説明

ブーム式作業車のカウンタウエイト位置決め装置

【課題】カウンタウエイトを車両フレーム上の適正位置に載置する作業を簡単に且つ正確に行えるようにする。
【解決手段】カウンタウエイト3をクレーンで吊り降ろして該カウンタウエイト3を車両フレーム11上の適正位置に位置決めするのに、カウンタウエイト3におけるクレーン操作室16内で操作するクレーンオペレータから見える位置にサポート6を設け、車両フレーム11上におけるクレーンオペレータから見える位置にサポート6とカウンタウエイト3の旋回台対向面33をガイドして、カウンタウエイト3を車両フレーム11上の適正位置に案内するガイド部材7を設けていることにより、クレーンオペレータが位置決め用の指標(サポート6とガイド部材7)を見ながらカウンタウエイト3を適正位置に吊り降ろすことができるようにしている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、ブーム式作業車の旋回台後部にカウンタウエイトを装着する際に、該カウンタウエイトを車両フレーム上の適正位置に載置するためのブーム式作業車のカウンタウエイト位置決め装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ブーム式作業車(移動式クレーン、高所作業車、油圧ショベル等がある)では、ブームに加わる荷重のバランサーとして旋回台後部にカウンタウエイトを装着することがあるが、該カウンタウエイトはブーム式作業車の使用現場において旋回台後部に装着される。尚、カウンタウエイトを使用するブーム式作業車は、一般に大型であってカウンタウエイトを装着したままでは公道走行時の重量制限をオーバーする関係で、カウンタウエイトを別のトラックで別送し、使用現場でカウンタウエイトをブーム式作業車の旋回台後部に装着させるようにしている。
【0003】
この種のブーム式作業車においては、カウンタウエイトを旋回台後部に着脱させるのに左右2本の油圧シリンダが使用されているが、このカウンタウエイト昇降用の油圧シリンダは、カウンタウエイト側に装着したものと旋回台側に装着したものとがある。
【0004】
そして、この種のブーム式作業車においてカウンタウエイトを旋回台後部に装着させるには、カウンタウエイトをクレーン(主として自己のクレーン)で吊持して車両フレーム上の適正位置に吊り降ろし、次に旋回台を旋回させて旋回台後部を車両フレーム上のカウンタウエイトに対応する位置に位置させ、続いて昇降用の各油圧シリンダを伸長させてそのロッド先端部を旋回台側の連結部(油圧シリンダがカウンタウエイト側にある場合)又はカウンタウエイト側の連結部(油圧シリンダが旋回台側にある場合)に連結した後、該油圧シリンダを縮小させることでカウンタウエイトを旋回台後部の装着高さまで持ち上げ、適宜の位置保持手段でカウンタウエイトを旋回台後部に保持させることによって装着させることができる。
【0005】
尚、以下の説明で、車両フレーム上に載置されるカウンタウエイトの適正位置とは、該車両フレーム上のカウンタウエイトに旋回台後部のカウンタウエイト装着部を対応させた状態で、昇降用の油圧シリンダを伸長させたときに該油圧シリンダのロッド先端部を相手側連結部に連結させ得るようにした位置のことである。
【0006】
上記したカウンタウエイトの装着過程において、車両フレーム上に載置したカウンタウエイトと旋回台後部の支持台とを各油圧シリンダで連結するには、該カウンタウエイトを車両フレーム上の適正位置に載置しておく必要がある。つまり、カウンタウエイトが車両フレーム上の適正位置に載置されていないと、油圧シリンダを伸長させたときに該油圧シリンダ側の連結部(ロッド先端部)が相手側連結部に対して位置ずれするので、該油圧シリンダ側の連結部(ロッド先端部)を相手側連結部に連結できない。
【0007】
ところで、カウンタウエイトを車両フレーム上の適正位置に位置決めするのに、公知例として特開2003−261286号公報(特許文献1)に記載されたものがある。尚、この特許文献1のブーム式作業車では、カウンタウエイト昇降用の油圧シリンダが旋回台後部に取付けられていてロッドが下向きに出没するようになっており、該油圧シリンダを伸長させることでロッド先端部をカウンタウエイト側の連結部に連結させ得るようになっている。
【0008】
ところで、この公知例(特開2003−261286号公報)に記載されているカウンタウエイト位置決め装置は、同公報の明細書の段落番号「0020」に記載されているように、車両フレーム上面に上向き凸部を設けている一方、カウンタウエイトの下面に該上向き凸部に嵌合する凹部を設けている。そして、カウンタウエイトを車両フレーム上に吊り降ろす際に、カウンタウエイト下面の凹部を車両フレーム上面の上向き凸部に嵌合させることによって、カウンタウエイトを車両フレーム上における適正位置に位置決めし得るようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2003−261286号公報(特に段落番号「0020」)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
上記公知例(特開2003−261286号公報)のブーム式作業車では、カウンタウエイトを車両フレーム上の適正位置に載せるのに、該カウンタウエイトを自己のクレーンで吊持し、該カウンタウエイトの吊持位置を前後左右に微調整しながら、該カウンタウエイト下面の凹部を車両フレーム上面の上向き凸部に嵌合させることで行うようにしているが、カウンタウエイト位置決め用の指標となるカウンタウエイト下面の凹部はクレーン操作室のクレーンオペレータからは見えない位置にある。尚、カウンタウエイトが車両フレーム上面の上向き凸部の上方に被さった状態では該上向き凸部もクレーンオペレータから見えなくなる。
【0011】
