場合に金型やブローノズルを破損させることなく機械を停止させることが可能なブロー成形機を提供する。
【解決手段】金型12と、金型12の上方に上下動自在に設けられたブローノズル14とを備え、ホイール11を回転させて金型12及びブローノズル14を移動させつつ下降区間S1ではブローノズル14を金型12と接触させて金型12内のプリフォームP内にブローノズル14からガスを吹き込んでボトルBをブロー成形し、上昇区間S2ではブローノズル14を離間位置まで上昇させるブロー成形機において、上昇区間S2の始点P2に設けられ、ブローノズル14を接触位置から接触位置と離間位置との間の所定の退避位置に上昇させる斜面21aを有するセーフティカム21と、上昇区間S2に設けられてブローノズル14を退避位置に保持するセーフティレール22とを備えている。
【解決手段】金型12と、金型12の上方に上下動自在に設けられたブローノズル14とを備え、ホイール11を回転させて金型12及びブローノズル14を移動させつつ下降区間S1ではブローノズル14を金型12と接触させて金型12内のプリフォームP内にブローノズル14からガスを吹き込んでボトルBをブロー成形し、上昇区間S2ではブローノズル14を離間位置まで上昇させるブロー成形機において、上昇区間S2の始点P2に設けられ、ブローノズル14を接触位置から接触位置と離間位置との間の所定の退避位置に上昇させる斜面21aを有するセーフティカム21と、上昇区間S2に設けられてブローノズル14を退避位置に保持するセーフティレール22とを備えている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、予備成型品を容器に成形するための金型、及びその金型の上方に上下動自在に設けられたブローノズルを備えたブロー成形機に関する。
【背景技術】
【0002】
プラスチック製品を成形するための成形機が知られている。例えば、金型内に材料を射出してプラスチック製品を成形する射出成形機が知られている。このような射出成形機において、装置の故障や停電などが発生した場合、又は装置を緊急停止させる必要がある場合等に可動盤を確実に停止させるために複数の停止機構を有する安全装置が設けられたものが知られている(特許文献1参照)。その他、本発明に関連する先行技術文献として特許文献2が存在する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−264194号公報
【特許文献2】特表2003−535725号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
プリフォーム等の予備成型品からポリエチレンテレフタレート製の容器、例えばペットボトルをブロー成形するブロー成形機が知られている。例えば、金型と、その金型の上方に上下動可能に設けたブローノズルとを備え、これらを所定の経路に沿って移動させつつ金型内の予備成型品内にブローノズルからガスを吹き込んで容器をブロー成形するブロー成形機が知られている。このブロー成形機では、金型内の予備成型品にブローノズルを接触させたり、成形した容器からブローノズルを離したりするため、ブローノズルを所定のタイミングで昇降させている。そして、このようなブロー成形機にも、特許文献1の成形機のように故障が発生した場合などに機械を自動的に停止させる安全装置が設けられているが、機械の停止時にブローノズルが保持されていないと金型から離れて上昇しているブローノズルが自重で下降して金型と衝突し、金型やブローノズルが破損するおそれがある。
【0005】
そこで、本発明は、故障等によって機械を緊急停止させる場合に金型やブローノズルを破損させることなく機械を停止させることが可能なブロー成形機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のブロー成形機(10)は、金型(12)と、前記金型の上方に上下動自在に設けられたブローノズル(14)と、前記金型及び前記ブローノズルを所定の経路に沿って移動させる移動手段(11)と、前記所定の経路に設定された下降区間(S1)では前記ブローノズルが前記金型と接触する接触位置まで前記ブローノズルが下降し、前記所定の経路の前記下降区間以外の区間である上昇区間(S2)では前記ブローノズルと前記金型とが離間する離間位置まで前記ブローノズルが上昇するように前記ブローノズルを昇降させる昇降機構(16)と、を備え、前記下降区間にて前記金型内の予備成型品(P)内に前記ブローノズルからガスを吹き込んで容器(B)をブロー成形するブロー成形機において、前記上昇区間の始点(P2)に設けられ、前記ブローノズルと接触して前記ブローノズルを前記接触位置から前記接触位置と前記離間位置との間の所定の退避位置に上昇させる斜面(21a)を有するカム部材(21)と、前記カム部材から前記所定の経路に沿って延びるように前記上昇区間に設けられ、前記ブローノズルと接触して前記ブローノズルを前記退避位置に保持するレール部材(22)と、を備えていることにより、上述した課題を解決する。
【0007】
本発明のブロー成形機によれば、昇降機構が故障してブローノズルがカム部材によって退避位置まで上方に駆動されてもそのブローノズルをレール部材で退避位置に保持することができる。これにより、ブローノズルが下降して金型と衝突することを回避できるので、ブローノズル及び金型の破損を防止することができる。従って、ブロー成形機を緊急停止させた場合でも金型やブローノズルを破損させることなくブロー成形機を停止させることができる。
【0008】
本発明のブロー成形機の一形態においては、前記レール部材が前記上昇区間の全体に亘って設けられていてもよい。この場合、上昇区間の全体においてブローノズルを確実に退避位置に保持することができる。そのため、この上昇区間において確実にブローノズルが下降して金型と衝突することを回避できる。
【0009】
本発明のブロー成形機の一形態においては、前記金型及び前記ブローノズルが外周に設けられたホイール(11)と、前記ホイールを回転駆動する駆動源と、を備えたホイール式移動機構が前記移動手段として設けられ、前記レール部材は、前記ブローノズルが移動する円状の前記所定の経路よりも径方向外側に配置されていてもよい。この場合、ブローノズルの移動にレール部材が干渉することを防止できる。
【0010】
この形態においては、前記ブロー成形機の周囲に複数の柱(41)及び梁(42)が設けられて前記ブロー成形機が天井(43)及び側壁(44)で囲まれており、前記梁から吊り下げられて下端に前記レール部材が取り付けられたステー部材(50A〜50D)と、前記ホイールの中心側から前記ステー部材を見たときに前記ステー部材よりも外側に位置している側壁と前記ステー部材との間に配置されて前記ステー部材を側方から支持するサポート部材(62)と、をさらに備えていてもよい。この場合、レール部材の下方に空間を設けることができるので、この空間に種々の機械を配置することができる。例えば、ブロー成形機の金型に予備成型品を供給する予備成型品供給装置及び金型から容器を搬出する容器搬出装置等を配置できる。また、これらの装置とレール部材とが互いに干渉することを防止できる。この形態では、ステー部材とそのステー部材よりも外側の側壁との間にサポート部材を設けたので、レール部材によってブローノズルを受け止めた際にブローノズルの重さでステー部材がブロー成形機から離れる方向に移動することを防止できる。これによりレール部材がブロー成形機から離れる方法に移動することを防止できるので、ブローノズルをレール部材で確実に受け止めることができる。
【0011】
また、前記ステー部材の下端には、前記レール部材の高さ方向の位置及び前記レール部材の前記ホイールの半径方向の位置の少なくともいずれか一方の位置を調整可能な位置調整機構(53)が設けられていてもよい。この場合、レール部材の高さ及びホイールの半径方向の位置を容易に変更することができる。
【0012】
なお、以上の説明では本発明の理解を容易にするために添付図面の参照符号を括弧書きにて付記したが、それにより本発明が図示の形態に限定されるものではない。
【発明の効果】
【0013】
以上に説明したように、本発明のブロー成形機によれば、退避位置まで上方に駆動されたブローノズルをレール部材で保持することができるので、ブローノズルが下降して金型と衝突することを回避できる。そのため、ブロー成形機を緊急停止させた場合でも金型やブローノズルを破損させることなくブロー成形機を停止させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の一形態に係るブロー成形機が組み込まれたボトル製造装置の概略を示す図。
