説明

プッシュボタン構造、及び電子機器

【課題】プッシュボタンが細長くても確実にスイッチが押せて、各部の位置精度を必要とせずに容易に組み立て可能で、プッシュボタンとパネル穴の隙間を最小にする。
【解決手段】基板上のスイッチと、スイッチをオン/オフ操作するプッシュボタン3と、プッシュボタン3をスイッチオフ方向に付勢するばね8と、プッシュボタン3を保持するホルダー7と、を備えるプッシュボタン構造であって、プッシュボタン3とホルダー7に、プッシュボタン3のスイッチオン/オフ動作を案内するガイド部32・72を備える。具体的には、ガイド部は、プッシュボタン3のスイッチをオン/オフ操作する軸部31と平行に設けたガイドリブ32と、ホルダー7の軸部31を案内する穴部71と別に形成したガイド穴72とからなる。軸部31及びガイド部を挟んでその両側にばね8が配置される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プッシュボタン構造と、そのプッシュボタン構造を備える電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
カメラには、基板上のスイッチをオン/オフ操作するプッシュボタンが備えられ、例えば特許文献1において、板ばねによりプッシュボタンの中央部をスイッチオフ方向に付勢した構造が開示される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−197062号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
例えばプッシュボタンが細長いデザインのカメラでは、その細長いボタンの長端部を押すと、ボタン中央部に位置するスイッチに対し離れるため、ボタンに回転トルクがかかり、プッシュボタン全体が上下動しないで傾きやすく、安定して押せなくなる。
また、特許文献1に開示にように、板ばねによりプッシュボタンの中央部をオフ方向に付勢した構造では、特に細長いプッシュボタンの場合には同様に、ボタンが傾きやすく、安定して押せなくなる。
そして、プッシュボタンと筐体のパネル穴との干渉を防ぐには隙間を大きく開ける必要があるが、細長いボタンの幅に対して隙間の割合が大きくなるのはデザイン上好ましくない。
一方、細長いプッシュボタンとパネル穴との隙間を小さくするためには、各部の位置精度及び角度ずれ精度を上げる必要があるが、生産性が悪く、コストアップになる。
【0005】
本発明の課題は、プッシュボタンが細長くても確実にスイッチが押せて、各部の位置精度を必要とせずに容易に組み立て可能で、プッシュボタンとパネル穴の隙間を最小にすることである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
以上の課題を解決するため、請求項1に記載の発明は、基板上のスイッチと、前記スイッチをオン/オフ操作するプッシュボタンと、前記プッシュボタンをスイッチオフ方向に付勢するばねと、前記プッシュボタンを保持するホルダーと、を備えるプッシュボタン構造であって、前記プッシュボタンとホルダーに、前記プッシュボタンのスイッチオン/オフ動作を案内するガイド部を備えることを特徴とする。
【0007】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のプッシュボタン構造であって、前記ガイド部は、前記プッシュボタンの前記スイッチをオン/オフ操作する軸部と平行に設けたガイドリブと、前記ホルダーの前記軸部を案内する穴部と別に形成したガイド穴とからなることを特徴とする。
【0008】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載のプッシュボタン構造であって、前記軸部及びガイド部を挟んでその両側に前記ばねが配置されることを特徴とする。
【0009】
請求項4に記載の発明は、請求項1から3のいずれか一項に記載のプッシュボタン構造を備える電子機器を特徴とする。
【0010】
請求項5に記載の発明は、請求項4に記載の電子機器であって、前記プッシュボタンはシャッターボタンであることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、プッシュボタンが細長くても確実にスイッチが押せて、しかも、各部の位置精度を必要とせずに容易に組み立てすることができる上、プッシュボタンとパネル穴の隙間を最小にして外観を良好にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明を適用した電子機器の一実施形態の構成を示すもので、カメラの斜視 図である。
【図2】図1のシャッターボタン部分の破断図である。
【図3】図2のシャッターボタンの長手方向に沿った断面図である。
【図4】図2のシャッターボタンの幅方向に沿った断面図である。
【図5】図3の斜視図である。
【図6】シャッターボタン、ばね及びホルダーの分解斜視図で、シャッターボタン側から示した図である。
【図7】シャッターボタン、ばね及びホルダーの分解斜視図で、ホルダー側から示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図を参照して本発明を実施するための形態を詳細に説明する。
図1は本発明を適用した電子機器の一実施形態の構成としてカメラを示すもので、1は筐体、2は表示部、3はシャッターボタンである。
【0014】
図示のように、筐体1には、液晶表示による表示部2及びその隣に並ぶシャッターボタン3が備えられており、シャッターボタン3は表示部2の縁と筐体1の本体幅の間の細長い間隔に配置され細長い形状で、表示部2に沿って配置されている。
【0015】
シャッターボタン3は、図2及び図3に示すように、筐体1内のフレーム4にねじ止め固定した基板5の上に搭載されたスイッチ6をオン/オフ操作するプッシュボタンで、筐体1に形成された細長いパネル穴11から外部に露出している。
このシャッターボタン3は、フレーム4にねじ止め固定したホルダー7に保持されて、一対の圧縮コイルばね8によりスイッチオフ方向に付勢されている。
【0016】
シャッターボタン3には、スイッチ6に接触してオン/オフ操作する中央の円柱による軸部31と、図4及び図7にも示すように、シャッターボタン3の変形防止の目的で、軸部31と一体に平行する平板状のガイドリブ32とが形成されている。
さらに、パネル穴11からの抜け止めを行うフランジ33と、軸部31を挟んで長手方向の両側において、ホルダー7に係止する一対の係止爪34と、圧縮コイルばね8を装着する一対の棒状部35が形成されている。
【0017】
ホルダー7には、図5から図7にも示すように、軸部31を案内する中央の丸穴部71と、ガイドリブ32を案内する細長いガイド穴72とが形成されている。
さらに、丸穴部71を挟んで長手方向の両側において、係止爪34をそれぞれ挿入して係止する角穴による一対の係止穴74と、圧縮コイルばね8を案内する丸穴による一対のガイド穴75が形成されている。また、丸穴部71の周囲には、軸部31によって押し拡げられるのを防止する立ち上がり壁76が形成されている。
【0018】
以上のホルダー7に対しシャッターボタン3を、丸穴部71に軸部31を、細長いガイド穴72にガイドリブ32を、その両側の一対の角穴による係止穴74に係止爪34を、同じく一対の丸穴によるガイド穴75に圧縮コイルばね8をそれぞれ挿入して、係止穴74に係止爪34をそれぞれ係止して組み込む。
そして、フレーム4にホルダー7をねじ止め固定して、筐体1のパネル穴11からシャッターボタン3を外部に露出する。
【0019】
ここで、細長いシャッターボタン3は、中央の丸穴部71及びその周囲の立ち上がり壁76に対する軸部31の摺動と、一対の角穴による係止穴74に対する係止爪34の摺動に加えて、丸穴部71に隣接する細長いガイド穴72に対する平板状のガイドリブ32の摺動により、長手方向及び幅方向ともホルダー7によって規制される。
そして、シャッターボタン3とパネル穴11の長手方向及び幅方向の隙間は接触しない程度に確保する。
【0020】
以上のシャッターボタン3は指で押したり離したりすると、ホルダー7の丸穴部71及びその周囲の立ち上がり壁76に軸部31が摺動して上下動すると同時に、丸穴部71に隣接する細長いガイド穴72に平板状のガイドリブ32が摺動して上下動する。
従って、細長いシャッターボタン3であっても、その長手方向や幅方向に傾くことなく、中央の軸部31によりスイッチ6を確実に押してオン動作させることができる。
【0021】
以上、実施形態のシャッターボタン構造によれば、スイッチ6を含む内部構造とパネル穴11との位置精度や角度ずれ精度を必要としないで、容易に組み立てすることができるため、生産性が向上し、部品及び生産コストを削減できる。
しかも、細長いシャッターボタン3の長短部を押しても確実にスイッチ6を押すことができて、シャッターボタン3とパネル穴11との隙間も最小にできるため、デザインを損ねないで、外観も優れた細長いシャッターボタン3を備えることを実現できる。
【0022】
(変形例)
以上の実施形態においては、カメラとしたが、本発明はこれに限定されるものではなく、カメラを備える携帯電話などの電子機器であってもよい。
また、実施形態では、シャッターボタンとしたが、他のプッシュボタンであってもよい。
さらに、プッシュボタン及びガイド部の形状等も任意であり、その他、具体的な細部構造等についても適宜に変更可能であることは勿論である。
【符号の説明】
【0023】
1 筐体
11 パネル穴
3 プッシュボタン
31 軸部
32 ガイドリブ
33 フランジ
34 係止爪
35 棒状部
5 基板
6 スイッチ
7 ホルダー
71 穴部
72 ガイド穴
74 係止穴
75 ガイド穴
76 立ち上がり壁
8 ばね