従って、この公知例のカウンタウエイト位置決め装置では、カウンタウエイト位置決め用の指標(カウンタウエイト下面の凹部)がクレーン操作室(クレーンオペレータ)から見えないので、カウンタウエイトを車両フレーム上の適正位置(上記凹部が上記凸部に嵌合する位置)に載せるためのクレーン操作が非常に面倒なものとなっていた。即ち、カウンタウエイトを車両フレーム上の適正位置に載置するには、カウンタウエイトをクレーンで吊り降ろしながら上記凹部を上記凸部に嵌合させるが、その凹部と凸部がクレーンオペレータから見えないので、その位置合わせのための調整操作(前後左右の微調整操作と、降下操作)を手探り状態で行う必要があり、その位置合わせ操作が非常に難しいとともに時間がかかるという問題があった。
【0012】
そこで、本願は、カウンタウエイトを車両フレーム上の適正位置に載置する際の、該カウンタウエイトの位置合わせ作業を簡単に行えるようにした、ブーム式作業車のカウンタウエイト位置決め装置を提供することを目的としてなされたものである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本願発明は、上記課題を解決するための手段として次の構成を有している。尚、本願発明は、ブーム式作業車のカウンタウエイト位置決め装置を対象としたものである。
【0014】
[本願請求項1の発明]
本願請求項1の発明のカウンタウエイト位置決め装置は、車両上に旋回自在に搭載した旋回台の後部にカウンタウエイトを装着する際に、該カウンタウエイトをクレーンで吊り降ろして該カウンタウエイトを車両フレーム上の適正位置に位置決めするためのものであって、ブーム式作業車に装備されるものである。尚、本願のカウンタウエイト位置決め装置が装備されるブーム式作業車としては、移動式クレーンや高所作業車や油圧ショベル等がある。
【0015】
この種のブーム式作業車では、旋回台の後部にカウンタウエイトを支持する支持台を設けて、該支持台にカウンタウエイトを支持させるようにしている。尚、以下の説明では、旋回台の後部を単に旋回台後部ということがある。
【0016】
カウンタウエイトは、油圧シリンダによって車両フレーム上と旋回台後部の装着位置との間で昇降せしめられるが、この昇降用の油圧シリンダは、カウンタウエイト側に装着したものでも旋回台側に装着したものでもよい。又、この昇降用の油圧シリンダは左右に2本使用することが多いが、該油圧シリンダの使用本数は特に限定しない。
【0017】
尚、油圧シリンダをカウンタウエイト側に装着したものでは、該油圧シリンダのロッドが上向きになる姿勢で設置して、油圧シリンダの伸長動作によりロッド先端部が旋回台後部の支持台に連結し得るようになっており、他方、油圧シリンダを旋回台側に装着したものでは、該油圧シリンダのロッドが下向きになる姿勢で設置して、油圧シリンダの伸長動作によりロッド先端部がカウンタウエイト側の連結部に連結し得るようになっている。
【0018】
そして、このブーム式作業車では、カウンタウエイトを旋回台後部に装着するには、該カウンタウエイトを自己のクレーンで吊持して車両フレーム上における旋回台側のカウンタウエイト装着位置に対応する適正位置に吊り降ろし、昇降用の油圧シリンダを伸長させてそのロッド先端部を相手側連結部に連結した後、該油圧シリンダを縮小させることでカウンタウエイトを旋回台後部の装着高さまで持ち上げ、適宜の位置保持手段でカウンタウエイトを旋回台後部に保持させることによって装着させることができる。
【0019】
尚、本願の説明において、車両フレーム上に載置されるカウンタウエイトの適正位置とは、車両フレーム上のカウンタウエイトに旋回台後部のカウンタウエイト装着部を対応させた状態で、昇降用の油圧シリンダを伸長させたときに該油圧シリンダのロッド先端部を相手側連結部に連結させ得るようにした位置のことである。
【0020】
本願請求項1のカウンタウエイト位置決め装置は、上記のブーム式作業車において次の構成を有している。
【0021】
まず、カウンタウエイト側には、該カウンタウエイトにおける旋回台に対向する面であってクレーン操作室内で操作するクレーンオペレータから見える位置にサポートを設けている。尚、カウンタウエイトにおける旋回台に対向する面とは、カウンタウエイトを旋回台後部に装着した状態での旋回台対向面のことである。
【0022】
カウンタウエイト側のサポートは、後述する車両フレーム上のガイド部材に対して左右方向から衝合し得るものであって、例えば縦向きで板状に突出するものが採用できる。尚、このサポートは、カウンタウエイトの旋回台対向面における左右中央部から左右に等距離づつ振り分けた2位置に設けることが好ましい。
【0023】
他方、車両フレーム上におけるクレーン操作室内で操作するクレーンオペレータから見える位置には、カウンタウエイトを吊り降ろす際に該カウンタウエイトのサポートを左右方向にガイドする一方、カウンタウエイトの旋回台対向面を前後方向にガイドして、カウンタウエイトを車両フレーム上の適正位置に案内するガイド部材を設けている。
【0024】
このガイド部材は、カウンタウエイトをクレーンで吊り降ろす際に、該カウンタウエイト側のサポートを左右方向にガイドするとともに、該カウンタウエイトの旋回台対向面を前後方向にガイドし得るものであり、カウンタウエイトの下面が車両フレーム上に着座するまで吊下させたときに、該カウンタウエイトを車両フレーム上の適正位置に導き得るようになっている。
【0025】
この請求項1のカウンタウエイト位置決め装置を使用したブーム式作業車では、カウンタウエイトを車両フレーム上の適正位置に吊り降ろすのに、クレーン操作室内で操作するクレーンオペレータが、カウンタウエイト位置決め用の指標となる上記サポート及びガイド部材を見ながら行える。又、カウンタウエイト吊り降ろし時に、該カウンタウエイト側のサポートやカウンタウエイトの旋回台対向面が車両フレーム側のガイド部材に衝合すると、該カウンタウエイトがガイド部材にガイドされて車両フレーム上の適正位置側に移動するようになり、該カウンタウエイトの下面が車両フレーム上に着座したときには、該カウンタウエイトが適正位置(昇降用の油圧シリンダで連結し得る位置)に配置されるようになる。
【0026】
[本願請求項2の発明]
本願請求項2の発明は、上記請求項1のカウンタウエイト位置決め装置において、車両フレーム側のガイド部材に、カウンタウエイトを車両フレームの適正位置に導くガイド用の傾斜面を設けたものである。
【0027】