【図2】プリフォームを示す図。
【図3】図1のボトル製造装置で製造されたボトルを示す図。
【図4】図1の矢印IV方向から見たブロー成形機を示す図。
【図5】セーフティレールを上から見た図。
【図6】図1の矢印VI方向から見たブロー成形機の概略を示す図。
【図7】下降区間における金型及びブロー装置の動作を示す図。
【図8】ブロー成形機の正面図。
【図9】ブロー成形機の上面図。
【図10】図9のX−X線におけるブロー成形機の断面を示す図。
【図11】図9の矢印XI方向から見た第4ステーを示す斜視図。
【図12】図10の矢印XII方向から見た第4ステーを示す図。
【図13】ステーの第1支柱部材の変形例を示す図。
【図14】サポート部材の配置方法の他の例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図1は、本発明の一形態に係るブロー成形機が組み込まれたボトル製造装置の概略を示している。このボトル製造装置1は、図2に示した予備成型品としてのプリフォームPをブロー成形して図3に示した容器としてのボトルBを製造するものである。図2に示したようにプリフォームPは、その上端に口部Oを備えている。この口部Oは、成形後にボトルBの口部Oとなる。プリフォームPの材料は、ポリエチレンテレフタレート(PET)である。そのため、成形されたボトルBは、いわゆるPETボトルである。図1に示したようにボトル製造装置1は、ブロー成形機10と、ブロー成形機10にプリフォームPを供給するプリフォーム供給装置2と、ブロー成形機10で成形されたボトルBが受け渡されるボトル搬出装置3とを備えている。プリフォーム供給装置2は、ホイール2aの外周に等間隔で設けられた複数(図1では6個)のチャック爪2bにてプリフォームPを挟んで搬送する周知のものである。ボトル搬出装置3も同様の装置であり、ホイール3aの外周に等間隔で設けられた複数(図1では6個)のチャック爪3bにてボトルBを挟んで搬送する周知のものである。そのため、これらの装置2、3についての詳細な説明は省略する。
【0016】
ブロー成形機10は、中心点Cを中心に回転自在に設けられたホイール11と、ホイール11を矢印A方向に回転駆動する駆動源としての不図示のモータと、ホイール11の外周に等間隔で設けられた複数(図1では12個)の金型12とを備えている。図4は、ブロー成形機10を図1の矢印IV方向から見た図である。なお、この図では開いた状態の金型12を示している。この図に示したように金型12は、ボトルBの一方の側を成形する第1金型12aと、ボトルBの他方の側を成形する第2金型12bと、ボトルBの底面を成形する第3金型12cとを備えている。そして、これら第1〜第3金型12a、12b、12cが組み合わされることによって金型12の内部にボトルBの形状が形成される。この際、金型12の上部にはプリフォームPが挿入される挿入穴が形成される。第1金型12a及び第2金型12bは、不図示の開閉機構にて開閉駆動される。
【0017】
各金型12の上方には、ブロー装置13がそれぞれ設けられている。各ブロー装置13は、金型12と同様にホイール11に取り付けられており、ホイール11と一体に回転する。そのため、ホイール11及びモータが本発明の移動手段に対応する。ブロー装置13は、ブローノズル14と、延伸ロッド15と、ブローノズル14及び延伸ロッド15を昇降する昇降機構16とを備えている。ブローノズル14及び延伸ロッド15は、金型12の挿入孔の真上に配置されている。ブローノズル14は、上下動自在に設けられている。また、延伸ロッド15も上下動自在に設けられている。ブローノズル14の下端には、ブローノズル14が下げられたときにプリフォームPの開口部を覆うように金型12と密着するエア噴射口14aが設けられている。ブロー成型時には、このエア噴射口14aからプリフォームP内にブローガスが吹き込まれる。延伸ロッド15は、エア噴射口14aの中心に配置されている。そのため、延伸ロッド15を下降させることにより、この延伸ロッド15をプリフォームP内に挿入することができる。
【0018】
昇降機構16は、アクチュエータ17と、アクチュエータ17への作動流体の供給及びその停止を切り替える電磁弁18とを備えている。アクチュエータ17としては、例えば圧縮空気で動作するエアシリンダなどが用いられる。アクチュエータ17は、ブローノズル14と金型12とが密着する接触位置と、ブローノズル14がプリフォーム供給装置2の動作及びボトル搬出装置3の動作と干渉しない高さである離間位置との間でブローノズル14を上下方向に駆動する。電磁弁18は、金型12が図1の搬入位置P1から搬出位置P2に移動する区間(以下、下降区間と称することがある。)S1ではブローノズル14を接触位置に駆動し、金型12が搬出位置P2から搬入位置P1に移動する区間(以下、上昇区間と称することがある。)S2ではブローノズル14を離間位置に駆動するように制御される。そのため、搬入位置P1が下降区間S1の始点であるとともに上昇区間S2の終点となり、搬出位置P2が下降区間S1の終点であるとともに上昇区間S2の始点となる。電磁弁18の制御は、例えばマイクロプロセッサ及びその動作に必要なRAM、ROM等の周辺機器を含んだコンピュータユニットを用いて行ってもよいし、ハードウェア制御回路を用いて行ってもよい。
【0019】
ブロー成形機10には、安全装置20が設けられている。図1に示したように安全装置20は、カム部材としてのセーフティカム21と、レール部材としてのセーフティレール22とを備えている。セーフティカム21は、アクチュエータ17や電磁弁18が故障し、アクチュエータ17でブローノズル14を上昇させることができない場合に、ブローノズル14を上昇させて金型12とブローノズル14とを離すために設けられている。セーフティレール22は、セーフティカム21で金型12から離したブローノズル14が再度下降して金型12と衝突することを防止するために設けられている。セーフティカム21は、搬出位置P2に設けられている。また、セーフティレール22は、上昇区間S2に設けられている。図1に示したようにセーフティカム21及びセーフティレール22は、ブロー装置13が移動する移動経路よりも外側に配置される。図5は、セーフティレール22を上から見た図である。この図に示したように安全装置20は移動不能なように天井又は梁に固定される取付ステー23を備えている。そして、セーフティカム21及びセーフティレール22は、この取付ステー23に取り付けられている。これにより、セーフティカム21は搬出位置P2に固定され、セーフティレール22は上昇区間S2に固定される。
【0020】
図6は、図1の矢印VI方向から見たブロー成形機10の概略を示す図である。この図に示したようにセーフティカム21は、金型12の移動方向、すなわちホイール11の回転方向に進むに従って漸次高さが高くなる斜面21aを備えている。セーフティカム21は、ブローノズル14のツバ14bがこの斜面21a上を通過するように配置されている。また、セーフティカム21は、斜面21aの最も低い部分21bが接触位置のブローノズル14のツバ14bよりも下になるように設けられる。さらに、セーフティカム21は、斜面21aの最も高い部分21cにブローノズル14のツバ14bが接しているときにブローノズル14が金型12内のプリフォームPやボトルBの口部Oと干渉しない所定の退避位置まで上昇するように設けられる。なお、この退避位置は、離間位置と接触位置との間の高さが設定される。セーフティカム21には、不図示の近接センサが設けられている。近接センサは、セーフティカム21にブローノズル14のツバ14bが接触すると信号を出力する。この近接センサは、ボトル製造装置1の各部の動作を制御する制御装置30に接続されている。制御装置30は、近接センサからの出力信号が入力されるとプリフォーム供給装置2、ボトル搬出装置3、及びブロー成形機10をそれぞれ停止させる。
【0021】
セーフティレール22も、セーフティカム21と同様にブローノズル14のツバ14bが上方を通過するように配置されている。そして、このセーフティレール22は、セーフティカム21の斜面21aの最も高い部分21cから金型12の移動経路に沿って水平に延びるように設けられている。
【0022】
図1及び図7を参照してボトル製造装置1におけるボトルBの製造方法について説明する。図7は下降区間S1における金型12及びブロー装置13の動作を示している。なお、図7では、最も左側の図が搬入位置P1における金型12及びブロー装置13を示し、最も右側の図が搬出位置P2における金型12及びブロー装置13を示している。すなわち、図7では左側から右側に向かって金型12及びブロー装置13が移動する。搬入位置P1及び搬出位置P2における金型12の内部の状態が分かるように図7の最も左側の図、及び最も右側の図では金型12の内部が示されている。