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板上のスイッチと、
前記スイッチをオン/オフ操作するプッシュボタンと、
前記プッシュボタンをスイッチオフ方向に付勢するばねと、
前記プッシュボタンを保持するホルダーと、を備えるプッシュボタン構造であって、
前記プッシュボタンとホルダーに、前記プッシュボタンのスイッチオン/オフ動作を案内するガイド部を備えることを特徴とするプッシュボタン構造。
【請求項2】
前記ガイド部は、前記プッシュボタンの前記スイッチをオン/オフ操作する軸部と平行に設けたガイドリブと、前記ホルダーの前記軸部を案内する穴部と別に形成したガイド穴とからなることを特徴とする請求項1に記載のプッシュボタン構造。
【請求項3】
前記軸部及びガイド部を挟んでその両側に前記ばねが配置されることを特徴とする請求項2に記載のプッシュボタン構造。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか一項に記載のプッシュボタン構造を備えることを特徴とする電子機器。
【請求項5】
前記プッシュボタンはシャッターボタンであることを特徴とする請求項4に記載の電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−134019(P2012−134019A)
【公開日】平成24年7月12日(2012.7.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−285310(P2010−285310)
【出願日】平成22年12月22日(2010.12.22)
【出願人】(000001443)カシオ計算機株式会社 (8,748)
【Fターム(参考)】