この請求項2のように、ガイド部材にガイド用の傾斜面を設けておくと、カウンタウエイト吊り降ろし時に該カウンタウエイトをガイド用傾斜面に沿って適正位置側に移動させ易くなる。
【0028】
[本願請求項3の発明]
本願請求項3の発明は、上記請求項1又は2のカウンタウエイト位置決め装置において、カウンタウエイト側のサポートの下端に凹部を設ける一方、車両フレーム側のガイド部材に上記凹部に嵌合する凸部を設けて、カウンタウエイトが車両フレーム上の適正位置に載置された状態で上記凹部が上記凸部に嵌合してカウンタウエイトを前後方向に位置保持するようにしたものである。
【0029】
この請求項3のカウンタウエイト位置決め装置では、カウンタウエイトを車両フレーム上の適正位置に着座させると、サポート側の凹部がガイド部材側の凸部に嵌合して、カウンタウエイトが前後に移動不能となる。
【0030】
[本願請求項4の発明]
本願請求項4の発明は、上記請求項1から3のいずれか1項のカウンタウエイト位置決め装置において、車両フレーム側のガイド部材を左右に離間した2位置に一対設けたものである。
【0031】
このように、ガイド部材を左右に離間した2位置に一対設けていると、カウンタウエイトの左右方向の向きを2箇所で位置決めできる。
【0032】
[本願請求項5の発明]
本願請求項5の発明は、上記請求項1から4のいずれか1項のカウンタウエイト位置決め装置において、旋回台の後部にカウンタウエイト側のサポートを連結する連結台を設け、該連結台に横向きピンを設け、サポートの上面側に横向きピンに下方から嵌合する凹溝を設けているとともに、サポート側の凹溝を連結台側の横向きピンに嵌合させた状態でサポートの下部を連結台に対して位置保持手段で位置保持させるようにしたものである。
【0033】
この請求項5のカウンタウエイト位置決め装置では、カウンタウエイトを油圧シリンダで旋回台後部に対して装着高さまで持ち上げたときに、カウンタウエイト側のサポートの上面側に設けている凹溝が旋回台後部の連結台側の横向きピンに下方から嵌合し、さらにその凹溝と横向きピンとの嵌合状態でサポート下部を連結台に対して位置保持手段(例えば連結ピン)で位置保持させることによって、カウンタウエイト側のサポートを旋回台後部の連結台に連結できるようになっている。
【0034】
[本願請求項6の発明]
本願請求項6の発明は、上記請求項5のカウンタウエイト位置決め装置において、位置保持手段として、サポートの下端に設けた凹部に連結台側から挿入したピンを嵌入させるようにしたものを採用している。
【0035】
この請求項6のカウンタウエイト位置決め装置において、サポートの下端に設けた凹部は、上記請求項3において前後位置保持用に使用したものを利用できる。
【発明の効果】
【0036】
[本願請求項1の発明の効果]
本願請求項1のカウンタウエイト位置決め装置は、カウンタウエイトをクレーンで吊持して車両フレーム上に吊り降ろす際に、クレーンオペレータがカウンタウエイト位置決め用の指標となるカウンタウエイト側のサポートと車両フレーム側のガイド部材の両方を見ながら行える。
【0037】
このように、カウンタウエイト位置決め用の各指標をクレーンオペレータが見ながら行えるようにすると、カウンタウエイトを車両フレーム上の適正位置に吊り降ろす作業が簡単且つ短時間で行えるという効果がある。
【0038】
又、車両フレーム側のガイド部材は、カウンタウエイト側のサポートを左右方向にガイドする一方、カウンタウエイトの旋回台対向面を前後方向にガイドするので、カウンタウエイトの吊持位置が正常位置から若干程度位置ずれしている場合であっても、ガイド部材でガイドし得る範囲であればカウンタウエイトを自動的に適正位置に移動させることができるという効果もある。
【0039】
[本願請求項2の発明の効果]
本願請求項2の発明は、請求項1のカウンタウエイト位置決め装置において、車両フレーム側のガイド部材にカウンタウエイトを車両フレームの適正位置に導くガイド用の傾斜面を設けたものである。
【0040】
このように、ガイド部材にカウンタウエイトガイド用の傾斜面を設けていると、カウンタウエイト吊り降ろし時に該カウンタウエイトをガイド用傾斜面に沿って適正位置側に移動させ易くなる。
【0041】
従って、この請求項2のカウンタウエイト位置決め装置は、上記請求項1の効果に加えて、カウンタウエイトを一層正確な適正位置に位置決めすることができるという効果がある。
【0042】
[本願請求項3の発明の効果]
本願請求項3の発明は、上記請求項1又は2のカウンタウエイト位置決め装置において、カウンタウエイト側のサポートの下端に凹部を設ける一方、車両フレーム側のガイド部材に上記凹部に嵌合する凸部を設けて、カウンタウエイトが車両フレーム上の適正位置に載置された状態で上記凹部が上記凸部に嵌合してカウンタウエイトを前後方向に位置保持するようにしたものである。
【0043】
そして、この請求項3のカウンタウエイト位置決め装置では、カウンタウエイトを車両フレーム上の適正位置に着座させると、サポート側の凹部がガイド部材側の凸部に嵌合するようになっている。
【0044】
従って、この請求項3のカウンタウエイト位置決め装置では、上記請求項1又は2の効果に加えて、カウンタウエイトを車両フレーム上の適正位置に着座させた後は該カウンタウエイトを確実に前後移動不能に位置保持できるという効果がある。
【0045】
[本願請求項4の発明の効果]
本願請求項4の発明は、上記請求項1から3のいずれか1項のカウンタウエイト位置決め装置において、車両フレーム側のガイド部材を左右に離間した2位置に一対設けたものである。
【0046】
この請求項4のカウンタウエイト位置決め装置ように、ガイド部材を左右に離間した2位置に一対設けると、カウンタウエイトの左右方向の向きを2箇所で位置決めできる。
【0047】
従って、この請求項4のカウンタウエイト位置決め装置では、上記請求項1〜3の効果に加えて、カウンタウエイトの左右方向の向きを一層正確に位置決めできるという効果がある。
【0048】
[本願請求項5の発明の効果]