【0023】
上述したようにボトル製造装置1は、プリフォームPをボトルBにブロー成形するものである。図1に示したようにボトル製造装置1には、矢印F1方向からプリフォームPが搬入される。搬入されたプリフォームPは、プリフォーム供給装置2のチャック爪2bに挟まれて矢印F2で示したように搬入位置P1まで搬送される。搬入位置P1では、チャック爪2bが開放されてプリフォームPがブロー成形機10の金型12に挿入される。これにより図7の最も左側の図の状態になる。その後、プリフォームPは、ブロー成形機10により下降区間S1を矢印A方向に送られる。この際に図7に示したようにブローノズル14及び延伸ロッド15が下降してプリフォームPがボトルBにブロー成形される。なお、このブロー成形の方法は周知の方法と同じでよいため、詳細な説明は省略する。そして、この図に示したようにブローノズル14及び延伸ロッド15は、金型12が搬出位置P2に到達する前に上げられて金型12から離される。搬出位置P2では、金型12が左右に開かれるとともにボトル搬出装置3のチャック爪3bがボトルBを挟む。これにより、ブロー成形機10からボトル搬出装置3にボトルBが受け渡される。その後、ボトルBは、ボトル搬出装置3にて図1の矢印F3方向に搬送され、ボトル搬出装置3から下流の工程に送られる。
【0024】
次に、図6を参照してボトル製造装置1において電磁弁18の動作不良が発生した場合のブロー成形機10の動作について説明する。下降区間S1において電磁弁18の動作不良が発生した場合はアクチュエータ17が動作不良となるので、金型12とブローノズル14とが密着した状態で金型12が搬出位置P2に移動する。このような状態で金型12が搬出位置P2に到達するとブローノズル14のツバ14bがセーフティカム21の斜面21aと接触する。その後、ブローノズル14のツバ14bは、このセーフティカム21の斜面21aに沿って移動するので、ブローノズル14がセーフティカム21にて上方に駆動される。そのため、金型12からブローノズル14を離すことができる。また、この場合には近接センサから制御装置30に信号が出力されるので、制御装置30はプリフォーム供給装置2、ボトル搬出装置3、及びブロー成形機10を緊急停止させる。
【0025】
周知のようにブロー成形機10のホイール11などは、モータなどの駆動源が停止しても慣性により所定角度(例えば、90°)回転した後に停止する。そのため、セーフティカム21のみしか設けられていないと、セーフティカム21によって一旦上方に駆動されたブローノズル14が自重で下降し、金型12と衝突するおそれがある。本形態のブロー成形機10では、上昇区間S2にセーフティレール22が設けられているので、ブロー成形機10のホイール11が慣性で所定角度回転しても上方に駆動されたブローノズル14をセーフティレール22によって支持することができる。そのため、ブローノズル14が金型12と衝突することを回避できる。従って、金型12やブローノズル14の破損を防止することができる。
【0026】
また、このボトル製造装置1では、上昇区間S2において電磁弁18の動作不良などによりブローノズル14が下降してもセーフティレール22で下降してきたブローノズル14を受け止めることができる。これにより、ブローノズル14と金型12との衝突を回避することができるので、金型12やブローノズル14の破損を防止することができる。
【0027】
以上に説明したように、本形態のブロー成形機10によれば上昇区間S2にセーフティレール22を設けたので、この上昇区間S2においてブローノズル14が接触位置まで下降することを防止できる。これによりブローノズル14が金型12と衝突することを回避できるので、金型12やブローノズル14の破損を防止することができる。
【0028】
本発明は上述した形態に限定されることなく種々の形態にて実施してよい。例えば、セーフティレールは、金型とブローノズルとを離す上昇区間の全体に亘って設けられていなくてもよい。セーフティレールの長さは、ブロー成形機のホイールが動作状態から停止するまでに慣性で回転する所定角度より若干長い程度でもよい。具体的には、例えばホイールが停止するまでに慣性で約45°回転するブロー成形機では、セーフティレールが搬出位置から50°の範囲に設けられていてもよい。
【0029】
図8〜図12を参照してブロー成形機10にセーフティレール22を取り付ける方法について詳しく説明する。なお、図8〜図12において上述した形態と共通の部分には同一の符号を付して説明を省略する。図8はブロー成形機10が組み込まれたボトル製造装置1の正面図を示し、図9はそのボトル製造装置1の上面図を示している。また、図10は、図9のX−X線におけるボトル製造装置1の断面を示している。
【0030】
セーフティレール22の取付方法を説明する前に、まずこれらの図に示したボトル製造装置1の概略について説明する。このボトル製造装置1も上述した形態のものと同様にブロー成形機10、プリフォーム供給装置2、及びボトル排出装置3を備えている。図8及び図9に示したように、これらの装置10、2、3は、共通の架台40に設置されている。架台40は、複数の柱41と、それら柱41の間に掛け渡された複数の梁42とを備えている。また、架台40には、ブロー成形機10、プリフォーム供給装置2、及びボトル排出装置3を囲むように天井43及び側壁44が設けられている。これら天井43及び側壁44は、柱41及び梁42に固定されている。ブロー成形機10、プリフォーム供給装置2、及びボトル排出装置3は、天井43及び側壁44によって外部と遮断されている。図8に示すようにプリフォーム供給装置2及びボトル搬出装置3のそれぞれの高さは、ブロー成形機10の高さよりも低い。そのため、図10に示したようにブロー成形機10側の天井43とプリフォーム供給装置2及びボトル搬出装置3側の天井43との間には段差43aがある。側壁44は、その段差43aにも設けられている。
【0031】
図9に示すようにプリフォーム供給装置2及びボトル搬出装置3は、ホイール2a、3aを回転させた際にそれぞれのチャック爪2b、3bが金型12の移動経路上を通過するように設けられている。また、図8に示すようにプリフォーム供給装置2及びボトル搬出装置3のそれぞれのチャック爪2b、3bは、金型12の上面12aよりも若干上方を通過するようにホイール2a、3aに取り付けられている。
【0032】
次にセーフティレール22の取付方法について説明する。図8及び図9に示したようにセーフティレール22は、梁42から吊り下げられたステー部材としての第1〜第4ステー50A〜50Dに支持されている。第1ステー50Aはセーフティレール22の一端を支持し、第4ステー50Dはセーフティレール22の他端を支持している。第2ステー50B及び第3ステー50Cは、それら一端と他端との間に各ステー50A〜50Dが略等間隔で配置されるように設けられている。これら4本のステー50A〜50Dは、セーフティレール22がプリフォーム供給装置2及びボトル搬出装置3のそれぞれのチャック爪2b、3b及びブロー成形機10の金型12と干渉しない高さに維持されるようにセーフティレール22を支持する。また、図9に示すように各ステー50A〜50Dは、セーフティレール22が金型12の移動経路の径方向外側に配置されるようにセーフティレール22を支持する。
【0033】
図10〜図12を参照して第4ステー50Dについて説明する。図11は図9の矢印XI方向から見た第4ステー50Dを示し、図12は図10の矢印XII方向から見た第4ステー50Dを示している。なお、第1〜第3ステー50A〜50Cもこの第4ステー50Dと略同じ構造をしている。そのため、第1〜第3ステー50A〜50Cについては説明を省略する。
【0034】
図10及び図12に示したように第4ステー50Dは、第1支柱部材51と、第2支柱部材52と、位置調整機構53と、レール支持部材54とを備えている。第1支柱部材51は断面が長方形の板状をしており、その上端には固定プレート51aが、下端には支持プレート51bがそれぞれ設けられている。固定プレート51aは、梁42にボルト55で移動不能に固定されている。支持プレート51bには、第2支柱部材52の上端52aがボルト56で取り付けられている。第2支柱部材52は円柱状をしており、その下端52bには位置調整機構53が取り付けられている。