本願請求項5の発明は、上記請求項1から4のいずれか1項のカウンタウエイト位置決め装置において、カウンタウエイトを油圧シリンダで旋回台後部に対して装着高さまで持ち上げたときに、カウンタウエイト側のサポートの上面側に設けている凹溝が旋回台後部の連結台側の横向きピンに下方から嵌合し、さらにその凹溝と横向きピンとの嵌合状態でサポート下部を連結台に対して位置保持手段(例えば連結ピン)で位置保持させることによって、カウンタウエイト側のサポートを旋回台後部の連結台に連結できるようになっている。
【0049】
従って、この請求項5のカウンタウエイト位置決め装置では、上記請求項1〜4の効果に加えて、カウンタウエイト側のサポートを、車両フレーム側のガイド部材に衝合する位置決め用としての機能のほかに、旋回台後部に設けた連結台に対する連結部として有効利用できるという効果がある。
【0050】
[本願請求項6の発明の効果]
本願請求項6の発明は、上記請求項5のカウンタウエイト位置決め装置において、位置保持手段として、サポートの下端に設けた凹部に連結台側から挿入したピンを嵌入させるようにしたものを採用している。
【0051】
従って、この請求項6のカウンタウエイト位置決め装置では、上記請求項5の効果に加えて、上記請求項3で採用している前後位置保持用の凹部(ガイド部材側の凸部に嵌合するもの)を、請求項5における位置保持手段として共用できるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】本願第1実施例のカウンタウエイト位置決め装置を装備したブーム式作業車の側面図であって、カウンタウエイトを所定位置に吊り降ろすとき作業状態説明図である。
【図2】本願第1実施例のカウンタウエイト位置決め装置部分を含む図1の一部拡大斜視図である。
【図3】図2のIII矢視図である。
【図4】図3のIV−IV矢視図である。
【図5】本願第1実施例のカウンタウエイト位置決め装置に使用されているサポート及びガイド部材の拡大斜視図である。
【図6】図2からの状態変化図で、カウンタウエイトを車両フレーム上に載せた状態の斜視図である。
【図7】図6のVII矢視図である。
【図8】図7のVIII−VIII矢視図である。
【図9】図1のブーム式作業車におけるカウンタウエイトを旋回台後部に装着するときの作業状態説明図である。
【図10】図9の一部拡大図である。
【図11】カウンタウエイトを旋回台後部に装着するときの説明図で、図10を左上方から見た斜視図である。
【図12】図11の一部拡大図である。
【図13】図12からの状態変化図で、ロッド先端部係止状態の斜視図である。
【図14】カウンタウエイトを旋回台後部に装着させた状態での後方から見た図である。
【図15】図14のXV−XV矢視図である。
【図16】図15のXVI−XVI断面図である。
【図17】本願第2実施例のカウンタウエイト位置決め装置部分を含む斜視図(図2相当図)である。
【図18】図17のXVIII矢視図である。
【図19】図18のXIX−XIX矢視図である。
【発明を実施するための形態】
【0053】
以下、図1〜図19を参照して本願の実施例を説明すると、図1〜図16には本願第1実施例のカウンタウエイト位置決め装置を装備したブーム式作業車及び該第1実施例のカウンタウエイト位置決め装置の詳細を示し、図17〜図19には第2実施例のカウンタウエイト位置決め装置の詳細を示している。尚、図1〜図16に示す第1実施例のカウンタウエイト位置決め装置は、本願請求項の1〜6の全てに対応するものであり、図17〜図19に示す第2実施例のカウンタウエイト位置決め装置は、本願請求項の1〜3に対応するものである。
【0054】
[図1〜図16の第1実施例]
図1及び図9では、カウンタウエイトを装着するブーム式作業車として大型の移動式クレーンを採用している。尚、本願で使用できるブーム式作業車としては、移動式クレーンのほかに高所作業車や油圧ショベルも採用可能である。
【0055】
図1及び図9に示すブーム式作業車は、車両1のフレーム(以下、単に車両フレームという)11上に旋回ベアリング12を介して旋回台2を水平旋回自在に設置しているとともに、該旋回台2に伸縮ブーム13を起伏自在に取付けている。
【0056】
又、この種の大型のブーム式作業車では、旋回台2の後部21にカウンタウエイト3を着脱自在に装着し得るようになっている。尚、以下の説明では、旋回台2の後部21を単に旋回台後部21ということがある。
【0057】
ところで、カウンタウエイト3は大重量であって、カウンタウエイト3を旋回台後部21に装着したままでは、公道走行時の重量制限をオーバーしてしまう関係で、該カウンタウエイト3はブーム式作業車とは別の運搬車で作業現場まで搬送される。
【0058】
尚、この実施例で使用するカウンタウエイト3は、図2に示すように低高さの中央部ウエイト31の左右両側にそれぞれ高高さの側部ウエイト32,32を一体的に組付けたものを採用している。
【0059】
そして、カウンタウエイト3を旋回台後部21に装着するには、図1に示すように自己のクレーン(伸縮ブーム13、ウインチ14、フック15等)でカウンタウエイト3を吊持して、該カウンタウエイト3を車両フレーム11上の適正位置(旋回台後部21に装着させ得る位置)に載置し、その後、図9に示すように旋回台2を旋回させて、旋回台後部21を車両フレーム11上のカウンタウエイト3に対面させる。
【0060】
ところで、カウンタウエイト3を車両フレーム11上の適正位置(旋回台後部21に装着させ得る位置)に載置するには、後述のカウンタウエイト位置決め装置を使用して行うが、このカウンタウエイト位置決め装置を説明する前に、カウンタウエイト3を車両フレーム11上から旋回台後部21に装着するためのカウンタウエイト着脱装置について図9〜図15を参照して説明する。尚、以下の説明において、左右及び前後とは旋回台後部21を後方から見た状態での左右及び前後のことであり、後面視とは同じく旋回台後部21を後方から見た状態のものである。
【0061】
この実施例のブーム式作業車に使用されているカウンタウエイト着脱装置は、図9〜図15に示すように旋回台後部21にカウンタウエイト3を支持するための支持台22を設置している一方、カウンタウエイト3に昇降用の油圧シリンダ4を設けている。
【0062】
昇降用の油圧シリンダ4は、カウンタウエイト3を安定支持するために中央部ウエイト31における左右に離間した2位置に2本使用しており、それに対応して旋回台後部21の支持台22も左右2箇所に設けている。又、この実施例では、左右の各油圧シリンダ4,4は、前後方向に若干位置ずれさせている。即ち、図11において、左側の油圧シリンダ4が旋回台後部21に近い位置(前位置)にあり、右側の油圧シリンダ4が旋回台後部21から遠い位置(後位置)にある。
【0063】
各油圧シリンダ4,4は、それぞれそのロッド42が上向きになる姿勢でそのチューブ41をカウンタウエイト3に対して止具43で固定している。従って、この各油圧シリンダ4,4を伸縮作動させると、カウンタウエイト3に対してロッド42が上下動するようになっている。
【0064】
各油圧シリンダ4,4のロッド42の先端部には、それぞれロッド42の外径より大径の膨形部44を設けている。尚、以下の説明では、ロッドの先端部を単にロッド先端部ということがある。
【0065】
上記各膨形部44,44は、ロッド42の外径より適度に大径の円盤状鋼材をロッド先端部に溶接にて固定したものである。
【0066】
旋回台後部21に設置しているカウンタウエイト支持用の各支持台22,22は、後面視四角形で前後に適宜長さをもつフレーム部を有し、該各フレーム部がそれぞれ旋回台後部21の上面より高位置において後方に突出する姿勢で取付けている。
【0067】
この各支持台22,22の各先端部には、油圧シリンダ4側の膨形部44を上下に挿通させ得る大開口の穴25をそれぞれ設けている。この各穴25,25は、カウンタウエイト3を旋回台後部21に装着可能な位置に置いた状態で、各油圧シリンダ4,4のロッド先端部に設けている各膨形部44,44に対して平面視で重合し得る位置に設けられている。
【0068】
左右の各支持台22,22には、ロッド先端部の膨形部44を係止し得る係止部材50がそれぞれ前後スライド自在に設けられている。
【0069】
各係止部材50,50には、上面板部分の後端位置から前方に向けて、油圧シリンダ4のロッド42の外径より広幅で膨形部44の外径より狭幅の溝56が形成されている。尚、この各係止部材50,50のその他の構造は、図12及び図13に示すものであるが、本願のカウンタウエイト位置決め装置にはさほど重要ではないので、該係止部材50の詳細構造の説明は省略する。
【0070】
そして、この実施例で使用されているカウンタウエイト着脱装置は、次のように機能する。
【0071】
まず、図1に示すようにカウンタウエイト3をクレーンで吊持して、該カウンタウエイト3を車両フレーム11上の適正位置に吊り降ろす。その際、クレーン操作室16からクレーンオペレータがクレーンで吊持されているカウンタウエイト3を見ながら車両フレーム11上の適正位置に位置合わせする。そして、カウンタウエイト3を車両フレーム11上に載せた後、図9に示すように旋回台2を旋回させて旋回台後部21をカウンタウエイト3に対面させる。
【0072】
図10及び図11は、図9の状態の一部拡大図であるが、この状態では、左右の支持台22,22の先端部の穴25,25が平面視においてカウンタウエイト3側の各油圧シリンダ4,4(各膨形部44,44)の直上方に位置している。
【0073】
この状態で、両油圧シリンダ4,4を伸長させると、図12に鎖線図示するようにロッド42′が上方に伸長して膨形部44′が支持台22の先端部の穴25を通して係止部材50の上面より僅かに高い位置まで上動する。その後、係止部材50を後方(係止側)にスライドさせると、図13に示すように係止部材50の上面板にある溝56が膨形部44の下面側近傍においてロッド42を左右から跨ぐように嵌合する。
【0074】
そして、図13の状態で両油圧シリンダ4,4を縮小させると、まず膨形部44の下面が係止部材50の溝56の左右対向縁部上に当接してロッド42が下動不能となり、続いて油圧シリンダ4のチューブ41が引き上げられることでカウンタウエイト3を上動させていき、最終的に図14及び図15に示すようにカウンタウエイト3を旋回台後部21の所定高さ位置まで持ち上げることができる。
【0075】
ところで、車両フレーム11上に載置したカウンタウエイト3を旋回台後部21に装着するのに、各油圧シリンダ4,4のロッド先端部(膨形部44)を旋回台後部21側の支持台22に連結する必要があるが、その際、カウンタウエイト3を車両フレーム11上の適正位置に位置決めしておく必要がある。即ち、カウンタウエイト3側の油圧シリンダ4を伸長させたときに、ロッド先端部(膨形部44)を支持台22側の連結部(穴25)に挿通させ得るように、カウンタウエイト3を車両フレーム11上の適正位置に位置させる必要がある。特に、車両フレーム11上でのカウンタウエイト3の前後方向の位置決めは重要である。
【0076】
そこで、この実施例では、以下に説明するカウンタウエイト位置決め装置を使用して、カウンタウエイト3を車両フレーム11上の適正位置に載せ得るようにしている。
【0077】
尚、本願実施例の説明においても、車両フレーム11上に載置されるカウンタウエイト3の適正位置とは、該車両フレーム11上のカウンタウエイト3に旋回台後部21を対面させた状態で、昇降用の油圧シリンダ4,4を伸長させたときに該油圧シリンダ4のロッド先端部(膨形部44)を相手側連結部(支持台22の先端部の穴25)に係合させ得るようにした位置のことである。
【0078】
次に、図1〜図8に示す本願第1実施例のカウンタウエイト位置決め装置について説明すると、この第1実施例のカウンタウエイト位置決め装置は、カウンタウエイト3側に設けた左右一対のサポート6,6と、車両フレーム11上に設けた左右一対のガイド部材7,7を有している。尚、図1〜図4はカウンタウエイト3を車両フレーム11上に載せる前の状態図であり、図5はサポート6とガイド部材7の詳細図であり、図6〜図8はカウンタウエイト3を車両フレーム11上に載せた後の状態図である。又、図2は、カウンタウエイト3に対して見る方向が図11の場合と前後逆であるので、該図2及び図3の左右方向の表示は図11のものとは逆になる。又、図5においては、左右方向のことを説明の都合で内外と表示している。