【0035】
図12に示すように位置調整機構53は、上下方向に貫通する貫通孔53aを有している。第2支柱部材52の下端52bは、その貫通孔53a内に挿入されて2本のボルト57で固定されている。第2支柱部材52は、これらのボルト57によって貫通孔53aの内面に押し付けられている。そのため、これらのボルト57を緩めることにより位置調整機構53は高さ方向に移動可能な状態になる。また、第2支柱部材52の下端52bには、面積が貫通孔53aの断面積よりも大きい板状のストッパ58が取り付けられている。ストッパ58は、ボルト57が緩んで位置調整機構53が下方に移動した場合に位置調整機構53が第2支柱部材52から抜け落ちることを防止する。
【0036】
図10に示したように位置調整機構53には、この図の左右方向に延びる貫通孔53bが設けられている。レール支持部材54は、上下方向に延びる板状のベース部54aと、そのベース部54aの上端部から水平方向に延びる円柱状の軸部54bと、ベース部54aの下端部に設けられて軸部54bとは逆方向に水平に延びる固定部54cとを備えている。軸部54bは、位置調整機構53の貫通孔53bに挿入され、ボルト59で固定されている。軸部54bはボルト59によって貫通孔53bの内面に押し付けられている。そのため、これらのボルト59を緩めることによりレール支持部材54は図10の左右方向、すなわちブロー成形機10のホイール11の半径方向に移動可能な状態になる。軸部54bの先端には、面積が貫通孔53bの断面積よりも大きい板状のストッパ60が取り付けられている。そのため、ボルト59が緩んだ場合でもレール支持部材54が位置調整機構53から脱落することを防止できる。固定部54cには、セーフティレール22がボルト61で固定されている。
【0037】
図10及び図11に示したように第4ステー50Dには、第4ステー50Dを側方から支持するサポート部材62が設けられている。なお、図8、9、12では図示を省略したが、このサポート部材62は第1〜第4ステー50A〜50Dにそれぞれ取り付けられている。サポート部材62は、第2支柱部材52に固定される固定部62aと、外周面にねじが切られているねじ軸部62bとを備えている。固定部62aには雌ねじ部62cが設けられており、その雌ねじ部62cにはねじ軸部62bの一端がねじ込まれている。そのため、ねじ軸部62bを回転させることによりサポート部材62を伸縮させることができる。そして、このサポート部材62は、ねじ軸部62bの他端が側壁44に押し付けられるようにその長さが調整されている。
【0038】
また、サポート部材62は、そのねじ軸部62bの他端がホイール11の中心側から第4ステー50Dを見たときにその第4ステー50Dよりも外側に位置する側壁44に押し付けられるように配置されている。例えば、サポート部材62は第4ステー50Dからブロー成形機10のホイール11の半径方向に延びるように配置されている。このように配置することにより、第4ステー50Dに図10の右側から左側に向かう力、すなわち第4ステー50Dをブロー成形機10から離す方向に押す力が作用した場合に、サポート部材62によってその力を側壁44に伝達させることができる。この場合、例えばセーフティレール22でブローノズル14を受け止め、これにより第4ステー50Dにそのような方向の力が作用してもサポート部材62が第4ステー50Dを外周側から支持するので、第4ステー50Dがブロー成形機10から離れる方向移動することが防止される。
【0039】
以上に説明したように、4本のステー50A〜50Dで上方からセーフティレール22を支持することにより、セーフティレール22の下方に配置されているプリフォーム供給装置2及びボトル排出装置3とセーフティレール22とが互いに干渉することを防止できる。上述したように各ステー50A〜50Dにはいずれもサポート部材62が設けられているので、セーフティレール22でブローノズル14を受け止めた際にセーフティレール22がブロー成形機10から離れる方向に逃げることを防止できる。そのため、ブローノズル14をセーフティレール22で確実に受け止めることができる。また、このサポート部材62は伸縮可能であるため、ステー50と側壁44との距離に応じて長さを適切に調整できる。上述したように位置調整機構53は取り付けられているボルト57を緩めることにより、上下動可能な状態になる。そのため、セーフティレール22の高さを容易に変更することができる。また、位置調整機構53に取り付けられているボルト59を緩めることによりレール支持部材54はブロー成形機10のホイール11の半径方向に移動可能な状態になる。この場合、セーフティレール22がホイール11の半径方向に移動可能になるので、セーフティレール22のこの方向の位置調整を容易に行うことができる。
【0040】
なお、各ステー50を梁42に固定する方法は、図10に示した方法に限定されない。例えば、図13に示すように第1支柱部材51を延ばして固定プレート51aを梁42の上方に引っ掛け、固定プレート51aを梁42の上面にボルト55で固定してもよい。また、ステーの固定する部材は、天井又は梁に限定されない。例えば、床面、柱、又は側壁にステーを固定してもよい。
【0041】
また、各ステー50に設けられるサポート部材62の個数は1つに限定されない。例えば、第2支柱部材52に2個以上のサポート部材62を取り付けてもよい。この場合、図14に示すように各サポート部材62は、それぞれのねじ軸部62bの他端が互いに異なる側壁44に押し付けられるように設けられていてもよい。なお、この場合においても図中に矢印CLで示したように各サポート部材62は、そのねじ軸部62bの他端がホイール11の中心側からステー50を見たときにそのステー50よりも外側に位置する側壁44に押し付けられるように設けられる。この場合、ステー50に作用した力を複数の側壁44に分散させることができる。そのため、セーフティレール22によってより重いブローノズル14を受け止めることができる。
【符号の説明】
【0042】
10 ブロー成形機
11 ホイール(移動手段)
12 金型
14 ブローノズル
16 昇降機構
21 セーフティカム(カム部材)
21a 斜面
22 セーフティレール(レール部材)
41 柱
42 梁
43 天井
44 側壁
50A〜50D 第1〜第4ステー(ステー部材)
53 位置調整機構
62 サポート部材
S1 下降区間
S2 上昇区間
P2 搬出位置(上昇区間の始点)
P プリフォーム(予備成型品)
B ボトル(容器)
【技術分野】
【0001】
本発明は、予備成型品を容器に成形するための金型、及びその金型の上方に上下動自在に設けられたブローノズルを備えたブロー成形機に関する。
【背景技術】
【0002】
プラスチック製品を成形するための成形機が知られている。例えば、金型内に材料を射出してプラスチック製品を成形する射出成形機が知られている。このような射出成形機において、装置の故障や停電などが発生した場合、又は装置を緊急停止させる必要がある場合等に可動盤を確実に停止させるために複数の停止機構を有する安全装置が設けられたものが知られている(特許文献1参照)。その他、本発明に関連する先行技術文献として特許文献2が存在する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−264194号公報
【特許文献2】特表2003−535725号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
プリフォーム等の予備成型品からポリエチレンテレフタレート製の容器、例えばペットボトルをブロー成形するブロー成形機が知られている。例えば、金型と、その金型の上方に上下動可能に設けたブローノズルとを備え、これらを所定の経路に沿って移動させつつ金型内の予備成型品内にブローノズルからガスを吹き込んで容器をブロー成形するブロー成形機が知られている。このブロー成形機では、金型内の予備成型品にブローノズルを接触させたり、成形した容器からブローノズルを離したりするため、ブローノズルを所定のタイミングで昇降させている。そして、このようなブロー成形機にも、特許文献1の成形機のように故障が発生した場合などに機械を自動的に停止させる安全装置が設けられているが、機械の停止時にブローノズルが保持されていないと金型から離れて上昇しているブローノズルが自重で下降して金型と衝突し、金型やブローノズルが破損するおそれがある。
【0005】