【0079】
カウンタウエイト3側の各サポート6,6は、図1に示すようにカウンタウエイト3をクレーンで吊り降ろす際に、クレーン操作室16内のクレーンオペレータから見える位置に取付けている。即ち、この実施例では、各サポート6,6は、カウンタウエイト3の中央部ウエイト31における旋回台2に対向する面(以下、これを旋回台対向面という)33に取付けている。
【0080】
この各サポート6,6は、相互に同形で所定幅及び所定高さを有した板状体が使用されている。そして、この各サポート6,6は、カウンタウエイト3(中央部ウエイト31)の旋回台対向面33における左右幅中心を挟んで左右に所定間隔(図3の間隔W1)だけ離間した2位置に縦向き姿勢で且つ前方に突出する姿勢で取付けている。尚、この各サポート6,6の下端面は、カウンタウエイト3の下面とほぼ同じかそれより僅かに高い位置となるように設定されている。
【0081】
各サポート6,6には、その下面部分に後述するガイド部材7の横向き丸棒体76に嵌合する上向きに切欠いた凹部61を設けている一方、上面部分に後述する旋回台後部21側の横向きピン28に嵌合する凹溝62を設けている。上記横向き丸棒体76は、本願請求項3〜6における凸部となるものである。尚、この各サポート6,6側の凹部61及び凹溝62の機能については後述する。
【0082】
他方、車両フレーム11側の各ガイド部材7,7は、車両フレーム11の上部に設けたカウンタウエイト載置用の2条の載せ台17,17の前端部上にそれぞれ設置している。そして、この各ガイド部材7,7も、図1に示すようにカウンタウエイト3をクレーンで吊り降ろす際に、クレーン操作室16内のクレーンオペレータから見える位置に取付けられている。
【0083】
カウンタウエイト載置用の各載せ台17,17は、所定長さを有した2本の角フレーム材を、車両フレーム11上に左右に所定間隔をもたせた状態で前後向き姿勢で並置させたものである。
【0084】
左右の各ガイド部材7,7は、図5に拡大図示するものを一対使用している。この各ガイド部材7,7は、図5に拡大図示するように、矩形の台板71上に前後向き板72と左右向き板74と横向き丸棒体76(本願請求項3〜6における凸部となる)とをそれぞれ取付けて構成されている。尚、それぞれ後述するように、前後向き板72はカウンタウエイト3の旋回台対向面33を前後にガイドするものであり、左右向き板74はカウンタウエイト3側のサポート6を左右にガイドするものであり、横向き丸棒体76はサポート6の凹部61を嵌合させることでカウンタウエイト3を前後に移動不能に位置保持させるものであるが、それらの詳細については後述する。
【0085】
ガイド部材7の前後向き板72と左右向き板74とは、それぞれ所定高さと所定幅を有している。そして、図5に示すように、前後向き板72は、台板71の内方側寄り位置の上面において前後向き姿勢で立設しており、左右向き板74は、前後向き板72の幅中央位置から外方側に向けた姿勢で立設しており、横向き丸棒体(凸部となる)76は、台板71の上面において内外方向(左右方向)に向けた姿勢で且つ横向き丸棒体76の外端部が左右向き板74の外側の端面75よりさらに外方に突出する状態で設置している。
【0086】
そして、この一対のガイド部材7,7は、図2に示すように各前後向き板72,72が内方側に位置する姿勢で、各台板71を各載せ台17の前端部上にボルト止め(図5参照)することで該載せ台17上に固定している。又、各ガイド部材7,7は、後述するようにクレーンで吊り降ろされるカウンタウエイト3を車両フレーム11上の適正位置上に案内するものであり、該各ガイド部材7,7の取付位置は、カウンタウエイト3側の両サポート6,6の位置や車両フレーム11上の適正位置に載せられるカウンタウエイト3の旋回台対向面33の位置にそれぞれ対応して位置決めされる。
【0087】
各ガイド部材7,7における各側の前後向き板72,72は、図4に示すように吊り降ろされるカウンタウエイト3の旋回台対向面33に衝合して該カウンタウエイト3を前後に位置決めするものであって、該前後向き板72の後側端面73には、その上端から所定中間高さ位置までの範囲に後側に下り傾斜する傾斜面73aを形成している。尚、この実施例のガイド部材7では、前後向き板72の前後各端面にそれぞれ傾斜面を対称形に形成しているが、このように前後向き板72の前後各端面にそれぞれ傾斜面を対称形に形成しておくと、図2に示すように両ガイド部材7,7を左右逆向きに設置する場合に、単一形状のガイド部材7をいずれの側にも適用できる。
【0088】
又、各ガイド部材7,7における各側の左右向き板74,74は、図3に示すように吊り降ろされるカウンタウエイト3の左右同側に位置するサポート6に衝合して該カウンタウエイト3を左右に位置決めするものであって、該左右向き板74の外側端面75には、その上端から所定中間高さ位置までの範囲に外側に下り傾斜する傾斜面75aを形成している。
【0089】
そして、この各ガイド部材7,7は、カウンタウエイト3を前後左右の適正位置に吊持した状態で、図3に示すように各側の左右向き板74,74の両外側端面75,75間の間隔W2がカウンタウエイト3側の左右両サポート6,6の内面間隔W1とほぼ同等で(間隔W1が間隔W2よりごく僅かに広い)、且つ図4に示すように各側の前後向き板72の両後側端面73がカウンタウエイト3の旋回台対向面33の直下に合致する状態で、それぞれ載せ台17,17の前端部上に設置(固定)している。
【0090】
又、各ガイド部材7,7を上記のように設置すると、カウンタウエイト3を前後左右の適正位置に吊持した状態では、図4に示すように左右の両サポート6の下端部にある各凹部61がそれぞれ各側のガイド部材7の横向き丸棒体76に上方から嵌合し得るように位置するようになっている。
【0091】
この第1実施例のカウンタウエイト位置決め装置では、図1に示すように、カウンタウエイト3をクレーンで吊持して車両フレーム11(各載せ台17,17)上の適正位置に載せる際に、カウンタウエイト3側の両サポート6,6と車両フレーム11上の各ガイド部材7,7とがカウンタウエイト位置決め用の指標となり、しかも両指標(サポート6とガイド部材7)をクレーン操作室16内からクレーンオペレータが見ながら該カウンタウエイト3の吊持位置を前後左右に調整できる。尚、カウンタウエイト3の前後位置は、伸縮ブーム13の起伏操作(又は伸縮操作)で調整でき、カウンタウエイト3の左右位置は、旋回台2の旋回操作で調整できる。