そこで、本発明は、故障等によって機械を緊急停止させる場合に金型やブローノズルを破損させることなく機械を停止させることが可能なブロー成形機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のブロー成形機(10)は、金型(12)と、前記金型の上方に上下動自在に設けられたブローノズル(14)と、前記金型及び前記ブローノズルを所定の経路に沿って移動させる移動手段(11)と、前記所定の経路に設定された下降区間(S1)では前記ブローノズルが前記金型と接触する接触位置まで前記ブローノズルが下降し、前記所定の経路の前記下降区間以外の区間である上昇区間(S2)では前記ブローノズルと前記金型とが離間する離間位置まで前記ブローノズルが上昇するように前記ブローノズルを昇降させる昇降機構(16)と、を備え、前記下降区間にて前記金型内の予備成型品(P)内に前記ブローノズルからガスを吹き込んで容器(B)をブロー成形するブロー成形機において、前記上昇区間の始点(P2)に設けられ、前記ブローノズルと接触して前記ブローノズルを前記接触位置から前記接触位置と前記離間位置との間の所定の退避位置に上昇させる斜面(21a)を有するカム部材(21)と、前記カム部材から前記所定の経路に沿って延びるように前記上昇区間に設けられ、前記ブローノズルと接触して前記ブローノズルを前記退避位置に保持するレール部材(22)と、を備えていることにより、上述した課題を解決する。
【0007】
本発明のブロー成形機によれば、昇降機構が故障してブローノズルがカム部材によって退避位置まで上方に駆動されてもそのブローノズルをレール部材で退避位置に保持することができる。これにより、ブローノズルが下降して金型と衝突することを回避できるので、ブローノズル及び金型の破損を防止することができる。従って、ブロー成形機を緊急停止させた場合でも金型やブローノズルを破損させることなくブロー成形機を停止させることができる。
【0008】
本発明のブロー成形機の一形態においては、前記レール部材が前記上昇区間の全体に亘って設けられていてもよい。この場合、上昇区間の全体においてブローノズルを確実に退避位置に保持することができる。そのため、この上昇区間において確実にブローノズルが下降して金型と衝突することを回避できる。
【0009】
本発明のブロー成形機の一形態においては、前記金型及び前記ブローノズルが外周に設けられたホイール(11)と、前記ホイールを回転駆動する駆動源と、を備えたホイール式移動機構が前記移動手段として設けられ、前記レール部材は、前記ブローノズルが移動する円状の前記所定の経路よりも径方向外側に配置されていてもよい。この場合、ブローノズルの移動にレール部材が干渉することを防止できる。
【0010】
この形態においては、前記ブロー成形機の周囲に複数の柱(41)及び梁(42)が設けられて前記ブロー成形機が天井(43)及び側壁(44)で囲まれており、前記梁から吊り下げられて下端に前記レール部材が取り付けられたステー部材(50A〜50D)と、前記ホイールの中心側から前記ステー部材を見たときに前記ステー部材よりも外側に位置している側壁と前記ステー部材との間に配置されて前記ステー部材を側方から支持するサポート部材(62)と、をさらに備えていてもよい。この場合、レール部材の下方に空間を設けることができるので、この空間に種々の機械を配置することができる。例えば、ブロー成形機の金型に予備成型品を供給する予備成型品供給装置及び金型から容器を搬出する容器搬出装置等を配置できる。また、これらの装置とレール部材とが互いに干渉することを防止できる。この形態では、ステー部材とそのステー部材よりも外側の側壁との間にサポート部材を設けたので、レール部材によってブローノズルを受け止めた際にブローノズルの重さでステー部材がブロー成形機から離れる方向に移動することを防止できる。これによりレール部材がブロー成形機から離れる方法に移動することを防止できるので、ブローノズルをレール部材で確実に受け止めることができる。
【0011】
また、前記ステー部材の下端には、前記レール部材の高さ方向の位置及び前記レール部材の前記ホイールの半径方向の位置の少なくともいずれか一方の位置を調整可能な位置調整機構(53)が設けられていてもよい。この場合、レール部材の高さ及びホイールの半径方向の位置を容易に変更することができる。
【0012】
なお、以上の説明では本発明の理解を容易にするために添付図面の参照符号を括弧書きにて付記したが、それにより本発明が図示の形態に限定されるものではない。
【発明の効果】
【0013】
以上に説明したように、本発明のブロー成形機によれば、退避位置まで上方に駆動されたブローノズルをレール部材で保持することができるので、ブローノズルが下降して金型と衝突することを回避できる。そのため、ブロー成形機を緊急停止させた場合でも金型やブローノズルを破損させることなくブロー成形機を停止させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の一形態に係るブロー成形機が組み込まれたボトル製造装置の概略を示す図。
【図2】プリフォームを示す図。
【図3】図1のボトル製造装置で製造されたボトルを示す図。
【図4】図1の矢印IV方向から見たブロー成形機を示す図。
【図5】セーフティレールを上から見た図。
【図6】図1の矢印VI方向から見たブロー成形機の概略を示す図。
【図7】下降区間における金型及びブロー装置の動作を示す図。
【図8】ブロー成形機の正面図。
【図9】ブロー成形機の上面図。
【図10】図9のX−X線におけるブロー成形機の断面を示す図。
【図11】図9の矢印XI方向から見た第4ステーを示す斜視図。
【図12】図10の矢印XII方向から見た第4ステーを示す図。
【図13】ステーの第1支柱部材の変形例を示す図。
【図14】サポート部材の配置方法の他の例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図1は、本発明の一形態に係るブロー成形機が組み込まれたボトル製造装置の概略を示している。このボトル製造装置1は、図2に示した予備成型品としてのプリフォームPをブロー成形して図3に示した容器としてのボトルBを製造するものである。図2に示したようにプリフォームPは、その上端に口部Oを備えている。この口部Oは、成形後にボトルBの口部Oとなる。プリフォームPの材料は、ポリエチレンテレフタレート(PET)である。そのため、成形されたボトルBは、いわゆるPETボトルである。図1に示したようにボトル製造装置1は、ブロー成形機10と、ブロー成形機10にプリフォームPを供給するプリフォーム供給装置2と、ブロー成形機10で成形されたボトルBが受け渡されるボトル搬出装置3とを備えている。プリフォーム供給装置2は、ホイール2aの外周に等間隔で設けられた複数(図1では6個)のチャック爪2bにてプリフォームPを挟んで搬送する周知のものである。ボトル搬出装置3も同様の装置であり、ホイール3aの外周に等間隔で設けられた複数(図1では6個)のチャック爪3bにてボトルBを挟んで搬送する周知のものである。そのため、これらの装置2、3についての詳細な説明は省略する。
【0016】
ブロー成形機10は、中心点Cを中心に回転自在に設けられたホイール11と、ホイール11を矢印A方向に回転駆動する駆動源としての不図示のモータと、ホイール11の外周に等間隔で設けられた複数(図1では12個)の金型12とを備えている。図4は、ブロー成形機10を図1の矢印IV方向から見た図である。なお、この図では開いた状態の金型12を示している。この図に示したように金型12は、ボトルBの一方の側を成形する第1金型12aと、ボトルBの他方の側を成形する第2金型12bと、ボトルBの底面を成形する第3金型12cとを備えている。そして、これら第1〜第3金型12a、12b、12cが組み合わされることによって金型12の内部にボトルBの形状が形成される。この際、金型12の上部にはプリフォームPが挿入される挿入穴が形成される。第1金型12a及び第2金型12bは、不図示の開閉機構にて開閉駆動される。
【0017】
各金型12の上方には、ブロー装置13がそれぞれ設けられている。各ブロー装置13は、金型12と同様にホイール11に取り付けられており、ホイール11と一体に回転する。そのため、ホイール11及びモータが本発明の移動手段に対応する。ブロー装置13は、ブローノズル14と、延伸ロッド15と、ブローノズル14及び延伸ロッド15を昇降する昇降機構16とを備えている。ブローノズル14及び延伸ロッド15は、金型12の挿入孔の真上に配置されている。ブローノズル14は、上下動自在に設けられている。また、延伸ロッド15も上下動自在に設けられている。ブローノズル14の下端には、ブローノズル14が下げられたときにプリフォームPの開口部を覆うように金型12と密着するエア噴射口14aが設けられている。ブロー成型時には、このエア噴射口14aからプリフォームP内にブローガスが吹き込まれる。延伸ロッド15は、エア噴射口14aの中心に配置されている。そのため、延伸ロッド15を下降させることにより、この延伸ロッド15をプリフォームP内に挿入することができる。
【0018】
昇降機構16は、アクチュエータ17と、アクチュエータ17への作動流体の供給及びその停止を切り替える電磁弁18とを備えている。アクチュエータ17としては、例えば圧縮空気で動作するエアシリンダなどが用いられる。アクチュエータ17は、ブローノズル14と金型12とが密着する接触位置と、ブローノズル14がプリフォーム供給装置2の動作及びボトル搬出装置3の動作と干渉しない高さである離間位置との間でブローノズル14を上下方向に駆動する。電磁弁18は、金型12が図1の搬入位置P1から搬出位置P2に移動する区間(以下、下降区間と称することがある。)S1ではブローノズル14を接触位置に駆動し、金型12が搬出位置P2から搬入位置P1に移動する区間(以下、上昇区間と称することがある。)S2ではブローノズル14を離間位置に駆動するように制御される。そのため、搬入位置P1が下降区間S1の始点であるとともに上昇区間S2の終点となり、搬出位置P2が下降区間S1の終点であるとともに上昇区間S2の始点となる。電磁弁18の制御は、例えばマイクロプロセッサ及びその動作に必要なRAM、ROM等の周辺機器を含んだコンピュータユニットを用いて行ってもよいし、ハードウェア制御回路を用いて行ってもよい。
【0019】
ブロー成形機10には、安全装置20が設けられている。図1に示したように安全装置20は、カム部材としてのセーフティカム21と、レール部材としてのセーフティレール22とを備えている。セーフティカム21は、アクチュエータ17や電磁弁18が故障し、アクチュエータ17でブローノズル14を上昇させることができない場合に、ブローノズル14を上昇させて金型12とブローノズル14とを離すために設けられている。セーフティレール22は、セーフティカム21で金型12から離したブローノズル14が再度下降して金型12と衝突することを防止するために設けられている。セーフティカム21は、搬出位置P2に設けられている。また、セーフティレール22は、上昇区間S2に設けられている。図1に示したようにセーフティカム21及びセーフティレール22は、ブロー装置13が移動する移動経路よりも外側に配置される。図5は、セーフティレール22を上から見た図である。この図に示したように安全装置20は移動不能なように天井又は梁に固定される取付ステー23を備えている。そして、セーフティカム21及びセーフティレール22は、この取付ステー23に取り付けられている。これにより、セーフティカム21は搬出位置P2に固定され、セーフティレール22は上昇区間S2に固定される。
【0020】
図6は、図1の矢印VI方向から見たブロー成形機10の概略を示す図である。この図に示したようにセーフティカム21は、金型12の移動方向、すなわちホイール11の回転方向に進むに従って漸次高さが高くなる斜面21aを備えている。セーフティカム21は、ブローノズル14のツバ14bがこの斜面21a上を通過するように配置されている。また、セーフティカム21は、斜面21aの最も低い部分21bが接触位置のブローノズル14のツバ14bよりも下になるように設けられる。さらに、セーフティカム21は、斜面21aの最も高い部分21cにブローノズル14のツバ14bが接しているときにブローノズル14が金型12内のプリフォームPやボトルBの口部Oと干渉しない所定の退避位置まで上昇するように設けられる。なお、この退避位置は、離間位置と接触位置との間の高さが設定される。セーフティカム21には、不図示の近接センサが設けられている。近接センサは、セーフティカム21にブローノズル14のツバ14bが接触すると信号を出力する。この近接センサは、ボトル製造装置1の各部の動作を制御する制御装置30に接続されている。制御装置30は、近接センサからの出力信号が入力されるとプリフォーム供給装置2、ボトル搬出装置3、及びブロー成形機10をそれぞれ停止させる。
【0021】
セーフティレール22も、セーフティカム21と同様にブローノズル14のツバ14bが上方を通過するように配置されている。そして、このセーフティレール22は、セーフティカム21の斜面21aの最も高い部分21cから金型12の移動経路に沿って水平に延びるように設けられている。
【0022】
図1及び図7を参照してボトル製造装置1におけるボトルBの製造方法について説明する。図7は下降区間S1における金型12及びブロー装置13の動作を示している。なお、図7では、最も左側の図が搬入位置P1における金型12及びブロー装置13を示し、最も右側の図が搬出位置P2における金型12及びブロー装置13を示している。すなわち、図7では左側から右側に向かって金型12及びブロー装置13が移動する。搬入位置P1及び搬出位置P2における金型12の内部の状態が分かるように図7の最も左側の図、及び最も右側の図では金型12の内部が示されている。
【0023】
上述したようにボトル製造装置1は、プリフォームPをボトルBにブロー成形するものである。図1に示したようにボトル製造装置1には、矢印F1方向からプリフォームPが搬入される。搬入されたプリフォームPは、プリフォーム供給装置2のチャック爪2bに挟まれて矢印F2で示したように搬入位置P1まで搬送される。搬入位置P1では、チャック爪2bが開放されてプリフォームPがブロー成形機10の金型12に挿入される。これにより図7の最も左側の図の状態になる。その後、プリフォームPは、ブロー成形機10により下降区間S1を矢印A方向に送られる。この際に図7に示したようにブローノズル14及び延伸ロッド15が下降してプリフォームPがボトルBにブロー成形される。なお、このブロー成形の方法は周知の方法と同じでよいため、詳細な説明は省略する。そして、この図に示したようにブローノズル14及び延伸ロッド15は、金型12が搬出位置P2に到達する前に上げられて金型12から離される。搬出位置P2では、金型12が左右に開かれるとともにボトル搬出装置3のチャック爪3bがボトルBを挟む。これにより、ブロー成形機10からボトル搬出装置3にボトルBが受け渡される。その後、ボトルBは、ボトル搬出装置3にて図1の矢印F3方向に搬送され、ボトル搬出装置3から下流の工程に送られる。
【0024】
次に、図6を参照してボトル製造装置1において電磁弁18の動作不良が発生した場合のブロー成形機10の動作について説明する。下降区間S1において電磁弁18の動作不良が発生した場合はアクチュエータ17が動作不良となるので、金型12とブローノズル14とが密着した状態で金型12が搬出位置P2に移動する。このような状態で金型12が搬出位置P2に到達するとブローノズル14のツバ14bがセーフティカム21の斜面21aと接触する。その後、ブローノズル14のツバ14bは、このセーフティカム21の斜面21aに沿って移動するので、ブローノズル14がセーフティカム21にて上方に駆動される。そのため、金型12からブローノズル14を離すことができる。また、この場合には近接センサから制御装置30に信号が出力されるので、制御装置30はプリフォーム供給装置2、ボトル搬出装置3、及びブロー成形機10を緊急停止させる。
【0025】
周知のようにブロー成形機10のホイール11などは、モータなどの駆動源が停止しても慣性により所定角度(例えば、90°)回転した後に停止する。そのため、セーフティカム21のみしか設けられていないと、セーフティカム21によって一旦上方に駆動されたブローノズル14が自重で下降し、金型12と衝突するおそれがある。本形態のブロー成形機10では、上昇区間S2にセーフティレール22が設けられているので、ブロー成形機10のホイール11が慣性で所定角度回転しても上方に駆動されたブローノズル14をセーフティレール22によって支持することができる。そのため、ブローノズル14が金型12と衝突することを回避できる。従って、金型12やブローノズル14の破損を防止することができる。
【0026】
また、このボトル製造装置1では、上昇区間S2において電磁弁18の動作不良などによりブローノズル14が下降してもセーフティレール22で下降してきたブローノズル14を受け止めることができる。これにより、ブローノズル14と金型12との衝突を回避することができるので、金型12やブローノズル14の破損を防止することができる。
【0027】