【0092】
このように、カウンタウエイト3を車両フレーム11上の適正位置に吊り降ろす際に、クレーンオペレータが両指標(サポート6とガイド部材7)を見ながらクレーン操作する場合は、該カウンタウエイト3が適正位置に吊持されているかどうかを明確に確認できるので、その位置合わせ作業が容易で且つ正確位置に位置合わせすることができる。
【0093】
又、車両フレーム11側の両ガイド部材7,7に、カウンタウエイト3を前後及び左右の適正位置にガイドするための各ガイド部(前後向き板72の傾斜面73a、左右向き板74の傾斜面75a)を設けているので、クレーンで吊持しているカウンタウエイト3が適正吊持位置から前後(特に前方)左右のずれが僅かの場合は、各ガイド部(傾斜面73a,75a)によりカウンタウエイト3の吊持位置を自動調整しながら車両フレーム11上の適正位置に着座させることができる。即ち、左右方向の調整は、図3に示すように吊り降ろされるカウンタウエイト3側の左右両サポート6,6が各ガイド部材7,7の左右向き板74,74の外側端面75,75(傾斜面75a,75a)にガイドされて、カウンタウエイト3が左右方向に位置合わせされる一方、前後方向の調整は、図4に示すように吊り降ろされるカウンタウエイト3の旋回台対向面33の下端角部が後側端面73(傾斜面73a)にガイドされてカウンタウエイト3が前後方向(特に後側方向)に位置合わせされるようになっている。
【0094】
そして、カウンタウエイト3を車両フレーム11(両載せ台17,17)上に着座するまで降下させると、図6〜図8に示すようにカウンタウエイト3が車両フレーム11(両載せ台17,17)上に載置されるが、このカウンタウエイト3の載置状態では、カウンタウエイト3の下面が両載せ台17,17上に跨がって安定姿勢で着座している。
【0095】
又、このカウンタウエイト3の載置状態(図6〜図8)では、カウンタウエイト3の旋回台対向面33が左右に間隔をもった2つのガイド部材7,7(各前後向き板72の両後側端面73)で位置保持されるので、カウンタウエイト3の左右方向の向きが正確に位置決めされており、さらに図8に示すようにカウンタウエイト3側の両サポート6の下端面にある凹部61がそれぞれガイド部材7の横向き丸棒体(凸部)76に嵌合しているので、カウンタウエイト3が載せ台17上で前後に移動不能に位置決めされている。
【0096】
このように、この第1実施例のカウンタウエイト位置決め装置では、カウンタウエイト3を車両フレーム11上に吊り降ろす際に、上記した各種の機能をそれぞれ達成し得るものである。
【0097】
又、この第1実施例のカウンタウエイト位置決め装置では、上記(図14〜図15)したようにカウンタウエイト3を旋回台後部21に装着した状態で、カウンタウエイト3側の各サポート6,6をカウンタウエイト連結用の部材として利用しているが、その構成について以下に説明する。
【0098】
カウンタウエイト3側の各サポート6,6には、その下面に上向きの凹部61が形成されているとともに、その上面に下向きの凹溝62が形成されている。
【0099】
他方、旋回台後部21には、図10〜図13、図15〜図16等に示すように、旋回台後部21における左右各側面部の後端位置にそれぞれ所定小間隔の隙間27を隔てて連結台26,26を取付けている。この各連結台26と旋回台後部21の各側面との間の各隙間27,27は、カウンタウエイト3を上動させたときに各側のサポート6,6をそれぞれ下方から進入させるものである。
【0100】
該隙間27の上部寄り位置には、旋回台後部21の側面と連結台26に跨がって横向きピン28が設けられている。この横向きピン28には、図13に示すようにサポート6の上面に設けた凹溝62が下方から嵌合し得るようになっている。
【0101】
カウンタウエイト3側の各サポート6,6の下部側は、各連結台26に対してそれぞれ位置保持手段8で位置保持させ得るようにしている。この位置保持手段8としては、図13、図15〜図16等に示すように、連結台26の下部寄り位置に設けたピン穴29と、サポート6の下面に設けた凹部61と、該ピン穴29及び凹部61に跨がって挿入されるピン81とを有している。尚、連結台26側のピン穴29の奥部には、旋回台後部21の側面にもピン穴29a(図12、図13、図16)が形成されている。
【0102】
そして、図10及び図11に示すようにカウンタウエイト3を車両フレーム11上の適正位置に載置した状態から、各油圧シリンダ4,4でカウンタウエイト3を旋回台後部21の装着位置まで上昇させると、図13に鎖線図示するサポート(左右一対ある)6が連結台26と旋回台後部21の側面との間の隙間27に下方から進入する。そのとき、サポート6の上部にある凹溝62が連結台26側の横向きピン28に下方から嵌合する(図15及び図16参照)一方、サポート6側の凹部61が連結台26側のピン穴29に重合する。そして、連結台26の外側から、該連結台26のピン穴29とサポート6の凹部61と旋回台後部21の側面のピン穴29aにピン81を挿通させることにより、左右の各サポート6,6をそれぞれ連結台26,26部分で位置保持させることができる。
【0103】
従って、この第1実施例のカウンタウエイト位置決め装置では、カウンタウエイト3側の各サポート6,6を、カウンタウエイト装着時の位置決め用とカウンタウエイト装着状態でのカウンタウエイト位置保持用に共用できる。
【0104】
[図17〜図19の第2実施例]
図17〜図19に示す第2実施例のカウンタウエイト位置決め装置は、上記第1実施例における車両フレーム11側のガイド部材7の変形例を示すものである。即ち、上記第1実施例では、2つのガイド部材7,7を左右に所定間隔をもって設置したものであるが、第2実施例では、左右の両載せ台17,17に跨がる長さを有した単一のガイド部材7Aを使用している。
【0105】