以上に説明したように、本形態のブロー成形機10によれば上昇区間S2にセーフティレール22を設けたので、この上昇区間S2においてブローノズル14が接触位置まで下降することを防止できる。これによりブローノズル14が金型12と衝突することを回避できるので、金型12やブローノズル14の破損を防止することができる。
【0028】
本発明は上述した形態に限定されることなく種々の形態にて実施してよい。例えば、セーフティレールは、金型とブローノズルとを離す上昇区間の全体に亘って設けられていなくてもよい。セーフティレールの長さは、ブロー成形機のホイールが動作状態から停止するまでに慣性で回転する所定角度より若干長い程度でもよい。具体的には、例えばホイールが停止するまでに慣性で約45°回転するブロー成形機では、セーフティレールが搬出位置から50°の範囲に設けられていてもよい。
【0029】
図8〜図12を参照してブロー成形機10にセーフティレール22を取り付ける方法について詳しく説明する。なお、図8〜図12において上述した形態と共通の部分には同一の符号を付して説明を省略する。図8はブロー成形機10が組み込まれたボトル製造装置1の正面図を示し、図9はそのボトル製造装置1の上面図を示している。また、図10は、図9のX−X線におけるボトル製造装置1の断面を示している。
【0030】
セーフティレール22の取付方法を説明する前に、まずこれらの図に示したボトル製造装置1の概略について説明する。このボトル製造装置1も上述した形態のものと同様にブロー成形機10、プリフォーム供給装置2、及びボトル排出装置3を備えている。図8及び図9に示したように、これらの装置10、2、3は、共通の架台40に設置されている。架台40は、複数の柱41と、それら柱41の間に掛け渡された複数の梁42とを備えている。また、架台40には、ブロー成形機10、プリフォーム供給装置2、及びボトル排出装置3を囲むように天井43及び側壁44が設けられている。これら天井43及び側壁44は、柱41及び梁42に固定されている。ブロー成形機10、プリフォーム供給装置2、及びボトル排出装置3は、天井43及び側壁44によって外部と遮断されている。図8に示すようにプリフォーム供給装置2及びボトル搬出装置3のそれぞれの高さは、ブロー成形機10の高さよりも低い。そのため、図10に示したようにブロー成形機10側の天井43とプリフォーム供給装置2及びボトル搬出装置3側の天井43との間には段差43aがある。側壁44は、その段差43aにも設けられている。
【0031】
図9に示すようにプリフォーム供給装置2及びボトル搬出装置3は、ホイール2a、3aを回転させた際にそれぞれのチャック爪2b、3bが金型12の移動経路上を通過するように設けられている。また、図8に示すようにプリフォーム供給装置2及びボトル搬出装置3のそれぞれのチャック爪2b、3bは、金型12の上面12aよりも若干上方を通過するようにホイール2a、3aに取り付けられている。
【0032】
次にセーフティレール22の取付方法について説明する。図8及び図9に示したようにセーフティレール22は、梁42から吊り下げられたステー部材としての第1〜第4ステー50A〜50Dに支持されている。第1ステー50Aはセーフティレール22の一端を支持し、第4ステー50Dはセーフティレール22の他端を支持している。第2ステー50B及び第3ステー50Cは、それら一端と他端との間に各ステー50A〜50Dが略等間隔で配置されるように設けられている。これら4本のステー50A〜50Dは、セーフティレール22がプリフォーム供給装置2及びボトル搬出装置3のそれぞれのチャック爪2b、3b及びブロー成形機10の金型12と干渉しない高さに維持されるようにセーフティレール22を支持する。また、図9に示すように各ステー50A〜50Dは、セーフティレール22が金型12の移動経路の径方向外側に配置されるようにセーフティレール22を支持する。
【0033】
図10〜図12を参照して第4ステー50Dについて説明する。図11は図9の矢印XI方向から見た第4ステー50Dを示し、図12は図10の矢印XII方向から見た第4ステー50Dを示している。なお、第1〜第3ステー50A〜50Cもこの第4ステー50Dと略同じ構造をしている。そのため、第1〜第3ステー50A〜50Cについては説明を省略する。
【0034】
図10及び図12に示したように第4ステー50Dは、第1支柱部材51と、第2支柱部材52と、位置調整機構53と、レール支持部材54とを備えている。第1支柱部材51は断面が長方形の板状をしており、その上端には固定プレート51aが、下端には支持プレート51bがそれぞれ設けられている。固定プレート51aは、梁42にボルト55で移動不能に固定されている。支持プレート51bには、第2支柱部材52の上端52aがボルト56で取り付けられている。第2支柱部材52は円柱状をしており、その下端52bには位置調整機構53が取り付けられている。
【0035】
図12に示すように位置調整機構53は、上下方向に貫通する貫通孔53aを有している。第2支柱部材52の下端52bは、その貫通孔53a内に挿入されて2本のボルト57で固定されている。第2支柱部材52は、これらのボルト57によって貫通孔53aの内面に押し付けられている。そのため、これらのボルト57を緩めることにより位置調整機構53は高さ方向に移動可能な状態になる。また、第2支柱部材52の下端52bには、面積が貫通孔53aの断面積よりも大きい板状のストッパ58が取り付けられている。ストッパ58は、ボルト57が緩んで位置調整機構53が下方に移動した場合に位置調整機構53が第2支柱部材52から抜け落ちることを防止する。
【0036】
図10に示したように位置調整機構53には、この図の左右方向に延びる貫通孔53bが設けられている。レール支持部材54は、上下方向に延びる板状のベース部54aと、そのベース部54aの上端部から水平方向に延びる円柱状の軸部54bと、ベース部54aの下端部に設けられて軸部54bとは逆方向に水平に延びる固定部54cとを備えている。軸部54bは、位置調整機構53の貫通孔53bに挿入され、ボルト59で固定されている。軸部54bはボルト59によって貫通孔53bの内面に押し付けられている。そのため、これらのボルト59を緩めることによりレール支持部材54は図10の左右方向、すなわちブロー成形機10のホイール11の半径方向に移動可能な状態になる。軸部54bの先端には、面積が貫通孔53bの断面積よりも大きい板状のストッパ60が取り付けられている。そのため、ボルト59が緩んだ場合でもレール支持部材54が位置調整機構53から脱落することを防止できる。固定部54cには、セーフティレール22がボルト61で固定されている。
【0037】
図10及び図11に示したように第4ステー50Dには、第4ステー50Dを側方から支持するサポート部材62が設けられている。なお、図8、9、12では図示を省略したが、このサポート部材62は第1〜第4ステー50A〜50Dにそれぞれ取り付けられている。サポート部材62は、第2支柱部材52に固定される固定部62aと、外周面にねじが切られているねじ軸部62bとを備えている。固定部62aには雌ねじ部62cが設けられており、その雌ねじ部62cにはねじ軸部62bの一端がねじ込まれている。そのため、ねじ軸部62bを回転させることによりサポート部材62を伸縮させることができる。そして、このサポート部材62は、ねじ軸部62bの他端が側壁44に押し付けられるようにその長さが調整されている。
【0038】
また、サポート部材62は、そのねじ軸部62bの他端がホイール11の中心側から第4ステー50Dを見たときにその第4ステー50Dよりも外側に位置する側壁44に押し付けられるように配置されている。例えば、サポート部材62は第4ステー50Dからブロー成形機10のホイール11の半径方向に延びるように配置されている。このように配置することにより、第4ステー50Dに図10の右側から左側に向かう力、すなわち第4ステー50Dをブロー成形機10から離す方向に押す力が作用した場合に、サポート部材62によってその力を側壁44に伝達させることができる。この場合、例えばセーフティレール22でブローノズル14を受け止め、これにより第4ステー50Dにそのような方向の力が作用してもサポート部材62が第4ステー50Dを外周側から支持するので、第4ステー50Dがブロー成形機10から離れる方向移動することが防止される。
【0039】
以上に説明したように、4本のステー50A〜50Dで上方からセーフティレール22を支持することにより、セーフティレール22の下方に配置されているプリフォーム供給装置2及びボトル排出装置3とセーフティレール22とが互いに干渉することを防止できる。上述したように各ステー50A〜50Dにはいずれもサポート部材62が設けられているので、セーフティレール22でブローノズル14を受け止めた際にセーフティレール22がブロー成形機10から離れる方向に逃げることを防止できる。そのため、ブローノズル14をセーフティレール22で確実に受け止めることができる。また、このサポート部材62は伸縮可能であるため、ステー50と側壁44との距離に応じて長さを適切に調整できる。上述したように位置調整機構53は取り付けられているボルト57を緩めることにより、上下動可能な状態になる。そのため、セーフティレール22の高さを容易に変更することができる。また、位置調整機構53に取り付けられているボルト59を緩めることによりレール支持部材54はブロー成形機10のホイール11の半径方向に移動可能な状態になる。この場合、セーフティレール22がホイール11の半径方向に移動可能になるので、セーフティレール22のこの方向の位置調整を容易に行うことができる。
【0040】
なお、各ステー50を梁42に固定する方法は、図10に示した方法に限定されない。例えば、図13に示すように第1支柱部材51を延ばして固定プレート51aを梁42の上方に引っ掛け、固定プレート51aを梁42の上面にボルト55で固定してもよい。また、ステーの固定する部材は、天井又は梁に限定されない。例えば、床面、柱、又は側壁にステーを固定してもよい。
【0041】
また、各ステー50に設けられるサポート部材62の個数は1つに限定されない。例えば、第2支柱部材52に2個以上のサポート部材62を取り付けてもよい。この場合、図14に示すように各サポート部材62は、それぞれのねじ軸部62bの他端が互いに異なる側壁44に押し付けられるように設けられていてもよい。なお、この場合においても図中に矢印CLで示したように各サポート部材62は、そのねじ軸部62bの他端がホイール11の中心側からステー50を見たときにそのステー50よりも外側に位置する側壁44に押し付けられるように設けられる。この場合、ステー50に作用した力を複数の側壁44に分散させることができる。そのため、セーフティレール22によってより重いブローノズル14を受け止めることができる。
【符号の説明】
【0042】
10 ブロー成形機
11 ホイール(移動手段)
12 金型
14 ブローノズル
16 昇降機構
21 セーフティカム(カム部材)
21a 斜面
22 セーフティレール(レール部材)
41 柱
42 梁
43 天井
44 側壁
50A〜50D 第1〜第4ステー(ステー部材)
53 位置調整機構
62 サポート部材
S1 下降区間
S2 上昇区間
P2 搬出位置(上昇区間の始点)
P プリフォーム(予備成型品)
B ボトル(容器)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
金型と、前記金型の上方に上下動自在に設けられたブローノズルと、前記金型及び前記ブローノズルを所定の経路に沿って移動させる移動手段と、前記所定の経路に設定された下降区間では前記ブローノズルが前記金型と接触する接触位置まで前記ブローノズルが下降し、前記所定の経路の前記下降区間以外の区間である上昇区間では前記ブローノズルと前記金型とが離間する離間位置まで前記ブローノズルが上昇するように前記ブローノズルを昇降させる昇降機構と、を備え、
前記下降区間にて前記金型内の予備成型品内に前記ブローノズルからガスを吹き込んで容器をブロー成形するブロー成形機において、
前記上昇区間の始点に設けられ、前記ブローノズルと接触して前記ブローノズルを前記接触位置から前記接触位置と前記離間位置との間の所定の退避位置に上昇させる斜面を有するカム部材と、前記カム部材から前記所定の経路に沿って延びるように前記上昇区間に設けられ、前記ブローノズルと接触して前記ブローノズルを前記退避位置に保持するレール部材と、を備えていることを特徴とするブロー成形機。
【請求項2】
前記レール部材が前記上昇区間の全体に亘って設けられていることを特徴とする請求項1に記載のブロー成形機。
【請求項3】
前記金型及び前記ブローノズルが外周に設けられたホイールと、前記ホイールを回転駆動する駆動源と、を備えたホイール式移動機構が前記移動手段として設けられ、
前記レール部材は、前記ブローノズルが移動する円状の前記所定の経路よりも径方向外側に配置されていることを特徴とする請求項1又は2に記載のブロー成形機。
【請求項4】
前記ブロー成形機の周囲に複数の柱及び梁が設けられて前記ブロー成形機が天井及び側壁で囲まれており、
前記梁から吊り下げられて下端に前記レール部材が取り付けられたステー部材と、前記ホイールの中心側から前記ステー部材を見たときに前記ステー部材よりも外側に位置している側壁と前記ステー部材との間に配置されて前記ステー部材を側方から支持するサポート部材と、をさらに備えていることを特徴とする請求項3に記載のブロー成形機。
【請求項5】
前記ステー部材の下端には、前記レール部材の高さ方向の位置及び前記レール部材の前記ホイールの半径方向の位置の少なくともいずれか一方の位置を調整可能な位置調整機構が設けられていることを特徴とする請求項4に記載のブロー成形機。
【請求項1】
金型と、前記金型の上方に上下動自在に設けられたブローノズルと、前記金型及び前記ブローノズルを所定の経路に沿って移動させる移動手段と、前記所定の経路に設定された下降区間では前記ブローノズルが前記金型と接触する接触位置まで前記ブローノズルが下降し、前記所定の経路の前記下降区間以外の区間である上昇区間では前記ブローノズルと前記金型とが離間する離間位置まで前記ブローノズルが上昇するように前記ブローノズルを昇降させる昇降機構と、を備え、
前記下降区間にて前記金型内の予備成型品内に前記ブローノズルからガスを吹き込んで容器をブロー成形するブロー成形機において、
前記上昇区間の始点に設けられ、前記ブローノズルと接触して前記ブローノズルを前記接触位置から前記接触位置と前記離間位置との間の所定の退避位置に上昇させる斜面を有するカム部材と、前記カム部材から前記所定の経路に沿って延びるように前記上昇区間に設けられ、前記ブローノズルと接触して前記ブローノズルを前記退避位置に保持するレール部材と、を備えていることを特徴とするブロー成形機。
【請求項2】
前記レール部材が前記上昇区間の全体に亘って設けられていることを特徴とする請求項1に記載のブロー成形機。
【請求項3】
前記金型及び前記ブローノズルが外周に設けられたホイールと、前記ホイールを回転駆動する駆動源と、を備えたホイール式移動機構が前記移動手段として設けられ、
前記レール部材は、前記ブローノズルが移動する円状の前記所定の経路よりも径方向外側に配置されていることを特徴とする請求項1又は2に記載のブロー成形機。
【請求項4】
前記ブロー成形機の周囲に複数の柱及び梁が設けられて前記ブロー成形機が天井及び側壁で囲まれており、
前記梁から吊り下げられて下端に前記レール部材が取り付けられたステー部材と、前記ホイールの中心側から前記ステー部材を見たときに前記ステー部材よりも外側に位置している側壁と前記ステー部材との間に配置されて前記ステー部材を側方から支持するサポート部材と、をさらに備えていることを特徴とする請求項3に記載のブロー成形機。
【請求項5】
前記ステー部材の下端には、前記レール部材の高さ方向の位置及び前記レール部材の前記ホイールの半径方向の位置の少なくともいずれか一方の位置を調整可能な位置調整機構が設けられていることを特徴とする請求項4に記載のブロー成形機。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2010−221705(P2010−221705A)
【公開日】平成22年10月7日(2010.10.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−40625(P2010−40625)
【出願日】平成22年2月25日(2010.2.25)
【出願人】(593046706)キリンディスティラリー株式会社 (4)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年10月7日(2010.10.7)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年2月25日(2010.2.25)
【出願人】(593046706)キリンディスティラリー株式会社 (4)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]