この第2実施例(図17〜図19)で使用されているガイド部材7Aは、両載せ台17、17に跨がる左右長さの台板71Aの後側端部に左右に長い1枚の左右向き板74Aを立設している一方、台板71Aの上面に左右に長い1本の横向き丸棒体(凸部となる)76Aを設けて構成されている。
【0106】
左右向き板74Aは、その上半部を前側に上り傾斜させた傾斜面75A(図19参照)としている一方、左右両端部の上部側をそれぞれ内方側に上り傾斜させた傾斜面73A,73A(図18参照)としている。
【0107】
そして、左右の各傾斜面73A,73Aは、カウンタウエイト3を車両フレーム11上まで降下させるときに(図18の符号3′参照)、左右のサポート6,6(6′,6′)をそれぞれ左右各側からガイドし得るものであり、前側に上り傾斜させた傾斜面75Aは、カウンタウエイト3を車両フレーム11上まで降下させるときに(図19の符号3′参照)、カウンタウエイト3の旋回台対向面33の下端角部を前部側からガイドし得るものである。
【0108】
他方、横向き丸棒体76Aの左右各端部76Aa,76Aaは、左右向き板74Aの左右両端よりそれぞれ小長さづつ外側に突出していて、カウンタウエイト3が下動したときに(図18の符号3′)、左右の各サポート6′,6′の凹部61が横向き丸棒体76Aの左右各端部76Aa,76Aa上に嵌合するようになっている。
【0109】
尚、この図17〜図19に示す第2実施例のその他の構成は、上記第1実施例のものと同じであるので、該第1実施例の同部分の説明を援用する。
【0110】
この第2実施例のカウンタウエイト位置決め装置でも、カウンタウエイト吊り降ろし時に、位置決め用のサポート6,6とガイド部材7Aをクレーン操作室16(図1)内からクレーンオペレータが見ながら操作できる。
【0111】
又、カウンタウエイト3側の旋回台対向面33及び各サポート6,6が、車両フレーム11側のガイド部材7A(左右向き板74A)によって前後及び左右にそれぞれガイドされて、カウンタウエイト3を車両フレーム11(各載せ台17,17)上の適正位置に載せることができるようになっている。
【0112】
さらに、カウンタウエイト3を車両フレーム11(各載せ台17,17)上に着座させた状態では、各サポート6,6(6′,6′)の下面側の凹部61,61がそれぞれガイド部材7Aの横向き丸棒体76Aの両端部76Aa,76Aa上に嵌合し、カウンタウエイト3を前後方向に移動不能に位置保持させ得るようになっている。
【0113】
従って、この第2実施例のカウンタウエイト位置決め装置でも、上記第1実施例の基本機能を有している。
【符号の説明】
【0114】
1は車両、2は旋回台、3はカウンタウエイト、4は油圧シリンダ、6はサポート、7,7Aはガイド部材、8は位置保持手段、11は車両フレーム、16はクレーン操作室、17は載せ台、21は旋回台後部、22は支持台、26は連結台、27は隙間、28は横向きピン、29はピン穴、61は凹部、62は凹溝、71は台板、72は前後向き板、73は後側端面、73a,73Aは傾斜面、74,74Aは左右向き板、75は外側端面、75a,75Aは傾斜面、76,76Aは横向き丸棒体(凸部)、81はピンである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両上に旋回自在に搭載した旋回台の後部にカウンタウエイトを装着する際に、上記カウンタウエイトをクレーンで吊り降ろして該カウンタウエイトを車両フレーム上における旋回台側のカウンタウエイト装着位置に対応する適正位置に位置決めするためのブーム式作業車のカウンタウエイト位置決め装置であって、
上記カウンタウエイトにおける上記旋回台に対向する面であってクレーン操作室内で操作するクレーンオペレータから見える位置にサポートを設け、
上記車両フレーム上における上記クレーンオペレータから見える位置に、上記カウンタウエイトを吊り降ろす際に上記サポートを左右方向にガイドする一方、上記カウンタウエイトの旋回台対向面を前後方向にガイドして、上記カウンタウエイトを上記車両フレーム上の適正位置に案内するガイド部材を設けている、
ことを特徴とするブーム式作業車のカウンタウエイト位置決め装置。
【請求項2】
請求項1において、
上記ガイド部材に、上記カウンタウエイトを上記車両フレームの適正位置に導くガイド用の傾斜面を設けている、
ことを特徴とするブーム式作業車のカウンタウエイト位置決め装置。
【請求項3】
請求項1又は2において、
上記サポートの下端に凹部を設ける一方、上記ガイド部材に上記凹部に嵌合する凸部を設けて、上記カウンタウエイトが上記車両フレーム上の適正位置に載置された状態で上記凹部が上記凸部に嵌合して上記カウンタウエイトを前後方向に位置保持するようにしている、
ことを特徴とするブーム式作業車のカウンタウエイト位置決め装置。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか1項において、
上記ガイド部材を左右に離間した2位置に一対設けている、
ことを特徴とするブーム式作業車のカウンタウエイト位置決め装置。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか1項において、
上記旋回台の後部に上記カウンタウエイト側の上記サポートを連結する連結台を設け、該連結台に横向きピンを設け、上記サポートの上面側に上記横向きピンに下方から嵌合する凹溝を設けているとともに、上記サポート側の凹溝を上記連結台側の横向きピンに嵌合させた状態で上記サポートの下部を上記連結台に対して位置保持手段で位置保持させるようにしている、
ことを特徴とするブーム式作業車のカウンタウエイト位置決め装置。
【請求項6】
請求項5において、
上記位置保持手段として、上記サポートの下端に設けた凹部に上記連結台側から挿入したピンを嵌入させるようにしたものを採用している、
ことを特徴とするブーム式作業車のカウンタウエイト位置決め装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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